1 00:00:01,001 --> 00:00:05,005 (踏切の警報音) 2 00:00:05,005 --> 00:00:07,007 (警笛) 3 00:00:07,007 --> 00:00:12,012 (電車の走行音) 4 00:00:15,015 --> 00:00:17,017 (踏切の警報音) 5 00:00:19,019 --> 00:00:25,025 (鈴) 6 00:00:28,028 --> 00:00:33,033 (鈴) 7 00:00:34,034 --> 00:00:38,038 (鈴) 8 00:00:38,038 --> 00:00:44,044 (セミの鳴き声) 9 00:00:44,044 --> 00:00:46,046 (チャイム) 10 00:00:47,047 --> 00:00:50,050 (チャイム) 11 00:00:52,052 --> 00:00:55,055 (チャイム) 12 00:00:56,056 --> 00:01:00,060 (チャイム) (横谷人好)はーい 今 出ます…。 13 00:01:03,063 --> 00:01:06,066 はいはい… ええっと…。 (操作音) 14 00:01:06,066 --> 00:01:10,070 どちら様… あっ! 15 00:01:10,070 --> 00:01:13,073 (メイドさん) 「不躾に大変申し訳ございません」 16 00:01:13,073 --> 00:01:18,078 「私を使用人として 雇ってはいただけないでしょうか」 17 00:01:19,079 --> 00:01:22,082 〈ある日 突然 メイドさんが営業に来た〉 18 00:01:23,083 --> 00:01:25,085 (鈴) 19 00:01:25,085 --> 00:01:27,087 (セミの鳴き声) 20 00:01:27,087 --> 00:01:36,096 ♪♪~ 21 00:03:01,181 --> 00:03:05,185 すみません 今 親がいなくて 散らかってて…。 22 00:03:05,185 --> 00:03:08,188 いえ。 あっ 何か飲みます? 23 00:03:08,188 --> 00:03:10,190 お構いなく。 24 00:03:15,195 --> 00:03:18,198 《思わず 家に入れちゃったけど…》 25 00:03:21,201 --> 00:03:24,204 《本当に営業に来たのか? この人》 26 00:03:24,204 --> 00:03:28,208 《勧誘とか非合法な何かを売りに来たとかじゃ ないよな…》 27 00:03:28,208 --> 00:03:31,211 《やっぱ 適当にあしらって帰ってもらうか》 28 00:03:31,211 --> 00:03:33,213 えっと…。 29 00:03:33,213 --> 00:03:38,218 使用人さんってことは 以前 どこかで働いてらっしゃったんですよね? 30 00:03:38,218 --> 00:03:41,221 主に どんなお仕事を? 31 00:03:41,221 --> 00:03:43,223 そうですね…。 32 00:03:43,223 --> 00:03:45,225 主に暗殺などを…。 33 00:03:45,225 --> 00:03:49,229 …と言っても お館様に仇なす不忠者をですが。 34 00:03:49,229 --> 00:03:53,233 こちらには お館様の紹介で 訪問させていただいております。 35 00:03:55,235 --> 00:03:58,238 ええっと あの… 冗談ですよね? 36 00:04:00,240 --> 00:04:02,242 冗談…? あっ…! 37 00:04:02,242 --> 00:04:06,246 《帰ってもらおう! 怒らせない程度に 丁重にお断りして帰ってもらおう!》 38 00:04:07,247 --> 00:04:12,252 あの… そのご紹介というのは 一体 どういうことなのでしょうか? 39 00:04:12,252 --> 00:04:15,255 何か うちと繋がりがあるんですかね? 40 00:04:17,257 --> 00:04:24,264 お館様の嫡子の奥様のいとこの次男のお宅に 居候していた女性の孫が あなたです。 41 00:04:24,264 --> 00:04:26,266 いや それ 他人では!? 42 00:04:26,266 --> 00:04:28,268 《ハッ! やばい! 普通にツッコんでしまった!》 43 00:04:28,268 --> 00:04:31,271 《ヒィ~! なんか怒ってる!? 話題を変えなくては!》 44 00:04:32,272 --> 00:04:35,275 ああ~! あ… あ… 暗殺っていっても いろいろありますよね? 