1 00:00:01,034 --> 00:00:21,088 ♬~ 2 00:00:21,088 --> 00:00:30,564 ♬~ 3 00:00:30,564 --> 00:00:43,577 ♬~ 4 00:00:43,577 --> 00:01:03,063 ♬~ 5 00:01:03,063 --> 00:01:07,567 ♬~ 6 00:01:07,567 --> 00:01:17,544 ♬~ 7 00:01:17,544 --> 00:01:28,555 ♬~ 8 00:01:36,096 --> 00:01:38,565 (壬氏) ちと面倒なことなんだが…。 9 00:01:38,565 --> 00:01:41,568 (猫猫)《ん? いつもなら有無を言わせず➡ 10 00:01:41,568 --> 00:01:43,570 面倒事を持ってくるのに》 11 00:01:43,570 --> 00:01:47,074 《壬氏さまに あるまじきセリフだな》 12 00:01:47,074 --> 00:01:49,076 何でしょうか? 13 00:01:49,076 --> 00:01:52,145 実は 俺の知り合いの➡ 14 00:01:52,145 --> 00:01:55,182 そのまた知り合いの もめ事なんだが…。 15 00:01:55,182 --> 00:02:00,587 宮廷御用達の彫金細工師が 弟子である息子たちに➡ 16 00:02:00,587 --> 00:02:05,058 技術を継承しないまま 死んだらしい。 17 00:02:05,058 --> 00:02:07,060 その中には よそでは一切➡ 18 00:02:07,060 --> 00:02:10,097 伝えられていないものも あるという。 19 00:02:10,097 --> 00:02:15,569 つまり 彫金細工師の秘伝が 分かればいいということですね。 20 00:02:15,569 --> 00:02:18,638 簡単に言ってのけるなぁ。 21 00:02:18,638 --> 00:02:22,576 それに 何だか 妙に乗り気じゃないか? 22 00:02:22,576 --> 00:02:26,079 あ… そうでしょうか? 23 00:02:26,079 --> 00:02:28,081 ハァ…。 24 00:02:28,081 --> 00:02:32,552 彫金師には3人の息子がいて 皆 弟子をしており➡ 25 00:02:32,552 --> 00:02:35,088 父親が死んだ後は そのうちの誰かが➡ 26 00:02:35,088 --> 00:02:38,091 御用達になるといわれている。 27 00:02:38,091 --> 00:02:43,130 父親が残した遺言には 形見分けの品が書かれていた。 28 00:02:43,130 --> 00:02:46,566 長男には 離れの作業小屋。 29 00:02:46,566 --> 00:02:49,569 次男には 細工の施された家具。 30 00:02:49,569 --> 00:02:52,572 三男には 金魚鉢。 31 00:02:52,572 --> 00:02:54,074 そして 一言➡ 32 00:02:54,074 --> 00:02:59,079 「皆 昔のように茶会でも するといい」と言い残した。 33 00:02:59,079 --> 00:03:03,617 茶会? 随分 意味深な遺言ですね。 34 00:03:03,617 --> 00:03:09,556 そのままの意味なのか それとも別の意味があるのか。 35 00:03:09,556 --> 00:03:13,060 遺言を聞いた当人たちも さっぱりらしい。 36 00:03:13,060 --> 00:03:18,065 それに形見分けにも かなり格差があります。 37 00:03:18,065 --> 00:03:21,568 小屋と家具と金魚鉢となると➡ 38 00:03:21,568 --> 00:03:25,572 どう見ても下の子ほど 損をしている気がする。 39 00:03:25,572 --> 00:03:28,108 どういう品なのでしょうか? 40 00:03:28,108 --> 00:03:30,644 そこまで詳しくは聞いていない。 41 00:03:30,644 --> 00:03:32,279 ただ…。 42 00:03:32,279 --> 00:03:37,284 (羅漢) ⦅もし気になるようでしたら こちらが住所です⦆ 43 00:03:38,051 --> 00:03:42,556 「気になるなら行ってみればいい」 ということだ。 