1 00:00:01,501 --> 00:00:07,924 {\an8}♪~ 2 00:01:25,084 --> 00:01:30,924 {\an8}~♪ 3 00:01:34,511 --> 00:01:36,721 {\an8}(紅娘(ホンニャン)) 猫猫(マオマオ) 紹介するわ 4 00:01:36,805 --> 00:01:39,682 翡翠(ひすい)宮に来た 新しい侍女たちよ 5 00:01:39,766 --> 00:01:40,850 三姉妹なの 6 00:01:41,810 --> 00:01:43,144 (白羽(ハクウ))白羽です 7 00:01:43,228 --> 00:01:44,562 (黒羽(コクウ))黒羽です 8 00:01:44,646 --> 00:01:45,605 (赤羽(セキウ))赤羽です 9 00:01:46,314 --> 00:01:48,108 (猫猫)よく似た姉妹だな 10 00:01:49,025 --> 00:01:50,693 (白羽)お元気でしたか 11 00:01:50,777 --> 00:01:52,654 (愛藍(アイラン))はい お久しぶりです 12 00:01:53,321 --> 00:01:54,155 (猫猫)あ… 13 00:01:54,239 --> 00:01:55,657 お知り合いですか? 14 00:01:55,740 --> 00:01:58,993 (桜花(インファ))ええ みんな 同郷で顔なじみなの 15 00:01:59,077 --> 00:02:00,411 長女の白羽さんは 16 00:02:00,495 --> 00:02:02,956 玉葉(ギョクヨウ)様と同い年よ 17 00:02:03,957 --> 00:02:07,001 (猫猫) 同郷の人間だけで固めるのか 18 00:02:07,085 --> 00:02:09,963 暗殺されかかったことのある 玉葉様には 19 00:02:10,046 --> 00:02:11,923 そのほうが安心だな 20 00:02:12,632 --> 00:02:14,175 (白羽)あなたは? 21 00:02:14,259 --> 00:02:16,761 (猫猫)毒見役の猫猫です 黒羽様 22 00:02:17,512 --> 00:02:19,681 (白羽)私は黒羽じゃないわ 23 00:02:19,764 --> 00:02:22,308 (猫猫)あれ? じゃあ 赤羽様? 24 00:02:22,392 --> 00:02:23,768 白羽よ 25 00:02:24,352 --> 00:02:25,770 あ… 26 00:02:28,565 --> 00:02:32,360 (白羽)これからは 名前と同じ色の髪紐(かみひも)を使うから 27 00:02:32,443 --> 00:02:33,820 それで見分けて 28 00:02:33,903 --> 00:02:35,321 はい 分かりました 29 00:02:36,364 --> 00:02:39,117 まったく見分けがつかない 30 00:02:39,200 --> 00:02:41,911 まあ おいおい覚えればいいか 31 00:02:42,495 --> 00:02:44,664 (猫猫)それよりも 問題は… 32 00:02:44,747 --> 00:02:45,665 (桜花)猫猫! 33 00:02:45,748 --> 00:02:47,917 ちゃんと部屋に戻りなさい 34 00:02:48,001 --> 00:02:50,920 いえ 物置で問題ありません 35 00:02:51,004 --> 00:02:54,007 紅娘様にも ここが 私の部屋だと言われましたし 36 00:02:54,090 --> 00:02:56,009 このまま使わせていただきます 37 00:02:56,092 --> 00:02:58,344 ダメに決まってるでしょ 38 00:02:58,428 --> 00:03:01,181 また冗談を真に受けて… 39 00:03:01,764 --> 00:03:05,602 (猫猫)いや でも 荷物も 全部 部屋から持ってきましたし 40 00:03:05,685 --> 00:03:09,105 (桜花)新しい侍女たちにも 示しがつかないわ 41 00:03:12,358 --> 00:03:15,028 (紅娘) 何やってるの あなたたち! 42 00:03:15,612 --> 00:03:17,405 んん~… 43 00:03:18,114 --> 00:03:18,990 -(桜花)うっ -(猫猫)にゃっ 44 00:03:19,866 --> 00:03:21,993 (桜花・猫猫)ううう… 45 00:03:27,081 --> 00:03:28,166 {\an8}(玉葉妃)あらあら 46 00:03:28,249 --> 00:03:29,417 {\an8}物置は すっかり— 47 00:03:29,500 --> 00:03:31,252 {\an8}猫猫の巣に なっていたの? 