1 00:00:01,001 --> 00:00:03,503 (寿雪(じゅせつ))あっ… これは… 2 00:00:21,771 --> 00:00:23,773 {\an8}♪~ 3 00:01:47,649 --> 00:01:49,651 {\an8}~♪ 4 00:01:53,363 --> 00:01:58,785 (ナレーション)後宮の奥深く 烏妃(うひ)と呼ばれる妃(きさき)が住んでいる 5 00:01:59,452 --> 00:02:04,707 その妃は 妃でありながら 夜伽(よとぎ)をすることのない⸺ 6 00:02:04,791 --> 00:02:07,210 特別な妃だった 7 00:02:08,128 --> 00:02:13,216 後宮で生きながら 決して帝(みかど)のお渡りのない妃 8 00:02:14,342 --> 00:02:18,221 彼女は不思議な術を使うという 9 00:02:18,805 --> 00:02:19,722 (高峻(こうしゅん))“白煙(はくえん)” 10 00:02:24,060 --> 00:02:24,894 (寿雪)うっ… 11 00:02:25,895 --> 00:02:28,148 (羽衣(うい))烏妃様 こちらへ 12 00:02:28,731 --> 00:02:29,607 (寿雪)ああ 13 00:02:32,527 --> 00:02:33,611 それは… 14 00:02:33,695 --> 00:02:37,615 (羽衣)こちらは 明珠公主(めいじゅこうしゅ)の玉珮(ぎょくはい)でございます 15 00:02:38,199 --> 00:02:39,242 明珠公主… 16 00:02:39,868 --> 00:02:43,746 (羽衣) 欒(らん)王朝最後の帝 2番目の公主で 17 00:02:43,830 --> 00:02:46,749 佳人の誉れ高い方でございました 18 00:02:47,250 --> 00:02:49,878 享年は24でございます 19 00:02:51,004 --> 00:02:57,218 後宮に禁軍が踏み込んだとき 敵の手にかかるのをよしとせず 20 00:02:58,887 --> 00:03:02,515 柳の下で自ら刀で喉を突いて 21 00:03:04,017 --> 00:03:07,228 お亡くなりにあそばしました 22 00:03:07,812 --> 00:03:12,233 この玉珮は そのとき 身に着けていらした品でございます 23 00:03:12,817 --> 00:03:15,737 明珠公主は柳の下で死んだのか 24 00:03:15,820 --> 00:03:19,574 はい わたくしは 当時も羽衣でございましたので 25 00:03:19,657 --> 00:03:22,035 よく存じ上げております 26 00:03:22,660 --> 00:03:28,499 自刃にお使いあそばされた刀は こちらでございます 27 00:03:29,083 --> 00:03:31,002 (寿雪)享年24と言ったか 28 00:03:31,502 --> 00:03:33,421 佳人の誉れ高い公主が 29 00:03:33,504 --> 00:03:37,133 その年になっても嫁がずに 後宮住まいだったのか? 30 00:03:37,217 --> 00:03:38,676 さようでございます 31 00:03:38,760 --> 00:03:39,802 何故? 32 00:03:40,595 --> 00:03:42,013 存じません 33 00:03:42,096 --> 00:03:45,308 明珠公主のお姿を ご覧になりますか? 34 00:03:46,851 --> 00:03:52,565 こちらが 欒家の皇族の中でも とりわけ美しいとたたえられた⸺ 35 00:03:52,649 --> 00:03:56,236 6人の方々を 描いたものでございます 36 00:03:56,319 --> 00:04:00,406 明珠公主は このお方でございます 37 00:04:03,785 --> 00:04:04,702 あっ 38 00:04:06,287 --> 00:04:09,082 この玻璃(はり)の櫛(くし)は ここにあるか? 39 00:04:09,666 --> 00:04:10,792 いいえ 40 00:04:10,875 --> 00:04:15,004 当時 後宮からは 多くの宝物が持ち去られました 41 00:04:15,088 --> 00:04:18,216 逸品も数多く 散逸してございます 42 00:04:19,133 --> 00:04:19,842 そうか 43 00:04:22,512 --> 00:04:27,225 あっ… このお方は 皇孫(こうそん) 冰月(ひょうげつ)様でございます 44 00:04:27,809 --> 00:04:28,851 欒冰月… 45 00:04:29,477 --> 00:04:32,105 (羽衣) 高名な巫術師(ふじゅつし)でございました 46 00:04:32,188 --> 00:04:33,940 とりわけ その美しさは 47 00:04:34,023 --> 00:04:37,110 皇族随一と うたわれたものでございます 48 00:04:37,902 --> 00:04:39,946 (寿雪) ほかに知っていることはあるか? 