1 00:02:18,872 --> 00:02:21,875 ((もうすぐ あの棟は取り壊されます。 2 00:02:21,875 --> 00:02:25,212 それまでに 調べていただきたいのです。 3 00:02:25,212 --> 00:02:28,048 安氏様のおっしゃる呪い…。 4 00:02:28,048 --> 00:02:30,050 つまり 先帝のご遺体が➡ 5 00:02:30,050 --> 00:02:33,854 生前と変わらぬままだった その理由を。 6 00:02:36,189 --> 00:02:38,692 《猫猫:先帝が身まかられて 6年。 7 00:02:38,692 --> 00:02:41,194 かつて過ごしていた棟が なくなれば➡ 8 00:02:41,194 --> 00:02:43,530 思い出させるものは 墓所くらいか。 9 00:02:43,530 --> 00:02:45,532 謎が そのままになれば➡ 10 00:02:45,532 --> 00:02:48,035 安氏様の気持ちも 晴れないだろう》 11 00:02:48,035 --> 00:02:52,372 わかりました。 ただし 1つ お願いがあります。 12 00:02:52,372 --> 00:02:55,675 お願い? 先帝が住まわれていたという➡ 13 00:02:55,675 --> 00:03:00,013 先ほどの部屋に入ることは できますか? 14 00:03:00,013 --> 00:03:02,015 お許しを頂きます)) 15 00:03:04,518 --> 00:03:07,187 《帝の許しを得てという話だが➡ 16 00:03:07,187 --> 00:03:11,191 皇太后様が間に入れば 問題はないはず》 17 00:03:11,191 --> 00:03:15,195 (水蓮)猫猫 寝台 用意できたわよ。 18 00:03:15,195 --> 00:03:19,700 ありがとうございます 水蓮様 お部屋を貸していただいて。 19 00:03:19,700 --> 00:03:22,035 いいのよ 気にしないで。 20 00:03:22,035 --> 00:03:24,871 《案外 かわいらしい趣味だよな》 21 00:03:24,871 --> 00:03:27,040 カウチでもよかったのですが。 22 00:03:27,040 --> 00:03:29,209 私が 気を使うのよ。 23 00:03:29,209 --> 00:03:31,712 こちらの棟は 久しぶりよね。 24 00:03:31,712 --> 00:03:35,649 ゆっくり休んでちょうだい。 はい。 25 00:03:35,649 --> 00:03:38,985 《最近は ずっと 翡翠宮だったもんな。 26 00:03:38,985 --> 00:03:42,155 正直 今夜は帰らずに済んで助かった。 27 00:03:42,155 --> 00:03:46,159 紅娘様に会ったら どんな反応をされたやら…。 28 00:03:46,159 --> 00:03:49,496 むしろ 今までが甘かったほうだけど。 29 00:03:49,496 --> 00:03:51,665 どこの宮付きか はっきりせず➡ 30 00:03:51,665 --> 00:03:54,501 よその宮にも 顔を出す女官なんて➡ 31 00:03:54,501 --> 00:03:58,004 侍女頭からすれば 好ましいはずがない》 32 00:04:02,509 --> 00:04:08,348 《私自身 自分の立場が よくわからないときがある。 33 00:04:08,348 --> 00:04:10,851 ろうそくで読書なんて ぜいたくだな》 34 00:04:10,851 --> 00:04:14,354 んっ… 猫猫も 何か読む? 35 00:04:14,354 --> 00:04:17,057 奥の部屋から探してきていいわよ。 36 00:04:20,360 --> 00:04:22,362 《本は 貴重だ。 37 00:04:22,362 --> 00:04:24,531 読める機会に読んでおかないと。 38 00:04:24,531 --> 00:04:27,868 趣味の合う本があるといいけど》 39 00:04:27,868 --> 00:04:31,204 ((待て~! アハハハハハハハハハハ!)) 40 00:04:31,204 --> 00:04:35,509 《水蓮様 結構 若いな》 41 00:04:35,509 --> 00:04:37,477 んっ? 42 00:04:40,013 --> 00:04:42,015 気になるの? ニャー! 43 00:04:42,015 --> 00:04:45,185 あっ… ごっ… ご安心を。 盗もうなどと考えておりません。 44 00:04:45,185 --> 00:04:48,355 わかってるわよ。 45 00:04:48,355 --> 00:04:50,357 子どものおもちゃですか? 46 00:04:50,357 --> 00:04:54,361 ええ 壬氏様のお気に入りたちよ。 