45 00:04:35,275 --> 00:04:38,278 メイドさんは 何が得意なんですか? 46 00:04:38,278 --> 00:04:40,280 (セミの鳴き声) 47 00:04:59,299 --> 00:05:01,301 いかがでしょう! 《自慢げ!?》 48 00:05:03,303 --> 00:05:06,306 実際に投げることは少ないのですが 49 00:05:06,306 --> 00:05:11,311 こちらのほうが 私の技術を よりわかりやすく お伝えできるのではないかと…。 50 00:05:12,312 --> 00:05:14,314 あ… あの…! 51 00:05:14,314 --> 00:05:18,318 こ… 殺してほしい人なんて 俺には いないです…。 52 00:05:18,318 --> 00:05:22,322 それに ここを紹介したっていう お館様って人も よくわかんないし…。 53 00:05:22,322 --> 00:05:25,325 ど… どういう事情か知らないですけど 54 00:05:25,325 --> 00:05:30,330 うちでは雇えない… ですね…。 55 00:05:30,330 --> 00:05:34,334 (セミの鳴き声) 56 00:05:34,334 --> 00:05:36,336 (鈴) 57 00:05:36,336 --> 00:05:38,338 さようでございますか…。 58 00:05:39,339 --> 00:05:43,343 お手間を取らせてしまい 申し訳ございません。 59 00:05:43,343 --> 00:05:45,345 それでは 失礼いたします。 60 00:05:53,353 --> 00:05:56,356 (ドアの開閉音) 61 00:06:00,360 --> 00:06:02,362 白昼夢…? 62 00:06:04,364 --> 00:06:06,366 ん? 63 00:06:06,366 --> 00:06:17,377 ♪♪~ 64 00:06:17,377 --> 00:06:19,379 (人好の声)いや それ 他人では!? 65 00:06:20,380 --> 00:06:22,382 (踏切の警報音) 66 00:06:22,382 --> 00:06:25,385 《私は 何を浮かれていたんだ…》 67 00:06:26,386 --> 00:06:28,388 《これから どこへ行こう…》 68 00:06:28,388 --> 00:06:50,410 ♪♪~ 69 00:06:50,410 --> 00:06:52,412 おーい! (鈴) 70 00:06:52,412 --> 00:06:54,414 メイドさ~ん! 71 00:06:54,414 --> 00:06:56,416 忘れ物! 72 00:07:03,423 --> 00:07:06,426 (クラクション) あっ…! 73 00:07:08,428 --> 00:07:10,430 (ブレーキ音) 74 00:07:10,430 --> 00:07:12,432 (運転手)危ねえだろ! 75 00:07:13,433 --> 00:07:16,436 ハァ ハァ…。 76 00:07:16,436 --> 00:07:18,438 メイド… さん…? 77 00:07:18,438 --> 00:07:21,441 ご… ご無事でしょうか? 78 00:07:22,442 --> 00:07:24,444 あ… ありがとうございます。 79 00:07:24,444 --> 00:07:26,446 も… 申し訳ありません…。 80 00:07:26,446 --> 00:07:31,451 このように 直接 人の命を救ったことがなくて…。 81 00:07:31,451 --> 00:07:34,454 ど… 動悸が止まらなくて…。 82 00:07:36,456 --> 00:07:39,459 あっ… はい 忘れ物。 83 00:07:39,459 --> 00:07:41,461 あっ…。 84 00:07:43,463 --> 00:07:45,465 ありがとうございます。 85 00:07:48,468 --> 00:07:50,470 (鈴) 86 00:07:58,478 --> 00:08:00,480 メイドさん! 87 00:08:01,481 --> 00:08:06,486 ちょうど 掃除してくれる人 探してたんで お願いできますか? 88 00:08:14,494 --> 00:08:18,498 ナイフとは 人類が初めて手にした道具とも いわれており 89 00:08:18,498 --> 00:08:20,500 その使い道は シンプルながら 90 00:08:20,500 --> 00:08:23,503 使い手次第で 標的の命を確実にとらえることが可能です。 