44 00:03:44,558 --> 00:03:47,060 《準備がいい》 45 00:03:47,060 --> 00:03:51,565 《最初から こうなることを 読んでいたみたいだ 面白い》 46 00:03:51,565 --> 00:03:55,535 あした お時間を頂けるのであれば。 47 00:03:57,104 --> 00:03:58,672 うむ。 48 00:03:58,672 --> 00:04:02,142 《戻ったら 仕事を増やされるんだろうな》 49 00:04:06,046 --> 00:04:07,547 ん? 50 00:04:07,547 --> 00:04:12,052 《おや? あれは… 確か馬閃といったか?》 51 00:04:12,052 --> 00:04:16,056 (馬閃) 前も そうだったが お前は お付きという形だ。 52 00:04:16,056 --> 00:04:18,058 勝手に動くなよ。 53 00:04:18,058 --> 00:04:20,560 分かりました。 54 00:04:20,560 --> 00:04:25,098 《前も そうだったが 必要最低限しか話さない》 55 00:04:25,098 --> 00:04:28,168 《こちらを嫌っているようだ》 56 00:04:28,168 --> 00:04:31,538 《害がないのなら 別にそれでいい》 57 00:04:33,540 --> 00:04:37,043 (扉をたたく音) ⚟はい⚞ 58 00:04:38,578 --> 00:04:40,580 馬閃さまですね。 59 00:04:40,580 --> 00:04:42,549 お話は聞いています。 60 00:04:43,550 --> 00:04:45,018 《ん?》 61 00:04:49,556 --> 00:04:52,626 あぁ それは父のものです。 62 00:04:52,626 --> 00:04:56,062 妙なものを 集める趣味がありまして。 63 00:04:56,062 --> 00:04:58,064 へぇ…。 64 00:04:58,064 --> 00:05:01,034 (馬閃) あれが作業小屋ですか。 65 00:05:01,034 --> 00:05:05,572 はい… と言っても 今は母屋で作業をしていて➡ 66 00:05:05,572 --> 00:05:08,542 職人たちの茶飲み場に なっているんです。 67 00:05:10,544 --> 00:05:12,078 どうぞ。 68 00:05:12,078 --> 00:05:15,615 兄さんたち 連れてきたよ。 69 00:05:15,615 --> 00:05:18,051 おう。 わざわざ どうも。 70 00:05:18,051 --> 00:05:23,056 《「兄さんたち」ということは 案内役が末っ子ということか》 71 00:05:23,056 --> 00:05:25,058 変わった家具の配置だな。 72 00:05:25,058 --> 00:05:27,060 (小声で) お… おい。 73 00:05:27,060 --> 00:05:31,064 《確かに 普通 こんな真ん中に 置いたら邪魔だろう》 74 00:05:31,064 --> 00:05:34,100 《それでも 部屋の見た目が悪くないのは➡ 75 00:05:34,100 --> 00:05:37,637 テーブルの配置の妙な統一感と➡ 76 00:05:37,637 --> 00:05:40,640 タンスの シャレた雰囲気のせいか》 77 00:05:43,543 --> 00:05:46,546 《角には 彫金細工がはめられている》 78 00:05:46,546 --> 00:05:51,551 《一番上の3列と その下の中央の引き出しに鍵穴》 79 00:05:51,551 --> 00:05:56,056 《ここだけアクセントに 違う金属が使われて…》 80 00:05:56,056 --> 00:05:57,557 ん? 81 00:05:57,557 --> 00:06:00,060 《動かないように 固定されてる?》 82 00:06:00,060 --> 00:06:02,095 おい それは俺のもんだ。 83 00:06:02,095 --> 00:06:06,066 見るのはいいが触るんじゃないぞ。 84 00:06:06,066 --> 00:06:10,036 《確か 次男に 形見分けされたものは家具》 85 00:06:10,036 --> 00:06:11,538 フンっ。 