49 00:04:40,029 --> 00:04:43,533 冰月様は帝のお孫でございました 50 00:04:43,616 --> 00:04:48,997 政から離れた皇族でしたので 記録には あまり残っておりません 51 00:04:49,080 --> 00:04:52,000 巫術師としての逸話なら いくつか… 52 00:04:52,083 --> 00:04:55,545 皇后にかけられた呪咀(じゅそ)を 見破ったことや 53 00:04:55,628 --> 00:04:59,007 公主の失(う)せ物を 探し当てたことがございます 54 00:04:59,590 --> 00:05:01,217 分かった もうよい 55 00:05:01,718 --> 00:05:02,844 世話をかけたな 56 00:05:02,927 --> 00:05:04,804 もったないお言葉 57 00:05:04,887 --> 00:05:09,350 烏妃様のご用でしたら どんなことでも喜んで承ります 58 00:05:09,434 --> 00:05:14,022 わたくしどもは 烏漣娘娘(うれんにゃんにゃん)の しもべでございますれば… 59 00:05:14,939 --> 00:05:18,901 おぬし 欒王朝のころも 羽衣であったと申したな 60 00:05:19,402 --> 00:05:20,528 一体 何歳だ? 61 00:05:21,112 --> 00:05:24,032 生まれ年を存じませぬ 62 00:05:27,869 --> 00:05:29,412 (淡海(たんかい)) 何かいい情報ありました? 63 00:05:29,495 --> 00:05:31,789 (温螢(おんけい))淡海 わきまえろ 64 00:05:31,873 --> 00:05:34,751 (門が閉じる音) 65 00:05:36,252 --> 00:05:38,129 (寿雪)もう そんな時間か 66 00:05:38,212 --> 00:05:39,172 (少年)急げ 急げ! 67 00:05:39,255 --> 00:05:41,591 (少年)早くしろよ! (衣斯哈(いしは))待ってよ~! 68 00:05:41,674 --> 00:05:42,925 (淡海)ほら 急げ 急げ! 69 00:05:43,009 --> 00:05:47,263 日が暮れても出歩いていると 夜游神(イエイウシェン)にさらわれるぞ 70 00:05:47,347 --> 00:05:50,767 (衣斯哈)ひっ! し… 失礼いたしました 71 00:05:51,267 --> 00:05:54,771 フフッ ありゃ 飛燕宮(ひえんきゅう)の使いの宦官(かんがん)だな 72 00:05:54,854 --> 00:05:56,814 子供を脅かすな 73 00:05:56,898 --> 00:05:59,650 “夜游神にさらわれるぞ”か 74 00:06:00,234 --> 00:06:01,319 どうかしました? 75 00:06:01,402 --> 00:06:05,073 幼いころ 私もよく母に言われたものだ 76 00:06:05,156 --> 00:06:06,532 脅かしでもしないと 77 00:06:06,616 --> 00:06:08,951 子供は言うこと 聞きやしませんからね 78 00:06:09,535 --> 00:06:12,413 “いい子にしないと 化け物に食べられちゃうぞ~” 79 00:06:12,497 --> 00:06:13,289 とかね 80 00:06:13,790 --> 00:06:14,749 迷信だと? 81 00:06:14,832 --> 00:06:17,460 まあ ウソも方便 ってやつでしょうよ 82 00:06:18,961 --> 00:06:21,589 (寿雪の母) 夜游神にさらわれちゃうよ 83 00:06:23,591 --> 00:06:25,718 (寿雪)夜游神ってなあに? 84 00:06:25,802 --> 00:06:28,888 (母) 夜にやって来て 人をさらう神様よ 85 00:06:28,971 --> 00:06:32,183 お母さん 寿雪がさらわれたら悲しいわ 86 00:06:32,266 --> 00:06:34,602 じゃあ 早く帰らなきゃ 87 00:06:35,395 --> 00:06:38,106 そうね 早く帰ろ 88 00:06:40,942 --> 00:06:41,901 あっ 89 00:06:42,485 --> 00:06:43,528 前を見て歩け 90 00:06:43,611 --> 00:06:44,779 む… 91 00:06:46,531 --> 00:06:50,535 柳の花の季節に現れる幽鬼(ゆうき)は 明珠公主だ 92 00:06:51,327 --> 00:06:54,789 禁軍に追われて 柳の下で自刃した 93 00:06:55,456 --> 00:06:57,667 (高峻)不幸な死に方をしたせいで 94 00:06:57,750 --> 00:07:00,169 あの場所に取り憑(つ)いている ということか? 