48 00:03:32,170 --> 00:03:34,005 小屋は好きにしていいわよ 49 00:03:34,881 --> 00:03:38,968 (紅娘)でも 寝る時は 元の部屋を使ってちょうだいね 50 00:03:39,052 --> 00:03:39,969 (猫猫)分かりました 51 00:03:41,512 --> 00:03:43,389 いい上司たちだな 52 00:03:47,769 --> 00:03:49,395 (猫猫)新しい侍女が来て 53 00:03:49,479 --> 00:03:52,774 1人当たりの仕事の量は ぐんと減った 54 00:03:53,441 --> 00:03:55,401 玉葉様が懐妊して 55 00:03:55,485 --> 00:03:59,280 今以上に人手が必要になる 翡翠宮にとって 56 00:03:59,364 --> 00:04:02,283 人材の補強は ありがたいことだが 57 00:04:03,201 --> 00:04:07,747 これは多数の侍女を連れている 楼蘭(ロウラン)妃の柘榴(ザクロ)宮と 58 00:04:07,830 --> 00:04:10,375 釣り合いを 取るためでもあるのだろう 59 00:04:12,460 --> 00:04:13,503 (猫猫)お疲れさまでした 60 00:04:14,462 --> 00:04:16,422 では 私は小屋へ 61 00:04:16,923 --> 00:04:18,549 (桜花)あっ 猫猫! 62 00:04:19,050 --> 00:04:22,220 (赤羽)桜花さん 猫猫さんは 部屋ではなく— 63 00:04:22,303 --> 00:04:24,264 小屋に住んでいるのですか? 64 00:04:24,347 --> 00:04:25,807 (黒羽)本当ですか? 65 00:04:25,890 --> 00:04:27,517 玉葉様の侍女なのに? 66 00:04:27,600 --> 00:04:31,229 いや えっと… アハハ… 67 00:04:40,029 --> 00:04:41,406 (桜花)んっ 68 00:04:43,658 --> 00:04:46,786 (猫猫)桜花様が 小屋に引きこもるのを止めたのは 69 00:04:46,869 --> 00:04:50,873 おせっかいだけど 私のことを考えてのことだろう 70 00:04:50,957 --> 00:04:54,168 早く新しい侍女たちに 慣れてほしいという— 71 00:04:54,252 --> 00:04:55,837 桜花様らしい気配りだ 72 00:05:01,926 --> 00:05:04,429 すみません 勝手なことばかり 73 00:05:04,512 --> 00:05:06,431 (桜花)別にいいけど 74 00:05:06,514 --> 00:05:09,434 ねえ 猫猫 少しは反省してる? 75 00:05:09,517 --> 00:05:11,185 (猫猫)え… してますけど 76 00:05:11,269 --> 00:05:13,688 (桜花)本当に? 私に悪いと思ってる? 77 00:05:13,771 --> 00:05:15,398 (猫猫)ええ それはもちろん 78 00:05:15,940 --> 00:05:17,108 (桜花)だよね! 79 00:05:17,191 --> 00:05:20,611 じゃあ 早速 今夜 つきあってもらうわよ 80 00:05:20,695 --> 00:05:22,613 -(猫猫)えっ… -(桜花)今晩 暇なのは— 81 00:05:22,697 --> 00:05:24,866 私と猫猫だけなのよ 82 00:05:24,949 --> 00:05:27,660 ちょうどよかったわ 83 00:05:27,744 --> 00:05:28,786 フフッ 84 00:05:30,079 --> 00:05:31,706 (猫猫)やられた 85 00:05:36,919 --> 00:05:39,922 (猫猫)あの… 今夜の外出 紅娘様は? 86 00:05:40,006 --> 00:05:42,967 (桜花)大丈夫よ 許可は もらってるわ 87 00:05:43,676 --> 00:05:45,928 (猫猫)後宮の北側 88 00:05:47,305 --> 00:05:50,350 この辺りは 古い建物しかないはずだけど 89 00:05:52,977 --> 00:05:54,395 (桜花)あっ 猫猫 これ 90 00:05:55,021 --> 00:05:56,856 こんな感じで かぶって 91 00:05:58,900 --> 00:06:00,151 暑くないですか? 92 00:06:00,234 --> 00:06:02,612 いいの 涼しくなるから 93 00:06:02,695 --> 00:06:03,863 (猫猫)うん? 94 00:06:09,077 --> 00:06:10,370 (桜花)ここよ 95 00:06:14,957 --> 00:06:17,627 (女官)いらっしゃい 参加者は2人ね? 96 00:06:17,710 --> 00:06:20,713 (桜花)はい よろしくお願いします 97 00:06:20,797 --> 00:06:22,090 (猫猫)お願いします 98 00:06:22,173 --> 00:06:26,010 (女官)行燈(あんどん)は消して これを代わりに 99 00:06:29,847 --> 00:06:33,434 (猫猫)きれいだけど