1 00:00:07,194 --> 00:00:09,730 (ナレーター) 大将軍への道を目指す信(しん)が― 2 00:00:09,830 --> 00:00:12,466 若き好敵手 王賁(おうほん)や蒙恬(もうてん)たちと 3 00:00:12,766 --> 00:00:16,303 戦場で切磋琢磨し 躍動していた そのころ… 4 00:00:17,204 --> 00:00:20,741 王都 咸陽(かんよう)では 異常な事態が起きていた 5 00:00:21,175 --> 00:00:23,277 禁断の地 後宮からの使者が― 6 00:00:23,377 --> 00:00:27,815 玉璽(ぎょくじ)の複製によって封かんされた 書簡をもたらしたのだ 7 00:00:29,083 --> 00:00:32,486 それは 大王派が 呂不韋(りょふい)派の猛威に窮する中 8 00:00:32,786 --> 00:00:36,857 政(せい)の実の母 太后が 更なる第3の勢力として― 9 00:00:36,990 --> 00:00:39,960 名乗りを上げたに 等しい出来事であった 10 00:00:42,796 --> 00:00:45,065 (壁(へき))後宮が第3の勢力? 11 00:00:45,733 --> 00:00:48,869 (壁)だとしたら 話が早いではありませんか 12 00:00:48,969 --> 00:00:52,206 大王さまのお母上であらせられる 太后さまならば― 13 00:00:52,840 --> 00:00:56,143 こちらが お頼み申し上げれば 必ずや… 14 00:00:56,243 --> 00:01:00,314 (昌文君(しょうぶんくん))そう簡単にいくのなら 初めから そうしておる 15 00:01:02,149 --> 00:01:04,251 殿 それは一体… 16 00:01:04,351 --> 00:01:06,420 (政)壁 (壁)はっ! 17 00:01:06,987 --> 00:01:10,224 (政)事は そう単純ではないのだ 18 00:01:12,359 --> 00:01:14,528 (政)俺と母上の間柄は… 19 00:01:26,006 --> 00:01:27,241 (政)母上… 20 00:01:35,916 --> 00:01:37,918 (趙姫(ちょうき))入ってくるんじゃないよ! 21 00:01:58,438 --> 00:02:01,441 (太后)フッ… おい (宦官(かんがん))はっ! 22 00:02:08,582 --> 00:02:13,220 皆の者 苦しゅうない 面(おもて)を上げよ 23 00:02:18,926 --> 00:02:22,095 (ナレーター)これが太后 政の母である 24 00:02:25,966 --> 00:02:28,969 のちにいう“傾国” すなわち― 25 00:02:29,069 --> 00:02:34,408 時の君主が心奪われ 国を危うくするほどの美女であった 26 00:02:36,210 --> 00:02:41,081 “太后は年を取らぬ”と ウワサが 立つほど その姿は若々しく 27 00:02:41,181 --> 00:02:45,018 誰にも かなわぬ独特の妖艶さを まとっていた 28 00:02:48,055 --> 00:02:52,326 (向(こう))大王さまのお母さま 本当にお美しいお方だ 29 00:02:52,960 --> 00:02:54,628 でも なんだろう… 30 00:02:55,062 --> 00:03:00,334 大変 失礼だけど いつ拝見しても なぜか太后さまからは― 31 00:03:00,434 --> 00:03:03,503 人のぬくもりみたいなものが 感じられない 32 00:03:05,973 --> 00:03:08,375 だから ここにいる宮女全員が― 33 00:03:08,475 --> 00:03:12,346 あんなにお美しい太后さまを 心の底から… 34 00:03:13,547 --> 00:03:15,048 恐れている 35 00:03:16,516 --> 00:03:21,021 あの後宮をこれまで我々が 取り込もうと動かなかったのは― 36 00:03:21,121 --> 00:03:24,558 太后の勢力を政(まつりごと)に近づけぬためだ 37 00:03:25,092 --> 00:03:29,396 (昌文君) 夏(か)の末喜(ばっき) 商(しょう)の妲己(だっき) 周(しゅう)の褒姒(ほうじ) 