47 00:04:54,361 --> 00:04:57,197 猫猫は 壬氏様を どう思う? 48 00:04:57,197 --> 00:05:00,367 えっ? いい上司だと思います。 49 00:05:00,367 --> 00:05:03,370 《珍しい薬をくれる点では》 50 00:05:03,370 --> 00:05:06,206 何か 含んでない? ううん…。 51 00:05:06,206 --> 00:05:08,208 まあ いいわ。 52 00:05:08,208 --> 00:05:10,377 これでばかり遊ぶから➡ 53 00:05:10,377 --> 00:05:14,714 壬氏様から こっそり隠した物なの でも そうなると➡ 54 00:05:14,714 --> 00:05:16,716 手が付けられないくらい 泣いてしまって。 55 00:05:16,716 --> 00:05:19,052 ((壬氏:うわ~ん! (高順)あっ… あっ…。 56 00:05:19,052 --> 00:05:21,721 他にも おもちゃは ございますよ。 57 00:05:21,721 --> 00:05:23,890 嫌だ! あれがいい! 58 00:05:23,890 --> 00:05:27,227 あれじゃないと嫌だ! うわ~ん!)) 59 00:05:27,227 --> 00:05:29,896 (水蓮)新しいおもちゃを 持ってきては➡ 60 00:05:29,896 --> 00:05:33,633 どうにかしようと 高順が苦労していたわ。 61 00:05:33,633 --> 00:05:35,635 どうして取り上げたのですか? 62 00:05:35,635 --> 00:05:40,307 1つの物に執着すると そればかり見てしまう。 63 00:05:40,307 --> 00:05:44,811 それが許される立場に 生まれた人ではないからよ。 64 00:05:44,811 --> 00:05:46,813 嫌でも 背伸びして➡ 65 00:05:46,813 --> 00:05:49,649 大きくなってもらわなくては いけなかった。 66 00:05:49,649 --> 00:05:54,154 それが 壬氏様の母君の願いだったから。 67 00:05:54,154 --> 00:05:56,823 《母君の…。 68 00:05:56,823 --> 00:06:01,328 抑圧された環境で育つと 心に影響を受けると聞く。 69 00:06:01,328 --> 00:06:05,165 だんだん見せるようになった 子どもっぽい部分。 70 00:06:05,165 --> 00:06:09,169 あれも 壬氏様の本質の1つなんだろう。 71 00:06:09,169 --> 00:06:13,840 それでいて 周りからは 麗しの宦官扱い。 72 00:06:13,840 --> 00:06:15,842 おかしな話だ》 73 00:06:15,842 --> 00:06:17,844 あっ。 74 00:06:21,348 --> 00:06:24,351 この絵は…。 (水蓮)あら こんな所に。 75 00:06:24,351 --> 00:06:27,854 捨てろと言われていたのに。 76 00:06:27,854 --> 00:06:31,191 《なんだったんだ?》 77 00:06:31,191 --> 00:06:33,326 あっ 触ってもいいですか? 78 00:06:33,326 --> 00:06:35,495 いいわよ。 79 00:06:39,499 --> 00:06:41,501 あっ…。 80 00:06:41,501 --> 00:06:43,503 ただの小石よ。 81 00:06:43,503 --> 00:06:46,506 一体 どこで拾ってきたのかしらね。 82 00:06:46,506 --> 00:06:48,508 すぐに取り上げたのですか? 83 00:06:48,508 --> 00:06:52,512 ええ。 拾った石なんて 清潔じゃないでしょ? 84 00:06:52,512 --> 00:06:54,514 正解です。 85 00:06:54,514 --> 00:06:57,684 毒ですから。 86 00:06:57,684 --> 00:07:01,354 どういうこと? それは こちらが聞きたいです。 87 00:07:01,354 --> 00:07:03,690 なぜ こんな物が落ちていたのか。 88 00:07:03,690 --> 00:07:05,659 あっ…。 89 00:07:08,194 --> 00:07:12,032 壬氏様は 幼いころ 内廷に入ることがありましたか? 90 00:07:12,032 --> 00:07:15,035 えっ? ええ 多少は。 91 00:07:15,035 --> 00:07:17,871 でも それが どうしたというの? 92 00:07:17,871 --> 00:07:20,040 今は 何も言えません。 93 00:07:20,040 --> 00:07:24,544 《1つの仮説がある。 けれど 証拠がない》 94 00:07:24,544 --> 00:07:29,549 水蓮様 明日になれば 皇太后様の言う呪い…。 