1 00:00:01,544 --> 00:00:04,463 (侍女)鵲妃(じゃくひ)様 陛下がお越しになりました 2 00:00:04,547 --> 00:00:05,506 (夏(か) 高峻(こうしゅん))うっ… 3 00:00:05,965 --> 00:00:07,216 (衛青(えいせい))このにおいは… 4 00:00:07,299 --> 00:00:08,509 (柳(りゅう) 寿雪(じゅせつ))想夫香(そうふこう)… 5 00:00:08,801 --> 00:00:11,137 いや 別のにおいも… 6 00:00:13,556 --> 00:00:14,515 (寿雪)あっ 7 00:00:25,317 --> 00:00:27,528 (高峻)お前が封(ほう)宵月(しょうげつ)か? 8 00:00:44,086 --> 00:00:47,673 (寿雪)おぬし 夜明宮(やめいきゅう)に 薄絹を忘れたであろう 9 00:00:48,215 --> 00:00:49,216 返しに来た 10 00:00:50,050 --> 00:00:52,553 おぬしも 私の宮の宦官(かんがん)を返せ 11 00:00:53,012 --> 00:00:54,805 返さねば許さぬ 12 00:00:55,806 --> 00:00:56,807 (琴(きん) 恵瑤(けいよう))ええ 13 00:00:57,141 --> 00:00:59,685 あの日 わたくしは 夜明宮へ参りました 14 00:01:01,061 --> 00:01:05,024 烏妃(うひ)様は願いをかなえては くださらなかった 15 00:01:05,107 --> 00:01:06,275 (寿雪)うっ… 16 00:01:06,358 --> 00:01:09,570 でも 現れたのです 17 00:01:10,571 --> 00:01:13,532 わたくしの願いを かなえてくれる者が! 18 00:01:13,616 --> 00:01:14,617 あっ 19 00:01:17,411 --> 00:01:24,418 ♪~ 20 00:02:37,950 --> 00:02:44,957 ~♪ 21 00:02:48,878 --> 00:02:53,841 (ナレーター)後宮の奥深く 烏妃と呼ばれる妃(きさき)が住んでいる 22 00:02:54,425 --> 00:02:59,346 その妃は 妃でありながら 夜伽(よとぎ)をすることのない— 23 00:02:59,430 --> 00:03:01,348 特別な妃だった 24 00:03:02,266 --> 00:03:03,893 後宮で生きながら 25 00:03:04,143 --> 00:03:08,105 決して帝(みかど)の前で ひざまづくことのない妃 26 00:03:09,064 --> 00:03:10,733 それが烏妃だった 27 00:03:11,692 --> 00:03:12,818 (九九(じうじう))娘娘(にゃんにゃん)… 28 00:03:13,277 --> 00:03:14,695 (衣斯哈(いしは))大丈夫ですよ 29 00:03:14,778 --> 00:03:16,363 きっと すぐに帰ってきます 30 00:03:16,447 --> 00:03:17,656 (星星(しんしん))グワワッ… (衣斯哈)うわっ! 31 00:03:17,740 --> 00:03:19,950 (星星)ガア~ッ! (九九・衣斯哈)星星! 32 00:03:24,038 --> 00:03:24,663 “ある人を” 33 00:03:24,747 --> 00:03:26,165 “生き返らせて ほしい” 34 00:03:26,749 --> 00:03:28,417 おぬしは そう言ったな 35 00:03:28,500 --> 00:03:29,919 (高峻)それは もしや 36 00:03:30,252 --> 00:03:32,254 そなたの 亡くなった兄のことか? 37 00:03:33,130 --> 00:03:34,548 (恵瑤)わたくしと兄は 38 00:03:34,965 --> 00:03:37,217 二人きりの きょうだいでございます 39 00:03:44,934 --> 00:03:48,020 兄は幼いわたくしを かばい 守り— 40 00:03:48,479 --> 00:03:49,688 時には叱り 41 00:03:50,230 --> 00:03:53,442 つまらぬけんかもして 共に育ちました 42 00:03:54,193 --> 00:03:58,113 兄は学友たちと比べても ひときわ ぬきんでていて 43 00:03:58,572 --> 00:04:03,160 わたくしにとっては 兄は最も優れた殿方でした 44 00:04:04,286 --> 00:04:07,539 はつらつとして美しく ものおじしない人で 45 00:04:08,666 --> 00:04:11,752 わたくしは 兄を慕っておりました 46 00:04:13,837 --> 00:04:16,423 いずれ官吏になる 兄のためならと 47 00:04:17,091 --> 00:04:19,093 わたくしは後宮に参ったのです 48 00:04:22,429 --> 00:04:23,639 (高峻)そなたの兄は 49 00:04:23,889 --> 00:04:26,809 落馬で負った傷がもとで 亡くなったと聞いた 50 00:04:27,810 --> 00:04:30,270 兄が死んだなんて 何かの間違いです! 