1 00:00:00,000 --> 00:00:06,000 ♪〜 2 00:01:22,290 --> 00:01:28,330 〜♪ 3 00:01:47,560 --> 00:01:50,400 (アズマ)レストルームか? (訓練生1)…のようだな 4 00:01:52,440 --> 00:01:53,650 (訓練生1)追うか? 5 00:01:53,780 --> 00:01:55,030 (アズマ)まあ 待て 6 00:01:56,740 --> 00:01:59,700 トイレ内の壁と床は 全面タイル張り 7 00:01:59,820 --> 00:02:03,700 窓は はめ殺しで 外側にアルミの格子がはまってる 8 00:02:03,830 --> 00:02:08,000 彼女なら簡単に破れると思うが 手荒なことはしないだろう 9 00:02:38,700 --> 00:02:40,160 (トグサ)暑いなあ 10 00:02:41,570 --> 00:02:43,370 (トグサ)ほら お土産 11 00:02:43,490 --> 00:02:44,740 ビール? 12 00:02:44,870 --> 00:02:46,410 いいよなあ 体内プラントで アルコール分解できる奴は 13 00:02:46,410 --> 00:02:47,750 (バトーのげっぷ) いいよなあ 体内プラントで アルコール分解できる奴は 14 00:02:47,750 --> 00:02:48,910 いいよなあ 体内プラントで アルコール分解できる奴は 15 00:02:50,120 --> 00:02:52,380 それにしても 新規採用のテスト— 16 00:02:52,500 --> 00:02:54,840 難易度設定が 間違ってるんじゃないの? 17 00:02:54,960 --> 00:02:58,340 (バトー)バカ言え この程度を突破できねえのは— 18 00:02:58,470 --> 00:03:00,760 訓練生の質が悪いってことだろ? 19 00:03:00,890 --> 00:03:02,680 まあ そりゃそうなんだけどさ 20 00:03:07,020 --> 00:03:08,600 (素子(もとこ))バトー (バトー)何だ? 21 00:03:08,730 --> 00:03:10,140 (素子)今 何してる? 22 00:03:10,270 --> 00:03:12,480 (バトー)コーヒー飲みながら 新聞読んでる 23 00:03:12,610 --> 00:03:14,570 (素子)あなたじゃなくて 彼らのことよ 24 00:03:15,520 --> 00:03:19,280 (バトー)だから その彼らさ すっかりくつろいでるよ 25 00:03:21,780 --> 00:03:23,990 (素子)偽の記憶を かまされたりするかもって— 26 00:03:24,120 --> 00:03:26,620 発想 ないのかしら? 27 00:03:26,740 --> 00:03:28,950 (バトー)そんなのは 最初に教えたよ 28 00:03:29,540 --> 00:03:31,080 (素子)残りの人数は? 29 00:03:31,210 --> 00:03:32,500 (バトー)3組6名 30 00:03:32,630 --> 00:03:34,920 (素子)次 行くわよ (バトー)了解 31 00:03:35,040 --> 00:03:38,840 (セミの鳴き声) 32 00:03:38,920 --> 00:03:41,720 (船のエンジン音) 33 00:03:42,890 --> 00:03:44,140 (素子)これで最後? 34 00:03:44,260 --> 00:03:46,260 (バトー)ああ 残念ながらな 35 00:04:34,190 --> 00:04:37,360 (子供たちの騒ぎ声) 36 00:04:46,660 --> 00:04:49,080 (訓練生2)申し訳ありません ターゲットをロストしました 37 00:04:49,200 --> 00:04:53,080 (バトー)ほう で どうするんだ? これから 38 00:04:53,210 --> 00:04:55,080 (訓練生2) もう一度 捜索してみますが… 39 00:04:55,210 --> 00:04:57,630 (バトー)あっ そう じゃあ 頑張れや 40 00:04:58,210 --> 00:04:59,880 (トグサ)冷たいんじゃないの? 41 00:05:00,000 --> 00:05:01,340 (バトー)同情してどうする 42 00:05:01,460 --> 00:05:02,550 (エンジンをかける音) 43 00:05:03,090 --> 00:05:05,840 (バトー)少佐 終わりだ 帰ろうぜ 44 00:05:06,890 --> 00:05:08,140 少佐? 45 00:05:09,850 --> 00:05:11,060 (トグサ)少佐? 46 00:05:12,020 --> 00:05:13,890 つながらねえ 47 00:05:14,180 --> 00:05:16,520 怒って帰ったのかな? 