1 00:00:02,544 --> 00:00:05,422 (侍女)鵲妃(じゃくひ)様 陛下がお越しになりました 2 00:00:07,007 --> 00:00:08,216 (衛青(えいせい))この臭いは… 3 00:00:08,299 --> 00:00:10,427 (寿雪(じゅせつ))想夫香(そうふこう)… いや 4 00:00:11,011 --> 00:00:12,429 別の臭いも… 5 00:00:14,514 --> 00:00:15,432 ハッ! 6 00:00:26,276 --> 00:00:28,778 (高峻(こうしゅん))お前が 封宵月(ほうしょうげつ)か? 7 00:00:45,045 --> 00:00:48,715 (寿雪)おぬし 夜明宮(やめいきゅう)に薄絹を忘れたであろう 8 00:00:49,215 --> 00:00:50,383 返しに来た 9 00:00:51,051 --> 00:00:53,470 おぬしも私の宮の宦官(かんがん)を返せ 10 00:00:54,054 --> 00:00:55,722 返さねば 許さぬ 11 00:00:56,765 --> 00:01:00,977 (恵瑤(けいよう))ええ あの日 わたくしは夜明宮へ参りました 12 00:01:02,062 --> 00:01:02,979 {\an8}烏妃(うひ)様は 13 00:01:03,480 --> 00:01:05,982 {\an8}願いをかなえては くださらなかった 14 00:01:07,317 --> 00:01:10,487 {\an8}でも 現れたのです 15 00:01:11,571 --> 00:01:14,491 {\an8}わたくしの願いを かなえてくれる者が 16 00:01:17,994 --> 00:01:19,996 {\an8}♪~ 17 00:02:44,205 --> 00:02:46,207 {\an8}~♪ 18 00:02:49,878 --> 00:02:54,883 (ナレーション)後宮の奥深く 烏妃と呼ばれる妃(きさき)が住んでいる 19 00:02:55,383 --> 00:03:00,346 その妃は 妃でありながら 夜伽(よとぎ)をすることのない⸺ 20 00:03:00,430 --> 00:03:02,724 特別な妃だった 21 00:03:03,308 --> 00:03:05,059 後宮で生きながら 22 00:03:05,143 --> 00:03:09,439 決して帝(みかど)の前で ひざまずくことのない妃 23 00:03:10,064 --> 00:03:12,025 それが烏妃だった 24 00:03:12,692 --> 00:03:13,735 (九九(じうじう))娘娘(ニャンニャン)… 25 00:03:14,319 --> 00:03:17,363 (衣斯哈(いしは))大丈夫ですよ きっとすぐに帰ってきます 26 00:03:17,447 --> 00:03:18,615 (星星(しんしん)が騒ぐ声) (衣斯哈)わあっ 27 00:03:18,698 --> 00:03:20,867 (星星)クワア~! (九九・衣斯哈)星星! 28 00:03:25,079 --> 00:03:27,248 “ある人を 生き返らせてほしい” 29 00:03:27,749 --> 00:03:29,375 おぬしは そう言ったな 30 00:03:29,459 --> 00:03:33,546 (高峻)それは もしや そなたの亡くなった兄のことか? 31 00:03:34,130 --> 00:03:38,134 (恵瑤)わたくしと兄は 二人きりの兄妹(きょうだい)でございます 32 00:03:45,892 --> 00:03:50,730 兄は幼いわたくしをかばい 守り 時には叱り 33 00:03:51,231 --> 00:03:54,651 つまらぬケンカもして 共に育ちました 34 00:03:55,151 --> 00:03:59,447 兄は学友たちと比べても ひときわ ぬきんでていて 35 00:03:59,530 --> 00:04:04,494 わたくしにとっては 兄は最も優れた殿方でした 36 00:04:05,036 --> 00:04:08,456 はつらつとして美しく 物おじしない人で 37 00:04:09,666 --> 00:04:13,044 わたくしは 兄を慕っておりました 38 00:04:14,796 --> 00:04:17,507 いずれ官吏になる 兄のためならと 39 00:04:18,007 --> 00:04:20,551 わたくしは後宮に参ったのです 40 00:04:23,054 --> 00:04:24,764 (高峻)そなたの兄は 41 00:04:24,847 --> 00:04:28,101 落馬で負った傷がもとで 亡くなったと聞いた 42 00:04:28,768 --> 00:04:31,479 兄が死んだなんて 何かの間違いです! 