1 00:00:00,000 --> 00:01:25,080 ♬~ 2 00:01:34,060 --> 00:01:38,060 (壬氏) ならば 俺に化粧をしてくれないか? 3 00:01:38,060 --> 00:01:40,030 (猫猫) はい? 4 00:01:45,040 --> 00:01:47,570 《必要ないだろうに》 5 00:01:47,570 --> 00:01:49,610 ん? 6 00:01:49,610 --> 00:01:53,050 《歴史には くだらない戦が たくさんあるが➡ 7 00:01:53,050 --> 00:01:55,050 その中の幾つかは➡ 8 00:01:55,050 --> 00:01:58,050 傾国の美女によって 引き起こされている》 9 00:01:58,050 --> 00:02:03,060 《天上人のごとき美しさのご仁が 化粧なんてしたら…》 10 00:02:03,060 --> 00:02:05,060 国でも滅ぼす気ですか? 11 00:02:05,060 --> 00:02:07,060 なぜ そうなる! 12 00:02:07,060 --> 00:02:10,600 全く 何を想像しているんだか。 13 00:02:10,600 --> 00:02:14,170 お前のおしろいは どうやって作っている? 14 00:02:14,170 --> 00:02:18,540 《あぁ 美しくするのではなく くすませる方か》 15 00:02:18,540 --> 00:02:24,080 粘土を乾かして粉にしたものを 油で溶いています。 16 00:02:24,080 --> 00:02:26,080 それは すぐできるか? 17 00:02:26,080 --> 00:02:28,450 はい 一晩あれば。 18 00:02:30,050 --> 00:02:32,550 壬氏さまには少し濃過ぎますね。 19 00:02:32,550 --> 00:02:36,090 顔を変えられる 薬があれば便利なのだが。 20 00:02:36,090 --> 00:02:41,530 漆でも顔に付ければ十分ですが 一生 元には戻りません。 21 00:02:41,530 --> 00:02:43,560 だろうな。 22 00:02:43,560 --> 00:02:47,030 平民を装いたい ということでしたら➡ 23 00:02:47,030 --> 00:02:49,540 できないこともありませんけど。 24 00:02:49,540 --> 00:02:52,040 では それを頼む。 25 00:02:52,040 --> 00:02:55,540 俺を今と 全く違う姿の人間にしてくれ。 26 00:02:58,580 --> 00:03:01,080 一体 何をする気やら。 27 00:03:03,150 --> 00:03:04,620 ただ…。 28 00:03:06,050 --> 00:03:08,550 やるなら徹底的に! 29 00:03:08,550 --> 00:03:11,060 (風の音) 30 00:03:11,060 --> 00:03:13,560 う~ 寒い…。 31 00:03:13,560 --> 00:03:16,060 おはようござい…。 32 00:03:20,070 --> 00:03:22,570 《おぉ…》 33 00:03:22,570 --> 00:03:25,640 どうした? 朝から不機嫌だな。 34 00:03:25,640 --> 00:03:30,040 いえ 壬氏さまは 今日も一日 美しいのでしょう。 35 00:03:30,040 --> 00:03:32,040 新手の嫌みか? 36 00:03:32,040 --> 00:03:36,580 壬氏さまは本当に 別人になりたいとお思いですか? 37 00:03:36,580 --> 00:03:39,080 昨晩から そう言っているだろ。 38 00:03:39,080 --> 00:03:41,550 なら 失礼します。 39 00:03:45,060 --> 00:03:46,560 あっ…。 40 00:03:48,590 --> 00:03:50,630 (水蓮) あらまぁ。 41 00:03:50,630 --> 00:03:52,560 あっ… 何だ? いきなり。 42 00:03:52,560 --> 00:03:56,570 こんな上等な香をたく庶民は いません。 43 00:03:56,570 --> 00:04:01,040 今の壬氏さまの服は せいぜい下級官吏の普段着。 44 00:04:01,040 --> 00:04:04,040 海の向こうから取り寄せた 最高級の香木とは➡ 45 00:04:04,040 --> 00:04:06,580 縁がないはずです。 (嗅ぐ音) 46 00:04:06,580 --> 00:04:08,080 よく分かるな。 47 00:04:08,080 --> 00:04:13,150 薬草と毒草を見分けるため 鼻が利くようになっただけです。 48 00:04:13,150 --> 00:04:16,050 妓楼の上客の見分け方を 知っていますか? 49 00:04:16,050 --> 00:04:19,060 知らん 体形とか服とかか? 50 00:04:19,060 --> 00:04:22,560 それもありますが もう一つ においです。 51 00:04:22,560 --> 00:04:26,060 悪趣味な香を 幾つも漂わせている客は➡ 52 00:04:26,060 --> 00:04:30,070 金はあるが性病の可能性が高い。 53 00:04:30,070 --> 00:04:34,110 家畜臭いにおいがすれば 風呂に入らず不衛生。 54 00:04:34,110 --> 00:04:38,140 緑青館に来る いちげんの客は ほとんど追い返されます。 55 00:04:38,140 --> 00:04:40,080 ほう…。 56 00:04:40,080 --> 00:04:42,080 (羅漢)⦅そういうことは➡ 57 00:04:42,080 --> 00:04:45,050 その世界を知る者に 聞いた方が早い⦆ 58 00:04:46,550 --> 00:04:50,560 高順さま 替えの衣の準備を お願いできますか? 59 00:04:50,560 --> 00:04:54,590 できれば においの残っている 洗う前のものが好ましいです。 60 00:04:54,590 --> 00:04:56,130 まぁ。 61 00:04:56,130 --> 00:04:58,660 (高順) 分かりました。 おい。 62 00:04:58,660 --> 00:05:00,630 では その間に…。 63 00:05:04,070 --> 00:05:07,540 それは? 油と塩です。 64 00:05:07,540 --> 00:05:13,080 これで髪の光沢をなくして 質感を悪くしていきます。 65 00:05:13,080 --> 00:05:16,080 失礼いたします。 ん… うむ…。 66 00:05:17,580 --> 00:05:27,560 ♬~ 67 00:05:27,560 --> 00:05:30,060 《そろそろ いいかな》 68 00:05:31,060 --> 00:05:35,070 あら 何も そんな切れ端で結わなくても。 69 00:05:35,070 --> 00:05:38,570 平民は まとめられれば 何でもいいんです。 70 00:05:38,570 --> 00:05:42,040 これで本当によろしいのですか? 71 00:05:43,580 --> 00:05:46,110 クン クンクン…。 72 00:05:46,110 --> 00:05:49,580 もっと臭くてもいいくらいですね。 ヒィ…! 73 00:05:49,580 --> 00:05:52,050 壬氏さま 服を脱いでください。 74 00:05:52,050 --> 00:05:54,050 あ… ああ。 75 00:05:56,560 --> 00:05:58,060 あぁ…。 76 00:05:58,060 --> 00:06:00,560 《天女のようなお方ではあるが➡ 77 00:06:00,560 --> 00:06:03,560 均整の取れた筋肉質な作りだ》 78 00:06:05,060 --> 00:06:07,670 あちらの手拭いを使っても? 79 00:06:07,670 --> 00:06:10,670 構わないけど 何をするの? 80 00:06:10,670 --> 00:06:13,070 体形を変えていきます。 81 00:06:13,070 --> 00:06:16,540 すみません お2人も 手伝っていただけますか? 82 00:06:18,040 --> 00:06:21,580 高順さまは そちらを。 はい。 83 00:06:21,580 --> 00:06:24,550 水蓮さまは こちらを。 分かったわ。 84 00:06:24,550 --> 00:06:27,090 その上から服を着れば…。 85 00:06:27,090 --> 00:06:30,090 ほぉ~。 あらあら。 86 00:06:30,090 --> 00:06:31,620 お~。 87 00:06:31,620 --> 00:06:35,690 《不格好な体形に 壬氏さまの顔が付いているのは➡ 88 00:06:35,690 --> 00:06:37,560 何とも奇妙だな》 89 00:06:37,560 --> 00:06:40,570 次は顔です。 