ずいぶん年のいった女官だ 100 00:06:34,060 --> 00:06:35,937 (女官)では 行きましょう 101 00:06:38,731 --> 00:06:42,401 ここは先帝の時代に 使われていた場所なのよ 102 00:06:43,111 --> 00:06:46,864 昔に比べて 女官が だいぶ減ったけど 103 00:06:48,825 --> 00:06:50,910 こういう時には ぴったりよね 104 00:06:50,993 --> 00:06:52,161 (猫猫)え… 105 00:06:55,581 --> 00:06:57,834 (女官) 空いているところに座って 106 00:07:03,798 --> 00:07:05,174 (女官)そろいましたね 107 00:07:06,509 --> 00:07:11,013 (猫猫)こんな暑い日に 閉めきった部屋に12人も集まって 108 00:07:11,597 --> 00:07:15,726 (女官)皆さん お話の準備はできていますか? 109 00:07:16,352 --> 00:07:21,232 今宵(こよい)は肝が冷える13の話を 楽しみましょう 110 00:07:21,899 --> 00:07:23,234 (猫猫)13の話… 111 00:07:23,317 --> 00:07:24,861 -(桜花)ひいっ -(猫猫)うう… 112 00:07:26,904 --> 00:07:28,865 (女官)それからというもの 113 00:07:29,449 --> 00:07:31,576 夜な夜な北門の堀では 114 00:07:31,659 --> 00:07:34,871 身投げを繰り返す下女の姿が… 115 00:07:34,954 --> 00:07:39,167 哀れに思った女官が 堀に花を浮かべると 116 00:07:39,250 --> 00:07:42,336 どこからか声が聞こえてきます 117 00:07:42,420 --> 00:07:44,922 ハッとして堀をのぞき込むと 118 00:07:45,006 --> 00:07:47,508 下女の白い顔が浮かび上がり 119 00:07:47,592 --> 00:07:50,219 女官が慌てて逃げようとすると 120 00:07:50,303 --> 00:07:52,180 突然 足をつかまれて… 121 00:07:53,973 --> 00:07:57,894 水から はい上がってきた下女は 言いました 122 00:07:57,977 --> 00:08:02,773 “あの日 私を突き落としたのは…” 123 00:08:03,274 --> 00:08:04,775 (下女)うう… 124 00:08:05,276 --> 00:08:07,320 “お前か~!” 125 00:08:07,403 --> 00:08:09,572 (悲鳴) 126 00:08:10,907 --> 00:08:13,743 (猫猫)どっかで聞いたような話 127 00:08:14,952 --> 00:08:18,122 怖がりだけど 好きなわけね 桜花様 128 00:08:23,002 --> 00:08:26,797 どうやら これは 座り順に怪談話をして 129 00:08:26,881 --> 00:08:30,218 話し終わったら 火を吹き消すという催しらしい 130 00:08:30,801 --> 00:08:34,972 しかし まあ 話は後宮内のウワサ程度のもので 131 00:08:35,056 --> 00:08:36,974 肝が冷えるほどではない 132 00:08:40,686 --> 00:08:43,648 何せ 後宮は娯楽が少ない 133 00:08:43,731 --> 00:08:45,441 こういう語らいも 認められているようだ 134 00:08:45,441 --> 00:08:46,859 こういう語らいも 認められているようだ 135 00:08:45,441 --> 00:08:46,859 {\an8}(あくび) 136 00:08:46,859 --> 00:08:47,818 {\an8}(あくび) 137 00:08:47,902 --> 00:08:48,736 ん? 138 00:08:48,819 --> 00:08:50,404 (子翠(シスイ))こんばんは 139 00:08:50,488 --> 00:08:51,447 (猫猫)子翠 140 00:08:51,530 --> 00:08:52,365 食べる? 141 00:08:52,448 --> 00:08:53,991 (猫猫)もらう 142 00:08:59,121 --> 00:09:00,539 (女官)さて… 143 00:09:01,249 --> 00:09:04,585 これは 私の故郷の話なんだけど 144 00:09:06,254 --> 00:09:08,172 そこには 古くから 145 00:09:08,256 --> 00:09:12,176 入ってはいけないと言われている 森があった 146 00:09:12,260 --> 00:09:17,098 もし 入れば 呪われて 鬼に魂を食われてしまう 147 00:09:17,181 --> 00:09:22,645 でも ある時 