91 00:08:23,503 --> 00:08:25,505 ちょちょ… ストーップ! 92 00:08:25,505 --> 00:08:28,508 たた… 確かに 手伝ってほしい的なことは 言ったかもしれないけど 93 00:08:28,508 --> 00:08:31,511 してほしいのは掃除! 掃除です! 94 00:08:31,511 --> 00:08:34,514 掃除… 掃除…。 うん うん…。 95 00:08:34,514 --> 00:08:36,516 ですから 「暗殺」ですよね? 96 00:08:36,516 --> 00:08:39,519 「暗殺」と書いて 「そうじ」と読みます的な!? 97 00:08:39,519 --> 00:08:41,521 他に 掃除というと…? あるでしょ! 98 00:08:41,521 --> 00:08:43,523 見てよ この荒れ果てたゴミ部屋! 99 00:08:43,523 --> 00:08:45,525 俺が散らかしたんですけどね! 100 00:08:45,525 --> 00:08:47,527 なるほど…。 101 00:08:47,527 --> 00:08:49,529 この中のどれかが 死体袋…。 102 00:08:49,529 --> 00:08:51,531 ひとまず そこから離れてほしい! 103 00:08:51,531 --> 00:08:55,535 ほら ゴミを捨てたりとか 掃除機かけて 洗濯したり…。 104 00:08:55,535 --> 00:08:57,537 必要なのは ハウスキーパー! 105 00:08:57,537 --> 00:08:59,539 ハウスキーパー…。 106 00:09:01,541 --> 00:09:04,544 《命を助けてもらったし…》 107 00:09:04,544 --> 00:09:07,547 《根は悪い人じゃなさそうなんだよなあ…》 108 00:09:08,548 --> 00:09:11,551 その家事ができれば… 109 00:09:11,551 --> 00:09:14,554 こちらで雇っていただけますか? 110 00:09:14,554 --> 00:09:20,560 (セミの鳴き声) 111 00:09:22,562 --> 00:09:24,564 《何が起きた…!?》 112 00:09:25,565 --> 00:09:28,568 《掃除道具を貸しただけなのに!?》 113 00:09:28,568 --> 00:09:30,570 《驚きの不器用…!》 114 00:09:30,570 --> 00:09:32,572 あっ…! 115 00:09:32,572 --> 00:09:34,574 もももももも… 申し訳ございません。 116 00:09:34,574 --> 00:09:36,576 い… 今 片付けますので…。 117 00:09:36,576 --> 00:09:38,578 あっ! 118 00:09:38,578 --> 00:09:40,580 メイドさ…! 119 00:09:42,582 --> 00:09:44,584 ご心配おかけしました。 120 00:09:44,584 --> 00:09:47,587 さすがに これ以上の失態は…! 121 00:09:47,587 --> 00:09:49,589 《あ~ちゃちゃちゃちゃ~…》 122 00:09:49,589 --> 00:09:51,591 もしかして メイドさん 123 00:09:51,591 --> 00:09:53,593 結構 いや だいぶ 124 00:09:53,593 --> 00:09:55,595 かなりドジ? 125 00:09:57,597 --> 00:10:00,600 誠に申し訳ございません…。 126 00:10:00,600 --> 00:10:04,604 このような失態続きで雇っていただくなど…。 127 00:10:09,609 --> 00:10:12,612 まあ 慣れないことをさせたのは 俺のほうだし…。 128 00:10:16,616 --> 00:10:19,619 これから覚えていけばいいんじゃない? 129 00:10:19,619 --> 00:10:21,621 俺も手伝う…。 130 00:10:21,621 --> 00:10:23,623 いや 2人で片付けよう。 131 00:10:23,623 --> 00:10:25,625 手伝ってくれませんか? 132 00:10:25,625 --> 00:10:32,632 ♪♪~ 133 00:10:32,632 --> 00:10:34,634 おお~! 134 00:10:34,634 --> 00:10:38,638 だいぶ片付いた! とりあえず リビングは。 135 00:10:38,638 --> 00:10:41,641 いや 一人じゃ 全然 やる気 起きなくてさ…。 