1 00:00:01,001 --> 00:00:07,007 ♪〜 2 00:01:23,291 --> 00:01:29,339 〜♪ 3 00:01:48,566 --> 00:01:51,402 (アズマ)レストルームか? (訓練生1)…のようだな 4 00:01:53,446 --> 00:01:54,656 (訓練生1)追うか? 5 00:01:54,781 --> 00:01:56,032 (アズマ)まあ 待て 6 00:01:57,742 --> 00:02:00,703 トイレ内の壁と床は 全面タイル張り 7 00:02:00,829 --> 00:02:04,707 窓は はめ殺しで 外側にアルミの格子がはまってる 8 00:02:04,833 --> 00:02:09,003 彼女なら簡単に破れると思うが 手荒なことはしないだろう 9 00:02:39,701 --> 00:02:41,161 (トグサ)暑いなあ 10 00:02:42,579 --> 00:02:44,372 (トグサ)ほら お土産 11 00:02:44,497 --> 00:02:45,748 ビール? 12 00:02:45,874 --> 00:02:47,417 いいよなあ 体内プラントで アルコール分解できる奴は 13 00:02:47,417 --> 00:02:48,751 いいよなあ 体内プラントで アルコール分解できる奴は 14 00:02:47,417 --> 00:02:48,751 {\an8}(バトーのげっぷ) 15 00:02:48,751 --> 00:02:49,919 いいよなあ 体内プラントで アルコール分解できる奴は 16 00:02:51,129 --> 00:02:53,381 それにしても 新規採用のテスト— 17 00:02:53,506 --> 00:02:55,842 難易度設定が 間違ってるんじゃないの? 18 00:02:55,967 --> 00:02:59,345 (バトー)バカ言え この程度を突破できねえのは— 19 00:02:59,470 --> 00:03:01,764 訓練生の質が悪いってことだろ? 20 00:03:01,890 --> 00:03:03,683 まあ そりゃそうなんだけどさ 21 00:03:08,021 --> 00:03:09,606 (素子(もとこ))バトー (バトー)何だ? 22 00:03:09,731 --> 00:03:11,149 (素子)今 何してる? 23 00:03:11,274 --> 00:03:13,484 (バトー)コーヒー飲みながら 新聞読んでる 24 00:03:13,610 --> 00:03:15,570 (素子)あなたじゃなくて 彼らのことよ 25 00:03:16,529 --> 00:03:20,283 (バトー)だから その彼らさ すっかりくつろいでるよ 26 00:03:22,785 --> 00:03:24,996 (素子)偽の記憶を かまされたりするかもって— 27 00:03:25,121 --> 00:03:27,624 発想 ないのかしら? 28 00:03:27,749 --> 00:03:29,959 (バトー)そんなのは 最初に教えたよ 29 00:03:30,543 --> 00:03:32,086 (素子)残りの人数は? 30 00:03:32,211 --> 00:03:33,504 (バトー)3組6名 31 00:03:33,630 --> 00:03:35,924 (素子)次 行くわよ (バトー)了解 32 00:03:36,049 --> 00:03:39,844 (セミの鳴き声) 33 00:03:39,928 --> 00:03:42,722 (船のエンジン音) 34 00:03:43,890 --> 00:03:45,141 (素子)これで最後? 35 00:03:45,266 --> 00:03:47,268 (バトー)ああ 残念ながらな 36 00:04:35,191 --> 00:04:38,361 (子供たちの騒ぎ声) 37 00:04:47,662 --> 00:04:50,081 (訓練生2)申し訳ありません ターゲットをロストしました 38 00:04:50,206 --> 00:04:54,085 (バトー)ほう で どうするんだ? これから 39 00:04:54,210 --> 00:04:56,087 (訓練生2) もう一度 捜索してみますが… 40 00:04:56,212 --> 00:04:58,631 (バトー)あっ そう じゃあ 頑張れや 41 00:04:59,215 --> 00:05:00,883 (トグサ)冷たいんじゃないの? 42 00:05:01,009 --> 00:05:02,343 (バトー)同情してどうする 43 00:05:02,468 --> 00:05:03,553 (エンジンをかける音) 44 00:05:04,095 --> 00:05:06,848 (バトー)少佐 終わりだ 帰ろうぜ 45 00:05:07,890 --> 00:05:09,142 少佐? 46 00:05:10,852 --> 00:05:12,061 (トグサ)少佐? 47 00:05:13,021 --> 00:05:14,897 つながらねえ 48 00:05:15,189 --> 00:05:17,525 怒って帰ったのかな? 