43 00:04:31,562 --> 00:04:33,898 そんなことが あっていいはずがない 44 00:04:33,982 --> 00:04:36,859 だから わたくしは 烏妃様にお願いに… 45 00:04:37,568 --> 00:04:40,405 生き返らせることはできない と言われて 46 00:04:40,488 --> 00:04:42,615 なんの望みもなくなりました 47 00:04:43,199 --> 00:04:47,078 いっそ 兄の後を追って 死んでしまおうかと… 48 00:04:48,204 --> 00:04:51,749 そんなときに 宵月が現れたのです 49 00:04:52,333 --> 00:04:57,380 彼は 兄の髪か骨ひとかけと 土を用意しろと言いました 50 00:04:57,964 --> 00:05:00,383 わたくしは文で父に頼みました 51 00:05:00,466 --> 00:05:04,220 (恵瑤)あっ… 兄(にい)様… 52 00:05:06,431 --> 00:05:09,517 (恵瑤)その髪と土で宵月は… 53 00:05:19,110 --> 00:05:20,153 あっ… 54 00:05:24,574 --> 00:05:25,533 あっ! 55 00:05:31,873 --> 00:05:33,041 兄様! 56 00:05:33,124 --> 00:05:35,543 (泣き声) 57 00:05:35,626 --> 00:05:39,672 本当に… 本当に兄様なのですよ 58 00:05:40,173 --> 00:05:42,675 兄様は生き返ってくれたのです 59 00:05:44,510 --> 00:05:47,013 (寿雪) その兄は今 どこにいる? 60 00:05:47,930 --> 00:05:49,182 (恵瑤)それは… 61 00:05:49,265 --> 00:05:51,768 答えずとも 臭いで分かる 62 00:05:52,268 --> 00:05:55,772 (恵瑤) お… お待ち… お待ちください! 63 00:06:01,569 --> 00:06:03,446 本当に兄様なのです! 64 00:06:03,529 --> 00:06:06,282 顔も体も 兄そのものなんです! 65 00:06:06,366 --> 00:06:09,702 陛下 こたびのようなことは 二度と起こしません 66 00:06:09,786 --> 00:06:12,455 ですから どうか… どうか ご慈悲を! 67 00:06:13,331 --> 00:06:15,333 “こたびのようなこと”とは なんだ? 68 00:06:22,840 --> 00:06:24,675 (衛青)この臭いは… 69 00:06:25,343 --> 00:06:26,594 (寿雪)あっ 温螢(おんけい)! 70 00:06:28,721 --> 00:06:30,473 温螢… 温螢! 71 00:06:32,266 --> 00:06:33,476 (温螢)娘娘? 72 00:06:34,602 --> 00:06:36,354 そうだ 私だ 73 00:06:37,063 --> 00:06:38,189 もう 大丈夫だ 74 00:06:41,609 --> 00:06:42,110 あっ 75 00:06:45,446 --> 00:06:46,614 (物音) 76 00:06:53,413 --> 00:06:55,248 (恵瑤の兄)ぐああああ! (温螢)娘娘! 77 00:06:56,833 --> 00:06:58,126 (恵瑤)兄様! 78 00:07:03,506 --> 00:07:05,049 (兄)ぐああああ! (恵瑤)兄様 ダメ! 79 00:07:08,845 --> 00:07:09,762 淡海(たんかい)! 80 00:07:12,598 --> 00:07:14,392 (淡海)遅くなって悪かったな 81 00:07:14,475 --> 00:07:15,101 まだだ! 82 00:07:15,601 --> 00:07:20,231 (兄)うう… ぐああああ! 83 00:07:22,483 --> 00:07:23,526 (恵瑤)兄様! 84 00:07:24,986 --> 00:07:26,779 兄様 大丈夫よ 85 00:07:26,863 --> 00:07:29,532 ええ… そっちの心配します? 86 00:07:31,868 --> 00:07:32,535 (兄)ぐあっ! 87 00:07:35,496 --> 00:07:38,583 (寿雪)それが おぬしの言う 生き返った兄か 88 00:07:40,418 --> 00:07:45,131 死者をよみがえらせたと… そんな芸当は巫術師(ふじゅつし)にもできぬ 89 00:07:46,215 --> 00:07:47,675 私にもできぬ 90 00:07:48,426 --> 00:07:50,303 宵月は やってくれました 91 00:07:50,887 --> 00:07:53,306 桶(おけ)の中の血は獣の血か? 