1 00:00:04,704 --> 00:00:05,638 (信(しん))ウワッ! 2 00:00:07,607 --> 00:00:08,775 (信)あっ お前は… 3 00:00:09,376 --> 00:00:11,544 (笑い声) 4 00:00:18,084 --> 00:00:20,754 (貂(てん)) 抜け道を知っている ついてこい 5 00:00:22,789 --> 00:00:24,591 (ナレーター)古代中国 6 00:00:24,691 --> 00:00:29,562 聖者の時代は終わりを告げ 人間の欲望は解放されていた 7 00:00:30,030 --> 00:00:32,565 戦乱の嵐が 500年にわたって吹き荒れ 8 00:00:32,665 --> 00:00:35,769 100を超えた国々は 7つに淘汰(とうた)された 9 00:00:36,069 --> 00:00:38,772 そして今 西の果ての国 秦(しん)から― 10 00:00:39,072 --> 00:00:41,641 大いなる歴史が 生まれようとしている 11 00:00:42,108 --> 00:00:44,244 これは 戦乱の時代を生き抜いた― 12 00:00:44,344 --> 00:00:48,681 名もなき少年と若き王の 激動の物語である 13 00:00:48,782 --> 00:00:49,816 ンンッ! 14 00:00:50,350 --> 00:00:53,686 ♪~ 15 00:02:12,765 --> 00:02:18,471 ~♪ 16 00:02:25,445 --> 00:02:26,679 (政(せい))抜け道だと? 17 00:02:29,215 --> 00:02:31,851 軍の包囲を逃(のが)れる抜け道があるのか 18 00:02:32,619 --> 00:02:36,189 当然だ ここは お尋ね者たちの村だぞ 19 00:02:36,289 --> 00:02:39,692 地面の下は 抜け道だらけで迷子になるほどだ 20 00:02:40,226 --> 00:02:42,695 待て! こいつは信用できねえ! 21 00:02:44,230 --> 00:02:46,299 ンンッ! (貂)アア… 22 00:02:46,566 --> 00:02:50,203 こいつのせいで 俺は村の連中に囲まれた! 23 00:02:50,503 --> 00:02:52,739 まず こいつから片づけてやる! 24 00:02:52,839 --> 00:02:56,476 ハッ… (政)なぜ俺たちを助ける? 25 00:02:58,578 --> 00:03:00,813 (貂) あんたらの話をこっそり聞いてた 26 00:03:00,914 --> 00:03:05,718 王さまなんだろう? あんた …てことは大金持ちだ 27 00:03:06,452 --> 00:03:08,955 金目当てか (貂)悪いか? 28 00:03:09,522 --> 00:03:12,625 悪くない そのほうが信用できる 29 00:03:12,926 --> 00:03:16,896 おいおいおい! こんな名前も分かんねえ― 30 00:03:17,196 --> 00:03:20,800 得体(えたい)の知れねえガキンチョの どこが信用できるんだよ? 31 00:03:23,236 --> 00:03:25,338 俺の名は… (信)えっ… 32 00:03:25,471 --> 00:03:28,241 俺の名は 河了貂(かりょうてん)なり! 33 00:03:35,748 --> 00:03:41,454 (貂)ちゃんと名前も名乗った どうする? もう時間がないぞ 34 00:03:41,588 --> 00:03:44,924 よし! 河了 案内しろ (貂)“貂”でいいよ 35 00:03:45,225 --> 00:03:47,827 お… おい! ホントに大丈夫なのか? 36 00:03:47,927 --> 00:03:51,497 (村人の悲鳴) 37 00:03:51,598 --> 00:03:52,465 (刺す音) 38 00:03:53,766 --> 00:03:55,468 (斬る音) (村人)アアッ! 39 00:03:57,337 --> 00:03:58,638 (斬る音) (村人)アアッ! 40 00:03:58,738 --> 00:03:59,806 (倒れる音) 41 00:04:02,709 --> 00:04:04,310 こっち こっち! 42 00:04:04,410 --> 00:04:08,715 真っ暗だけど 壁伝いに歩いて 途中で火をつけるから 43 00:04:10,316 --> 00:04:11,684 (ぶつかる音) (信)いてっ! おい ガキンチョ 44 00:04:11,784 --> 00:04:12,719 火は まだか? 45 00:04:12,819 --> 00:04:14,887 (貂) ガキンチョじゃない “貂”だ 46 00:04:14,988 --> 00:04:16,289 (火打ち石の音) 47 00:04:31,337 --> 00:04:33,339 (信)お… おい お前 48 00:04:34,040 --> 00:04:35,608 ケガしてんのか? 