95 00:07:00,253 --> 00:07:02,046 (寿雪) もしくは 何かが気になって 96 00:07:02,130 --> 00:07:04,298 そこを離れられぬか… 97 00:07:05,174 --> 00:07:08,803 夜明宮(やめいきゅう)では 花は育たないというのは本当か? 98 00:07:09,303 --> 00:07:10,304 本当だ 99 00:07:10,388 --> 00:07:11,222 なぜ? 100 00:07:11,305 --> 00:07:13,099 烏漣娘娘が厭(いと)うからだ 101 00:07:13,599 --> 00:07:16,310 好むのは 私が作る牡丹(ぼたん)だけだ 102 00:07:16,894 --> 00:07:18,146 夜明宮が 103 00:07:18,229 --> 00:07:21,607 もともと烏漣娘娘を祭っていた 廟(びょう)だとは聞いているが 104 00:07:22,108 --> 00:07:23,568 いまだに祭っているのか? 105 00:07:25,403 --> 00:07:26,696 なぜ 黙る? 106 00:07:27,280 --> 00:07:30,199 (寿雪) 余計な詮索をするな 煩わしい 107 00:07:30,283 --> 00:07:32,618 なら 私も黙ろう 108 00:07:36,038 --> 00:07:39,041 顔色がすぐれぬな 寝不足か? 109 00:07:39,542 --> 00:07:41,669 おぬしのもとに幽鬼でも出たか 110 00:07:42,170 --> 00:07:44,130 余計な詮索をするな 111 00:07:45,423 --> 00:07:46,257 冗談だ 112 00:07:46,757 --> 00:07:48,551 衛青(えいせい)に相談されたか? 113 00:07:49,343 --> 00:07:53,473 いや… ただ おぬしの寝所から 妙な臭いがしたのだ 114 00:07:54,098 --> 00:07:56,601 衛青からは 何も頼まれてなどいない 115 00:07:57,101 --> 00:07:58,352 (高峻)ウソが下手だな 116 00:07:59,187 --> 00:08:00,730 毎晩 現れるのか? 117 00:08:01,230 --> 00:08:03,608 おぬしの母上と 友の幽鬼は 118 00:08:04,108 --> 00:08:04,692 ああ 119 00:08:06,819 --> 00:08:10,698 救ってあげられなかった私を 恨んでいるのかもしれぬな 120 00:08:11,199 --> 00:08:12,200 (寿雪)それは… 121 00:08:12,825 --> 00:08:15,578 そなたに どうにかしてほしい わけではない 122 00:08:17,830 --> 00:08:19,624 今夜は先約がある 123 00:08:19,707 --> 00:08:21,375 悪いが ここで失礼する 124 00:08:21,876 --> 00:08:25,963 (寿雪)いちいち報告するな さっさと ほかの妃のもとへ行け 125 00:08:26,047 --> 00:08:28,674 (高峻)いや 星烏廟(せいうびょう)に行く 126 00:08:28,758 --> 00:08:31,344 冬官(とうかん)の薛魚泳(せつぎょえい)に 聞きたいことがあってな 127 00:08:31,427 --> 00:08:32,595 あ… 128 00:08:34,555 --> 00:08:35,681 (門が開く音) 129 00:08:35,765 --> 00:08:37,934 (九九(じうじう))おかえりなさいませ 娘娘(ニャンニャン) 130 00:08:38,017 --> 00:08:40,478 あら 陛下はどちらへ? 