1 00:00:03,086 --> 00:00:06,131 (ナレーション) 月がなくなり 闇が濃くなると 2 00:00:06,715 --> 00:00:08,049 烏妃(うひ)は その身に 3 00:00:08,133 --> 00:00:11,386 烏漣娘娘(うれんにゃんにゃん)を とどめておけなくなるという 4 00:00:13,179 --> 00:00:13,888 (寿雪(じゅせつ))う… 5 00:00:15,223 --> 00:00:16,891 ううっ… 6 00:00:25,275 --> 00:00:26,401 うあああっ! 7 00:00:26,484 --> 00:00:29,904 (ナレーション) 化鳥(けちょう)が夜の間を徘徊(はいかい)するとき 8 00:00:29,988 --> 00:00:34,159 烏妃は 身を引きちぎられるような 痛みを味わう 9 00:00:34,743 --> 00:00:36,327 (寿雪)うう… 10 00:00:38,955 --> 00:00:41,207 ああっ! うっ… 11 00:00:41,958 --> 00:00:43,334 (九九(じうじう))娘娘(ニャンニャン)! 12 00:00:45,503 --> 00:00:47,380 (桂子(けいし))近づいてはならない 13 00:00:47,464 --> 00:00:48,673 どうして? 14 00:00:48,757 --> 00:00:50,216 烏妃の定めだから 15 00:00:50,717 --> 00:00:52,635 ずっと前からそうだった 16 00:00:53,636 --> 00:00:55,764 麗娘(れいじょう)様も そうだった 17 00:00:55,847 --> 00:00:57,265 そんな… 18 00:01:01,770 --> 00:01:03,063 (咆哮(ほうこう)) 19 00:01:04,355 --> 00:01:05,231 う… 20 00:01:07,067 --> 00:01:07,817 うう… 21 00:01:13,364 --> 00:01:14,866 梟(ふくろう)! 22 00:01:16,034 --> 00:01:18,369 (衝撃音) (九九)あっ 娘娘! 23 00:01:18,453 --> 00:01:19,871 娘娘! 24 00:01:19,954 --> 00:01:22,707 (寿雪)う… (九九)大丈夫ですか? 25 00:01:22,791 --> 00:01:23,666 (寿雪)ああ… 26 00:01:23,750 --> 00:01:26,503 そうだ お水… すぐお持ちします 27 00:01:28,963 --> 00:01:29,881 う… 28 00:01:31,758 --> 00:01:34,511 あれは… 誰だ? 29 00:01:45,146 --> 00:01:47,273 (宵月(しょうげつ))老師(せんせい) (封(ほう))なんだ? 30 00:01:47,357 --> 00:01:50,276 (宵月)後宮に行きたい どうすればいい? 31 00:01:50,360 --> 00:01:51,903 (封)行って どうする? 32 00:01:51,986 --> 00:01:54,405 やらねばならぬことがある 33 00:01:58,201 --> 00:01:59,911 つては なくもない 34 00:01:59,994 --> 00:02:03,873 宮城勤めの者に 古い なじみがいる 35 00:02:03,957 --> 00:02:05,416 頼んでやろう 36 00:02:05,500 --> 00:02:06,793 (宵月)ありがとう 37 00:02:11,506 --> 00:02:15,426 俺は 烏妃を殺さなければならぬ 38 00:02:16,010 --> 00:02:18,012 {\an8}♪~ 39 00:03:42,305 --> 00:03:44,307 {\an8}~♪ 40 00:03:47,560 --> 00:03:52,774 (ナレーション)後宮の奥深く 烏妃と呼ばれる妃(きさき)が住んでいる 41 00:03:55,526 --> 00:04:00,531 その妃は 妃でありながら 夜伽(よとぎ)をすることのない⸺ 42 00:04:00,615 --> 00:04:02,742 特別な妃だった 43 00:04:03,243 --> 00:04:05,161 後宮で生きながら 44 00:04:05,245 --> 00:04:09,499 決して帝(みかど)の前で ひざまずくことのない妃 45 00:04:09,999 --> 00:04:11,751 それが烏妃だった 46 00:04:12,252 --> 00:04:14,379 娘娘 薬湯です 47 00:04:14,462 --> 00:04:15,630 うむ 48 00:04:20,593 --> 00:04:22,095 お体のためです 49 00:04:22,178 --> 00:04:24,013 さあ ぐうっと 50 00:04:24,097 --> 00:04:25,807 分かっておる 51 00:04:31,354 --> 00:04:33,022 (九九)こちらもどうぞ 52 00:04:33,106 --> 00:04:35,441 蜜を溶かした白湯(さゆ)です 53 00:04:35,525 --> 00:04:39,320 薬湯と一緒に 用意するといいって 桂子さんが 54 00:04:39,821 --> 00:04:41,030 そうか 55 00:04:44,492 --> 00:04:46,619 (衣斯哈(いしは))娘娘 出来ました 56 00:04:46,703 --> 00:04:47,412 どれ 57 00:04:49,163 --> 00:04:51,040 おぬしは飲み込みが早い 58 00:04:51,124 --> 00:04:53,543 (おなかが鳴る音) (衣斯哈)あっ… 59 00:04:55,169 --> 00:04:57,046 (寿雪)ひと休みしよう 60 00:04:59,257 --> 00:05:00,800 (衣斯哈)あの 娘娘 61 00:05:00,883 --> 00:05:01,884 ん? 62 00:05:01,968 --> 00:05:05,722 僕を おそばに置いてくださって ありがとうございます 63 00:05:05,805 --> 00:05:07,640 なんだ 改まって 64 00:05:07,724 --> 00:05:11,144 こんなに よくしてもらって うれしくて… 65 00:05:11,227 --> 00:05:14,397 礼ならば 温螢(おんけい)に言うがよい 66 00:05:14,480 --> 00:05:17,317 おぬしを宦官(かんがん)に推したのは あやつだ 67 00:05:17,400 --> 00:05:20,486 温螢さんにも お礼が言いたいです 68 00:05:20,570 --> 00:05:22,196 (寿雪)いずれ機会もあろう 69 00:05:22,280 --> 00:05:23,197 はい! 70 00:05:25,450 --> 00:05:26,826 (寿雪)もう一つ 食べるか? 71 00:05:26,909 --> 00:05:28,411 いいんですか? 72 00:05:28,911 --> 00:05:32,081 フフフッ 衣斯哈は食いしん坊ね 73 00:05:32,165 --> 00:05:34,375 こんなおいしい果物 74 00:05:34,459 --> 00:05:37,295 僕の生まれた村には なかったので 75 00:05:37,795 --> 00:05:40,590 おぬしは 漁村の生まれだったな 76 00:05:40,673 --> 00:05:41,341 (衣斯哈)はい 77 00:05:41,424 --> 00:05:43,551 ねえ どんな所だったの? 78 00:05:43,634 --> 00:05:46,054 平目(ひらめ)や鯖(さば)が取れます 79 00:05:46,137 --> 00:05:48,097 時々 不思議なものも 80 00:05:48,181 --> 00:05:50,099 不思議なもの? 81 00:05:50,183 --> 00:05:54,103 海辺には たくさんの いろんなものが流れ着きます 82 00:05:54,187 --> 00:05:56,981 僕の村には 海に落ちた人は 83 00:05:57,065 --> 00:06:00,568 必ず流れ着くという 入り江がありました 84 00:06:01,194 --> 00:06:02,111 (衣斯哈)わあっ 85 00:06:02,737 --> 00:06:06,282 (衣斯哈)それは 海で亡くなった者の魂だと 86 00:06:06,366 --> 00:06:08,117 村の年寄りは言ってました 87 00:06:08,201 --> 00:06:09,410 ほう 88 00:06:09,494 --> 00:06:11,204 確かに不思議ね 89 00:06:11,704 --> 00:06:13,623 とってもきれいなんです 90 00:06:13,706 --> 00:06:17,210 九九さんも 見たら きっと びっくりしますよ 91 00:06:19,754 --> 00:06:23,174 (高峻(こうしゅん))新月の夜 烏妃には何かあるのか? 92 00:06:23,716 --> 00:06:26,636 (魚泳(ぎょえい)) はて どういうことでしょう? 93 00:06:26,719 --> 00:06:30,139 (高峻)寿雪が 何か隠しているようなのだ 94 00:06:31,140 --> 00:06:32,266 明日は訪ねてくるな 95 00:06:33,643 --> 00:06:34,268 なぜだ? 96 00:06:34,852 --> 00:06:36,104 明日は疲れている 97 00:06:36,604 --> 00:06:39,440 (魚泳)感心いたしませんな 98 00:06:39,524 --> 00:06:42,235 烏妃がなんたるかを お知りになったうえで 99 00:06:42,735 --> 00:06:45,613 なぜ まだ関わろうと なさるのです? 