51 00:04:30,562 --> 00:04:32,773 そんなことが あっていいはずがない 52 00:04:33,023 --> 00:04:35,442 だから わたくしは 烏妃様にお願いに… 53 00:04:36,568 --> 00:04:38,988 生き返らせることはできないと 言われて 54 00:04:39,488 --> 00:04:41,323 なんの望みもなくなりました 55 00:04:42,157 --> 00:04:45,786 いっそ 兄の後を追って 死んでしまおうかと… 56 00:04:47,287 --> 00:04:50,833 そんなとき宵月が現れたのです 57 00:04:51,291 --> 00:04:56,463 彼は兄の髪か骨 一かけと 土を用意しろと言いました 58 00:04:56,880 --> 00:04:59,091 わたくしは文(ふみ)で父に頼みました 59 00:05:01,802 --> 00:05:02,803 兄(にい)様… 60 00:05:03,137 --> 00:05:04,972 (泣き声) 61 00:05:05,431 --> 00:05:08,267 (恵瑤)その髪と土で宵月は… 62 00:05:18,152 --> 00:05:19,153 (恵瑤)あっ 63 00:05:20,612 --> 00:05:22,114 あっ… 64 00:05:23,574 --> 00:05:24,616 ああっ! 65 00:05:28,037 --> 00:05:29,038 あっ 66 00:05:29,580 --> 00:05:30,372 ああ… 67 00:05:30,831 --> 00:05:32,124 兄様! 68 00:05:32,624 --> 00:05:34,251 (泣き声) 69 00:05:34,668 --> 00:05:38,589 本当に… 本当に兄様なのですよ 70 00:05:39,173 --> 00:05:41,759 兄様は生き返ってくれたのです 71 00:05:42,176 --> 00:05:43,010 (高峻)くっ… 72 00:05:43,510 --> 00:05:45,721 (寿雪)その兄は 今 どこにいる? 73 00:05:47,056 --> 00:05:48,223 (恵瑤)それは… 74 00:05:48,307 --> 00:05:50,726 答えずとも においで分かる 75 00:05:51,310 --> 00:05:52,644 (恵瑤)あっ お待ち… 76 00:05:53,270 --> 00:05:54,480 お待ちください! 77 00:06:00,611 --> 00:06:02,488 ほんとに兄様なのです 78 00:06:02,571 --> 00:06:05,199 顔も体も 兄そのものなんです 79 00:06:05,365 --> 00:06:08,744 陛下 こたびのようなことは 二度と起こしません 80 00:06:08,827 --> 00:06:11,538 ですから どうか… どうか御慈悲を! 81 00:06:12,331 --> 00:06:14,374 “こたびのようなこと”とは なんだ? 82 00:06:14,458 --> 00:06:15,584 (恵瑤)あっ 83 00:06:22,049 --> 00:06:23,467 (衛青)この においは… 84 00:06:23,926 --> 00:06:25,094 (寿雪)あっ 温螢(おんけい)! 85 00:06:27,763 --> 00:06:29,515 温螢 温螢! 86 00:06:29,598 --> 00:06:32,518 (温螢)うっ… 娘娘 87 00:06:32,601 --> 00:06:35,437 (寿雪)ああ… そうだ 私だ 88 00:06:36,063 --> 00:06:37,189 もう大丈夫だ 89 00:06:40,567 --> 00:06:41,193 (高峻)あっ 90 00:06:49,243 --> 00:06:50,160 (寿雪)あっ 91 00:06:52,412 --> 00:06:53,122 (恵瑤の兄)わああっ! 92 00:06:53,205 --> 00:06:54,123 (温螢)娘娘! 93 00:06:54,206 --> 00:06:55,791 (うめき声) 94 00:06:55,874 --> 00:06:56,875 (恵瑤)兄様! 95 00:06:58,836 --> 00:07:00,045 (温螢)えいっ えい! (恵瑤の兄)ぐわっ… 96 00:07:02,131 --> 00:07:03,298 うわあ~っ! 97 00:07:03,382 --> 00:07:04,133 兄様 ダメ! 98 00:07:06,510 --> 00:07:07,803 (恵瑤の兄)うっ… 99 00:07:07,886 --> 00:07:08,846 淡海(たんかい)! 