1 00:00:00,501 --> 00:00:06,924 ♪~ 2 00:01:24,084 --> 00:01:29,924 ~♪ 3 00:01:37,097 --> 00:01:39,850 (侍女) もうすぐ あの棟は取り壊されます 4 00:01:40,768 --> 00:01:43,187 それまでに 調べていただきたいのです 5 00:01:43,270 --> 00:01:45,815 安氏(アンシ)様のおっしゃる呪い… 6 00:01:46,315 --> 00:01:50,402 つまり 先帝のご遺体が 生前と変わらぬままだった― 7 00:01:50,486 --> 00:01:52,196 その理由を 8 00:01:54,365 --> 00:01:56,867 (猫猫(マオマオ))先帝が みまかられて6年 9 00:01:56,951 --> 00:02:01,664 かつて過ごしていた棟がなくなれば 思い出させるものは墓所くらいか 10 00:02:02,248 --> 00:02:06,502 謎が そのままになれば 安氏様の気持ちも晴れないだろう 11 00:02:06,585 --> 00:02:07,962 分かりました 12 00:02:08,045 --> 00:02:10,256 ただし ひとつお願いがあります 13 00:02:10,339 --> 00:02:11,590 (侍女)お願い? 14 00:02:11,674 --> 00:02:13,759 (猫猫)先帝が 住まわれていたという― 15 00:02:13,843 --> 00:02:16,679 先ほどの部屋に 入ることはできますか? 16 00:02:18,180 --> 00:02:20,391 (侍女)お許しをいただきます 17 00:02:22,810 --> 00:02:25,354 (猫猫)帝(みかど)の許しを 得てという話だが 18 00:02:25,437 --> 00:02:29,024 皇太后様が間に入れば 問題はないはず 19 00:02:29,108 --> 00:02:33,279 (水蓮(スイレン))猫猫 寝台 用意できたわよ 20 00:02:33,362 --> 00:02:35,948 (猫猫) ありがとうございます 水蓮様 21 00:02:36,031 --> 00:02:37,700 お部屋を貸していただいて 22 00:02:37,783 --> 00:02:39,910 (水蓮)いいのよ 気にしないで 23 00:02:40,703 --> 00:02:42,913 (猫猫) 案外 かわいらしい趣味だよな 24 00:02:42,997 --> 00:02:44,874 カウチでもよかったのですが 25 00:02:44,957 --> 00:02:47,418 私が気を遣うのよ 26 00:02:47,501 --> 00:02:49,628 こちらの棟は久しぶりよね 27 00:02:49,712 --> 00:02:52,131 ゆっくり休んでちょうだい 28 00:02:52,214 --> 00:02:53,173 (猫猫)はい 29 00:02:53,966 --> 00:02:57,052 最近は ずっと翡翠(ひすい)宮だったもんな 30 00:02:57,136 --> 00:03:00,139 正直 今夜は 帰らずに済んで助かった 31 00:03:00,723 --> 00:03:04,226 紅娘(ホンニャン)様に会ったら どんな反応をされたやら 32 00:03:04,310 --> 00:03:07,062 むしろ 今までが 甘かったほうだけど 33 00:03:07,688 --> 00:03:12,693 どこの宮付きか はっきりせず よその宮にも顔を出す女官なんて 34 00:03:12,776 --> 00:03:15,905 侍女頭からすれば 好ましいはずがない 35 00:03:20,701 --> 00:03:25,122 私自身 自分の立場が よく分からない時がある 36 00:03:26,373 --> 00:03:29,001 ろうそくで読書なんて贅沢(ぜいたく)だな 37 00:03:29,084 --> 00:03:30,377 (水蓮)あ… 38 00:03:30,461 --> 00:03:32,504 猫猫も何か読む? 