1 00:02:13,300 --> 00:02:15,769 (猫猫)う~ん… あった。 2 00:02:17,804 --> 00:02:20,641 ((壬氏:お前 かんざしは着けないのか? 3 00:02:20,641 --> 00:02:22,976 じゃあ それを着けてこい)) 4 00:02:22,976 --> 00:02:26,046 《約束だし しかたない》 5 00:02:28,815 --> 00:02:30,817 (虞淵)ほら 見てごらん 羅門さん。 (毛毛)ミャー。 6 00:02:30,817 --> 00:02:35,756 この子は賢いから 小魚の頭と尾と はらわたは食べないんだよ。 7 00:02:35,756 --> 00:02:39,426 (羅門) この苦みが好きなんですけどね。 8 00:02:39,426 --> 00:02:42,429 《食べ物は無駄にするなと 教えられたが➡ 9 00:02:42,429 --> 00:02:45,432 猫の残り物まで食べるとは…。 10 00:02:45,432 --> 00:02:48,435 一を聞いて 十を知る。 11 00:02:48,435 --> 00:02:51,605 おやじは この国の 最高の医師だと思う。 12 00:02:51,605 --> 00:02:54,441 なのに 花街で貧しく暮らしているのは➡ 13 00:02:54,441 --> 00:02:57,778 おやじには 欲というものがないからだ》 14 00:02:57,778 --> 00:03:00,947 嬢ちゃん さっきから 何を作ってるんだい? 15 00:03:00,947 --> 00:03:03,784 玉葉様の灸に使う もぐさです。 16 00:03:03,784 --> 00:03:07,788 猫猫 ちゃんと 虞淵さんに 断ってから 使いなさい。 17 00:03:07,788 --> 00:03:09,756 うっ… は~い。 18 00:03:11,758 --> 00:03:13,927 おやじは 今日は 書き物? 19 00:03:13,927 --> 00:03:17,597 (羅門) ああ 特に お呼びがないからね。 20 00:03:17,597 --> 00:03:22,102 《おやじが 翡翠宮専属ではなく 医局勤めになったのは➡ 21 00:03:22,102 --> 00:03:24,938 恐らく 壬氏様の計らいだ。 22 00:03:24,938 --> 00:03:30,644 今 後宮には 少なくとも もう1人 帝の御子を宿している方がいる。 23 00:03:30,644 --> 00:03:32,646 梨花様だ。 24 00:03:32,646 --> 00:03:36,216 次の子は 無事に育ってほしい。 25 00:03:36,216 --> 00:03:39,720 そのために まずは 無事に産んでもらいたい。 26 00:03:39,720 --> 00:03:43,724 おやじが 両方 診てくれるなら 安心だな》 27 00:03:43,724 --> 00:03:45,892 そういえば 水晶宮に➡ 28 00:03:45,892 --> 00:03:48,728 新しい侍女たちが 入ったみたいだね。 29 00:03:48,728 --> 00:03:52,232 ほら 前に会った 侍女頭が辞めたあと。 30 00:03:52,232 --> 00:03:54,901 ああ…。 (虞淵)年配の侍女が多くて➡ 31 00:03:54,901 --> 00:03:57,904 急に 宮の雰囲気が落ち着いたってさ。 32 00:03:57,904 --> 00:04:01,742 経験豊富な侍女が増えるのは いいことです。 33 00:04:01,742 --> 00:04:07,080 《後宮には 若い女官が多いが 年配の女官は 極端に少ない。 34 00:04:07,080 --> 00:04:11,084 後宮は 帝の子を産み 育てる場。 35 00:04:11,084 --> 00:04:13,587 なのに それが機能していない。 36 00:04:13,587 --> 00:04:18,425 今の帝の子が何人いるかを 考えれば 改善すべきだ。 37 00:04:18,425 --> 00:04:22,429 この問題点に おやじなら もう気付いていると思うけど…》 38 00:04:22,429 --> 00:04:26,099 うん こんなものかな。 おやじ これは? 39 00:04:26,099 --> 00:04:28,769 (羅門) 今の後宮で気になるところを➡ 40 00:04:28,769 --> 00:04:31,938 まとめてみたんだ。 (虞淵)どれどれ? 41 00:04:31,938 --> 00:04:34,541 羅門さん きれいな字を書くね。 42 00:04:34,541 --> 00:04:36,543 《そこかよ》 43 00:04:36,543 --> 00:04:39,212 でも なんか 子どもっぽい文だね。 44 00:04:39,212 --> 00:04:41,715 威厳が足りないんじゃないかい? 45 00:04:41,715 --> 00:04:44,050 いいんですよ。 