ん? 90 00:06:40,570 --> 00:06:44,070 色の濃いおしろいを 幾つか練りました。 91 00:06:44,070 --> 00:06:48,040 これで平民のような 日焼けした肌を作っていきます。 92 00:06:48,040 --> 00:06:50,080 目をつむってください。 93 00:06:50,080 --> 00:06:51,580 ああ。 94 00:06:54,580 --> 00:06:57,620 《近くで触っても 無駄にキレイだ》 95 00:06:57,620 --> 00:07:01,050 《ヒゲどころか毛穴も見えない》 96 00:07:01,050 --> 00:07:03,560 《女の化粧をすれば どんなに…》 97 00:07:03,560 --> 00:07:05,560 《ん?》 98 00:07:05,560 --> 00:07:07,060 《フフ~》 99 00:07:07,060 --> 00:07:08,560 《ニャニャニャニャ~》 100 00:07:08,560 --> 00:07:12,560 《あった~ 梅梅小姐に 押し付けられたやつ》 101 00:07:12,560 --> 00:07:14,070 なぁ まだか? 102 00:07:14,070 --> 00:07:18,170 口も閉じてもらえますか? 力は入れずに。 103 00:07:18,170 --> 00:07:20,140 ん? うん…。 104 00:07:28,050 --> 00:07:30,050 どうかしたのか? 105 00:07:30,050 --> 00:07:32,550 《この3人だけでよかった》 106 00:07:32,550 --> 00:07:36,050 《もし誰か別の者がいたら 大惨事だった》 107 00:07:36,050 --> 00:07:39,060 おい どうしたんだ? 108 00:07:39,060 --> 00:07:41,560 いえ 何でもありません。 109 00:07:41,560 --> 00:07:43,560 痛いぞ 何があったんだ? 110 00:07:43,560 --> 00:07:45,100 何もありません。 111 00:07:45,100 --> 00:07:48,170 何もないですよ。 はい 何もありませんわ。 112 00:07:48,170 --> 00:07:50,570 気を取り直して…。 113 00:07:50,570 --> 00:07:53,570 おしろいで顔にまだらを付け➡ 114 00:07:53,570 --> 00:07:56,580 さらに 濃い色でくまを作ります。 115 00:07:56,580 --> 00:07:58,580 ほくろを付け足し➡ 116 00:07:58,580 --> 00:08:03,580 眉は左右の大きさを変えながら 描いていく。 117 00:08:03,580 --> 00:08:08,120 余ったおしろいは 体の各所に塗ってシミを作り➡ 118 00:08:08,120 --> 00:08:12,190 爪の間にも詰めて 不衛生な手を作ります。 119 00:08:12,190 --> 00:08:14,060 《立派な男の手だ》 120 00:08:14,060 --> 00:08:16,560 《さすがに白魚の手とは…》 121 00:08:16,560 --> 00:08:19,060 《ん? たこがある》 122 00:08:19,060 --> 00:08:22,570 《普段 筆か箸くらいしか 持たないと思っていたが》 123 00:08:22,570 --> 00:08:26,570 《剣術か棒術を やっているのだろうか?》 124 00:08:26,570 --> 00:08:30,080 《本来 宦官には 必要ないはずだが…》 125 00:08:30,080 --> 00:08:34,150 《まぁ そんな くだらない質問を する必要はない》 126 00:08:34,150 --> 00:08:37,080 お~ 汚く見える。 127 00:08:37,080 --> 00:08:38,580 どうぞ。 128 00:08:38,580 --> 00:08:41,050 ん? 飲み物か? 129 00:08:43,560 --> 00:08:45,060 うっ! 130 00:08:45,060 --> 00:08:46,560 うわっ! 何だ これは。 131 00:08:46,560 --> 00:08:50,060 唇をぬらすように ゆっくりなめて 嚥下してください。 132 00:08:50,060 --> 00:08:53,130 唇と喉が腫れて 声が変わりますから。 133 00:08:53,130 --> 00:08:55,170 何が入っているの? 134 00:08:55,170 --> 00:08:57,070 数種の刺激物です。 