1 00:00:01,668 --> 00:00:04,838 (琵琶の音) 2 00:00:04,921 --> 00:00:08,883 (男たちの笑い声) 3 00:00:14,305 --> 00:00:18,309 (客商)いやあ それにしても見事な腕前ですな 4 00:00:18,393 --> 00:00:21,396 (主人)分かるかね? 赤雀(せきじゃく)の琵琶弾きだ 5 00:00:21,479 --> 00:00:26,067 ほう あの評判の! さすがお目が高い 6 00:00:26,151 --> 00:00:27,527 ハッハッハッハ… 7 00:00:27,610 --> 00:00:28,903 そうだ 8 00:00:28,987 --> 00:00:32,532 今日は そんな旦那に 面白いものを持ってきたんです 9 00:00:34,242 --> 00:00:34,909 これは? 10 00:00:36,161 --> 00:00:37,787 (客商)布作面(ふさくめん)です 11 00:00:38,371 --> 00:00:41,541 この面には 幽鬼(ゆうき)が取り憑(つ)いてるんですよ 12 00:00:41,624 --> 00:00:42,542 えっ? 13 00:00:42,625 --> 00:00:45,336 まずは 着けてみてください 14 00:00:50,717 --> 00:00:52,427 (主人)うわっ だ… 誰かいるぞ! 15 00:00:52,510 --> 00:00:55,388 これは大変 貴重な品でしてね 16 00:00:55,472 --> 00:00:59,934 ですが 旦那になら特別に お安くお譲りいたしますよ 17 00:01:00,018 --> 00:01:05,148 (琵琶の音) 18 00:01:05,231 --> 00:01:06,399 (主人)え? 19 00:01:09,235 --> 00:01:11,404 (主人)ひっ… 来るな! (客商)ん? 20 00:01:11,488 --> 00:01:14,491 (主人) あ… あっ よせ! 来るな! 21 00:01:14,991 --> 00:01:17,118 ひっ… ひいっ! 22 00:01:18,369 --> 00:01:19,913 うわああああ! 23 00:01:26,336 --> 00:01:29,130 (高峻(こうしゅん))それで その者は どうなったのだ? 24 00:01:29,214 --> 00:01:32,050 (明允(めいいん))熱を出して 寝込んでしまったとか 25 00:01:32,133 --> 00:01:35,136 幸い 2~3日で 回復したそうですが 26 00:01:35,220 --> 00:01:38,181 結局 その面は買ったそうです 27 00:01:38,264 --> 00:01:42,143 古物集めが趣味とはいえ 怖いもの知らずというか 28 00:01:43,478 --> 00:01:46,773 (高峻)明允 その面 借り受けることはできるか? 29 00:01:46,856 --> 00:01:48,900 (明允)え? それは もちろん 30 00:01:49,776 --> 00:01:51,903 見せてやりたい者がいるのだ 31 00:01:52,487 --> 00:01:55,782 (衛青(えいせい)) 大家(ターチャ) 雲中書令(うんちゅうしょれい)がおいでです 32 00:01:55,865 --> 00:01:58,284 (永徳(えいとく))ちょうど 蓮(はす)が見頃ですな 33 00:01:58,368 --> 00:01:59,702 (高峻)永徳 34 00:01:59,786 --> 00:02:01,037 (永徳)陛下もようやく 35 00:02:01,121 --> 00:02:04,290 花をめでるお気持ちが 出てきましたかな 36 00:02:04,374 --> 00:02:08,545 鴛鴦宮(えんおうきゅう)にも美しい花があると 聞いております 37 00:02:08,628 --> 00:02:11,005 花の盛りは 過ぎておりましょうが 38 00:02:11,089 --> 00:02:13,550 妃(きさき)とご覧になっては いかがですかな 39 00:02:14,676 --> 00:02:18,054 {\an8}花娘(かじょう)は花より 書物のほうが喜ぶ 40 00:02:18,138 --> 00:02:19,764 これはしたり 41 00:02:19,848 --> 00:02:24,269 妃のことは陛下のほうが よくご存じでございますな 42 00:02:24,894 --> 00:02:30,733 時に 飛燕宮(ひえんきゅう)の宦官(かんがん)が呪われた というウワサはご存じですか? 