86 00:06:11,538 --> 00:06:14,040 《それが このタンスのことを指すなら➡ 87 00:06:14,040 --> 00:06:17,043 この男が次男なのだろう》 88 00:06:17,043 --> 00:06:21,548 《ならば 残る長身の男が 長男ということになる》 89 00:06:24,618 --> 00:06:27,587 《窓の位置も変わってるな》 90 00:06:27,587 --> 00:06:30,056 《西洋風で妙に長い窓》 91 00:06:30,056 --> 00:06:32,559 《せっかく 日がたくさん入る造りなのに➡ 92 00:06:32,559 --> 00:06:37,097 外にある大きな栗の木のせいで 台無しにされている》 93 00:06:37,097 --> 00:06:40,100 《部屋に入る光は木漏れ日》 94 00:06:40,100 --> 00:06:44,104 《まともに光が入るのは この1か所だけか》 95 00:06:44,104 --> 00:06:45,639 ん? 96 00:06:45,639 --> 00:06:49,576 《この跡 長い間 何かが置かれていたのか?》 97 00:06:49,576 --> 00:06:53,580 本当に分かるんですかね 親父の残したものについて。 98 00:06:53,580 --> 00:06:55,582 それは…。 99 00:06:58,585 --> 00:07:00,086 んっ…。 100 00:07:01,588 --> 00:07:04,057 話をもっと 詳しく聞かせてもらわないと➡ 101 00:07:04,057 --> 00:07:06,092 何とも言えない。 102 00:07:06,092 --> 00:07:09,162 ハァ… もう聞いての通りですよ。 103 00:07:09,162 --> 00:07:12,565 親父は秘伝の技術を教えずに あの世へ逝っちまった。 104 00:07:12,565 --> 00:07:16,569 んでもって 俺に残したのは この小屋だ。 105 00:07:16,569 --> 00:07:19,539 俺には このタンスだな。 106 00:07:19,539 --> 00:07:22,542 ぼ… 僕には これです。 107 00:07:22,542 --> 00:07:24,577 《高価なガラス製》 108 00:07:24,577 --> 00:07:29,049 《金魚鉢は木製か せいぜい陶器製だと思っていた》 109 00:07:29,049 --> 00:07:31,618 《それだと 3人の形見分けの品は➡ 110 00:07:31,618 --> 00:07:34,154 それぞれに価値があると いえるだろう》 111 00:07:34,154 --> 00:07:35,555 (次男) ハァ…。 112 00:07:35,555 --> 00:07:41,061 親父は何を考えてんだか… せっかく形見としてもらっても➡ 113 00:07:41,061 --> 00:07:44,564 鍵は1つしかないし 鍵穴に入りやしねえ。 114 00:07:44,564 --> 00:07:46,533 (馬閃) 鍵穴に入らない? 115 00:07:46,533 --> 00:07:49,536 多分 これが 中央の引き出しの鍵なんだが➡ 116 00:07:49,536 --> 00:07:51,571 穴に入らねえんだよ。 117 00:07:51,571 --> 00:07:56,142 上の3つの引き出しは 全部 同じ鍵で開くらしいけど➡ 118 00:07:56,142 --> 00:07:59,045 肝心の鍵は どこにもない。 119 00:07:59,045 --> 00:08:02,082 これじゃ 形見をもらった意味がねえよ。 120 00:08:02,082 --> 00:08:04,050 俺だって。 121 00:08:04,050 --> 00:08:06,553 小屋をもらっても タンスを動かせないんじゃ➡ 122 00:08:06,553 --> 00:08:09,556 邪魔で仕方ない 全く いい迷惑だ。 123 00:08:09,556 --> 00:08:12,092 (末っ子) 親父は…。 (長男) ん? 124 00:08:12,092 --> 00:08:15,095 お… 親父は僕たちに…。 125 00:08:15,095 --> 00:08:17,130 お前は いいよな。 126 00:08:17,130 --> 00:08:19,566 さっさと金に換えられるものを もらったんだから。 127 00:08:19,566 --> 00:08:21,534 そうだぜ。 128 00:08:21,534 --> 00:08:25,572 そんなんでも しばらく 食うには困らない金にはなるぞ。 129 00:08:25,572 --> 00:08:28,074 親父も訳が分かんないぜ。 