ここには まだ➡ 46 00:04:44,050 --> 00:04:47,721 簡単な文や文字しか 読めない者もいますから。 47 00:04:47,721 --> 00:04:52,225 《なるほど。 これは 侍女や下女に読ませたいのか》 48 00:04:52,225 --> 00:04:57,063 どうかな? 見落としはないかね? 足りてると思うけど…。 49 00:04:57,063 --> 00:05:00,400 虞淵さん ご実家に このくらいの大きさの紙は➡ 50 00:05:00,400 --> 00:05:02,402 置いてありますか? 51 00:05:02,402 --> 00:05:07,407 そんな切れ端 溶かして 新しい紙の材料にしてしまうね。 52 00:05:07,407 --> 00:05:10,243 (羅門)では それを 安値で譲っていただくことは➡ 53 00:05:10,243 --> 00:05:13,747 可能でしょうか? (虞淵)うん できると思うよ。 54 00:05:13,747 --> 00:05:18,251 猫猫 最近 手習い所が作られたね? うん。 55 00:05:18,251 --> 00:05:21,588 じゃあ これを 書き取り練習の 手本にできないか➡ 56 00:05:21,588 --> 00:05:24,758 聞いてみてくれないかね? あっ…。 57 00:05:24,758 --> 00:05:28,428 生徒の手を借りて 張り紙を量産するってことか。 58 00:05:28,428 --> 00:05:32,265 今日あたり ちょっと聞いてみる。 うん 頼むよ。 59 00:05:32,265 --> 00:05:37,370 《人も物も無駄にしない 商人のような頭の回りようだ。 60 00:05:37,370 --> 00:05:43,043 どうして その才覚を 自分の生活に生かせないんだか》 61 00:05:43,043 --> 00:05:46,546 じゃあ もぐさも出来たので 戻ります。 62 00:05:46,546 --> 00:05:49,049 翡翠宮用に 消毒用のアルコール➡ 63 00:05:49,049 --> 00:05:51,885 もらっていきますね。 (虞淵)はいよ。 64 00:05:51,885 --> 00:05:56,890 あと 疲労回復に効く物は…。 65 00:05:56,890 --> 00:06:01,561 《最近 玉葉様が 疲れやすいって 言ってたからな》 66 00:06:01,561 --> 00:06:03,563 ミャー! ミャー! 67 00:06:03,563 --> 00:06:05,565 こら 破ける。 (毛毛)ミャー! ミャー! 68 00:06:05,565 --> 00:06:08,235 どうした? 毛毛。 そんなに鳴いて。 69 00:06:08,235 --> 00:06:10,403 (毛毛)ミャー! ミャー! これかな。 70 00:06:10,403 --> 00:06:14,407 ミャー! ミャー! ミャー! ミャー! ミャー! やらないから。 71 00:06:14,407 --> 00:06:18,411 《さて どうしたもんか。 72 00:06:18,411 --> 00:06:20,747 先に 手習い所に行ってみるか。 73 00:06:20,747 --> 00:06:25,418 壬氏様に話を通すとなると 時間がかかるだろうし》 74 00:06:25,418 --> 00:06:27,420 んっ…。 75 00:06:27,420 --> 00:06:30,924 《一応 持ち歩いてはいるけど…。 76 00:06:30,924 --> 00:06:32,892 前に 着けてみたら…》 77 00:06:32,892 --> 00:06:34,894 ((桜花:あ~! そのかんざし➡ 78 00:06:34,894 --> 00:06:37,564 園遊会で 壬氏様に もらった物じゃない? 79 00:06:37,564 --> 00:06:39,733 (貴園)急に着けて どうしたの?)) 80 00:06:39,733 --> 00:06:41,901 《あとでいいや》 81 00:06:44,237 --> 00:06:48,041 これは… 羅門の字だね。 82 00:06:48,041 --> 00:06:50,043 よく おわかりで。 83 00:06:50,043 --> 00:06:52,212 昔 科挙の試験のとき➡ 84 00:06:52,212 --> 00:06:55,715 あやつの字をまねると受かる なんていわれて➡ 85 00:06:55,715 --> 00:06:58,051 皆で まねしたからね。 86 00:06:58,051 --> 00:07:00,887 文官としての才もあったのに➡ 87 00:07:00,887 --> 00:07:04,557 道端の浮浪児が 病気で かわいそうだからといって➡ 88 00:07:04,557 --> 00:07:07,093 医官になるんだから。 89 00:07:07,093 --> 00:07:10,597 実は 今 後宮に戻ってきておりまして。 