43 00:02:30,817 --> 00:02:31,568 ああ 44 00:02:31,651 --> 00:02:32,986 {\an8}その者は 45 00:02:33,069 --> 00:02:35,947 {\an8}烏妃(うひ)に呪われたと 申しているのだとか 46 00:02:36,531 --> 00:02:38,283 ざれ言でございましょう 47 00:02:38,366 --> 00:02:39,993 そうかもしれぬが 48 00:02:40,076 --> 00:02:43,037 ここのところ 烏妃の名をよく耳にする 49 00:02:43,121 --> 00:02:45,790 そうは思いませぬか? 陛下 50 00:02:46,374 --> 00:02:47,333 さあ 51 00:02:48,168 --> 00:02:49,669 凝光殿(ぎょうこうでん)へ戻る 52 00:02:49,752 --> 00:02:54,382 (永徳)陛下 烏妃は関われば 災厄があると申しますぞ 53 00:02:55,049 --> 00:02:57,760 今いる妃が 気に入らぬのでしたら 54 00:02:57,844 --> 00:03:01,723 私の末の孫などいかがでしょう ちょうど 年頃になり… 55 00:03:01,806 --> 00:03:03,224 (高峻)間に合っている 56 00:03:08,855 --> 00:03:10,273 ハア~ 57 00:03:10,982 --> 00:03:12,984 {\an8}♪~ 58 00:04:37,235 --> 00:04:39,237 {\an8}~♪ 59 00:04:42,949 --> 00:04:48,329 (ナレーション)後宮の奥深く 烏妃と呼ばれる妃が住んでいる 60 00:04:50,123 --> 00:04:55,128 その妃は 妃でありながら 夜伽(よとぎ)をすることのない⸺ 61 00:04:55,211 --> 00:04:57,463 特別な妃だった 62 00:04:58,172 --> 00:04:59,799 後宮で生きながら 63 00:04:59,882 --> 00:05:04,429 決して帝(みかど)の前で ひざまずくことのない妃 64 00:05:05,013 --> 00:05:06,889 それが烏妃だった 65 00:05:08,182 --> 00:05:09,309 (寿雪(じゅせつ))薛魚泳(せつぎょえい)か? 66 00:05:15,023 --> 00:05:19,068 (魚泳)あなた様は言いつけを 守ってらっしゃらないのですな 67 00:05:21,612 --> 00:05:25,033 侍女も宦官も おそばに置いてらっしゃる 68 00:05:25,616 --> 00:05:27,660 破るつもりはなかった 69 00:05:27,744 --> 00:05:29,829 ただ 成り行きで… 70 00:05:30,330 --> 00:05:34,125 麗娘(れいじょう)様が生きてらしたら なんとおっしゃるか 71 00:05:37,086 --> 00:05:40,256 わたくしも 言えた義理ではございません 72 00:05:40,340 --> 00:05:43,134 冬官(とうかん)は烏妃と会うべきではない 73 00:05:43,217 --> 00:05:47,638 陛下にほだされ その戒めを破りました 74 00:05:49,640 --> 00:05:52,268 たたずまいが よく似ていらっしゃる 75 00:05:52,852 --> 00:05:55,104 門を入ってこられたとき 76 00:05:55,188 --> 00:05:58,816 麗娘様がいらっしゃったのかと 驚きました 77 00:05:58,900 --> 00:06:00,026 麗娘は 78 00:06:00,109 --> 00:06:03,279 もし 立ち行かぬことがあれば おぬしを頼れと 79 00:06:06,115 --> 00:06:08,910 麗娘には 大事にしている香があった 80 00:06:09,494 --> 00:06:10,703 想夫香(そうふこう)だ 81 00:06:11,496 --> 00:06:13,456 弔うときも焚(た)いてやった 82 00:06:14,457 --> 00:06:15,792 贈ったのは おぬしか? 83 00:06:17,043 --> 00:06:19,337 麗娘様が亡くなって 84 00:06:19,420 --> 00:06:22,048 わたくしのもとに 来てくださったとき 85 00:06:22,131 --> 00:06:24,801 想夫香の香りがいたしました 86 00:06:25,802 --> 00:06:30,306 わたくしは それだけでもう 十分でございました 87 00:06:30,932 --> 00:06:33,476 あの香を差し上げたのは 88 00:06:33,559 --> 00:06:37,814 若気の至りとはいえ 分をわきまえぬことでしたが 89 00:06:37,897 --> 00:06:41,067 (寿雪)だが 麗娘は ずっと大事にしておったぞ 90 00:06:42,652 --> 00:06:45,196 (魚泳) ありがたいことでございます 91 00:06:46,531 --> 00:06:50,576 (放下郎(ほうかろう))薛冬官 烏妃様 陛下がいらっしゃいました 92 00:06:50,660 --> 00:06:53,830 (魚泳)なんと あの方は突然いらっしゃる 93 00:06:53,913 --> 00:06:56,541 (寿雪)よく来るのか? 