1 00:00:01,001 --> 00:00:04,004 (メイドさん)《体が熱い。 息が苦しい》 2 00:00:04,004 --> 00:00:11,011 《心臓が破れそうなほどに 血液が ぐるぐると体内を駆け巡る》 3 00:00:11,011 --> 00:00:13,013 《いつだったろう…》 4 00:00:13,013 --> 00:00:19,019 《数十人の敵を相手にした時も 似たような高ぶりを感じた》 5 00:00:19,019 --> 00:00:23,023 《けれど 今は その時とは まるで違う》 6 00:00:23,023 --> 00:00:27,027 《確かに 体が勝手に動いたのだ》 7 00:00:27,027 --> 00:00:29,029 《なぜ?》 8 00:00:29,029 --> 00:00:31,031 《一体 何が 9 00:00:31,031 --> 00:00:35,035 あれほどまでに 私の体を動かしたのか…》 10 00:00:35,035 --> 00:00:38,038 《私は知りたい》 11 00:00:43,043 --> 00:00:45,045 (横谷人好)おはよう。 12 00:00:45,045 --> 00:00:47,047 (あくび) 13 00:00:47,047 --> 00:00:49,049 うわっ きれいに入ってる! 14 00:00:49,049 --> 00:00:52,052 ゴミは なるべく少ないほうがいいかと思いまして 15 00:00:52,052 --> 00:00:55,055 全て細かく切り刻んでみました。 16 00:00:55,055 --> 00:00:58,058 すごい! いつもの半分くらいになってるよ! 17 00:00:58,058 --> 00:01:00,060 ありがとう メイドさん。 18 00:01:00,060 --> 00:01:02,062 あっ…。 19 00:01:03,063 --> 00:01:12,072 ♪♪~ 20 00:02:35,155 --> 00:02:40,160 まさか こんな堂々と 家の前に 置いていくなんて…。 21 00:02:40,160 --> 00:02:43,163 一体 うちを なんだと思っているんだ? 22 00:02:43,163 --> 00:02:46,166 人好様 手紙があります。 23 00:02:59,179 --> 00:03:03,183 めちゃくちゃ勝手! しかも 軽い感じが すげえ腹立つ! 24 00:03:03,183 --> 00:03:08,188 ったく… うちがペットNGだったら どうするんだよ。 25 00:03:08,188 --> 00:03:10,190 なあ? 26 00:03:11,191 --> 00:03:15,195 飼われるんですか? えっ? だって 放っておけないでしょ。 27 00:03:15,195 --> 00:03:21,201 こんな小さいし 真夏に外に置いといたら 最悪 死ぬかもしれないし。 28 00:03:21,201 --> 00:03:24,204 他に飼ってくれそうな人の当てもないし…。 29 00:03:24,204 --> 00:03:27,207 小さくとも…。 ん? 30 00:03:28,208 --> 00:03:32,212 「生きたい」と切に願えば 31 00:03:32,212 --> 00:03:37,217 どのような者も どのような状況でも 生き延びることができます。 32 00:03:37,217 --> 00:03:41,221 それが動物の本能というものです。 33 00:03:41,221 --> 00:03:47,227 同情心だけで救う命は 時として 悲惨な結果を招きかねない。 34 00:03:47,227 --> 00:03:53,233 その子犬は 捨てられるべくして捨てられた 誰からも必要とされていない存在。 35 00:03:53,233 --> 00:03:56,236 そのような脆弱な者たちは 36 00:03:56,236 --> 00:04:01,241 己が力のみで強くならなければ いずれ野垂れ死ぬ運命となりましょう。 37 00:04:01,241 --> 00:04:04,244 いたずらに その命を救えば 38 00:04:04,244 --> 00:04:10,250 その責任は いずれ あだとなり 自分自身へ返ることもございます。 39 00:04:10,250 --> 00:04:14,254 その責任を 人好様は負いきれますか? 40 00:04:14,254 --> 00:04:17,257 えーっと…。 41 00:04:17,257 --> 00:04:20,260 俺には そういうの よくわかんないけどさ 42 00:04:20,260 --> 00:04:25,265 昨日 メイドさんが 俺の命を救ってくれたのは 43 00:04:25,265 --> 00:04:28,268 同情なんかじゃないでしょ? 