1 00:02:15,902 --> 00:02:18,238 (紅娘)猫猫 紹介するわ。 2 00:02:18,238 --> 00:02:22,576 翡翠宮に来た 新しい侍女たちよ。 3姉妹なの。 3 00:02:22,576 --> 00:02:25,412 (白羽)白羽です。 (黒羽)黒羽です。 4 00:02:25,412 --> 00:02:27,414 (赤羽)赤羽です。 5 00:02:27,414 --> 00:02:29,916 《猫猫:よく似た姉妹だな》 6 00:02:29,916 --> 00:02:34,488 お元気でしたか? (愛藍)はい。 お久しぶりです。 7 00:02:34,488 --> 00:02:37,157 んっ? お知り合いですか? 8 00:02:37,157 --> 00:02:40,494 (桜花)ええ。 みんな 同郷で 顔なじみなの。 9 00:02:40,494 --> 00:02:45,165 長女の白羽さんは 玉葉様と同い年よ。 10 00:02:45,165 --> 00:02:48,502 《同郷の人間だけで固めるのか。 11 00:02:48,502 --> 00:02:51,505 暗殺されかかったことのある 玉葉様には➡ 12 00:02:51,505 --> 00:02:53,673 そのほうが安心だな》 13 00:02:53,673 --> 00:02:55,675 あなたは? 14 00:02:55,675 --> 00:02:58,512 毒味役の猫猫です。 黒羽様。 15 00:02:58,512 --> 00:03:01,181 私は 黒羽じゃないわ。 16 00:03:01,181 --> 00:03:04,017 あれ? じゃあ 赤羽様…。 17 00:03:04,017 --> 00:03:07,521 白羽よ。 あっ…。 18 00:03:07,521 --> 00:03:09,523 (3人)んっ…。 19 00:03:09,523 --> 00:03:13,860 これからは 名前と同じ色の 髪ひもを使うから➡ 20 00:03:13,860 --> 00:03:17,030 それで見分けて。 はい わかりました。 21 00:03:17,030 --> 00:03:20,534 《全く見分けがつかない。 22 00:03:20,534 --> 00:03:23,703 まあ おいおい覚えればいいか。 23 00:03:23,703 --> 00:03:26,206 それよりも 問題は…》 24 00:03:26,206 --> 00:03:29,709 猫猫! ちゃんと 部屋に戻りなさい! 25 00:03:29,709 --> 00:03:32,379 いえ 物置で問題ありません。 26 00:03:32,379 --> 00:03:35,482 紅娘様にも ここが私の部屋だと 言われましたし➡ 27 00:03:35,482 --> 00:03:37,818 このまま使わせていただきます! 28 00:03:37,818 --> 00:03:39,820 だめに決まってるでしょ。 29 00:03:39,820 --> 00:03:42,823 また 冗談を真に受けて。 この…。 うっ…。 30 00:03:42,823 --> 00:03:47,327 いや でも 荷物も 全部 部屋から持ってきましたし…。 31 00:03:47,327 --> 00:03:50,831 新しい侍女たちにも 示しがつかないわ! 32 00:03:50,831 --> 00:03:53,166 (3人)んっ…。 (猫猫/桜花の力む声) 33 00:03:53,166 --> 00:03:56,002 (紅娘) 何やってるの? あなたたち! 34 00:03:56,002 --> 00:03:59,840 (猫猫/桜花)うっ! ん~…。 35 00:03:59,840 --> 00:04:03,677 うっ! ニャッ! (桜花/猫猫)うぅ…。 36 00:04:03,677 --> 00:04:05,679 (3人)あっ…。 37 00:04:08,515 --> 00:04:13,019 (玉葉)あらあら 物置は すっかり 猫猫の巣になっていたの? 38 00:04:13,019 --> 00:04:15,689 小屋は 好きにしていいわよ。 39 00:04:15,689 --> 00:04:19,693 でも 寝るときは 元の部屋を使ってちょうだいね。 40 00:04:19,693 --> 00:04:21,695 わかりました。 41 00:04:21,695 --> 00:04:25,198 《いい上司たちだな》 42 00:04:28,869 --> 00:04:30,871 《新しい侍女が来て➡ 43 00:04:30,871 --> 00:04:34,674 1人当たりの仕事の量は ぐんと減った。 