高峻は 94 00:06:56,624 --> 00:06:59,210 (魚泳)ええ (寿雪)懐いておるのだな 95 00:06:59,710 --> 00:07:00,586 は? 96 00:07:01,671 --> 00:07:02,463 おぬしに 97 00:07:02,547 --> 00:07:04,215 (魚泳)はあ… 98 00:07:05,174 --> 00:07:07,927 今日は なんのご用でございますか? 99 00:07:08,010 --> 00:07:10,430 (高峻)寿雪が 来ているころかと思い立って 100 00:07:10,513 --> 00:07:11,597 こちらに来た 101 00:07:11,681 --> 00:07:15,393 おぬしは邪慳(じゃけん)にされると 通い詰める癖でもあるのか? 102 00:07:15,476 --> 00:07:17,019 なんだ それは? 103 00:07:17,520 --> 00:07:20,314 来たいから来ている そなたの所へも 104 00:07:20,398 --> 00:07:23,484 来なくてよい ほかに行く所がないのか 105 00:07:25,862 --> 00:07:26,654 そうだな 106 00:07:26,737 --> 00:07:27,738 あっ… 107 00:07:29,323 --> 00:07:31,784 花娘の所にでも行けばよかろう 108 00:07:31,868 --> 00:07:34,871 (高峻)花娘は雲永徳の孫だ 109 00:07:36,456 --> 00:07:39,292 いや なんでもない 忘れてくれ 110 00:07:43,296 --> 00:07:44,630 (寿雪)私は帰る 111 00:07:44,714 --> 00:07:48,009 また 麗娘の話を 聞かせてくれるか? 112 00:07:48,092 --> 00:07:52,138 どうぞ 烏妃様のお心のままに 113 00:07:54,724 --> 00:07:56,601 (寿雪)後宮に戻る (温螢(おんけい)・九九(じうじう))はい 114 00:07:57,643 --> 00:07:59,937 衛青 高峻は… 115 00:08:02,023 --> 00:08:03,024 元気がないな 116 00:08:05,735 --> 00:08:08,779 (徐成(じょせい))宵月(しょうげつ)… 宵月! 117 00:08:09,489 --> 00:08:11,699 鵲妃(じゃくひ)様がお呼びよ 118 00:08:11,782 --> 00:08:14,368 おそばにいてちょうだい って言われてるでしょ 119 00:08:14,452 --> 00:08:15,411 困るわ 120 00:08:16,537 --> 00:08:17,497 (宵月)すまない 121 00:08:19,457 --> 00:08:21,125 まあ いいけど 122 00:08:22,460 --> 00:08:26,130 運ぶの手伝ってあげる さあ 早く行きましょ 123 00:08:27,173 --> 00:08:30,134 重た… 何 入ってるの これ? 124 00:08:31,135 --> 00:08:34,096 (宵月)言えない (徐成)何それ 変なの 125 00:08:36,682 --> 00:08:38,434 (寿雪)うわあ~っ 126 00:08:38,518 --> 00:08:39,977 (高峻)見せたいものがある 127 00:08:41,187 --> 00:08:41,896 なんだ? 128 00:08:42,480 --> 00:08:45,024 (高峻)布作面だ 楽人が使う 129 00:08:45,107 --> 00:08:47,818 (寿雪)これが… 初めて見た 130 00:08:47,902 --> 00:08:50,029 (高峻)だが ただの面ではない 131 00:08:50,530 --> 00:08:54,283 目の穴があるだろう そこからのぞくと男が見える 132 00:08:54,367 --> 00:08:55,243 あっ 133 00:08:56,160 --> 00:08:56,953 見たのか? 134 00:08:58,246 --> 00:08:58,996 見た 135 00:09:00,998 --> 00:09:04,001 (寿雪)ハア… かび臭いな 136 00:09:05,419 --> 00:09:07,296 む… んむっ… 137 00:09:07,380 --> 00:09:08,756 ヘクシュン! 