100 00:06:46,114 --> 00:06:47,990 帝の地位にあるかぎり 101 00:06:48,491 --> 00:06:51,160 烏妃のことを知るのは 私の責務だ 102 00:06:53,663 --> 00:06:57,083 陛下は真面目にすぎますな いやはや… 103 00:06:57,583 --> 00:06:58,584 麗娘から 104 00:06:58,668 --> 00:07:01,921 代替わりの挨拶があったと 前に申していたな 105 00:07:02,422 --> 00:07:03,506 (魚泳)はあ 106 00:07:03,589 --> 00:07:05,174 直接 会ったということか? 107 00:07:06,092 --> 00:07:08,511 いえ 死んだ烏妃様が 108 00:07:08,594 --> 00:07:11,931 わたくしのもとへ 現れたのでございます 109 00:07:12,515 --> 00:07:13,307 幽鬼(ゆうき)か? 110 00:07:14,100 --> 00:07:15,309 さようで 111 00:07:15,810 --> 00:07:18,312 “寿雪を頼む”と 112 00:07:18,396 --> 00:07:21,524 それほどまでに 信頼されていたのは なぜだ? 113 00:07:22,024 --> 00:07:26,571 (魚泳)あの方の生家は わたくしの主人の家にあたります 114 00:07:27,405 --> 00:07:31,325 わたくしは麗娘様と 同じ師に学んだのです 115 00:07:31,409 --> 00:07:33,453 昔なじみだったのか 116 00:07:33,953 --> 00:07:36,914 (魚泳) 麗娘様が烏妃に選ばれたあと 117 00:07:36,998 --> 00:07:40,251 わたくしは この冬官府(とうかんふ)に入りました 118 00:07:40,334 --> 00:07:42,420 (高峻)それは 麗娘のためか? 119 00:07:42,503 --> 00:07:48,176 冬官が あの方のためになど… なるものですか 120 00:07:50,011 --> 00:07:55,391 当時は名家の出でなければ 官吏には なれませんでした 121 00:07:55,475 --> 00:07:59,479 冬官府だけは庶人に門戸を 開いておりましたので 122 00:07:59,562 --> 00:08:01,856 それだけのことでございます 123 00:08:01,939 --> 00:08:02,815 (高峻)そうか 124 00:08:02,899 --> 00:08:06,944 ですが 今では ここで経験を積んだあと 125 00:08:07,028 --> 00:08:10,698 官吏として登用される者も 少なくありません 126 00:08:10,781 --> 00:08:13,868 そなたがつけた 道筋と聞いている 127 00:08:13,951 --> 00:08:14,702 フッ… 128 00:08:14,785 --> 00:08:17,330 育てて 手放すばかりだな 129 00:08:17,413 --> 00:08:18,873 ホホホホホッ… 130 00:08:19,373 --> 00:08:22,168 残っている変わり者も おりますが 131 00:08:22,251 --> 00:08:25,838 あとは その者に 託そうと考えております 132 00:08:25,922 --> 00:08:27,673 隠居したいのか? 133 00:08:28,174 --> 00:08:31,093 お許しを頂けるのであれば 134 00:08:31,177 --> 00:08:34,764 (高峻)その前に 寿雪に会ってやってくれないか? 135 00:08:35,264 --> 00:08:36,682 (魚泳)烏妃様に? 136 00:08:36,766 --> 00:08:38,809 (高峻)麗娘の話をしてやってくれ 137 00:08:39,310 --> 00:08:40,937 寿雪が喜ぶだろう 138 00:08:45,024 --> 00:08:46,859 (魚泳)承知いたしました 139 00:08:49,904 --> 00:08:51,864 (安(あん)氏)もし… もし… 140 00:08:52,823 --> 00:08:54,158 烏妃様 141 00:08:55,076 --> 00:08:56,077 (寿雪)何者だ? 142 00:08:56,160 --> 00:08:59,580 (安氏) わたくしは 安慧蘭(けいらん)と申します 143 00:08:59,664 --> 00:09:02,875 烏妃様に お願いしたき儀がございます 144 00:09:05,962 --> 00:09:10,383 このような夜更けに 誠に申し訳ございません 145 00:09:11,259 --> 00:09:12,426 かまわぬ 146 00:09:12,510 --> 00:09:14,971 おぬしのような来訪者は たまにいる 147 00:09:15,471 --> 00:09:16,556 入れ 148 00:09:20,476 --> 00:09:22,520 頼み事とはなんだ? 