44 00:04:28,268 --> 00:04:30,270 あっ…。 45 00:04:30,270 --> 00:04:32,272 目の前に 救える命があったら 46 00:04:32,272 --> 00:04:37,277 考えるより先に体が動くのは 人の本能なんだよ きっと! 47 00:04:37,277 --> 00:04:41,281 人の本能…。 48 00:04:41,281 --> 00:04:46,286 それに 俺だって 置いていかれた奴の気持ちが わかるから…。 49 00:04:47,287 --> 00:04:50,290 まあ こんなとこで立ち話もなんだし 50 00:04:50,290 --> 00:04:53,293 さっさとゴミ出して 部屋に戻ろうか。 51 00:04:53,293 --> 00:04:57,297 この暑さじゃ 俺も お前も 茹で上がっちゃうもんな。 52 00:04:59,299 --> 00:05:03,303 ハハハハ…。 人懐っこくて かわいいなあ お前。 53 00:05:03,303 --> 00:05:05,305 メイドさんも抱いてみる? 54 00:05:05,305 --> 00:05:09,309 いいえ 私は… 結構です。 55 00:05:09,309 --> 00:05:11,311 さっきから遠くない? 56 00:05:11,311 --> 00:05:13,313 そんなことは…。 57 00:05:13,313 --> 00:05:15,315 ほら ふわふわ! 58 00:05:19,319 --> 00:05:23,323 もしかして メイドさん… 犬 苦手? 59 00:05:23,323 --> 00:05:26,326 うっ… いえ あの…。 60 00:05:27,327 --> 00:05:30,330 ほんの少しだけ…。 61 00:05:30,330 --> 00:05:34,334 本当に少しだけ 苦手意識がございまして…。 62 00:05:35,335 --> 00:05:37,337 《かわいいな》 63 00:05:37,337 --> 00:05:42,342 で… ですが ご… ご命令とあらば… 人好様が望まれるのであれば。 64 00:05:42,342 --> 00:05:45,345 そんな無理しなくていいけど…。 65 00:05:45,345 --> 00:05:47,347 なんで苦手なの? 66 00:05:49,349 --> 00:05:52,352 私には 師に当たる方がおりまして 67 00:05:52,352 --> 00:05:55,355 幼少の頃 訓練と称して 68 00:05:55,355 --> 00:06:00,360 獰猛な野犬が多くいる山に 置いていかれたことが…。 69 00:06:00,360 --> 00:06:03,363 そりゃトラウマになる…。 70 00:06:03,363 --> 00:06:06,366 となると やっぱり 世話とか難しいよね? 71 00:06:06,366 --> 00:06:08,368 困ったなあ。 はっ…! 72 00:06:08,368 --> 00:06:12,372 (人好の声) 困ったなあ 困ったなあ 困ったなあ…。 73 00:06:12,372 --> 00:06:17,377 お… お役に立てず 申し訳ありません…。 74 00:06:17,377 --> 00:06:19,379 あっ 責めたわけではなくてね…! 75 00:06:19,379 --> 00:06:23,383 ただ… また こいつを ひとりぼっちにしたくないから 76 00:06:23,383 --> 00:06:27,387 メイドさんには 我慢させちゃうことになるかなって。 77 00:06:28,388 --> 00:06:32,392 もし もらい手を探すにしても そう簡単にはいかないだろうし…。 78 00:06:32,392 --> 00:06:36,396 たらい回しにするのは ちょっと… ね。 79 00:06:37,397 --> 00:06:39,399 (鈴) 80 00:06:39,399 --> 00:06:41,401 人好様。 81 00:06:41,401 --> 00:06:45,405 やはり 私にも 抱かせていただいてもよろしいですか? 82 00:06:47,407 --> 00:06:52,412 メイドさん 気持ちはありがたいんだけど その…。 83 00:06:52,412 --> 00:06:56,416 本当に無理しなくていいからね…? 84 00:06:56,416 --> 00:07:00,420 む… 無理などは… 決して…。 85 00:07:00,420 --> 00:07:04,424 かなり おとなしい子なんだけどなあ。 どこら辺が怖いの? 86 00:07:04,424 --> 00:07:06,426 どこら辺…。 87 00:07:06,426 --> 00:07:08,428 猛々しい爪。 