135 00:08:57,070 --> 00:09:01,570 とても辛いですが 毒ではありませんので ご安心を。 136 00:09:01,570 --> 00:09:03,580 ん~…。 137 00:09:06,580 --> 00:09:08,550 全部 飲んでください。 138 00:09:08,550 --> 00:09:12,080 (ガラガラ声で) あ… あ…。 139 00:09:12,080 --> 00:09:15,150 最後の仕上げです。 140 00:09:15,150 --> 00:09:19,660 綿です 輪郭を変えるために 頬に含ませてください。 141 00:09:23,090 --> 00:09:26,060 フゥ… 完成です。 142 00:09:30,600 --> 00:09:33,570 まぁ ホントに坊ちゃん? 143 00:09:33,570 --> 00:09:36,040 坊ちゃんは やめてくれ。 144 00:09:36,040 --> 00:09:39,080 《それでも二枚目半くらいに 見えるのだから➡ 145 00:09:39,080 --> 00:09:41,610 元の良さは困ったものだ》 146 00:09:41,610 --> 00:09:45,620 《ともかく 自分にできることは全てやった》 147 00:09:48,050 --> 00:09:51,560 さぁて 久しぶりの里帰りだ。 148 00:09:51,560 --> 00:09:55,060 小猫 今日は実家に帰ると 言っていましたね。 149 00:09:55,060 --> 00:09:57,560 はい あしたまで暇をもらったので。 150 00:09:57,560 --> 00:09:59,060 えっ…。 151 00:09:59,060 --> 00:10:03,070 《高順さまにしては 珍しい表情だ》 152 00:10:03,070 --> 00:10:07,140 それなら 壬氏さまも 途中まで同じ道筋ですよね。 153 00:10:07,140 --> 00:10:09,670 え? 《ゲッ…》 154 00:10:09,670 --> 00:10:11,580 別人に変装したところで➡ 155 00:10:11,580 --> 00:10:15,580 いつもと同じ従者を連れていては おかしく思われるでしょう。 156 00:10:15,580 --> 00:10:18,580 (水蓮) あら それもそうね。 157 00:10:18,580 --> 00:10:21,550 うん うん。 壬氏さまも そう思いませんか? 158 00:10:21,550 --> 00:10:24,090 そうだな。 159 00:10:24,090 --> 00:10:26,590 お前が来れば助かるんだが。 160 00:10:26,590 --> 00:10:29,130 《いかん 壬氏さまも乗り気だ!》 161 00:10:29,130 --> 00:10:31,160 申し訳ありませんが➡ 162 00:10:31,160 --> 00:10:34,570 私が壬氏さまに付いても 代わり映えしないかと…。 163 00:10:34,570 --> 00:10:37,070 確かに地味な格好の主人には➡ 164 00:10:37,070 --> 00:10:40,070 地味な従者の方が しっくりくるかもしれませんが➡ 165 00:10:40,070 --> 00:10:43,580 私も部屋付きの下女として 知られていますし…。 166 00:10:43,580 --> 00:10:45,080 そのようなことは。 167 00:10:45,080 --> 00:10:48,580 なら 小猫も変装すれば いいんじゃない? 168 00:10:48,580 --> 00:10:51,120 え? それは いいですね。 169 00:10:51,120 --> 00:10:54,190 え⁉ お化粧用のハケや かんざし➡ 170 00:10:54,190 --> 00:10:56,050 いろいろ そろってるわよ。 171 00:10:56,050 --> 00:10:57,560 でも…。 172 00:10:57,560 --> 00:11:01,090 普段と似ても似つかない姿に なればいいのよね? 173 00:11:01,090 --> 00:11:02,060 うっ…。 174 00:11:02,060 --> 00:11:04,100 ねぇ~? 175 00:11:04,100 --> 00:11:06,060 は… はい…。 176 00:11:06,060 --> 00:11:08,570 《嫌な予感しかしない》 177 00:11:15,040 --> 00:11:17,540 壬氏さま 姿勢が美し過ぎます。 