90 00:07:10,597 --> 00:07:14,100 ほう。 それは 初耳だ。 91 00:07:14,100 --> 00:07:17,103 今日は 小蘭は いないのかね? 92 00:07:17,103 --> 00:07:21,942 最近は 年季明けの心配と 若い宦官の話に夢中で➡ 93 00:07:21,942 --> 00:07:23,943 それどころじゃないようです。 94 00:07:23,943 --> 00:07:26,579 若い宦官ね…。 95 00:07:26,579 --> 00:07:30,083 刺激が少ないとはいえ 騒ぎ立てるのも➡ 96 00:07:30,083 --> 00:07:33,853 どうかと思うんだがね。 どういうことですか? 97 00:07:33,853 --> 00:07:38,191 いや 南側に 若い宦官を置いておくと➡ 98 00:07:38,191 --> 00:07:41,361 女官たちの仕事が おろそかになるからって➡ 99 00:07:41,361 --> 00:07:44,197 北側に 数人 送られてきたんだよ。 100 00:07:44,197 --> 00:07:48,902 診療所の女官は 男手が増えて 助かっているようだけど。 101 00:07:48,902 --> 00:07:50,904 《診療所か…。 102 00:07:50,904 --> 00:07:55,909 深緑様なら 若い宦官を こき使いそうだ》 103 00:07:55,909 --> 00:07:59,245 それで 用というのは? あっ はい。 104 00:07:59,245 --> 00:08:01,748 この 養父が書いた物を手本に➡ 105 00:08:01,748 --> 00:08:05,251 生徒たちに 書き取りの練習を してもらえないかと。 106 00:08:05,251 --> 00:08:07,387 紙は用意します。 107 00:08:07,387 --> 00:08:10,056 ははあ…。 これを書き写させて➡ 108 00:08:10,056 --> 00:08:13,393 あちこち 張ろうってことだね。 ええ。 109 00:08:13,393 --> 00:08:17,263 昔も 似たようなことを書いていたね。 110 00:08:17,263 --> 00:08:20,266 あのときは 羅門1人でやっていたから➡ 111 00:08:20,266 --> 00:08:22,936 つい 私も手伝ってしまったよ。 112 00:08:22,936 --> 00:08:27,407 2人で 後宮中に張る紙を ひたすら書いて…。 113 00:08:27,407 --> 00:08:29,909 あやつも 年を食って➡ 114 00:08:29,909 --> 00:08:34,681 人を うまく使う方法を 覚えたようだね。 115 00:08:34,681 --> 00:08:38,351 以前にも こうして 文にして 張っていたのですか? 116 00:08:38,351 --> 00:08:41,855 ああ 羅門が 医官をしていたころだから➡ 117 00:08:41,855 --> 00:08:44,190 20年以上前だね。 118 00:08:44,190 --> 00:08:47,861 後宮の あちこちに 張られていたよ。 119 00:08:47,861 --> 00:08:51,197 鉛入りのおしろいは使わない。 120 00:08:51,197 --> 00:08:53,199 強い香料は控える。 121 00:08:53,199 --> 00:08:56,369 後宮内の植物を 勝手に採らない。 122 00:08:56,369 --> 00:09:00,373 うん。 内容は そこまで変わらないな。 123 00:09:00,373 --> 00:09:03,043 《これと同じ物が? 124 00:09:03,043 --> 00:09:05,545 なんだ? この違和感》 125 00:09:05,545 --> 00:09:07,714 後ほど 紙を持ってきます! 126 00:09:07,714 --> 00:09:09,716 うん。 127 00:09:09,716 --> 00:09:14,554 《おやじは よかれと思って 注意書きを張ったはずだ。 128 00:09:14,554 --> 00:09:17,223 それは 逆に 悪意ある者に➡ 129 00:09:17,223 --> 00:09:20,894 害をなす物を教えることにもなる。 130 00:09:20,894 --> 00:09:24,898 後宮の人員は ほとんどが 2年の年季で入れ代わる。 131 00:09:24,898 --> 00:09:28,401 妃も また 先帝の崩御で入れ代わっている。 132 00:09:28,401 --> 00:09:32,872 あの当時の張り紙を知っている者 それは…》 133 00:09:32,872 --> 00:09:34,874 失礼します。 134 00:09:34,874 --> 00:09:37,043 (深緑)あら。 んっ! 135 00:09:37,043 --> 00:09:39,546 あなた 翡翠宮の…。 