136 00:10:41,641 --> 00:10:44,644 おかげで助かった! ありがとう! 137 00:10:46,646 --> 00:10:49,649 あっ… おおっ! もう こんな時間! 138 00:10:49,649 --> 00:10:52,652 いろいろあって 昼飯 食い損ねたもんなあ…。 139 00:10:52,652 --> 00:10:55,655 ハッ! ワンチャン メイドさんは 料理作れたり…。 140 00:10:55,655 --> 00:10:57,657 クゥーン…。 あ… うん ごめん…。 141 00:10:58,658 --> 00:11:01,661 大丈夫! 今夜は 最強メニューがあるんだった! 142 00:11:01,661 --> 00:11:03,663 ご飯の前に お風呂どうぞ! 143 00:11:03,663 --> 00:11:11,671 ♪♪~ 144 00:11:11,671 --> 00:11:14,674 おかげで助かった! ありがとう! 145 00:11:21,181 --> 00:11:23,183 《俺 横谷人好!》 146 00:11:23,183 --> 00:11:25,185 《ごく普通の高校1年生!》 147 00:11:25,185 --> 00:11:29,189 《親のいない夏休みを絶賛満喫中の俺は今 148 00:11:29,189 --> 00:11:32,192 かつてないほどの緊張を感じている!》 149 00:11:33,193 --> 00:11:37,197 《それは 突然現れたメイドさんが 殺し屋を名乗ったから 150 00:11:37,197 --> 00:11:39,199 …じゃなくて!》 151 00:11:41,201 --> 00:11:43,203 (ドアの開く音) 152 00:11:43,203 --> 00:11:46,206 《ど… どうしよう! あのお姉さんのことだし 153 00:11:46,206 --> 00:11:48,208 何も考えず バスタオル一枚で出てきちゃった…》 154 00:11:48,208 --> 00:11:50,210 あの…。 はい!! 155 00:11:50,210 --> 00:11:53,213 お先に頂きました。 思春期敗北! 156 00:11:55,215 --> 00:11:58,218 あの… 無理そうなら別にいいよ? 157 00:11:58,218 --> 00:12:01,221 いえ 切るのは誰より得意ですので。 158 00:12:01,221 --> 00:12:13,233 ♪♪~ 159 00:12:13,233 --> 00:12:15,235 キャベツの千切り 完遂いたしました! 160 00:12:15,235 --> 00:12:17,237 あ… ありがとう…。 161 00:12:17,237 --> 00:12:22,242 あとは インスタントみそ汁に 惣菜のとんかつを並べるだけ! 162 00:12:22,242 --> 00:12:26,246 とんかつ…。 あれ? メイドさん とんかつ知らない? 163 00:12:26,246 --> 00:12:30,250 以前 似たようなものは 口にしたかもしれません。 164 00:12:30,250 --> 00:12:34,254 ですが 食に あまり興味がなく 記憶が あいまいで…。 165 00:12:34,254 --> 00:12:39,259 私の中で 食事は 生命維持のためにとっているという認識です。 166 00:12:39,259 --> 00:12:42,262 味や品目を気にしたことがありません。 167 00:12:42,262 --> 00:12:44,264 マジで!? もったいない! 168 00:12:44,264 --> 00:12:48,268 でも そんなメイドさんも このとんかつを食べれば 世界が変わる! 169 00:12:48,268 --> 00:12:50,270 ジャーン! 170 00:12:50,270 --> 00:12:55,275 創業60年! 我が町の商店街が誇る勝田惣菜店! 171 00:12:55,275 --> 00:13:00,280 勝田夫妻が丹精込めて仕込んだ惣菜は 安い上に とにかくうまい! 172 00:13:00,280 --> 00:13:04,284 噂では 有名人が お忍びで買いに来るとか来ないとか…! 173 00:13:04,284 --> 00:13:07,287 勝田のとんかつ ぜひ ご賞味あれ! 174 00:13:07,287 --> 00:13:11,291 はあ…。 嘘だろ 今までで一番反応薄い! 175 00:13:11,291 --> 00:13:14,294 あの… どうぞ 召し上がってください。 