95 00:07:29,549 --> 00:07:33,486 先帝のご遺体が腐らなかった 理由も はっきりします。 96 00:07:33,486 --> 00:07:35,755 それまで お待ちいただけますか? 97 00:07:41,828 --> 00:07:44,497 《いつの間にか 壬氏様まで…。 98 00:07:44,497 --> 00:07:47,467 あまり大げさに したくなかったんだけど》 99 00:07:56,142 --> 00:07:58,144 《鼻につく臭い。 100 00:07:58,144 --> 00:08:00,647 かびの臭いだけではなさそうだ》 101 00:08:05,852 --> 00:08:08,688 《穂先が平たく そろえられた筆。 102 00:08:08,688 --> 00:08:10,690 やはり これは…》 103 00:08:10,690 --> 00:08:13,860 先帝は 絵を描く趣味が あったのでしょうか? 104 00:08:13,860 --> 00:08:15,862 (壬氏/安氏)んっ…。 105 00:08:15,862 --> 00:08:19,699 (安氏)一度だけ 描いて いただいたことがあります。 106 00:08:19,699 --> 00:08:23,703 ここだけの秘密だと おっしゃっていました。 107 00:08:23,703 --> 00:08:27,073 皆に知られたら 取り上げられてしまうからと。 108 00:08:29,042 --> 00:08:31,878 《動揺している? 壬氏様の癖だ。 109 00:08:31,878 --> 00:08:35,448 本人は 冷静を 装ってるつもりだろうけど。 110 00:08:35,448 --> 00:08:40,120 先帝については 詳しく知らないし 知りたいとも思わない。 111 00:08:40,120 --> 00:08:43,790 だが 呪いの正体を暴くには 証拠がいる》 112 00:08:43,790 --> 00:08:46,793 んっ…。 113 00:08:46,793 --> 00:08:48,795 あっ…。 114 00:08:48,795 --> 00:08:52,298 先帝は ずっと この部屋で 絵を描かれていましたか? 115 00:08:52,298 --> 00:08:54,300 それは わかりませんが➡ 116 00:08:54,300 --> 00:08:57,137 先帝が この部屋に 籠もるようになってからは➡ 117 00:08:57,137 --> 00:08:59,305 同じ者が付いていたはずです。 118 00:08:59,305 --> 00:09:01,307 その方を呼べますか? 119 00:09:01,307 --> 00:09:04,310 たしか まだ働いていたと思いますが。 120 00:09:04,310 --> 00:09:06,479 呼びましょう。 121 00:09:06,479 --> 00:09:08,648 んっ…。 122 00:09:08,648 --> 00:09:11,351 触ってもいいですか? どうぞ。 123 00:09:14,821 --> 00:09:17,657 《思ったより硬い。 124 00:09:17,657 --> 00:09:20,326 それに 独特な臭いもする。 125 00:09:20,326 --> 00:09:22,829 床には 半透明のかけら。 126 00:09:22,829 --> 00:09:26,166 必死に拭き取ろうとしたような 汚れもある。 127 00:09:26,166 --> 00:09:28,334 そして その汚れは…。 128 00:09:28,334 --> 00:09:30,837 壁に近づくほど増えている》 129 00:09:33,973 --> 00:09:36,309 《あっ 柔らかい。 130 00:09:36,309 --> 00:09:39,979 分厚い紙を 何重にも貼っているのか。 131 00:09:39,979 --> 00:09:43,817 頑丈にするためか 表面に 塗料も塗られている。 132 00:09:43,817 --> 00:09:47,153 呪いには おおかた 見当がついていたけど➡ 133 00:09:47,153 --> 00:09:50,490 もう1つ どうでもいいことが わかりそうだ》 134 00:09:50,490 --> 00:09:53,827 連れてきました。 んっ…。 135 00:09:53,827 --> 00:09:55,795 あなたは…。 136 00:09:59,499 --> 00:10:02,168 《やんごとなきお人の部屋を 任されるには➡ 137 00:10:02,168 --> 00:10:05,004 かなり高齢に見えるけど…》 138 00:10:05,004 --> 00:10:07,006 お聞きしたいことがあるのですが。 139 00:10:07,006 --> 00:10:11,511 この人は 元奴隷です。 また しゃべれません。 