136 00:09:39,546 --> 00:09:41,548 深緑様…。 137 00:09:41,548 --> 00:09:44,517 体調でも悪いの? あっ いえ…。 138 00:09:44,517 --> 00:09:46,519 《切り出すべきだろうか。 139 00:09:46,519 --> 00:09:49,689 でも どうやって…。 あっ…》 140 00:09:49,689 --> 00:09:52,692 あの これ アルコールです。 141 00:09:52,692 --> 00:09:56,196 蒸留した 濃い物なので 消毒にいいかと。 142 00:09:56,196 --> 00:09:58,865 いいのですか? 頂いても。 143 00:09:58,865 --> 00:10:01,367 ええ 多めに作りましたので。 144 00:10:01,367 --> 00:10:04,370 ありがとう。 お茶でも入れるわ。 145 00:10:08,708 --> 00:10:12,879 ところで ここの診療所にいる方は 皆 優秀なのですね。 146 00:10:12,879 --> 00:10:14,881 どういう意味? 147 00:10:14,881 --> 00:10:18,051 後宮の女官は 大体 2年が年季ですが➡ 148 00:10:18,051 --> 00:10:20,720 皆様 長くいらっしゃるようなので。 149 00:10:20,720 --> 00:10:23,389 年増ばかりだもの。 150 00:10:23,389 --> 00:10:26,226 《10代 20代で入ったとして➡ 151 00:10:26,226 --> 00:10:31,231 20年以上 何か 後宮を出られない 理由があるとしたら…》 152 00:10:31,231 --> 00:10:35,568 私たちだって 若かったわよ。 153 00:10:35,568 --> 00:10:39,105 私は 10歳で 後宮に入った。 154 00:10:39,105 --> 00:10:43,443 他の女官たちも それくらいの年で 入れられた人ばかり。 155 00:10:43,443 --> 00:10:48,781 《今の後宮では そこまで若い娘を 女官にすることはない。 156 00:10:48,781 --> 00:10:51,284 だが 先帝の時代は…》 157 00:10:51,284 --> 00:10:56,956 ((先帝は 年端もいかぬ少女を 選んでは その花を散らし➡ 158 00:10:56,956 --> 00:10:59,125 手折られた少女たちは➡ 159 00:10:59,125 --> 00:11:01,961 外に出ることを許されぬまま…)) 160 00:11:01,961 --> 00:11:04,097 《皇帝のお手付きとなれば➡ 161 00:11:04,097 --> 00:11:07,267 ただの女官でも 後宮を出ることはできない》 162 00:11:07,267 --> 00:11:11,271 私たちは 誰も迎えに来てくれないから。 163 00:11:11,271 --> 00:11:15,275 今も これからも ずっと…。 164 00:11:15,275 --> 00:11:18,444 《ああ そうか。 165 00:11:18,444 --> 00:11:26,286 後宮に 帝に そして 帝から 寵を得る妃たちに…。 166 00:11:26,286 --> 00:11:28,788 巣食っていた悪意は ここにあった》 167 00:11:30,823 --> 00:11:35,228 《深緑は 以前 水晶宮で 病に倒れた下女を心配し➡ 168 00:11:35,228 --> 00:11:37,564 診るように頼んできた。 169 00:11:37,564 --> 00:11:42,402 あのときは よく気の付く女官だと 思った。 だが…。 170 00:11:42,402 --> 00:11:45,238 水晶宮の侍女頭である杏に➡ 171 00:11:45,238 --> 00:11:49,409 堕胎剤の作り方を教えたのは 深緑ではないだろうか。 172 00:11:49,409 --> 00:11:53,079 直接ではなく あの 病に伏せていた下女を➡ 173 00:11:53,079 --> 00:11:55,915 使ったとしたら…》 174 00:11:55,915 --> 00:11:59,752 ((思思:せきが止まらなくて…。 (せき) 175 00:11:59,752 --> 00:12:01,754 見せてごらん。 176 00:12:01,754 --> 00:12:04,757 あの… うつる病でしょうか? 177 00:12:04,757 --> 00:12:06,759 (深緑)何か 気になることでも? 178 00:12:06,759 --> 00:12:09,762 梨花様に うつしたくないんです。 179 00:12:09,762 --> 00:12:13,433 もしかしたら ご懐妊されてるかもしれなくて。 180 00:12:13,433 --> 00:12:15,435 へぇ…。 