178 00:11:17,540 --> 00:11:19,540 あっ…。 179 00:11:19,540 --> 00:11:21,510 お前こそ その口調をやめろ。 180 00:11:21,510 --> 00:11:24,550 それに名前を言ったら 変装の意味がないだろ。 181 00:11:24,550 --> 00:11:27,590 では 何と呼べば よろしいのですか? 182 00:11:27,590 --> 00:11:30,120 そうだな… フッ。 183 00:11:30,120 --> 00:11:35,030 私のことは壬華とでも お呼びください お嬢さま。 184 00:11:35,030 --> 00:11:36,530 はぁ? 185 00:11:36,530 --> 00:11:40,530 格好からすれば 妥当だと思いますがね。 186 00:11:40,530 --> 00:11:43,030 《確かに…➡ 187 00:11:43,030 --> 00:11:45,040 水蓮さまの娘のもので➡ 188 00:11:45,040 --> 00:11:49,040 生地もデザインも仕立ても良く 古くさくもない➡ 189 00:11:49,040 --> 00:11:51,540 格好だけなら いいところの お嬢さまと言っても➡ 190 00:11:51,540 --> 00:11:53,610 おかしくないだろう》 191 00:11:53,610 --> 00:11:56,610 ん? ンフフ…。 192 00:11:56,610 --> 00:11:59,520 《何が そんなに楽しいんだ》 193 00:12:02,520 --> 00:12:06,060 こちらが地図です 小猫には…。 194 00:12:06,060 --> 00:12:10,030 お嬢さまのことは 私にお任せください。 195 00:12:10,030 --> 00:12:12,530 よろしくお願いします。 196 00:12:16,030 --> 00:12:19,070 では 壬華さま。 197 00:12:19,070 --> 00:12:20,540 ん? 198 00:12:23,140 --> 00:12:24,540 壬華。 199 00:12:24,540 --> 00:12:27,510 はい お嬢さま。 200 00:12:27,510 --> 00:12:30,520 姿勢が良過ぎる。 はっ! 201 00:12:35,520 --> 00:12:37,060 《壬華ねぇ》 202 00:12:37,060 --> 00:12:40,060 《それほど 奇をてらった偽名じゃないが➡ 203 00:12:40,060 --> 00:12:44,130 わざわざ「華」という字を 入れているのが何ともいえない》 204 00:12:44,130 --> 00:12:48,070 《壬氏という名もそうだが 男の名には あまり使わない》 205 00:12:48,070 --> 00:12:51,540 《やっぱり女装にした方が よかったかな》 206 00:12:53,540 --> 00:12:58,040 《いや 世の平和のために それだけは避けた方がいい》 207 00:12:58,040 --> 00:13:01,050 目的地は? 208 00:13:01,050 --> 00:13:04,120 花街の手前にある飯屋です。 209 00:13:04,120 --> 00:13:06,620 そこで知り合いと待ち合わせを。 210 00:13:08,190 --> 00:13:09,650 ハァ…。 211 00:13:11,060 --> 00:13:14,030 (馬閃) 何で私が護衛なんか…。 212 00:13:15,560 --> 00:13:18,060 しかも隠れながらって 意味が…。 213 00:13:18,060 --> 00:13:20,030 あっ。 214 00:13:20,030 --> 00:13:22,030 ん~…。 215 00:13:28,070 --> 00:13:32,640 《従者が主人より前に出るとは まだまだだな》 216 00:13:32,640 --> 00:13:35,050 壬華。 217 00:13:35,050 --> 00:13:37,550 申し訳ありません お嬢さま。 218 00:13:37,550 --> 00:13:39,550 よろしい。 219 00:13:42,550 --> 00:13:45,560 季節柄 まだ葉物は少ないな。 220 00:13:45,560 --> 00:13:47,560 ん? 221 00:13:47,560 --> 00:13:50,560 おっ! 小遣いも もらったことだし➡ 222 00:13:50,560 --> 00:13:53,130 鶏を絞めてもらって 一緒に煮付けようか…。 