92 00:07:53,389 --> 00:07:54,432 (恵瑤)ええ 93 00:07:54,932 --> 00:07:59,437 宵月が“血を与えねば 元の土くれに戻ってしまう”と 94 00:07:59,937 --> 00:08:03,316 でも 兄は獣の血は あまり好みません 95 00:08:03,900 --> 00:08:05,818 本当は人の血がいるのです 96 00:08:10,448 --> 00:08:14,035 そなたは 先ほどの私の問いに答えていない 97 00:08:14,535 --> 00:08:16,454 “こたびのようなこと”とは なんだ? 98 00:08:17,371 --> 00:08:19,290 お許しくださいませ 陛下 99 00:08:19,874 --> 00:08:20,583 兄は… 100 00:08:21,375 --> 00:08:24,837 兄は あの夜 人の血を欲しがって暴れました 101 00:08:24,921 --> 00:08:28,841 (恵瑤)兄様 大丈夫よ すぐにあげるから 102 00:08:29,342 --> 00:08:30,635 (嗅ぐ音) 103 00:08:30,718 --> 00:08:31,719 (ガチャン!) 104 00:08:32,595 --> 00:08:34,805 (恵瑤)そこに 折あしく… 105 00:08:35,431 --> 00:08:37,350 うああ… 106 00:08:37,433 --> 00:08:39,227 (徐成(じょせい))ば… 化け物! 107 00:08:39,727 --> 00:08:41,687 (恵瑤)兄様! (兄)うあああ! 108 00:08:42,230 --> 00:08:44,774 (恵瑤)宵月が 森で2人を見つけたときには 109 00:08:45,274 --> 00:08:46,984 もう手遅れでした 110 00:08:48,819 --> 00:08:50,821 兄は徐成を殺しました 111 00:08:50,905 --> 00:08:54,283 陛下 おとがめは わたくしが全て受けます 112 00:08:54,784 --> 00:08:57,495 ですから 兄は どうかお見逃しください 113 00:08:57,578 --> 00:09:00,540 せっかく生き返った 命なのです! 114 00:09:02,375 --> 00:09:04,627 この者は おぬしの兄ではない 115 00:09:05,711 --> 00:09:06,212 え? 116 00:09:06,712 --> 00:09:09,423 宵月は生き返らせたのではない 117 00:09:09,507 --> 00:09:11,342 ただ 作ったのだ 118 00:09:11,842 --> 00:09:13,177 泥人形を 119 00:09:15,012 --> 00:09:17,557 何を おっしゃっているの? 120 00:09:18,558 --> 00:09:20,226 (寿雪) この者は生きてはおらぬ 121 00:09:20,726 --> 00:09:21,852 がらんどうだ 122 00:09:22,603 --> 00:09:26,148 どれだけ待とうと おぬしの知る兄にはならぬ 123 00:09:27,066 --> 00:09:29,902 そんなはずない… そんなはず… 124 00:09:30,528 --> 00:09:32,488 本当は分かっているはずだ 125 00:09:34,448 --> 00:09:37,868 おぬしが幼いころより 慕った兄ではないと 126 00:09:38,369 --> 00:09:41,831 いえ… いえ これは兄です 127 00:09:42,331 --> 00:09:45,543 わたくしの… たった一人の兄です 128 00:09:47,128 --> 00:09:51,173 ねえ そうよね? そうよね 兄様… 129 00:09:55,761 --> 00:09:57,179 ぐあっ! 130 00:10:07,940 --> 00:10:09,150 くっ! 131 00:10:12,862 --> 00:10:14,614 ぐわあああああ! 132 00:10:18,701 --> 00:10:20,161 ぐああ… 133 00:10:22,121 --> 00:10:23,247 ああ… 134 00:10:43,893 --> 00:10:44,894 恵瑤… 135 00:10:58,741 --> 00:11:01,327 (九九)あっ (寿雪)すまぬことをした 136 00:11:01,410 --> 00:11:05,414 おわびしなくてはならないのは 私のほうでございます 137 00:11:06,082 --> 00:11:08,209 ご命令を 遂行できなかったばかりか 138 00:11:08,709 --> 00:11:10,169 助けていただきました 139 00:11:10,252 --> 00:11:11,587 次 俺ね 140 00:11:11,671 --> 00:11:14,465 淡海さんは どこも ケガしてないじゃないですか 141 00:11:14,548 --> 00:11:17,134 いや ほら ここ! ここ! 