48 00:05:35,660 --> 00:05:37,040 (素子)ハッキングか? 49 00:05:37,960 --> 00:05:39,080 バトー 50 00:05:39,540 --> 00:05:40,670 バトー? 51 00:05:46,380 --> 00:05:47,680 やはりハッキングか 52 00:05:49,180 --> 00:05:52,510 4層の防壁を抜かれた 感覚はなかった 53 00:05:53,430 --> 00:05:56,690 訓練生の仕業なら大したものね 54 00:05:59,400 --> 00:06:02,070 (風鈴の鳴る音) 55 00:06:23,050 --> 00:06:25,420 (素子)ここがゴールってわけ… 56 00:06:34,430 --> 00:06:36,350 (扇風機の回る音) 57 00:06:41,940 --> 00:06:44,070 (素子)何だ この感覚は? 58 00:06:46,190 --> 00:06:49,740 皮膚触素への感覚は明らかに現実 59 00:06:51,120 --> 00:06:54,790 なのに まるで現実感がない 60 00:07:52,260 --> 00:07:53,890 (素子)義体か… 61 00:08:07,610 --> 00:08:11,280 (店主)かわいいでしょ? その子たち 62 00:08:13,320 --> 00:08:15,410 あなた ここの店主? 63 00:08:15,740 --> 00:08:17,870 (店主)そのようなものね 64 00:08:17,990 --> 00:08:20,580 お預けになりたいものは 何かしら? 65 00:08:21,160 --> 00:08:23,540 (素子)預ける? (店主)そうよ 66 00:08:24,000 --> 00:08:28,250 ここは お客様の外部記憶を預かる 商いをしているの 67 00:08:30,090 --> 00:08:34,890 ここにある物は 他人から見れば 何の価値もない物ばかりだけど— 68 00:08:35,010 --> 00:08:39,310 1つ1つには 持ち主の思い出が たくさん詰まってるの 69 00:08:39,430 --> 00:08:43,600 だから 時々 この物たちから 発せられる残留思念で— 70 00:08:43,730 --> 00:08:45,690 息が詰まることがあるわ 71 00:08:46,610 --> 00:08:48,440 残留思念… 72 00:08:57,160 --> 00:08:59,200 (店主) あなたも それに惹かれて— 73 00:08:59,330 --> 00:09:01,250 ここに来たんじゃないのかしら? 74 00:09:05,330 --> 00:09:09,710 全身義体としては かなり初期に作られた珍しいものよ 75 00:09:10,420 --> 00:09:15,680 この子たちに まつわる思い出は いつも私をつらくさせる 76 00:09:16,590 --> 00:09:18,510 でも それと同時に— 77 00:09:18,640 --> 00:09:23,180 他人の記憶を預かることの喜びも 味わわせてくれるのよ 78 00:09:24,180 --> 00:09:26,350 この子たちの間に どんな記憶が? 79 00:09:26,350 --> 00:09:26,650 (時報の音) この子たちの間に どんな記憶が? 80 00:09:26,650 --> 00:09:28,020 (時報の音) 81 00:09:28,020 --> 00:09:30,360 いけない もうこんな時間 (時報の音) 82 00:09:30,730 --> 00:09:33,690 申し訳ないけど 今日は早じまいなの 83 00:09:33,820 --> 00:09:36,030 また 時間のある時にいらして 84 00:09:36,150 --> 00:09:40,280 その時にゆっくり お話しして さしあげるわ 85 00:09:47,000 --> 00:09:48,080 あっ 86 00:09:55,970 --> 00:09:56,880 (素子)そうか 87 00:09:59,010 --> 00:10:02,430 あの妙な感覚は 郷愁… 88 00:10:08,980 --> 00:10:12,860 (トグサ)なあ 旦那 俺たちも そろそろ帰ろうや 89 00:10:12,980 --> 00:10:15,240 少佐には 明日 報告するってことでさ 90 00:10:15,360 --> 00:10:17,150 (ドアの開く音) (バトー)おっ? 91 00:10:18,990 --> 00:10:22,620 (バトー)少佐! そのまま消えるってのは なしだぜ 92 00:10:22,740 --> 00:10:24,290 今まで どこ行ってたんだよ? 