131 00:08:41,479 --> 00:08:43,064 (寿雪)どうせ ムダ足だ 132 00:08:45,942 --> 00:08:49,362 (高峻)この書物に 烏妃についての記述があった 133 00:08:49,946 --> 00:08:53,157 これを記した 白煙という 冬官について知りたい 134 00:08:53,699 --> 00:08:55,660 記録を遡ってみたが 135 00:08:55,743 --> 00:08:59,372 前王朝の冬官に 白煙という名はなかった 136 00:08:59,455 --> 00:09:00,331 なぜだ? 137 00:09:00,414 --> 00:09:01,415 (魚泳)わたくしは 138 00:09:01,499 --> 00:09:04,293 なぜに陛下が そこまで烏妃にこだわるのかが 139 00:09:04,377 --> 00:09:05,628 分かりませんな 140 00:09:07,463 --> 00:09:08,881 寿雪は 一人だ 141 00:09:08,965 --> 00:09:13,886 侍女を置かず宮女を置かず 1羽の鳥だけを供に 142 00:09:13,970 --> 00:09:16,264 寿雪は あの宮に暮らしていた 143 00:09:16,347 --> 00:09:19,392 (魚泳)それが 烏妃というものでございます 144 00:09:19,892 --> 00:09:22,895 (高峻)寿雪という名を聞いても 動じぬのだな 145 00:09:23,396 --> 00:09:25,690 そなたは 烏妃の名を知っていたのか? 146 00:09:26,357 --> 00:09:30,319 寿雪の名を知っているのは私と 近しい者だけだ 147 00:09:30,820 --> 00:09:31,696 誰から聞いた? 148 00:09:32,530 --> 00:09:35,074 わたくしも もうろくしましたな 149 00:09:35,157 --> 00:09:37,952 先代の烏妃様からでございます 150 00:09:38,578 --> 00:09:39,495 先代の? 151 00:09:39,996 --> 00:09:42,665 代替わりの挨拶があったのです 152 00:09:43,165 --> 00:09:44,959 烏妃が わざわざ そなたに… 153 00:09:45,459 --> 00:09:48,087 共に烏漣娘娘に 仕える者だからか? 154 00:09:48,921 --> 00:09:50,881 さようにございます 155 00:09:50,965 --> 00:09:54,677 だが 烏妃はここのように 烏漣娘娘を祭ってはいない 156 00:09:55,177 --> 00:09:58,764 それに 巫婆(みこ)ならば なぜ 妃として後宮にいる? 157 00:10:00,766 --> 00:10:03,811 話を戻そう 白煙とは何者だ? 158 00:10:05,354 --> 00:10:06,814 私が問うている 159 00:10:07,398 --> 00:10:10,109 なぜ答えずに 済ませられると思うのか 160 00:10:10,610 --> 00:10:12,820 それにも理由があろうな 161 00:10:13,404 --> 00:10:17,742 我々は烏妃様の命令を聞くように 出来ておりますので 162 00:10:17,825 --> 00:10:18,659 何? 163 00:10:19,243 --> 00:10:20,703 まあ よいでしょう 164 00:10:21,203 --> 00:10:24,999 白煙というのは尾長鴨(おなががも)の別名です 165 00:10:25,082 --> 00:10:28,419 尾長鴨は 黒い羽毛をしておりますが 166 00:10:28,502 --> 00:10:30,671 胸から目にかけては白い 167 00:10:30,755 --> 00:10:35,259 その模様が煙のように見えるので 白煙と申します 168 00:10:35,343 --> 00:10:36,594 つまり… 169 00:10:38,179 --> 00:10:40,598 白煙とは冬官のこと 170 00:10:41,182 --> 00:10:44,310 歴代の冬官 全て白煙なのですよ 171 00:10:44,810 --> 00:10:47,271 では どの冬官が 書いたものなのかは 172 00:10:47,355 --> 00:10:48,230 分からないのか? 173 00:10:48,314 --> 00:10:52,610 いえ 前王朝初代の冬官です 174 00:10:52,693 --> 00:10:55,196 そのように伝承されております 175 00:10:55,696 --> 00:10:56,572 (高峻)伝承? 176 00:10:57,073 --> 00:10:59,325 そなたたちは 何を伝承しているんだ? 177 00:10:59,825 --> 00:11:03,496 かつての歴史と それを葬り続けることを 178 00:11:04,080 --> 00:11:04,872 歴史だと? 179 00:11:04,955 --> 00:11:07,625 お人払いを願えますか? 