100 00:07:11,849 --> 00:07:13,350 (淡海)遅くなって悪かったな 101 00:07:13,433 --> 00:07:14,560 (温螢)まだだ! (淡海)あっ 102 00:07:14,643 --> 00:07:16,270 (恵瑤の兄)うう… 103 00:07:17,563 --> 00:07:18,772 ぐわあっ! 104 00:07:19,022 --> 00:07:20,065 (淡海)えいっ (恵瑤の兄)ぐっ 105 00:07:21,525 --> 00:07:22,609 (恵瑤)兄様! (淡海)あっ 106 00:07:24,236 --> 00:07:25,821 兄様 大丈夫よ 107 00:07:25,904 --> 00:07:28,615 え~ そっちの心配します? 108 00:07:30,868 --> 00:07:31,618 (恵瑤の兄)ぐわあっ 109 00:07:34,496 --> 00:07:37,332 (寿雪)それが おぬしの言う 生き返った兄か? 110 00:07:39,418 --> 00:07:41,170 死者をよみがえらせたと… 111 00:07:41,545 --> 00:07:43,839 そんな芸当は巫術師(ふじゅつし)にもできぬ 112 00:07:45,257 --> 00:07:46,758 私にもできぬ 113 00:07:47,426 --> 00:07:49,386 宵月は やってくれました 114 00:07:49,887 --> 00:07:52,389 おけの中の血は獣の血か? 115 00:07:52,806 --> 00:07:58,187 ええ 宵月が血を与えねば もとの土くれに戻ってしまうと… 116 00:07:58,979 --> 00:08:02,399 でも 兄は獣の血は あまり好みません 117 00:08:02,858 --> 00:08:04,902 本当は人の血が要るのです 118 00:08:09,489 --> 00:08:12,910 そなたは先ほどの私の問いに 答えていない 119 00:08:13,577 --> 00:08:15,537 “こたびのようなこと”とは なんだ? 120 00:08:16,371 --> 00:08:18,040 お許しくださいませ 陛下 121 00:08:18,832 --> 00:08:19,666 兄は… 122 00:08:20,375 --> 00:08:23,879 兄は あの夜 人の血を欲しがって暴れました 123 00:08:23,962 --> 00:08:26,298 (恵瑤の兄)ぐわあっ… (恵瑤)お兄様 大丈夫よ 124 00:08:26,381 --> 00:08:27,549 すぐにあげるから 125 00:08:28,342 --> 00:08:29,635 (においを嗅ぐ音) 126 00:08:29,718 --> 00:08:31,511 (割れる音) (恵瑤)あっ 127 00:08:31,595 --> 00:08:33,388 (恵瑤)そこに折あしく… 128 00:08:33,472 --> 00:08:34,389 (徐成(じょせい))あっ 129 00:08:34,473 --> 00:08:36,391 (恵瑤の兄)うう… 130 00:08:36,475 --> 00:08:38,310 (徐成)あっ 化け物! 131 00:08:38,727 --> 00:08:40,354 (恵瑤)兄様! (恵瑤の兄)うわあ~っ! 132 00:08:41,271 --> 00:08:43,899 (恵瑤)宵月が森で 二人を見つけたときには 133 00:08:44,274 --> 00:08:45,692 もう手遅れでした 134 00:08:47,819 --> 00:08:49,780 兄は徐成を殺しました 135 00:08:49,988 --> 00:08:53,158 陛下 おとがめは わたくしが すべて受けます 136 00:08:53,825 --> 00:08:56,536 ですから 兄は どうか お見逃しください 137 00:08:56,620 --> 00:08:59,164 せっかく生き返った 命なのです! 138 00:08:59,665 --> 00:09:00,707 (高峻)うっ… 139 00:09:01,375 --> 00:09:03,710 (寿雪)この者は おぬしの兄ではない 140 00:09:04,670 --> 00:09:05,671 えっ? 141 00:09:05,754 --> 00:09:08,090 宵月は生き返らせたのではない 142 00:09:08,548 --> 00:09:11,843 ただ作ったのだ 泥人形を 143 00:09:14,012 --> 00:09:16,223 何をおっしゃっているの? 