1 00:00:08,341 --> 00:00:10,593 (ナレーション) ここは 周防(すお)の外れにある― 2 00:00:10,719 --> 00:00:12,929 とある小さな村でございます 3 00:00:13,555 --> 00:00:15,306 桜吹雪の舞い散る夜― 4 00:00:15,640 --> 00:00:21,187 とがめは 村長が差し出してくれた 仮の宿へと急いでおります 5 00:00:22,147 --> 00:00:23,314 錆白兵(さびはくへい)め… 6 00:00:23,732 --> 00:00:25,358 まったく! どこまでも… 7 00:00:25,525 --> 00:00:26,735 しちりん! 8 00:00:26,943 --> 00:00:27,986 しちりん! 9 00:00:28,319 --> 00:00:29,738 しちりん 起きろ! 10 00:00:29,821 --> 00:00:32,531 (七花(しちか))寝てないよ つうか その呼び方… 11 00:00:32,741 --> 00:00:36,244 俺は炭を燃料に使うコンロかよ! …とでも言いたいか? 12 00:00:36,369 --> 00:00:38,788 いいか この呼び方はだな いつも言っているように― 13 00:00:38,913 --> 00:00:41,124 そなたがバカで個性も薄く しかも華もなく― 14 00:00:41,249 --> 00:00:43,334 セリフもカミカミで芝居も ダメダメなところだ… 15 00:00:43,418 --> 00:00:45,879 ああ… めんどくさ… 16 00:00:46,087 --> 00:00:47,130 疲れた… 17 00:00:47,672 --> 00:00:48,757 みたいだな 18 00:00:49,424 --> 00:00:51,342 言ってくれれば 俺だって手伝うのに 19 00:00:51,426 --> 00:00:54,387 ふん! 幕府の使いに会うのは 私の役目だ 20 00:00:54,596 --> 00:00:55,430 そうか… 21 00:00:55,597 --> 00:00:58,433 (とがめ) 明日の朝 村長に挨拶したら 出発するぞ 22 00:00:58,558 --> 00:00:59,726 ん? 明日? 23 00:01:00,435 --> 00:01:01,686 意外と早いなあ 24 00:01:01,936 --> 00:01:04,772 しばらくは ここで 報告を待つんじゃなかったのか? 25 00:01:05,147 --> 00:01:06,775 錆白兵ってやつのこと 26 00:01:07,025 --> 00:01:08,234 (とがめ)そのことで今夜― 27 00:01:08,318 --> 00:01:10,779 幕府からの使いの者と 話してきたのだが― 28 00:01:10,862 --> 00:01:12,030 探るまでもなかった 29 00:01:12,238 --> 00:01:13,281 はい…? 30 00:01:14,074 --> 00:01:15,116 (とがめ)錆のやつ― 31 00:01:15,241 --> 00:01:17,494 我々がはりつかせた 尾行者に気づき― 32 00:01:17,619 --> 00:01:18,995 あろうことか 自分から堂々と― 33 00:01:19,120 --> 00:01:20,789 果たし状を 渡してきたようだ 34 00:01:21,081 --> 00:01:24,042 まったく… どこまでも古風なやつだ 35 00:01:25,043 --> 00:01:31,049 ♪~ 36 00:02:47,542 --> 00:02:53,548 ~♪ 37 00:03:05,685 --> 00:03:06,936 まあ 読んでみろ 38 00:03:07,520 --> 00:03:08,563 (七花)読めない 39 00:03:09,272 --> 00:03:11,024 俺 平仮名は読めないんだ 40 00:03:11,149 --> 00:03:12,150 はあ!? 41 00:03:12,734 --> 00:03:15,194 まあいい 要約すれば こうだ 42 00:03:15,403 --> 00:03:18,615 “四季崎記紀(しきざききき)の刀を賭けて 勝負だ!” 43 00:03:18,740 --> 00:03:20,658 (七花) 随分と まっすぐだなあ 44 00:03:21,200 --> 00:03:22,160 (とがめ)ああ… 45 00:03:22,410 --> 00:03:24,454 聞けば聞くほど おかしな話だぜ 46 00:03:25,246 --> 00:03:28,249 そんな古風で まっすぐな男が とがめ― 47 00:03:28,541 --> 00:03:33,004 ひいては 忠義を尽くすべき幕府を 刀欲しさに裏切っただなんて 48 00:03:33,421 --> 00:03:36,257 (とがめ) 四季崎の刀の毒の なせる技だ 49 00:03:36,424 --> 00:03:38,218 (七花)刀の毒なあ… 50 00:03:38,301 --> 00:03:39,928 剣士であればあるほど― 51 00:03:40,094 --> 00:03:42,096 その毒は 体中に回るのだ 52 00:03:42,305 --> 00:03:44,474 深く… 深くな… 53 00:03:44,599 --> 00:03:45,642 (七花)うーん… 54 00:03:46,184 --> 00:03:48,019 (とがめ) 剣士でありすぎるがゆえに― 55 00:03:48,228 --> 00:03:50,772 人らしさを ほとんど失った男だからな 56 00:03:51,105 --> 00:03:54,651 見た目こそ 女と見まごうような 総髪の美少年だが― 57 00:03:54,943 --> 00:03:58,446 空に浮かぶ月ですら 真っ二つに できるという触れ込みだ 58 00:04:01,032 --> 00:04:04,285 しちりん 髪がもつれる 持ち上げていてくれ 59 00:04:04,619 --> 00:04:07,664 (七花) 錆は 俺たちが刀を 手に入れていることを― 60 00:04:07,789 --> 00:04:08,998 知っているみたいだな 61 00:04:09,249 --> 00:04:12,961 少なくとも 鉋と鈍についてはそうであろうな 62 00:04:13,127 --> 00:04:15,630 それに あれから1か月過ぎている 63 00:04:15,880 --> 00:04:18,800 つるぎのことを知られていた としても不思議ではない 64 00:04:22,136 --> 00:04:24,430 この男が劣情を催さぬのは― 65 00:04:24,806 --> 00:04:27,350 無人島育ちだから というだけではないだろう 66 00:04:27,976 --> 00:04:30,895 だからこそ 七花は3番目の敵― 67 00:04:31,104 --> 00:04:33,147 敦賀迷彩(つるがめいさい)をあっさり殺した 68 00:04:33,648 --> 00:04:35,692 女を殺すのに抵抗を覚えない 69 00:04:35,858 --> 00:04:37,193 男女を区別しない 70 00:04:37,568 --> 00:04:39,988 それならばこの男 この刀― 71 00:04:40,405 --> 00:04:41,864 私のいったい どこに惚(ほ)れたのだろう? 72 00:04:41,990 --> 00:04:42,824 (七花)とがめ? 73 00:04:42,949 --> 00:04:43,825 (とがめ)何だ? 74 00:04:43,908 --> 00:04:47,495 だから 俺たちの刀のことを 錆が知ってるってことは― 75 00:04:47,954 --> 00:04:50,540 どっかから 情報が漏れてるんだねって… 76 00:04:50,832 --> 00:04:51,708 あ… 77 00:04:51,833 --> 00:04:55,795 ああ… どこにでも 口の軽い輩(やから)はおるでな 78 00:04:56,129 --> 00:04:58,631 それに錆ぐらいの剣士になれば― 79 00:04:58,756 --> 00:05:00,174 その腕に心酔し― 80 00:05:00,341 --> 00:05:02,635 役に立とうとする者が あとを絶たぬ 81 00:05:03,011 --> 00:05:06,681 ずば抜けた強さというのは それだけ人を魅了するのだ 82 00:05:07,307 --> 00:05:09,017 そんなに強いのか? 83 00:05:09,100 --> 00:05:10,476 (とがめ)正直 私とて― 84 00:05:10,810 --> 00:05:14,480 そなたと錆をぶつけるのは もう少し先にしたかったのだが 85 00:05:14,856 --> 00:05:17,317 事がこう運んでしまえば 致し方ないな 86 00:05:17,775 --> 00:05:20,069 私もできるかぎり 知恵を絞るから― 87 00:05:20,194 --> 00:05:22,530 そなたは ただひたすら 全力を尽くせ 88 00:05:23,865 --> 00:05:25,533 その上 薄刀(はくとう)・針は― 89 00:05:26,117 --> 00:05:29,871 薄く もろく そして何より美しい刀だ 90 00:05:30,038 --> 00:05:33,750 (七花)そんなもろい刀 折らないように集めんの大変だな 91 00:05:33,875 --> 00:05:35,835 そなた 今回ばかりは― 92 00:05:35,918 --> 00:05:38,463 あまり刀そのものに こだわらぬほうがよいぞ 93 00:05:38,755 --> 00:05:42,258 錆白兵とは それだけの実力を備えた剣士だ 94 00:05:42,633 --> 00:05:44,093 使う刀が何であれ― 95 00:05:44,385 --> 00:05:47,597 やつの日本最強の名は はったりでも酔狂でもないのだ 96 00:05:47,805 --> 00:05:49,974 最強… とまで言うか 97 00:05:50,308 --> 00:05:51,684 ああ あいつは… 98 00:05:51,768 --> 00:05:52,727 (七花)とがめ! (とがめ)うっ! ぐっ! 99 00:05:52,894 --> 00:05:55,396 俺の前で 他の刀のことを褒めるな! 100 00:05:55,730 --> 00:05:58,232 錆がどれだけ 最強なのか知らないが― 101 00:05:58,399 --> 00:06:01,527 虚刀流(きょとうりゅう)だって 一応は 最強の剣術をうたってるんだ! 102 00:06:01,903 --> 00:06:04,989 俺にだって あんたの刀としての誇りがある 103 00:06:05,073 --> 00:06:07,909 それ以上に その気位を刺激されちゃ 困る! 104 00:06:08,034 --> 00:06:09,410 鎖骨 ヤバい… 105 00:06:09,577 --> 00:06:11,829 (とがめ)鎖骨 弱い… (七花)あ… 106 00:06:12,080 --> 00:06:14,582 だから… 鎖骨から手を離せ! 107 00:06:14,749 --> 00:06:18,586 くてっとなる くてっとなっちゃう やめてやめてやめて! 108 00:06:18,753 --> 00:06:20,713 そんなに強くは握ってないぞ (とがめ)お願いだから…! 109 00:06:20,880 --> 00:06:23,007 (七花)むしろ優しくなでて… (とがめ)やんやん! 110 00:06:23,091 --> 00:06:23,758 やんやん…? 111 00:06:25,093 --> 00:06:27,261 (とがめ)それがむしろマズい…! 112 00:06:27,386 --> 00:06:30,098 いいから離せ! ああ 本当にヤバい! 113 00:06:30,223 --> 00:06:32,433 ごめん… ごめん! 謝るから! 114 00:06:32,767 --> 00:06:34,894 よく分からんなあ とがめは 115 00:06:34,977 --> 00:06:36,395 はぁ… はぁ… 116 00:06:36,521 --> 00:06:38,439 そなたにだけは 言われたくない! 