44 00:04:34,674 --> 00:04:37,010 玉葉様が懐妊して➡ 45 00:04:37,010 --> 00:04:40,847 今以上に人手が必要になる 翡翠宮にとって➡ 46 00:04:40,847 --> 00:04:44,184 人材の補強は ありがたいことだが➡ 47 00:04:44,184 --> 00:04:49,189 これは 多数の侍女を連れている 楼蘭妃の柘榴宮と➡ 48 00:04:49,189 --> 00:04:52,526 釣り合いを取るためでも あるのだろう》 49 00:04:52,526 --> 00:04:55,162 お疲れさまでした。 50 00:04:55,162 --> 00:04:58,331 では 私は 小屋へ。 51 00:04:58,331 --> 00:05:00,667 あっ 猫猫! 52 00:05:00,667 --> 00:05:03,670 桜花さん 猫猫さんは 部屋ではなく➡ 53 00:05:03,670 --> 00:05:05,839 小屋に住んでいるのですか? 54 00:05:05,839 --> 00:05:09,342 本当ですか? 玉葉様の侍女なのに? 55 00:05:09,342 --> 00:05:12,746 いや… えっと… アハハハ…。 56 00:05:21,021 --> 00:05:23,023 んっ…。 んっ? 57 00:05:25,025 --> 00:05:28,028 《桜花様が 小屋に引きこもるのを 止めたのは➡ 58 00:05:28,028 --> 00:05:32,365 おせっかいだけど 私のことを考えてのことだろう。 59 00:05:32,365 --> 00:05:35,635 早く 新しい侍女たちに 慣れてほしいという➡ 60 00:05:35,635 --> 00:05:37,637 桜花様らしい気配りだ》 61 00:05:37,637 --> 00:05:39,639 フゥ…。 62 00:05:43,310 --> 00:05:45,979 すみません 勝手なことばかり。 63 00:05:45,979 --> 00:05:47,981 別に いいけど。 64 00:05:47,981 --> 00:05:52,652 ねえ 猫猫 少しは反省してる? えっ? してますけど。 65 00:05:52,652 --> 00:05:57,157 本当に? 私に悪いと思ってる? ええ それは もちろん。 66 00:05:57,157 --> 00:06:02,329 だよね? じゃあ 早速 今夜 つきあってもらうわよ! 67 00:06:02,329 --> 00:06:06,666 えっ? (桜花)今晩 暇なのは 私と猫猫だけなのよ。 68 00:06:06,666 --> 00:06:10,503 ちょうどよかったわ! ウフッ! 69 00:06:10,503 --> 00:06:13,206 《やられた…》 70 00:06:18,345 --> 00:06:21,348 あの 今夜の外出 紅娘様は…。 71 00:06:21,348 --> 00:06:24,851 大丈夫よ。 許可は もらってるわ。 72 00:06:24,851 --> 00:06:28,688 《後宮の北側…。 73 00:06:28,688 --> 00:06:32,192 この辺りは 古い建物しかないはずだけど…》 74 00:06:34,160 --> 00:06:36,129 あっ 猫猫 これ。 75 00:06:36,129 --> 00:06:38,131 こんな感じで かぶって。 76 00:06:40,133 --> 00:06:42,135 暑くないですか? 77 00:06:42,135 --> 00:06:44,938 いいの 涼しくなるから。 んっ? 78 00:06:50,510 --> 00:06:52,479 ここよ。 79 00:06:56,316 --> 00:06:59,319 いらっしゃい。 参加者は2人ね。 80 00:06:59,319 --> 00:07:03,657 はい よろしくお願いします。 お願いします。 81 00:07:03,657 --> 00:07:06,960 あんどんは消して これを代わりに。 82 00:07:11,331 --> 00:07:15,168 《きれいだけど ずいぶん 年のいった女官だ》 83 00:07:15,168 --> 00:07:17,170 では 行きましょう。 84 00:07:20,173 --> 00:07:24,177 ここは 先帝の時代に 使われていた場所なのよ。 85 00:07:24,177 --> 00:07:27,981 昔に比べて 女官が だいぶ減ったけど…。 86 00:07:30,183 --> 00:07:32,786 こういうときには ぴったりよね。 