49 00:04:35,708 --> 00:04:39,512 俺の血じゃない 上の血だ (信)えっ? 上? 50 00:04:40,580 --> 00:04:41,581 ウワッ! 51 00:04:42,615 --> 00:04:44,617 (血の滴る音) 52 00:04:44,751 --> 00:04:49,055 ひでえ… 軍のヤツら 村中 皆殺しにする気だ 53 00:04:49,656 --> 00:04:50,890 あっ… 54 00:04:50,990 --> 00:04:53,793 おい 貂! お前 家族とか いいのか? 55 00:04:53,893 --> 00:04:55,595 上で殺されてるぞ 56 00:04:55,862 --> 00:04:57,864 そんなの いねえよ (信)えっ? 57 00:04:57,964 --> 00:05:00,533 ところでさ 信は王さまの一族なのか? 58 00:05:00,633 --> 00:05:02,802 はぁ? …んなわけねえだろう 59 00:05:02,902 --> 00:05:06,673 だよな! どっから どう見ても ド平民だもんな 60 00:05:06,773 --> 00:05:10,743 かなり気合いの入った (信)悪かったな! 61 00:05:11,010 --> 00:05:13,613 じゃ なんで 王さま相手にタメグチなんだ? 62 00:05:13,713 --> 00:05:17,483 態度も悪いし 頭悪いの? 63 00:05:17,950 --> 00:05:20,753 お… お前だって そうじゃねえか! 64 00:05:21,621 --> 00:05:26,626 俺? 俺はいいの その人は俺の王さまじゃないから 65 00:05:26,759 --> 00:05:27,760 はぁ? 66 00:05:28,394 --> 00:05:30,563 (貂)俺は秦国の人間じゃない 67 00:05:30,663 --> 00:05:34,367 はるか西の山の民だ (信)ふ~ん… 68 00:05:34,467 --> 00:05:37,737 (貂)なぜだか知らないけど 一族の山から追放されて 69 00:05:37,837 --> 00:05:41,974 黒卑村(こくひむら)に流れ着いたらしい もう みんな死んじゃったけどね 70 00:05:42,608 --> 00:05:47,480 お前 山の民か! 初めて見た だから 変な格好してんだ? 71 00:05:48,347 --> 00:05:51,884 あっ! 今 お前 ちょっと俺を下に見たな? 72 00:05:52,452 --> 00:05:54,387 おお? なんだ? やんのか? 73 00:05:54,921 --> 00:06:00,393 (貂)山の民をナメんなよ! 1発ぐらい 殴らせろ! 74 00:06:01,060 --> 00:06:01,994 (貂)あっ! 75 00:06:03,463 --> 00:06:04,931 遊んでないで 急ぐぞ 76 00:06:10,603 --> 00:06:13,005 くそ… 何やってんだ? 俺は 77 00:06:14,373 --> 00:06:15,775 (信)こいつのせいだぞ 78 00:06:16,976 --> 00:06:18,511 こいつのせいで… 79 00:06:20,146 --> 00:06:22,148 漂(ひょう)は死んだんだ 80 00:06:22,682 --> 00:06:23,616 ハッ… 81 00:06:25,485 --> 00:06:28,020 な… 何でもねえよ 82 00:06:35,128 --> 00:06:38,831 あとだ 上のヤツらをまいて… 83 00:06:39,966 --> 00:06:44,971 ジャマがなくなったあとで こいつとの決着をつけてやる 84 00:06:49,909 --> 00:06:52,411 (兵士A) 村中をくまなく捜索いたしましたが 85 00:06:52,512 --> 00:06:56,516 ご命令の人相に合致する少年は 見つかりませんでした 86 00:06:56,716 --> 00:06:57,950 (副官)どういうことだ? 