140 00:10:11,511 --> 00:10:13,513 わかりました。 141 00:10:13,513 --> 00:10:17,183 《そういうことか。 口が利けない人を選んで➡ 142 00:10:17,183 --> 00:10:19,853 使用人にすることは ままある。 143 00:10:19,853 --> 00:10:21,855 常に 人の目にさらされる➡ 144 00:10:21,855 --> 00:10:24,524 やんごとなき方なら なおさらだ》 145 00:10:24,524 --> 00:10:27,360 では 首を振るだけでかまいません。 146 00:10:27,360 --> 00:10:30,130 この部屋に 絵などはありませんでしたか? 147 00:10:32,198 --> 00:10:34,334 何かあったと思いますが。 148 00:10:34,334 --> 00:10:39,038 《小娘の話など 聞く耳はないということか? 149 00:10:39,038 --> 00:10:42,041 いや 違う。 150 00:10:42,041 --> 00:10:44,511 何かを隠している?》 151 00:10:47,547 --> 00:10:50,316 壁に 何かあるのですか? んっ! 152 00:10:53,052 --> 00:10:55,555 この壁紙 剥いでもいいでしょうか? 153 00:10:55,555 --> 00:10:57,557 ハッ! 154 00:10:57,557 --> 00:10:59,893 《やめろとでも 言わんばかりだな》 155 00:10:59,893 --> 00:11:02,896 かまわないわ。 うっ! 156 00:11:02,896 --> 00:11:07,367 どうせ壊されるのだもの。 それで 何かわかるならば。 157 00:11:16,409 --> 00:11:18,378 慎重に…。 158 00:11:21,414 --> 00:11:24,584 あっ…。 んっ…。 159 00:11:24,584 --> 00:11:26,553 あっ…。 160 00:11:32,825 --> 00:11:34,827 この絵…。 161 00:11:34,827 --> 00:11:39,165 なんだ? それは。 先帝が描かれたものでしょう。 162 00:11:39,165 --> 00:11:42,001 《先帝の人間性に 興味はない。 163 00:11:42,001 --> 00:11:44,504 ただ 国の頂に立ったために➡ 164 00:11:44,504 --> 00:11:47,840 本当の才能を生かすことなく 亡くなったのだろう。 165 00:11:47,840 --> 00:11:51,844 それだけの力が この絵にはある》 166 00:11:51,844 --> 00:11:55,348 この女性が着ている衣の色➡ 167 00:11:55,348 --> 00:11:57,517 これは 雄黄という石を➡ 168 00:11:57,517 --> 00:12:00,019 砕いて作った 絵の具だと思います。 169 00:12:00,019 --> 00:12:02,021 んっ…。 170 00:12:02,021 --> 00:12:05,358 雄黄は 砒毒と同じ毒性を持っています。 171 00:12:05,358 --> 00:12:07,360 そして 砒毒には➡ 172 00:12:07,360 --> 00:12:10,363 物を腐りにくくする 作用があります。 173 00:12:10,363 --> 00:12:12,532 あっ…。 あっ…。 174 00:12:12,532 --> 00:12:16,369 最初は 壁紙か何かに使われた雄黄を➡ 175 00:12:16,369 --> 00:12:19,539 知らず知らずのうちに 体に取り込んでいたのではと➡ 176 00:12:19,539 --> 00:12:21,541 考えていました。 177 00:12:21,541 --> 00:12:24,877 ですが この部屋にある筆の形状を見て➡ 178 00:12:24,877 --> 00:12:27,547 違う可能性が出てきました。 179 00:12:27,547 --> 00:12:31,718 雄黄をもとにした顔料を 使っていたのです。 180 00:12:31,718 --> 00:12:33,853 雄黄に含まれる砒毒は➡ 181 00:12:33,853 --> 00:12:38,191 少しずつ 先帝の体に 取り込まれていったのでしょう。 182 00:12:38,191 --> 00:12:43,363 亡くなられるころには 全身に回っていたはずです。 183 00:12:43,363 --> 00:12:48,201 《隠れるようにして 絵を描き続けた。 この部屋で。 184 00:12:48,201 --> 00:12:52,705 帝ともあろうお方が 絵を描くなんて とんでもないと➡ 185 00:12:52,705 --> 00:12:55,208 少なくとも 周りは そう捉える。 