87 00:07:32,786 --> 00:07:34,788 えっ? 88 00:07:37,123 --> 00:07:39,626 空いている所に座って。 89 00:07:44,964 --> 00:07:46,966 そろいましたね。 90 00:07:46,966 --> 00:07:50,637 《こんな暑い日に 閉めきった部屋に➡ 91 00:07:50,637 --> 00:07:52,806 12人も集まって…》 92 00:07:52,806 --> 00:07:57,477 皆さん お話の準備は出来ていますか? 93 00:07:57,477 --> 00:08:02,983 こよいは 肝が冷える 13の話を楽しみましょう。 94 00:08:02,983 --> 00:08:04,985 《13の話?》 95 00:08:04,985 --> 00:08:06,986 ひぃ~! うっ…。 96 00:08:06,986 --> 00:08:10,657 それからというもの➡ 97 00:08:10,657 --> 00:08:16,496 夜な夜な 北門の堀では 身投げを繰り返す下女の姿が。 98 00:08:16,496 --> 00:08:20,667 哀れに思った女官が 堀に花を浮かべると➡ 99 00:08:20,667 --> 00:08:23,837 どこからか 声が聞こえてきます。 100 00:08:23,837 --> 00:08:26,506 ハッとして 堀を のぞき込むと➡ 101 00:08:26,506 --> 00:08:29,009 下女の 白い顔が浮かび上がり➡ 102 00:08:29,009 --> 00:08:33,947 女官が 慌てて逃げようとすると 突然 足をつかまれて…。 103 00:08:33,947 --> 00:08:39,285 水から はい上がってきた下女は 言いました。 104 00:08:39,285 --> 00:08:44,958 「あの日 私を突き落としたのは…」。 105 00:08:44,958 --> 00:08:46,960 うっ…。 106 00:08:46,960 --> 00:08:49,129 「お前か~!」。 107 00:08:49,129 --> 00:08:51,297 (悲鳴) 108 00:08:51,297 --> 00:08:56,302 うぅ…。 うっ うっ うっ うっ…。 《どっかで聞いたような話…。 109 00:08:56,302 --> 00:08:59,973 怖がりだけど 好きなわけね 桜花様》 110 00:08:59,973 --> 00:09:01,975 フッ! 111 00:09:04,477 --> 00:09:08,148 《どうやら これは 座り順に怪談話をして➡ 112 00:09:08,148 --> 00:09:11,985 話し終わったら 火を吹き消すという催しらしい。 113 00:09:11,985 --> 00:09:16,489 しかし まあ 話は 後宮内の うわさ程度のもので➡ 114 00:09:16,489 --> 00:09:18,691 肝が冷えるほどではない》 115 00:09:22,162 --> 00:09:25,165 《なにせ 後宮は 娯楽が少ない。 116 00:09:25,165 --> 00:09:29,502 こういう語らいも 認められているようだ》 117 00:09:29,502 --> 00:09:32,005 んっ? (子翠)こんばんは~。 118 00:09:32,005 --> 00:09:34,107 子翠。 食べる? 119 00:09:34,107 --> 00:09:36,109 もらう。 120 00:09:40,447 --> 00:09:42,449 さて…。 121 00:09:42,449 --> 00:09:46,453 これは 私の故郷の話なんだけど➡ 122 00:09:46,453 --> 00:09:49,622 そこには 古くから➡ 123 00:09:49,622 --> 00:09:53,793 入ってはいけないと言われている 森があった。 124 00:09:53,793 --> 00:09:58,798 もし 入れば 呪われて 鬼に 魂を食われてしまう。 125 00:09:58,798 --> 00:10:04,637 でも あるとき 1人の子どもが 禁忌を破った。 126 00:10:04,637 --> 00:10:06,973 その年は 作物が不作で➡ 127 00:10:06,973 --> 00:10:09,476 あまりにも おなかがすいた子どもは➡ 128 00:10:09,476 --> 00:10:12,779 食べ物を求めて 森へと入った。 129 00:10:15,315 --> 00:10:18,184 子どもは 母親に告げた。 