擦りむいてんのよ 142 00:11:17,218 --> 00:11:19,095 そんなの ほっとけば治ります 143 00:11:19,178 --> 00:11:21,555 ひどっ! 何 その扱いの差! 144 00:11:21,639 --> 00:11:22,473 淡海 145 00:11:22,556 --> 00:11:23,766 はっ 146 00:11:23,849 --> 00:11:26,686 鵲巣宮(じゃくそうきゅう)の中を くまなく捜してみましたが 147 00:11:26,769 --> 00:11:28,854 宵月は見つかりませんでした 148 00:11:28,938 --> 00:11:30,564 (寿雪)身の回りのものは? 149 00:11:30,648 --> 00:11:34,360 それが ヤツは自分の部屋すら 持っていなかったようで 150 00:11:34,985 --> 00:11:38,531 宵月が寝ているところも 食事をとっているところも 151 00:11:38,614 --> 00:11:40,908 誰も見たことがないそうです 152 00:11:41,659 --> 00:11:42,368 そうか 153 00:11:48,290 --> 00:11:52,586 (高峻)宵月は必ず見つけ出す そなたは夜明宮にいてくれ 154 00:11:53,504 --> 00:11:54,255 (寿雪)すまない 155 00:11:54,839 --> 00:11:58,050 鵲妃のこと 取り返しのつかないことをした 156 00:11:58,551 --> 00:12:00,177 なぜ そなたが謝る? 157 00:12:00,678 --> 00:12:05,307 兄の訃報を聞いてから 様子が尋常ではないと思っていた 158 00:12:05,891 --> 00:12:08,144 早く父親のもとに 戻すべきだった 159 00:12:08,644 --> 00:12:10,271 全て私の責任だ 160 00:12:10,896 --> 00:12:14,233 わらにもすがる思いで ここを訪れた鵲妃を 161 00:12:14,316 --> 00:12:16,360 私は むげに追い返した 162 00:12:17,319 --> 00:12:21,782 私は… 彼女の悲しみに 寄り添わなかった 163 00:12:31,333 --> 00:12:33,836 今日は もう休ませてもらう 164 00:12:39,550 --> 00:12:42,720 娘娘 お体が冷えたでしょうから… 165 00:12:43,345 --> 00:12:44,555 娘娘? 166 00:12:45,264 --> 00:12:47,433 陛下を見送りに 行きましたけど… 167 00:12:50,394 --> 00:12:53,022 (衛青) 宵月の追跡は我々にお任せを 168 00:12:53,522 --> 00:12:55,691 大家(ターチャ)は 凝光殿(ぎょうこうでん)にいらしてください 169 00:12:55,775 --> 00:13:00,529 それから… 鵲妃様のお父上のもとに使いを 170 00:13:06,660 --> 00:13:07,578 大家? 171 00:13:09,288 --> 00:13:10,456 (寿雪)ハア ハア… 172 00:13:11,707 --> 00:13:14,585 宵月! 姿を現せ! 173 00:13:14,668 --> 00:13:19,423 おぬしの狙いは私であろう もう ほかの者を巻き込むな! 174 00:13:19,924 --> 00:13:23,969 私は逃げも隠れもせぬ 姿を見せよ! 175 00:13:24,053 --> 00:13:26,972 見せよ… 見せよ… 176 00:13:32,394 --> 00:13:33,479 あっ 177 00:13:34,063 --> 00:13:34,772 梟(ふくろう)! 