117 00:06:38,981 --> 00:06:40,983 まあ… そなたのそういうところが― 118 00:06:41,109 --> 00:06:43,611 錆白兵に対しても いいように働けばよい 119 00:06:43,778 --> 00:06:45,113 錆は手ごわいぞ 120 00:06:45,530 --> 00:06:46,614 考えてみれば― 121 00:06:46,739 --> 00:06:50,159 そいつを倒せば 俺が 日本最強になれるってことだろう? 122 00:06:50,368 --> 00:06:52,161 そういうことになるんだろうが 123 00:06:52,620 --> 00:06:55,206 そなた そんな称号が欲しいのか? 124 00:06:55,456 --> 00:06:57,667 (とがめ)よし 帯を結べ (七花)はいはい 125 00:06:58,417 --> 00:07:02,213 そりゃ 日本最強の称号は 確かに魅力的だぜ 126 00:07:02,797 --> 00:07:04,298 剣士として 刀として― 127 00:07:04,549 --> 00:07:06,551 あんたの役にも 立てようってもんだ 128 00:07:06,634 --> 00:07:08,427 ちょっと意外だな うぐっ! 129 00:07:09,637 --> 00:07:11,639 (七花) で 果たし合いは受けたのか? 130 00:07:11,848 --> 00:07:14,267 ああ やつを倒すための策は― 131 00:07:14,350 --> 00:07:17,061 果たし合いの場所までの道中 考えることにする 132 00:07:17,728 --> 00:07:19,021 (七花)場所は どこなんだ? 133 00:07:19,147 --> 00:07:20,273 巌流島(がんりゅうじま)だ 134 00:07:20,982 --> 00:07:22,066 巌流島…? 135 00:07:22,316 --> 00:07:23,484 百年以上前― 136 00:07:23,818 --> 00:07:26,821 その地で行われた 長刀と二刀との決戦くらい― 137 00:07:27,155 --> 00:07:29,740 無刀とはいえ 剣士である そなたも知っておろう 138 00:07:30,658 --> 00:07:31,909 (七花)島か… 139 00:07:33,119 --> 00:07:36,205 そういえば… 姉ちゃん どうしているかな 140 00:07:38,082 --> 00:07:41,335 なりきり旅芸人とは さすが とがめ! 141 00:07:41,752 --> 00:07:44,088 この格好で 怪しまれることないもんな! 142 00:07:44,672 --> 00:07:46,549 子供たちも あんなに喜んでるし 143 00:07:46,716 --> 00:07:47,967 まあ… 何だな 144 00:07:48,217 --> 00:07:50,887 これからも こういう時は この手で切り抜けよう 145 00:07:51,345 --> 00:07:52,513 先を急ぐぞ 146 00:07:52,597 --> 00:07:53,931 (七花)お? (とがめ)いや… 147 00:07:54,015 --> 00:07:56,225 昨日のそなたの言葉 引っかかってな 148 00:07:56,517 --> 00:07:57,393 錆のやつが― 149 00:07:57,518 --> 00:08:00,855 我々が刀を三本 集めたことを 知っているというなら― 150 00:08:01,105 --> 00:08:03,566 同様に真庭忍軍(まにわにんぐん)が動いても おかしくない 151 00:08:03,816 --> 00:08:05,151 (七花)ほお? (とがめ)やつら… 152 00:08:05,234 --> 00:08:08,321 私たちの先を越して 錆のもとへ行っているかもしれん 153 00:08:08,404 --> 00:08:10,114 それ ヤバいんじゃないのかあ? 154 00:08:10,448 --> 00:08:12,408 (蝶々(ちょうちょう)) まったく なんて島だ 155 00:08:12,533 --> 00:08:14,952 まるで島全体が山みたいだ 156 00:08:15,536 --> 00:08:17,121 蝙蝠(こうもり)さんは ここで… 157 00:08:17,497 --> 00:08:19,332 (蟷螂(かまきり))ああ (蜜蜂(みつばち))あの… 158 00:08:19,707 --> 00:08:21,334 もしかして 蝙蝠さん… 159 00:08:21,709 --> 00:08:23,961 最初から 奇策士(きさくし)さんを裏切るつもりで― 160 00:08:24,086 --> 00:08:25,713 誘いに乗ったのでしょうか? 161 00:08:26,005 --> 00:08:28,049 (蟷螂) 蝙蝠殿の思惑がどうであれ― 162 00:08:28,341 --> 00:08:30,218 今の我ら虫組の目的は― 163 00:08:30,343 --> 00:08:33,721 力を合わせて 虚刀流を倒し 刀を奪うことだ 164 00:08:34,054 --> 00:08:36,974 まっ あの奇策士は 天涯孤独の身だが― 165 00:08:37,140 --> 00:08:39,184 虚刀流の七代目には姉がいる 166 00:08:39,559 --> 00:08:42,522 それを島に1人残しておくってのは 何とも甘い 167 00:08:42,938 --> 00:08:46,859 (蜜蜂) そうですね 僕たち忍者は 卑怯(ひきょう)卑劣が売り物ですから 168 00:08:47,193 --> 00:08:48,152 ああ! 169 00:08:50,404 --> 00:08:53,366 (蝶々)で どっちが その女の拉致を担当するんだ? 170 00:08:53,866 --> 00:08:56,661 できれば俺は 半時ばかり休ませてもらいたい 171 00:08:56,994 --> 00:08:59,830 この島 目測よりも ちょっと遠かったわ 172 00:08:59,956 --> 00:09:01,123 (蜜蜂) 僕が 行きましょうか? 173 00:09:01,249 --> 00:09:03,084 いや 私が行くとしよう 174 00:09:03,626 --> 00:09:06,504 ちっとは蜜蜂にも 仕事させてやらねえとよ 175 00:09:06,629 --> 00:09:10,341 いや その娘も 虚刀流であることに違いあるまい 176 00:09:11,008 --> 00:09:15,263 ならば 最も戦闘向きの忍法を使う 私が出向くのが上等であろう 177 00:09:15,888 --> 00:09:19,433 (蝶々) まあ 虫組の指揮官はあんただから 判断は任せるけどさ 178 00:09:19,934 --> 00:09:21,352 蜜蜂はいいのかい? 179 00:09:21,978 --> 00:09:23,771 はい お任せします 180 00:09:23,896 --> 00:09:26,190 お前は本当に欲がねえなあ 181 00:09:26,607 --> 00:09:28,776 それでよく頭領が務まんな 182 00:09:29,735 --> 00:09:31,737 (蟷螂) 一応 臙脂(えんじ)水晶を置いていく 183 00:09:32,280 --> 00:09:36,075 私に もしものことがあったら 主らが任務を果たすのだぞ 184 00:09:36,367 --> 00:09:37,618 もしものこと? 185 00:09:37,994 --> 00:09:40,121 首狩りの蟷螂と呼ばれる あんたに― 186 00:09:40,246 --> 00:09:42,748 それほど似合わない言葉はないな 187 00:09:42,832 --> 00:09:43,958 そうですよお! 188 00:09:44,125 --> 00:09:47,044 変なこと言わないでください 蟷螂さん! 189 00:09:47,128 --> 00:09:49,130 (蝶々)へっへっへっへ! (蜜蜂)あははははは! 190 00:09:49,797 --> 00:09:50,798 (蟷螂)では 参る 191 00:09:51,173 --> 00:09:53,801 (虫の鳴き声) 192 00:09:54,176 --> 00:09:55,469 (蟷螂)あの娘か… 193 00:09:56,137 --> 00:09:58,264 どうやら 私が来てよかったようだな 194 00:09:58,681 --> 00:10:01,309 蝶々ならともかく 若い蜜蜂では― 195 00:10:01,434 --> 00:10:03,978 あっけなく 心を奪われていたかもしれん 196 00:10:04,770 --> 00:10:06,439 狙うのは 足か腕だ 197 00:10:06,897 --> 00:10:08,983 忍法 爪合わせ 198 00:10:10,610 --> 00:10:13,029 七花 どうしているのかしら… 199 00:10:14,322 --> 00:10:15,239 はぁ… 200 00:10:15,448 --> 00:10:19,994 とがめさんに 鑢家(やすりけ)を守るために ここに残るなんて言っちゃったけど 201 00:10:20,828 --> 00:10:23,623 父さんが死んで 七花が出ていって― 202 00:10:23,914 --> 00:10:25,958 本当に私 独りなのよね 203 00:10:26,959 --> 00:10:28,002 ああっ! 204 00:10:33,549 --> 00:10:35,301 (蝶々)蟷螂殿 遅(おせ)えなあ 205 00:10:35,676 --> 00:10:39,513 (蜜蜂)そうですか? まだそれほど 時間たってませんよ 206 00:10:39,805 --> 00:10:40,681 (蝶々)そうかあ? 207 00:10:40,848 --> 00:10:41,849 …って おい! 208 00:10:43,184 --> 00:10:45,019 お前 今 インチキしただろ! 209 00:10:45,186 --> 00:10:46,020 えー? 210 00:10:46,687 --> 00:10:47,688 ほら ここ! 211 00:10:47,855 --> 00:10:49,690 自分に有利に動かしたろー!? 212 00:10:49,857 --> 00:10:51,984 してませんよお そんなこと 213 00:10:53,027 --> 00:10:54,445 ずりーなあ! 214 00:10:54,695 --> 00:10:56,447 ずりーよ 蜜蜂! 215 00:10:56,572 --> 00:10:58,616 ホントにしてないですから! 216 00:11:02,703 --> 00:11:03,746 (蟷螂)うおっ… 217 00:11:08,376 --> 00:11:09,335 うぐっ! 218 00:11:09,418 --> 00:11:11,504 (七実(ななみ))自決されようとしても 無駄ですよ 219 00:11:11,921 --> 00:11:13,714 奥歯に仕込んであった毒は― 220 00:11:13,798 --> 00:11:17,051 あなたが気絶している間に 没収させてもらいましたから 221 00:11:18,219 --> 00:11:20,179 重ねて申し訳ありませんが― 222 00:11:20,429 --> 00:11:23,057 これから あなたを 拷問しようと思っています 223 00:11:23,265 --> 00:11:24,809 (鳴き声) 224 00:11:25,059 --> 00:11:26,060 (蝶々)ああ… 225 00:11:26,685 --> 00:11:28,521 やっぱ俺 ちょっと様子見てくるわ 226 00:11:28,896 --> 00:11:29,855 えっ? 227 00:11:29,980 --> 00:11:31,565 何か 変な感じが… 228 00:11:31,649 --> 00:11:34,568 まさかあ! 