87 00:06:58,885 --> 00:07:00,653 我らが到着する前に― 88 00:07:00,753 --> 00:07:04,090 裏の山に逃げ込んだか 川沿いに落ち延びたか 89 00:07:04,190 --> 00:07:08,628 あるいは 秘密の抜け穴のような ものがあるのかもしれません 90 00:07:08,728 --> 00:07:11,964 (魏興(ぎこう))ならば 全軍を挙げ 手分けして捜し出せ! 91 00:07:12,532 --> 00:07:13,699 (兵士A)はっ! 92 00:07:14,734 --> 00:07:16,702 (副官) やっかいなことになりましたなぁ 93 00:07:16,803 --> 00:07:21,174 (魏興)うむ… こうなれば あの男の力も借りねばなるまい 94 00:07:22,108 --> 00:07:24,177 (副官)あの男とは もしや… 95 00:07:25,645 --> 00:07:27,146 ムタを呼べ 96 00:07:28,214 --> 00:07:29,215 あれ? 97 00:07:30,183 --> 00:07:35,054 ところで 王さま なんで こんな所で兵隊に追われてんの? 98 00:07:35,621 --> 00:07:39,659 (信)弟が反乱を起こしたのさ 醜い兄弟だぜ 99 00:07:43,463 --> 00:07:47,033 でも 変じゃねえ? (信)何がだよ? 100 00:07:47,133 --> 00:07:51,537 だってさ 反乱が起こるのを知ってたから― 101 00:07:51,637 --> 00:07:55,908 替え玉を用意して 黒卑村に隠れてたんだろう? 102 00:07:59,245 --> 00:08:04,116 知ってたんなら 反乱が起こる前に たたきつぶしゃいいじゃん 103 00:08:06,219 --> 00:08:07,487 なんで そんなに― 104 00:08:07,587 --> 00:08:11,023 逃げ腰満点なのさ? 王さまのくせに 105 00:08:12,091 --> 00:08:13,092 確かに 106 00:08:15,561 --> 00:08:17,096 貂! (貂)ハッ… 107 00:08:18,998 --> 00:08:20,233 何スか? 108 00:08:20,533 --> 00:08:24,504 (政) 反乱を未然に防げなかったのは 俺に力がなかった 109 00:08:25,838 --> 00:08:27,273 それだけのことだ 110 00:08:30,142 --> 00:08:34,714 俺の祖父 孝文王(こうぶんおう)は 在位 僅か3日で世を去った 111 00:08:36,582 --> 00:08:40,720 次に王となった父 荘襄王(そうじょうおう)も 3年で死んだ 112 00:08:42,889 --> 00:08:47,894 (政)おかげで 去年 俺は 僅か13歳で王位に就いた 113 00:08:58,538 --> 00:09:02,708 当然 子供に 王の務めなど果たせるはずもなく 114 00:09:02,808 --> 00:09:05,745 俺は ただ玉座にある飾りとなった 115 00:09:07,313 --> 00:09:08,748 王宮は もはや― 116 00:09:08,848 --> 00:09:12,184 私利私欲に燃える大臣たちの 争いの場でしかない 117 00:09:13,920 --> 00:09:18,190 中でも 大きな権力を握ったのは 右丞相(うじょうしょう)の呂氏(りょし) 118 00:09:20,159 --> 00:09:24,263 呂氏は 俺の後ろ盾となり 更に その勢いを強めた 119 00:09:26,032 --> 00:09:28,935 2番手は 左丞相(さじょうしょう)の竭氏(けつし) 120 00:09:30,069 --> 00:09:33,873 この両者を軸に 王宮内は真っ二つに割れ 121 00:09:33,973 --> 00:09:36,242 血で血を洗う争いが続いた 122 00:09:36,709 --> 00:09:39,946 フン… 大臣ってのはバカばっかだな 123 00:09:40,746 --> 00:09:45,918 うん? ちょっと待てよ 大臣同士の争いに… なんでだ? 124 00:09:46,018 --> 00:09:48,821 どうして 王のお前が巻き込まれたんだ? 