176 00:13:14,294 --> 00:13:16,296 あっ…。 177 00:13:16,296 --> 00:13:18,298 フフフフフ…! 大丈夫! 178 00:13:19,299 --> 00:13:22,302 こうして こうすると…。 179 00:13:23,303 --> 00:13:26,306 ほらほら 2人分 完成! 180 00:13:26,306 --> 00:13:28,308 俺とメイドさ…。 181 00:13:28,308 --> 00:13:31,311 そういや メイドさんの名前は なんていうの? 182 00:13:32,312 --> 00:13:35,315 名前… 名前は ありません。 183 00:13:35,315 --> 00:13:40,320 今までも 雇い主様からは お好きなように呼んでいただいておりました。 184 00:13:40,320 --> 00:13:45,325 ですから 横谷様のお好きなように 呼んでくださって結構です。 185 00:13:45,325 --> 00:13:48,328 そうなの? うーん…。 186 00:13:48,328 --> 00:13:51,331 それじゃあ とりあえず 「メイドさん」のままでいい? 187 00:13:51,331 --> 00:13:54,334 俺 ネーミングセンス ゼロらしくてさあ…。 188 00:13:56,336 --> 00:13:58,338 《なぜだろう…》 189 00:13:58,338 --> 00:14:02,342 《名前なんて 今まで どう呼ばれても気にしなかったのに…》 190 00:14:03,343 --> 00:14:06,346 それじゃ いただきま~す! 191 00:14:06,346 --> 00:14:08,348 いただきます。 192 00:14:09,349 --> 00:14:11,351 うん! うまい! 天才! 193 00:14:20,360 --> 00:14:22,362 ど… どう? 194 00:14:24,364 --> 00:14:29,369 《変わらず 味の良しあしの判別なんて つきはしない…》 195 00:14:30,370 --> 00:14:32,372 《それでも…》 196 00:14:32,372 --> 00:14:38,378 ♪♪~ 197 00:14:38,378 --> 00:14:40,380 《あたたかい…》 198 00:14:40,380 --> 00:14:42,382 どう? 199 00:14:42,382 --> 00:14:45,385 はい とても美味しいです。 200 00:14:45,385 --> 00:14:48,388 よかった! 《あたたかい》 201 00:14:49,389 --> 00:14:52,392 《湯あみも食事も… 202 00:14:52,392 --> 00:14:54,394 この方も…》 203 00:14:54,394 --> 00:14:57,397 あっ メイドさんの部屋 2階の端っこの部屋でいい? 204 00:14:57,397 --> 00:14:59,399 あっ…。 205 00:14:59,399 --> 00:15:02,402 とりあえず ベッドシーツと枕カバーは 新しいのにしたけど 206 00:15:02,402 --> 00:15:05,405 もし 不都合があったら言ってね。 207 00:15:05,405 --> 00:15:07,407 用意してくださったのですか…? 208 00:15:07,407 --> 00:15:09,409 うん! 209 00:15:11,411 --> 00:15:13,413 名前… 名前は ありません。 210 00:15:13,413 --> 00:15:15,415 (師匠)合格だよ。 211 00:15:15,415 --> 00:15:20,420 雪のように白い肌 雪のように冷たい心。 今日から お前の名は…。 212 00:15:20,420 --> 00:15:22,422 (メイドさんの声)名前は ありません。 213 00:15:23,423 --> 00:15:25,425 《そうか…》 214 00:15:25,425 --> 00:15:30,430 《だから 私 この人に 「冷たい女」と呼ばれたくないんだ》 215 00:15:31,431 --> 00:15:34,434 ん…? あれ? メイドさん そのまま とんかつ食べてるじゃん。 216 00:15:35,435 --> 00:15:37,437 いけなかったでしょうか? 217 00:15:37,437 --> 00:15:39,439 とんかつには とんかつソース。 218 00:15:39,439 --> 00:15:42,442 これ 勝田惣菜店のオリジナルなんだぜ! 219 00:15:42,442 --> 00:15:44,444 とんかつソース…。 