蟷螂さんに限って… 229 00:11:35,569 --> 00:11:36,904 思い過ごしだな 230 00:11:37,029 --> 00:11:38,030 はい 231 00:11:38,406 --> 00:11:40,241 じゃあ次 何やるかな 232 00:11:41,409 --> 00:11:43,119 (七実) ここにお連れしたわけは― 233 00:11:43,369 --> 00:11:45,955 そこに あなたのお仲間が 埋まっているからです 234 00:11:46,414 --> 00:11:48,040 弟が埋めたのです 235 00:11:48,499 --> 00:11:52,128 確か… 真庭蝙蝠さん とかおっしゃいましたか 236 00:11:52,586 --> 00:11:53,462 つまり― 237 00:11:53,587 --> 00:11:57,299 あなたが死んだら 同じ場所に 埋めて差し上げるという配慮を― 238 00:11:57,550 --> 00:11:59,844 私なりに示したつもりですが… 239 00:12:01,262 --> 00:12:03,806 せっかくだから 選んでいただけないでしょうか 240 00:12:04,432 --> 00:12:06,100 (蟷螂)選ぶ とは何を? 241 00:12:06,767 --> 00:12:08,936 私に何を選べというのか? 242 00:12:09,478 --> 00:12:12,148 だから 黙って死ぬか― 243 00:12:12,398 --> 00:12:13,774 しゃべって死ぬか 244 00:12:14,692 --> 00:12:17,445 私は別に どちらでも構わないのですが― 245 00:12:18,529 --> 00:12:22,575 とはいえ 拷問というのは いまいち勝手が分かりませんし 246 00:12:22,950 --> 00:12:24,118 こう言っては何ですが― 247 00:12:24,285 --> 00:12:26,120 正直 黙って死んで いただけたほうが― 248 00:12:26,245 --> 00:12:28,581 助かるというのはありますね 249 00:12:29,748 --> 00:12:31,625 あなたに聞くべきことなど― 250 00:12:31,750 --> 00:12:34,086 それほど 数があるわけではありませんし― 251 00:12:34,420 --> 00:12:37,173 何もかも 大まかには推測が立ちます 252 00:12:38,424 --> 00:12:40,050 真庭忍軍… 253 00:12:41,427 --> 00:12:45,139 長いですから“まにわに”と 呼ぶことにしましょう 254 00:12:45,598 --> 00:12:47,141 かわいくて ステキです 255 00:12:48,184 --> 00:12:51,729 その まにわにの方が この島に やって来たということは― 256 00:12:52,146 --> 00:12:57,651 七花と とがめさんの刀集めの旅が 順調に進んでいるということですね 257 00:12:58,986 --> 00:13:01,489 で 今何本ですか? 258 00:13:02,281 --> 00:13:03,157 (蟷螂)二本… 259 00:13:03,324 --> 00:13:06,494 いや この島で収集した 絶刀・鉋(かんな)を合わせれば― 260 00:13:06,619 --> 00:13:08,204 三本ということになろう 261 00:13:09,079 --> 00:13:12,458 (七実)それは… まあ のんびりとした旅なのですね 262 00:13:12,708 --> 00:13:15,294 そんなもんですか うん… 263 00:13:16,003 --> 00:13:19,715 (蟷螂) 私はまだ 主の弟に会ったことも 直に見たこともないが― 264 00:13:20,174 --> 00:13:23,135 当主ということは 七花は主よりも強いのか 265 00:13:23,594 --> 00:13:24,595 (七実)んん? 266 00:13:24,887 --> 00:13:27,473 ああ… いえ どうでしょうね 267 00:13:28,015 --> 00:13:32,436 ここ1年ほど 七花とはまともに 手合わせをしておりませんから― 268 00:13:33,187 --> 00:13:37,691 それに私は 先代より虚刀流の 手ほどきは受けておりませんので 269 00:13:38,192 --> 00:13:42,029 (蟷螂) では 先ほど使ったあの技は? 虚刀流の剣技ではないのか? 270 00:13:42,530 --> 00:13:45,241 それは… まあ そうなのですが… 271 00:13:45,616 --> 00:13:47,451 あれは返し技の1つで― 272 00:13:47,576 --> 00:13:50,621 女郎花(おみなえし)といい 奪刀術の一種です 273 00:13:51,497 --> 00:13:54,917 っていうか… どうして 私のほうが質問されてて― 274 00:13:55,084 --> 00:13:58,420 しかも なんで 私もきちんと答えてるんですか? 275 00:13:58,837 --> 00:13:59,838 さあ? 276 00:14:00,256 --> 00:14:02,049 私からお聞きします 277 00:14:02,633 --> 00:14:04,635 ここへは 何人でいらしたんですか? 278 00:14:05,511 --> 00:14:07,721 あなたの他に 何人? 279 00:14:10,724 --> 00:14:11,767 (蝶々)うわー! 280 00:14:11,976 --> 00:14:13,727 ずるした! まーた ずるした! 281 00:14:13,852 --> 00:14:15,187 えー ずるって… 282 00:14:15,271 --> 00:14:17,398 その さいの目を 忍法で変えたんだろ! 283 00:14:17,523 --> 00:14:21,694 もう! そんな手品みたいな忍法 僕 使いませんよ 284 00:14:21,944 --> 00:14:24,822 妙な問いだ 無論 私1人で来た 285 00:14:25,614 --> 00:14:28,325 女1人を拉致するのに 人数を使うほど― 286 00:14:28,409 --> 00:14:30,744 真庭の里に人間は余っておらん 287 00:14:30,953 --> 00:14:34,832 私を拉致して それでおしまい というわけではないのですから― 288 00:14:35,249 --> 00:14:38,002 複数で来ていても 変だとは思いませんよ 289 00:14:38,919 --> 00:14:41,463 そうですね… 例えば― 290 00:14:42,172 --> 00:14:46,802 七花が集めている刀の数と同じ 3人とか…? 291 00:14:47,636 --> 00:14:50,306 人数と それぞれが使う忍法を 教えてくれたら― 292 00:14:50,431 --> 00:14:51,849 助かるんですけど 293 00:14:52,391 --> 00:14:55,978 あっ 今の“助かる”は 私が助かるということで― 294 00:14:56,103 --> 00:14:59,273 あなたの命が助かるという 意味合いではありませんので― 295 00:14:59,565 --> 00:15:01,442 くれぐれも 誤解なきよう 296 00:15:02,902 --> 00:15:04,653 弟の話ですけど― 297 00:15:05,362 --> 00:15:08,574 昔 あの子は 爪をかむ癖がありましてね 298 00:15:08,908 --> 00:15:12,036 “上品ではないから やめなさい” と言っても なかなか聞かず― 299 00:15:12,620 --> 00:15:14,872 とにかく爪をかみ続けるんです 300 00:15:15,623 --> 00:15:18,292 親指なんて ぼろぼろになってしまって… 301 00:15:19,209 --> 00:15:20,878 だから 私はある時― 302 00:15:21,128 --> 00:15:24,214 あの子の爪を全部 剥いであげたのですよ 303 00:15:25,007 --> 00:15:26,634 そうしたら あの子はそれ以来― 304 00:15:26,842 --> 00:15:28,469 爪をかむのを やめました 305 00:15:28,928 --> 00:15:31,347 まあ 幼少時代の しつけの話ですから― 306 00:15:31,472 --> 00:15:34,892 一概に 拷問と一緒くたにするのは どうかと思いますが 307 00:15:35,517 --> 00:15:39,188 あなたの場合 順序を逆にしてみましょうか 308 00:15:40,689 --> 00:15:41,815 かんでみなさい 309 00:15:42,024 --> 00:15:43,734 (蟷螂)あっ… (七実)どうしました? 310 00:15:43,943 --> 00:15:47,613 子供に戻った気分で 自分の爪を かめばいいと言っているんです 311 00:15:48,030 --> 00:15:50,783 少し舌を傷めるかもしれませんが 312 00:15:51,659 --> 00:15:54,161 何もしゃべらない舌なんて 不要でしょ? 313 00:15:54,328 --> 00:15:56,455 まっ 待て 分かった 314 00:15:56,747 --> 00:15:58,707 “分かった”とは? 315 00:15:58,958 --> 00:16:00,668 だから… しゃべる 316 00:16:01,001 --> 00:16:02,544 俺たちの忍法は― 317 00:16:03,003 --> 00:16:04,171 忍法… 318 00:16:04,421 --> 00:16:05,547 忍法… 319 00:16:05,881 --> 00:16:06,966 忍法… 320 00:16:07,549 --> 00:16:09,218 忍法 爪合わせ! 321 00:16:13,514 --> 00:16:16,350 (七実)すみません… 動きを封じました 322 00:16:16,850 --> 00:16:18,852 (蟷螂)わざと 着物に…! 323 00:16:19,061 --> 00:16:20,187 (七実)ええ まあ… 324 00:16:23,273 --> 00:16:24,483 その目… 325 00:16:28,028 --> 00:16:30,197 この父を許せ 七実… 326 00:16:31,156 --> 00:16:34,326 虚刀流七代目は 七花に決めた 327 00:16:34,952 --> 00:16:36,245 こうなってしまえば― 328 00:16:36,578 --> 00:16:38,998 俺はもう 現役を引退せざるを得まい 329 00:16:39,623 --> 00:16:41,834 心中思うところは ないでもないが― 330 00:16:42,292 --> 00:16:45,337 しかし 俺も 誇り高き一本の刀として― 331 00:16:45,671 --> 00:16:47,464 これも定めと諦めよう 332 00:16:48,507 --> 00:16:50,134 俺は今 この時より― 333 00:16:50,342 --> 00:16:54,013 虚刀流を後の世に伝える役目を 全うしようと思う 334 00:16:54,722 --> 00:16:57,975 これから七花には 俺の命が尽きるまで― 335 00:16:58,225 --> 00:17:01,895 俺の体が朽ちるまで 俺の刃が錆びるまで― 336 00:17:02,187 --> 00:17:05,441 虚刀流のすべてを お前の体にたたき込む 337 00:17:05,983 --> 00:17:06,942 (七花)お…? 