178 00:13:35,272 --> 00:13:39,193 (宵月)少し違う これは俺そのものでない 179 00:13:39,693 --> 00:13:43,989 お前が烏(からす)そのものでないように ただの器 180 00:13:44,073 --> 00:13:45,282 使い部(べ)だ 181 00:13:45,366 --> 00:13:45,991 ふんっ! 182 00:13:51,539 --> 00:13:52,039 あっ… 183 00:13:54,625 --> 00:13:57,378 (宵月) 同族でやり合っても無意味だ 184 00:13:57,461 --> 00:13:59,880 やるなら鳥部(とりべ)を使わないと 185 00:13:59,964 --> 00:14:00,798 (寿雪)鳥部? 186 00:14:01,382 --> 00:14:05,094 なんだ? お前は そんなことも知らないのか 187 00:14:05,177 --> 00:14:07,555 それとも烏が忘れたのか? 188 00:14:07,638 --> 00:14:10,057 花を食らい過ぎて 189 00:14:10,140 --> 00:14:13,519 だが 俺が怖いのは分かるんだな 190 00:14:14,019 --> 00:14:14,854 ふ~ん 191 00:14:14,937 --> 00:14:18,023 おぬしの言っていることは 一つも分からぬ 192 00:14:18,107 --> 00:14:19,066 (宵月)分かった 193 00:14:19,149 --> 00:14:23,571 お前が何も知らない ということを俺は理解した 194 00:14:24,071 --> 00:14:27,324 いいか 俺は幽宮(かくれのみや)から来た 195 00:14:27,408 --> 00:14:28,909 (寿雪)幽宮… 196 00:14:28,993 --> 00:14:32,913 はるか海の向こうにあるという 神の住む国のことか? 197 00:14:33,414 --> 00:14:38,544 ああ 俺は幽宮の葬者部(はぶりべ) 首切り役人だ 198 00:14:38,627 --> 00:14:39,795 (鳥の羽音) 199 00:14:39,879 --> 00:14:41,213 いた 200 00:14:41,297 --> 00:14:43,340 俺は あれを探していたんだ 201 00:14:43,924 --> 00:14:46,719 とても苦労して この島まで来たのに 202 00:14:46,802 --> 00:14:49,096 いなくなってしまって 困っていた 203 00:14:49,179 --> 00:14:51,599 斯馬盧(すまる) ここに来い 204 00:14:53,267 --> 00:14:55,311 ここに来いと言うのに 205 00:14:55,394 --> 00:14:58,480 本当にお前は 俺の言うことを聞かない 206 00:14:58,564 --> 00:14:59,690 斯馬盧! 207 00:15:03,944 --> 00:15:05,070 困ったものだ 208 00:15:05,571 --> 00:15:08,407 斯馬盧はもともとは 烏(からす)の鳥(とり)だからな 209 00:15:09,033 --> 00:15:13,203 おぬしの言う烏とは 誰のことだ? 私のことか? 210 00:15:13,287 --> 00:15:16,165 (宵月)少し違う 烏は烏だ 211 00:15:16,874 --> 00:15:19,168 お前の中にいる それだ 212 00:15:20,920 --> 00:15:23,130 俺は長らく見守っていた 213 00:15:23,631 --> 00:15:26,675 この島への干渉は 禁じられているからだ 214 00:15:26,759 --> 00:15:32,681 ここは我らの国 幽宮で 流罪になった者が行き着く忌み島 215 00:15:33,182 --> 00:15:38,938 烏が幽宮から流されたときも 俺は何をすることもできなかった 216 00:15:39,521 --> 00:15:41,815 俺は烏の兄だというのに 217 00:15:41,899 --> 00:15:45,569 (寿雪) あっ… おぬしが 兄だと? 218 00:15:46,153 --> 00:15:47,696 (宵月)俺と烏は 219 00:15:47,780 --> 00:15:51,200 海のあぶくが二つに分かれて そこから生まれた 220 00:15:51,951 --> 00:15:54,495 元は同じ一つのあぶくだ 221 00:15:55,996 --> 00:16:01,085 俺は葬者部の役目を与えられ 烏は岬部(みさきべ)として 222 00:16:01,168 --> 00:16:06,757 海流と風に乗って流れ着く 死者の魂を導く役目を負っていた 223 00:16:07,424 --> 00:16:09,134 魂は美しい 224 00:16:09,635 --> 00:16:12,930 ほの白く闇に瞬き 星と見まがう 225 00:16:13,430 --> 00:16:16,058 俺と烏は夜に生きていた 226 00:16:17,226 --> 00:16:18,435 懐かしいか? 