1人の子供が 禁忌を破った 148 00:09:23,145 --> 00:09:27,984 その年は作物が不作で あまりにも おなかがすいた子供は 149 00:09:28,067 --> 00:09:31,487 食べ物を求めて 森へと入った 150 00:09:33,948 --> 00:09:36,367 子供は母親に告げた 151 00:09:36,951 --> 00:09:38,869 “いいこと教えてあげる” 152 00:09:38,953 --> 00:09:42,123 “あの森には たくさん食べ物があるよ” 153 00:09:42,873 --> 00:09:46,794 けれど 森に入ったことが 村人たちに知られて 154 00:09:46,877 --> 00:09:49,130 親子は村八分になった 155 00:09:49,964 --> 00:09:54,969 孤立した親子は食べるものもなく 痩せ衰えていったけれど 156 00:09:55,052 --> 00:09:57,805 誰も 手を差し伸べようとは しなかった 157 00:09:59,181 --> 00:10:01,225 ある夜のこと 158 00:10:01,309 --> 00:10:06,439 親子の家に ゆらゆらと 光が入っていくのを見た者がいた 159 00:10:07,231 --> 00:10:10,192 翌日 その知らせを聞いた村長が 160 00:10:10,276 --> 00:10:11,944 親子の家を訪ねると 161 00:10:12,987 --> 00:10:18,242 子供は すでに死に 母親も亡くなる寸前だった 162 00:10:18,326 --> 00:10:21,454 母親は 村長にこう言った 163 00:10:21,537 --> 00:10:24,665 “ねえ いいこと教えてあげる” 164 00:10:25,249 --> 00:10:29,128 そこまで言って 母親は死んだ 165 00:10:29,795 --> 00:10:33,924 その死に顔は 不気味に笑っていたの 166 00:10:34,634 --> 00:10:38,721 結局 何を伝えようとしたのか 分からないまま 167 00:10:38,804 --> 00:10:41,932 今も 森は禁忌の地と恐れられ 168 00:10:42,016 --> 00:10:45,603 破った者の家には鬼が現れ 169 00:10:45,686 --> 00:10:48,189 魂を食われるという 170 00:10:49,774 --> 00:10:50,649 (ろうそくを吹き消す音) 171 00:10:50,733 --> 00:10:51,567 (桜花のおびえる声) 172 00:10:51,650 --> 00:10:53,194 (猫猫)あ~ なるほど 173 00:10:53,277 --> 00:10:55,196 (子翠)なるほどって何が? 174 00:10:55,279 --> 00:10:56,530 (猫猫)あとで教える 175 00:10:56,614 --> 00:10:57,907 (あくび) 176 00:10:58,991 --> 00:11:00,993 (猫猫)何か眠い 177 00:11:01,077 --> 00:11:03,245 狭いところに大人数だし 178 00:11:03,329 --> 00:11:05,623 少し人酔いしたかな 179 00:11:05,706 --> 00:11:07,917 (女官)あなたの番よ 180 00:11:08,459 --> 00:11:10,211 (子翠)はーい 181 00:11:12,713 --> 00:11:17,259 これは 遠い遠い東の国のお話 182 00:11:19,178 --> 00:11:21,222 とある国の僧侶が 183 00:11:21,305 --> 00:11:24,725 遠方での葬儀を終えて帰る途中 184 00:11:24,809 --> 00:11:27,478 いつの間にか日が暮れてしまった 185 00:11:28,479 --> 00:11:31,399 辺りは ススキだらけの平原で 186 00:11:31,482 --> 00:11:34,485 どうやら 野犬の群れもいる様子 187 00:11:35,027 --> 00:11:38,030 焦る僧侶の前に現れたのは 188 00:11:38,114 --> 00:11:40,491 1軒の古びた民家だった 189 00:11:43,202 --> 00:11:45,996 (僧侶) 夜分に失礼 ごめんください 190 00:11:47,456 --> 00:11:49,625 (妻)どうされました? お坊様 191 00:11:49,708 --> 00:11:53,003 (僧侶)山を越える前に 日が暮れてしまって 192 00:11:53,087 --> 00:11:57,216 納屋の隅で かまいませんので ひと晩 泊めていただけませんか 193 00:11:57,299 --> 00:11:59,385 まあ それは… 194 00:11:59,468 --> 00:12:01,512 お疲れでございましょう 195 00:12:03,347 --> 00:12:05,266 (子翠)妻は僧をもてなし 