125 00:09:50,156 --> 00:09:53,593 ひそかに 玉座を狙っていた弟の成蟜(せいきょう)が― 126 00:09:56,062 --> 00:09:59,332 2番手勢力の竭氏と 手を結んだからだ 127 00:10:02,335 --> 00:10:04,337 そして 成蟜と竭氏は― 128 00:10:05,705 --> 00:10:09,609 俺の後ろ盾である呂氏が 配下の者を率いて― 129 00:10:09,709 --> 00:10:12,912 隣の魏国(ぎこく)への 遠征に趣いた留守を狙って… 130 00:10:14,246 --> 00:10:15,881 (斬る音) (女性)アアッ! 131 00:10:17,350 --> 00:10:19,285 今回の反乱を起こした 132 00:10:22,722 --> 00:10:26,826 (貂)でもさ 成蟜や竭氏の 味方ばっかりになった王宮から― 133 00:10:26,926 --> 00:10:31,163 王さまだけ よく逃げられたね (政)俺だけではない 134 00:10:32,632 --> 00:10:38,070 敵だらけの王宮にあって ただ1人 俺に忠義を厚くする男がいる 135 00:10:39,672 --> 00:10:43,275 今は文官として 俺の教育官を務めているが 136 00:10:43,943 --> 00:10:47,647 若いころは 戦陣で矛を振るった英傑 137 00:10:49,315 --> 00:10:51,283 その名を昌文君(しょうぶんくん)という 138 00:10:52,251 --> 00:10:53,285 昌文君? 139 00:10:54,286 --> 00:10:56,656 (信)漂を連れてったおっさんか! 140 00:10:58,024 --> 00:11:01,160 (政)自分の配下の兵士だけでは 竭氏を鎮められないと― 141 00:11:01,260 --> 00:11:05,998 判断した昌文君は 王宮からの脱出計画を練った 142 00:11:09,168 --> 00:11:10,369 脱出の際― 143 00:11:10,670 --> 00:11:14,940 俺たちが離れ離れになった場合の 合流地をいくつか作った 144 00:11:16,742 --> 00:11:19,412 黒卑村は そのひとつだった 145 00:11:21,447 --> 00:11:22,314 しかし― 146 00:11:23,249 --> 00:11:26,318 その卑黒村からの帰り道で 昌文君は― 147 00:11:27,153 --> 00:11:31,223 俺と瓜二(うりふた)つの少年 漂と 出会ってしまった 148 00:11:36,796 --> 00:11:42,968 漂の出現で 黒卑村は 脱出時の緊急合流地ではなく― 149 00:11:43,069 --> 00:11:46,138 漂と入れ替わった俺の 隠れ家(が)となった 150 00:11:48,340 --> 00:11:50,443 そうか! “あの小屋には―” 151 00:11:50,743 --> 00:11:54,413 “恐ろしい伝染病にかかった人間が いる”っていうウワサが流れて 152 00:11:54,713 --> 00:11:57,450 俺たち 誰も近づかないようにしてたけど 153 00:11:57,750 --> 00:11:59,919 あのウワサは 王さまを隠すために 154 00:12:00,019 --> 00:12:03,322 昌文君ってヤツが 流したウソだったのか 155 00:12:04,190 --> 00:12:08,494 (政) 脱出計画に自信があった昌文君に してみれば 黒卑村も― 156 00:12:09,261 --> 00:12:13,265 漂という影も 全てが 万が一のためだった 157 00:12:14,433 --> 00:12:20,106 しかし その“万が一”のおかげで 俺は まだ生きている 158 00:12:21,107 --> 00:12:24,009 まあ あんたは選べないからな 159 00:12:24,844 --> 00:12:27,012 (信)ちょ… ちょっと待てよ 160 00:12:28,214 --> 00:12:31,016 “万が一のため”だと? 161 00:12:32,151 --> 00:12:33,853 (信)“万が一の”… 162 00:12:34,420 --> 00:12:36,422 “おかげ”だと? 163 00:12:37,156 --> 00:12:38,424 ウオーッ! 164 00:12:38,858 --> 00:12:40,192 (殴る音) 165 00:12:43,229 --> 00:12:44,296 (殴る音) 166 00:12:44,797 --> 00:12:46,832 ふざけんじゃねえ! 