138 00:09:09,882 --> 00:09:11,676 宮仕えの男か 139 00:09:11,759 --> 00:09:14,220 (高峻)ああ 鴇耳坊(ほうじぼう)の者だろう 140 00:09:14,303 --> 00:09:18,182 鴇耳坊… 宮妓(きゅうぎ)や楽人がいる所か 141 00:09:18,808 --> 00:09:21,435 おぬし 何故これを持ってきた? 142 00:09:22,186 --> 00:09:23,813 興味があるかと思ったのだ 143 00:09:24,397 --> 00:09:26,190 あるものか バカ者め 144 00:09:27,650 --> 00:09:28,693 (高峻)そうか 145 00:09:29,485 --> 00:09:33,155 (寿雪)幽鬼なぞ 後宮にいるものだけで十分だ 146 00:09:33,656 --> 00:09:38,077 関わりとうはない 苦しい思いを抱えた者になど 147 00:09:40,371 --> 00:09:42,540 それは… そうだな 148 00:09:44,000 --> 00:09:45,501 (高峻)悪かった (寿雪)待て 149 00:09:46,502 --> 00:09:48,379 見せておいて 引っ込められては 150 00:09:48,462 --> 00:09:50,089 寝覚めが悪いではないか 151 00:09:50,590 --> 00:09:51,382 そうか 152 00:09:52,967 --> 00:09:56,262 この面のことで 分かっておることはあるのか? 153 00:09:56,345 --> 00:09:57,930 あの男が誰だとか 154 00:09:58,014 --> 00:09:59,765 誰かは分からない 155 00:10:00,266 --> 00:10:04,061 ただ うたげの席で 男は振り返ったらしい 156 00:10:04,145 --> 00:10:05,313 (寿雪)振り返った? 157 00:10:05,396 --> 00:10:06,272 (高峻)ああ 158 00:10:06,772 --> 00:10:08,983 楽の音に惹(ひ)かれたのかと思って 試してみたが 159 00:10:09,859 --> 00:10:11,736 男は振り返らなかった 160 00:10:13,070 --> 00:10:14,488 {\an8}うたげの席では 161 00:10:14,572 --> 00:10:17,158 {\an8}赤雀と名乗る旅芸人を 使ったらしい 162 00:10:17,658 --> 00:10:20,077 {\an8}それが関係しているの かもしれないな 163 00:10:21,412 --> 00:10:22,496 赤雀… 164 00:10:23,623 --> 00:10:26,417 衛青 温螢を呼んできてくれぬか 165 00:10:27,418 --> 00:10:29,879 (高峻)なぜだ? (寿雪)あれは赤雀にいた 166 00:10:30,880 --> 00:10:33,257 (衛青)よくご存じですね 娘娘(ニャンニャン) 167 00:10:33,341 --> 00:10:34,759 温螢から聞いた 168 00:10:35,259 --> 00:10:36,260 マズかったか? 169 00:10:36,344 --> 00:10:39,180 いえ すぐに呼んでまいります 170 00:10:39,680 --> 00:10:43,392 宦官は己の身の上を 語りたがらないものだ 171 00:10:43,893 --> 00:10:45,519 よほど信用されたのだな 172 00:10:46,520 --> 00:10:48,689 (寿雪) 信用かどうかは知らぬが… 173 00:10:50,608 --> 00:10:54,070 (温螢)そうですか 赤雀が… 174 00:10:54,153 --> 00:10:58,532 おぬしなら 何か気付くことが あるのではないかと思ってな 175 00:10:59,116 --> 00:11:01,077 (温螢) 私の知っている琵琶弾きは 176 00:11:01,160 --> 00:11:03,037 五弦の琵琶を用いておりました 177 00:11:03,537 --> 00:11:05,164 (寿雪)五弦? (温螢)はい 178 00:11:05,831 --> 00:11:08,417 (温螢) 普通の琵琶は弦が4本です 179 00:11:08,501 --> 00:11:11,671 その琵琶は 西の小島で使われている⸺ 180 00:11:11,754 --> 00:11:14,048 異国渡りのものだと聞きました 181 00:11:14,131 --> 00:11:15,549 なるほど 182 00:11:16,300 --> 00:11:19,303 高峻 その琵琶弾きを 呼べぬのか? 