130 00:10:18,184 --> 00:10:20,520 「いいこと 教えてあげる」。 131 00:10:20,520 --> 00:10:23,990 「あの森には たくさん 食べ物があるよ」。 132 00:10:23,990 --> 00:10:28,161 けれど 森に入ったことが 村人たちに知られて➡ 133 00:10:28,161 --> 00:10:30,997 親子は 村八分になった。 134 00:10:30,997 --> 00:10:34,334 孤立した親子は 食べる物もなく➡ 135 00:10:34,334 --> 00:10:36,503 痩せ衰えていったけれど➡ 136 00:10:36,503 --> 00:10:39,506 誰も 手を差し伸べようとは しなかった。 137 00:10:39,506 --> 00:10:42,675 ある夜のこと。 138 00:10:42,675 --> 00:10:48,181 親子の家に ゆらゆらと 光が入っていくのを見た者がいた。 139 00:10:48,181 --> 00:10:53,686 翌日 その知らせを聞いた村長が 親子の家を訪ねると➡ 140 00:10:53,686 --> 00:10:56,356 子どもは すでに死に➡ 141 00:10:56,356 --> 00:10:59,025 母親も亡くなる寸前だった。 142 00:10:59,025 --> 00:11:02,195 母親は 村長に こう言った。 143 00:11:02,195 --> 00:11:06,366 「ねえ いいこと 教えてあげる」。 144 00:11:06,366 --> 00:11:10,870 そこまで言って 母親は死んだ。 145 00:11:10,870 --> 00:11:16,042 その死に顔は 不気味に笑っていたの。 146 00:11:16,042 --> 00:11:20,213 結局 何を伝えようとしたのか わからないまま➡ 147 00:11:20,213 --> 00:11:23,550 今も 森は 禁忌の地と恐れられ➡ 148 00:11:23,550 --> 00:11:30,390 破った者の家には 鬼が現れ 魂を食われるという。 149 00:11:30,390 --> 00:11:32,392 フッ! 150 00:11:32,392 --> 00:11:34,827 うっ うっ うっ…。 ん~ なるほど。 151 00:11:34,827 --> 00:11:39,666 「なるほど」って 何が? あとで教える。 ふぁ~…。 152 00:11:39,666 --> 00:11:42,502 《なんか 眠い。 153 00:11:42,502 --> 00:11:47,340 狭い所に大人数だし 少し 人酔いしたかな》 154 00:11:47,340 --> 00:11:50,176 あなたの番よ。 155 00:11:50,176 --> 00:11:52,178 は~い。 156 00:11:54,180 --> 00:11:58,484 これは 遠い遠い 東の国のお話。 157 00:12:00,520 --> 00:12:02,689 (子翠)とある国の僧侶が➡ 158 00:12:02,689 --> 00:12:06,192 遠方での葬儀を終えて帰る途中➡ 159 00:12:06,192 --> 00:12:09,195 いつの間にか 日が暮れてしまった。 160 00:12:09,195 --> 00:12:12,865 辺りは すすきだらけの平原で➡ 161 00:12:12,865 --> 00:12:16,202 どうやら 野犬の群れもいる様子。 162 00:12:16,202 --> 00:12:19,539 焦る僧侶の前に現れたのは➡ 163 00:12:19,539 --> 00:12:22,241 1軒の 古びた民家だった。 164 00:12:24,544 --> 00:12:28,881 ((夜分に失礼。 ごめんください。 165 00:12:28,881 --> 00:12:31,217 どうされました? お坊様。 166 00:12:31,217 --> 00:12:34,487 山を越える前に 日が暮れてしまって。 167 00:12:34,487 --> 00:12:38,825 納屋の隅で かまいませんので 1晩 泊めていただけませんか? 168 00:12:38,825 --> 00:12:40,827 まあ それは…。 169 00:12:40,827 --> 00:12:43,329 お疲れでございましょう)) 170 00:12:43,329 --> 00:12:46,100 (子翠)妻は 僧を もてなし➡ 171 00:12:46,100 --> 00:12:50,003 寝床まで用意してくれた。 