167 00:12:47,133 --> 00:12:48,234 (殴る音) 168 00:12:48,334 --> 00:12:52,071 お前ら 漂の命を何だと思ってやがる! 169 00:12:52,338 --> 00:12:53,439 やめろよ 信! 170 00:12:53,539 --> 00:12:56,142 (ぶつかる音) ウワッ! ウッ… 171 00:12:56,275 --> 00:12:58,944 (殴る音) 172 00:12:59,145 --> 00:13:01,947 よくも… よくも漂を! (殴る音) 173 00:13:02,815 --> 00:13:04,550 やめろ 信! 174 00:13:05,151 --> 00:13:09,255 それ以上やったら 王さま 死んじゃうよ! 175 00:13:09,455 --> 00:13:11,957 漂の敵(かたき)だ! 176 00:13:14,527 --> 00:13:18,264 (うめき声) 177 00:13:18,397 --> 00:13:20,833 (うめき声) 178 00:13:20,933 --> 00:13:24,069 (政)お前 いいかげんにしろ 179 00:13:24,937 --> 00:13:30,176 俺は戦をしてるんだ それも かなり分の悪い戦をな 180 00:13:30,543 --> 00:13:31,577 戦? 181 00:13:32,311 --> 00:13:36,215 (政)利用できるならば ダマそうが 何をしようが― 182 00:13:36,315 --> 00:13:39,585 あらゆる手段を利用し尽くす (信)な… なんだと? 183 00:13:40,119 --> 00:13:43,189 だが あいつは それを分かっていた 184 00:13:44,256 --> 00:13:46,926 分かっていて あえて… 185 00:13:49,862 --> 00:13:53,199 (漂)身代わりに? (昌文君)心配することはない 186 00:13:53,566 --> 00:13:59,038 竭氏たちには気づかれぬように 脱出の手だては万全を期す 187 00:13:59,471 --> 00:14:03,108 反乱の刃(やいば)が王の身に届くことは 絶対にない 188 00:14:03,409 --> 00:14:07,913 (昌文君)ただ 念には念を 入れておきたいというわけだ 189 00:14:08,013 --> 00:14:10,516 (政)ごまかすな 昌文君 (漂)ハッ… 190 00:14:12,184 --> 00:14:13,385 (昌文君)大王… 191 00:14:14,320 --> 00:14:16,889 (政)“自信はあっても 絶対の確信はないから―” 192 00:14:16,989 --> 00:14:21,560 “影を必要としている” はっきり そう言え 193 00:14:24,129 --> 00:14:26,532 (政)漂とか言ったな よく聞け 194 00:14:27,533 --> 00:14:30,536 この計画に 安全の保証というものはない 195 00:14:31,203 --> 00:14:35,040 もしかしたら 敵の刃は お前に届くやもしれぬ 196 00:14:36,041 --> 00:14:40,646 そのとき お前は 俺と間違われて 殺される 197 00:14:45,417 --> 00:14:46,952 声も出ぬか 198 00:14:47,553 --> 00:14:48,621 漂… 199 00:14:49,288 --> 00:14:55,060 (漂)あ… あの… 昌文君さま (昌文君)うん? な… 何じゃ? 200 00:14:55,995 --> 00:14:59,064 大王さまに 申し上げてもよろしいでしょうか? 201 00:14:59,632 --> 00:15:01,333 (昌文君)何を言っておるか 202 00:15:01,433 --> 00:15:03,969 身の程をわきまえよ 漂! (政)許す 203 00:15:05,337 --> 00:15:09,275 (政)面(おもて)を上げて 遠慮なく申せ (昌文君)だ… 大王… 204 00:15:10,409 --> 00:15:13,178 (漂)田舎の村の下僕が 王宮に仕えるなど― 205 00:15:13,512 --> 00:15:16,982 よほど大変なことが待っていると 覚悟して まいりましたが 206 00:15:18,083 --> 00:15:21,620 まさか これほど 大切な任務をお受けできるとは… 207 00:15:24,189 --> 00:15:25,991 夢にも思いませんでした 208 00:15:26,225 --> 00:15:28,394 漂! では そなた… 209 00:15:29,495 --> 00:15:31,497 死ぬかもしれないのだぞ? 