144 00:09:17,557 --> 00:09:19,393 (寿雪)この者は 生きてはおらぬ 145 00:09:19,768 --> 00:09:20,769 がらんどうだ 146 00:09:21,603 --> 00:09:25,232 どれだけ待とうと おぬしの知る兄にはならぬ 147 00:09:26,066 --> 00:09:27,401 そんなはずない 148 00:09:27,943 --> 00:09:28,986 そんなはず… 149 00:09:29,486 --> 00:09:31,321 (寿雪)本当は 分かっているはずだ 150 00:09:31,863 --> 00:09:32,864 (恵瑤)あ… 151 00:09:33,448 --> 00:09:36,868 (寿雪)おぬしが幼いころより 慕った兄ではないと 152 00:09:37,786 --> 00:09:40,789 いえ いえ… これは兄です 153 00:09:41,373 --> 00:09:44,626 わたくしの たった一人の兄です 154 00:09:46,503 --> 00:09:48,046 ねっ そうよね? 155 00:09:48,630 --> 00:09:50,257 そうよね? 兄様 156 00:09:50,799 --> 00:09:52,009 (恵瑤の兄)あ… 157 00:09:54,803 --> 00:09:55,804 がうっ 158 00:10:07,149 --> 00:10:08,150 (寿雪)くっ 159 00:10:10,736 --> 00:10:11,737 (恵瑤の兄)うう… 160 00:10:11,862 --> 00:10:13,697 ぐわあ~っ! 161 00:10:17,743 --> 00:10:18,744 ぐうう… 162 00:10:19,494 --> 00:10:20,495 (寿雪)うんっ 163 00:10:21,163 --> 00:10:22,331 (恵瑤の兄)ああ… 164 00:10:25,417 --> 00:10:27,044 ああ あっ… 165 00:10:42,893 --> 00:10:43,894 恵瑤… 166 00:10:57,699 --> 00:10:58,367 (九九)あっ 167 00:10:58,450 --> 00:10:59,993 すまぬことをした 168 00:11:00,452 --> 00:11:04,081 おわびしなくてはならないのは 私のほうでございます 169 00:11:05,040 --> 00:11:07,334 ご命令を 遂行できなかったばかりか 170 00:11:07,709 --> 00:11:09,127 助けていただきました 171 00:11:09,252 --> 00:11:10,253 次 俺ね 172 00:11:10,670 --> 00:11:13,465 淡海さんは どこも けがしてないじゃないですか 173 00:11:13,548 --> 00:11:14,508 いや ほら ここ! 174 00:11:14,591 --> 00:11:16,176 ここ すりむいてんのよ 175 00:11:16,259 --> 00:11:18,178 そんなの ほっとけば治ります 176 00:11:18,261 --> 00:11:20,472 (淡海)ひどっ 何 その扱いの差! 177 00:11:20,639 --> 00:11:21,556 淡海 178 00:11:21,932 --> 00:11:22,808 はっ 179 00:11:22,891 --> 00:11:25,685 鵲巣宮(じゃくそうきゅう)の中を くまなく捜してみましたが 180 00:11:25,769 --> 00:11:27,646 宵月は見つかりませんでした 181 00:11:27,938 --> 00:11:29,356 (寿雪)身の回りのものは? 182 00:11:29,648 --> 00:11:33,443 それが ヤツは自分の部屋すら 持っていなかったようで 183 00:11:33,985 --> 00:11:37,489 宵月が寝ているところも 食事をとっているところも 184 00:11:37,656 --> 00:11:39,574 誰も見たことがないそうです 185 00:11:40,700 --> 00:11:41,451 そうか 186 00:11:47,332 --> 00:11:49,167 (高峻)宵月は必ず見つけだす 187 00:11:49,626 --> 00:11:51,378 そなたは夜明宮にいてくれ 188 00:11:52,504 --> 00:11:53,338 (寿雪)すまない 189 00:11:53,797 --> 00:11:56,883 鵲妃のこと 取り返しのつかないことをした 190 00:11:57,551 --> 00:11:59,010 なぜ そなたが謝る? 