49 00:05:36,669 --> 00:05:38,046 (素子)ハッキングか? 50 00:05:38,963 --> 00:05:40,089 バトー 51 00:05:40,548 --> 00:05:41,674 バトー? 52 00:05:47,388 --> 00:05:48,681 やはりハッキングか 53 00:05:50,183 --> 00:05:53,519 4層の防壁を抜かれた 感覚はなかった 54 00:05:54,437 --> 00:05:57,690 訓練生の仕業なら大したものね 55 00:06:00,401 --> 00:06:03,071 (風鈴の鳴る音) 56 00:06:24,050 --> 00:06:26,427 (素子)ここがゴールってわけ… 57 00:06:35,436 --> 00:06:37,355 (扇風機の回る音) 58 00:06:42,944 --> 00:06:45,071 (素子)何だ この感覚は? 59 00:06:47,198 --> 00:06:50,743 皮膚触素への感覚は明らかに現実 60 00:06:52,120 --> 00:06:55,790 なのに まるで現実感がない 61 00:07:53,264 --> 00:07:54,891 (素子)義体か… 62 00:08:08,613 --> 00:08:12,283 (店主)かわいいでしょ? その子たち 63 00:08:14,327 --> 00:08:16,412 あなた ここの店主? 64 00:08:16,746 --> 00:08:18,873 (店主)そのようなものね 65 00:08:18,998 --> 00:08:21,584 お預けになりたいものは 何かしら? 66 00:08:22,168 --> 00:08:24,545 (素子)預ける? (店主)そうよ 67 00:08:25,004 --> 00:08:29,258 ここは お客様の外部記憶を預かる 商いをしているの 68 00:08:31,093 --> 00:08:35,890 ここにある物は 他人から見れば 何の価値もない物ばかりだけど— 69 00:08:36,015 --> 00:08:40,311 1つ1つには 持ち主の思い出が たくさん詰まってるの 70 00:08:40,436 --> 00:08:44,607 だから 時々 この物たちから 発せられる残留思念で— 71 00:08:44,732 --> 00:08:46,692 息が詰まることがあるわ 72 00:08:47,610 --> 00:08:49,445 残留思念… 73 00:08:58,162 --> 00:09:00,206 (店主) あなたも それに惹かれて— 74 00:09:00,331 --> 00:09:02,250 ここに来たんじゃないのかしら? 75 00:09:06,337 --> 00:09:10,716 全身義体としては かなり初期に作られた珍しいものよ 76 00:09:11,425 --> 00:09:16,681 この子たちに まつわる思い出は いつも私をつらくさせる 77 00:09:17,598 --> 00:09:19,517 でも それと同時に— 78 00:09:19,642 --> 00:09:24,188 他人の記憶を預かることの喜びも 味わわせてくれるのよ 79 00:09:25,189 --> 00:09:27,358 この子たちの間に どんな記憶が? 80 00:09:27,358 --> 00:09:27,650 この子たちの間に どんな記憶が? 81 00:09:27,358 --> 00:09:27,650 {\an8}(時報の音) 82 00:09:27,650 --> 00:09:29,026 {\an8}(時報の音) 83 00:09:29,026 --> 00:09:31,362 {\an8}(時報の音) 84 00:09:29,026 --> 00:09:31,362 いけない もうこんな時間 85 00:09:31,737 --> 00:09:34,699 申し訳ないけど 今日は早じまいなの 86 00:09:34,824 --> 00:09:37,034 また 時間のある時にいらして 87 00:09:37,159 --> 00:09:41,289 その時にゆっくり お話しして さしあげるわ 88 00:09:48,004 --> 00:09:49,088 あっ 89 00:09:56,971 --> 00:09:57,888 (素子)そうか 90 00:10:00,016 --> 00:10:03,436 あの妙な感覚は 郷愁… 91 00:10:09,984 --> 00:10:13,863 (トグサ)なあ 旦那 俺たちも そろそろ帰ろうや 92 00:10:13,988 --> 00:10:16,240 少佐には 明日 報告するってことでさ 93 00:10:16,365 --> 00:10:18,159 (ドアの開く音) (バトー)おっ? 94 00:10:19,994 --> 00:10:23,623 (バトー)少佐! そのまま消えるってのは なしだぜ 95 00:10:23,748 --> 00:10:25,291 今まで どこ行ってたんだよ? 