210 00:15:32,064 --> 00:15:34,233 (漂)“歴史に名を残す大将軍” 211 00:15:35,134 --> 00:15:39,071 (漂)友と2人 身の程を わきまえぬ大きな望みがあります 212 00:15:39,538 --> 00:15:42,408 もとより 全てを懸ける覚悟です 213 00:15:43,976 --> 00:15:47,046 (政) 漂は 危険を承知で引き受けた 214 00:15:47,713 --> 00:15:50,516 (政)死をも いとわぬ覚悟で 引き受けたんだ! 215 00:15:51,283 --> 00:15:54,520 普通に生活していては 絶対に手に入らない― 216 00:15:55,387 --> 00:15:58,190 大きなものを手に入れるためにな! 217 00:15:58,290 --> 00:16:00,159 (せきこみ) 218 00:16:01,627 --> 00:16:04,163 だけど あいつは… 219 00:16:05,097 --> 00:16:06,532 失敗した 220 00:16:07,967 --> 00:16:09,401 (政)それだけだ 221 00:16:11,203 --> 00:16:15,507 (泣き声) 222 00:16:15,641 --> 00:16:18,510 (泣き声) 223 00:16:18,644 --> 00:16:22,548 (信の泣き声) 224 00:16:22,648 --> 00:16:26,118 (風の音) 225 00:16:27,052 --> 00:16:28,120 (政)風? 226 00:16:28,487 --> 00:16:32,658 出口が近いのか? (貂)えっ? うん すぐそこ 227 00:16:34,593 --> 00:16:38,464 ああっ! ちょ… ちょっと待ちなよ まだ信が… 228 00:16:38,564 --> 00:16:43,235 信 漂の弔いは その涙で最後にしておけ 229 00:16:44,103 --> 00:16:46,105 これから先は お前の道だ 230 00:16:48,107 --> 00:16:52,745 お前は今 2つの岐路にある 村に帰って 下僕を続けるか 231 00:16:53,445 --> 00:16:57,683 力なき王を助け 共に過酷な戦の荒野を歩むか 232 00:16:58,517 --> 00:17:02,688 どちらが お前らのバカげた夢に 近いかは 言うに及ばんな 233 00:17:20,472 --> 00:17:21,707 夜が明ける 234 00:17:23,242 --> 00:17:26,578 (竭氏) 大王の姿が見当たらないとは どういうことだ? 235 00:17:27,079 --> 00:17:31,483 (廷臣A)そ… それが 村の地下に 抜け道があったとのことで… 236 00:17:31,583 --> 00:17:33,685 現在 全力で捜索を 237 00:17:33,819 --> 00:17:36,722 (竭氏)おのれ 昌文君め! 238 00:17:36,822 --> 00:17:41,293 何か動いておるとは知っていたが ここまで準備していたとは 239 00:17:42,094 --> 00:17:46,298 問題は昌文君だ ヤツは侮れん 240 00:17:46,398 --> 00:17:49,301 王に加えて 昌文君の行方も捜せ! 241 00:17:49,401 --> 00:17:52,704 (王騎(おうき))その必要はありませんよ (竭氏)うん? 242 00:17:52,838 --> 00:17:54,706 (廷臣たち)オオッ… 243 00:18:04,349 --> 00:18:06,318 (王騎)ンフッ… 244 00:18:06,752 --> 00:18:12,324 この大事なときに どこで 何をしていたのだ? 王騎将軍 245 00:18:12,591 --> 00:18:14,526 “何を”って… 246 00:18:14,626 --> 00:18:19,364 ちょ~っと外で遊んでたんですよ (竭氏)フン… 247 00:18:19,865 --> 00:18:24,336 して 昌文君を捜す必要がないとは どういう意味かな? 