181 00:12:15,435 --> 00:12:20,106 これを 侍女頭の杏様に渡して。 なんですか? 182 00:12:20,106 --> 00:12:22,275 妊婦に害がある物だ。 183 00:12:22,275 --> 00:12:25,612 合わせると 堕胎剤の材料になる物もある。 184 00:12:25,612 --> 00:12:29,616 きっと 梨花様のためになるよ)) 185 00:12:29,616 --> 00:12:31,784 《避けるべき物は➡ 186 00:12:31,784 --> 00:12:36,923 悪意ある者に 何が毒なのかを 教えることにもなる。 187 00:12:36,923 --> 00:12:39,259 折よく 隊商が来て➡ 188 00:12:39,259 --> 00:12:41,928 その材料になる物が 売られていれば➡ 189 00:12:41,928 --> 00:12:45,765 手にしないわけがない。 190 00:12:45,765 --> 00:12:47,767 なぜ 売っていたのか。 191 00:12:47,767 --> 00:12:50,770 診療所の女官たちが この香が欲しいと➡ 192 00:12:50,770 --> 00:12:53,606 商人に吹き込んだのかもしれない。 193 00:12:53,606 --> 00:12:57,610 これまでのこと すべてに 関わっていたかは わからない。 194 00:12:57,610 --> 00:12:59,946 殺意とまでいかない悪意が➡ 195 00:12:59,946 --> 00:13:04,717 少しずつ 後宮内を むしばみ 巣食っていたのだろう》 196 00:13:07,287 --> 00:13:09,622 《問い詰めるべきか…》 197 00:13:09,622 --> 00:13:11,791 どうしたんです? 198 00:13:11,791 --> 00:13:13,793 なんでもありません。 199 00:13:13,793 --> 00:13:16,796 そう ならいいですけど。 200 00:13:16,796 --> 00:13:19,132 《いや… やめよう。 201 00:13:19,132 --> 00:13:23,303 証拠も証言もないし 曖昧なことは言いたくない。 202 00:13:23,303 --> 00:13:27,307 ここは 病にかかった女官たちが 頼れる 唯一の場所だ。 203 00:13:27,307 --> 00:13:29,308 なくなるのは避けたい。 204 00:13:29,308 --> 00:13:32,912 私に できるのは 診療所に巣食う悪意が➡ 205 00:13:32,912 --> 00:13:36,082 他に及ぶ前に 摘み取ることくらいか》 206 00:13:36,082 --> 00:13:40,086 あの…。 すみません お邪魔しました。 207 00:13:40,086 --> 00:13:42,088 んっ…。 208 00:13:42,088 --> 00:13:45,258 (深緑)もし 気になる本があれば 持っていっていいわよ。 209 00:13:45,258 --> 00:13:47,927 ただ ちゃんと返してね。 210 00:13:47,927 --> 00:13:50,430 たくさんありますね。 211 00:13:50,430 --> 00:13:54,100 (深緑)その本棚 たまに 本が増えてるのよね。 212 00:13:54,100 --> 00:13:56,602 返してくれるだけでいいのに。 213 00:13:56,602 --> 00:13:59,605 ずいぶん立派な 虫の図説ですね。 214 00:13:59,605 --> 00:14:02,942 (深緑)ああ それも いつの間にか 置いてあったのよね。 215 00:14:02,942 --> 00:14:05,712 ひとつき前くらいかしら。 216 00:14:08,281 --> 00:14:10,283 これは…。 217 00:14:10,283 --> 00:14:12,952 《ひとつきというと 特使を迎えての➡ 218 00:14:12,952 --> 00:14:16,122 うたげがあったあとだ。 そういえば…》 219 00:14:16,122 --> 00:14:18,124 ((子翠:ここ ほんと すごいよね。 220 00:14:18,124 --> 00:14:21,294 図鑑でしか見たことない虫が いっぱい!)) 221 00:14:21,294 --> 00:14:24,964 《この図説… 子翠が持ってきたのか? 222 00:14:24,964 --> 00:14:29,435 でも こんな貴重な本 下女の身で持てるだろうか? 223 00:14:29,435 --> 00:14:35,875 子翠が虫の絵を描いていたとき 紙の帳面を使っていた。 224 00:14:35,875 --> 00:14:38,211 それに 字も読める。 225 00:14:38,211 --> 00:14:40,213 なんで 下女をやってるんだ?》 