191 00:11:59,719 --> 00:12:03,974 兄の訃報を聞いてから 様子が尋常ではないと思っていた 192 00:12:04,891 --> 00:12:07,144 早く父親のもとに 戻すべきだった 193 00:12:07,686 --> 00:12:09,354 すべて私の責任だ 194 00:12:09,896 --> 00:12:12,899 わらにもすがる思いで ここを訪れた鵲妃を 195 00:12:13,316 --> 00:12:14,985 私は むげに追い返した 196 00:12:16,319 --> 00:12:20,407 私は彼女の悲しみに 寄り添わなかった 197 00:12:30,333 --> 00:12:32,502 きょうは もう休ませてもらう 198 00:12:38,550 --> 00:12:41,344 娘娘 お体が冷えたでしょうから… 199 00:12:41,678 --> 00:12:43,221 あっ 娘娘? 200 00:12:44,222 --> 00:12:46,516 陛下を見送りに行きましたけど 201 00:12:47,267 --> 00:12:48,518 (九九)あ… 202 00:12:49,436 --> 00:12:52,063 (衛青)宵月の追跡は我々にお任せを 203 00:12:52,522 --> 00:12:54,733 大家(たーちゃ)は 凝光殿(ぎょうこうでん)に いらしてください 204 00:12:54,816 --> 00:12:59,237 それから 鵲妃様の お父上のもとに使いを 205 00:13:03,575 --> 00:13:04,576 (衛青)あ… 206 00:13:05,702 --> 00:13:06,786 大家? 207 00:13:08,330 --> 00:13:09,539 (寿雪)ハア ハア… 208 00:13:10,707 --> 00:13:13,668 宵月 姿を現せ! 209 00:13:14,044 --> 00:13:16,129 おぬしの狙いは私であろう 210 00:13:16,546 --> 00:13:18,507 もう ほかの者を巻き込むな! 211 00:13:18,965 --> 00:13:21,051 私は逃げも隠れもせぬ 212 00:13:21,384 --> 00:13:23,011 姿を見せよ! 213 00:13:23,094 --> 00:13:25,096 (反響する声) 214 00:13:29,100 --> 00:13:31,102 (風の音) 215 00:13:31,394 --> 00:13:32,562 (寿雪)あっ 216 00:13:33,063 --> 00:13:34,064 梟(ふくろう)! 217 00:13:34,272 --> 00:13:35,607 (宵月)少し違う 218 00:13:36,066 --> 00:13:37,901 これは俺そのものでない 219 00:13:38,693 --> 00:13:43,031 お前が烏(からす)そのものでないように ただの器 220 00:13:43,114 --> 00:13:44,324 (宵月)使い部(べ)だ (寿雪)うっ 221 00:13:44,407 --> 00:13:45,075 ふんっ! 222 00:13:50,497 --> 00:13:51,122 あっ 223 00:13:53,667 --> 00:13:56,127 (宵月)同族でやり合っても 無意味だ 224 00:13:56,461 --> 00:13:58,713 やるなら鳥部(とりべ)を使わないと 225 00:13:58,964 --> 00:13:59,881 (寿雪)鳥部? 226 00:14:00,340 --> 00:14:03,885 なんだ お前は そんなことも知らないのか? 227 00:14:04,177 --> 00:14:06,596 それとも烏(からす)が忘れたのか? 228 00:14:06,680 --> 00:14:08,682 花を食らい過ぎて 229 00:14:09,182 --> 00:14:12,435 だが 俺が怖いのは分かるんだな 230 00:14:13,061 --> 00:14:13,853 ふ~ん 231 00:14:13,937 --> 00:14:16,815 おぬしの言っていることは ひとつも分からぬ 232 00:14:17,107 --> 00:14:18,149 (宵月)分かった 233 00:14:18,567 --> 00:14:20,986 お前が 何も 知らないということを 234 00:14:21,069 --> 00:14:22,445 俺は理解した 235 00:14:23,071 --> 00:14:26,116 いいか? 俺は幽宮(かくれのみや)から来た 236 00:14:26,449 --> 00:14:27,492 (寿雪)幽宮… 237 00:14:28,034 --> 00:14:30,120 はるか海の向こうに あるという— 238 00:14:30,203 --> 00:14:31,871 神の棲(す)む国のことか? 239 00:14:32,455 --> 00:14:37,627 ああ 俺は幽宮の葬者部(はぶりべ) 首切り役人だ 240 00:14:38,169 --> 00:14:39,879 (羽音) (宵月)いた 241 00:14:40,297 --> 00:14:42,424 俺は あれを捜していたんだ 242 00:14:42,924 --> 00:14:45,468 とても苦労して この島まで来たのに 243 00:14:45,844 --> 00:14:48,138 いなくなってしまって 困っていた 244 00:14:48,221 --> 00:14:50,223 斯馬盧(すまる) ここに来い 245 00:14:52,267 --> 00:14:54,102 ここに来いと言うのに 246 00:14:54,436 --> 00:14:57,147 本当に お前は 俺の言うことを聞かない 247 00:14:57,564 --> 00:14:58,565 斯馬盧 248 00:15:02,944 --> 00:15:04,154 困ったものだ 249 00:15:04,571 --> 00:15:07,490 斯馬盧は もともとは 烏の鳥だからな 250 00:15:08,033 --> 00:15:10,577 おぬしの言う烏とは 誰のことだ? 