88 00:07:08,428 --> 00:07:10,430 獰猛な牙! 89 00:07:10,430 --> 00:07:12,432 鋭い眼光! 90 00:07:12,432 --> 00:07:14,434 …あたりでしょうか。 91 00:07:14,434 --> 00:07:18,438 ごめん。 俺には その子が お餅にしか見えない。 92 00:07:18,438 --> 00:07:23,443 お餅… というと あの 米から作られる…? 93 00:07:23,443 --> 00:07:25,445 そうそう! 94 00:07:25,445 --> 00:07:28,448 んっ? んんっ…? 95 00:07:28,448 --> 00:07:32,452 いや… 俺のほうが多数派意見だからね。 96 00:07:32,452 --> 00:07:34,454 わふ…。 97 00:07:36,456 --> 00:07:38,458 はっ…! 98 00:07:38,458 --> 00:07:40,460 ああっ…! 99 00:07:40,460 --> 00:07:43,463 あ… 甘噛みだから それ! 本気じゃないから! 100 00:07:43,463 --> 00:07:45,465 お… 落ち着いて! 投げたらダメ! 101 00:07:48,468 --> 00:07:51,471 よ… よく頑張りました。 (荒い息遣い) 102 00:07:51,471 --> 00:07:54,474 ふ… ふがいなく 申し訳ありません…。 103 00:07:54,474 --> 00:07:56,476 ん? 104 00:07:56,476 --> 00:07:59,479 あっ もしかして 歯がムズムズするのか? 105 00:07:59,479 --> 00:08:02,482 (荒い息遣い) 106 00:08:04,484 --> 00:08:06,486 そんな危険なことをしては…! 107 00:08:06,486 --> 00:08:08,488 大丈夫 大丈夫! 108 00:08:08,488 --> 00:08:11,491 よし じゃあ ちょっと出かけよう。 109 00:08:11,491 --> 00:08:13,493 はい…。 110 00:08:16,496 --> 00:08:19,499 動物病院…。 111 00:08:19,499 --> 00:08:21,501 うん。 元気そうだけど 112 00:08:21,501 --> 00:08:24,504 一応 診てもらったほうがいいと思ってさ。 113 00:08:25,505 --> 00:08:29,509 (ドアの開閉音) 114 00:08:33,513 --> 00:08:36,516 メイドさんは 隣のショップに行ってもらっていい? 115 00:08:36,516 --> 00:08:38,518 はい。 116 00:08:38,518 --> 00:08:48,528 ♪♪~ 117 00:08:48,528 --> 00:08:52,532 お前のために すごく真剣になってくれてるぞ。 118 00:08:52,532 --> 00:08:54,534 嬉しいな。 わふわふ! 119 00:08:59,539 --> 00:09:01,541 ありがとう メイドさん。 120 00:09:01,541 --> 00:09:05,545 ちゃんと お願いしたもの 全部 選んでくれて。 121 00:09:06,546 --> 00:09:09,549 人好様は 本当にお優しい方です。 122 00:09:09,549 --> 00:09:11,551 えっ? 123 00:09:11,551 --> 00:09:17,557 今まで 私の世界には あなたのような方は いなかった。 124 00:09:17,557 --> 00:09:22,562 私がいた場所は 失敗など 決して許されません。 125 00:09:22,562 --> 00:09:28,568 だからこそ 優しくしていただく度に 126 00:09:28,568 --> 00:09:33,573 人好様との距離を 感じてしまうのかもしれません。 127 00:09:33,573 --> 00:09:39,579 今までは 要求されたことを遂行すればよかった。 128 00:09:39,579 --> 00:09:44,584 でも あなたの望みは 私には初めてのことばかりで…。 129 00:09:44,584 --> 00:09:50,590 何度も 空回って 失敗して…。 130 00:09:50,590 --> 00:09:55,595 私には わからないんです。 131 00:09:55,595 --> 00:10:01,601 人好様にとって どうあれば 私は必要とされる存在になれるのか。 