38 00:03:29,496 --> 00:03:32,566 いずれも太后ではなく 王妃ではあったが 39 00:03:32,900 --> 00:03:38,672 朝廷に悪影響を与えたことで 時の王朝は滅んだといわれている 40 00:03:39,339 --> 00:03:44,611 政の素人である女人が 朝廷に絡むと 凶事が起こる 41 00:03:45,445 --> 00:03:46,680 (昌文君)おまけに 後宮は― 42 00:03:46,980 --> 00:03:51,285 太后に 悪賢く媚(こ)びへつらう 宦官どもの巣窟である 43 00:03:51,985 --> 00:03:55,589 太后を抱き込めば おのずとヤツらもついてくる 44 00:03:57,391 --> 00:04:01,561 (昌文君)その上 後宮は 特別な治外法権で守られている 45 00:04:02,062 --> 00:04:06,033 ひと度 政の力を与えれば 制御は難しい 46 00:04:06,233 --> 00:04:11,204 だから あの呂不韋でさえ これまで あそこには手を出さなかったのだ 47 00:04:11,305 --> 00:04:14,641 (肆氏(しし))太后さまも これまでは政治には無関心で 48 00:04:14,941 --> 00:04:18,578 大王さまと呂氏派の争いにも 沈黙されていた 49 00:04:19,046 --> 00:04:21,982 (肆氏)だが これを送ってきたということは― 50 00:04:22,482 --> 00:04:26,086 なにがしかの態度の表れかと 推察される 51 00:04:26,687 --> 00:04:29,089 一体 そこには何が… 52 00:04:38,498 --> 00:04:40,600 封を解いてみよ 肆氏 53 00:05:17,170 --> 00:05:19,172 こ… これは… 54 00:05:22,576 --> 00:05:25,545 (呂不韋)ほ~れ! ンン~ッ… 55 00:05:25,645 --> 00:05:27,647 (李斯(りし))丞相(じょうしょう)さま (呂不韋)うん? 56 00:05:28,215 --> 00:05:31,385 (李斯) 少々 奇妙な報告が入りました 57 00:05:31,485 --> 00:05:32,652 (呂不韋)何かな? 58 00:05:33,453 --> 00:05:37,624 “昨日 肆氏のもとを 後宮の使者が訪れた”と 59 00:05:38,792 --> 00:05:41,161 誠か? (李斯)はっ! 60 00:05:41,528 --> 00:05:43,697 詳しく調べよ (李斯)はっ! 61 00:05:43,797 --> 00:05:48,035 双方の監視を強めるのを忘れるな (李斯)ははっ! 62 00:05:51,605 --> 00:05:54,074 (呂不韋)後宮か… (若い娘)うん? 63 00:05:55,108 --> 00:05:58,445 やっかいな所が動きだしたのぅ 64 00:05:59,379 --> 00:06:02,282 (壁)肆氏 太后さまは何と? 65 00:06:04,584 --> 00:06:08,255 (肆氏) 白紙です 何も書かれておりませぬ 66 00:06:08,355 --> 00:06:10,490 (一同)なに! (ざわめき) 67 00:06:11,725 --> 00:06:15,529 (壁) こ… これは一体 どういう意味だ? 68 00:06:16,663 --> 00:06:19,099 (昌文君) ただの悪ふざけとも取れるし 69 00:06:19,466 --> 00:06:22,202 大王派と呂氏派のどちらにつくか 70 00:06:22,302 --> 00:06:24,704 決めかねているとも取れる (壁)ハッ… 71 00:06:25,372 --> 00:06:29,576 大王さま 私も昌文君と同じ意見です 72 00:06:29,676 --> 00:06:32,813 “今のところ 中立”という 意味ではないでしょうか 73 00:06:34,214 --> 00:06:38,618 あの人の胸の内は 我々には そう やすやすと推し量れぬ 74 00:06:40,687 --> 00:06:43,623 (政)俺も その白紙は中立の意味かと思うが 75 00:06:44,591 --> 00:06:47,360 全く別の意味があるようにも感じる 76 00:06:48,628 --> 00:06:51,631 計り知れぬのだ あの人は 77 00:07:11,151 --> 00:07:14,321 今ごろ きっと騒いでいるだろうね 78 00:07:15,155 --> 00:07:18,425 どうして 私が あんなことをするに至ったか 79 00:07:18,525 --> 00:07:21,862 分かるかい? 