196 00:12:05,850 --> 00:12:08,269 寝床まで用意してくれた 197 00:12:09,061 --> 00:12:11,522 心を尽くした もてなしに 198 00:12:11,605 --> 00:12:14,150 何も持ち合わせておらぬ僧は 199 00:12:14,233 --> 00:12:17,987 せめてものお礼にと 経を上げることにした 200 00:12:18,070 --> 00:12:22,992 (経を唱える声) 201 00:12:23,075 --> 00:12:24,076 {\an8}(鈴のような音) 202 00:12:24,076 --> 00:12:25,619 {\an8}(鈴のような音) 203 00:12:24,076 --> 00:12:25,619 (僧侶)鈴の音か? 204 00:12:25,619 --> 00:12:26,412 {\an8}(鈴のような音) 205 00:12:26,412 --> 00:12:26,996 {\an8}(鈴のような音) 206 00:12:26,412 --> 00:12:26,996 いや 鈴の音に聞こえるが 207 00:12:26,996 --> 00:12:29,206 いや 鈴の音に聞こえるが 208 00:12:29,790 --> 00:12:32,168 これは 人の声か? 209 00:12:32,877 --> 00:12:35,004 (妻)それで あんた どうするの? 210 00:12:35,087 --> 00:12:37,423 (夫)どうもしない それでよかろう 211 00:12:37,506 --> 00:12:40,092 (妻)そんなんじゃ ダメだよ あんた 212 00:12:40,176 --> 00:12:42,011 あたしは1人になりたくないんだ 213 00:12:42,636 --> 00:12:44,305 (夫)じゃあ どうするつもりだ 214 00:12:45,097 --> 00:12:46,724 (妻)もう耐えられない 215 00:12:48,100 --> 00:12:50,186 (僧侶)言い争っているのか? 216 00:12:50,269 --> 00:12:52,021 止めに入ったほうがいいか? 217 00:12:52,104 --> 00:12:55,024 いや 経はやめてはいかん 218 00:12:55,107 --> 00:12:56,400 そんな気がする 219 00:12:56,484 --> 00:12:58,611 (夫)あの僧を代わりにするんだ 220 00:12:58,694 --> 00:12:59,862 (妻)それしかない 221 00:13:01,530 --> 00:13:02,364 さあ… 222 00:13:03,199 --> 00:13:04,867 やるよ 223 00:13:06,994 --> 00:13:09,747 どこだ あの僧は 224 00:13:13,083 --> 00:13:15,920 ハァ ハァ… 225 00:13:16,003 --> 00:13:21,342 {\an8}(経を唱える声) 226 00:13:21,342 --> 00:13:22,760 {\an8}(経を唱える声) 227 00:13:21,342 --> 00:13:22,760 (妻)逃げたのか? 228 00:13:25,304 --> 00:13:27,765 いない… いないよ 229 00:13:27,848 --> 00:13:29,266 見つけないと 230 00:13:29,350 --> 00:13:31,644 でないと あたし… 231 00:13:31,727 --> 00:13:32,394 あたし あんたをー! 232 00:13:32,394 --> 00:13:33,646 あたし あんたをー! 233 00:13:32,394 --> 00:13:33,646 {\an8}(肉を引き裂く音) 234 00:13:33,646 --> 00:13:36,065 あたし あんたをー! 235 00:13:36,148 --> 00:13:39,818 (咀嚼(そしゃく)音) 236 00:13:39,902 --> 00:13:43,155 (子翠)僧侶は 咀嚼音が聞こえなくなるまで 237 00:13:43,239 --> 00:13:45,491 経を唱え続けた 238 00:13:46,367 --> 00:13:50,454 音がやみ 僧侶は外へ出た 239 00:13:51,038 --> 00:13:54,708 若い夫婦の姿はなく そこには… 240 00:13:55,960 --> 00:13:58,254 虫の羽が落ちていた 241 00:13:58,879 --> 00:14:02,508 僧侶は そっと手を合わせ 経を唱えたまま 242 00:14:03,634 --> 00:14:05,970 夜明けまで歩き続けましたとさ 243 00:14:07,179 --> 00:14:09,515 (猫猫)話し方が うまいな 244 00:14:09,598 --> 00:14:11,475 まるで別人みたいだ 245 00:14:12,768 --> 00:14:14,979 ん? この横顔… 246 00:14:15,646 --> 