186 00:12:55,208 --> 00:13:00,713 だから 昏君と呼ばれた先帝でも 公にはしなかった。 187 00:13:00,713 --> 00:13:04,384 口の利けない奴隷の従者に 部屋の管理を任せていたのも➡ 188 00:13:04,384 --> 00:13:06,386 そのためだろう。 189 00:13:06,386 --> 00:13:11,024 まだ 弾力がある。 この下に 一体 何枚あるんだ? 190 00:13:11,024 --> 00:13:14,027 これほど多くの絵となると➡ 191 00:13:14,027 --> 00:13:16,362 道具を用意したのは 恐らく…。 192 00:13:16,362 --> 00:13:19,399 先帝の母である 女帝。 193 00:13:19,399 --> 00:13:21,901 この絵の女性は わかっていたのだ。 194 00:13:21,901 --> 00:13:26,906 自分の子が 帝にふさわしい器では ないことを。 195 00:13:26,906 --> 00:13:31,411 だから 偶然 帝の地位を 手に入れた吾子を守ろうと➡ 196 00:13:31,411 --> 00:13:34,013 自分の元に 権力を集めた。 197 00:13:34,013 --> 00:13:38,351 たとえ 女帝と 呼ばれるようになったとしても。 198 00:13:38,351 --> 00:13:42,522 子のために なんでもした女帝が 最後に与えたのが➡ 199 00:13:42,522 --> 00:13:45,825 この場所と 絵を描く道具だった。 200 00:13:45,825 --> 00:13:49,696 毒だとは知らずに…。 201 00:13:49,696 --> 00:13:51,664 なんという皮肉だろう》 202 00:13:53,700 --> 00:13:56,202 私が言えるのは ここまでです。 203 00:13:56,202 --> 00:13:59,706 ええ 十分な働きでした。 204 00:13:59,706 --> 00:14:12,218 ♬~ 205 00:14:12,218 --> 00:14:15,221 《まるで 蒼穹のかなたにいる誰かに➡ 206 00:14:15,221 --> 00:14:17,390 問いかけているみたいだ。 207 00:14:17,390 --> 00:14:21,160 なんて 感傷的になってるな》 208 00:14:32,805 --> 00:14:35,608 《ああ 腹が立つ》 209 00:14:39,979 --> 00:14:47,320 《かすれていても なお あの方の存在感は大きいのね。 210 00:14:47,320 --> 00:14:50,490 私は この絵の中にいるのかしら。 211 00:14:50,490 --> 00:14:56,295 いいえ 所詮 私など 通り過ぎるだけの存在》 212 00:14:58,698 --> 00:15:01,367 《ここにある傷痕のおかげで➡ 213 00:15:01,367 --> 00:15:05,872 国母としての今があるにすぎない。 214 00:15:05,872 --> 00:15:11,210 偶然 先帝の手にかかり みごもった 幼い娘。 215 00:15:11,210 --> 00:15:14,046 そう同情する声もあった。 216 00:15:14,046 --> 00:15:16,382 確かに そんな娘は いただろう。 217 00:15:16,382 --> 00:15:21,220 しかし 帝の性癖のことは あらかじめ知っていた。 218 00:15:21,220 --> 00:15:25,558 父は 文官で 母は 側室。 219 00:15:25,558 --> 00:15:30,396 そして 幼い顔のわりには 初潮が来るのが早かった私を➡ 220 00:15:30,396 --> 00:15:34,133 父は 都合のいい道具として 利用したのだ》 221 00:15:34,133 --> 00:15:37,470 んっ…。 222 00:15:37,470 --> 00:15:41,140 《安氏:後宮には 中級妃の侍女として入った。 223 00:15:41,140 --> 00:15:43,976 妃は 腹違いの姉。 224 00:15:43,976 --> 00:15:46,813 ちょうよ花よと育てられた姉は➡ 225 00:15:46,813 --> 00:15:49,649 父の思惑など 知るよしもなかった》 226 00:15:49,649 --> 00:15:53,319 ((ねえ 安氏! 早く飾りを着けてちょうだい。 227 00:15:53,319 --> 00:15:55,321 はい お姉様。 228 00:15:58,324 --> 00:16:01,494 ついに今夜 帝がいらっしゃるのね。 229 00:16:01,494 --> 00:16:06,833 この前 遠目にお見かけしたけど とても美しい方だったの。 230 00:16:06,833 --> 00:16:08,835 そうですか。 