趙高(ちょうこう) (趙高)いえ… 80 00:07:22,362 --> 00:07:26,399 だろうね 私ですら分からないんだから 81 00:07:27,267 --> 00:07:29,269 おい (毒味役)あっ はっ! 82 00:07:29,669 --> 00:07:34,674 次は お前が毒味でくわえたのを そのまま… 83 00:07:37,177 --> 00:07:39,779 し… しかし… (太后)うん? 84 00:07:41,815 --> 00:07:44,684 早くおし (毒味役)あっ はっ! 85 00:07:51,558 --> 00:07:53,260 (太后)ウ~ン… 86 00:07:59,633 --> 00:08:03,803 この先 どんな流れになるのか 楽しみだよ 87 00:08:13,280 --> 00:08:18,818 (政)ハァ… ハァ… ハァ… 88 00:08:38,438 --> 00:08:44,444 あのギラついたイヤな目のガキは 一体 どんな男になったかねえ 89 00:08:46,279 --> 00:08:50,350 この書簡で 今 重きを置くべきは“印” 90 00:08:51,284 --> 00:08:54,354 わざわざ国王印の複製を押して 送ってきたところの意図は― 91 00:08:54,454 --> 00:08:55,555 分かりやすい 92 00:08:56,656 --> 00:08:59,593 こちらが 当然 放っておけぬと承知のうえで 93 00:08:59,693 --> 00:09:01,361 向こうは送りつけた 94 00:09:01,795 --> 00:09:05,966 つまり “朝廷は後宮勢力に目を向けよ”と 95 00:09:06,600 --> 00:09:08,001 (政)間違いないだろう 96 00:09:09,536 --> 00:09:10,670 (肆氏)大王さま 97 00:09:11,004 --> 00:09:14,007 ご存じと思いますが 太后さまのもと― 98 00:09:14,307 --> 00:09:18,778 後宮を仕切る三侍女の後ろに 三大宮家があります 99 00:09:19,512 --> 00:09:22,482 (肆氏)氾(はん)家 介(かい)家 了(りょう)家 100 00:09:22,582 --> 00:09:26,586 古きより 陰で後宮を支える実力者たちです 101 00:09:27,787 --> 00:09:32,025 (肆氏)我らとは また 系統の異なる力を持つ彼らですが 102 00:09:32,325 --> 00:09:37,330 もし味方につけるなら 呂氏派との 勢力図は五分に近づけます 103 00:09:37,631 --> 00:09:38,798 しかし… 104 00:09:39,466 --> 00:09:42,969 逆に彼らが 呂氏側につくようなことがあれば 105 00:09:43,270 --> 00:09:46,273 我々に あらがう手は 皆無となりましょう 106 00:09:48,508 --> 00:09:51,444 (肆氏) どちらにせよ 避けては通れぬ相手 107 00:09:51,745 --> 00:09:55,815 この機に 腹を据えて 彼らを取り込みにかかるべきかと 108 00:09:56,282 --> 00:09:57,617 (昌文君)わしは反対だ 109 00:09:57,751 --> 00:09:59,519 (廷臣)ハッ… 殿! 110 00:09:59,619 --> 00:10:03,289 大王さまの前で口にするのは 心苦しいですが 111 00:10:03,390 --> 00:10:05,825 無礼を承知で言わせてもらいます 112 00:10:06,426 --> 00:10:09,329 太后さまは猛毒です! (どよめき) 113 00:10:09,929 --> 00:10:13,500 (昌文君) 確かに 三大宮家の力は絶大ですが 114 00:10:13,600 --> 00:10:17,937 彼らこそ 現在 太后さまの手足となる毒の牙 115 00:10:18,872 --> 00:10:22,942 単純な足し算なら 勢力は増大すると考えられますが 116 00:10:23,043 --> 00:10:26,646 彼らと組んで 果たして 本当に 一丸となり― 117 00:10:26,746 --> 00:10:30,016 呂氏派と戦う勢力になれるかは 疑問です 118 00:10:30,316 --> 00:10:31,851 (肆氏の部下A) では どうするというのだ? 