180 00:11:07,708 --> 00:11:11,128 陛下お一人の胸に 納めていただけるならば 181 00:11:11,212 --> 00:11:12,922 お話しいたしましょう 182 00:11:17,551 --> 00:11:21,889 わたくしたちが伝承しているのは 烏妃様の成り立ち 183 00:11:21,972 --> 00:11:23,724 本当の史実です 184 00:11:24,517 --> 00:11:26,268 本当の史実… 185 00:11:34,568 --> 00:11:36,862 (鈴の音) 186 00:11:38,239 --> 00:11:41,075 (九九) 娘娘 陛下がいらっしゃいました 187 00:11:41,575 --> 00:11:43,119 雙通典(そうつてん)を見せろ 188 00:11:44,078 --> 00:11:45,621 冬官に何を聞いた? 189 00:11:46,205 --> 00:11:50,543 帝に代々受け継がれた歴史書 雙通典は ほかにもある 190 00:11:51,043 --> 00:11:52,211 その書には 191 00:11:52,294 --> 00:11:55,506 烏妃の本当の成り立ちが 記されていると聞いた 192 00:11:56,590 --> 00:12:00,094 そなたのもとに その雙通典の片割れがあると 193 00:12:00,594 --> 00:12:02,388 そなたに見せてもらえと 194 00:12:03,597 --> 00:12:05,474 冬官は こうも申していたぞ 195 00:12:05,975 --> 00:12:08,894 そなたも星の巡りを 感じているはずだと 196 00:12:09,437 --> 00:12:14,150 私の姓に夏があり そなたの名には冬があると 197 00:12:14,650 --> 00:12:15,901 どういう意味だ? 198 00:12:16,485 --> 00:12:17,653 薛魚泳め 199 00:12:18,404 --> 00:12:19,905 (高峻)何を隠している? 200 00:12:19,989 --> 00:12:20,948 おぬしこそ 201 00:12:21,031 --> 00:12:23,534 何故 隠されていることを 知ろうとするのだ? 202 00:12:24,535 --> 00:12:26,829 そなたが あわれと思うからだ 203 00:12:29,331 --> 00:12:29,915 (衛青)あっ 204 00:12:30,958 --> 00:12:33,294 あわれだと? よくも… 205 00:12:33,377 --> 00:12:34,003 (九九)娘娘! 206 00:12:34,086 --> 00:12:36,213 言い方が悪かったなら謝ろう 207 00:12:36,714 --> 00:12:40,593 だが そなたを 気の毒に思っているのは本当だ 208 00:12:41,635 --> 00:12:42,845 気に障るか? 209 00:12:45,055 --> 00:12:45,639 娘娘… 210 00:12:51,854 --> 00:12:53,481 望みの片割れだ 211 00:12:53,564 --> 00:12:57,151 これに目を通してから 先ほどと同じことを申してみよ 212 00:12:57,735 --> 00:12:59,195 申せるものなら! 213 00:13:05,576 --> 00:13:06,160 あっ… 214 00:13:06,744 --> 00:13:11,624 麗娘(れいじょう)から これを見せられたのは ここに来て1年がたったころだ 215 00:13:12,833 --> 00:13:14,418 暗唱できるほど読んだ 216 00:13:15,294 --> 00:13:19,715 “西方 幽(かくれ)の宮から飛び立ちて 八千と一夜” 217 00:13:19,799 --> 00:13:23,636 “烏漣娘娘 杜松(としょう)生(お)う この島を見つけたまいて” 218 00:13:24,178 --> 00:13:26,180 “枝に御羽(みはね)を休めたまいき” 219 00:13:27,014 --> 00:13:29,433 “ここに青人草(あおひとくさ)より ふたりを選びて” 220 00:13:30,059 --> 00:13:34,438 “ひとりを夏の王に ひとりを冬の王に為(な)したまいき” 221 00:13:35,564 --> 00:13:36,649 聞きたいか? 