39 00:03:32,588 --> 00:03:35,424 奥の部屋から探してきていいわよ 40 00:03:38,677 --> 00:03:40,179 (猫猫)本は貴重だ 41 00:03:40,262 --> 00:03:42,723 読める機会に読んでおかないと 42 00:03:42,806 --> 00:03:45,059 趣味の合う本があるといいけど 43 00:03:46,477 --> 00:03:48,562 (女性)アハハハハッ… (男性)待て~ 44 00:03:49,897 --> 00:03:52,566 (猫猫)水蓮様 結構 若いな 45 00:03:58,697 --> 00:03:59,698 (水蓮)気になるの? (猫猫)うわっ! 46 00:04:00,282 --> 00:04:01,325 (猫猫)あっ ご… ご安心を 47 00:04:01,408 --> 00:04:03,160 盗もうなどと考えておりません 48 00:04:03,243 --> 00:04:04,703 (水蓮)分かってるわよ 49 00:04:06,622 --> 00:04:08,332 (猫猫)子供のおもちゃですか? 50 00:04:08,415 --> 00:04:12,378 (水蓮)ええ 壬氏(ジンシ)様のお気に入りたちよ 51 00:04:12,461 --> 00:04:15,297 猫猫は 壬氏様をどう思う? 52 00:04:15,381 --> 00:04:16,423 (猫猫)え… 53 00:04:16,507 --> 00:04:18,342 いい上司だと思います 54 00:04:19,009 --> 00:04:21,095 珍しい薬をくれる点では 55 00:04:21,679 --> 00:04:23,055 何か含んでない? 56 00:04:23,138 --> 00:04:24,515 (猫猫)ううう… 57 00:04:24,598 --> 00:04:26,266 まあ いいわ 58 00:04:26,350 --> 00:04:28,352 これでばかり遊ぶから 59 00:04:28,435 --> 00:04:31,772 壬氏様から こっそり隠したものなの 60 00:04:31,855 --> 00:04:32,773 でも そうなると 61 00:04:32,856 --> 00:04:34,942 手がつけられないくらい 泣いてしまって 62 00:04:34,942 --> 00:04:35,484 手がつけられないくらい 泣いてしまって 63 00:04:34,942 --> 00:04:35,484 (幼い壬氏の泣き声) 64 00:04:35,484 --> 00:04:35,567 (幼い壬氏の泣き声) 65 00:04:35,567 --> 00:04:36,860 (幼い壬氏の泣き声) 66 00:04:35,567 --> 00:04:36,860 (高順(ガオシュン))あ… ああ… 67 00:04:36,860 --> 00:04:37,778 (幼い壬氏の泣き声) 68 00:04:37,778 --> 00:04:39,571 (幼い壬氏の泣き声) 69 00:04:37,778 --> 00:04:39,571 他にも おもちゃはございますよ 70 00:04:39,655 --> 00:04:41,991 (幼い壬氏)嫌だ! あれがいい 71 00:04:42,074 --> 00:04:44,576 あれじゃないと やだ! 72 00:04:44,660 --> 00:04:45,494 (幼い壬氏の泣き声) 73 00:04:45,494 --> 00:04:48,038 (幼い壬氏の泣き声) 74 00:04:45,494 --> 00:04:48,038 (水蓮) 新しいおもちゃを持ってきては 75 00:04:48,122 --> 00:04:49,790 どうにかしようと 高順が 76 00:04:49,873 --> 00:04:51,875 苦労していたわ 77 00:04:51,959 --> 00:04:53,585 どうして 取り上げたのですか? 78 00:04:54,169 --> 00:04:58,298 ひとつのものに執着すると そればかり見てしまう 79 00:04:59,008 --> 00:05:02,803 それが許される立場に 生まれた人ではないからよ 80 00:05:03,429 --> 00:05:04,847 嫌でも 背伸びして 81 00:05:04,930 --> 00:05:07,599 大きくなってもらわなくては いけなかった 82 00:05:08,225 --> 00:05:12,104 それが 壬氏様の母君の 願いだったから 83 00:05:12,980 --> 00:05:14,898 (猫猫)母君の… 84 00:05:14,982 --> 00:05:19,111 抑圧された環境で育つと 心に影響を受けると聞く 85 00:05:20,571 --> 00:05:23,073 だんだん見せるようになった 子供っぽい部分 86 00:05:23,782 --> 00:05:27,119 あれも 壬氏様の 本質のひとつなんだろう 87 00:05:28,328 --> 00:05:31,957 それでいて周りからは 麗しの宦官(かんがん)扱い 88 00:05:32,041 --> 00:05:34,001 おかしな話だ 89 00:05:34,084 --> 00:05:35,169 あ… 90 00:05:39,423 --> 00:05:40,382 この絵は… 91 00:05:40,466 --> 00:05:43,093 (水蓮)あら こんなところに 92 00:05:43,635 --> 00:05:45,804 捨てろと言われていたのに 93 00:05:46,388 --> 00:05:47,973 (猫猫)何だったんだ? 