251 00:15:11,119 --> 00:15:12,162 私のことか? 252 00:15:12,287 --> 00:15:13,580 (宵月)少し違う 253 00:15:13,788 --> 00:15:15,248 烏は烏だ 254 00:15:15,915 --> 00:15:18,251 お前の中にいる それだ 255 00:15:18,877 --> 00:15:19,878 (寿雪)あ… 256 00:15:19,961 --> 00:15:22,130 (宵月)俺は 長らく見守っていた 257 00:15:22,631 --> 00:15:25,759 この島への干渉は 禁じられているからだ 258 00:15:26,176 --> 00:15:28,928 ここは われらの国 幽宮で 259 00:15:29,012 --> 00:15:31,681 流罪になった者が行き着く 忌(い)み島 260 00:15:32,182 --> 00:15:35,018 烏が幽宮から流されたときも 261 00:15:35,393 --> 00:15:38,021 俺は何をすることも できなかった 262 00:15:38,521 --> 00:15:40,857 俺は烏の兄だというのに 263 00:15:40,940 --> 00:15:41,941 (寿雪)あっ 264 00:15:42,025 --> 00:15:44,653 おぬしが兄… だと? 265 00:15:45,153 --> 00:15:46,571 (宵月)俺と烏は 266 00:15:46,780 --> 00:15:50,408 海の あぶくが二つに分かれて そこから生まれた 267 00:15:50,950 --> 00:15:53,244 もとは同じ一つの あぶくだ 268 00:15:54,954 --> 00:15:57,582 俺は葬者部の役目を与えられ 269 00:15:58,083 --> 00:16:02,087 烏は岬部(みさきべ)として 海流と風に乗って流れ着く— 270 00:16:02,170 --> 00:16:05,423 死者の魂を導く役目を 負っていた 271 00:16:06,466 --> 00:16:08,218 魂は美しい 272 00:16:08,635 --> 00:16:11,846 ほの白く闇に瞬き 星と見まがう 273 00:16:12,472 --> 00:16:14,808 俺と烏は夜に生きていた 274 00:16:15,016 --> 00:16:16,017 (寿雪)あ… 275 00:16:16,226 --> 00:16:17,435 (宵月)懐かしいか? 276 00:16:17,519 --> 00:16:19,938 いや そんな話は知らない 277 00:16:20,188 --> 00:16:22,190 烏は罪を犯した 278 00:16:22,357 --> 00:16:24,025 死者にそそのかされて 279 00:16:24,109 --> 00:16:27,320 魂を送り返して よみがえらせてしまったのだ 280 00:16:27,862 --> 00:16:30,490 それが どれほど重罪かも 知らずに 281 00:16:31,032 --> 00:16:32,867 浅はかな妹 282 00:16:33,785 --> 00:16:37,038 だが 少し前に烏の力を感じた 283 00:16:37,622 --> 00:16:40,333 烏が お前の中で 暴れようとしたな 284 00:16:40,417 --> 00:16:41,334 あっ 285 00:16:41,418 --> 00:16:45,839 (宵月)俺は懐かしくて いとおしくて耐えられなくなった 286 00:16:46,923 --> 00:16:50,009 だから 幽宮から斯馬盧と共に 287 00:16:50,593 --> 00:16:52,470 これを ここに送った 288 00:16:52,554 --> 00:16:55,765 千年 我慢したのだから 上出来だろ? 