220 00:15:54,454 --> 00:15:56,456 んっ! 221 00:15:58,458 --> 00:16:01,461 んん~っ!! 222 00:16:02,462 --> 00:16:05,465 美味しかった? はい…! 223 00:16:06,466 --> 00:16:09,469 とんかつソース…! 224 00:16:17,477 --> 00:16:19,479 うっ! 225 00:16:20,480 --> 00:16:22,482 あっ…。 226 00:16:23,483 --> 00:16:27,487 《あっ… 久しぶりに見たな あの夢…》 227 00:16:30,490 --> 00:16:32,492 (おなかが鳴る音) 228 00:16:32,492 --> 00:16:34,494 カップラーメンがあったはず。 229 00:16:37,497 --> 00:16:39,499 (物音) あっ! 230 00:16:39,499 --> 00:16:42,502 《えっ!? キッチンに誰かいる!?》 231 00:16:43,503 --> 00:16:45,505 暗殺が得意です。 232 00:16:45,505 --> 00:16:47,507 《ええ~っ!?》 233 00:16:47,507 --> 00:16:49,509 《ま… まさかな…?》 234 00:16:52,512 --> 00:16:54,514 あっ! 235 00:16:58,518 --> 00:17:00,520 ヒィッ! 236 00:17:05,525 --> 00:17:09,529 ああっ! あの…! こ… これは 申し訳ありません! 237 00:17:09,529 --> 00:17:12,532 いや… いろいろと安心したから大丈夫。 238 00:17:14,534 --> 00:17:18,538 メイドさんも おなかすいた感じ? 俺も腹減っちゃってさ。 239 00:17:18,538 --> 00:17:20,540 その… 私は…。 240 00:17:20,540 --> 00:17:23,543 もし 明日死ぬかもしれないと思ったら 241 00:17:23,543 --> 00:17:28,548 最後に もう一度 このソースを 味わっておきたいと思いまして…。 242 00:17:28,548 --> 00:17:31,551 それなら いいこと 思いついた! 243 00:17:33,553 --> 00:17:36,556 なんちゃってソースフォンデュ! 244 00:17:36,556 --> 00:17:40,560 …って言っても 大したものなかったけど。 食べて 食べて! 245 00:17:40,560 --> 00:17:46,566 ♪♪~ 246 00:17:46,566 --> 00:17:48,568 とんかつソース…! 247 00:17:48,568 --> 00:17:51,571 もしかして ソースの味自体が好きなの? 248 00:17:51,571 --> 00:17:53,573 うん…。 249 00:17:53,573 --> 00:17:55,575 あの…。 250 00:17:55,575 --> 00:17:58,578 横谷様は 何か 怖い夢でも見られましたか? 251 00:17:58,578 --> 00:18:00,580 えっ なんで? 252 00:18:00,580 --> 00:18:03,583 ソ… ソースをなめに寝室を出た時 253 00:18:03,583 --> 00:18:08,588 横谷様のお部屋から うなされている声が聞こえてきまして…。 254 00:18:08,588 --> 00:18:11,591 暗殺者に襲われている可能性を考え 255 00:18:11,591 --> 00:18:14,594 勝手ながら 部屋に入らせていただいたのです。 256 00:18:14,594 --> 00:18:16,596 (人好の声)そんな可能性あるの!? 257 00:18:16,596 --> 00:18:18,598 もしかして… 見た? 258 00:18:18,598 --> 00:18:24,604 ♪♪~ 259 00:18:24,604 --> 00:18:27,607 は… 恥ずかしい!! 何か言ってた? 260 00:18:27,607 --> 00:18:29,609 はい。 「お母さん」と何度も…。 261 00:18:29,609 --> 00:18:31,611 わあああ…。 262 00:18:32,612 --> 00:18:34,614 私も…。 263 00:18:35,615 --> 00:18:37,617 夢を見たんです。 264 00:18:37,617 --> 00:18:41,621 とんかつソースが話しかけてきました。 (人好の声)話し…? 265 00:18:41,621 --> 00:18:45,625 (メイドさんの声)「僕は こんなに大きいから いくらなめても なくならないよ」 266 00:18:45,625 --> 00:18:48,628 「好きなだけお食べ」と。 267 00:18:48,628 --> 00:18:52,632 なのに なめようとしたところで 目が覚めてしまいまして…。 268 00:18:52,632 --> 00:18:55,635 あ~… めちゃくちゃ悲しいやつ。 269 00:18:55,635 --> 00:18:57,637 でも…。 270 00:18:59,639 --> 00:19:01,641 初めてだったんです。 271 00:19:02,642 --> 00:19:07,647 今までの夢は 人を殺し 殺されて そんな夢ばかりで。 272 00:19:07,647 --> 00:19:13,653 それでも 目覚めた時や夢の中でさえも 特別な感情なんてありませんでした。 273 00:19:14,654 --> 00:19:16,656 まだ 夢を見ていたい。 274 00:19:16,656 --> 00:19:20,660 生まれて初めて そう思ったんです。 275 00:19:20,660 --> 00:19:26,666 だから そんな日に 横谷様は悪夢を見たのだと思うと 276 00:19:26,666 --> 00:19:29,669 少し 残念に思ってしまいました。 277 00:19:29,669 --> 00:19:35,675 何より 私には 横谷様をお慰めできる方法が わかりません。 278 00:19:35,675 --> 00:19:38,678 それが とても寂しく感じてしまいました。 279 00:19:39,679 --> 00:19:43,683 心配かけて ごめん! たまに見る夢なんだ。 280 00:19:44,684 --> 00:19:47,687 お母さん どこ行くの? お母さん! 281 00:19:48,688 --> 00:19:52,692 俺さ 小さい頃から夢見が悪くて 282 00:19:52,692 --> 00:19:54,694 泣きながら起きたあとには 283 00:19:54,694 --> 00:19:57,697 母さんに膝枕してもらわないと 寝付けなかったりして…。 284 00:19:58,698 --> 00:20:00,700 膝枕…。 285 00:20:03,703 --> 00:20:06,706 でしたら…。 あっ! 286 00:20:06,706 --> 00:20:09,709 私の膝をどうぞ。 287 00:20:11,711 --> 00:20:13,713 えっ? 288 00:20:14,714 --> 00:20:16,716 いや! いやいや いやいや…! 289 00:20:16,716 --> 00:20:20,720 キッズの頃だし 今は 公序良俗をわきまえた一般男子ですし! 290 00:20:20,720 --> 00:20:23,723 というか それは 思春期男子には…! あれ…? 291 00:20:24,724 --> 00:20:27,727 《やっぱり 私は…》 292 00:20:27,727 --> 00:20:31,731 (師匠の声)お前は 人を殺すためだけに生まれてきた…。 293 00:20:31,731 --> 00:20:34,734 《私は… 私には…》 294 00:20:35,735 --> 00:20:38,738 《ああ 寒い…》 295 00:20:41,741 --> 00:20:43,743 あっ! 296 00:20:43,743 --> 00:20:48,748 ♪♪~ 297 00:20:48,748 --> 00:20:50,750 《やわっ…》 298 00:20:50,750 --> 00:20:54,754 あったかい! はい 私も…。 299 00:20:56,756 --> 00:20:59,759 あの… 横谷様? 300 00:20:59,759 --> 00:21:02,762 あっ えっと… 「人好」って呼んでくれていいんで…。 301 00:21:02,762 --> 00:21:05,765 か… かしこまりました。 302 00:21:05,765 --> 00:21:07,767 あっ じゃあ そろそろ 俺…。 303 00:21:09,769 --> 00:21:13,773 眠れそうですか? 人好様。 304 00:21:17,777 --> 00:21:19,779 うん ありがとう…。 305 00:21:22,782 --> 00:21:28,788 〈これは ひとりぼっちのメイドさんに 「家族」ができるまでの物語…〉 306 00:21:30,289 --> 00:21:42,301 ♪♪~