183 00:11:19,387 --> 00:11:22,014 (高峻) 彼らはもう 京師(みやこ)を離れている 184 00:11:23,182 --> 00:11:27,812 だが 異国渡りの琵琶であれば 心当たりがないでもない 185 00:11:28,312 --> 00:11:29,146 どこにある? 186 00:11:29,230 --> 00:11:31,524 凝光殿の宝物庫だ 187 00:11:32,024 --> 00:11:33,776 支度ができたら連絡する 188 00:11:33,859 --> 00:11:36,278 (寿雪)帰るのか? (高峻)そうだが 189 00:11:39,490 --> 00:11:41,867 (高峻)用があるなら いましばらくいるが 190 00:11:43,035 --> 00:11:44,537 用などない 191 00:11:44,620 --> 00:11:47,665 おぬしは用がなくとも 勝手に押しかけてくるくせに 192 00:11:47,748 --> 00:11:49,917 私には用を求めるのか 193 00:11:51,669 --> 00:11:52,753 そうだな 194 00:11:53,713 --> 00:11:56,424 では 友らしく茶でも飲むか 195 00:12:01,011 --> 00:12:04,432 赤雀のことだが どうしているか気になるか? 196 00:12:05,516 --> 00:12:06,684 (温螢)いえ 197 00:12:06,767 --> 00:12:08,811 (寿雪) 聞けば もっと分かると思うが 198 00:12:08,894 --> 00:12:10,062 いいのです 199 00:12:10,563 --> 00:12:13,441 息災に過ごしているようなら それで 200 00:12:13,524 --> 00:12:15,651 (扉が開く音) (衣斯哈(いしは))娘娘 201 00:12:16,152 --> 00:12:18,070 ただいま戻りました 202 00:12:18,154 --> 00:12:20,197 (温螢)では 失礼します 203 00:12:20,698 --> 00:12:22,908 (衣斯哈)あ… あの 温螢さん! 204 00:12:23,784 --> 00:12:27,997 僕が烏妃様のもとで働けるよう 口添えしてくださったのは 205 00:12:28,080 --> 00:12:30,082 温螢さんだと聞きました 206 00:12:30,166 --> 00:12:32,084 どうも ありがとうございました 207 00:12:32,710 --> 00:12:36,839 それは娘娘のためであって お前のためではない 208 00:12:36,922 --> 00:12:41,677 僕は とても助かりました だから お礼を言います 209 00:12:43,262 --> 00:12:46,140 そうか よかったな 210 00:12:47,975 --> 00:12:51,270 (九九)娘娘 陛下から頂いた すももです 211 00:12:51,353 --> 00:12:52,354 うむ 212 00:12:52,855 --> 00:12:55,483 温螢 おぬしも食べてゆけ 213 00:12:56,901 --> 00:12:57,777 (九九)そういえば 214 00:12:58,360 --> 00:13:01,822 衣斯哈の指導役だった宦官が 寝込んでるんだって? 215 00:13:01,906 --> 00:13:02,740 はい 216 00:13:02,823 --> 00:13:05,409 でも 病ではないと思います 217 00:13:05,493 --> 00:13:08,621 あの方は ただ 怖がっておいでなのです 218 00:13:08,704 --> 00:13:09,538 何を? 219 00:13:10,831 --> 00:13:11,665 娘娘を 220 00:13:12,333 --> 00:13:13,125 私を? 221 00:13:13,918 --> 00:13:16,629 娘娘の瞳に 化け物がいたと言って… 222 00:13:17,129 --> 00:13:17,838 (寿雪)あっ… 223 00:13:17,922 --> 00:13:19,048 衣斯哈! 224 00:13:19,131 --> 00:13:21,926 あっ も… 申し訳ございません! 225 00:13:22,009 --> 00:13:24,595 そのくらい 怖がっていたということです 226 00:13:24,678 --> 00:13:29,058 その娘から 出ていけというのが分からぬか! 227 00:13:33,187 --> 00:13:35,231 (淡海(たんかい))おっ すももですか 228 00:13:35,314 --> 00:13:36,690 うまそうですね 229 00:13:36,774 --> 00:13:38,651 淡海さん いらっしゃい 230 00:13:38,734 --> 00:13:41,278 (淡海)娘娘 大家がお呼びです 231 00:13:41,362 --> 00:13:43,697 鰲枝殿(ごうしでん)まで おいで願えますか? 