222 00:13:37,983 --> 00:13:38,943 (高峻)聞こう 223 00:13:46,200 --> 00:13:48,702 (寿雪)男王である夏の王は政を 224 00:13:49,203 --> 00:13:52,581 巫婆王である冬の王は 祭祀(さいし)をつかさどった 225 00:13:53,207 --> 00:13:56,794 夏の王は血族の男子によって 受け継がれていったが 226 00:13:56,877 --> 00:14:01,674 冬の王は いつも神託によって 幼い少女が無作為に選ばれた 227 00:14:02,216 --> 00:14:06,720 冬の王は烏漣娘娘から力を預かり 言葉を伝えた 228 00:14:07,221 --> 00:14:10,808 500年あまり 国は男女2人の王によって 229 00:14:10,891 --> 00:14:15,688 代々 平らかに治められていたが やがて戦乱が起こった 230 00:14:16,188 --> 00:14:19,233 血気盛んな青年であった 夏の王 淞(しょう)が 231 00:14:19,316 --> 00:14:22,486 冬の王である 綏(すい)という乙女を殺したのだ 232 00:14:22,987 --> 00:14:25,406 理由は明確には分かっておらぬ 233 00:14:26,240 --> 00:14:29,660 淞が綏に恋着したのを 綏が拒んだためとか 234 00:14:30,160 --> 00:14:33,372 淞の弟と綏が通じたのを憎んだとか 235 00:14:33,455 --> 00:14:34,790 そんな話だ 236 00:14:36,208 --> 00:14:39,962 綏は身の内から すがすがしい光を放つような 237 00:14:40,045 --> 00:14:43,132 透き通った美しさを持つ 乙女だったそうだ 238 00:14:43,716 --> 00:14:46,135 淞は綏を愛していたのだ 239 00:14:47,428 --> 00:14:48,804 殺したいほどに 240 00:14:49,722 --> 00:14:50,973 (高峻たち)あっ! 241 00:14:51,557 --> 00:14:53,100 (寿雪)それから数百年 242 00:14:53,183 --> 00:14:57,187 冬の王の軍勢と 夏の王の軍勢とが争った 243 00:14:57,980 --> 00:15:03,110 夏の王は幾人か代替わりをしたが 冬の王は新たには現れなかった 244 00:15:04,069 --> 00:15:06,030 烏漣娘娘は沈黙した 245 00:15:06,697 --> 00:15:12,119 国は荒廃し 王朝が興っては すぐに滅びるのを繰り返した 246 00:15:12,620 --> 00:15:14,330 だが あるとき… 247 00:15:14,413 --> 00:15:15,289 あっ 248 00:15:15,873 --> 00:15:18,083 (寿雪) 地方から破竹のごとき勢いで 249 00:15:18,167 --> 00:15:20,836 関を破って 京師(みやこ)に向かう軍勢が現れた 250 00:15:21,420 --> 00:15:25,466 その銀髪から 銀将軍と呼ばれた欒夕(らんゆう)の軍だ 251 00:15:25,966 --> 00:15:29,470 齢(よわい)30に届かぬ 若獅子のような青年であった 252 00:15:30,471 --> 00:15:33,432 欒夕は 1人の少女を伴っていた 253 00:15:33,933 --> 00:15:35,517 名を香薔(こうしょう)という 254 00:15:36,101 --> 00:15:39,521 12歳の少女だ 名前は欒夕がつけた 255 00:15:42,191 --> 00:15:45,027 奴隷であった彼女は 名を持っていなかったからだ 256 00:15:45,861 --> 00:15:48,906 香薔は烏漣娘娘が選んだ 冬の王だった 257 00:15:51,075 --> 00:15:52,785 (鈴のような音) 258 00:15:52,868 --> 00:15:57,081 (寿雪)欒夕は金鶏(きんけい)に導かれて 香薔を見つけ… 259 00:16:02,127 --> 00:16:05,130 奴隷王のもとから救い出したのだ 260 00:16:07,174 --> 00:16:12,805 香薔は欒夕のために力を使い 彼を助けた 261 00:16:12,888 --> 00:16:15,808 (欒夕の軍兵たちの歓声) 262 00:16:17,142 --> 00:16:20,354 (寿雪)冬の王を味方につけた 欒夕が覇権を取るのに 263 00:16:20,437 --> 00:16:22,356 そう長くは かからなかった 264 00:16:22,856 --> 00:16:26,276 彼が王になったのは 28のときであった 265 00:16:26,777 --> 00:16:32,366 千年近くの隔絶を経て 再び夏の王と冬の王がそろったのだ 266 00:16:33,659 --> 00:16:34,994 欒夕は分かっていた 267 00:16:35,494 --> 00:16:39,999 千年に至る争乱の始まりは 冬の王を失ったからだと 268 00:16:43,293 --> 00:16:46,755 冬の王が欠ければ 夏の王も滅びる 269 00:16:47,256 --> 00:16:51,760 夏の王を王たらしめているのは 冬の王の存在なのだ 270 00:16:52,302 --> 00:16:54,763 