93 00:10:25,500 --> 00:10:26,960 ちょっとね 94 00:10:27,210 --> 00:10:31,380 で 本採用に こぎ着けそうな奴は どれくらいいる? 95 00:10:31,500 --> 00:10:37,670 課長の知り合いからの推薦で 陸自情報部上がりの男が1名 96 00:10:37,800 --> 00:10:39,590 (素子)心もとないな 97 00:10:39,720 --> 00:10:41,600 (バトー)質の低下は否めんが— 98 00:10:41,720 --> 00:10:45,310 余剰人員の確保が 急務なのも確かだろ 99 00:10:45,430 --> 00:10:48,350 (素子)だが 難易度設定を これ以上 下げたところで— 100 00:10:48,480 --> 00:10:50,730 中身が薄まるだけだ 101 00:10:51,230 --> 00:10:54,980 (トグサ)どうします? 日を改めて追試ですかね? 102 00:10:55,110 --> 00:10:57,280 (素子)課長と相談して決めるわ 103 00:10:57,400 --> 00:11:00,570 (バトー)なあ 俺は訓練教官に 向いてると思うか? 104 00:11:02,740 --> 00:11:06,580 あなたが向かないなら 他に誰も向かないわよ 105 00:11:06,700 --> 00:11:10,620 今日は先に上がるわ あと よろしく 106 00:11:11,790 --> 00:11:15,000 (トグサ)フゥ… フッ 気にすんなって 107 00:11:15,550 --> 00:11:19,670 俺だって 9課に来る前だったら 少佐には5分で撒かれてたよ 108 00:11:19,800 --> 00:11:22,470 (バトー)本当か? 随分レベル低いな 109 00:11:22,590 --> 00:11:25,310 何だよ じゃあ旦那だったら— 110 00:11:25,430 --> 00:11:27,520 突然消えちまう 少佐みたいなターゲットを— 111 00:11:27,640 --> 00:11:30,390 最後まで ストーキングできるっての? 112 00:11:30,810 --> 00:11:31,650 (バトー)うーん 113 00:11:33,270 --> 00:11:34,940 当然だろ 114 00:11:37,610 --> 00:11:38,900 (ラン)白昼夢? 115 00:11:39,820 --> 00:11:42,780 (素子)もしかして もっと霊的なものかも 116 00:11:42,910 --> 00:11:45,160 (ラン)寝返り打った時に 幽体離脱して— 117 00:11:45,280 --> 00:11:47,870 変なもの 見ることはあるけど 118 00:11:47,990 --> 00:11:49,160 (素子)そう 119 00:11:49,580 --> 00:11:53,380 じゃあ 自分の持ち物に 思念を感じたりしたことは? 120 00:11:54,210 --> 00:11:55,790 (ラン)そうねえ… 121 00:11:55,920 --> 00:11:58,800 長距離をドライブしていて 自動車自体を— 122 00:11:58,920 --> 00:12:01,800 手足の延長のように 感じたことはあるけど 123 00:12:02,300 --> 00:12:05,550 ねえ これから くるたん呼んで 久しぶりにブッ飛ばない? 124 00:12:05,680 --> 00:12:07,220 (素子)やめとく 125 00:12:07,350 --> 00:12:09,430 今日は やっとかなくちゃ ならないことがあるの 126 00:12:13,150 --> 00:12:17,520 (バトー)少佐の奴 昨日のコース うろついて 何やってんだ? 127 00:12:41,420 --> 00:12:44,470 (バトー)俺がつけてたこと 気づかれてたのかな? 128 00:12:48,350 --> 00:12:50,640 (店主)お待ちしてたわ 129 00:12:51,730 --> 00:12:53,980 そろそろ来る頃だと思ってた 130 00:12:54,690 --> 00:12:55,980 なぜ? 131 00:12:56,940 --> 00:12:59,440 (店主)この子たちも 待ちわびていたもの 132 00:13:01,030 --> 00:13:02,360 (素子)そう 133 00:13:02,650 --> 00:13:05,240 じゃあ 早速 聞かせて この子たちのこと 134 00:13:05,820 --> 00:13:08,070 せっかちなのね 135 00:13:08,490 --> 00:13:10,290 フッ いいわ 136 