132 00:10:03,603 --> 00:10:10,610 《今まで 不必要と判断されたことが なかったわけではない》 133 00:10:10,610 --> 00:10:16,616 《私のいた世界は 数少ない居場所を奪い合う 椅子取りゲームのようなものだ》 134 00:10:16,616 --> 00:10:19,619 《我々のような 権力者の駒は 135 00:10:19,619 --> 00:10:23,623 能力さえあれば 年も性別も関係ない》 136 00:10:23,623 --> 00:10:26,626 《居場所が欲しければ…》 137 00:10:28,628 --> 00:10:32,632 《私がやるべきことは 一つだった》 138 00:10:32,632 --> 00:10:34,634 《だが ここは違う》 139 00:10:34,634 --> 00:10:39,639 《私のやれることなんて… 私がやってきたことなんて 140 00:10:39,639 --> 00:10:41,641 高が知れていて…》 141 00:10:42,642 --> 00:10:46,646 私も その子犬のように あなたと出会えていたら…。 142 00:10:47,647 --> 00:10:52,652 《世界は これほどまで あたたかいもので あふれているのだと 143 00:10:52,652 --> 00:10:54,654 知り得ていたら…》 144 00:10:55,655 --> 00:11:00,660 あなたが本当に望む「何か」に なれたのかもしれません。 145 00:11:01,661 --> 00:11:04,664 私は ここにいていいのでしょうか? 146 00:11:04,664 --> 00:11:10,670 このような まぶしい世界に 私は必要ないのではないでしょうか…? 147 00:11:10,670 --> 00:11:12,672 もしかして メイドさん…。 148 00:11:12,672 --> 00:11:17,677 わふっ! うわっ…! しゃべってる時に引っ張んなよ! 149 00:11:18,678 --> 00:11:23,683 メイドさんはさ きっと 前の仕事をやめてさ 150 00:11:23,683 --> 00:11:26,686 普通の子になりたいんじゃない? 151 00:11:26,686 --> 00:11:29,689 殺しを… やめる…? 152 00:11:29,689 --> 00:11:31,691 俺には そう聞こえた。 153 00:11:32,692 --> 00:11:34,694 ちょっ…! 154 00:11:34,694 --> 00:11:37,697 あーあ… こんがらがっちゃってるよ。 155 00:11:37,697 --> 00:11:40,700 殺し屋をやめて 普通の…。 156 00:11:43,703 --> 00:11:46,706 《考えたこともなかった》 157 00:11:46,706 --> 00:11:50,710 《殺しは 私の唯一のアイデンティティーだ》 158 00:11:50,710 --> 00:11:52,712 《そう言い聞かされていたし 159 00:11:52,712 --> 00:11:56,716 私のような人間が 誰かに必要とされるためには 160 00:11:56,716 --> 00:12:03,723 殺して 殺して 殺して 殺すしか道はなかった》 161 00:12:03,723 --> 00:12:06,726 《でも もしも…》 162 00:12:06,726 --> 00:12:10,730 うわ~! 夕日 超きれいだな。 163 00:12:10,730 --> 00:12:18,738 ♪♪~ 164 00:12:18,738 --> 00:12:20,740 (鈴) 165 00:12:22,742 --> 00:12:27,747 《もしも 殺すこと以外で 自分の居場所を見つけられるのなら… 166 00:12:27,747 --> 00:12:31,751 私は この方のことを 167 00:12:31,751 --> 00:12:35,755 この まぶしくて あたたかな世界のことを 168 00:12:35,755 --> 00:12:38,758 もっと知ることができるのかな…》 169 00:12:39,259 --> 00:12:43,263 俺さ 最初に メイドさんが うちに来た時 170 00:12:43,263 --> 00:12:46,266 メイドさんのことが すごい怖かったんだけどさ…。 171 00:12:46,266 --> 00:12:48,268 ええっ…! 172 00:12:48,268 --> 00:12:51,271 いや… 俺の周りに 殺し屋なんかいないしね!? 173 00:12:51,271 --> 00:12:57,277 でも 一緒にいて いろんなとこ見て 違うってわかった。 174 00:12:57,277 --> 00:13:01,281 メイドさんは 実は めちゃくちゃいい子! 175 00:13:01,281 --> 00:13:04,284 いい子…。 