119 00:10:31,951 --> 00:10:34,688 このまま無視して 呂氏派に流れたら 一大事だぞ! 120 00:10:34,788 --> 00:10:36,956 (壁) なにも無視するとは言っていない 121 00:10:37,590 --> 00:10:41,895 殿は 軽々しく後宮と手を組むのは 危険と言っておられるのだ 122 00:10:41,995 --> 00:10:45,799 (肆氏の部下B)だが この書簡が 来た以上 我らは何らかの… 123 00:11:01,696 --> 00:11:03,965 (向)あ… あの… (政)うん? 124 00:11:04,933 --> 00:11:08,102 今日は お疲れですか? (政)なぜだ? 125 00:11:08,536 --> 00:11:12,707 いえ… いつもとご様子が違う気がしたので 126 00:11:13,975 --> 00:11:17,579 向は よく見てくれているのだな 俺のことを 127 00:11:17,679 --> 00:11:20,181 い… いえ… そんな… 128 00:11:21,749 --> 00:11:23,718 (政) 今夜は 読むのは やめにしよう 129 00:11:24,152 --> 00:11:28,723 向… いつも隣で じっとしているだけで悪かったな 130 00:11:28,823 --> 00:11:30,792 い… いえ めっそうも… 131 00:11:31,226 --> 00:11:36,865 ああ… い… いよいよなのかな? いよいよ 私 大王さまと… 132 00:11:37,031 --> 00:11:40,568 ヒエ~ッ… 陽(よう)ちゃん うまくいくように祈ってて 133 00:11:40,668 --> 00:11:43,638 (政)話し相手をしてくれるか? (向)えっ? 134 00:11:45,840 --> 00:11:47,909 お前の母親は どんなだった? 135 00:11:49,043 --> 00:11:51,846 (向)私の母ですか? 136 00:11:52,881 --> 00:11:57,085 ああ 聞かせてくれ (向)そうですね… 137 00:11:57,886 --> 00:12:02,557 私は貧しい商家の出で 母も小さな体で 138 00:12:02,657 --> 00:12:06,027 毎日 汗だくになって 店を切り盛りするおばさんです 139 00:12:06,594 --> 00:12:11,232 (向)そそっかしくて お人よしで 全然 美人でもありません 140 00:12:11,532 --> 00:12:14,035 そんな母親を お前は好きか? 141 00:12:14,535 --> 00:12:18,907 はい 顔を見ると小言ばかりの母ですけど 142 00:12:19,574 --> 00:12:22,977 後宮にお仕えして めったに会えなくなってからは― 143 00:12:23,077 --> 00:12:25,847 そんな小言も なんだか うれしいんです 144 00:12:26,314 --> 00:12:31,052 そうか いいものだな そんな関係は 145 00:12:34,589 --> 00:12:39,827 大王さまのお母さまは 本当にお美しい方です でも… 146 00:12:39,994 --> 00:12:41,863 うん? (向)あっ いえ… 147 00:12:42,030 --> 00:12:45,733 そうか 向は母に会っているのだな 148 00:12:46,167 --> 00:12:49,671 お元気か? 母 太后は (向)はい 149 00:12:50,038 --> 00:12:52,206 お会いに なってらっしゃらないのですか? 150 00:12:52,674 --> 00:12:55,276 ああ もう随分 会っていない 151 00:12:55,877 --> 00:12:57,245 どうしてですか? 