227 00:16:18,519 --> 00:16:21,105 いや そんな話は知らない 228 00:16:21,188 --> 00:16:23,273 烏は罪を犯した 229 00:16:23,357 --> 00:16:25,025 死者に唆されて 230 00:16:25,109 --> 00:16:28,362 魂を送り返して よみがえらせてしまったのだ 231 00:16:28,862 --> 00:16:31,532 それがどれほど 重罪かも知らずに 232 00:16:32,032 --> 00:16:37,913 浅はかな妹… だが 少し前に烏の力を感じた 233 00:16:38,664 --> 00:16:41,291 烏がお前の中で 暴れようとしたな 234 00:16:41,375 --> 00:16:42,292 あっ! 235 00:16:42,376 --> 00:16:46,880 (宵月)俺は懐かしくて いとおしくて耐えられなくなった 236 00:16:47,881 --> 00:16:51,093 だから 幽宮から 斯馬盧と共に 237 00:16:51,593 --> 00:16:53,429 “これ”をここに送った 238 00:16:53,512 --> 00:16:56,682 千年 我慢したのだから 上出来だろう? 239 00:16:57,307 --> 00:17:00,602 俺はお前の苦しみを 終わらせに来た 240 00:17:02,271 --> 00:17:05,733 烏妃 そして我が妹よ 241 00:17:19,747 --> 00:17:22,291 (寿雪)あっ… (宵月)また お前か 242 00:17:22,374 --> 00:17:25,711 バカ やめろ! おぬしのかなう相手ではない! 243 00:17:25,794 --> 00:17:26,962 バカはそなただ 244 00:17:27,838 --> 00:17:29,840 この姿は動きづらい 245 00:17:30,424 --> 00:17:32,426 新月の晩だといいんだが 246 00:17:32,509 --> 00:17:35,220 おぬしは 私を殺しに来たのであろう! 247 00:17:35,304 --> 00:17:37,848 (宵月) お前を殺したいわけではない 248 00:17:37,931 --> 00:17:40,100 でも 烏を葬るには 249 00:17:40,184 --> 00:17:42,352 お前という器を 壊さねばならない 250 00:17:44,271 --> 00:17:45,564 邪魔をするな 251 00:17:45,647 --> 00:17:47,900 烏というのは 烏漣娘娘(うれんにゃんにゃん)のことか? 252 00:17:48,901 --> 00:17:51,695 (宵月)それは お前たちが勝手につけた名で 253 00:17:51,779 --> 00:17:53,322 俺の知る名ではない 254 00:17:53,405 --> 00:17:57,576 烏妃を傷つけようとするなら 邪魔をしないわけにはいかない 255 00:17:57,659 --> 00:17:59,828 ならば 葬(はぶ)るまで 256 00:18:03,916 --> 00:18:04,416 ふっ! 257 00:18:11,465 --> 00:18:13,008 くっ… 258 00:18:16,345 --> 00:18:16,929 うっ… 259 00:18:19,223 --> 00:18:19,848 やめろ… 260 00:18:24,394 --> 00:18:25,687 やめろ! 261 00:18:29,858 --> 00:18:31,568 大家 お下がりください! 262 00:18:31,652 --> 00:18:32,736 (寿雪)衛青! 263 00:18:40,828 --> 00:18:43,956 (宵月) まったく 面倒なヤツらだ 264 00:18:50,921 --> 00:18:52,631 まだ分からぬか 265 00:18:53,132 --> 00:18:58,554 この使い部を壊されたからとて 俺が死ぬわけではない 266 00:18:59,471 --> 00:19:02,182 作り直すのは少々面倒だが 267 00:19:03,642 --> 00:19:04,226 (温螢)娘娘! 268 00:19:04,309 --> 00:19:05,477 (寿雪)来るな! 269 00:19:06,311 --> 00:19:08,647 お前も 泥人形なのだな 270 00:19:09,148 --> 00:19:12,359 (宵月)言っただろう 俺は この島へは来れぬ 271 00:19:12,442 --> 00:19:13,735 俺の体では 272 00:19:13,819 --> 00:19:15,988 俺とて 何もむざむざ 273 00:19:16,071 --> 00:19:18,949 罪もない乙女を 殺したいわけではない 274 00:19:19,032 --> 00:19:21,034 恨むなら香薔(こうしょう)を恨め 275 00:19:21,118 --> 00:19:23,871 (寿雪)香薔… なぜ 初代の烏妃を? 