338 00:17:07,276 --> 00:17:08,444 (六枝(むつえ))許せ 七実… 339 00:17:08,902 --> 00:17:12,114 本音を言えば お前に虚刀流を継いでほしいと思う 340 00:17:12,281 --> 00:17:14,742 しかし それは不可能なのだ 341 00:17:15,242 --> 00:17:18,328 分かってくれ… 無理なものは無理なのだ 342 00:17:18,912 --> 00:17:21,915 お前が女だからでも 病弱だからでもない 343 00:17:22,249 --> 00:17:24,960 七実… 俺にはお前のような― 344 00:17:25,335 --> 00:17:29,256 例外的に強い人間を育てることは できないのだ 345 00:17:30,049 --> 00:17:32,593 (七実) 父さんが私を見る時の目と― 346 00:17:33,385 --> 00:17:34,595 同じ… 347 00:17:39,266 --> 00:17:40,434 はぁ… 348 00:17:41,310 --> 00:17:42,561 疲れた… 349 00:17:43,395 --> 00:17:45,272 もとより忍者が拷問ごときで― 350 00:17:45,397 --> 00:17:48,192 情報を売るとは 思ってなかったけど― 351 00:17:48,901 --> 00:17:51,361 それでも さすがと言うべきなのかしら 352 00:17:51,737 --> 00:17:54,698 かまをかけても 全然 引っかかってくれなかったし… 353 00:17:55,115 --> 00:17:57,409 まっ でも大体 想像どおりね 354 00:17:58,452 --> 00:17:59,578 七花ったら― 355 00:17:59,661 --> 00:18:02,581 あれからまだ二本しか 刀を集めてないなんて… 356 00:18:03,457 --> 00:18:05,084 ホントのんきなんだから 357 00:18:06,293 --> 00:18:08,003 帰ったら お仕置きだわ 358 00:18:09,630 --> 00:18:13,342 俺 一度だけ姉ちゃんと 手合わせしたことがあるんだけど 359 00:18:13,592 --> 00:18:16,095 うわっ! うぐっ 360 00:18:16,470 --> 00:18:17,763 はぁ 361 00:18:18,138 --> 00:18:19,181 (七実)引き分けね 362 00:18:19,848 --> 00:18:21,475 はぁ… はぁ… 363 00:18:22,059 --> 00:18:22,976 ごめんね 364 00:18:23,268 --> 00:18:26,647 私の体力的なことで 時間制限ありにしちゃって 365 00:18:26,814 --> 00:18:29,149 はぁ うぐっ 366 00:18:29,483 --> 00:18:31,819 でも なかなかよかったわよ 367 00:18:32,736 --> 00:18:38,700 (波の音) 368 00:18:38,951 --> 00:18:42,204 (七花)錆と姉ちゃん どっちが強いかなあ? 369 00:18:49,419 --> 00:18:52,172 (蜜蜂)これって… もしかして蟷螂さんの身に… 370 00:18:52,339 --> 00:18:54,758 いやいやいや 蟷螂殿に限って! 371 00:18:55,092 --> 00:18:59,429 あの人の忍法爪合わせが通じない 相手なんて 想像もつかねえぞ! 372 00:18:59,972 --> 00:19:03,851 殺人鬼が忍び装束着て歩いてる みたいな 喰鮫(くいざめ)殿だって― 373 00:19:04,101 --> 00:19:06,353 蟷螂殿には 一目置いていたんだ! 374 00:19:06,728 --> 00:19:08,647 忍法以前に あの人の経験は― 375 00:19:08,856 --> 00:19:10,774 ちょっとばかり 半端じゃないんだぜ! 376 00:19:11,191 --> 00:19:13,443 蟷螂殿が 負けるはずがねえって! 377 00:19:13,694 --> 00:19:17,322 (蜜蜂)そうですよね! 臙脂水晶だって絶対ではありません 378 00:19:17,531 --> 00:19:20,534 (蝶々)うんうん だよな…! 粉々に割れたところで― 379 00:19:20,701 --> 00:19:23,036 所有者がぴんぴんして 戻っていた例もあるしな! 380 00:19:23,162 --> 00:19:26,123 (蜜蜂)いや… その話は僕も 聞いたことがあるんですが― 381 00:19:26,373 --> 00:19:32,045 あれは誰かが間違って落っことして 割っちゃったって こと…だから… 382 00:19:33,881 --> 00:19:36,216 あの… この場合― 383 00:19:36,300 --> 00:19:38,969 僕らは蟷螂さんの敗北を 前提に動いたほうが― 384 00:19:39,052 --> 00:19:40,179 いいんじゃないでしょうか… 385 00:19:40,387 --> 00:19:42,097 あっ! どうするつもりですか? 386 00:19:42,306 --> 00:19:44,391 順番的に次に行くのは 僕ですよね? 387 00:19:44,725 --> 00:19:46,059 (蝶々)いや… 俺が行く 388 00:19:46,560 --> 00:19:48,145 じっくり休ませてもらったからな 389 00:19:48,228 --> 00:19:50,856 けれど こういう場合 僕の忍法のほうが― 390 00:19:51,064 --> 00:19:53,192 まだしも有効に 作用すると思います 391 00:19:53,483 --> 00:19:57,404 蝶々さんの忍法は 何というか… 直接的すぎます 392 00:19:57,529 --> 00:19:59,406 (蝶々)分かってくれや 蜜蜂! 393 00:20:00,407 --> 00:20:02,743 俺は蟷螂殿が好きだったんだよ! 394 00:20:02,868 --> 00:20:05,245 そんなの僕だって同じです! 395 00:20:05,495 --> 00:20:07,789 俺はお前も好きなんだよ! 396 00:20:08,290 --> 00:20:11,752 虫組の中で 誰か1人 生き残るんだとしたら― 397 00:20:12,085 --> 00:20:14,379 それは一番若い お前であるべきだと思う 398 00:20:14,504 --> 00:20:15,923 (蜜蜂)そんな… (蝶々)いいか 399 00:20:16,423 --> 00:20:18,926 お前は 俺と虚刀流の姉との戦いを― 400 00:20:19,343 --> 00:20:21,220 離れた場所から観察していろ! 401 00:20:21,511 --> 00:20:24,056 そして もし 俺が負けるようなことがあれば― 402 00:20:25,766 --> 00:20:29,228 それを踏まえて お前が娘を拉致するんだ 403 00:20:29,311 --> 00:20:31,521 しかし それでは蝶々さんが― 404 00:20:31,605 --> 00:20:33,941 かませ犬どころか 犬死にになってしまいます 405 00:20:34,191 --> 00:20:35,067 (蝶々)バーカ! 406 00:20:35,484 --> 00:20:38,946 だから俺は別に 犠牲になって死ぬつもりはねえって 407 00:20:39,488 --> 00:20:41,031 案外うまいこと言って― 408 00:20:41,114 --> 00:20:44,910 お前から手柄を横取りしようと してるだけかもしんねえぜ 409 00:20:45,118 --> 00:20:50,540 へへへへははは…! しかも 犬死にって… 俺ら虫組だぜ! 410 00:20:50,749 --> 00:20:51,667 でも… 411 00:20:52,084 --> 00:20:53,293 (蝶々)あのさあ 蜜蜂 412 00:20:54,127 --> 00:20:55,170 何ですか? 413 00:20:55,796 --> 00:20:58,298 この任務が終わったら俺― 414 00:20:58,382 --> 00:21:00,259 結婚するんだ (蜜蜂)え… 415 00:21:00,884 --> 00:21:03,804 いつどこで 命を落とすか 分からん家業だから― 416 00:21:04,096 --> 00:21:05,847 これまで踏み切れなかったが― 417 00:21:06,056 --> 00:21:07,182 俺 決めたんだ 418 00:21:07,724 --> 00:21:08,976 身を固めようって 419 00:21:09,226 --> 00:21:13,188 そっ… そう… だったんですか… お相手は? 420 00:21:13,355 --> 00:21:15,107 お前も知ってるやつだよお! 421 00:21:15,607 --> 00:21:16,984 勘のいいお前のことだ 422 00:21:17,150 --> 00:21:19,069 うすうす 感づいてたんじゃないのか? 423 00:21:19,152 --> 00:21:20,696 えっ いや… 424 00:21:21,029 --> 00:21:22,990 (蝶々) 同じ十二頭領の一人で― 425 00:21:23,490 --> 00:21:27,035 鳥組の真庭… 鴛鴦(おしどり)だ! 426 00:21:27,160 --> 00:21:30,497 (蜜蜂)鴛鴦さんですか? 尻に敷かれそうですね… 427 00:21:30,831 --> 00:21:35,294 (蝶々) だな… 鳥組と虫組って まるで捕食関係みてーだけどよ 428 00:21:35,752 --> 00:21:36,837 思えばあの時― 429 00:21:37,129 --> 00:21:40,507 俺の心はあいつに 食われちまったのかもしれねーな 430 00:21:41,425 --> 00:21:44,678 俺たちの なれ初めってのがだな これまた笑っちゃ… 431 00:21:44,761 --> 00:21:45,637 蝶々さん! 432 00:21:45,929 --> 00:21:47,681 いい話ですけど どうでしょう… 433 00:21:47,889 --> 00:21:50,100 そのあたりで やめておいたほうが… 434 00:21:50,183 --> 00:21:52,019 あ? なんで? 435 00:21:52,144 --> 00:21:55,397 いや… とにかく分かりました! 436 00:21:55,731 --> 00:21:58,233 順番は 蝶々さんにお譲りします 437 00:21:58,525 --> 00:22:00,444 しかし 僕だって忍びです 438 00:22:00,694 --> 00:22:02,529 やるからには徹底しますよ! 439 00:22:02,863 --> 00:22:05,532 何があろうと 助太刀に入ることはありません 440 00:22:06,116 --> 00:22:09,453 たとえ蝶々さんが なぶられるような目に遭おうとも… 441 00:22:09,536 --> 00:22:11,121 ああ! そうしてくれ! 442 00:22:11,413 --> 00:22:13,874 そういう場合は せいぜい悪あがきして― 443 00:22:14,207 --> 00:22:16,835 お前が得られる情報を 増やしてやるぜ 444 00:22:17,336 --> 00:22:19,629 あっ… 危ねえ 危ねえ 445 00:22:20,213 --> 00:22:22,299 ちょっと前から 禁煙してるんだった 446 00:22:22,841 --> 00:22:25,093 鴛鴦が すっげえ嫌煙家でさあ 447 00:22:25,469 --> 00:22:27,387 外で吸っても 臭いがつくだろ 448 00:22:27,596 --> 00:22:31,516 (蜜蜂) 鴛鴦さんも 今日の1本くらいは 許してくれるんじゃないですか 449 00:22:32,059 --> 00:22:33,643 これは 僕が預かっておきます 450 00:22:34,061 --> 00:22:36,980 任務完了の折りに 心置きなく吸ってください 451 00:22:37,564 --> 00:22:38,982 蜜蜂 お前… 452 00:22:40,358 --> 00:22:41,401 そうだな 453 00:22:42,069 --> 00:22:43,236 おっ そうだ 454 00:22:43,695 --> 00:22:45,155 これも預かっといてくれ 455 00:22:45,447 --> 00:22:46,865 あとで一緒に吸おうぜ! 456 00:22:47,157 --> 00:22:48,784 タバコは… 457 00:22:49,284 --> 00:22:51,244 んぐ… はい! 458 00:22:51,703 --> 00:22:54,081 (蝶々) さてと… 行くとするか 459 00:22:54,206 --> 00:22:55,082 ほらよ! 460 00:22:56,083 --> 00:22:57,084 何ですか? 461 00:22:57,417 --> 00:22:59,669 虫組は いつも一緒ってことだよ 462 00:23:00,128 --> 00:23:03,381 死んだ程度で 俺たちの絆はほつれたりしねえ 463 00:23:03,590 --> 00:23:07,761 何だ… 蝶々さんって意外と いい人だったんですね 464 00:23:07,969 --> 00:23:08,929 よせ! 465 00:23:09,137 --> 00:23:11,389 あっ! 