00:14:18,691 何か見覚えがあるような 247 00:14:21,068 --> 00:14:22,778 (子翠)猫猫 次だよ 248 00:14:22,861 --> 00:14:24,613 (猫猫)えっ あ… そっか 249 00:14:25,197 --> 00:14:27,616 何を話そうか 250 00:14:28,909 --> 00:14:31,287 養父から聞いたのですが 251 00:14:31,370 --> 00:14:34,915 墓地に人魂(ひとだま)が出るという ウワサが立ちました 252 00:14:36,500 --> 00:14:38,127 いかにも怪しいと— 253 00:14:38,210 --> 00:14:41,714 勇敢な若者たちが 正体を探りに行きました 254 00:14:42,881 --> 00:14:43,716 すると… 255 00:14:49,805 --> 00:14:52,057 同じ町に住む男が 256 00:14:52,141 --> 00:14:54,685 たいまつを片手に 歩いていただけでした 257 00:14:56,812 --> 00:14:57,813 それだけ? 258 00:14:57,897 --> 00:14:59,148 (猫猫)はい 259 00:14:59,231 --> 00:15:01,442 男の正体は墓荒らしで 260 00:15:01,525 --> 00:15:03,652 怪しげな呪いにはまっていて 261 00:15:03,736 --> 00:15:06,655 墓地を掘り起こして 死体の腹を裂いては 262 00:15:07,239 --> 00:15:09,908 万病に効くという人の肝を… 263 00:15:09,992 --> 00:15:11,243 -(桜花)もういい! -(猫猫)うぐっ… 264 00:15:12,578 --> 00:15:14,246 (猫猫)以上です… 265 00:15:14,330 --> 00:15:15,706 (ろうそくを吹き消す音) 266 00:15:16,832 --> 00:15:19,918 (猫猫)次 桜花様ですよ 267 00:15:20,002 --> 00:15:23,255 (桜花)あ… えっと… 268 00:15:24,048 --> 00:15:26,967 あるところに男が… 269 00:15:27,051 --> 00:15:29,762 いや 老婆だったかな 270 00:15:29,845 --> 00:15:31,931 -(桜花)あ… えっと… -(猫猫)ハァ… 271 00:15:32,014 --> 00:15:33,557 (桜花)えっと その… 272 00:15:38,437 --> 00:15:41,023 (女官)では 次は私が 273 00:15:41,982 --> 00:15:46,528 (猫猫)そういえば この女官は 最初に 13の話と言っていた 274 00:15:47,279 --> 00:15:50,950 ここに集まったのは12人なのに どういうことだろう 275 00:15:51,033 --> 00:15:53,535 (女官)先帝時代の話です 276 00:15:53,619 --> 00:15:57,247 その頃 後宮は次々と人が増え 277 00:15:57,331 --> 00:16:00,042 区画を広げておりました 278 00:16:00,125 --> 00:16:02,086 何のために? 279 00:16:02,670 --> 00:16:05,631 その頃 強大な権力を振るっていた— 280 00:16:05,714 --> 00:16:08,509 女帝である太皇太后が 281 00:16:08,592 --> 00:16:13,055 先帝の嗜好(しこう)に合う娘を そろえるためでした 282 00:16:15,182 --> 00:16:16,684 (猫猫)何だ? 283 00:16:16,767 --> 00:16:20,521 先帝は 年端もいかぬ少女を選んでは 284 00:16:20,604 --> 00:16:22,189 その花を散らし 285 00:16:23,232 --> 00:16:25,234 手折られた少女たちは 286 00:16:25,317 --> 00:16:27,945 外に出ることを許されぬまま 287 00:16:28,028 --> 00:16:30,197 時を過ごしました 288 00:16:30,948 --> 00:16:34,702 その中に 1人 みごもった少女がおり 289 00:16:35,452 --> 00:16:37,705 先帝に訴えましたが 290 00:16:38,622 --> 00:16:42,209 少女は 後宮を出ることも許されず 291 00:16:42,292 --> 00:16:45,045 死ぬ間際に ひと言 292 00:16:47,131 --> 00:16:49,174 “次は お前たちの番だ” 293 00:16:51,927 --> 00:16:52,761 (桜花)猫猫! 294 00:16:54,513 --> 00:16:55,723 ハァ… 295 00:16:55,806 --> 00:16:58,267 頭が ボーッとするわけだ 296 00:16:58,350 --> 00:16:59,893 桜花様 子翠! 297 00:16:59,977 --> 00:17:02,813 ぐったりしている女官を 窓や扉の近くへ 298 00:17:02,896 --> 00:17:04,940 (桜花)えっ 一体 どうしたの? 