223 00:13:53,130 --> 00:13:55,670 買い物ですか? え? 224 00:13:55,670 --> 00:13:57,570 その格好で? 225 00:14:00,040 --> 00:14:01,540 ん…。 226 00:14:05,040 --> 00:14:08,510 《おやじに食わせて やりたかったのに》 227 00:14:08,510 --> 00:14:11,020 《医師としても薬師としても➡ 228 00:14:11,020 --> 00:14:15,050 右に出る者は いないくらい すごいおやじだが➡ 229 00:14:15,050 --> 00:14:17,120 何を間違ったのか➡ 230 00:14:17,120 --> 00:14:20,020 損得勘定というものが 欠落している》 231 00:14:20,020 --> 00:14:23,530 《おかげで本来 食いはぐれる ことがない仕事なのに➡ 232 00:14:23,530 --> 00:14:25,530 あんな あばら家に住んでいる》 233 00:14:25,530 --> 00:14:27,530 ♪~ フ~ン フフフ… 234 00:14:27,530 --> 00:14:31,000 《あまりに飢え死にしそうなら さすがに やり手婆が➡ 235 00:14:31,000 --> 00:14:34,040 飯を流し込むくらいは してくれるだろうけど…》 236 00:14:34,040 --> 00:14:36,510 ん~…。 237 00:14:39,110 --> 00:14:41,080 ん~! 238 00:14:43,510 --> 00:14:45,020 何ですか? 239 00:14:45,020 --> 00:14:47,020 何で黙っている? 240 00:14:47,020 --> 00:14:50,020 別に話すことがないから? 241 00:14:53,020 --> 00:14:55,530 《何か まずいことでも言ったか?》 242 00:14:55,530 --> 00:14:57,530 あっ…。 (嗅ぐ音) 243 00:14:57,530 --> 00:14:59,060 このにおいは…。 244 00:14:59,060 --> 00:15:00,600 焼き鳥~! 245 00:15:00,600 --> 00:15:03,640 ちょっと待っててください。 ん? 246 00:15:03,640 --> 00:15:07,110 おやじ 串焼き2本。 (男) あいよ。 247 00:15:08,540 --> 00:15:12,540 どうぞ 冷めないうちに食べましょう。 248 00:15:12,540 --> 00:15:14,050 ヒヒヒ…。 249 00:15:14,050 --> 00:15:17,020 フッ ああ。 250 00:15:21,520 --> 00:15:24,520 《香ばしい鶏皮 ジュワっと広がる脂》 251 00:15:24,520 --> 00:15:27,590 《宮廷では 食べられないんだよなぁ…》 252 00:15:27,590 --> 00:15:32,030 食べないんですか? この通り 毒はありませんよ。 253 00:15:32,030 --> 00:15:33,530 いや…。 254 00:15:33,530 --> 00:15:37,500 あぁ どうぞ。 255 00:15:46,040 --> 00:15:47,550 どうですか? 256 00:15:47,550 --> 00:15:50,580 うん 野営の時のより うまいな。 257 00:15:50,580 --> 00:15:52,620 塩がきいている。 258 00:15:52,620 --> 00:15:54,520 《野営? 宦官は普通➡ 259 00:15:54,520 --> 00:15:57,920 武官のような仕事は しないと思っていたが…》 260 00:15:59,520 --> 00:16:02,030 《それにしても うまそうに食べる》 261 00:16:02,030 --> 00:16:03,490 ジュル…。 262 00:16:05,530 --> 00:16:08,530 (水蓮) あら 高順 おかえりなさい。 263 00:16:08,530 --> 00:16:11,540 行李には触らないでね。 264 00:16:11,540 --> 00:16:14,070 柿渋を塗ったばかりだから。 265 00:16:14,070 --> 00:16:18,040 坊ちゃんのおもちゃよ 懐かしいでしょう? 266 00:16:18,040 --> 00:16:19,540 ええ。 267 00:16:19,540 --> 00:16:22,050 それで どうでした? 