172 00:12:50,003 --> 00:12:55,675 心を尽くした もてなしに 何も持ち合わせておらぬ僧は➡ 173 00:12:55,675 --> 00:12:59,012 せめてものお礼にと 経を上げることにした。 174 00:12:59,012 --> 00:13:01,014 (読経) 175 00:13:01,014 --> 00:13:05,518 (読経と鈴のような音) 176 00:13:05,518 --> 00:13:07,854 ((《鈴の音か? 177 00:13:07,854 --> 00:13:11,024 いや… 鈴の音に聞こえるが…。 178 00:13:11,024 --> 00:13:13,860 これは… 人の声か?》 179 00:13:13,860 --> 00:13:16,362 それで あんた どうするの? 180 00:13:16,362 --> 00:13:19,198 どうもしない それで よかろう。 181 00:13:19,198 --> 00:13:21,534 そんなんじゃ だめだよ あんた。 182 00:13:21,534 --> 00:13:23,703 私は1人になりたくないんだ。 183 00:13:23,703 --> 00:13:26,039 じゃあ どうするつもりだ? 184 00:13:26,039 --> 00:13:28,541 もう 耐えられない。 185 00:13:28,541 --> 00:13:31,711 《言い争っているのか? 186 00:13:31,711 --> 00:13:33,813 止めに入ったほうがいいか? 187 00:13:33,813 --> 00:13:37,817 いや 経は やめてはいかん。 そんな気がする》 188 00:13:37,817 --> 00:13:40,153 あの僧を代わりにするんだ。 189 00:13:40,153 --> 00:13:43,156 それしかない。 190 00:13:43,156 --> 00:13:46,492 さあ やるよ。 191 00:13:46,492 --> 00:13:50,997 ハァハァ…。 どこだ? あの僧は。 192 00:13:50,997 --> 00:13:53,666 (読経) 193 00:13:53,666 --> 00:13:55,668 ハァ… ああ…。 194 00:13:55,668 --> 00:13:57,704 ハァ… ハァ…。 195 00:13:57,704 --> 00:13:59,706 ハァ…。 (読経) 196 00:13:59,706 --> 00:14:02,709 ああ…。 (読経) 197 00:14:02,709 --> 00:14:04,711 逃げたのか? (読経) 198 00:14:04,711 --> 00:14:06,713 ハァハァ…。 (読経) 199 00:14:06,713 --> 00:14:10,850 いない… いないよ。 見つけないと! 200 00:14:10,850 --> 00:14:13,352 でないと 私…。 (読経) 201 00:14:13,352 --> 00:14:15,388 私… あんたを!)) 202 00:14:15,388 --> 00:14:21,394 (読経と咀嚼音) 203 00:14:21,394 --> 00:14:24,731 (子翠)僧侶は 咀嚼音が聞こえなくなるまで➡ 204 00:14:24,731 --> 00:14:27,233 経を唱え続けた。 205 00:14:27,233 --> 00:14:32,238 音がやみ 僧侶は外へ出た。 206 00:14:32,238 --> 00:14:35,308 若い夫婦の姿はなく➡ 207 00:14:35,308 --> 00:14:39,979 そこには 虫の羽が落ちていた。 208 00:14:39,979 --> 00:14:44,317 僧侶は そっと手を合わせ 経を唱えたまま➡ 209 00:14:44,317 --> 00:14:47,820 夜明けまで歩き続けましたとさ。 210 00:14:47,820 --> 00:14:50,990 《話し方が うまいな。 211 00:14:50,990 --> 00:14:53,159 まるで 別人みたいだ。 212 00:14:53,159 --> 00:14:56,829 んっ? この横顔…。 213 00:14:56,829 --> 00:15:00,032 なんか 見覚えがあるような…》 214 00:15:02,502 --> 00:15:06,339 猫猫 次だよ。 えっ? あっ そっか。 215 00:15:06,339 --> 00:15:08,341 《何を話そうか》 216 00:15:10,343 --> 00:15:12,678 養父から聞いたのですが➡ 217 00:15:12,678 --> 00:15:16,516 墓地に 人だまが出るという うわさが立ちました。 