289 00:16:56,307 --> 00:16:59,269 俺は お前の苦しみを 終わらせに来た 290 00:17:01,312 --> 00:17:02,313 烏妃 291 00:17:02,689 --> 00:17:04,399 そして わが妹よ 292 00:17:10,196 --> 00:17:11,448 (寿雪)ああ… 293 00:17:18,913 --> 00:17:19,914 (寿雪)あっ 294 00:17:20,165 --> 00:17:21,332 (宵月)また お前か 295 00:17:21,416 --> 00:17:22,459 バカ やめろ! 296 00:17:22,542 --> 00:17:24,502 おぬしの かなう相手ではない 297 00:17:24,836 --> 00:17:26,045 バカは そなただ 298 00:17:26,880 --> 00:17:28,923 この姿は動きづらい 299 00:17:29,340 --> 00:17:31,468 新月の晩だといいんだが 300 00:17:31,551 --> 00:17:34,220 おぬしは 私を殺しに来たのであろう 301 00:17:34,345 --> 00:17:36,556 (宵月)お前を 殺したいわけではない 302 00:17:36,973 --> 00:17:39,058 でも 烏を葬るには 303 00:17:39,142 --> 00:17:41,436 お前という器を 壊さねばならない 304 00:17:43,313 --> 00:17:44,439 ジャマをするな 305 00:17:44,647 --> 00:17:46,941 烏というのは 烏漣娘娘(うれんにゃんにゃん)のことか? 306 00:17:47,025 --> 00:17:47,817 (寿雪)あっ 307 00:17:47,901 --> 00:17:50,737 (宵月)それは お前たちが 勝手に付けた名で 308 00:17:50,820 --> 00:17:52,363 俺の知る名ではない 309 00:17:52,447 --> 00:17:54,365 烏妃を傷つけようとするなら 310 00:17:54,908 --> 00:17:56,618 ジャマをしないわけにはいかない 311 00:17:56,701 --> 00:17:58,495 ならば葬(はぶ)るまで 312 00:17:59,788 --> 00:18:00,789 (高峻)うっ 313 00:18:02,874 --> 00:18:03,500 ふんっ! 314 00:18:08,296 --> 00:18:09,297 うっ 315 00:18:10,507 --> 00:18:12,091 くっ… あっ 316 00:18:15,386 --> 00:18:16,012 ぐっ… 317 00:18:18,223 --> 00:18:18,932 やめろ 318 00:18:21,434 --> 00:18:22,185 あっ 319 00:18:23,436 --> 00:18:24,437 (寿雪)やめろ! 320 00:18:25,772 --> 00:18:26,397 (衛青)うんっ 321 00:18:28,900 --> 00:18:30,610 大家 お下がりください 322 00:18:30,693 --> 00:18:31,820 (寿雪)衛青! (衛青)あっ 323 00:18:39,869 --> 00:18:41,079 (宵月)まったく… 324 00:18:41,204 --> 00:18:43,414 面倒なヤツらだ… ん? 325 00:18:43,498 --> 00:18:44,499 (衛青)えいっ 326 00:18:49,921 --> 00:18:51,256 (宵月)まだ分からぬか? 327 00:18:51,339 --> 00:18:52,090 (一同)あっ 328 00:18:52,173 --> 00:18:55,051 (宵月)この使い部を 壊されたからとて 329 00:18:55,426 --> 00:18:57,178 俺が死ぬわけではない 330 00:18:58,513 --> 00:19:01,224 作り直すのは 少々面倒だが 331 00:19:01,307 --> 00:19:02,308 (一同)あっ 332 00:19:02,642 --> 00:19:03,268 (温螢)娘娘! 333 00:19:03,351 --> 00:19:04,352 (寿雪)来るな! 334 00:19:05,311 --> 00:19:07,480 お前も泥人形なのだな 335 00:19:08,189 --> 00:19:09,357 (宵月)言っただろ? 336 00:19:09,440 --> 00:19:12,777 俺は この島へは来れぬ 俺の体では 337 00:19:12,861 --> 00:19:14,988 俺とて 何も むざむざ— 338 00:19:15,071 --> 00:19:17,782 罪もない乙女を 殺したいわけではない 339 00:19:18,074 --> 00:19:19,951 恨むなら香薔(こうしょう)を恨め 340 00:19:20,118 --> 00:19:21,119 (寿雪)香薔? 341 00:19:21,452 --> 00:19:22,954 なぜ 初代の烏妃を? 342 00:19:23,246 --> 00:19:24,747 (宵月)あれが元凶だ 343 00:19:25,081 --> 00:19:27,333 己の中に烏を閉じ込めた 344 00:19:27,625 --> 00:19:29,586 (寿雪)香薔は 夜明宮のもとに 345 00:19:29,669 --> 00:19:31,880 烏漣娘娘を 引き止めたのではないのか? 