烏漣娘娘の長い沈黙は 271 00:16:54,847 --> 00:16:59,226 冬の王を殺した 夏の王への罰であった 272 00:17:01,729 --> 00:17:03,856 冬の王を失ってはいけない 273 00:17:04,565 --> 00:17:06,734 夏の王であり続けるためには 274 00:17:09,486 --> 00:17:12,573 だが 欒夕は 香薔に王を名乗らせなかった 275 00:17:13,073 --> 00:17:16,493 2人の王は 再び戦火を生む種だと言って 276 00:17:16,994 --> 00:17:19,538 支配権を独り占めしたい欲が あったのか 277 00:17:20,039 --> 00:17:25,127 真実 戦を憂えてのことか そのどちらもかは知らぬ 278 00:17:29,965 --> 00:17:31,884 欒夕は後宮に宮を作らせ… 279 00:17:44,063 --> 00:17:46,148 (寿雪)香薔をそこに閉じ込めた 280 00:17:49,234 --> 00:17:55,574 神官と切り離し 実権を奪い 烏妃と名付けて妃の一人に数えた 281 00:17:56,075 --> 00:17:59,036 それでも 寝所に はべらせることはしなかった 282 00:17:59,703 --> 00:18:01,371 冬の王への恋慕が 283 00:18:01,455 --> 00:18:03,916 戦の始まりであったことを 知っていたから 284 00:18:04,583 --> 00:18:06,210 香薔は それを承知した 285 00:18:06,710 --> 00:18:09,797 閉じ込められ 沈黙することを受け入れた 286 00:18:11,006 --> 00:18:14,384 香薔は 欒夕を愛していたからだ 287 00:18:18,472 --> 00:18:22,392 香薔は烏漣娘娘を この宮の下にとどめて 288 00:18:22,476 --> 00:18:24,061 その番人となった 289 00:18:24,812 --> 00:18:28,607 以来 烏妃は夜明宮で 烏漣娘娘の守りをしている 290 00:18:29,566 --> 00:18:32,319 欒夕は偽りの史書を作った 291 00:18:32,820 --> 00:18:35,531 2人の王の名は葬られたのだ 292 00:18:36,365 --> 00:18:38,534 白煙は烏妃の成り立ちをすり替え 293 00:18:39,034 --> 00:18:42,329 烏妃を ただの烏漣娘娘を祭る 巫婆の末裔(まつえい)に仕立てた 294 00:18:43,330 --> 00:18:47,084 それが香薔の… 冬の王の意志だったからだ 295 00:18:47,668 --> 00:18:50,212 おおよそ こんなところだ 296 00:18:52,923 --> 00:18:55,467 今 話したことは 全て真実か? 297 00:18:56,093 --> 00:18:58,512 信じぬのであれば それでもよい 298 00:18:59,012 --> 00:19:00,973 私は これ以外の話を知らぬ 299 00:19:01,056 --> 00:19:04,601 私の祖父は 欒氏から帝位を譲り受け 300 00:19:05,102 --> 00:19:08,814 京師も宮城も そのまま欒王朝のものを踏襲した 301 00:19:09,314 --> 00:19:09,898 だからこそ 302 00:19:09,982 --> 00:19:12,734 帝位を手に入れることが できたということか 303 00:19:13,318 --> 00:19:16,572 烏妃を… 冬の王を廃さなかったから 304 00:19:18,323 --> 00:19:19,992 私が帝であるのは 305 00:19:20,492 --> 00:19:23,287 そなたが ここにいてくれるから だというのか 306 00:19:24,830 --> 00:19:27,958 そなたは… 烏妃たちは それでいいのか? 307 00:19:28,458 --> 00:19:30,752 王の名を奪われ 閉じ込められたままで 308 00:19:30,836 --> 00:19:32,171 どうせよと? 309 00:19:32,671 --> 00:19:36,258 再び冬の王を名乗れと? いらぬ戦になるやもしれぬのに 310 00:19:36,341 --> 00:19:40,012 だから 沈黙を守ったまま 一生をここで終えるのか? 311 00:19:40,512 --> 00:19:43,974 そんな義務も義理も そなたには ないではないか 312 00:19:44,057 --> 00:19:45,100 烏妃をやめたいとは… 313 00:19:45,184 --> 00:19:46,894 できたら とうにやめておるわ! 