268 00:16:22,050 --> 00:16:24,520 すこぶる上機嫌でした。 269 00:16:24,520 --> 00:16:31,060 フフっ あなたにしては 気の利く提案をしたこと。 270 00:16:31,060 --> 00:16:33,560 一度 気に入った おもちゃがあれば➡ 271 00:16:33,560 --> 00:16:37,100 坊ちゃんは そればかりで遊んでいたわね。 272 00:16:37,100 --> 00:16:39,530 フフっ こっそり隠すと➡ 273 00:16:39,530 --> 00:16:43,030 手がつけられないくらい 泣いてしまって。 274 00:16:43,030 --> 00:16:46,040 あなたが新しいおもちゃを 持ってきては➡ 275 00:16:46,040 --> 00:16:49,070 どうにかしようと苦労してた。 276 00:16:49,070 --> 00:16:51,080 フゥ…。 277 00:16:51,080 --> 00:16:54,080 一つのものに執着する。 278 00:16:54,080 --> 00:16:58,480 壬氏さまは それが許される立場に ありませんから。 279 00:17:00,050 --> 00:17:02,550 そんなに急がなくても よいのでは? 280 00:17:02,550 --> 00:17:05,060 どなたかと 待ち合わせなんでしょう? 281 00:17:05,060 --> 00:17:08,560 早めに行った方が いいのではありませんか? 282 00:17:08,560 --> 00:17:12,030 俺と さっさと別れたいような 口ぶりだな。 283 00:17:12,030 --> 00:17:14,070 そうでしょうか? 284 00:17:14,070 --> 00:17:16,600 《確かに 別れたら もう一度戻って➡ 285 00:17:16,600 --> 00:17:19,570 大根と鶏を 買おうと思っているが》 286 00:17:19,570 --> 00:17:22,540 別に…。 ん? 287 00:17:22,540 --> 00:17:26,040 宮廷の生活も悪くないだろう。 288 00:17:27,550 --> 00:17:31,550 花街の生活より ずっといいと思うが。 289 00:17:31,550 --> 00:17:35,090 確かに悪くないですね。 290 00:17:35,090 --> 00:17:38,160 自分の意思で出仕してますし➡ 291 00:17:38,160 --> 00:17:41,060 与えられた部屋も キレイなものです。 292 00:17:41,060 --> 00:17:43,560 ただ… 1人残された養父が➡ 293 00:17:43,560 --> 00:17:47,530 ちゃんと生活できているか 心配ですので。 294 00:17:47,530 --> 00:17:49,530 どうしたんです? 295 00:17:49,530 --> 00:17:54,010 いや お前が薬や毒以外のことに 気を使うとは…。 296 00:17:54,010 --> 00:17:55,540 ムッ! 297 00:17:55,540 --> 00:17:57,580 養父は薬の師ですから➡ 298 00:17:57,580 --> 00:18:00,510 まだまだ長生きしてもらわねば 困るんですよ。 299 00:18:00,510 --> 00:18:04,050 よほど有能な薬師のようだな お前の養父は。 300 00:18:04,050 --> 00:18:08,020 漢方のみならず 西方の医術まで 心得がありますから。 301 00:18:08,020 --> 00:18:12,560 若い頃には西方に留学していた こともあったそうです。 302 00:18:12,560 --> 00:18:16,560 それは よほど優秀だったんじゃないか? 303 00:18:16,560 --> 00:18:20,130 留学は国に選ばれなければ 行けないはずだぞ。 304 00:18:20,130 --> 00:18:22,530 ええ すごい人です。 305 00:18:22,530 --> 00:18:27,040 「天は二物を与えず」といいますが 与えられた人間もいるんです。 306 00:18:27,040 --> 00:18:30,040 それは大層なご仁だな。 307 00:18:30,040 --> 00:18:34,050 そんなご仁が なぜ花街で薬屋を? 308 00:18:34,050 --> 00:18:37,580 運だけは ない人だからでしょうね。 