248 00:18:24,503 --> 00:18:26,371 ンフッ… 249 00:18:26,472 --> 00:18:27,339 (貂)はぁ? 250 00:18:27,473 --> 00:18:30,442 はぁ~? 251 00:18:32,611 --> 00:18:35,214 (貂) 金がないって どういうことだよ? 252 00:18:35,314 --> 00:18:37,549 (政)小屋に置いてきた (貂)俺 最初に― 253 00:18:37,649 --> 00:18:40,185 “金目当てだ”って言ったよな? (政)ああ 254 00:18:40,285 --> 00:18:43,155 (貂)じゃ “金持ってねえ”って なんで言わなかったんだよ? 255 00:18:43,255 --> 00:18:47,259 (政)心配するな 王宮に 帰ったら 大金を用意しておく 256 00:18:47,459 --> 00:18:49,328 折を見て 取りに来るといい 257 00:18:49,428 --> 00:18:54,366 (貂)“王宮に帰ったら”って 一体 いつ帰れるんだよ? 258 00:18:55,134 --> 00:18:56,735 分かるわけがない 259 00:18:57,402 --> 00:19:00,873 なんとか食いつなげ お前ならできる… 多分 260 00:19:01,173 --> 00:19:02,541 あっ あっ… ああっ! 261 00:19:02,641 --> 00:19:05,777 ひでえ ひでえ! それでも人間かよ! 262 00:19:07,246 --> 00:19:09,381 (信)おい 政! (政)政? 263 00:19:10,249 --> 00:19:13,385 王宮に帰るっつっても どうやって帰るんだよ? 264 00:19:13,485 --> 00:19:14,887 向こうは軍隊持ってて 265 00:19:17,189 --> 00:19:20,692 こっちは お前と俺の2人だけだ (貂)えっ? 266 00:19:21,593 --> 00:19:24,596 お… おい 信 お前 まさか この王さまに… 267 00:19:24,696 --> 00:19:26,431 ああ ついていく 268 00:19:26,532 --> 00:19:30,302 だが 勘違いするなよ 漂のことを忘れたわけじゃねえ 269 00:19:30,435 --> 00:19:33,305 (信)王であるお前に ひざまずくわけでもねえ 270 00:19:34,273 --> 00:19:39,211 俺と漂の道のために お前を利用するだけだ 271 00:19:39,444 --> 00:19:42,481 フン… 今更 へりくだられても 気持ちが悪い 272 00:19:44,483 --> 00:19:47,920 それに 俺も お前を家来だなんて思いはしない 273 00:19:48,487 --> 00:19:52,524 危険を避けるための ただの剣だ 折れたら捨てていくぞ 274 00:19:53,525 --> 00:19:57,196 上等だ この野郎! (貂)ケケケのケ~! 275 00:19:57,663 --> 00:20:00,332 …で どうやって王宮に帰んのさ? 276 00:20:01,600 --> 00:20:04,336 この森の先に 最後の合流地がある 277 00:20:05,270 --> 00:20:08,740 そこで合流するしかない 昌文君と 278 00:20:11,210 --> 00:20:15,581 (肆氏(しし)) 黒卑村より 報告が入りました “やはり王は生きており―” 279 00:20:15,681 --> 00:20:20,752 “軍の包囲を脱出して 姿をくらましました”とのこと 280 00:20:21,320 --> 00:20:22,754 しぶとい王め! 281 00:20:23,455 --> 00:20:26,925 (竭氏)まあよい いちばんの問題であった昌文君は 282 00:20:27,226 --> 00:20:28,660 もうおらぬ (肆氏)うむ? 283 00:20:29,261 --> 00:20:30,929 危ない男であった 284 00:20:31,230 --> 00:20:35,234 あやつのせいで 今度の反乱は 失敗に終わるところであった 285 00:20:35,334 --> 00:20:37,970 (肆氏) もともと戦場で名を馳(は)せた武人 286 00:20:38,270 --> 00:20:41,506 厳重に警戒しておくべきでした (竭氏)フン… 287 00:20:41,607 --> 00:20:45,611 して その昌文君を誰が討ち取ったと… 288 00:20:45,877 --> 00:20:47,379 あの男よ 289 00:20:53,518 --> 00:20:54,886 王騎将軍! 290 00:20:55,787 --> 00:20:58,890 (肆氏) 伝説の大将軍が 我らに加勢を? 