96 00:10:26,500 --> 00:10:27,960 ちょっとね 97 00:10:28,210 --> 00:10:32,381 で 本採用に こぎ着けそうな奴は どれくらいいる? 98 00:10:32,506 --> 00:10:38,679 課長の知り合いからの推薦で 陸自情報部上がりの男が1名 99 00:10:38,804 --> 00:10:40,598 (素子)心もとないな 100 00:10:40,723 --> 00:10:42,600 (バトー)質の低下は否めんが— 101 00:10:42,725 --> 00:10:46,312 余剰人員の確保が 急務なのも確かだろ 102 00:10:46,437 --> 00:10:49,357 (素子)だが 難易度設定を これ以上 下げたところで— 103 00:10:49,482 --> 00:10:51,734 中身が薄まるだけだ 104 00:10:52,234 --> 00:10:55,988 (トグサ)どうします? 日を改めて追試ですかね? 105 00:10:56,113 --> 00:10:58,282 (素子)課長と相談して決めるわ 106 00:10:58,407 --> 00:11:01,577 (バトー)なあ 俺は訓練教官に 向いてると思うか? 107 00:11:03,746 --> 00:11:07,583 あなたが向かないなら 他に誰も向かないわよ 108 00:11:07,708 --> 00:11:11,629 今日は先に上がるわ あと よろしく 109 00:11:12,797 --> 00:11:16,008 (トグサ)フゥ… フッ 気にすんなって 110 00:11:16,550 --> 00:11:20,679 俺だって 9課に来る前だったら 少佐には5分で撒かれてたよ 111 00:11:20,805 --> 00:11:23,474 (バトー)本当か? 随分レベル低いな 112 00:11:23,599 --> 00:11:26,310 何だよ じゃあ旦那だったら— 113 00:11:26,435 --> 00:11:28,521 突然消えちまう 少佐みたいなターゲットを— 114 00:11:28,646 --> 00:11:31,399 最後まで ストーキングできるっての? 115 00:11:31,816 --> 00:11:32,650 (バトー)うーん 116 00:11:34,276 --> 00:11:35,945 当然だろ 117 00:11:38,614 --> 00:11:39,907 (ラン)白昼夢? 118 00:11:40,825 --> 00:11:43,786 (素子)もしかして もっと霊的なものかも 119 00:11:43,911 --> 00:11:46,163 (ラン)寝返り打った時に 幽体離脱して— 120 00:11:46,288 --> 00:11:48,874 変なもの 見ることはあるけど 121 00:11:48,999 --> 00:11:50,167 (素子)そう 122 00:11:50,584 --> 00:11:54,380 じゃあ 自分の持ち物に 思念を感じたりしたことは? 123 00:11:55,214 --> 00:11:56,799 (ラン)そうねえ… 124 00:11:56,924 --> 00:11:59,802 長距離をドライブしていて 自動車自体を— 125 00:11:59,927 --> 00:12:02,805 手足の延長のように 感じたことはあるけど 126 00:12:03,305 --> 00:12:06,559 ねえ これから くるたん呼んで 久しぶりにブッ飛ばない? 127 00:12:06,684 --> 00:12:08,227 (素子)やめとく 128 00:12:08,352 --> 00:12:10,438 今日は やっとかなくちゃ ならないことがあるの 129 00:12:14,150 --> 00:12:18,529 (バトー)少佐の奴 昨日のコース うろついて 何やってんだ? 130 00:12:42,428 --> 00:12:45,473 (バトー)俺がつけてたこと 気づかれてたのかな? 