149 00:09:22,603 --> 00:09:25,523 (安氏) 水の中から声が聞こえるのです 150 00:09:27,608 --> 00:09:30,903 わたくしが かつて お仕えしていたお妃様 151 00:09:30,987 --> 00:09:33,906 西婉琳(さいえんりん)様の声です 152 00:09:34,490 --> 00:09:37,910 あの方の真実を 知っていただきたいのです 153 00:09:37,994 --> 00:09:39,704 そして どうか 154 00:09:39,787 --> 00:09:43,666 婉琳様の魂を 救ってあげてほしいのです 155 00:09:44,625 --> 00:09:49,005 婉琳様は とても愛くるしい お嬢様でございました 156 00:09:49,088 --> 00:09:50,298 (婉琳)慧蘭 聞いて 157 00:09:50,381 --> 00:09:52,758 (安氏)琴(きん)の腕前は 一級品 158 00:09:52,842 --> 00:09:55,219 笑うお顔は芍薬(しゃくやく)のよう 159 00:09:55,303 --> 00:09:58,264 そのお声は清らかな水のよう 160 00:09:58,764 --> 00:09:59,849 (婉琳)慧蘭 大好き 161 00:09:59,932 --> 00:10:01,601 (安氏)わたくしは この方を 162 00:10:01,684 --> 00:10:05,187 国一番の妃にしてみせようと 誓いました 163 00:10:05,688 --> 00:10:10,276 成長した婉琳様は 炎帝(えんてい)に鵲巣宮(じゃくそうきゅう)を与えられ 164 00:10:10,359 --> 00:10:13,195 鵲妃(じゃくひ)として 後宮に迎えられました 165 00:10:13,696 --> 00:10:15,740 ですが それからというもの 166 00:10:15,823 --> 00:10:19,619 手にした小さな袋を眺めては ため息ばかり 167 00:10:20,119 --> 00:10:22,413 わたくしは懸命に諭しました 168 00:10:22,913 --> 00:10:26,626 今夜にも 帝をお迎え するかもしれぬという妃が 169 00:10:26,709 --> 00:10:29,879 そのように ふぬけていて どうするのかと 170 00:10:29,962 --> 00:10:32,673 婉琳様は こう言い返しました 171 00:10:32,757 --> 00:10:35,801 “妃になど 望んでなったわけじゃない” 172 00:10:36,302 --> 00:10:39,847 婉琳様は ひどく神経質に なっているようでした 173 00:10:40,348 --> 00:10:42,683 その すぐあとのことでした 174 00:10:42,767 --> 00:10:47,271 宦官が 今夜 帝がお渡りになると 告げていきました 175 00:10:47,772 --> 00:10:51,108 ああ これで きっと 全てうまくゆく 176 00:10:51,192 --> 00:10:54,695 そのことを婉琳様に 伝えようとしましたが 177 00:10:54,779 --> 00:10:57,073 屋敷は もぬけの殻でした 178 00:10:57,573 --> 00:11:01,285 どこにいらっしゃるのか この大事なときに 179 00:11:01,369 --> 00:11:02,411 湯あみをして 180 00:11:02,495 --> 00:11:05,665 美しい装いをしなければ ならないのに 181 00:11:06,165 --> 00:11:08,459 ですが 見つけたのは 182 00:11:08,542 --> 00:11:13,255 池の前にそろえられた 婉琳様の靴でございました 183 00:11:13,881 --> 00:11:16,133 婉琳様は入水されて 184 00:11:16,634 --> 00:11:19,595 わたくしは 洗穢寮(せんえりょう)に送られました 185 00:11:20,096 --> 00:11:24,600 以来 汚れた布を 洗い続けております 186 00:11:25,101 --> 00:11:28,187 それが聞こえるように なったのは 187 00:11:28,270 --> 00:11:32,400 洗穢寮へ送られて すぐのことでございました 188 00:11:33,651 --> 00:11:34,402 (婉琳の声)慧蘭 189 00:11:34,485 --> 00:11:35,111 あっ 190 00:11:35,903 --> 00:11:36,987 (婉琳の声)慧蘭 191 00:11:37,071 --> 00:11:40,741 (安氏)水から 婉琳様の声がするのです 192 00:11:41,534 --> 00:11:46,455 水が滴り落ちる度 婉琳様が わたくしを呼ぶのです 193 00:11:46,539 --> 00:11:50,084 そのお声が美しく澄んで 響くのです 194 00:11:50,835 --> 00:11:52,086 (婉琳の声)慧蘭 195 00:11:52,586 --> 00:11:55,423 (安氏)きっと 婉琳様の魂は 196 00:11:55,506 --> 00:11:58,259 あの池で さまよっておいでなのです 197 00:11:58,342 --> 00:11:59,844 水を通じて 198 00:11:59,927 --> 00:12:03,222 あの池から助けを求めて いらっしゃるのです 199 00:12:03,305 --> 00:12:05,099 おいたわしい婉琳様 200 00:12:05,599 --> 00:12:09,437 烏妃様 婉琳様を お救いいただけませんか? 