んっ? 218 00:15:16,516 --> 00:15:19,519 いかにも怪しいと➡ 219 00:15:19,519 --> 00:15:23,356 勇敢な若者たちが 正体を探りに行きました。 220 00:15:23,356 --> 00:15:25,525 すると…。 221 00:15:25,525 --> 00:15:27,727 ((あっ…。 んっ…)) (人だまの音) 222 00:15:31,030 --> 00:15:33,466 同じ町に住む男が➡ 223 00:15:33,466 --> 00:15:36,469 たいまつを片手に 歩いていただけでした。 224 00:15:36,469 --> 00:15:39,472 あっ…。 それだけ? 225 00:15:39,472 --> 00:15:42,809 はい。 男の正体は 墓荒らしで➡ 226 00:15:42,809 --> 00:15:45,311 怪しげな呪いに はまっていて➡ 227 00:15:45,311 --> 00:15:48,314 墓地を掘り起こして 死体の腹を割いては…。 228 00:15:48,314 --> 00:15:50,650 うっ…。 万病に効くという 人の肝を…。 229 00:15:50,650 --> 00:15:52,819 うっ… もういい! うがっ! 230 00:15:52,819 --> 00:15:55,822 うっ… 以上です。 231 00:15:55,822 --> 00:15:58,324 フッ! 232 00:15:58,324 --> 00:16:01,327 次 桜花様ですよ。 んっ? 233 00:16:01,327 --> 00:16:04,831 あっ… え~っと…。 234 00:16:04,831 --> 00:16:11,504 ある所に男が… いや 老婆だったかな? 235 00:16:11,504 --> 00:16:15,308 え~っと… え~っと…。 その…。 フゥ…。 236 00:16:19,846 --> 00:16:22,682 では 次は 私が。 237 00:16:22,682 --> 00:16:28,187 《そういえば この女官は 最初に 13の話と言っていた。 238 00:16:28,187 --> 00:16:32,358 ここに集まったのは12人なのに どういうことだろう?》 239 00:16:32,358 --> 00:16:35,127 先帝時代の話です。 240 00:16:35,127 --> 00:16:38,631 そのころ 後宮は 次々と人が増え➡ 241 00:16:38,631 --> 00:16:41,634 区画を広げておりました。 242 00:16:41,634 --> 00:16:43,970 なんのために? 243 00:16:43,970 --> 00:16:46,973 そのころ 強大な権力を振るっていた➡ 244 00:16:46,973 --> 00:16:49,809 女帝である 大皇太后が➡ 245 00:16:49,809 --> 00:16:54,647 先帝の嗜好に合う娘を そろえるためでした。 246 00:16:54,647 --> 00:16:58,317 《んっ…。 なんだ?》 247 00:16:58,317 --> 00:17:03,823 先帝は 年端もいかぬ少女を 選んでは その花を散らし➡ 248 00:17:03,823 --> 00:17:06,692 手折られた少女たちは➡ 249 00:17:06,692 --> 00:17:11,864 外に出ることを許されぬまま 時を過ごしました。 250 00:17:11,864 --> 00:17:16,369 その中に 1人 みごもった少女がおり➡ 251 00:17:16,369 --> 00:17:19,372 先帝に訴えましたが➡ 252 00:17:19,372 --> 00:17:24,043 少女は 後宮を出ることも許されず➡ 253 00:17:24,043 --> 00:17:26,312 死ぬ間際に ひと言…。 254 00:17:28,514 --> 00:17:31,050 「次は お前たちの番だ!」。 255 00:17:31,050 --> 00:17:34,487 あっ! んっ…。 猫猫? 256 00:17:34,487 --> 00:17:37,156 うっ! ハァー…。 257 00:17:37,156 --> 00:17:39,158 《頭が ぼ~っとするわけだ》 258 00:17:39,158 --> 00:17:41,160 桜花様 子翠! 259 00:17:41,160 --> 00:17:44,330 ぐったりしている女官を 窓や扉の近くへ! 