226 00:14:42,215 --> 00:14:45,051 深緑 そいつには 気を付けたほうがいい。 227 00:14:45,051 --> 00:14:48,388 (深緑/猫猫)あっ! 《男にしては 高い声。 228 00:14:48,388 --> 00:14:51,057 女にしては 低い声。 229 00:14:51,057 --> 00:14:53,559 男にしては 背が低く➡ 230 00:14:53,559 --> 00:14:56,229 女にしては 背が高い。 231 00:14:56,229 --> 00:15:02,735 女官たちが 黄色い声を上げるのに ふさわしい 美貌の持ち主》 232 00:15:02,735 --> 00:15:05,938 んっ… 翠苓。 233 00:15:08,241 --> 00:15:10,743 深緑 そいつは お前が何をしたか➡ 234 00:15:10,743 --> 00:15:14,413 さっきの会話で察しているぞ。 ハッ! 235 00:15:14,413 --> 00:15:16,916 相変わらず 勘が働くな。 236 00:15:16,916 --> 00:15:19,752 おかげで 私は 死体に なり損ねた。 237 00:15:19,752 --> 00:15:21,754 《叫ぶか? それとも➡ 238 00:15:21,754 --> 00:15:24,757 アルコールのとっくりを投げつけた隙に 逃げるか?》 239 00:15:24,757 --> 00:15:28,094 余計なことはしないほうがいい。 動けば 刺す。 240 00:15:28,094 --> 00:15:32,098 ここで私を始末したところで すぐ見つかりますよ。 241 00:15:32,098 --> 00:15:36,035 できれば 穏便に済ませたい。 242 00:15:36,035 --> 00:15:39,539 あっ… よみがえりの薬の後遺症ですか? 243 00:15:39,539 --> 00:15:42,208 中祀で暗殺未遂のあと➡ 244 00:15:42,208 --> 00:15:47,880 あなたは 毒をあおって 死んだ… ように見せかけた。 245 00:15:47,880 --> 00:15:51,384 薬を使って しばらく 仮死状態になった影響が➡ 246 00:15:51,384 --> 00:15:53,386 残ってしまったんですね。 247 00:15:53,386 --> 00:15:55,388 それが どうした? 248 00:15:55,388 --> 00:15:57,723 こちらの目的を言おうか。 249 00:15:57,723 --> 00:16:00,560 聞くと思いますか? 聞いてもらう。 250 00:16:00,560 --> 00:16:03,062 うっ うっ…。 251 00:16:03,062 --> 00:16:05,064 子翠! 《やっぱり➡ 252 00:16:05,064 --> 00:16:07,400 さっきの図説の持ち主は 子翠》 253 00:16:07,400 --> 00:16:09,902 ごめん 猫猫。 254 00:16:09,902 --> 00:16:12,405 この娘が どうなってもいいのか? うっ うっ…。 255 00:16:12,405 --> 00:16:14,574 あっ… 何をすれば…。 256 00:16:14,574 --> 00:16:16,909 後宮を 一緒に出てもらいたい。 257 00:16:16,909 --> 00:16:20,413 後宮を出る? そんなこと…。 258 00:16:20,413 --> 00:16:25,017 できる。 それに お前は 絶対 私についてくる。 259 00:16:27,253 --> 00:16:29,422 (翠苓)よみがえりの薬。 260 00:16:29,422 --> 00:16:32,024 作り方を知りたくないか? 261 00:16:35,228 --> 00:16:38,064 《なんてこと 言いやがる。 262 00:16:38,064 --> 00:16:41,434 やはり 翠苓は侮れない》 263 00:16:45,538 --> 00:16:49,375 <宮中には 東西に 2匹の獣がいる。 264 00:16:49,375 --> 00:16:53,212 東に軍部があることから 武官に1匹。 265 00:16:53,212 --> 00:16:56,883 西の代名詞である文官に もう1匹。 266 00:16:56,883 --> 00:16:59,218 つまり 大尉…。 267 00:16:59,218 --> 00:17:03,055 軍部の高官である羅漢が 東の狐。 268 00:17:03,055 --> 00:17:05,391 先帝の代からの重鎮であり➡ 269 00:17:05,391 --> 00:17:09,896 子北州を治める子昌が 西の狸である> 270 00:17:09,896 --> 00:17:11,898 (馬閃)なんの ご用でしょう? 271 00:17:11,898 --> 00:17:15,067 (羅漢)いや なに…。 