94 00:05:49,266 --> 00:05:51,185 あっ… 触ってもいいですか? 95 00:05:52,436 --> 00:05:54,146 いいわよ 96 00:05:57,733 --> 00:05:59,109 (猫猫)あ… 97 00:05:59,902 --> 00:06:01,695 ただの小石よ 98 00:06:01,779 --> 00:06:04,698 一体 どこで 拾ってきたのかしらね 99 00:06:04,782 --> 00:06:06,658 (猫猫) すぐに取り上げたのですか? 100 00:06:06,742 --> 00:06:10,370 ええ 拾った石なんて 清潔じゃないでしょ 101 00:06:11,080 --> 00:06:12,372 (猫猫)正解です 102 00:06:14,458 --> 00:06:15,501 毒ですから 103 00:06:16,043 --> 00:06:17,294 (水蓮)どういうこと? 104 00:06:17,377 --> 00:06:19,463 (猫猫) それは こちらが聞きたいです 105 00:06:19,546 --> 00:06:21,548 なぜ こんなものが落ちていたのか 106 00:06:26,470 --> 00:06:30,182 壬氏様は幼い頃 内廷に入ることがありましたか? 107 00:06:30,265 --> 00:06:33,143 え… ええ 多少は 108 00:06:33,227 --> 00:06:36,063 でも それが どうしたというの? 109 00:06:36,146 --> 00:06:37,898 今は何も言えません 110 00:06:38,607 --> 00:06:40,609 ひとつの仮説がある 111 00:06:40,692 --> 00:06:42,402 けれど 証拠がない 112 00:06:43,195 --> 00:06:44,488 水蓮様 113 00:06:44,571 --> 00:06:47,366 明日になれば 皇太后様の言う呪い… 114 00:06:47,991 --> 00:06:51,370 先帝のご遺体が腐らなかった理由も はっきりします 115 00:06:51,954 --> 00:06:54,206 それまで お待ちいただけますか? 116 00:07:00,045 --> 00:07:02,381 (猫猫)いつの間にか 壬氏様まで 117 00:07:02,464 --> 00:07:05,884 あまり大げさに したくなかったんだけど 118 00:07:14,393 --> 00:07:16,270 鼻につくにおい… 119 00:07:16,353 --> 00:07:18,272 カビのにおいだけではなさそうだ 120 00:07:24,111 --> 00:07:26,905 穂先が平たくそろえられた筆 121 00:07:26,989 --> 00:07:28,532 やはり これは… 122 00:07:29,241 --> 00:07:32,411 先帝は絵を描く趣味が あったのでしょうか? 123 00:07:34,329 --> 00:07:37,457 (安氏)一度だけ 描いていただいたことがあります 124 00:07:38,750 --> 00:07:41,795 ここだけの秘密だと おっしゃっていました 125 00:07:41,879 --> 00:07:45,716 皆に知られたら 取り上げられてしまうからと 126 00:07:46,800 --> 00:07:48,510 (猫猫)動揺している? 127 00:07:48,594 --> 00:07:49,803 壬氏様の癖だ 128 00:07:50,387 --> 00:07:53,265 本人は 冷静を装ってるつもりだろうけど 129 00:07:54,099 --> 00:07:58,270 先帝については詳しく知らないし 知りたいとも思わない 130 00:07:58,353 --> 00:08:01,940 だが 呪いの正体を暴くには 証拠が要る 131 00:08:07,070 --> 00:08:10,282 先帝は ずっと この部屋で 絵を描かれていましたか? 