260 00:17:44,330 --> 00:17:46,332 えっ? 一体 どうしたの? 261 00:17:46,332 --> 00:17:49,335 早く! 消えずに残った火のせいで➡ 262 00:17:49,335 --> 00:17:52,672 体に害をなす空気が 部屋に充満しているんです! 263 00:17:52,672 --> 00:17:54,640 (桜花)わっ… わかった! 264 00:17:59,679 --> 00:18:01,948 《気付くのが遅すぎたな》 265 00:18:04,350 --> 00:18:07,186 ああ… もう少しだったのに。 266 00:18:07,186 --> 00:18:10,523 ハッ! 267 00:18:10,523 --> 00:18:12,491 《あの女官は…》 268 00:18:16,696 --> 00:18:20,032 ハァ… なんか バタバタだったわね。 269 00:18:20,032 --> 00:18:24,704 主催者の女官も いなくなって。 (子翠)猫猫! 270 00:18:24,704 --> 00:18:26,706 あっ さっきの…。 271 00:18:26,706 --> 00:18:28,874 知り合いの女官です。 272 00:18:28,874 --> 00:18:32,378 ねえ 猫猫。 さっきの話は なんだったの? 273 00:18:32,378 --> 00:18:36,282 さっきの? ほら 禁忌の森の話だよ。 274 00:18:36,282 --> 00:18:38,284 あっ ああ…。 275 00:18:38,284 --> 00:18:41,620 禁忌の森なんていうのは 迷信でしょうが➡ 276 00:18:41,620 --> 00:18:43,789 禁忌になったいわれが 全くないとは➡ 277 00:18:43,789 --> 00:18:47,627 言い切れないって思って。 (子翠)へぇ…。 278 00:18:47,627 --> 00:18:49,962 森は 食べ物が豊かですが➡ 279 00:18:49,962 --> 00:18:52,631 食べられない物も 豊富にあります。 280 00:18:52,631 --> 00:18:55,134 他の土地から来た人間が➡ 281 00:18:55,134 --> 00:18:57,136 森にある物を食べて➡ 282 00:18:57,136 --> 00:18:59,305 体を壊してしまう。 283 00:18:59,305 --> 00:19:03,476 すると 森の物を むやみに食べてはいけないと➡ 284 00:19:03,476 --> 00:19:05,478 言われるようになるでしょう。 285 00:19:05,478 --> 00:19:09,649 そして それは 年月を経て 禁忌になります。 286 00:19:09,649 --> 00:19:12,318 そのあとも 飢餓が起こったときには➡ 287 00:19:12,318 --> 00:19:16,989 誰も 食べていい物と悪い物の 区別がつかなくなっていた。 288 00:19:16,989 --> 00:19:21,660 あの話の親子は 不作の年で 飢えていました。 289 00:19:21,660 --> 00:19:26,165 おきてを破るのだから 暗くなり始めに森に入り➡ 290 00:19:26,165 --> 00:19:30,503 食べ物を採って 日が落ちると 家に帰ったのでしょう。 291 00:19:30,503 --> 00:19:35,474 月夜茸という ひらたけに似た きのこがあります。 292 00:19:35,474 --> 00:19:37,977 とても おいしそうですが 毒があって➡ 293 00:19:37,977 --> 00:19:40,813 暗くなると光る特徴があるんです。 294 00:19:40,813 --> 00:19:45,284 夜道を歩くところを 村人が遠目に見たら➡ 295 00:19:45,284 --> 00:19:47,620 人だまに見えたかもしれません。 296 00:19:47,620 --> 00:19:50,456 毒性は強くありませんが➡ 297 00:19:50,456 --> 00:19:54,260 飢えて 体力が落ちた親子が 食べたら どうなるか…。 298 00:19:57,963 --> 00:19:59,965 母親は 死に際に➡ 299 00:19:59,965 --> 00:20:03,803 こう言いたかったのかも しれません。 300 00:20:03,803 --> 00:20:09,141 ((おいしいきのこが 森の中にあるよ)) 301 00:20:09,141 --> 00:20:13,646 自分たち 親子を見捨てた 村人への復しゅうとして。 