232 00:13:44,698 --> 00:13:47,117 (曜)左丘曜(さきゅうよう)と申します 233 00:13:47,201 --> 00:13:49,703 こちらが その琵琶にございます 234 00:13:50,454 --> 00:13:52,498 ほう 見事だな 235 00:13:52,581 --> 00:13:56,919 紫檀(したん) 鼈甲(べっこう) 夜光貝の螺鈿(らでん)が使われている 236 00:13:57,419 --> 00:13:59,630 この世に二つとない佳品だ 237 00:14:00,506 --> 00:14:01,257 見てみろ 238 00:14:03,092 --> 00:14:05,845 (琵琶の音) 239 00:14:05,928 --> 00:14:07,054 (寿雪)あっ… 240 00:14:15,980 --> 00:14:16,939 うっ! 241 00:14:19,233 --> 00:14:21,235 こちらを のぞき込んでいるだろう 242 00:14:21,318 --> 00:14:24,154 よほど 琵琶に執着があるのだな 243 00:14:24,655 --> 00:14:26,031 それなんだがな 244 00:14:26,115 --> 00:14:29,326 その面に取り憑いた 幽鬼というのは 245 00:14:29,410 --> 00:14:33,080 わたくしの知っている男 なのではないかと思ったのです 246 00:14:33,163 --> 00:14:35,165 (寿雪)ほう その者の名は? 247 00:14:35,249 --> 00:14:37,877 乞伏士畢(きっぷくしひつ)といいます 248 00:14:38,586 --> 00:14:43,048 彼は琵琶を弾くためだけに 生きているような男でした 249 00:14:44,550 --> 00:14:48,304 士畢は五弦の琵琶を 自在に弾きこなし 250 00:14:48,387 --> 00:14:50,347 ほかの者では決して出せない⸺ 251 00:14:50,431 --> 00:14:52,975 美しい音色を 出すことができました 252 00:14:53,475 --> 00:14:56,228 ですが 周りとなじむことがなく 253 00:14:56,312 --> 00:14:59,189 少しずつ うたげの席に 召し出されることは 254 00:14:59,273 --> 00:15:00,566 減ってゆきました 255 00:15:01,483 --> 00:15:05,279 それでも士畢は ひたすら芸を磨き続けました 256 00:15:05,362 --> 00:15:09,575 日夜 彼の琵琶の音が 鴇耳坊に響き渡るのです 257 00:15:09,658 --> 00:15:12,453 ほんの少しの 休む間もなく ずっと 258 00:15:12,953 --> 00:15:16,457 気になったわたくしは 様子を見に行くことにしました 259 00:15:16,957 --> 00:15:18,417 驚きました 260 00:15:18,500 --> 00:15:22,171 体は ひどく痩せ衰え 指は血にまみれているのに 261 00:15:22,254 --> 00:15:25,090 止まることなく 弦を爪弾いているのです 262 00:15:25,174 --> 00:15:27,801 わたくしは 彼から琵琶を取り上げて 263 00:15:27,885 --> 00:15:30,471 部屋に 閉じ込めることにしました 264 00:15:31,055 --> 00:15:36,810 彼は琵琶を返せと叫び 戸をたたき続けていましたが… 265 00:15:37,478 --> 00:15:40,940 翌朝 静かになった部屋に 行ってみると 266 00:15:41,023 --> 00:15:43,567 首をくくって果てておりました 267 00:15:44,401 --> 00:15:48,864 琵琶が鳴りだしたのは 弔いが終わった夜のことです 268 00:15:48,948 --> 00:15:51,951 彼は海を渡れず さまよっているのだ 269 00:15:52,034 --> 00:15:53,535 そう思いました 270 00:15:54,161 --> 00:15:57,915 ですから わたくしは 士畢の琵琶を火にくべました 271 00:15:57,998 --> 00:16:01,502 琵琶がなくなれば 諦めて海を渡るであろう 272 00:16:01,585 --> 00:16:03,629 そう考えたのです 273 00:16:04,505 --> 00:16:08,133 琵琶が燃え尽きると 音は やみました 274 00:16:08,217 --> 00:16:10,719 その後 遺品も整理して 275 00:16:10,803 --> 00:16:13,514 