152 00:12:57,345 --> 00:13:01,883 大王さまと太后さまなら いつでもお会いになれるのでは? 153 00:13:03,818 --> 00:13:06,688 普通の王と太后ならば そうだろう 154 00:13:07,021 --> 00:13:09,891 だが 俺と母は そうじゃない 155 00:13:10,725 --> 00:13:14,696 そんなことすら難しい関係なのだ (向)えっ… 156 00:13:31,746 --> 00:13:33,014 大王さま… 157 00:13:34,148 --> 00:13:37,719 (昌文君) なに? 大王さまが後宮に? 158 00:13:37,952 --> 00:13:41,889 (昌文君)た… 太后さまに 直接 お会いに行かれたのか 159 00:13:41,990 --> 00:13:46,294 (肆氏)お前にすら相談せず 動かれていたとは意外だった 160 00:13:46,694 --> 00:13:49,030 (昌文君)おお… (壁)殿! 161 00:13:49,330 --> 00:13:50,999 い… いや… 162 00:13:51,099 --> 00:13:55,703 これは もはや 大王さまと太后さま お2人の問題だ 163 00:13:55,903 --> 00:13:58,239 殿… ひとつだけ お教えを 164 00:13:59,173 --> 00:14:02,143 (壁)そもそも なぜ母上である太后さまが― 165 00:14:02,243 --> 00:14:05,046 大王さまを お助けになられぬのですか? 166 00:14:05,813 --> 00:14:08,950 あのお2人の間には 一体 何が? 167 00:14:09,651 --> 00:14:11,252 (昌文君)あのお2人の間には― 168 00:14:11,352 --> 00:14:16,658 趙国(ちょうこく)の王都 邯鄲(かんたん)において 人質だったときの思い出しかない 169 00:14:17,759 --> 00:14:21,362 (昌文君)つまり 闇しかないのだ 170 00:14:22,797 --> 00:14:27,669 大王さまが9歳まで 趙国に お住まいだったことは知っています 171 00:14:28,136 --> 00:14:31,806 長平(ちょうへい)の戦いの仇敵(きゅうてき) 秦国(しんこく)の 王子として― 172 00:14:31,906 --> 00:14:34,976 日々 侮辱と虐待を受けていたことも 173 00:14:35,309 --> 00:14:40,381 ならば なおさら 母親として 守り 慈しむ立場だったのでは? 174 00:14:41,149 --> 00:14:45,253 太后さまが受けられた苦痛は それ以上だったのだ 175 00:14:47,088 --> 00:14:50,191 (昌文君) 夫である荘襄王(そうじょうおう)が 秦国に脱出され 176 00:14:50,291 --> 00:14:55,763 孤立無援となった太后さまは 周りの者 全てを憎悪した 177 00:14:56,931 --> 00:14:59,200 本当に 全ての者を 178 00:14:59,934 --> 00:15:02,904 人々の仕打ちに すさみきった太后さまは― 179 00:15:03,004 --> 00:15:05,273 ついに 心の糸が切れた 180 00:15:07,075 --> 00:15:10,011 そして ついに… 181 00:15:11,779 --> 00:15:14,315 我が子にまで手をかけたのだ 182 00:15:15,483 --> 00:15:19,387 (趙姫)政… 政… 死ね (政のうめき声) 183 00:15:24,092 --> 00:15:25,293 そんなバカな! 