201 00:12:10,020 --> 00:12:12,732 どうか お願いいたします 202 00:12:14,775 --> 00:12:17,445 (寿雪)安氏という 宮女を知っておるか? 203 00:12:18,821 --> 00:12:22,241 炎帝の代に 鵲妃の侍女であった老女だ 204 00:12:29,039 --> 00:12:31,584 ほう うまいものだな 205 00:12:31,667 --> 00:12:35,880 この者は 水から死んだ鵲妃の声が 聞こえると言っておったか? 206 00:12:36,380 --> 00:12:38,007 どういう女であった? 207 00:12:40,760 --> 00:12:42,720 人となりは知らぬか… 208 00:12:45,723 --> 00:12:49,268 “皆 気味が悪いと 遠巻きにしておりました” 209 00:12:49,769 --> 00:12:51,687 (九九) 何してらっしゃるんですか? 210 00:12:52,188 --> 00:12:54,940 うわあ 上手ですね! 211 00:12:55,024 --> 00:12:56,442 紅翹(こうぎょう)が描いたのだ 212 00:12:56,525 --> 00:12:57,485 へえ~! 213 00:12:58,903 --> 00:12:59,945 (寿雪)九九だ 214 00:13:00,029 --> 00:13:05,034 これ あたしですか? 紅翹さん お上手なんですね 215 00:13:05,534 --> 00:13:07,953 (温螢)娘娘 戻りました 216 00:13:08,037 --> 00:13:09,455 どうであった? 217 00:13:09,538 --> 00:13:11,749 (温螢)娘娘の おっしゃるとおりでした 218 00:13:11,832 --> 00:13:12,708 そうか 219 00:13:15,294 --> 00:13:17,379 鵲巣宮の池に行きたい 220 00:13:17,880 --> 00:13:19,173 (温螢)案内いたします 221 00:13:19,673 --> 00:13:20,299 九九 222 00:13:20,382 --> 00:13:23,052 (九九)はい (寿雪)衣斯哈を頼みたい 223 00:13:23,135 --> 00:13:25,346 そろそろ ここに来るころだ 224 00:13:25,429 --> 00:13:28,432 紅翹と2人で 字の書き取りを見てやってくれ 225 00:13:29,058 --> 00:13:32,770 かしこまりました うんと上達させてみせます 226 00:13:32,853 --> 00:13:34,271 頼んだぞ 227 00:13:39,819 --> 00:13:43,739 (安氏)婉琳様… 婉琳様 228 00:13:44,240 --> 00:13:45,950 婉琳様 229 00:13:46,033 --> 00:13:48,160 (寿雪)婉琳の声が聞こえるか? 230 00:13:48,244 --> 00:13:51,664 (安氏)烏妃様 来てくださったのですね 231 00:13:51,747 --> 00:13:52,873 ここです 232 00:13:52,957 --> 00:13:55,167 ここに婉琳様が いらっしゃるのです 233 00:13:55,876 --> 00:13:57,878 おぬしは恨んでおらぬのか? 234 00:13:58,796 --> 00:14:02,550 婉琳が死んで おぬしは洗穢寮へと送られた 235 00:14:02,633 --> 00:14:05,845 そこでの暮らしは さぞ つらかったであろう 236 00:14:05,928 --> 00:14:10,015 そんな恨み言を申しても 詮ないことでございます 237 00:14:10,516 --> 00:14:13,561 今は婉琳様をお救いしたい 238 00:14:13,644 --> 00:14:16,146 ただ それだけでございます 239 00:14:16,230 --> 00:14:18,315 (寿雪)幽鬼を楽土へ送るため 240 00:14:18,399 --> 00:14:20,985 おぬしに いくつか 聞かねばならぬことがある 241 00:14:21,485 --> 00:14:23,279 (安氏) なんでございましょう? 