176 00:13:04,284 --> 00:13:06,286 いい子…。 177 00:13:09,289 --> 00:13:11,291 フフッ…。 178 00:13:13,293 --> 00:13:15,295 人好様。 179 00:13:15,295 --> 00:13:19,299 普通の子になるには 何をすればいいでしょうか? 180 00:13:19,299 --> 00:13:24,304 えっ? ええー… 難しい質問だなあ。 181 00:13:24,304 --> 00:13:26,306 あっ でも 一個。 182 00:13:26,306 --> 00:13:30,310 メイドさんは 失敗を すごく気にしてるみたいだけど… 183 00:13:30,310 --> 00:13:32,312 自分でも言ってたでしょ? 184 00:13:32,312 --> 00:13:36,316 うちに来てから 初めてのことばっかりだって。 185 00:13:36,316 --> 00:13:41,321 初めてやることなら むしろ 失敗するのが普通なんじゃないかな? 186 00:13:48,328 --> 00:13:50,330 (エアコンの稼働音) 187 00:13:50,330 --> 00:13:54,334 (キャベツを切る音) 188 00:13:55,335 --> 00:13:57,337 《確かに こちらのほうが 189 00:13:57,337 --> 00:14:00,340 効率的かつ均一に キャベツを切れる》 190 00:14:00,340 --> 00:14:03,343 《精神統一もしなくていい》 191 00:14:03,343 --> 00:14:07,347 《「普通」とは 効率のことをいうのかもしれない》 192 00:14:07,347 --> 00:14:11,351 《お好み焼き… どんな食べ物だろう?》 193 00:14:11,351 --> 00:14:14,354 《ソースがメインの食べ物と聞いたけど…》 194 00:14:14,354 --> 00:14:19,359 《揚げ物ではないらしいし… でも キャベツは いるんだな》 195 00:14:19,359 --> 00:14:23,363 《確かに キャベツは ソースに合う気がする》 196 00:14:23,363 --> 00:14:25,365 はっ…! 197 00:14:26,366 --> 00:14:30,370 《バカな…! この私が背後を取られるだと!?》 198 00:14:30,370 --> 00:14:32,372 き… 貴様…。 199 00:14:32,372 --> 00:14:34,374 やはり ただの犬では…! 200 00:14:34,374 --> 00:14:37,377 (おなかが鳴る音) 201 00:14:37,377 --> 00:14:41,381 お前… おなかがすいてるのか? 202 00:14:41,381 --> 00:14:43,383 わふ…。 203 00:14:44,384 --> 00:14:46,386 《相手の気持ちがわかる…》 204 00:14:46,386 --> 00:14:49,389 《これも 普通の一つなのだろう》 205 00:14:49,389 --> 00:14:56,396 ♪♪~ 206 00:14:57,397 --> 00:14:59,399 ただいま。 207 00:14:59,399 --> 00:15:02,402 どうしたの? いえ…。 208 00:15:02,402 --> 00:15:05,405 あっ ご飯あげてくれたんだ! ありがとう。 209 00:15:05,405 --> 00:15:07,407 はい…。 210 00:15:07,407 --> 00:15:09,409 よかったな。 おいしいか? 211 00:15:09,409 --> 00:15:13,413 ハハッ… よく食べるなあ。 大丈夫か? 212 00:15:13,413 --> 00:15:16,416 おなか めっちゃモッチモチだぞ。 213 00:15:16,416 --> 00:15:18,418 本当にモッチモチだなあ。 214 00:15:18,418 --> 00:15:21,421 モッチモチ…。 215 00:15:21,421 --> 00:15:25,425 あっ… 降りてきた…。 えっ? 216 00:15:25,425 --> 00:15:28,428 お前の名は あげもち太郎! 217 00:15:28,928 --> 00:15:30,930 どう? 218 00:15:31,931 --> 00:15:33,933 素敵な名前だと思います。 219 00:15:33,933 --> 00:15:35,935 (あげもち太郎)わふわふ! 220 00:15:35,935 --> 00:15:38,938 おお! お前も気に入ってくれたか! わふ! 221 00:15:38,938 --> 00:15:42,942 わかりやすく その上 何か鬼気迫るものを感じます。 