276 00:19:23,954 --> 00:19:25,998 (宵月)あれが元凶だ 277 00:19:26,081 --> 00:19:28,542 己の中に烏を閉じ込めた 278 00:19:28,625 --> 00:19:30,502 (寿雪)香薔は夜明宮のもとに 279 00:19:30,586 --> 00:19:32,838 烏漣娘娘を 引き止めたのではないのか? 280 00:19:33,338 --> 00:19:35,507 だから烏妃は その番人だと 281 00:19:36,216 --> 00:19:40,345 (宵月)番人… あれは ずるい小娘だった 282 00:19:41,054 --> 00:19:46,018 己と 己の後に続く あまたの女を器として差し出し 283 00:19:46,101 --> 00:19:48,520 逃げ出せぬよう封をかけた 284 00:19:52,316 --> 00:19:56,111 あれは咎人(とがびと)だ 人でなしだ 285 00:19:58,113 --> 00:20:01,408 俺は あの女をこそ憎んでいる 286 00:20:02,326 --> 00:20:06,288 生きたものを器にするなど 許されることではない 287 00:20:06,371 --> 00:20:08,540 必ず ひずみが生じる 288 00:20:09,041 --> 00:20:11,752 我らにとっても お前たちにとっても 289 00:20:11,835 --> 00:20:13,503 それは禁忌の技だ 290 00:20:14,004 --> 00:20:17,925 現にお前は 新月の晩ごとに 苦しんでいるだろう? 291 00:20:19,176 --> 00:20:24,598 己の中にいる烏が抜け出すから 魂が引き裂かれかけているのだ 292 00:20:24,681 --> 00:20:27,517 その痛みは俺にも想像できない 293 00:20:28,852 --> 00:20:31,438 お前は既に半ば烏なのだ 294 00:20:31,939 --> 00:20:33,774 この世に生を受けながら 295 00:20:33,857 --> 00:20:37,152 知らされぬ間に それを奪われているのだ 296 00:20:37,945 --> 00:20:41,949 香薔は烏に花を食わせた 食わせ続けた 297 00:20:42,532 --> 00:20:46,453 あれは毒だ 我らを酩酊(めいてい)させる 298 00:20:46,536 --> 00:20:50,207 烏漣娘娘にささげる花が… 毒? 299 00:20:50,290 --> 00:20:52,960 (宵月) 烏は もはや己を失っている 300 00:20:53,043 --> 00:20:58,423 お前の中であふれた烏の力 あれは烏の叫びだった 301 00:20:58,924 --> 00:21:01,176 怒りと苦しみの叫び 302 00:21:01,260 --> 00:21:03,845 きっと お前も怒っていたのだな 303 00:21:05,681 --> 00:21:08,350 もう 烏を楽にしてやるときだ 304 00:21:09,142 --> 00:21:12,479 葬者部らしく 俺は妹を葬りに来た 305 00:21:13,063 --> 00:21:16,483 お前も本当は 楽になりたいのだろう? 306 00:21:16,566 --> 00:21:17,526 あ… 307 00:21:20,696 --> 00:21:23,156 (星星)グワア~! (宵月)哈拉拉(はらら)! 308 00:21:24,116 --> 00:21:27,077 (宵月)役立たずの烏部め 何をしに来た? 309 00:21:28,120 --> 00:21:29,329 鳥部… 310 00:21:29,413 --> 00:21:32,124 (宵月) 同族でやり合っても無意味だ 311 00:21:32,207 --> 00:21:34,584 やるなら鳥部を使わないと 312 00:21:34,668 --> 00:21:35,711 (寿雪)星星! 313 00:21:35,794 --> 00:21:38,005 (星星)ウア~! 314 00:21:41,842 --> 00:21:42,342 んっ! 315 00:21:59,735 --> 00:22:01,403 (口形のみ) 316 00:22:05,991 --> 00:22:07,993 {\an8}♪~ 317 00:23:33,912 --> 00:23:35,914 {\an8}~♪