184 00:15:25,993 --> 00:15:29,831 実の母親が 我が子を殺(あや)めるなんて そんな… 185 00:15:29,931 --> 00:15:32,734 それでは あまりに大王さまが… 186 00:15:33,134 --> 00:15:38,906 (肆氏) そんな厳しい幼少期を送りながら 大王さまは よく立ち直られたな 187 00:15:39,874 --> 00:15:44,112 (昌文君)大王さまを 命懸けで闇から救い出した女がいた 188 00:15:44,912 --> 00:15:46,314 彼女がいなければ― 189 00:15:46,414 --> 00:15:50,918 大王さまは いまだ闇の中に いたままだったかもしれない 190 00:15:51,419 --> 00:15:52,420 (昌文君)しかし… 191 00:15:53,488 --> 00:15:57,058 今の大王さまでも 太后さまとの関係には― 192 00:15:57,158 --> 00:16:00,027 大きく影を落とされたままだ 193 00:16:00,495 --> 00:16:03,931 そんなお2人が 直接 顔を合わせる 194 00:16:04,031 --> 00:16:08,970 正直 会談が どこへ向かうのか 見当もつかぬ 195 00:16:14,942 --> 00:16:17,011 (太后)フフッ… どうした? 政 196 00:16:17,111 --> 00:16:21,115 久しぶりに会ったのだ もっと近くへ来ぬか 197 00:16:21,215 --> 00:16:24,085 それとも この母が怖いとでも? 198 00:16:24,519 --> 00:16:25,520 (政)いえ 199 00:16:31,359 --> 00:16:33,294 (太后)もっと近くへ 200 00:16:38,099 --> 00:16:39,367 もっと 201 00:16:43,104 --> 00:16:44,372 もっと 202 00:16:49,577 --> 00:16:51,045 (太后)もっと! 203 00:16:59,420 --> 00:17:03,090 へえ… さすがに私の息子だねえ 204 00:17:03,424 --> 00:17:09,297 ちょっと見ない間に 随分と いい男になったじゃないか 政 205 00:17:10,131 --> 00:17:13,234 母上も お変わりなく 206 00:17:17,138 --> 00:17:22,210 しかし お前から この私に 会いに来ることがあるなんてねえ 207 00:17:22,910 --> 00:17:26,848 あんたの思い描いたとおりに なったねえ 趙高 208 00:17:26,948 --> 00:17:29,283 (趙高)ハッ… いえ めっそうも… 209 00:17:29,383 --> 00:17:30,318 趙高… 210 00:17:31,085 --> 00:17:33,921 …で 何の用だい? 政 211 00:17:34,255 --> 00:17:37,959 おとぼけは おやめください 母上 (太后)うん? 212 00:17:38,526 --> 00:17:41,229 (政)玉璽の複製を いただきに上がりました 213 00:17:41,462 --> 00:17:44,232 お戯れにしては度が過ぎております 214 00:17:45,099 --> 00:17:49,604 このことが明るみに出れば 母上は国家反逆罪に問われます 215 00:17:50,037 --> 00:17:54,242 (太后) 国家反逆罪! それは大変だねえ 216 00:17:54,642 --> 00:17:57,278 しかし 私たち2人の間で― 217 00:17:57,378 --> 00:18:00,448 “国家反逆罪”なんて言葉が 出るなんて 218 00:18:00,548 --> 00:18:02,650 おかしいと思わないかい? 219 00:18:03,150 --> 00:18:08,389 (太后)趙で一緒に あんな生活を していた私たちの間でさ 220 00:18:09,523 --> 00:18:12,560 お前と私が邯鄲にいたころ― 221 00:18:12,960 --> 00:18:17,265 私たちへの攻撃は 想像を絶するものだった 222 00:18:17,899 --> 00:18:22,670 金の工面のアテもなく 2人とも その身を汚(けが)しながら食いつないだ 223 00:18:23,004 --> 00:18:25,239 文字どおり “身を汚しながら”ね 224 00:18:25,339 --> 00:18:28,276 地べたを這(は)いずるとは 正に あのことだよ 225 00:18:28,910 --> 00:18:32,013 だが そんな2人が 今は どうだい? 226 00:18:32,113 --> 00:18:36,517 お前は この秦国の大王で 私は太后 227 00:18:36,617 --> 00:18:40,655 形式上 この秦国では 私たちの上に立つ人間は― 228 00:18:40,955 --> 00:18:44,692 1人もいないという 最上の位置にある 229 00:18:45,960 --> 00:18:49,697 なんという 運命のいたずらだろうねえ 230 00:18:50,398 --> 00:18:55,202 (太后)どっかの学者が “運命は 天が定めしもの”とか言ってたけど 231 00:18:55,536 --> 00:18:58,005 それが もし本当なら… 232 00:19:01,175 --> 00:19:04,612 呪いの限り 天を切り裂いてやりたい気分だよ! 