231 00:16:11,170 --> 00:16:13,172 お待ちしておりました。 232 00:16:13,172 --> 00:16:15,875 んっ…。 233 00:16:20,513 --> 00:16:23,349 さあ どうぞ 中へ…。 234 00:16:23,349 --> 00:16:25,852 ハッ… 触れるな! キャー! 235 00:16:25,852 --> 00:16:28,354 うっ…。 ぐっ…。 236 00:16:28,354 --> 00:16:31,057 帝…。 うっ…)) 237 00:16:35,628 --> 00:16:39,131 《安氏:その姿は とても 国の頂点に立つ者には➡ 238 00:16:39,131 --> 00:16:41,133 思えなかった。 239 00:16:41,133 --> 00:16:43,636 侍女ならば 妃を慰めるか➡ 240 00:16:43,636 --> 00:16:47,173 帝に 非礼をわびるかすれば よかったのだ。 241 00:16:47,173 --> 00:16:49,141 けれど…》 242 00:17:02,321 --> 00:17:06,192 ((大丈夫でしょうか? うっ… うっ…。 243 00:17:06,192 --> 00:17:08,194 うっ…)) 244 00:17:08,194 --> 00:17:13,699 《安氏:帝の目は 確かに こちらを捉えた。 245 00:17:13,699 --> 00:17:17,069 野心に満ちた 少女の目を》 246 00:17:23,209 --> 00:17:25,711 《安氏:私は 先帝の子を宿し➡ 247 00:17:25,711 --> 00:17:28,547 何度も 命の危険に さらされた。 248 00:17:28,547 --> 00:17:31,050 幸運だったのは 子が男子で➡ 249 00:17:31,050 --> 00:17:34,153 女帝が 孫であると 認めてくれたことだろう》 250 00:17:34,153 --> 00:17:36,122 ((あっ…。 (泣き声) 251 00:17:36,122 --> 00:17:39,458 よしよし。 はいはい。 うっ… ヘッ…。 252 00:17:39,458 --> 00:17:41,460 フッ…)) 253 00:17:41,460 --> 00:17:44,130 《安氏:以前 女児を産んだ娘がいた。 254 00:17:44,130 --> 00:17:49,302 娘は 先帝の子だと言い張ったが 先帝に 知らぬと否定され➡ 255 00:17:49,302 --> 00:17:53,973 その父親とされた医官が 女児と共に追放された。 256 00:17:53,973 --> 00:17:58,811 当時 医官だけは 後宮内で 去勢を免れていたから。 257 00:17:58,811 --> 00:18:02,481 それ以来 医官も 去勢を義務づけられた》 258 00:18:02,481 --> 00:18:05,818 ((この腹の手術をした者も…。 259 00:18:05,818 --> 00:18:08,487 ふびんなこと このうえない)) 260 00:18:08,487 --> 00:18:13,993 《安氏:女児を産んだという娘は 1人 後宮に残された。 261 00:18:13,993 --> 00:18:17,496 彼女が 後宮を出ることは 一生ないだろう。 262 00:18:17,496 --> 00:18:21,534 それから 更に時がたち…。 263 00:18:21,534 --> 00:18:24,337 少女の外見でなくなった私に➡ 264 00:18:24,337 --> 00:18:26,839 先帝は 会いに来ようとはしなかった》 265 00:18:26,839 --> 00:18:30,343 ((また 後宮が拡張するそうね。 266 00:18:30,343 --> 00:18:35,781 はい 子昌様が進言なさったとか。 そう)) 267 00:18:35,781 --> 00:18:38,284 《安氏:後宮は どんどん大きくなり➡ 268 00:18:38,284 --> 00:18:41,454 私と同じ使命を帯びた 幼い娘たちが➡ 269 00:18:41,454 --> 00:18:43,456 次々に やって来た》 270 00:18:52,298 --> 00:18:54,967 ((あっ…)) 271 00:18:54,967 --> 00:18:58,804 《安氏:女帝の傀儡としてのみ 存在し➡ 272 00:18:58,804 --> 00:19:02,641 幼い娘にしか まともに話しかけられない➡ 273 00:19:02,641 --> 00:19:04,643 情けない男》 274 00:19:07,146 --> 00:19:09,148 ((ハッ!)) 275 00:19:19,158 --> 00:19:24,063 《安氏:そんな者に忘れられるのが 許せなかった》 276 00:19:26,832 --> 00:19:29,168 ((うっ…。 私が怖いですか? 