314 00:19:48,353 --> 00:19:50,772 誰がすき好んで 烏妃でなどいるものか 315 00:19:51,273 --> 00:19:54,568 だが この身には 烏漣娘娘の爪がかかっている 316 00:19:55,068 --> 00:19:58,530 烏妃を 冬の王を選ぶのは 烏漣娘娘だ 317 00:19:59,031 --> 00:20:00,949 金鶏は それを知らせるのみ 318 00:20:01,867 --> 00:20:05,204 あの夜に 私は爪をかけられたのだ 319 00:20:05,787 --> 00:20:06,455 あの夜? 320 00:20:07,080 --> 00:20:09,583 母が私を連れて逃げた日の夜だ 321 00:20:10,584 --> 00:20:12,336 (母)ここに隠れていなさい 322 00:20:12,419 --> 00:20:15,422 何が聞こえても動かず じっとしているのよ 323 00:20:15,923 --> 00:20:17,799 声も出してはダメ いいわね 324 00:20:26,433 --> 00:20:28,602 (寿雪)月のない夜だった 325 00:20:29,311 --> 00:20:31,855 月のない真っ暗闇の夜にだけ 326 00:20:31,939 --> 00:20:35,567 烏漣娘娘は 夜明宮を抜け出して徘徊(はいかい)する 327 00:20:36,151 --> 00:20:37,611 夜游神として 328 00:20:38,695 --> 00:20:39,488 (咆哮(ほうこう)) 329 00:20:40,072 --> 00:20:41,865 (寿雪)きっと あのとき私は 330 00:20:41,949 --> 00:20:44,201 烏漣娘娘に選ばれたのだ 331 00:20:44,701 --> 00:20:45,869 気まぐれに… 332 00:20:46,870 --> 00:20:49,790 烏漣娘娘を冬の王は ここに引き止めた 333 00:20:50,540 --> 00:20:53,669 だから 冬の王も ここから離れられぬ 334 00:20:54,169 --> 00:20:56,421 宮城の外には 一歩も出られぬ 335 00:20:56,922 --> 00:20:59,341 それは裏切りだから 336 00:21:00,217 --> 00:21:01,176 どういうことだ? 337 00:21:01,760 --> 00:21:04,471 烏妃の命は 烏漣娘娘が握っている 338 00:21:04,972 --> 00:21:07,224 宮城の外に 一歩でも踏み出せば 339 00:21:07,307 --> 00:21:08,558 烏妃は死ぬ 340 00:21:09,393 --> 00:21:09,935 あっ 341 00:21:10,519 --> 00:21:13,772 どうにもならぬ 私は ここから逃げられぬ 342 00:21:14,273 --> 00:21:17,901 冬の王の誇りを持ち 秘密を守るため 343 00:21:17,985 --> 00:21:21,571 いらぬ災いを呼び込まぬために 沈黙を守る 344 00:21:22,072 --> 00:21:24,116 そう麗娘から教わった 345 00:21:26,368 --> 00:21:28,161 この夜明宮に閉じ込められ 346 00:21:28,662 --> 00:21:33,542 何も望めず 人と心から交われず 逃げられもしない 347 00:21:34,293 --> 00:21:35,627 おぬしに分かるか? 348 00:21:36,128 --> 00:21:38,755 その口で もう一度 言うてみるがいい! 349 00:21:39,339 --> 00:21:40,465 私をあわれだと 350 00:21:40,549 --> 00:21:42,551 ひと事のように! 351 00:21:43,593 --> 00:21:47,889 ハア ハア ハア… 352 00:21:49,474 --> 00:21:51,601 九九 放っておけ 353 00:21:52,102 --> 00:21:54,104 いえ ですが… 354 00:21:54,604 --> 00:21:56,773 (九九・冰月) 娘娘がおケガなさっては困ります 355 00:21:56,857 --> 00:21:57,524 (2人)あっ 356 00:21:57,607 --> 00:21:58,692 (寿雪)九九! 357 00:21:58,775 --> 00:21:59,776 動くな 烏妃! 358 00:22:00,694 --> 00:22:01,778 フフフッ 359 00:22:02,487 --> 00:22:03,739 冰月! 360 00:22:06,033 --> 00:22:08,035 {\an8}♪~ 361 00:23:33,954 --> 00:23:35,956 {\an8}~♪