全てが終わったと 思っていたのですが 276 00:16:14,098 --> 00:16:18,394 彼の魂は面に宿り 残っていたのですね 277 00:16:19,103 --> 00:16:22,189 士畢は琵琶が欲しいのでしょう 278 00:16:22,272 --> 00:16:25,651 あのとき 取り上げるべきでは ありませんでした 279 00:16:25,734 --> 00:16:27,069 (寿雪)そうとも言えぬ 280 00:16:27,569 --> 00:16:29,530 死してなお この執着 281 00:16:30,030 --> 00:16:31,532 取り上げずにいたなら 282 00:16:31,615 --> 00:16:34,910 生きながらにして 鬼へと変じていたであろう 283 00:16:35,869 --> 00:16:37,496 おぬしは士畢を 284 00:16:37,579 --> 00:16:39,665 人のまま死なせてやった とも言える 285 00:16:40,874 --> 00:16:41,834 いいえ 286 00:16:42,334 --> 00:16:45,170 わたくしは 彼の才を妬んでいました 287 00:16:45,254 --> 00:16:47,589 琵琶を取り上げたとき 288 00:16:47,673 --> 00:16:50,676 わたくしは 愉悦すら覚えたのです 289 00:16:51,176 --> 00:16:53,220 烏妃様 どうすれば 290 00:16:53,303 --> 00:16:56,807 士畢を楽土へ 送ってやれるのでしょうか? 291 00:16:57,474 --> 00:16:59,685 さて どうしたものか 292 00:17:04,273 --> 00:17:05,190 よし 293 00:17:07,192 --> 00:17:08,610 琵琶を弾いてくれ 294 00:17:08,694 --> 00:17:12,239 私がよいと言うまで 決して 手を止めるな 295 00:17:13,907 --> 00:17:14,742 はい 296 00:17:19,538 --> 00:17:23,917 (琵琶の音) 297 00:17:32,885 --> 00:17:34,720 (寿雪)乞伏士畢 298 00:17:36,430 --> 00:17:40,559 (士畢)ああああ… 299 00:17:42,186 --> 00:17:43,729 (曜)あっ… (寿雪)止めるな! 300 00:17:46,648 --> 00:17:49,568 (士畢)あああ… ああ… 301 00:17:50,569 --> 00:17:53,489 ああああっ! 302 00:17:56,950 --> 00:18:00,746 あああ! うあああ! 303 00:18:08,295 --> 00:18:09,671 ああ… 304 00:18:22,518 --> 00:18:23,435 (寿雪)もうよい 305 00:18:25,771 --> 00:18:27,106 ハア… 306 00:18:30,359 --> 00:18:30,943 高峻 307 00:18:32,027 --> 00:18:33,529 これは燃やすぞ 308 00:18:33,612 --> 00:18:34,488 (高峻)燃やす… 309 00:18:44,540 --> 00:18:46,375 (衛青)国宝の琵琶が… 310 00:18:46,458 --> 00:18:49,753 これで士畢は 海を渡ったであろう 311 00:18:50,254 --> 00:18:51,130 うっ… 312 00:18:53,215 --> 00:19:00,222 (泣き声) 313 00:19:05,435 --> 00:19:07,020 (高峻)そなたは いつでも 314 00:19:07,104 --> 00:19:09,398 幽鬼のことを 真剣に考えるのだな 315 00:19:09,481 --> 00:19:13,318 私ができることは 幽鬼を救ってやることくらいだ 316 00:19:13,819 --> 00:19:16,488 それすら できぬこともあるが… 317 00:19:17,614 --> 00:19:21,034 それでも 解放してやりたいと思う 318 00:19:21,952 --> 00:19:23,579 そなたは最初のころより 319 00:19:24,079 --> 00:19:27,166 随分 自分の気持ちを しゃべるようになったな 320 00:19:27,249 --> 00:19:30,919 幽鬼を救うことで 救われる生者もいる 321 00:19:31,628 --> 00:19:35,549 そなたが思うより そなたは誰かを救っているだろう 322 00:19:40,637 --> 00:19:44,057 暗くなってしまったな 衛青に送らせよう 323 00:19:46,685 --> 00:19:49,563 (寿雪) 衛青 高峻は疲れておるのか? 