132 00:08:10,365 --> 00:08:12,367 それは分かりませんが 133 00:08:12,451 --> 00:08:15,370 先帝が この部屋に こもるようになってからは 134 00:08:15,454 --> 00:08:17,289 同じ者がついていたはずです 135 00:08:17,372 --> 00:08:19,249 その方を呼べますか? 136 00:08:19,333 --> 00:08:22,502 (侍女)たしか まだ 働いていたと思いますが 137 00:08:22,586 --> 00:08:23,962 (高順)呼びましょう 138 00:08:27,132 --> 00:08:28,508 (猫猫)触ってもいいですか? 139 00:08:28,592 --> 00:08:29,760 (安氏)どうぞ 140 00:08:33,096 --> 00:08:34,765 (猫猫)思ったより固い 141 00:08:34,848 --> 00:08:35,766 (においを嗅ぐ音) 142 00:08:35,849 --> 00:08:38,268 (猫猫) それに 独特なにおいもする 143 00:08:38,352 --> 00:08:41,063 床には半透明のかけら 144 00:08:41,146 --> 00:08:44,274 必死に拭き取ろうとしたような 汚れもある 145 00:08:44,358 --> 00:08:46,276 そして その汚れは 146 00:08:46,360 --> 00:08:49,071 壁に近づくほど増えている 147 00:08:52,115 --> 00:08:54,493 あっ… 軟らかい 148 00:08:54,576 --> 00:08:57,496 分厚い紙を 何重にも貼っているのか 149 00:08:58,247 --> 00:09:01,750 頑丈にするためか 表面に塗料も塗られている 150 00:09:02,376 --> 00:09:05,170 呪いには おおかた見当がついていたけど 151 00:09:05,254 --> 00:09:08,715 もうひとつ どうでもいいことが 分かりそうだ 152 00:09:08,799 --> 00:09:10,217 (侍女)連れてきました 153 00:09:12,302 --> 00:09:13,220 あなたは… 154 00:09:17,724 --> 00:09:20,352 (猫猫)やんごとなきお人の 部屋を任されるには 155 00:09:20,435 --> 00:09:23,063 かなり高齢に見えるけど 156 00:09:23,146 --> 00:09:24,815 お聞きしたいことがあるのですが 157 00:09:25,983 --> 00:09:27,985 この人は元奴隷です 158 00:09:28,068 --> 00:09:29,653 また しゃべれません 159 00:09:29,736 --> 00:09:31,530 分かりました 160 00:09:31,613 --> 00:09:32,864 そういうことか 161 00:09:33,782 --> 00:09:38,120 口がきけない人を選んで 使用人にすることは ままある 162 00:09:38,203 --> 00:09:42,374 常に人の目にさらされる やんごとなき方なら なおさらだ 163 00:09:42,457 --> 00:09:45,460 では 首を振るだけで かまいません 164 00:09:45,544 --> 00:09:48,422 この部屋に絵などは ありませんでしたか? 165 00:09:50,173 --> 00:09:52,175 何かあったと思いますが 166 00:09:53,176 --> 00:09:56,930 小娘の話など 聞く耳はないということか? 167 00:09:58,765 --> 00:09:59,933 いや 違う 168 00:10:00,934 --> 00:10:02,894 何かを隠している? 169 00:10:05,731 --> 00:10:07,274 壁に何かあるのですか? 