291 00:20:59,391 --> 00:21:04,896 ヤツは 昌文君の領地を得(う)ることを 条件に参戦してきおった 292 00:21:05,831 --> 00:21:11,503 (竭氏) それだけの領土で あの男を 味方にできるなら安いものだ 293 00:21:11,703 --> 00:21:14,439 王騎将軍は得体の知れぬお方です 294 00:21:14,539 --> 00:21:18,410 信用しすぎると 大ケガをいたしますぞ 295 00:21:19,011 --> 00:21:20,412 大ケガ? 296 00:21:21,446 --> 00:21:26,418 他人のことより 自分の首を 心配したほうがよいのではないか? 297 00:21:29,288 --> 00:21:30,989 王のことは お任せを 298 00:21:31,290 --> 00:21:33,859 うってつけの刺客が 追跡に向かっております 299 00:21:33,959 --> 00:21:38,664 朱凶(しゅきょう)が返り討ちに遭ったと聞いたぞ 大丈夫なのであろうな? 300 00:21:38,864 --> 00:21:43,835 ご安心を 王を追跡する刺客は ムタです 301 00:21:43,969 --> 00:21:49,341 (においを嗅ぐ音) 302 00:21:49,541 --> 00:21:52,544 (魏興) お前の出番が来たようだ ムタ 303 00:21:52,978 --> 00:21:56,882 (ムタ)追跡だべな ご主人さま (魏興)うむ… 304 00:21:57,416 --> 00:21:59,618 (ムタ)ムタの鼻は脅威だべ 305 00:21:59,718 --> 00:22:03,755 逃げてるのは小僧っ子3人だべ (魏興)3人? 306 00:22:03,989 --> 00:22:08,460 (ムタ)ムタの足は脅威だべ きっと すぐに追いつくべ 307 00:22:08,827 --> 00:22:11,663 (兵士B)フッ… ホントに こいつが刺客かよ? 308 00:22:11,830 --> 00:22:12,831 うん? 309 00:22:13,665 --> 00:22:15,434 (吹き矢の音) ハッ… 310 00:22:18,437 --> 00:22:19,871 いきなり外してるし 311 00:22:20,806 --> 00:22:23,508 外してねえべ (兵士B)えっ? 312 00:22:23,909 --> 00:22:28,080 (うめき声) 313 00:22:28,914 --> 00:22:31,717 (兵士たち)ウワッ… (ざわめき) 314 00:22:31,817 --> 00:22:35,587 (ムタ)わざと ほっぺたを かするように狙ったんだべ 315 00:22:35,687 --> 00:22:37,389 それで十分だべ 316 00:22:38,390 --> 00:22:41,393 ムタの毒矢は脅威だべ 317 00:22:41,526 --> 00:22:45,764 それくらいにしておけ ムタ (ムタ)んだな 318 00:22:45,864 --> 00:22:49,434 (魏興) お前の力は 俺が よく知ってる 319 00:22:49,534 --> 00:22:51,703 早く行け! (ムタ)んだ! 320 00:22:51,803 --> 00:22:55,006 小僧っ子 見つけて 毒矢で殺して 321 00:22:55,140 --> 00:22:57,142 この まさかりで… 322 00:22:58,643 --> 00:23:01,012 小首を3つ取ってくるだ 323 00:23:01,546 --> 00:23:04,816 (ムタ)んだ んだ んだ 324 00:23:05,083 --> 00:23:09,921 んだーっ! 325 00:23:11,890 --> 00:23:17,429 ♪~ 326 00:24:32,671 --> 00:24:38,910 ~♪ 327 00:24:41,146 --> 00:24:45,483 (政) 言ったはずだ “ただの剣だ”と “折れたら捨てていく”と 328 00:24:45,584 --> 00:24:50,989 (ナレーター) 反発する魂が共鳴を起こした そして 運命の歯車が回り始める 329 00:24:51,623 --> 00:24:53,692 次回 “王と剣”