299 00:17:05,023 --> 00:17:07,484 (猫猫)早く! 消えずに残った火のせいで 300 00:17:08,068 --> 00:17:10,988 体に害をなす空気が 部屋に充満しているんです 301 00:17:11,071 --> 00:17:13,282 (桜花)わ… 分かった 302 00:17:18,454 --> 00:17:20,581 (猫猫)気づくのが遅すぎたな 303 00:17:23,000 --> 00:17:25,377 (女官)ああ もう少しだったのに 304 00:17:29,256 --> 00:17:30,841 (猫猫)あの女官は… 305 00:17:35,304 --> 00:17:38,682 (桜花)ハァ… 何か バタバタだったわね 306 00:17:38,766 --> 00:17:41,393 主催者の女官もいなくなって 307 00:17:41,894 --> 00:17:42,978 (子翠)猫猫! 308 00:17:43,979 --> 00:17:45,272 (桜花)さっきの… 309 00:17:45,355 --> 00:17:47,191 (猫猫)知り合いの女官です 310 00:17:47,274 --> 00:17:50,652 ねえ 猫猫 さっきの話は何だったの? 311 00:17:50,736 --> 00:17:52,154 (猫猫)さっきの? 312 00:17:52,237 --> 00:17:54,907 (子翠)ほら 禁忌の森の話だよ 313 00:17:54,990 --> 00:17:56,283 (猫猫)ん… ああ 314 00:17:57,159 --> 00:18:00,245 禁忌の森なんていうのは 迷信でしょうが 315 00:18:00,329 --> 00:18:01,580 禁忌になったいわれが 316 00:18:01,663 --> 00:18:04,875 まったくないとは 言いきれないって思って 317 00:18:04,958 --> 00:18:05,918 (子翠)へえ… 318 00:18:06,001 --> 00:18:08,504 森は食べ物が豊かですが 319 00:18:08,587 --> 00:18:10,881 食べられないものも 豊富にあります 320 00:18:12,090 --> 00:18:14,093 他の土地から来た人間が 321 00:18:14,176 --> 00:18:17,721 森にあるものを食べて 体を壊してしまう 322 00:18:18,514 --> 00:18:21,934 すると“森のものを むやみに食べてはいけない” 323 00:18:22,017 --> 00:18:23,727 …と言われるようになるでしょう 324 00:18:24,311 --> 00:18:28,315 そして それは年月を経て 禁忌になります 325 00:18:28,398 --> 00:18:30,734 そのあとも 飢餓が起こった時には 326 00:18:30,818 --> 00:18:35,280 誰も 食べていいものと悪いものの 区別がつかなくなっていた 327 00:18:36,031 --> 00:18:40,285 あの話の親子は 不作の年で飢えていました 328 00:18:40,369 --> 00:18:44,540 掟(おきて)を破るのだから 暗くなり始めに森に入り 329 00:18:44,623 --> 00:18:46,166 食べ物を採って 330 00:18:46,250 --> 00:18:48,794 日が落ちると 家に帰ったのでしょう 331 00:18:49,628 --> 00:18:53,966 月夜茸(ツキヨダケ)という 平茸(ヒラタケ)に似た茸(キノコ)があります 332 00:18:54,049 --> 00:18:56,510 とてもおいしそうですが 毒があって 333 00:18:56,593 --> 00:18:59,054 暗くなると光る特徴があるんです 334 00:19:00,055 --> 00:19:03,809 夜道を歩くところを 村人が遠目に見たら 335 00:19:03,892 --> 00:19:06,061 人魂に見えたかもしれません 336 00:19:06,979 --> 00:19:09,106 毒性は強くありませんが 337 00:19:09,189 --> 00:19:13,193 飢えて体力が落ちた親子が 食べたら どうなるか 338 00:19:16,822 --> 00:19:21,076 母親は死に際に こう言いたかったのかもしれません 339 00:19:22,411 --> 00:19:26,415 (母親) おいしい茸が森の中にあるよ 340 00:19:27,791 --> 00:19:32,087 (猫猫)自分たち親子を見捨てた 村人への復讐(ふくしゅう)として 341 00:19:32,838 --> 00:19:34,548 そういうことだったんだ 342 00:19:34,631 --> 00:19:36,800 うん すっきりした! 