170 00:10:11,403 --> 00:10:13,572 この壁紙 剥いでもいいでしょうか 171 00:10:15,365 --> 00:10:17,784 やめろとでも言わんばかりだな 172 00:10:19,119 --> 00:10:19,995 (安氏)かまわないわ 173 00:10:20,996 --> 00:10:23,457 どうせ 壊されるのだもの 174 00:10:23,540 --> 00:10:25,709 それで何か分かるならば 175 00:10:34,468 --> 00:10:36,261 慎重に… 176 00:10:39,473 --> 00:10:40,640 (2人)あ… 177 00:10:51,318 --> 00:10:52,486 (猫猫)この絵… 178 00:10:52,569 --> 00:10:54,196 (壬氏)何だ? それは 179 00:10:54,780 --> 00:10:57,324 先帝が描かれたものでしょう 180 00:10:57,407 --> 00:11:00,118 先帝の人間性に興味はない 181 00:11:00,202 --> 00:11:02,746 ただ 国の頂に立ったために 182 00:11:02,829 --> 00:11:05,707 本当の才能を生かすことなく 亡くなったのだろう 183 00:11:07,042 --> 00:11:09,711 それだけの力が この絵にはある 184 00:11:10,629 --> 00:11:13,423 この女性が着ている衣の色 185 00:11:13,507 --> 00:11:17,969 これは 雄黄(ゆうおう)という石を 砕いて作った絵の具だと思います 186 00:11:20,472 --> 00:11:23,308 雄黄は 砒毒(ひどく)と同じ毒性を 持っています 187 00:11:24,017 --> 00:11:28,188 そして 砒毒には 物を腐りにくくする作用があります 188 00:11:30,774 --> 00:11:34,444 最初は 壁紙か何かに使われた雄黄を 189 00:11:34,528 --> 00:11:35,862 知らず知らずのうちに 190 00:11:35,946 --> 00:11:39,074 体に取り込んでいたのではと 考えていました 191 00:11:39,741 --> 00:11:42,869 ですが この部屋にある 筆の形状を見て 192 00:11:42,953 --> 00:11:45,455 違う可能性が出てきました 193 00:11:46,039 --> 00:11:49,167 雄黄をもとにした顔料を 使っていたのです 194 00:11:49,835 --> 00:11:52,003 雄黄に含まれる砒毒は 195 00:11:52,087 --> 00:11:55,590 少しずつ 先帝の体に 取り込まれていったのでしょう 196 00:11:56,174 --> 00:12:00,178 亡くなられる頃には 全身に回っていたはずです 197 00:12:01,555 --> 00:12:05,684 隠れるようにして絵を描き続けた この部屋で 198 00:12:06,726 --> 00:12:10,564 帝ともあろうお方が 絵を描くなんて とんでもないと 199 00:12:10,647 --> 00:12:13,066 少なくとも 周りは そう捉える 200 00:12:13,942 --> 00:12:18,572 だから 昏君(ばかとの)と呼ばれた先帝でも 公にはしなかった 201 00:12:18,655 --> 00:12:22,701 口のきけない奴隷の従者に 部屋の管理を任せていたのも 202 00:12:22,784 --> 00:12:24,077 そのためだろう 203 00:12:24,703 --> 00:12:26,288 まだ弾力がある 204 00:12:26,371 --> 00:12:29,291 この下に一体 何枚あるんだ? 205 00:12:30,125 --> 00:12:32,127 これほど多くの絵となると 206 00:12:32,210 --> 00:12:34,296 道具を用意したのは 恐らく 207 00:12:34,963 --> 00:12:37,382 先帝の母である女帝 208 00:12:37,466 --> 00:12:39,801 この絵の女性は分かっていたのだ 209 00:12:40,635 --> 00:12:44,806 自分の子が 帝にふさわしい器ではないことを 210 00:12:45,432 --> 00:12:49,561 だから 偶然 帝の地位を手に入れた 吾子(あこ)を守ろうと 211 00:12:49,644 --> 00:12:51,813 自分のもとに権力を集めた 212 00:12:51,897 --> 00:12:56,318 たとえ 女帝と 呼ばれるようになったとしても 213 00:12:57,068 --> 00:13:00,697 子のために何でもした女帝が 最後に与えたのが 214 00:13:00,780 --> 00:13:03,783 この場所と絵を描く道具だった 215 00:13:04,701 --> 00:13:06,620 毒だとは知らずに 216 00:13:07,829 --> 00:13:09,789 なんという皮肉だろう 217 00:13:11,958 --> 00:13:14,002 私が言えるのは ここまでです 218 00:13:15,045 --> 00:13:17,964 ええ 十分な働きでした 219 00:13:30,352 --> 00:13:33,313 (猫猫) まるで 蒼穹のかなたにいる誰かに 220 00:13:33,396 --> 00:13:35,190 問いかけているみたいだ 221 00:13:36,399 --> 00:13:38,944 …なんて 感傷的になってるな 222 00:13:50,956 --> 00:13:53,959 (安氏)ああ 腹が立つ 223 00:13:58,338 --> 00:14:00,048 かすれていても なお 224 00:14:00,674 --> 00:14:03,969 あの方の存在感は大きいのね 225 00:14:05,679 --> 00:14:08,557 私は この絵の中にいるのかしら 226 00:14:09,432 --> 00:14:12,060 いいえ 所詮 私など 227 00:14:12,686 --> 00:14:14,813 通り過ぎるだけの存在 228 00:14:17,065 --> 00:14:22,571 ここにある傷痕のおかげで 国母としての今があるにすぎない 229 00:14:24,239 --> 00:14:29,494 偶然 先帝の手にかかり みごもった幼い娘 230 00:14:29,578 --> 00:14:32,247 そう同情する声もあった 231 00:14:32,330 --> 00:14:34,207 確かに そんな娘はいただろう 232 00:14:35,250 --> 00:14:39,212 しかし 帝の性癖のことは あらかじめ知っていた 233 00:14:40,255 --> 00:14:43,800 父は文官で 母は側室 234 00:14:43,883 --> 00:14:48,597 そして 幼い顔のわりには 初潮が来るのが早かった私を 235 00:14:48,680 --> 00:14:52,225 父は都合のいい道具として 利用したのだ 236 00:14:55,854 --> 00:14:59,149 後宮には 中級妃の侍女として入った 237 00:14:59,733 --> 00:15:02,193 妃(きさき)は腹違いの姉 238 00:15:02,277 --> 00:15:05,155 チョウよ花よと育てられた姉は 239 00:15:05,238 --> 00:15:08,033 父の思惑など知る由もなかった 240 00:15:08,116 --> 00:15:09,576 (異母姉)ねえ 安氏 241 00:15:09,659 --> 00:15:11,161 早く飾りをつけてちょうだい 242 00:15:11,244 --> 00:15:13,413 (幼い安氏)はい お姉様 243 00:15:16,291 --> 00:15:19,711 ついに今夜 帝がいらっしゃるのね 244 00:15:19,794 --> 00:15:21,963 この前 遠目にお見かけしたけど 245 00:15:22,547 --> 00:15:24,841 とても美しい方だったの 246 00:15:25,634 --> 00:15:26,968 (幼い安氏)そうですか 247 00:15:29,554 --> 00:15:31,222 (異母姉)お待ちしておりました 248 00:15:38,563 --> 00:15:41,358 さあ どうぞ中へ 249 00:15:42,400 --> 00:15:43,985 (先帝)触れるな! (異母姉)キャアッ 250 00:15:44,069 --> 00:15:45,195 (異母姉)うっ… 251 00:15:46,446 --> 00:15:47,572 (宦官)帝… 252 00:15:53,953 --> 00:15:55,205 (安氏)その姿は 253 00:15:55,288 --> 00:15:58,958 とても 国の頂点に立つ者には 思えなかった 254 00:15:59,042 --> 00:16:01,711 侍女ならば 妃を慰めるか 255 00:16:01,795 --> 00:16:05,215 帝に 非礼をわびるかすれば よかったのだ 256 00:16:05,840 --> 00:16:07,175 けれど… 257 00:16:20,605 --> 00:16:22,607 (幼い安氏)大丈夫でしょうか? 