左胸に入れておくといいですよ 466 00:23:11,598 --> 00:23:12,599 何だ? それ 467 00:23:12,724 --> 00:23:14,518 いいからそうしてください! 468 00:23:14,851 --> 00:23:17,479 分かったよ じゃあな! 469 00:23:18,522 --> 00:23:19,815 (蜜蜂)あの水晶が― 470 00:23:20,232 --> 00:23:22,818 いや 蟷螂さんの魂が― 471 00:23:23,110 --> 00:23:25,362 蝶々さんを 守ってくれるといいんですが… 472 00:23:26,822 --> 00:23:28,115 (とがめ)巌流島だ 473 00:23:31,618 --> 00:23:32,828 (蝶々)どうして分かった? 474 00:23:33,203 --> 00:23:36,164 気配は完璧に消していたはず… だがな 475 00:23:36,706 --> 00:23:39,459 むしろ私が 聞きたいぐらいなのですけれど― 476 00:23:39,960 --> 00:23:42,963 どうして生きているくせに 気配が消せるなどと? 477 00:23:43,630 --> 00:23:46,466 そこにいる人は そこにいる人でしかないでしょう? 478 00:23:46,842 --> 00:23:48,009 自分はそこにいるのに― 479 00:23:48,135 --> 00:23:50,512 自分探しなんて できないのと一緒です 480 00:23:51,054 --> 00:23:52,013 まあいい 481 00:23:52,514 --> 00:23:55,058 俺は真庭忍軍 十二頭領が一人 482 00:23:55,475 --> 00:23:56,852 真庭蝶々だ 483 00:23:57,352 --> 00:23:58,812 あんたをさらいに来た 484 00:23:59,146 --> 00:24:01,231 魅力的な口説き文句ですね 485 00:24:01,815 --> 00:24:04,484 殿方にそんなセリフを 言われる日が来るとは― 486 00:24:04,568 --> 00:24:06,319 ついぞ思いもしませんでした 487 00:24:07,154 --> 00:24:08,446 申し遅れました 488 00:24:08,905 --> 00:24:10,323 すでにご存じでしょうが― 489 00:24:10,574 --> 00:24:13,493 一応礼儀ということで 名乗らせていただきます 490 00:24:14,035 --> 00:24:17,831 私は鑢家の家長 鑢七実と申します 491 00:24:17,998 --> 00:24:19,124 ああ 知ってる 492 00:24:19,624 --> 00:24:21,626 せっかくだから 教えてもらえますか? 493 00:24:22,252 --> 00:24:24,963 先ほど あなたと同じ服装をなさった方― 494 00:24:25,297 --> 00:24:26,548 あの方のお名前は? 495 00:24:26,798 --> 00:24:28,008 名乗らなかったのか? 496 00:24:28,091 --> 00:24:29,968 聞く暇がありませんでした 497 00:24:30,677 --> 00:24:33,513 あの人の名前は 真庭蟷螂だよ 498 00:24:33,930 --> 00:24:35,015 蟷螂… 499 00:24:35,599 --> 00:24:38,226 ああ だから爪が 武器だったのですね 500 00:24:38,435 --> 00:24:40,187 蟷螂殿を殺したか 501 00:24:40,395 --> 00:24:42,731 ええ 襲われたものですから 502 00:24:44,107 --> 00:24:45,358 ああ そうだ 503 00:24:45,859 --> 00:24:48,361 そちらの人数を 教えていただけますか? 504 00:24:48,486 --> 00:24:49,362 ああ? 505 00:24:49,487 --> 00:24:51,448 実は 軽く拷問したのですが― 506 00:24:51,698 --> 00:24:54,242 蟷螂さんは 教えてくれなかったのですよ 507 00:24:54,784 --> 00:24:56,870 蟷螂殿が教えなかったことを― 508 00:24:57,162 --> 00:24:59,039 この俺が教えるわけがないだろう 509 00:24:59,706 --> 00:25:01,041 (七実)そうですか… 510 00:25:06,379 --> 00:25:08,089 蟷螂殿を倒したあんたを― 511 00:25:08,381 --> 00:25:10,008 俺は女だとは思わん 512 00:25:10,258 --> 00:25:13,386 遠慮会釈なく 最初から本気でやらせてもらう 513 00:25:13,929 --> 00:25:16,765 場合によっては殺してしまう ことになるかもしれんが 514 00:25:17,224 --> 00:25:19,184 それでは人質になりませんよ 515 00:25:19,392 --> 00:25:22,020 無論 人質にするのが 何よりだが― 516 00:25:22,562 --> 00:25:24,814 姉の死体を目前に さらすだけでも― 517 00:25:25,065 --> 00:25:27,275 弟の戦意をそぐには十分だろう 518 00:25:27,692 --> 00:25:28,568 なるほど… 519 00:25:28,902 --> 00:25:30,695 忍者らしいお言葉ですね 520 00:25:31,029 --> 00:25:34,282 とはいえ もちろん 降参に 応じるつもりはあるんだぜ 521 00:25:34,574 --> 00:25:37,535 ヤベえと思ったらいつでもいいから 声を上げなあ 522 00:25:37,744 --> 00:25:38,912 よしなに 523 00:25:41,289 --> 00:25:42,457 その構え… 524 00:25:42,791 --> 00:25:44,751 これは真庭拳法っつってなあ 525 00:25:45,252 --> 00:25:47,796 世間で出回ってるような 一般的な拳法とは― 526 00:25:47,921 --> 00:25:50,048 まったく起源を別にするものだ 527 00:25:50,423 --> 00:25:52,050 (七実)真庭拳法… 528 00:25:52,259 --> 00:25:55,887 虚刀流の開祖 鑢一根(かずね)と 俺の初代とは― 529 00:25:56,096 --> 00:25:59,057 大昔に拳を交えたことがあるって 話だからな 530 00:25:59,599 --> 00:26:00,642 お前 知ってるか? 531 00:26:00,892 --> 00:26:02,769 いえ 全然知りませんでした 532 00:26:04,646 --> 00:26:06,898 (蝶々)そん時は 随分と楽しかったらしい 533 00:26:07,524 --> 00:26:09,693 俺らも負けずに戦おうぜ! 534 00:26:10,443 --> 00:26:12,279 どうした? 構えないのか? 535 00:26:13,029 --> 00:26:16,574 同じ拳法家として ぜひ ご指南 いただきたいところなんだがな 536 00:26:20,287 --> 00:26:22,789 俺は 構えるまで 待ってやるっつってんだぞ 537 00:26:23,248 --> 00:26:24,624 そうは言われましても― 538 00:26:24,916 --> 00:26:27,794 私 今まで 構えたことなんてありませんから 539 00:26:28,086 --> 00:26:30,588 (蝶々)虚刀流には 構えがないってことなのか? 540 00:26:31,840 --> 00:26:35,885 だから 私は 虚刀流としては異端なのですよ 541 00:26:36,553 --> 00:26:39,472 でも こう思いませんか? 蝶々さん 542 00:26:39,973 --> 00:26:42,642 構えるだなんてムダなこと… 543 00:26:43,476 --> 00:26:45,812 何かあるたびに いちいち構えるなんて― 544 00:26:46,021 --> 00:26:48,690 その分だけ 動作が遅れるじゃありませんか 545 00:26:49,941 --> 00:26:52,152 あなたが そうであるよう… 546 00:26:52,527 --> 00:26:53,486 構えることで― 547 00:26:53,570 --> 00:26:56,906 次にどうするつもりなのか 大体 読めてしまいますし― 548 00:26:57,657 --> 00:27:01,411 せっかくの謎の拳法も 結構 底が透けちゃってますよ 549 00:27:01,828 --> 00:27:03,663 そういうふうに構えるだけで 550 00:27:04,622 --> 00:27:07,500 それでも 強いて名付けるとするなら― 551 00:27:07,834 --> 00:27:10,295 これは虚刀流 零(ゼロ)の構え 552 00:27:10,670 --> 00:27:11,796 無花果(いちじく)… 553 00:27:12,630 --> 00:27:14,174 と言ったところでしょうか 554 00:27:25,685 --> 00:27:26,811 くっ… 555 00:27:29,481 --> 00:27:30,315 うっ… 556 00:27:30,523 --> 00:27:32,192 うおーっ! 557 00:27:32,609 --> 00:27:33,735 てやー! 558 00:27:34,027 --> 00:27:36,488 (七実)虚刀流… 雛罌粟(ひなげし) 559 00:27:38,365 --> 00:27:39,532 (蝶々)うわー! 560 00:27:41,493 --> 00:27:42,410 ヘヘッ 561 00:27:43,203 --> 00:27:45,038 どりゃー! 562 00:27:50,043 --> 00:27:51,503 よく よけられたなあ 563 00:27:51,961 --> 00:27:54,047 真庭拳法と真庭忍法― 564 00:27:54,798 --> 00:27:57,634 この合わせ技を最初の 1回から かわせたやつは― 565 00:27:57,801 --> 00:27:59,260 あんまりいないんだけどな! 566 00:27:59,719 --> 00:28:00,845 忍法…? 567 00:28:01,137 --> 00:28:02,597 忍法足軽 568 00:28:03,306 --> 00:28:06,059 俺の動きは 重力を無視できるんだよ 569 00:28:06,726 --> 00:28:08,395 どんな重い物でも持てるし― 570 00:28:08,812 --> 00:28:10,188 細い枝でも俺にとっちゃ― 571 00:28:10,271 --> 00:28:12,357 十分すぎるほど 立派な足場になるんだ 572 00:28:13,024 --> 00:28:15,693 あんたが俺の体に どんな攻撃を加えようと― 573 00:28:16,069 --> 00:28:18,196 俺はその方向へ吹っ飛ぶだけだ 574 00:28:19,447 --> 00:28:22,450 (七実)私の手刀は 実際には届いておらず― 575 00:28:22,742 --> 00:28:24,619 その前に生じた風圧で― 576 00:28:24,786 --> 00:28:27,914 あなたの体は もう浮いていたということですか 577 00:28:29,124 --> 00:28:30,041 (蝶々)おうよ 578 00:28:30,458 --> 00:28:32,502 (七実) そんな異形の技を使いながら― 579 00:28:32,710 --> 00:28:34,629 ひょうひょうと 拳法家を名乗るとは― 580 00:28:35,004 --> 00:28:37,173 なかなかどうして ずぶとくていらっしゃる 581 00:28:37,465 --> 00:28:39,092 (蝶々) ずぶといと言われてもよ 582 00:28:39,426 --> 00:28:41,928 それが俺の忍法なんだから しかたねえじゃねえか 583 00:28:42,554 --> 00:28:45,515 どうだい? 降参するなら今が好機だぜ 584 00:28:45,765 --> 00:28:47,100 次は本気でいく! 