302 00:20:13,646 --> 00:20:16,315 そういうことだったんだ! 303 00:20:16,315 --> 00:20:18,317 うん すっきりした! 304 00:20:18,317 --> 00:20:20,319 じゃあ 私 こっちだから! 305 00:20:22,321 --> 00:20:26,325 (桜花)フン! たねが わかれば 大したことないじゃない。 306 00:20:26,325 --> 00:20:30,663 きっと 他の話も そういう裏があるんだわ。 307 00:20:30,663 --> 00:20:33,999 さあ… どうでしょう? 308 00:20:33,999 --> 00:20:36,202 (桜花)そこは うなずいてよ! 309 00:20:38,170 --> 00:20:42,842 戻りました。 あら 思ったより早かったのね。 310 00:20:42,842 --> 00:20:45,344 ちょっとした騒ぎがありまして。 311 00:20:45,344 --> 00:20:47,346 まあ やっぱり…。 312 00:20:47,346 --> 00:20:50,683 不慣れな人が仕切ると いろいろあるわよね。 313 00:20:50,683 --> 00:20:52,685 不慣れな人? 314 00:20:52,685 --> 00:20:55,521 去年までやっていた女官が 亡くなったから➡ 315 00:20:55,521 --> 00:20:59,024 今年は 誰が引き継いだのか 心配だったのよ。 316 00:20:59,024 --> 00:21:01,694 えっ? (紅娘)気の利く いい人で➡ 317 00:21:01,694 --> 00:21:03,863 私も お世話になったのよ。 318 00:21:03,863 --> 00:21:07,032 結局 後宮から出られなかったのよね。 319 00:21:07,032 --> 00:21:10,703 実は 先帝のお手付きになった方で➡ 320 00:21:10,703 --> 00:21:14,373 あの集まりが 唯一の楽しみだったそうなのよ。 321 00:21:14,373 --> 00:21:18,043 亡くなった よくとしから 集まりがなくなるのも➡ 322 00:21:18,043 --> 00:21:20,379 いかがなものかと 思っていたから➡ 323 00:21:20,379 --> 00:21:23,916 続けてくれる人がいて よかったわ。 324 00:21:23,916 --> 00:21:28,254 ああ… あっ あっ… あの話…。 325 00:21:28,254 --> 00:21:30,256 あっ! 326 00:21:30,256 --> 00:21:35,161 ((先帝は 年端もいかぬ少女を 選んでは その花を散らし➡ 327 00:21:35,161 --> 00:21:39,999 手折られた少女たちは 外に出ることを許されぬまま…)) 328 00:21:39,999 --> 00:21:45,671 あの女官の話は 己の身の上だったのか。 329 00:21:45,671 --> 00:21:49,775 それとも 事情を知る 誰かのいたずらか。 330 00:21:53,012 --> 00:21:57,349 《世の中 よくわからないことは たくさんあるものだ》 331 00:21:57,349 --> 00:22:03,189 ((こよいは 肝が冷える 13の話を楽しみましょう)) 332 00:22:03,189 --> 00:22:06,025 《あのとき あの場には➡ 333 00:22:06,025 --> 00:22:10,196 年嵩の女官を含めて 12人しかいなかった。 334 00:22:10,196 --> 00:22:15,534 とりあえず 13番目の怪談に ならずに済んでよかった》 335 00:22:15,534 --> 00:22:18,704 おお…。 マッ… 猫猫…。 はい。 336 00:22:18,704 --> 00:22:22,308 (桜花)今晩 一緒に寝て! 337 00:22:24,543 --> 00:22:27,379 (桜花)うっ… うぅ… うっ…。 338 00:22:27,379 --> 00:22:29,882 《背筋が凍るどころか➡ 339 00:22:29,882 --> 00:22:33,018 寝苦しい夜になったのだった》 340 00:22:33,018 --> 00:22:36,989 いっ… うっ うぅ… 何これ? 暑苦しい。 341 00:22:39,692 --> 00:22:57,276 ♬~