皇弟が ひとつきぶりに➡ 272 00:17:15,067 --> 00:17:17,403 朝議に参加されておりますから➡ 273 00:17:17,403 --> 00:17:20,406 このあと 茶でも どうかと思いまして。 274 00:17:20,406 --> 00:17:25,077 せっかくの機会ですから 子昌殿も ご一緒に いかがかと。 275 00:17:25,077 --> 00:17:27,914 (子昌)フフッ 私もですか。 276 00:17:27,914 --> 00:17:31,717 特に おもしろい茶飲み話は ありませんぞ。 んっ? 277 00:17:34,020 --> 00:17:36,856 つきあうと言っておられます。 278 00:17:36,856 --> 00:17:40,159 では 中庭にでも参りましょうか。 279 00:17:42,194 --> 00:17:45,731 (羅漢)すっかり 秋めいてまいりましたな。 280 00:17:45,731 --> 00:17:50,503 銀杯を用意しました。 毒味の必要はございませんぞ。 281 00:17:58,578 --> 00:18:00,580 美味だと言っておられます。 282 00:18:00,580 --> 00:18:06,419 フフフフ…。 羅漢殿 何か 話があるのでは? 283 00:18:06,419 --> 00:18:11,424 先日 子北州で 皇弟の 暗殺未遂がありましたでしょう。 284 00:18:11,424 --> 00:18:17,597 その調査で おもしろい物が 手に入りましてな。 285 00:18:17,597 --> 00:18:20,433 これは… 飛発の設計図? 286 00:18:20,433 --> 00:18:25,071 これが何か ご存じですかな? 子昌殿。 287 00:18:25,071 --> 00:18:28,407 はぁ… なんですかな? これは。 288 00:18:28,407 --> 00:18:33,012 犯人たちが所持していた凶器です。 そうですよね? 289 00:18:33,012 --> 00:18:35,181 んっ! (せきばらい) 290 00:18:35,181 --> 00:18:37,516 (馬閃)失礼。 続けてください。 フフッ…。 291 00:18:37,516 --> 00:18:41,354 これは 解体して 図に起こしたものですが➡ 292 00:18:41,354 --> 00:18:43,689 西方の最新式のようでしてね。 293 00:18:43,689 --> 00:18:49,195 ここ 撃鉄の先に 火縄ではなく 火打ち石が付いていまして。 294 00:18:49,195 --> 00:18:53,032 不発も少なく 構造も 案外 簡単だ。 295 00:18:53,032 --> 00:18:56,202 それは 大層な物ですな。 296 00:18:56,202 --> 00:19:02,375 ええ 大量に作ることができれば 戦が がらりと変わるでしょうな。 297 00:19:02,375 --> 00:19:05,878 より密集した陣形も取れるし 移動もしやすい。 298 00:19:05,878 --> 00:19:11,550 それを 皇弟の命を狙うような 不届きな者が持つとは。 299 00:19:11,550 --> 00:19:16,055 あやつらは どうやって これを手に入れたんですかね? 300 00:19:19,558 --> 00:19:21,560 (子昌)さあ…。 301 00:19:23,729 --> 00:19:27,566 それを調べるのも そちらの役目でしょう。 302 00:19:27,566 --> 00:19:32,071 あっ そうなんですが いや~ 困ったものでして…。 303 00:19:32,071 --> 00:19:35,508 担当部署の者が 加減を間違えたようで➡ 304 00:19:35,508 --> 00:19:38,177 何もしゃべれなく なってしまいました。 305 00:19:38,177 --> 00:19:42,681 《んっ! 皇族の暗殺を企てた者に 容赦ないとはいえ➡ 306 00:19:42,681 --> 00:19:46,519 拷問の加減を間違えたとは 多大な損失だ》 307 00:19:46,519 --> 00:19:49,355 それで… 何か それらしい話を➡ 308 00:19:49,355 --> 00:19:52,691 聞いたことはありませんかな? 子昌殿。 309 00:19:52,691 --> 00:19:56,362 知っていることがあれば とうに報告しておるよ。 310 00:19:56,362 --> 00:19:59,365 そうですか 残念だ。 311 00:19:59,365 --> 00:20:03,869 では 本題に移りますか。 312 00:20:03,869 --> 00:20:07,873 これは 昨日 妻と打った 碁の棋譜でしてな。 313 00:20:07,873 --> 00:20:10,376 つっ… 妻ですか。 314 00:20:10,376 --> 00:20:14,046 そういえば ご結婚されたのでしたな 羅漢殿。 