585 00:28:47,183 --> 00:28:49,477 (七実)最初から 本気だったはずなのでは? 586 00:28:50,103 --> 00:28:52,647 (蝶々) あんた 俺の忍法のすごさが 分からねえのか 587 00:28:53,022 --> 00:28:54,107 (七実)分かりますよ 588 00:28:54,315 --> 00:28:56,151 十分すごいと思っています 589 00:28:56,526 --> 00:29:00,113 恐らくは 重さを消失させる技ですか 590 00:29:00,530 --> 00:29:01,781 その技を使って― 591 00:29:01,948 --> 00:29:04,701 お仲間と一緒に この島にやって来たのでしょう? 592 00:29:04,826 --> 00:29:05,744 (蝶々)んっ… (蜜蜂)あっ… 593 00:29:05,994 --> 00:29:09,122 (七実) しかし 私がそれよりも すごいと思っているのは― 594 00:29:09,247 --> 00:29:10,915 技そのものじゃなくて― 595 00:29:11,124 --> 00:29:15,128 あなたがその技を習得するまでに かけただろう時間のことですよ 596 00:29:15,295 --> 00:29:17,964 なまはんかな努力では なかったのでしょうね 597 00:29:18,173 --> 00:29:21,509 これまでの人生のほとんど すべてを費やしたのでしょうね 598 00:29:22,093 --> 00:29:23,303 はぁ… 599 00:29:24,179 --> 00:29:28,266 あの蟷螂さんも 忍法爪合わせと おっしゃっていましたが― 600 00:29:28,641 --> 00:29:31,269 自分の肉体を あそこまで改造するのに― 601 00:29:31,352 --> 00:29:33,146 どれだけ時間を要したか 602 00:29:33,855 --> 00:29:38,067 きっとそれは 真庭の里に はるか 昔から延々と受け継がれて― 603 00:29:38,359 --> 00:29:40,695 ようやく完成した 英知なのでしょうね 604 00:29:41,279 --> 00:29:42,530 私は それが… 605 00:29:45,533 --> 00:29:47,452 私は それがうらやましい 606 00:29:47,660 --> 00:29:48,661 ああ…? 607 00:29:48,912 --> 00:29:51,873 (七実)あなた方には とうてい分からないのでしょうね 608 00:29:52,207 --> 00:29:55,168 努力することを許されない 人間の気持ちなんて… 609 00:29:56,836 --> 00:29:58,963 死んでも… 知らねえぞ! 610 00:30:02,592 --> 00:30:04,052 はっ! 611 00:30:04,344 --> 00:30:06,346 (七実) また見せてくれましたね 612 00:30:06,805 --> 00:30:11,768 (蜜蜂)うう… あの女… 蝶々さんの忍法を… 613 00:30:12,268 --> 00:30:13,895 忍法足軽 614 00:30:14,270 --> 00:30:16,231 やっぱり予想どおりでしたね 615 00:30:16,689 --> 00:30:18,024 当たり前ですけれど― 616 00:30:18,149 --> 00:30:20,527 実際に重さを 消しているわけじゃない 617 00:30:20,652 --> 00:30:22,862 そっ そんなバカな! 618 00:30:23,196 --> 00:30:25,657 (七実)もう十分 見せてもらいましたから― 619 00:30:26,282 --> 00:30:28,409 一思いに 殺して差し上げます 620 00:30:29,118 --> 00:30:31,704 虚刀流 蒲公英(たんぽぽ) 621 00:30:36,209 --> 00:30:37,210 (蜜蜂)そんなっ! 622 00:30:37,710 --> 00:30:40,338 ぐはっ…! バカな…! 623 00:30:43,800 --> 00:30:45,176 (蝶々・蜜蜂)爪合わせ! 624 00:30:46,761 --> 00:30:49,889 こちらの忍法は 1回しか 見せてもらえなかったから― 625 00:30:50,139 --> 00:30:52,141 あまり上手くいきませんでした 626 00:30:52,433 --> 00:30:55,270 まあ… 次からはもう少し うまくいくでしょう 627 00:30:55,478 --> 00:30:58,398 うあああ! あ… ありえねえ! 628 00:30:58,731 --> 00:31:01,067 真庭忍法をそんなにたやすく…! 629 00:31:01,234 --> 00:31:04,571 お… 俺たちがいったい どんな思いで 630 00:31:05,154 --> 00:31:06,573 ありえねえ! 631 00:31:06,781 --> 00:31:07,699 ありえねえ! 632 00:31:07,824 --> 00:31:09,450 あ…りえねえ… ううっ! 633 00:31:09,617 --> 00:31:13,288 (七実)ホント… だから うらやましいですよ 634 00:31:14,080 --> 00:31:16,791 いちいち 力いっぱい 頑張れちゃって… 635 00:31:17,125 --> 00:31:19,419 (蜜蜂)そんな… ウソだ! 636 00:31:20,044 --> 00:31:22,171 こんな短時間で2人の忍法を…! 637 00:31:22,797 --> 00:31:24,716 あの娘 いったい…! 638 00:31:25,258 --> 00:31:28,344 (七実)見てきましたから… ずっと 私は… 639 00:31:29,846 --> 00:31:34,809 私の強さは例外的な強さ 反則的な強さと言われました 640 00:31:35,602 --> 00:31:38,354 父の六枝は 父親として― 641 00:31:38,521 --> 00:31:42,775 あるいは1人の剣士として それを封じ込めようとしたのです 642 00:31:44,068 --> 00:31:48,281 だから私には 一切 虚刀流を 教えてはくれなかった 643 00:31:49,073 --> 00:31:52,660 では… なぜ私が その技を会得しているのか 644 00:31:54,370 --> 00:31:55,872 ずっと見ていたからです 645 00:31:56,247 --> 00:31:59,542 弟の七花が努力する姿を― 646 00:31:59,709 --> 00:32:03,171 19年間 休まずに修行する 弟の姿を― 647 00:32:03,379 --> 00:32:05,715 私はずっと 見続けてきた 648 00:32:06,633 --> 00:32:09,093 1回見れば 大抵のことは覚えられます 649 00:32:09,469 --> 00:32:11,262 2回見れば 盤石 650 00:32:11,638 --> 00:32:13,598 私の稽古は 見稽古― 651 00:32:14,098 --> 00:32:16,476 私の修行は 見ることなのです 652 00:32:17,060 --> 00:32:18,895 ありがとうございます 653 00:32:18,978 --> 00:32:20,521 私に見せてくれて 654 00:32:20,939 --> 00:32:22,774 (蝶々)来るな… 蜜蜂! 655 00:32:23,650 --> 00:32:24,859 (蜜蜂)でも…! 656 00:32:25,360 --> 00:32:27,236 (蝶々) 見てたろ… お前も… 657 00:32:27,779 --> 00:32:29,906 だったら ちゃんと戦略を立てろ 658 00:32:30,657 --> 00:32:31,783 この女… 659 00:32:32,283 --> 00:32:34,118 一筋縄ではいかねえぞ! 660 00:32:34,869 --> 00:32:36,663 (蜜蜂)蝶々さん…! 661 00:32:37,497 --> 00:32:41,167 虫組は… いつも一緒… 662 00:32:45,421 --> 00:32:46,881 許さない 663 00:32:47,632 --> 00:32:48,633 ふぅ… 664 00:32:49,133 --> 00:32:50,385 さてと… 665 00:32:50,843 --> 00:32:54,180 この戦いはどこかから 見られていたはずなんだけど… 666 00:32:55,473 --> 00:32:57,350 そろそろ出てきませんか? 667 00:32:57,809 --> 00:33:00,478 (せき込み) 668 00:33:00,812 --> 00:33:03,690 (蜜蜂)病か? ならば好機 669 00:33:03,898 --> 00:33:07,402 見ていてください 蟷螂さん 蝶々さん 670 00:33:07,527 --> 00:33:10,071 忍法 撒菱(まきびし)指弾! 671 00:33:13,366 --> 00:33:14,450 仕留めた! 672 00:33:20,748 --> 00:33:21,916 (七実)う… はぁ… 673 00:33:24,043 --> 00:33:28,881 (蜜蜂) 僕は 真庭忍軍十二頭領が一人 真庭蜜蜂です 674 00:33:29,549 --> 00:33:30,883 鑢… 675 00:33:31,467 --> 00:33:32,635 七実です… 676 00:33:32,885 --> 00:33:34,387 (蜜蜂)仲間を2人― 677 00:33:34,804 --> 00:33:36,305 殺してくれましたね 678 00:33:36,764 --> 00:33:37,849 ええ… 679 00:33:38,182 --> 00:33:40,226 蟷螂さんと― 680 00:33:40,601 --> 00:33:41,978 蝶々さん 681 00:33:42,437 --> 00:33:44,022 …とおっしゃいましたか… 682 00:33:44,105 --> 00:33:47,525 (蜜蜂) 周りを警戒しなくとも 僕が最後の1人ですよ 683 00:33:48,317 --> 00:33:50,778 まあ… 今のあなたに対するのならば― 684 00:33:50,903 --> 00:33:54,741 僕1人だけでも 十分すぎるほど 十分でしょうけれどね 685 00:33:55,158 --> 00:33:57,410 毒… ですか? 686 00:33:57,577 --> 00:33:59,078 ええ 毒です 687 00:33:59,662 --> 00:34:00,913 ご安心ください 688 00:34:01,039 --> 00:34:02,999 死ぬほどの毒ではありません 689 00:34:03,708 --> 00:34:05,376 僕の目的はあなたじゃない 690 00:34:05,752 --> 00:34:07,628 あなたの弟さんです 691 00:34:07,962 --> 00:34:09,088 もっと言えば― 692 00:34:09,172 --> 00:34:14,135 あなたの弟さんが集めている 四季崎記紀の 完成形変体刀です 693 00:34:14,761 --> 00:34:15,678 本音を言えば― 694 00:34:15,803 --> 00:34:19,474 あなたを殺してしまいたい 気持ちはあるんですがね 695 00:34:19,599 --> 00:34:22,226 しかし そうすることで晴れるのは― 696 00:34:22,310 --> 00:34:25,730 みすみす仲間を殺されてしまった 僕の無念だけでしょう 697 00:34:26,397 --> 00:34:28,440 蟷螂さんや 蝶々さんの無念は― 698 00:34:28,524 --> 00:34:31,985 刀集めを達成してこそ 晴らせるというものです 699 00:34:32,862 --> 00:34:35,239 よく… しゃべりますね… 700 00:34:36,491 --> 00:34:37,909 やはり人は― 701 00:34:38,367 --> 00:34:42,746 自分が優位に立った時こそ 饒舌(じょうぜつ)になるものなのですね 702 00:34:43,289 --> 00:34:44,498 忍びといえど― 703 00:34:44,623 --> 00:34:46,918 それは例外ではありませんか 704 00:34:47,126 --> 00:34:48,543 あなたこそ…! 