222 00:15:42,942 --> 00:15:44,944 エヘヘ… そう? 223 00:15:45,945 --> 00:15:48,948 キャベツ 切ってくれたんだね。 ありがとう 助かるよ。 224 00:15:48,948 --> 00:15:51,951 いえ… これくらい。 225 00:15:51,951 --> 00:15:55,955 メイド業も 板についてきたね! 226 00:15:55,955 --> 00:15:57,957 わあ…! 227 00:15:57,957 --> 00:15:59,959 あとは 俺が引き受けるよ。 228 00:16:00,960 --> 00:16:04,964 おっ… なんだ? あげもち太郎。 遊んでほしいのか? 229 00:16:04,964 --> 00:16:07,967 けど ごめんな。 夕飯のあとで。 230 00:16:07,967 --> 00:16:10,970 (あげもち太郎)クーン… わふわふ! おいおい…。 231 00:16:10,970 --> 00:16:12,972 私が見ていましょうか? 232 00:16:12,972 --> 00:16:15,975 えっ 大丈夫? 無理しなくても…。 233 00:16:15,975 --> 00:16:21,981 大丈夫です。 私は 「普通」になりたいんです。 234 00:16:21,981 --> 00:16:26,986 人好様は おっしゃいました。 その子犬は おとなしい子だと。 235 00:16:26,986 --> 00:16:33,993 ですが 私には やはり 凶暴な野犬と 変わらないように見えてしまいます。 236 00:16:33,993 --> 00:16:41,000 けれど 私の中の「普通」は 人好様のおっしゃることが全てなんです。 237 00:16:41,000 --> 00:16:44,003 もちろん 恐怖心は拭えません。 238 00:16:44,003 --> 00:16:46,005 それでも… 239 00:16:46,005 --> 00:16:51,010 信じたいんです。 あなたの言葉を。 240 00:16:53,012 --> 00:16:55,014 メイドさん…。 241 00:16:56,015 --> 00:16:58,017 じゃあ 俺も メイドさんを信じるよ! 242 00:17:03,022 --> 00:17:06,025 はい! お任せを。 243 00:17:11,030 --> 00:17:13,032 わふっ! 244 00:17:16,035 --> 00:17:18,037 あっ…。 245 00:17:18,037 --> 00:17:21,040 わふ~ わふ~ わふわふ~。 246 00:17:21,040 --> 00:17:23,042 抱いてみてもいいですか? 247 00:17:23,042 --> 00:17:25,044 もちろん! 248 00:17:27,046 --> 00:17:32,051 わふ~ わふ~ わふわふ~ わふっ…。 249 00:17:32,051 --> 00:17:34,053 これが お餅ですか? 250 00:17:34,053 --> 00:17:37,056 例えて言うなればね! 犬だけど! 251 00:17:38,057 --> 00:17:41,060 小さくて あたたかい…。 252 00:17:43,062 --> 00:17:46,065 メイドさんのことが すごい怖かったんだけどさ…。 253 00:17:46,065 --> 00:17:51,070 でも 一緒にいて いろんなとこ見て 違うってわかった。 254 00:17:51,070 --> 00:17:54,073 メイドさんは 実は めちゃくちゃいい子! 255 00:17:55,074 --> 00:17:59,078 私も… わかりました。 ん? 256 00:17:59,078 --> 00:18:03,082 なんだか 怖かったのが恥ずかしいです。 257 00:18:03,082 --> 00:18:13,092 ♪♪~ 258 00:18:13,092 --> 00:18:16,095 お好み焼き… 美味…。 259 00:18:16,095 --> 00:18:18,097 ソースが… ソース… 260 00:18:18,097 --> 00:18:22,101 この… 生地… キャベツとソースに合って…。 261 00:18:22,101 --> 00:18:25,104 《急に 幼稚園児みたいな語彙力…》 262 00:18:26,105 --> 00:18:30,109 お好み焼き… 美味…。 263 00:18:30,109 --> 00:18:32,111 なんなら もう一枚 焼く? 264 00:18:32,111 --> 00:18:36,115 えっ…!? しかし お手を煩わせるわけには…。 