277 00:19:29,168 --> 00:19:31,837 うっ… あっ… うっ…。 278 00:19:31,837 --> 00:19:34,306 私が 大人の女になったから? 279 00:19:34,306 --> 00:19:39,111 それとも この腹の傷が?)) 280 00:19:39,111 --> 00:19:44,617 《安氏:閨の中 許しを乞うて おびえる男を いたぶった。 281 00:19:44,617 --> 00:19:48,454 男に手をかけられた 幼い娘たち。 282 00:19:48,454 --> 00:19:50,623 偉大な母である女帝よりも➡ 283 00:19:50,623 --> 00:19:55,461 深く思い出につなぎ止めるために。 284 00:19:55,461 --> 00:20:00,633 その後 先帝は 心を壊して あの棟に引きこもった。 285 00:20:00,633 --> 00:20:03,636 誰のせいかなんて 追求する気も起きない》 286 00:20:06,305 --> 00:20:11,143 《結局 あの男は この部屋で 女帝である母と➡ 287 00:20:11,143 --> 00:20:15,147 野心のない娘たちばかり 思い描いていたのだろう》 288 00:20:17,817 --> 00:20:21,487 《一度だけ 私を描いてくれた。 289 00:20:21,487 --> 00:20:26,325 その絵も とても大事にしていたけれど➡ 290 00:20:26,325 --> 00:20:28,828 水蓮に捨てるように言った。 291 00:20:28,828 --> 00:20:30,830 私には必要ない。 292 00:20:30,830 --> 00:20:34,533 私が 先帝にとって 必要ないように》 293 00:20:42,508 --> 00:20:47,179 昔 あの方が 私たちの元へ 来たことがありましたね。 294 00:20:47,179 --> 00:20:50,683 ええ 何年前だったかしら。 295 00:20:50,683 --> 00:20:54,186 あのとき こんな物を拾いました。 296 00:20:54,186 --> 00:20:56,522 これが 雄黄なのだそうです。 297 00:20:56,522 --> 00:20:59,191 この石が…。 298 00:20:59,191 --> 00:21:03,195 今朝 水蓮が ようやく返してくれました。 299 00:21:03,195 --> 00:21:05,197 そう。 300 00:21:10,202 --> 00:21:14,540 《安氏:不義の子と言われようと 取り違えられた子であろうと➡ 301 00:21:14,540 --> 00:21:17,209 大切な子に違いないのに》 302 00:21:17,209 --> 00:21:20,880 一度 私は あの絵を 見たことがある気がします。 303 00:21:20,880 --> 00:21:25,417 年若い娘の絵で 淡く色付けされていました。 304 00:21:25,417 --> 00:21:29,922 この石を拾ったのは その絵を 覚えていたからでしょう。 305 00:21:29,922 --> 00:21:32,825 《捨てろと言ったはずなのに》 306 00:21:32,825 --> 00:21:37,129 昔 あなたは 好んで この色を 着ていらっしゃいましたね。 307 00:21:46,005 --> 00:21:48,007 あっ…。 308 00:21:57,183 --> 00:21:59,185 たまたまよ。 309 00:21:59,185 --> 00:22:02,855 あの絵の女性は 本当に 女帝なのでしょうか? 310 00:22:02,855 --> 00:22:07,560 あのとき あの方は 何を伝えようとしたのでしょう。 311 00:22:13,032 --> 00:22:15,134 知らないわ。 312 00:22:17,536 --> 00:22:20,372 《安氏:知ろうとしないことを 選んだ》 313 00:22:20,372 --> 00:22:22,708 それよりも あなた➡ 314 00:22:22,708 --> 00:22:25,878 ずいぶん おもしろい女官に 目をかけているようですね。 315 00:22:25,878 --> 00:22:28,214 なっ! あっ…。 316 00:22:28,214 --> 00:22:30,549 なかなか使える者です。 317 00:22:30,549 --> 00:22:34,486 そうね でも…。 318 00:22:34,486 --> 00:22:37,489 《それが すべてでは ないことくらい わかる》 319 00:22:42,528 --> 00:22:44,597 《何年も 見てきたのだから》 320 00:22:47,366 --> 00:22:51,036 んっ…。 お気に入りは隠しておかないと➡ 321 00:22:51,036 --> 00:22:54,006 誰かに隠されてしまうわよ。