705 00:34:48,878 --> 00:34:50,463 死なないとは言っても― 706 00:34:50,588 --> 00:34:52,799 普通 もう しゃべれなくなっても― 707 00:34:52,924 --> 00:34:55,426 おかしくないくらいの 毒なんですけど 708 00:34:55,592 --> 00:34:57,136 念のため もう一発くらい― 709 00:34:57,261 --> 00:34:59,806 撃ち込んでおいたほうが いいのでしょうか? 710 00:35:01,015 --> 00:35:02,475 それが あなたの― 711 00:35:02,892 --> 00:35:04,310 忍法ですか? 712 00:35:04,477 --> 00:35:07,647 (蜜蜂)ええ 忍法 撒菱指弾といいます 713 00:35:08,481 --> 00:35:11,359 うっふふふ…! その技― 714 00:35:11,609 --> 00:35:14,153 私に 見せてしまって いいのですか? 715 00:35:14,278 --> 00:35:17,490 今のあなたなら 何を見られても平気ですね 716 00:35:17,573 --> 00:35:18,741 たとえ あなたが― 717 00:35:18,825 --> 00:35:22,411 言語道断 空前絶後の 天才なのだとしても… 718 00:35:22,829 --> 00:35:25,873 それに大人しく 僕に従っていただけるようなら― 719 00:35:26,165 --> 00:35:27,875 僕も1人の男として― 720 00:35:28,000 --> 00:35:32,505 あなたの美しい肌に 傷を付けるのは忍びないと思います 721 00:35:32,630 --> 00:35:34,966 それは… どうも! 722 00:35:36,592 --> 00:35:37,510 うっ…! 723 00:35:39,345 --> 00:35:41,639 はぁ… はぁ… 724 00:35:42,098 --> 00:35:44,350 (蜜蜂) 僕は 物事を客観的に見る 725 00:35:44,725 --> 00:35:45,768 あなたが僕なんかよりも― 726 00:35:45,852 --> 00:35:48,479 ずっと腕の立つ人間であることは 承知しています 727 00:35:48,688 --> 00:35:49,689 ならば― 728 00:35:49,856 --> 00:35:51,023 今のうちに両腕を― 729 00:35:51,149 --> 00:35:53,693 切り落としておくぐらいのことは しておくべきでしょう 730 00:35:54,360 --> 00:35:56,154 それほどの痛みはないはずです 731 00:35:56,571 --> 00:35:58,698 あなたの全身を巡る毒が― 732 00:35:58,865 --> 00:36:01,951 ちょうどいい痛み止めの役割を してくれるでしょう 733 00:36:02,743 --> 00:36:04,537 悪く思わないでください 734 00:36:04,829 --> 00:36:07,540 あなたが強すぎるのが 悪いんですから… 735 00:36:08,749 --> 00:36:11,836 うおー… やっ! 736 00:36:13,337 --> 00:36:14,380 えっ? だっ…! 737 00:36:14,505 --> 00:36:15,548 うっ! ぐっ… 738 00:36:15,756 --> 00:36:17,008 いっ… いつの間に! 739 00:36:17,550 --> 00:36:19,343 忍法足軽… 740 00:36:19,552 --> 00:36:21,804 それとそう… 撒菱指弾 741 00:36:21,971 --> 00:36:23,222 (蜜蜂)撒菱! 742 00:36:23,389 --> 00:36:26,267 う… 撤菱を持っているだなんて… 743 00:36:26,392 --> 00:36:29,812 そんな設定… ここまでの どこにも登場していない 744 00:36:30,104 --> 00:36:32,356 あなたがくれたではないですか 745 00:36:32,690 --> 00:36:33,566 2個も 746 00:36:33,691 --> 00:36:35,193 し… しかし! 747 00:36:35,401 --> 00:36:39,572 肉に食い込んだ撒菱が そう簡単に引き抜けるはずがない! 748 00:36:40,031 --> 00:36:42,283 とげに 返しが付いているんですから! 749 00:36:42,450 --> 00:36:45,745 (七実)ですから… この爪で 肉ごとえぐり取りました 750 00:36:45,828 --> 00:36:48,789 うっ! うぐっ! ど… 毒は…? 751 00:36:50,041 --> 00:36:52,335 (七実) ああ… あれは演技ですよ 752 00:36:52,501 --> 00:36:54,545 えん…ぎ… 753 00:36:54,795 --> 00:36:57,882 (七実) 死にもしない程度の毒なんて 何でもありません 754 00:36:58,633 --> 00:37:02,053 そんなものは… 私にとっては日常です 755 00:37:02,386 --> 00:37:03,804 日常… 756 00:37:04,096 --> 00:37:06,307 (七実)どれだけ苦しくても どれだけ痛くても― 757 00:37:06,432 --> 00:37:07,767 どれだけ死にそうでも 758 00:37:08,059 --> 00:37:10,144 私の体は 死を選びません 759 00:37:10,478 --> 00:37:13,272 いえ 死を許されないんです 760 00:37:15,483 --> 00:37:17,193 (女)どうして死なないのか 分からない 761 00:37:17,276 --> 00:37:18,694 (女)この子はどうして 生きているのだろう 762 00:37:18,778 --> 00:37:19,987 (女)本当にかわいそう 763 00:37:20,112 --> 00:37:22,073 (男) いつ死んでもおかしくない― 764 00:37:22,281 --> 00:37:24,909 というか どうして まだ死なないのか分かりません 765 00:37:24,992 --> 00:37:26,619 (男) どうしてまだ生きているのか 766 00:37:26,702 --> 00:37:28,746 (女)こんなに苦しそうなのに かわいそう 767 00:37:28,829 --> 00:37:31,415 (女)本当に楽に 死ねもしないなんて 768 00:37:31,916 --> 00:37:35,086 苦しい… 苦しい… 769 00:37:35,169 --> 00:37:37,213 (女)いっそ 死んでしまえたら… 770 00:37:37,380 --> 00:37:40,132 (女)死ぬことができれば 楽になれるのに… 771 00:37:41,175 --> 00:37:42,301 はぁ… 772 00:37:45,221 --> 00:37:46,222 うっ… 773 00:37:47,098 --> 00:37:49,642 だから… その程度の毒で― 774 00:37:49,767 --> 00:37:52,812 痛みや苦痛を感じる あなたがうらやましい 775 00:37:53,145 --> 00:37:55,856 まだだ! まだ負けたわけじゃない! 776 00:37:55,982 --> 00:37:58,025 貴様に耐えられるような毒に― 777 00:37:58,150 --> 00:38:00,278 僕が… 耐えられないわけが…ない…! 778 00:38:00,361 --> 00:38:02,989 (七実)いいえ 無理だと思いますよ 779 00:38:04,073 --> 00:38:07,326 あなたの肩に撃ち込んだ その撒菱なのですけれど― 780 00:38:07,660 --> 00:38:10,162 あなたが最初から塗っていた 毒の上から― 781 00:38:10,413 --> 00:38:12,999 さらに私が 別の毒を塗っておきましたから 782 00:38:13,124 --> 00:38:14,000 はぁ…! 783 00:38:14,292 --> 00:38:17,586 (七実)最初に蟷螂さんが 奥歯に仕込んでいた物を― 784 00:38:17,670 --> 00:38:19,005 使わせてもらいました 785 00:38:19,797 --> 00:38:21,340 そういう設定は― 786 00:38:21,674 --> 00:38:23,926 ちゃんと登場していましたよね? 787 00:38:24,010 --> 00:38:29,223 うぐぅ… うわあ! うわあああああ! 788 00:38:29,348 --> 00:38:32,393 ああああああ! うわああああああ! 789 00:38:32,518 --> 00:38:35,855 (七実)せっかくですから… 選んでいただけませんか? 790 00:38:36,230 --> 00:38:37,398 (蜜蜂)えら… ぶ…? 791 00:38:37,565 --> 00:38:38,858 (七実)毒で死ぬか… 792 00:38:39,108 --> 00:38:40,484 刀で死ぬか… 793 00:38:40,985 --> 00:38:42,862 あなたのおかげで私― 794 00:38:43,112 --> 00:38:46,824 生まれて初めて刀の使い方を 見せてもらいましたから 795 00:38:47,616 --> 00:38:50,786 (蜜蜂)刀で… 殺してください… 796 00:38:51,871 --> 00:38:54,248 自決の毒で死んだなど… 797 00:38:55,041 --> 00:38:57,960 仲間に… 顔向け…できません… 798 00:38:58,210 --> 00:38:59,462 (七実)分かりました 799 00:39:00,254 --> 00:39:03,257 では はなむけに 虚刀流の八番目― 800 00:39:03,424 --> 00:39:05,259 最終奥義をお見せしましょう 801 00:39:05,384 --> 00:39:06,594 その前に… 802 00:39:07,303 --> 00:39:08,721 お願いがあります… 803 00:39:08,929 --> 00:39:09,805 (七実)ん? 804 00:39:10,014 --> 00:39:12,433 ぼ… 僕の死体を… 805 00:39:13,601 --> 00:39:16,645 みんなと同じ… 場所へ… 806 00:39:17,188 --> 00:39:18,647 埋めて… くだ… 807 00:39:18,773 --> 00:39:19,940 いいですよ 808 00:39:20,191 --> 00:39:21,400 (蜜蜂)それと… 809 00:39:22,276 --> 00:39:23,778 こ… れを…! 810 00:39:24,153 --> 00:39:25,529 (七実)何です? それ 811 00:39:27,114 --> 00:39:30,201 (とがめ)しかし それにしても大変な戦いだった 812 00:39:30,284 --> 00:39:32,286 (七花)ああ! 大変な戦いだった 813 00:39:32,495 --> 00:39:34,038 さすが日本最強だ 814 00:39:34,330 --> 00:39:35,206 錆白兵… 815 00:39:35,456 --> 00:39:37,958 俺はその名を 生涯忘れることはないだろう 816 00:39:38,084 --> 00:39:40,086 (とがめ) まさに紙一重の勝利だった 817 00:39:40,336 --> 00:39:44,757 聖地巌流島に また新しい歴史が 刻まれたといっても過言ではないな 818 00:39:44,840 --> 00:39:47,885 (七花)首の皮一枚の戦いとは まさにあのことだ 819 00:39:48,135 --> 00:39:51,180 とがめの作戦がなかったら 今頃 俺は生きちゃいないだろう 820 00:39:51,263 --> 00:39:52,139 (とがめ)何を言う! 821 00:39:52,264 --> 00:39:54,850 そなたの剣技があってこその 私の奇策だ 822 00:39:55,101 --> 00:39:57,228 私はそなたのことを見直したぞ 823 00:39:57,311 --> 00:39:59,188 俺はとがめに惚れ直したぜ 824 00:39:59,397 --> 00:40:00,648 (とがめ)言うな 言うな! 825 00:40:00,773 --> 00:40:05,277 しかしまあ 錆白兵と1対1で 剣技を競い打ち勝ったのだ 826 00:40:05,611 --> 00:40:07,780 これでそなたは 名実ともに欲しがっていた― 827 00:40:07,905 --> 00:40:10,741 日本最強の称号を 手にしたのではないか? 