258 00:16:26,611 --> 00:16:27,779 (安氏)帝の目は 259 00:16:28,697 --> 00:16:31,199 確かに こちらを捉えた 260 00:16:31,741 --> 00:16:35,495 野心に満ちた少女の目を 261 00:16:41,543 --> 00:16:46,715 (安氏)私は先帝の子を宿し 何度も命の危険にさらされた 262 00:16:46,798 --> 00:16:49,259 幸運だったのは 子が男子で 263 00:16:49,342 --> 00:16:52,345 女帝が 孫であると 認めてくれたことだろう 264 00:16:52,429 --> 00:16:54,180 (赤ん坊のぐずる声) 265 00:16:54,264 --> 00:16:57,225 (若い水蓮)よしよし はいはい 266 00:16:59,728 --> 00:17:02,147 (安氏) 以前 女児を産んだ娘がいた 267 00:17:02,814 --> 00:17:07,569 娘は先帝の子だと言い張ったが 先帝に知らぬと否定され 268 00:17:07,652 --> 00:17:11,906 その父親とされた医官が 女児と共に追放された 269 00:17:12,741 --> 00:17:16,953 当時 医官だけは 後宮内で去勢を免れていたから 270 00:17:17,036 --> 00:17:20,415 それ以来 医官も 去勢を義務づけられた 271 00:17:21,040 --> 00:17:23,918 (幼い安氏) この腹の手術をした者も… 272 00:17:24,002 --> 00:17:26,421 不憫(ふびん)なこと この上ない 273 00:17:27,338 --> 00:17:32,343 (安氏)女児を産んだという娘は 1人 後宮に残された 274 00:17:32,427 --> 00:17:35,430 彼女が 後宮を出ることは 一生ないだろう 275 00:17:36,264 --> 00:17:38,767 それから さらに時がたち… 276 00:17:40,018 --> 00:17:42,687 少女の外見でなくなった私に 277 00:17:42,771 --> 00:17:44,939 先帝は 会いに来ようとはしなかった 278 00:17:45,815 --> 00:17:48,568 (安氏) また 後宮が拡張するそうね 279 00:17:48,651 --> 00:17:51,863 (侍女)はい 子昌(シショウ)様が進言なさったとか 280 00:17:52,864 --> 00:17:53,698 (安氏)そう… 281 00:17:53,782 --> 00:17:56,576 (安氏) 後宮は どんどん大きくなり 282 00:17:56,659 --> 00:17:59,954 私と同じ使命を帯びた 幼い娘たちが 283 00:18:00,038 --> 00:18:01,456 次々に やってきた 284 00:18:10,215 --> 00:18:11,049 (安氏)あ… 285 00:18:13,718 --> 00:18:17,096 (安氏) 女帝の傀儡(かいらい)としてのみ存在し 286 00:18:17,180 --> 00:18:20,683 幼い娘にしか まともに話しかけられない― 287 00:18:21,267 --> 00:18:22,936 情けない男 288 00:18:25,230 --> 00:18:26,606 (安氏)ハッ… 289 00:18:37,408 --> 00:18:41,830 (安氏)そんな者に忘れられるのが 許せなかった 290 00:18:45,458 --> 00:18:47,085 (安氏)私が怖いですか? 291 00:18:48,169 --> 00:18:49,838 (おびえる声) 292 00:18:49,921 --> 00:18:52,298 私が大人の女になったから? 293 00:18:53,550 --> 00:18:57,095 それとも この腹の傷が? 