131 00:12:49,351 --> 00:12:51,645 (店主)お待ちしてたわ 132 00:12:52,730 --> 00:12:54,982 そろそろ来る頃だと思ってた 133 00:12:55,691 --> 00:12:56,984 なぜ? 134 00:12:57,943 --> 00:13:00,446 (店主)この子たちも 待ちわびていたもの 135 00:13:02,031 --> 00:13:03,365 (素子)そう 136 00:13:03,657 --> 00:13:06,243 じゃあ 早速 聞かせて この子たちのこと 137 00:13:06,827 --> 00:13:09,079 せっかちなのね 138 00:13:09,497 --> 00:13:11,290 フッ いいわ 139 00:13:11,582 --> 00:13:16,754 この2つの義体は 今では立派な 成人になった 男の子の方が— 140 00:13:16,879 --> 00:13:19,924 ずっと大切に 保管していたものなの 141 00:13:24,553 --> 00:13:26,305 (乗客たちの悲鳴) 142 00:13:27,640 --> 00:13:31,852 (店主)男の子は6歳の時 飛行機事故に遭った 143 00:13:31,977 --> 00:13:35,731 乗客のほとんどが死亡した 大変な事故だったそうよ 144 00:13:35,856 --> 00:13:40,569 救助された人たちも 間もなく 全員が亡くなったと聞いているわ 145 00:13:41,070 --> 00:13:42,780 その男の子と それから— 146 00:13:42,905 --> 00:13:46,700 偶然 隣に 乗り合わせていた女の子を残して 147 00:13:47,326 --> 00:13:52,665 奇跡的に命を取り留めた2人だけど 女の子は意識が戻らず— 148 00:13:53,415 --> 00:13:58,128 男の子も 左手以外は まったく動かなくなってしまったの 149 00:14:02,758 --> 00:14:05,678 体の傷が回復した男の子は— 150 00:14:05,803 --> 00:14:09,598 自分の置かれた状況を すぐに理解したわ 151 00:14:09,723 --> 00:14:13,352 一緒に乗っていた両親が 死んでしまったことや— 152 00:14:13,477 --> 00:14:14,979 遠い親戚たちが— 153 00:14:15,104 --> 00:14:18,649 初めのうちこそ 親身になって やって来てくれていたけれど— 154 00:14:18,774 --> 00:14:21,402 すぐ足が遠のいた訳も… 155 00:14:21,527 --> 00:14:27,074 その小さな頭で 精一杯 受け入れようと努力したの 156 00:14:27,408 --> 00:14:32,288 そして 隣に眠っている 自分と同じ境遇の女の子を— 157 00:14:32,413 --> 00:14:36,417 世界で たった一人の友達と 思うようになった 158 00:14:38,586 --> 00:14:40,880 “彼女が目を覚ましますように” 159 00:14:41,422 --> 00:14:46,969 そう祈りながら 折鶴を 左手1つで懸命に折り続けたの 160 00:14:51,765 --> 00:14:53,142 でも… 161 00:14:53,267 --> 00:14:55,936 (素子)女の子に 何かあったのね 162 00:14:56,061 --> 00:14:59,565 しばらくして 女の子の容体が急変したの 163 00:14:59,690 --> 00:15:01,817 (警告音) 164 00:15:03,235 --> 00:15:05,404 (看護士1)血圧60 下ありません 165 00:15:05,529 --> 00:15:07,656 (医師)リドカインとエピを 1単位ずつ投与 166 00:15:07,781 --> 00:15:09,783 (看護士2)ECFとれません 167 00:15:09,909 --> 00:15:11,243 (看護士1)血圧 40に落ちました 168 00:15:12,244 --> 00:15:14,246 (医師)すぐに オペ室の準備を 169 00:15:17,499 --> 00:15:19,960 (店主)次の朝 男の子は— 170 00:15:20,085 --> 00:15:23,714 女の子が遠くへ行ってしまったと 聞かされたの 171 00:15:41,941 --> 00:15:48,238 (店主)それから2年 男の子は誰とも口をきかず— 172 00:15:48,447 --> 00:15:52,743 ただ黙って 折鶴だけを折って暮らした 173 00:16:02,211 --> 00:16:04,838 まるで それを折り続けることが— 174 00:16:05,714 --> 00:16:10,636 彼の人生に課せられた 重い責務であるかのように 175 00:16:11,595 --> 00:16:13,055 (看護士1)今日は 何か言った? 176 00:16:13,180 --> 00:16:15,683 (看護士2) 白い折り紙が欲しいって 177 00:16:15,808 --> 00:16:19,144 (店主)訴訟などの手続きが すべて終わったある日— 178 00:16:19,395 --> 00:16:26,193 親類の男と共に 1人の若い医師が やってきて男の子に言ったの 179 00:16:27,820 --> 00:16:29,530 “もし君が望むなら—” 180 00:16:30,197 --> 00:16:32,992 “君の動かない体を全部 取り替えるという—” 181 00:16:33,117 --> 00:16:37,538 “治療法があるのだけど 受けてみる勇気はあるか?”