828 00:40:10,866 --> 00:40:12,451 (七花)日本最強か… 829 00:40:12,868 --> 00:40:14,453 あまり実感はないがな 830 00:40:14,912 --> 00:40:17,957 それにしても… 錆が披露した数々の剣技には― 831 00:40:18,249 --> 00:40:20,292 心の底から驚かされたぜ 832 00:40:21,001 --> 00:40:23,379 立ち合いの最初から見せた あの移動法― 833 00:40:23,587 --> 00:40:24,672 爆縮地(ばくしゅくち) 834 00:40:24,964 --> 00:40:26,215 あれはびっくりだ! 835 00:40:26,507 --> 00:40:29,635 まさか杜若(かきつばた)よりも 自在な足運びがあったとはな 836 00:40:29,802 --> 00:40:31,303 団子を2皿頼む 837 00:40:31,470 --> 00:40:32,638 (店の女)はい ただ今! 838 00:40:33,180 --> 00:40:35,266 (とがめ) 技というなら 私はあれだな 839 00:40:35,599 --> 00:40:39,145 刀の柄と鞘(さや)を使用しての 逆転夢斬(むざん)が印象深い 840 00:40:39,395 --> 00:40:41,021 あの技を会得した際に― 841 00:40:41,147 --> 00:40:44,233 錆は剣聖(けんせい)の称号を得たというが まさにしかり 842 00:40:44,442 --> 00:40:49,488 (七花) いやいや 刀の刃渡り その伸縮を 自由自在にできるというあの妙技 843 00:40:49,822 --> 00:40:52,700 速遅剣(そくちけん)こそ 虚刀流にとっては脅威だった 844 00:40:52,950 --> 00:40:55,202 何せ 固定された刀でありながら― 845 00:40:55,327 --> 00:40:57,455 間合いのはかりようが ないってんだから 846 00:40:57,663 --> 00:41:00,499 あの時 偶然 俺の足場が崩れて いなかったらと思うと― 847 00:41:00,624 --> 00:41:01,667 ぞっとするぜ! 848 00:41:01,792 --> 00:41:02,877 (店の女) お待たせしました! 849 00:41:03,627 --> 00:41:04,837 (とがめ)あむ… (七花)はむ… 850 00:41:05,254 --> 00:41:07,715 (とがめ)決まるかと思った そなたの手刀の切っ先を― 851 00:41:07,840 --> 00:41:09,675 完全に見切った あの受け太刀 852 00:41:09,758 --> 00:41:11,510 刃取りも圧巻だった 853 00:41:11,802 --> 00:41:14,472 勝ちはしたものの 私たちは 恐らく― 854 00:41:14,555 --> 00:41:17,892 あの堕剣士(だけんし)の恐しさの一分も 味わってはおらんのだろう 855 00:41:18,100 --> 00:41:19,018 (七花)そうだな 856 00:41:19,351 --> 00:41:21,312 正直言って 勝った気がしない 857 00:41:21,729 --> 00:41:25,274 今回の戦いは 残念ながら 運がよかったとさえ言えないぜ 858 00:41:25,357 --> 00:41:27,067 (とがめ) まったくもってそのとおりだ 859 00:41:27,318 --> 00:41:29,778 私たちは ただ負けなかったにすぎん 860 00:41:30,237 --> 00:41:31,989 ぜんざいを2人前頼む! 861 00:41:32,156 --> 00:41:33,157 (店の女)はーい! 862 00:41:33,365 --> 00:41:36,118 (七花)そして何よりの白眉(はくび)は 言うまでもなく― 863 00:41:36,202 --> 00:41:39,497 四季崎記紀の 完成形変体刀十二本が一本 864 00:41:39,830 --> 00:41:42,666 薄刀・針だからこそ 実現したあの奥義 865 00:41:42,875 --> 00:41:44,710 薄刀開眼だろうな 866 00:41:45,336 --> 00:41:47,630 まさか見た目の 美麗さのみが取りえの― 867 00:41:47,713 --> 00:41:50,049 もろく弱いだけの 刀だと思ったが― 868 00:41:50,174 --> 00:41:53,719 あんな利点と特性があったとは 夢にも思わなかったぜ 869 00:41:54,053 --> 00:41:57,056 俺は初めて剣士の怖さを 思い知った気がする 870 00:41:57,765 --> 00:41:58,557 あちっ… 871 00:41:58,724 --> 00:41:59,975 (とがめ)そうだな 872 00:42:00,059 --> 00:42:03,938 錆の剣は 空に浮かぶ太陽すら 切り裂くというあの触れ込み 873 00:42:04,230 --> 00:42:07,566 あの奥義ならば それも不可能ではないのかもしれぬ 874 00:42:08,067 --> 00:42:08,943 されどだ― 875 00:42:09,068 --> 00:42:12,780 過程はどうあれ 私たちは 結果として薄刀を手にしたのだ 876 00:42:12,988 --> 00:42:16,283 錆白兵を正面からの果たし合いで 打ち破ったこと― 877 00:42:16,534 --> 00:42:18,327 これは誇るべきことだぞ 878 00:42:18,619 --> 00:42:19,912 (七花)かも… しれねえ 879 00:42:20,246 --> 00:42:22,706 だが… それにしてもやつが 死に際に― 880 00:42:22,831 --> 00:42:24,416 言っていたセリフが気になるぜ 881 00:42:25,042 --> 00:42:26,752 俺が… 否(いな)― 882 00:42:26,835 --> 00:42:30,506 虚刀流が四季崎記紀の遺品だとは いったい どういう意味なんだ? 883 00:42:31,090 --> 00:42:32,883 記紀の血統とは いったい…? 884 00:42:33,592 --> 00:42:37,179 錆は自分のことを 出来損ないの 失敗作だと言っていたが― 885 00:42:37,555 --> 00:42:39,682 あいつは 刀の毒に侵されて― 886 00:42:39,765 --> 00:42:41,600 とがめを 裏切ったんじゃなかったのか? 887 00:42:41,767 --> 00:42:42,726 (とがめ)分からん… 888 00:42:42,977 --> 00:42:46,689 刀の毒に侵されていたこと自体は まず間違いはないが― 889 00:42:47,147 --> 00:42:49,275 ひょっとすると… 錆には錆で― 890 00:42:49,400 --> 00:42:51,777 よんどころなき事情が あったのやもしれぬ 891 00:42:52,027 --> 00:42:53,988 それもやつの言葉を信じるなら― 892 00:42:54,113 --> 00:42:56,782 旅を続けるうちに 明らかになるのであろう 893 00:42:57,658 --> 00:42:58,617 あちっ! 894 00:42:58,784 --> 00:42:59,743 (七花)そうだな 895 00:43:00,035 --> 00:43:03,205 薄刀・針も無事に 割ることもなく 壊すこともなく― 896 00:43:03,330 --> 00:43:05,833 傷一つ付けずに 収集することができたし― 897 00:43:06,166 --> 00:43:07,960 これで変体刀も 四本目 898 00:43:08,294 --> 00:43:10,170 ちょっと終わりが 見えてきたんじゃねえか? 899 00:43:10,296 --> 00:43:13,007 (とがめ)気持ちは分かるが 調子に乗るものではないぞ 900 00:43:13,340 --> 00:43:15,134 旅はまだまだ これからだ 901 00:43:15,801 --> 00:43:18,554 そうだな せっかく九州まで来たのだ 902 00:43:18,721 --> 00:43:22,141 景気づけに もう一本 変体刀を収集するとしよう 903 00:43:22,391 --> 00:43:23,434 ああ! 分かった 904 00:43:23,767 --> 00:43:24,810 異論はねえぜ! 905 00:43:25,144 --> 00:43:26,478 で 次の場所は? 906 00:43:26,645 --> 00:43:28,647 次なる目的地は薩摩だ 907 00:43:28,731 --> 00:43:33,152 収集対象は 絶対無双の 防御を誇る賊刀・鎧(よろい)― 908 00:43:33,444 --> 00:43:35,988 対戦相手は 海賊船の船長だ! 909 00:43:36,322 --> 00:43:37,197 うん 910 00:43:37,948 --> 00:43:40,367 ぜんざいと団子を 2人前追加だ! 911 00:43:40,492 --> 00:43:41,368 (店の女)はーい! 912 00:43:41,493 --> 00:43:45,414 (ナレーション) こうして 鑢七花は 錆白兵を打ち破り― 913 00:43:45,623 --> 00:43:49,710 名実ともに日本最強剣士の名を 襲名いたしました 914 00:43:50,336 --> 00:43:51,253 ただし それは― 915 00:43:51,337 --> 00:43:55,841 あくまでも暫定最強剣士の 座なのでございます 916 00:43:59,345 --> 00:44:01,013 (七花)錆白兵か… 917 00:44:01,430 --> 00:44:04,516 それでも… 姉ちゃんほどじゃなかったな 918 00:44:05,184 --> 00:44:08,270 (ナレーション) 真庭虫組 不承島(ふしょうじま)にて全滅 919 00:44:08,771 --> 00:44:11,440 蝶のように舞い 蜂のように刺し― 920 00:44:11,690 --> 00:44:13,442 蟷螂のように食らい― 921 00:44:14,193 --> 00:44:16,236 虫のように死んだ 922 00:44:17,446 --> 00:44:20,115 七花ったら… 何が最終奥義よ 923 00:44:20,282 --> 00:44:21,909 大口たたいちゃって 924 00:44:22,368 --> 00:44:24,745 あの技 とんでもない弱点があるじゃない 925 00:44:25,287 --> 00:44:27,539 奥義だなんて とても言えないわ 926 00:44:27,915 --> 00:44:30,125 使ってみないと分からないものね 927 00:44:30,417 --> 00:44:32,044 早く教えてあげないと― 928 00:44:32,252 --> 00:44:34,713 あの子 大変なことに なりかねないけど― 929 00:44:35,047 --> 00:44:36,590 どうしたものかしら? 930 00:44:37,883 --> 00:44:39,468 はぁ… 931 00:44:41,720 --> 00:44:44,515 私も交ぜてもらおうかな 刀集め 932 00:44:45,265 --> 00:44:48,894 (ナレーション) さて 題目そのものに 突っ込みどころ満載な― 933 00:44:49,144 --> 00:44:53,732 今宵(こよい)の「刀語」 お楽しみは ここまでにございます 934 00:44:56,402 --> 00:45:02,408 ♪~ 935 00:46:18,692 --> 00:46:24,698 ~♪