294 00:18:57,762 --> 00:19:02,767 (安氏)閨(ねや)の中 許しを請うて おびえる男をいたぶった 295 00:19:02,851 --> 00:19:06,229 男に手をかけられた幼い娘たち 296 00:19:06,729 --> 00:19:08,648 偉大な母である女帝よりも 297 00:19:08,731 --> 00:19:09,816 (呪詛(じゅそ)を吐く声) 298 00:19:09,816 --> 00:19:12,151 (呪詛(じゅそ)を吐く声) 299 00:19:09,816 --> 00:19:12,151 深く思い出につなぎ止めるために 300 00:19:12,235 --> 00:19:13,653 (扉が閉まる音) 301 00:19:13,736 --> 00:19:18,783 (安氏)その後 先帝は 心を壊して あの棟に引きこもった 302 00:19:18,867 --> 00:19:21,911 誰のせいかなんて 追求する気も起きない 303 00:19:24,622 --> 00:19:29,419 結局 あの男は この部屋で 女帝である母と 304 00:19:29,502 --> 00:19:33,548 野心のない娘たちばかり 思い描いていたのだろう 305 00:19:36,175 --> 00:19:39,554 一度だけ 私を描いてくれた 306 00:19:40,847 --> 00:19:44,809 その絵も とても大事にしていたけれど 307 00:19:44,893 --> 00:19:47,145 水蓮に捨てるように言った 308 00:19:47,228 --> 00:19:48,813 私には必要ない 309 00:19:49,647 --> 00:19:53,192 私が 先帝にとって必要ないように 310 00:20:00,825 --> 00:20:02,285 (壬氏)昔 あの方が 311 00:20:02,368 --> 00:20:05,330 私たちのもとへ 来たことがありましたね 312 00:20:05,413 --> 00:20:08,416 ええ 何年前だったかしら 313 00:20:08,958 --> 00:20:12,003 (壬氏) あの時 こんなものを拾いました 314 00:20:12,545 --> 00:20:14,464 これが雄黄なのだそうです 315 00:20:15,423 --> 00:20:16,966 この石が… 316 00:20:17,634 --> 00:20:20,762 (壬氏)今朝 水蓮が ようやく返してくれました 317 00:20:22,430 --> 00:20:23,264 そう… 318 00:20:28,519 --> 00:20:32,815 不義の子と言われようと 取り違えられた子であろうと 319 00:20:32,899 --> 00:20:35,485 大切な子に違いないのに 320 00:20:35,568 --> 00:20:38,988 一度 私は あの絵を見たことがある気がします 321 00:20:39,572 --> 00:20:43,493 年若い娘の絵で 淡く色づけされていました 322 00:20:44,369 --> 00:20:47,997 この石を拾ったのは その絵を覚えていたからでしょう 323 00:20:48,706 --> 00:20:50,917 (安氏) 捨てろと言ったはずなのに 324 00:20:51,501 --> 00:20:55,421 (壬氏)昔 あなたは 好んで この色を着ていらっしゃいましたね 325 00:21:04,180 --> 00:21:05,473 (安氏)ハッ… 326 00:21:15,650 --> 00:21:16,526 たまたまよ 327 00:21:17,610 --> 00:21:20,947 (壬氏)あの絵の女性は 本当に女帝なのでしょうか 328 00:21:22,031 --> 00:21:25,910 あの時 あの方は 何を伝えようとしたのでしょう 329 00:21:31,457 --> 00:21:32,959 知らないわ 330 00:21:35,920 --> 00:21:38,381 知ろうとしないことを選んだ 331 00:21:39,132 --> 00:21:40,967 それよりも あなた 332 00:21:41,050 --> 00:21:44,137 ずいぶん面白い女官に 目をかけているようですね 333 00:21:44,220 --> 00:21:45,054 (壬氏)なっ… 334 00:21:46,472 --> 00:21:48,558 なかなか使える者です 335 00:21:49,267 --> 00:21:50,351 そうね 336 00:21:50,435 --> 00:21:51,686 でも… 337 00:21:52,770 --> 00:21:55,356 それが すべてでは ないことくらい分かる 338 00:22:00,820 --> 00:22:03,197 何年も見てきたのだから 339 00:22:06,409 --> 00:22:09,078 お気に入りは隠しておかないと 340 00:22:09,829 --> 00:22:12,540 誰かに隠されてしまうわよ 341 00:22:15,585 --> 00:22:21,591 ♪~ 342 00:23:38,835 --> 00:23:42,839 ~♪