346 00:19:32,338 --> 00:19:34,591 だから烏妃は その番人だと… 347 00:19:35,258 --> 00:19:36,259 (宵月)番人… 348 00:19:36,926 --> 00:19:39,053 あれは ずるい小娘だった 349 00:19:40,054 --> 00:19:44,851 己と 己の後に続く あまたの女を器として差し出し 350 00:19:45,101 --> 00:19:47,604 逃げ出せぬよう封をかけた 351 00:19:51,357 --> 00:19:52,984 あれは とが人(びと)だ 352 00:19:53,610 --> 00:19:54,777 人でなしだ 353 00:19:57,530 --> 00:20:00,074 俺は あの女をこそ憎んでいる 354 00:20:01,326 --> 00:20:05,330 生きた者を器にするなど 許されることではない 355 00:20:05,413 --> 00:20:07,540 必ず ひずみが生じる 356 00:20:08,082 --> 00:20:10,668 われらにとっても お前たちにとっても 357 00:20:10,835 --> 00:20:12,503 それは禁忌の技だ 358 00:20:12,962 --> 00:20:13,963 現に お前は 359 00:20:14,047 --> 00:20:16,966 新月の晩ごとに 苦しんでいるだろう? 360 00:20:17,050 --> 00:20:18,051 (高峻)あ… 361 00:20:18,176 --> 00:20:20,929 (宵月)己の中にいる烏が 抜け出すから 362 00:20:21,137 --> 00:20:23,431 魂が引き裂かれかけているのだ 363 00:20:23,681 --> 00:20:26,225 その痛みは俺にも想像できない 364 00:20:26,559 --> 00:20:27,560 (寿雪)うっ… 365 00:20:27,894 --> 00:20:30,396 (宵月)お前は すでに 半ば烏なのだ 366 00:20:30,980 --> 00:20:32,815 この世に生を受けながら 367 00:20:32,899 --> 00:20:35,818 知らされぬ間に それを奪われているのだ 368 00:20:36,945 --> 00:20:39,447 香薔は烏に花を食わせた 369 00:20:39,530 --> 00:20:41,032 食わせ続けた 370 00:20:41,449 --> 00:20:42,992 あれは毒だ 371 00:20:43,076 --> 00:20:45,036 われらを めいていさせる 372 00:20:45,578 --> 00:20:48,998 烏漣娘娘に捧げる花が… 毒? 373 00:20:49,332 --> 00:20:52,043 (宵月)烏は もはや 己を失っている 374 00:20:52,418 --> 00:20:55,129 お前の中で あふれた烏の力 375 00:20:55,421 --> 00:20:57,465 あれは烏の叫びだった 376 00:20:57,966 --> 00:20:59,968 怒りと苦しみの叫び 377 00:21:00,259 --> 00:21:02,553 きっと お前も怒っていたのだな 378 00:21:03,388 --> 00:21:04,389 (寿雪)あ… 379 00:21:04,639 --> 00:21:07,433 (宵月)もう烏を 楽にしてやる時だ 380 00:21:08,142 --> 00:21:11,145 葬者部らしく 俺は妹を葬りに来た 381 00:21:12,021 --> 00:21:15,149 お前も本当は 楽になりたいのだろう? 382 00:21:15,608 --> 00:21:16,818 (寿雪)あ… 383 00:21:19,737 --> 00:21:20,863 (星星)グワア~ッ! 384 00:21:21,280 --> 00:21:22,240 (星星)グワッ! (宵月)哈拉拉(はらら) 385 00:21:23,157 --> 00:21:25,743 役立たずの鳥部め 何をしに来た? 386 00:21:26,202 --> 00:21:27,078 (寿雪)あ… 387 00:21:27,161 --> 00:21:28,413 鳥部? 388 00:21:28,705 --> 00:21:30,999 (宵月)同族でやり合っても 無意味だ 389 00:21:31,207 --> 00:21:33,626 やるなら鳥部を使わないと 390 00:21:33,710 --> 00:21:34,711 (寿雪)星星! 391 00:21:34,836 --> 00:21:36,671 (星星)グワア~ッ! 392 00:21:41,009 --> 00:21:42,010 (寿雪)んっ! 393 00:21:48,516 --> 00:21:49,517 んっ! 394 00:22:05,533 --> 00:22:12,540 ♪~ 395 00:23:27,532 --> 00:23:34,539 ~♪