242 00:14:23,362 --> 00:14:24,697 婉琳は 243 00:14:24,780 --> 00:14:28,784 妃になるのを望んでいなかった と申したそうだな 244 00:14:28,868 --> 00:14:32,121 では 婉琳の望みとは なんだったのだろう 245 00:14:32,621 --> 00:14:35,124 いつも そばにいたおぬしなら 246 00:14:35,207 --> 00:14:37,293 何か気付いておったのでは ないか? 247 00:14:38,502 --> 00:14:41,130 心当たりはございます 248 00:14:41,213 --> 00:14:46,760 婉琳様が後宮に上がる直前 屋敷に賊が押し入ったのです 249 00:14:47,553 --> 00:14:49,096 (男)私と一緒に来てくれ 250 00:14:49,179 --> 00:14:50,097 (婉琳)ダメよ 251 00:14:50,180 --> 00:14:50,806 (男)婉琳! 252 00:14:53,017 --> 00:14:54,310 (安氏)ろうぜき者! 253 00:14:54,393 --> 00:14:56,061 誰か! 誰か! 254 00:15:01,400 --> 00:15:02,192 あっ 255 00:15:02,902 --> 00:15:04,111 (安氏)その者は 256 00:15:04,194 --> 00:15:08,032 昔から屋敷に出入りしている 書肆(しょし)の青年でした 257 00:15:08,532 --> 00:15:11,827 婉琳様も よくご存じの者でした 258 00:15:11,911 --> 00:15:14,830 いい青年だと 思っておりましたのに 259 00:15:14,914 --> 00:15:16,582 (寿雪)その者は どうなった? 260 00:15:17,166 --> 00:15:19,919 (安氏) 庭先で首をはねられました 261 00:15:20,419 --> 00:15:24,548 幸い この件が 帝に漏れることもなく 262 00:15:24,632 --> 00:15:27,635 婉琳様は 後宮にお入りになりました 263 00:15:28,135 --> 00:15:32,473 わたくしが気付かなければ 大変なことになるところでした 264 00:15:32,556 --> 00:15:35,184 婉琳は その男を 好いておったのか? 265 00:15:35,684 --> 00:15:38,270 そうだったのかもしれません 266 00:15:38,354 --> 00:15:42,232 ですが どちらであろうと 些末(さまつ)なことでございます 267 00:15:42,316 --> 00:15:48,405 婉琳様は帝の一番の妃となり 後宮を掌中に収め 268 00:15:48,489 --> 00:15:52,242 お父上の力となるべきお方 だったのですから 269 00:15:52,326 --> 00:15:54,036 (婉琳の声)慧蘭 (安氏)ハッ! 270 00:15:55,788 --> 00:15:57,414 また 声が聞こえたか? 271 00:15:57,498 --> 00:15:58,457 はい 272 00:15:58,540 --> 00:16:02,211 声のすることの 何がそれほど恐ろしいのだ? 273 00:16:02,294 --> 00:16:03,170 え? 274 00:16:03,671 --> 00:16:06,340 (寿雪) 婉琳が入水した日 何があった? 275 00:16:06,840 --> 00:16:07,466 あ… 276 00:16:07,549 --> 00:16:12,221 婉琳は 心は違っても 一度は決心したのであろう 277 00:16:12,721 --> 00:16:15,224 それなのに なぜ入水した? 278 00:16:15,307 --> 00:16:18,102 何か きっかけがあったとしか 思えぬ 279 00:16:18,185 --> 00:16:19,478 それは… 280 00:16:19,561 --> 00:16:22,648 真実を知ってほしいと 言ったのは おぬしだ 281 00:16:23,357 --> 00:16:26,986 話すがよい おぬしが知っている真実を 282 00:16:28,862 --> 00:16:33,200 (安氏)婉琳様は 大事そうに袋を持っていました 283 00:16:33,283 --> 00:16:36,245 その袋には 土が入っていたのです 284 00:16:36,328 --> 00:16:36,996 (寿雪)土? 285 00:16:37,579 --> 00:16:40,624 その土からは 血の臭いがしました 286 00:16:42,584 --> 00:16:45,254 わたくしは それを… 287 00:16:46,005 --> 00:16:47,381 (安氏)こんなもの! 288 00:16:47,464 --> 00:16:49,466 (婉琳)やめて! (安氏)離しなさい! 289 00:16:49,550 --> 00:16:51,427 (婉琳)いや! (安氏)離せ! 290 00:16:52,261 --> 00:16:55,472 (安氏)あんな男のことなど 今すぐ忘れなさい! 