265 00:18:37,116 --> 00:18:39,118 体は だいぶ正直だけどね。 266 00:18:40,119 --> 00:18:44,123 好きなことに関して わがまま言っちゃうのは 普通だよ。 267 00:18:44,123 --> 00:18:49,128 だから お好み焼きをおかわりしたい って思うのも 普通! 268 00:18:49,128 --> 00:18:53,132 では お言葉に甘えて…。 269 00:18:53,132 --> 00:18:57,136 他に わがままあったら 今のうちに どんどん言って! 270 00:18:57,136 --> 00:18:59,138 わがまま…。 271 00:18:59,138 --> 00:19:04,143 あげもち太郎と仲良くなれたメイドさんに 特別サービス! 272 00:19:04,143 --> 00:19:06,145 (お好み焼きを焼く音) 273 00:19:06,145 --> 00:19:08,147 それでしたら… 274 00:19:08,147 --> 00:19:13,152 私も 人好様に 名前を付けていただきたいです。 275 00:19:13,152 --> 00:19:16,155 俺に? メイドさんの名前を? 276 00:19:16,155 --> 00:19:19,158 はい。 「あげもち太郎」のような…。 277 00:19:19,158 --> 00:19:23,162 さすがに メイドさんに そのテンションで名付けるのは ちょっと…。 278 00:19:23,162 --> 00:19:27,166 うーん… 急に名前を付けろと言われても…。 279 00:19:28,167 --> 00:19:30,169 メイドさん 誕生日いつ? 280 00:19:30,169 --> 00:19:33,172 正確には わからないのですが 281 00:19:33,172 --> 00:19:38,177 とても寒い冬で 記録的な大雪の日に生まれたと… 282 00:19:38,177 --> 00:19:41,180 そう聞いた記憶が かすかにございます。 283 00:19:41,180 --> 00:19:44,183 冬! 冬生まれか…。 284 00:19:44,183 --> 00:19:47,186 じゃあ 「雪さん」は どう? 285 00:19:48,187 --> 00:19:52,191 (師匠の声)お前は冷酷な殺人鬼 「雪」。 286 00:19:53,192 --> 00:19:57,196 俺さ 雪が好きなんだよね! 287 00:19:57,196 --> 00:19:59,198 白くて きれいだし。 288 00:19:59,198 --> 00:20:03,202 なんか 雪降ってると ワクワクするでしょ。 289 00:20:04,203 --> 00:20:07,206 それに 雪って あったかいんだよ。 290 00:20:07,206 --> 00:20:09,208 雪が… ですか? 291 00:20:09,208 --> 00:20:12,211 何かで知ったんだけど 292 00:20:12,211 --> 00:20:17,216 畑に雪が積もることで その下の土や種は 凍らず過ごせて 293 00:20:17,216 --> 00:20:20,219 春になったら 芽吹けるんだって。 294 00:20:20,219 --> 00:20:24,223 それって 雪が守って あったかくしてくれたのかなあって。 295 00:20:28,227 --> 00:20:33,232 《なぜ あの時 体が突き動かされたのか》 296 00:20:33,232 --> 00:20:38,237 《なぜ この世界を あたたかいと感じたのか》 297 00:20:38,237 --> 00:20:43,242 《なぜ この人は こんなにも 私の心を動かすのか…》 298 00:20:46,245 --> 00:20:51,250 《ここにいれば… この人と共に過ごせば… 299 00:20:51,250 --> 00:20:57,256 いつか その理由を知ることができる気がする…》 300 00:20:59,258 --> 00:21:01,260 雪…。 301 00:21:01,260 --> 00:21:05,264 素敵な名前を ありがとうございます。 人好様。 302 00:21:09,268 --> 00:21:12,271 雪… 雪…。 303 00:21:12,271 --> 00:21:14,273 フフフッ…。 304 00:21:15,274 --> 00:21:18,277 《普通に 笑えるんだ…》 305 00:21:18,277 --> 00:21:30,289 ♪♪~ 306 00:22:48,367 --> 00:22:53,372 (チャイム) 307 00:22:53,372 --> 00:22:58,377 (横谷李恋)お兄ちゃーん! 李恋だよー!