309 00:18:37,580 --> 00:18:39,620 いくら二物を持っていても➡ 310 00:18:39,620 --> 00:18:42,090 いちもつを 取られてしまいましたから。 311 00:18:43,650 --> 00:18:47,560 それは お前の養父が 宦官だということか? 312 00:18:47,560 --> 00:18:49,530 そうですけど。 313 00:18:51,530 --> 00:18:56,530 《あ… 花街式ジョークが 滑ったのだろうか》 314 00:18:56,530 --> 00:18:59,540 《おやじは 西方への留学を理由に➡ 315 00:18:59,540 --> 00:19:05,610 先帝の母 すなわち 先の皇太后に 宦官にされてしまったらしい》 316 00:19:05,610 --> 00:19:09,050 宦官 薬師 医官…。 317 00:19:09,050 --> 00:19:12,020 《言ってなかったかな》 318 00:19:12,020 --> 00:19:13,520 あっ…。 319 00:19:13,520 --> 00:19:17,520 《あれかな? 上は宿屋で 下は食堂か》 320 00:19:17,520 --> 00:19:21,030 ちょっと寄ってって~。 おいおいおい…。 321 00:19:21,030 --> 00:19:23,030 《あぁ なるほど》 322 00:19:23,030 --> 00:19:27,600 《わざわざ 変装までした理由が分かった》 323 00:19:27,600 --> 00:19:30,540 なら花街まで 来てくれればよいものを…。 324 00:19:30,540 --> 00:19:33,040 ん? どういう意味だ? 325 00:19:33,040 --> 00:19:34,510 いえ。 326 00:19:36,040 --> 00:19:40,550 薬屋 お前 緑青館のなじみには 詳しいのか? 327 00:19:40,550 --> 00:19:44,020 え? まぁ 派手に立ち回る客であれば。 328 00:19:44,020 --> 00:19:46,050 どんなヤツがいる? 329 00:19:46,050 --> 00:19:49,050 秘密です 守秘義務があるので。 330 00:19:50,620 --> 00:19:52,120 では…。 331 00:19:54,030 --> 00:19:58,030 妓女の価値を下げるには どうすればいい? 332 00:19:58,030 --> 00:20:02,530 不愉快なことを聞きますね。 333 00:20:02,530 --> 00:20:05,540 ハァ…。 334 00:20:05,540 --> 00:20:10,040 いくらでもありますよ 特に上位の妓女ならば。 335 00:20:10,040 --> 00:20:14,610 緑青館では 禿時代に 一通りの教育を済ませます。 336 00:20:14,610 --> 00:20:19,520 その中で容貌の良い者と そうでない者に分けられ➡ 337 00:20:19,520 --> 00:20:22,520 後者は顔見世が終わると すぐ客を取り➡ 338 00:20:22,520 --> 00:20:24,520 身を売ることになります。 339 00:20:24,520 --> 00:20:28,030 一方 見込みのある者は 茶飲みから始まり➡ 340 00:20:28,030 --> 00:20:30,030 教養で客を取ります。 341 00:20:30,030 --> 00:20:32,530 値は どんどん つり上がり➡ 342 00:20:32,530 --> 00:20:35,030 上がったところで 露出を減らすと➡ 343 00:20:35,030 --> 00:20:39,600 茶飲みだけで1年の銀が尽きる 売れっ子妓女が出来上がります。 344 00:20:39,600 --> 00:20:42,040 身請けまで 客に一度も➡ 345 00:20:42,040 --> 00:20:45,040 手を付けられない といったこともあります。 346 00:20:45,040 --> 00:20:49,010 手付かずの花だからこそ 価値があるのです。 347 00:20:49,010 --> 00:20:52,020 手折れば それだけで価値は半減します。 348 00:20:52,020 --> 00:20:55,020 さらに➡ 349 00:20:55,020 --> 00:21:00,090 子をはらませれば 価値などないに等しくなります。 350 00:21:00,090 --> 00:21:01,560 あっ…。 351 00:21:06,530 --> 00:22:35,590 ♬~