343 00:19:36,884 --> 00:19:39,178 じゃあ 私 こっちだから 344 00:19:40,637 --> 00:19:41,847 (桜花)フン 345 00:19:41,930 --> 00:19:44,725 種が分かれば 大したことないじゃない 346 00:19:45,559 --> 00:19:48,937 きっと他の話も そういう裏があるんだわ 347 00:19:50,230 --> 00:19:52,399 さあ… どうでしょう? 348 00:19:52,482 --> 00:19:54,985 (桜花)そこは うなずいてよ! 349 00:19:57,237 --> 00:19:58,614 (桜花)戻りました 350 00:19:58,697 --> 00:20:01,575 (紅娘)あら 思ったより早かったのね 351 00:20:01,658 --> 00:20:03,911 (桜花) ちょっとした騒ぎがありまして 352 00:20:03,994 --> 00:20:05,621 (紅娘)まあ やっぱり… 353 00:20:05,704 --> 00:20:09,625 不慣れな人が仕切ると いろいろあるわよね 354 00:20:09,708 --> 00:20:11,126 (猫猫)不慣れな人? 355 00:20:11,210 --> 00:20:14,087 去年までやっていた女官が 亡くなったから 356 00:20:14,171 --> 00:20:17,424 今年は誰が引き継いだのか 心配だったのよ 357 00:20:17,507 --> 00:20:18,675 (桜花)えっ… 358 00:20:18,759 --> 00:20:22,512 (紅娘)気の利くいい人で 私も お世話になったのよ 359 00:20:22,596 --> 00:20:25,432 結局 後宮から 出られなかったのよね 360 00:20:26,016 --> 00:20:29,436 実は 先帝のお手つきになった方で 361 00:20:29,519 --> 00:20:32,648 あの集まりが 唯一の楽しみだったそうなのよ 362 00:20:33,690 --> 00:20:36,610 亡くなった翌年から 集まりがなくなるのも 363 00:20:36,693 --> 00:20:38,779 いかがなものかと思っていたから 364 00:20:38,862 --> 00:20:39,529 {\an8}(桜花のおびえる声) 365 00:20:39,529 --> 00:20:42,282 {\an8}(桜花のおびえる声) 366 00:20:39,529 --> 00:20:42,282 続けてくれる人がいて よかったわ 367 00:20:42,366 --> 00:20:44,284 (桜花)あっ あ… 368 00:20:44,868 --> 00:20:46,787 あの話… 369 00:20:47,454 --> 00:20:48,288 (猫猫)ハッ… 370 00:20:48,956 --> 00:20:52,125 (女官)先帝は 年端もいかぬ少女を選んでは 371 00:20:52,209 --> 00:20:54,336 その花を散らし 372 00:20:54,419 --> 00:20:55,837 手折られた少女たちは 373 00:20:55,921 --> 00:20:58,298 外に出ることを許されぬまま… 374 00:21:00,133 --> 00:21:04,054 (猫猫)あの女官の話は 己の身の上だったのか 375 00:21:04,763 --> 00:21:08,767 それとも 事情を知る誰かのいたずらか 376 00:21:11,645 --> 00:21:15,565 世の中 よく分からないことは たくさんあるものだ 377 00:21:16,650 --> 00:21:21,571 今宵は肝が冷える13の話を 楽しみましょう 378 00:21:22,906 --> 00:21:26,451 (猫猫)あの時 あの場には 年かさの女官を含めて 379 00:21:26,535 --> 00:21:28,578 12人しかいなかった 380 00:21:29,162 --> 00:21:33,917 とりあえず 13番目の怪談に ならずに済んでよかった 381 00:21:34,001 --> 00:21:36,169 -(猫猫)おお… -(桜花)ま… 猫猫 382 00:21:36,253 --> 00:21:37,087 はい 383 00:21:37,671 --> 00:21:41,258 (桜花)今晩 一緒に寝て~! 384 00:21:43,135 --> 00:21:46,430 (桜花のうなされる声) 385 00:21:46,513 --> 00:21:48,598 (猫猫)背筋が凍るどころか 386 00:21:48,682 --> 00:21:51,727 寝苦しい夜になったのだった 387 00:21:52,811 --> 00:21:54,229 暑苦しい… 388 00:22:16,585 --> 00:22:22,591 {\an8}♪~ 389 00:23:39,835 --> 00:23:43,839 {\an8}~♪