00:13:10,580 --> 00:13:15,750 この2つの義体は 今では立派な 成人になった 男の子の方が— 137 00:13:15,870 --> 00:13:18,920 ずっと大切に 保管していたものなの 138 00:13:23,550 --> 00:13:25,300 (乗客たちの悲鳴) 139 00:13:26,640 --> 00:13:30,850 (店主)男の子は6歳の時 飛行機事故に遭った 140 00:13:30,970 --> 00:13:34,730 乗客のほとんどが死亡した 大変な事故だったそうよ 141 00:13:34,850 --> 00:13:39,560 救助された人たちも 間もなく 全員が亡くなったと聞いているわ 142 00:13:40,070 --> 00:13:41,780 その男の子と それから— 143 00:13:41,900 --> 00:13:45,700 偶然 隣に 乗り合わせていた女の子を残して 144 00:13:46,320 --> 00:13:51,660 奇跡的に命を取り留めた2人だけど 女の子は意識が戻らず— 145 00:13:52,410 --> 00:13:57,120 男の子も 左手以外は まったく動かなくなってしまったの 146 00:14:01,750 --> 00:14:04,670 体の傷が回復した男の子は— 147 00:14:04,800 --> 00:14:08,590 自分の置かれた状況を すぐに理解したわ 148 00:14:08,720 --> 00:14:12,350 一緒に乗っていた両親が 死んでしまったことや— 149 00:14:12,470 --> 00:14:13,970 遠い親戚たちが— 150 00:14:14,100 --> 00:14:17,640 初めのうちこそ 親身になって やって来てくれていたけれど— 151 00:14:17,770 --> 00:14:20,400 すぐ足が遠のいた訳も… 152 00:14:20,520 --> 00:14:26,070 その小さな頭で 精一杯 受け入れようと努力したの 153 00:14:26,400 --> 00:14:31,280 そして 隣に眠っている 自分と同じ境遇の女の子を— 154 00:14:31,410 --> 00:14:35,410 世界で たった一人の友達と 思うようになった 155 00:14:37,580 --> 00:14:39,880 “彼女が目を覚ましますように” 156 00:14:40,420 --> 00:14:45,960 そう祈りながら 折鶴を 左手1つで懸命に折り続けたの 157 00:14:50,760 --> 00:14:52,140 でも… 158 00:14:52,260 --> 00:14:54,930 (素子)女の子に 何かあったのね 159 00:14:55,060 --> 00:14:58,560 しばらくして 女の子の容体が急変したの 160 00:14:58,690 --> 00:15:00,810 (警告音) 161 00:15:02,230 --> 00:15:04,400 (看護士1)血圧60 下ありません 162 00:15:04,520 --> 00:15:06,650 (医師)リドカインとエピを 1単位ずつ投与 163 00:15:06,780 --> 00:15:08,780 (看護士2)ECFとれません 164 00:15:08,900 --> 00:15:10,240 (看護士1)血圧 40に落ちました 165 00:15:11,240 --> 00:15:13,240 (医師)すぐに オペ室の準備を 166 00:15:16,490 --> 00:15:18,960 (店主)次の朝 男の子は— 167 00:15:19,080 --> 00:15:22,710 女の子が遠くへ行ってしまったと 聞かされたの 168 00:15:40,940 --> 00:15:47,230 (店主)それから2年 男の子は誰とも口をきかず— 169 00:15:47,440 --> 00:15:51,740 ただ黙って 折鶴だけを折って暮らした 170 00:16:01,210 --> 00:16:03,830 まるで それを折り続けることが— 171 00:16:04,710 --> 00:16:09,630 彼の人生に課せられた 重い責務であるかのように 172 00:16:10,590 --> 00:16:12,050 (看護士1)今日は 何か言った? 173 00:16:12,180 --> 00:16:14,680 (看護士2) 白い折り紙が欲しいって 174 00:16:14,800 --> 00:16:18,140 (店主)訴訟などの手続きが すべて終わったある日— 175 00:16:18,390 --> 00:16:25,190 親類の男と共に 1人の若い医師が やってきて男の子に言ったの 176 00:16:26,820 --> 00:16:28,530 “もし君が望むなら—” 177 00:16:29,190 --> 00:16:31,990 “君の動かない体を全部 取り替えるという—” 178 00:16:32,110 --> 00:16:36,530 “治療法があるのだけど 受けてみる勇気はあるか?”