291 00:16:57,224 --> 00:17:00,519 婉琳様は 青年の血が染み込んだ土を 292 00:17:00,602 --> 00:17:03,022 大事に持っていたのでございます 293 00:17:03,605 --> 00:17:06,108 わたくしは それを地面にばらまいて 294 00:17:06,191 --> 00:17:08,610 靴の裏ですり潰しました 295 00:17:09,111 --> 00:17:12,114 婉琳様のためだったのです 296 00:17:12,197 --> 00:17:15,784 わたくしは 心を鬼にしたのでございます 297 00:17:16,577 --> 00:17:18,328 もう欺瞞(ぎまん)はいらぬ 298 00:17:18,412 --> 00:17:20,914 おぬしは婉琳を いとおしいとは思っていまい 299 00:17:20,998 --> 00:17:22,166 あっ… 300 00:17:22,750 --> 00:17:24,501 あんまりでございます 301 00:17:25,002 --> 00:17:28,547 わたくしは この身を婉琳様に ささげてきたのですよ 302 00:17:29,339 --> 00:17:32,718 後宮に入れても恥ずかしくない 婦人に教育したのは 303 00:17:32,801 --> 00:17:34,636 この わたくしです 304 00:17:34,720 --> 00:17:36,889 わたくしは よくやったでしょう? 305 00:17:37,389 --> 00:17:40,142 それなのに 婉琳様は… 306 00:17:40,642 --> 00:17:43,062 あんな恩知らずなマネを… 307 00:17:43,145 --> 00:17:45,981 ああ… あああ… 308 00:17:46,482 --> 00:17:50,778 おぬしは おぬしなりに 婉琳を思っていたのかもしれぬ 309 00:17:51,403 --> 00:17:52,196 だが… 310 00:17:52,780 --> 00:17:54,198 婉琳は死んだ 311 00:17:56,116 --> 00:17:57,826 (安氏)ウフフッ 312 00:17:58,577 --> 00:18:02,122 ええ 婉琳様は死にました 313 00:18:03,123 --> 00:18:06,543 さぞ わたくしを 恨んでいるでしょうね 314 00:18:06,627 --> 00:18:08,629 分かっておりますよ 315 00:18:08,712 --> 00:18:14,635 ですから 恐れているのです 婉琳様の恨みを 316 00:18:14,718 --> 00:18:16,220 婉琳様は 317 00:18:16,303 --> 00:18:20,265 池の底に引きずり込もうと わたくしを呼ぶのです 318 00:18:20,349 --> 00:18:23,102 そうなる前に婉琳様を… 319 00:18:23,185 --> 00:18:27,272 いえ わたくしを 救っていただきたいのです 320 00:18:27,773 --> 00:18:30,192 おぬしを救えるのは私ではない 321 00:18:30,692 --> 00:18:33,570 そんなことおっしゃらずに どうか… 322 00:18:33,654 --> 00:18:34,530 あっ 323 00:18:35,280 --> 00:18:37,032 あ… ああ… 324 00:18:37,658 --> 00:18:40,410 (寿雪) 婉琳は既に楽土へと渡っている 325 00:18:41,995 --> 00:18:43,664 幽鬼は おぬしだ 326 00:18:44,414 --> 00:18:47,417 わたくしが… 幽鬼? 327 00:18:47,501 --> 00:18:51,296 (寿雪)おぬしは昨晩 肺腑(はいふ)を病んで亡くなったそうだ 328 00:18:57,261 --> 00:18:58,679 (婉琳の声)慧蘭 329 00:18:59,596 --> 00:19:02,683 では この声はどこから? 330 00:19:02,766 --> 00:19:03,934 耳を澄ませ 331 00:19:04,935 --> 00:19:06,311 (婉琳の声)慧蘭 332 00:19:08,897 --> 00:19:10,732 それは おぬしの声だ 333 00:19:10,816 --> 00:19:12,067 いいえ… 334 00:19:12,151 --> 00:19:14,403 おぬしが恐れているのは 335 00:19:14,486 --> 00:19:17,197 婉琳を死に追いやった おぬし自身だ 336 00:19:17,281 --> 00:19:18,699 いいえ… いいえ! 337 00:19:21,910 --> 00:19:22,828 (安氏の声)慧蘭 338 00:19:22,911 --> 00:19:23,954 (安氏)ひっ! 339 00:19:24,037 --> 00:19:24,621 あっ… 340 00:19:28,750 --> 00:19:33,380 ああ… 水の中なら声は聞こえない 341 00:19:34,256 --> 00:19:36,884 (温螢)娘娘 これは… 342 00:19:42,764 --> 00:19:45,017 (寿雪)巫術師(ふじゅつし)が得意とする術だ 343 00:19:45,100 --> 00:19:47,686 これで安氏は池から出られぬ 344 00:19:47,769 --> 00:19:51,523 あの幽鬼 はらうことは できないものですか? 