315 00:20:14,046 --> 00:20:16,048 ええ! 316 00:20:16,048 --> 00:20:20,386 七日七晩 お祭り騒ぎだったと 聞いておりますぞ。 317 00:20:20,386 --> 00:20:23,556 そんなことまで ご存じでしたか。 318 00:20:23,556 --> 00:20:26,559 いや~ 頭の切れる妻でしてな➡ 319 00:20:26,559 --> 00:20:29,562 これが 研ぎ澄まされた やいばのような筋で➡ 320 00:20:29,562 --> 00:20:32,231 打っている間 何度 ゾクゾクしたことか! 321 00:20:32,231 --> 00:20:35,067 ほら この手! なんとか避けきっても➡ 322 00:20:35,067 --> 00:20:37,570 また次の一手で攻めてくる。 323 00:20:37,570 --> 00:20:40,906 《いつまで続くんだ? この話》 324 00:20:40,906 --> 00:20:45,411 これは…。 失礼だが 仕事があるので このあたりで。 325 00:20:45,411 --> 00:20:49,081 馳走になりましたな。 おや それは残念。 326 00:20:49,081 --> 00:20:51,417 では あとで 棋譜の写しと➡ 327 00:20:51,417 --> 00:20:54,587 実況を描いた冊子を 届けさせましょう。 328 00:20:54,587 --> 00:20:56,589 いや そこまでは…。 329 00:20:56,589 --> 00:20:58,591 遠慮なさらず。 330 00:20:58,591 --> 00:21:02,595 そうだ ついでに 葡萄のジュースも いかがです? 331 00:21:02,595 --> 00:21:07,600 はりの杯に注ぐと 赤が映えますぞ。 332 00:21:07,600 --> 00:21:09,602 んっ? 333 00:21:09,602 --> 00:21:11,771 確かに 美しいですな。 334 00:21:11,771 --> 00:21:14,940 んっ! でしょう。 335 00:21:14,940 --> 00:21:17,443 あなたとは 話が合いそうだ。 336 00:21:17,443 --> 00:21:20,279 妻の話など ぜひ ゆっくりしたい。 337 00:21:20,279 --> 00:21:22,982 また いずれ。 では。 338 00:21:26,452 --> 00:21:30,656 (羅漢)このジュース 珍しい色をしているだろう? 339 00:21:30,656 --> 00:21:35,227 世の中には 緑色の葡萄も存在する。 340 00:21:35,227 --> 00:21:38,564 《どう見ても 赤ではなく 緑だ。 341 00:21:38,564 --> 00:21:43,402 赤と言われたのに 子昌殿は なぜ 何も反応しなかったんだ?》 342 00:21:43,402 --> 00:21:46,906 あ~ 叔父貴の言ったとおりだ。 343 00:21:51,577 --> 00:21:54,246 髪を整えてかまわないかな? 344 00:21:54,246 --> 00:21:58,918 どうぞ。 人が来ぬように 私も 見張っておりますので ご安心を。 345 00:21:58,918 --> 00:22:01,520 ようやく 覆面を外せる。 346 00:22:05,758 --> 00:22:07,760 ハァ…。 347 00:22:07,760 --> 00:22:11,764 上げ底の靴というのも 疲れるものだ。 348 00:22:11,764 --> 00:22:14,266 こたびは 無理を申し上げて…。 349 00:22:14,266 --> 00:22:18,103 なに 東宮の身代わりなど そうできることではない。 350 00:22:18,103 --> 00:22:20,105 楽しませてもらったよ。 351 00:22:20,105 --> 00:22:24,109 《こうして見ると 美形の文官にしか見えない。 352 00:22:24,109 --> 00:22:28,447 これが まさか 元上級妃の阿多様とは》 353 00:22:28,447 --> 00:22:31,951 狐が変人すぎて 狸が普通に見えた。 354 00:22:31,951 --> 00:22:35,221 軍師殿にかなう方は そうは いません。 355 00:22:35,221 --> 00:22:37,389 嫁には甘いようだな。 356 00:22:37,389 --> 00:22:39,592 娘にも甘いそうです。 357 00:22:39,592 --> 00:22:42,595 《あいつが 軍師殿の娘だなんて…》 358 00:22:42,595 --> 00:22:46,098 その娘の件で 対応に追われているのだろう? 359 00:22:46,098 --> 00:22:48,067 宦官 壬氏殿は。 360 00:22:50,069 --> 00:22:53,572 (阿多)まさか 行方不明になるとはな…。