って 179 00:16:36,910 --> 00:16:41,500 “上手くいけば前のように普通に 生活できるようになるから”って 180 00:16:44,420 --> 00:16:47,460 男の子は返事をしなかった 181 00:16:47,710 --> 00:16:51,010 勇気が出なかったとか そういうことじゃないの 182 00:16:51,130 --> 00:16:52,670 分かるかしら? 183 00:16:52,880 --> 00:16:58,180 彼には前のように 普通の生活に 戻りたいという動機がなかったのよ 184 00:16:58,640 --> 00:17:01,810 もはや 折鶴を 折り続けること以外は— 185 00:17:01,930 --> 00:17:05,020 何も興味を 持てなくなっていたんですもの 186 00:17:05,150 --> 00:17:11,610 それで 周りの大人たちは 男の子を 説得することを諦めてしまった 187 00:17:11,820 --> 00:17:18,070 でも 1人の女の子が 男の子の 心を開くきっかけを作ったのよ 188 00:17:18,660 --> 00:17:21,160 (素子)それが この子ね (店主)ええ 189 00:17:21,830 --> 00:17:23,120 この子はすでに— 190 00:17:23,250 --> 00:17:27,380 全身義体の治療を受けて 成功していた子だったの 191 00:17:27,670 --> 00:17:29,040 多分 若い医師が— 192 00:17:29,540 --> 00:17:32,670 男の子を説得する 最後の手段と思って— 193 00:17:32,800 --> 00:17:35,220 2人を引き合わせたのね 194 00:17:36,300 --> 00:17:40,060 女の子は 毎日のように 男の子に会いに来たそうよ 195 00:17:41,260 --> 00:17:44,850 とても明るい 活発な子でねえ 196 00:17:45,270 --> 00:17:49,060 全身義体に慣れるまでは 随分つらかったはずなのに— 197 00:17:49,190 --> 00:17:53,030 そのことは 男の子には一言も語らなかった 198 00:17:53,150 --> 00:17:58,360 それどころか 折に触れて 男の子に義体化することを勧めたの 199 00:17:58,660 --> 00:18:01,450 男の子は 黙って聞いていたのだけれど— 200 00:18:01,580 --> 00:18:03,950 ある時 ぽつっと こう言ったの 201 00:18:04,540 --> 00:18:07,040 “君は 義体で 折鶴が折れるの?” 202 00:18:07,170 --> 00:18:11,460 “もし できるなら 僕も全身義体になってもいいよ” 203 00:18:14,420 --> 00:18:17,840 でも 彼女は 力を出すことはできても— 204 00:18:17,970 --> 00:18:23,180 繊細な動作を 上手く義体に 伝えることは まだできなかった 205 00:18:24,350 --> 00:18:26,890 その子 負けず嫌いだったのかしら 206 00:18:27,310 --> 00:18:30,860 なんとか鶴を折ろうと 頑張ったそうよ 207 00:18:31,560 --> 00:18:36,280 男の子にとっても その女の子は希望だったはずよ 208 00:18:36,400 --> 00:18:39,860 でもね 2人とも まだ幼かった 209 00:19:11,480 --> 00:19:13,440 (店主)男の子は落胆して— 210 00:19:13,570 --> 00:19:15,570 “死んでしまった 女の子のために—” 211 00:19:15,690 --> 00:19:20,530 “鶴を折ることもできなくなるなら このままでいい”と言ったの 212 00:19:21,160 --> 00:19:25,580 その日以来 女の子は 男の子の前から消えてしまった 213 00:19:25,990 --> 00:19:31,420 “今度は 私があなたのために 折鶴を練習するね”と言い残して 214 00:19:32,750 --> 00:19:36,750 そう 男の子が死んでしまったと 思い込んでいた— 215 00:19:36,880 --> 00:19:39,050 あの女の子だったの 216 00:19:39,840 --> 00:19:43,180 なぜ そのことを 彼女は言わなかったのか 217 00:19:43,930 --> 00:19:47,220 何か重大な事情が あったんでしょうけれど 218 00:19:50,350 --> 