345 00:19:52,024 --> 00:19:54,026 滅するのは簡単だ 346 00:19:54,818 --> 00:19:56,111 だが 好ましくない 347 00:19:56,612 --> 00:20:00,032 これはいる魂 あれはいらぬ魂と 348 00:20:00,115 --> 00:20:02,576 私が選別していいものではない 349 00:20:03,535 --> 00:20:05,829 あの幽鬼には時間が必要だ 350 00:20:06,330 --> 00:20:09,625 水があの者の魂を 救ってくれるやもしれぬ 351 00:20:10,542 --> 00:20:12,711 私ができるのは ここまでだ 352 00:20:14,630 --> 00:20:18,383 だが 麗娘なら もっと うまくやっていただろう 353 00:20:20,552 --> 00:20:23,347 (衣斯哈)大家(ターチャ)より 文をお預かりしております 354 00:20:23,430 --> 00:20:24,389 捨てておけ 355 00:20:24,473 --> 00:20:26,516 (衣斯哈)えっ? でも… 356 00:20:28,143 --> 00:20:28,977 出せ 357 00:20:29,061 --> 00:20:30,229 はい! 358 00:20:32,856 --> 00:20:35,609 (寿雪)あやつ 何を考えている 359 00:20:35,692 --> 00:20:37,361 (九九)どうかなさいました? 360 00:20:37,444 --> 00:20:41,323 高峻が 私と冬官を 引き合わせたいらしい 361 00:20:41,406 --> 00:20:43,492 (衣斯哈) お返事は いかがなさいますか? 362 00:20:43,575 --> 00:20:45,202 返事など… 363 00:20:46,620 --> 00:20:48,247 少し待て 364 00:20:49,206 --> 00:20:51,750 (衣斯哈)大家 烏妃様からです 365 00:20:51,833 --> 00:20:54,378 寿雪から? 珍しいな 366 00:20:56,505 --> 00:20:57,256 フッ 367 00:20:57,798 --> 00:20:58,507 衣斯哈 368 00:20:58,590 --> 00:20:59,591 (衣斯哈)はい 369 00:20:59,675 --> 00:21:01,760 烏妃に届けてほしいものがある 370 00:21:01,843 --> 00:21:03,512 頼まれてくれるか? 371 00:21:04,012 --> 00:21:04,763 はい! 372 00:21:05,931 --> 00:21:06,765 うわあ! 373 00:21:06,848 --> 00:21:09,393 すてきですね 娘娘 374 00:21:12,688 --> 00:21:15,357 もっと文を書いてよこせ ということか 375 00:21:15,857 --> 00:21:17,192 楽しみですね 376 00:21:17,276 --> 00:21:18,527 面倒なだけだ 377 00:21:18,610 --> 00:21:19,528 あっ 378 00:21:20,237 --> 00:21:21,113 どうしました? 379 00:21:21,196 --> 00:21:23,615 う… これは… 380 00:21:29,830 --> 00:21:32,833 (九九)娘娘 どちらへ? (星星(しんしん))クワア~! クワア! 381 00:21:32,916 --> 00:21:35,460 (寿雪)ハア ハア ハア… 382 00:21:37,421 --> 00:21:40,340 安氏が結界を破って 逃げたのか? 383 00:21:42,884 --> 00:21:46,013 いや 違う この気配は… 384 00:21:47,597 --> 00:21:48,557 梟… 385 00:21:49,057 --> 00:21:51,059 {\an8}♪~ 386 00:23:16,937 --> 00:23:18,939 {\an8}~♪ 387 00:23:19,022 --> 00:23:21,191 (恵瑤(けいよう)の泣き声) 388 00:23:21,274 --> 00:23:24,444 (宵月)お前は 大切な人を亡くしたのだな 389 00:23:24,528 --> 00:23:25,362 (恵瑤)誰? 390 00:23:25,445 --> 00:23:27,864 (宵月) その者に会わせてやろうか? 391 00:23:28,698 --> 00:23:34,329 死者を生き返らせることは そう難しいことではない