233 00:19:05,279 --> 00:19:11,519 (太后)ハハッ… ハハハハッ… お前も同じ気持ちなんだろう? 政 234 00:19:12,987 --> 00:19:15,122 教えてやろうか 趙高 235 00:19:15,222 --> 00:19:18,292 私たち親子が 互いに会おうとしないのは― 236 00:19:18,392 --> 00:19:22,129 あの地獄の日々を 思い出したくないからさ 237 00:19:22,563 --> 00:19:24,365 (太后)ねえ? 政 238 00:19:24,966 --> 00:19:28,135 玉璽の複製をお返しください 母上 239 00:19:28,569 --> 00:19:33,074 フッ… 玉璽か あんなおもちゃ どうでもいいよ 240 00:19:33,174 --> 00:19:36,344 欲しけりゃ 帰りに宦官どもから受け取りな 241 00:19:37,578 --> 00:19:41,349 どういうことなのですか? 母上 なぜ急に あんなことを… 242 00:19:41,549 --> 00:19:43,584 ああ 別に 243 00:19:43,684 --> 00:19:48,155 ただ 久しぶりに お前の顔が見たくなっただけだよ 244 00:19:50,124 --> 00:19:54,161 それでは 失礼します (太后)もう帰るのかい? 245 00:19:54,628 --> 00:20:00,167 てっきり 何か私に お願い事をしに 来たのかと思っていたけど 246 00:20:00,768 --> 00:20:04,538 いえ とても 聞き入れてもらえそうにないので 247 00:20:04,638 --> 00:20:07,074 やめておきます (太后)おやおや 248 00:20:07,174 --> 00:20:10,344 まだ何も聞いていないのに 随分だねえ 249 00:20:10,444 --> 00:20:15,783 それとも なにかい? ダメな母親に 頭は下げられないのかい? 250 00:20:16,450 --> 00:20:18,386 フッ… やってみなよ 251 00:20:19,587 --> 00:20:22,456 (太后)趙から秦へ移って9年 252 00:20:23,224 --> 00:20:27,094 少しは 何かが変わってるかもしれないよ 253 00:20:34,268 --> 00:20:36,137 (政)自身の不甲斐(ふがい)なさから― 254 00:20:36,237 --> 00:20:40,441 王という身でありながら 実権は呂不韋丞相のもとにあります 255 00:20:40,541 --> 00:20:43,477 いま正に その勢力と争っていますが 256 00:20:43,577 --> 00:20:45,513 苦戦が続いております 257 00:20:46,380 --> 00:20:51,619 どうか 後宮勢力の力を 私にお貸しください 母上 258 00:21:00,094 --> 00:21:02,830 フッ… 相分かった 259 00:21:03,330 --> 00:21:05,633 (太后)もう下がってよいぞ 260 00:21:05,833 --> 00:21:10,137 (太后)追って返事を送るゆえ 楽しみにしておれ 261 00:21:22,583 --> 00:21:25,319 あの… 聞いてもよろしいですか? 262 00:21:26,220 --> 00:21:27,221 何だ? 263 00:21:27,721 --> 00:21:30,124 (向) おウワサを耳にしただけですが 264 00:21:30,591 --> 00:21:34,862 “大王さまには恩人がおられる”と (政)恩人? 265 00:21:35,496 --> 00:21:38,632 確か… “ヒカさん”とかおっしゃる…