00:19:55,360 男の子は その日から 自分も義体化することを決意した 219 00:19:55,480 --> 00:19:58,360 そして 病院から 消えてしまった女の子に— 220 00:19:58,480 --> 00:20:01,200 会いに行くと 心に誓ったの 221 00:20:02,030 --> 00:20:07,790 後日 男の子は 体を全身義体化し つらいリハビリにも耐えて— 222 00:20:07,910 --> 00:20:11,540 優秀な義体使いに 成長していったそうよ 223 00:20:12,420 --> 00:20:17,090 当時は まだ子供の全身義体は ほとんどなかった時代だから— 224 00:20:17,210 --> 00:20:20,800 それは 想像を超えて つらいものだったでしょうねえ 225 00:20:20,920 --> 00:20:25,760 でも あの女の子も同じ苦しみを 耐えていたのだと考えると— 226 00:20:25,890 --> 00:20:28,220 簡単に乗り越えることができたの 227 00:20:30,480 --> 00:20:34,150 (素子)それで その女の子は 見つかったの? 228 00:20:34,690 --> 00:20:38,150 “全身義体の 飛行機事故に遭った女の子” 229 00:20:38,270 --> 00:20:41,150 これだけで 手掛かりは 十分なはずだった 230 00:20:41,280 --> 00:20:44,070 でも その子を見つけることは できなかったの 231 00:20:44,200 --> 00:20:46,910 それじゃあ 女の子の義体はどこで? 232 00:20:47,780 --> 00:20:50,750 (店主)男の子が 大学の研究室にいた時— 233 00:20:50,870 --> 00:20:54,460 標本として保存されていたのを 見つけたそうよ 234 00:20:54,750 --> 00:20:57,840 男の子には この子が 探していた女の子だって— 235 00:20:57,960 --> 00:21:02,630 すぐに分かったのだけれど 義体を リサイズした本人の行方は— 236 00:21:02,760 --> 00:21:03,930 つかめずじまい 237 00:21:04,760 --> 00:21:09,810 だから 女の子の方の記憶は 今でも空っぽのまま 238 00:21:10,560 --> 00:21:12,850 男の子の方は 今… 239 00:21:13,810 --> 00:21:18,230 大戦の末期 外国に出兵して それっきり 240 00:21:18,360 --> 00:21:21,360 あれから一度も ここには来てないから— 241 00:21:21,690 --> 00:21:24,950 死んでしまったのかも しれないわねえ 242 00:21:26,280 --> 00:21:27,570 そう… 243 00:21:32,000 --> 00:21:34,080 話してくれてありがとう 244 00:21:34,210 --> 00:21:37,750 きっと女の子も 初めて好きになった男の子を— 245 00:21:37,880 --> 00:21:40,250 今でも捜しているんでしょうね 246 00:21:40,380 --> 00:21:42,300 初めて好きになった? 247 00:22:09,700 --> 00:22:12,160 (バトー) アイスティーの氷が溶けてるぞ 248 00:22:12,290 --> 00:22:15,410 (素子)分かってるわよ 何? 249 00:22:15,870 --> 00:22:18,420 実は 連中の 試験のことなんだが— 250 00:22:18,540 --> 00:22:21,000 難易度設定を再考の上で— 251 00:22:21,130 --> 00:22:24,630 もう一度トライさせて やりてえんだよ どう思う? 252 00:22:24,760 --> 00:22:26,920 どういう風の吹き回し? 253 00:22:27,050 --> 00:22:30,510 いやな 俺も 入隊したばかりの頃は— 254 00:22:30,640 --> 00:22:35,180 意外に 実力出し切れなくて 上官に怒鳴られてたっけかなあ— 255 00:22:35,310 --> 00:22:37,730 なんてことを 思い出しちまってさ 256 00:22:38,770 --> 00:22:39,980 そうね 257 00:22:40,270 --> 00:22:43,690 確かに 始めから上手く できる人なんていないかもね 258 00:22:44,280 --> 00:22:48,650 ああ… そう言ってもらえると 俺も助かるよ 259 00:23:00,290 --> 00:23:05,300 ♪〜 260 00:24:22,120 --> 00:24:28,130 〜♪