って 182 00:16:37,913 --> 00:16:42,501 “上手くいけば前のように普通に 生活できるようになるから”って 183 00:16:45,421 --> 00:16:48,465 男の子は返事をしなかった 184 00:16:48,716 --> 00:16:52,011 勇気が出なかったとか そういうことじゃないの 185 00:16:52,136 --> 00:16:53,679 分かるかしら? 186 00:16:53,887 --> 00:16:59,184 彼には前のように 普通の生活に 戻りたいという動機がなかったのよ 187 00:16:59,643 --> 00:17:02,813 もはや 折鶴を 折り続けること以外は— 188 00:17:02,938 --> 00:17:06,025 何も興味を 持てなくなっていたんですもの 189 00:17:06,150 --> 00:17:12,614 それで 周りの大人たちは 男の子を 説得することを諦めてしまった 190 00:17:12,823 --> 00:17:19,079 でも 1人の女の子が 男の子の 心を開くきっかけを作ったのよ 191 00:17:19,663 --> 00:17:22,166 (素子)それが この子ね (店主)ええ 192 00:17:22,833 --> 00:17:24,126 この子はすでに— 193 00:17:24,251 --> 00:17:28,380 全身義体の治療を受けて 成功していた子だったの 194 00:17:28,672 --> 00:17:30,049 多分 若い医師が— 195 00:17:30,549 --> 00:17:33,677 男の子を説得する 最後の手段と思って— 196 00:17:33,802 --> 00:17:36,221 2人を引き合わせたのね 197 00:17:37,306 --> 00:17:41,060 女の子は 毎日のように 男の子に会いに来たそうよ 198 00:17:42,269 --> 00:17:45,856 とても明るい 活発な子でねえ 199 00:17:46,273 --> 00:17:50,069 全身義体に慣れるまでは 随分つらかったはずなのに— 200 00:17:50,194 --> 00:17:54,031 そのことは 男の子には一言も語らなかった 201 00:17:54,156 --> 00:17:59,369 それどころか 折に触れて 男の子に義体化することを勧めたの 202 00:17:59,661 --> 00:18:02,456 男の子は 黙って聞いていたのだけれど— 203 00:18:02,581 --> 00:18:04,958 ある時 ぽつっと こう言ったの 204 00:18:05,542 --> 00:18:08,045 “君は 義体で 折鶴が折れるの?” 205 00:18:08,170 --> 00:18:12,466 “もし できるなら 僕も全身義体になってもいいよ” 206 00:18:15,427 --> 00:18:18,847 でも 彼女は 力を出すことはできても— 207 00:18:18,972 --> 00:18:24,186 繊細な動作を 上手く義体に 伝えることは まだできなかった 208 00:18:25,354 --> 00:18:27,898 その子 負けず嫌いだったのかしら 209 00:18:28,315 --> 00:18:31,860 なんとか鶴を折ろうと 頑張ったそうよ 210 00:18:32,569 --> 00:18:37,282 男の子にとっても その女の子は希望だったはずよ 211 00:18:37,407 --> 00:18:40,869 でもね 2人とも まだ幼かった 212 00:19:12,484 --> 00:19:14,444 (店主)男の子は落胆して— 213 00:19:14,570 --> 00:19:16,572 “死んでしまった 女の子のために—” 214 00:19:16,697 --> 00:19:21,535 “鶴を折ることもできなくなるなら このままでいい”と言ったの 215 00:19:22,161 --> 00:19:26,582 その日以来 女の子は 男の子の前から消えてしまった 216 00:19:26,999 --> 00:19:32,421 “今度は 私があなたのために 折鶴を練習するね”と言い残して 217 00:19:33,755 --> 00:19:37,759 そう 男の子が死んでしまったと 思い込んでいた— 218 00:19:37,885 --> 00:19:40,053 あの女の子だったの 219 00:19:40,846 --> 00:19:44,183 なぜ そのことを 彼女は言わなかったのか 220 00:19:44,933 --> 00:19:48,228 何か重大な事情が あったんでしょうけれど 221 00:19:51,356 --> 00:19:56,361 男の子は その日から 自分も義体化することを決意した 222 00:19:56,486 --> 00:19:59,364 そして 病院から 消えてしまった女の子に— 223 00:19:59,489 --> 00:20:02,201 会いに行くと 心に誓ったの 224 00:20:03,035 --> 00:20:08,790 後日 男の子は 体を全身義体化し つらいリハビリにも耐えて— 225 00:20:08,916 --> 00:20:12,544 優秀な義体使いに 成長していったそうよ 226 00:20:13,420 --> 00:20:18,091 当時は まだ子供の全身義体は ほとんどなかった時代だから— 227 00:20:18,217 --> 00:20:21,803 それは 想像を超えて つらいものだったでしょうねえ 228 00:20:21,929 --> 00:20:26,767 でも あの女の子も同じ苦しみを 耐えていたのだと考えると— 229 00:20:26,892 --> 00:20:29,228 簡単に乗り越えることができたの 230 00:20:31,480 --> 00:20:35,150 (素子)それで その女の子は 見つかったの? 231 00:20:35,692 --> 00:20:39,154 “全身義体の 飛行機事故に遭った女の子” 232 00:20:39,279 --> 00:20:42,157 これだけで 手掛かりは 十分なはずだった 233 00:20:42,282 --> 00:20:45,077 でも その子を見つけることは できなかったの 234 00:20:45,202 --> 00:20:47,913 それじゃあ 女の子の義体はどこで? 235 00:20:48,789 --> 00:20:51,750 (店主)男の子が 大学の研究室にいた時— 236 00:20:51,875 --> 00:20:55,462 標本として保存されていたのを 見つけたそうよ 237 00:20:55,754 --> 00:20:58,840 男の子には この子が 探していた女の子だって— 238 00:20:58,966 --> 00:21:03,637 すぐに分かったのだけれど 義体を リサイズした本人の行方は— 239 00:21:03,762 --> 00:21:04,930 つかめずじまい 240 00:21:05,764 --> 00:21:10,811 だから 女の子の方の記憶は 今でも空っぽのまま 241 00:21:11,561 --> 00:21:13,855 男の子の方は 今… 242 00:21:14,815 --> 00:21:19,236 大戦の末期 外国に出兵して それっきり 243 00:21:19,361 --> 00:21:22,364 あれから一度も ここには来てないから— 244 00:21:22,698 --> 00:21:25,951 死んでしまったのかも しれないわねえ 245 00:21:27,286 --> 00:21:28,578 そう… 246 00:21:33,000 --> 00:21:35,085 話してくれてありがとう 247 00:21:35,210 --> 00:21:38,755 きっと女の子も 初めて好きになった男の子を— 248 00:21:38,880 --> 00:21:41,258 今でも捜しているんでしょうね 249 00:21:41,383 --> 00:21:43,302 初めて好きになった? 250 00:22:10,704 --> 00:22:13,165 (バトー) アイスティーの氷が溶けてるぞ 251 00:22:13,290 --> 00:22:16,418 (素子)分かってるわよ 何? 252 00:22:16,877 --> 00:22:19,421 実は 連中の 試験のことなんだが— 253 00:22:19,546 --> 00:22:22,007 難易度設定を再考の上で— 254 00:22:22,132 --> 00:22:25,635 もう一度トライさせて やりてえんだよ どう思う? 255 00:22:25,761 --> 00:22:27,929 どういう風の吹き回し? 256 00:22:28,055 --> 00:22:31,516 いやな 俺も 入隊したばかりの頃は— 257 00:22:31,641 --> 00:22:36,188 意外に 実力出し切れなくて 上官に怒鳴られてたっけかなあ— 258 00:22:36,313 --> 00:22:38,732 なんてことを 思い出しちまってさ 259 00:22:39,775 --> 00:22:40,984 そうね 260 00:22:41,276 --> 00:22:44,696 確かに 始めから上手く できる人なんていないかもね 261 00:22:45,280 --> 00:22:49,659 ああ… そう言ってもらえると 俺も助かるよ 262 00:23:01,296 --> 00:23:06,301 {\an8}♪〜 263 00:24:23,128 --> 00:24:29,134 {\an8}〜♪