324 00:19:49,646 --> 00:19:51,690 (衛青)大家はご多忙ですので 325 00:19:51,773 --> 00:19:54,067 疲れてらっしゃらないときは ございません 326 00:19:56,778 --> 00:19:58,989 星烏廟(せいうびょう)で元気がなかった 327 00:19:59,489 --> 00:20:01,450 そんな顔を見せるのは珍しい 328 00:20:03,785 --> 00:20:07,581 (衛青)今までは皇太后という 共通の病巣がございました 329 00:20:08,332 --> 00:20:10,792 その間は 鳴りを潜めていたものが 330 00:20:10,876 --> 00:20:13,462 大家の足枷(あしかせ)と なりつつあるのです 331 00:20:14,254 --> 00:20:16,506 (寿雪) 帝を悩ませるものといえば 332 00:20:16,590 --> 00:20:19,468 おおよそ決まっておるな 外戚だ 333 00:20:21,970 --> 00:20:22,971 雲永徳は 334 00:20:23,055 --> 00:20:26,225 高峻が皇太子時代からの 側近だったか 335 00:20:27,935 --> 00:20:31,313 その孫娘の花娘を あえて めとったのは 336 00:20:31,396 --> 00:20:33,023 外戚の禍を厭(いと)うてか 337 00:20:33,523 --> 00:20:35,108 (衛青) …と おっしゃいますと? 338 00:20:35,734 --> 00:20:37,319 子をなさぬため 339 00:20:38,528 --> 00:20:42,241 雲家に皇太子を作らぬことで 専横を抑えている 340 00:20:42,741 --> 00:20:45,410 さしずめ 高峻はそれらのことで 341 00:20:45,494 --> 00:20:47,829 神経をすり減らして おるのだろう 342 00:20:48,413 --> 00:20:50,874 私に構っている暇など ないだろうに 343 00:20:51,750 --> 00:20:53,377 (衛青) そのとおりでございます 344 00:20:54,378 --> 00:20:55,128 ハア~ 345 00:20:55,712 --> 00:20:57,881 相変わらず嫌なヤツだ 346 00:20:59,258 --> 00:21:00,634 ご苦労であった 347 00:21:02,719 --> 00:21:04,805 (衛青)温螢 淡海 (淡海・温螢)はっ 348 00:21:05,305 --> 00:21:07,599 話がある ついてこい 349 00:21:09,768 --> 00:21:11,895 何をしている 早く来い 350 00:21:13,272 --> 00:21:14,022 はい 351 00:21:16,650 --> 00:21:18,277 話とは なんでしょうか? 352 00:21:19,152 --> 00:21:21,697 私は夜明宮(やめいきゅう)の 護衛があるのですが 353 00:21:21,780 --> 00:21:22,990 間違えるな 354 00:21:23,490 --> 00:21:26,159 お前の役目は 烏妃の動きを見張ることだ 355 00:21:26,243 --> 00:21:27,119 はい 356 00:21:27,619 --> 00:21:30,747 ですが それほど警戒せずとも よろしいのでは? 357 00:21:32,249 --> 00:21:36,920 寿雪様は 大家に仇(あだ)なすどころか 助けになっていらっしゃる 358 00:21:37,671 --> 00:21:39,423 だから 恐れるんじゃないか 359 00:21:39,506 --> 00:21:40,132 え? 360 00:21:40,632 --> 00:21:43,927 温螢 お前は 夜明宮の宦官ではない 361 00:21:44,720 --> 00:21:46,179 大家の宦官だ 362 00:21:46,263 --> 00:21:48,432 いいか 烏妃となれ合いを… 363 00:21:48,515 --> 00:21:49,558 衛内常侍(えいないじょうじ)! 364 00:21:49,641 --> 00:21:50,767 (2人)あっ 365 00:21:52,102 --> 00:21:53,395 (温螢)血の臭い? 366 00:21:54,396 --> 00:21:55,522 (衛青)こっちだ! 367 00:21:57,816 --> 00:21:58,567 (3人)あ… 368 00:22:03,655 --> 00:22:05,115 これは… 369 00:22:06,033 --> 00:22:08,035 {\an8}♪~ 370 00:23:33,954 --> 00:23:35,956 {\an8}~♪