130 00:08:28,074 --> 00:08:31,945 今更 みんなで茶会をして 何になるんだよ。 131 00:08:34,047 --> 00:08:36,082 《はてはて どうしたものか…》 132 00:08:36,082 --> 00:08:41,654 《兄2人と末っ子の関係は 随分 冷めているみたいだ》 133 00:08:41,654 --> 00:08:44,057 3人とも およしなさい! 134 00:08:44,057 --> 00:08:47,560 お客さまの前で みっともないですよ。 135 00:08:47,560 --> 00:08:49,062 ごめんなさいね。 136 00:08:49,062 --> 00:08:51,564 いつから こんなふうに なってしまったのか…。 137 00:08:51,564 --> 00:08:55,068 長男も次男も ひねくれてしまって➡ 138 00:08:55,068 --> 00:08:57,537 末っ子は自分の意見も言えない。 139 00:08:57,537 --> 00:08:59,606 こんな調子だから➡ 140 00:08:59,606 --> 00:09:04,177 主人も最期の最期まで 心配していたんです。 141 00:09:04,177 --> 00:09:06,045 《親というものは➡ 142 00:09:06,045 --> 00:09:10,049 子が幾つになっても 気苦労が絶えないんだな》 143 00:09:12,052 --> 00:09:14,053 お茶をどうぞ。 144 00:09:14,053 --> 00:09:15,522 では…。 145 00:09:17,057 --> 00:09:20,560 (扉の開閉音) 146 00:09:20,560 --> 00:09:24,130 《全員わざわざ 移動して座ったということは➡ 147 00:09:24,130 --> 00:09:27,067 定位置が決まっているんだろう》 148 00:09:27,067 --> 00:09:31,037 《窓の前を避けてるのは ただの習慣か》 149 00:09:31,037 --> 00:09:35,074 《ちょうど この時間は 窓から光が差しているし➡ 150 00:09:35,074 --> 00:09:38,578 もう少し光が伸びたら タンスに当たりそうだが➡ 151 00:09:38,578 --> 00:09:42,048 タンスに日焼けの跡はなかった》 152 00:09:42,048 --> 00:09:44,050 《焼けた跡?》 153 00:09:45,585 --> 00:09:47,087 (小声で) おい。 154 00:09:50,156 --> 00:09:54,661 《日が当たるのは そんなに長い時間じゃ ない》 155 00:10:05,071 --> 00:10:08,074 《ん? 中に何か詰まってる?》 156 00:10:08,074 --> 00:10:10,577 (馬閃) 何か分かったのか? 157 00:10:10,577 --> 00:10:14,080 《ハッ! 誰かに似ていると思ったら➡ 158 00:10:14,080 --> 00:10:17,717 こいつは高順に似ているのだな》 159 00:10:17,717 --> 00:10:20,086 (高順)⦅ハァ…⦆ ⦅ハァ…⦆ 160 00:10:20,086 --> 00:10:22,155 (馬閃) それで? 161 00:10:22,155 --> 00:10:25,558 鍵がある 真ん中の引き出しは 開かないんですよね? 162 00:10:25,558 --> 00:10:27,527 昔は開いたんだが➡ 163 00:10:27,527 --> 00:10:32,065 親父が細工しているうちに 開かなくなっちまったらしい。 164 00:10:32,065 --> 00:10:34,067 鍵は1つ? 165 00:10:34,067 --> 00:10:36,069 これしかねえよ。 166 00:10:36,069 --> 00:10:41,107 親父のヤツ 鍵を壊したら 中のものも壊れるとか言ってよ➡ 167 00:10:41,107 --> 00:10:44,077 強引に開けるわけにも いかないんだ。 168 00:10:45,545 --> 00:10:49,048 《兄弟たちに それぞれ渡された形見の品》 169 00:10:49,048 --> 00:10:53,052 《小屋 タンス 金魚鉢》 170 00:10:53,052 --> 00:10:56,055 《小屋には固定されたタンス》 171 00:10:56,055 --> 00:10:58,558 《タンスには開かない鍵》 172 00:10:58,558 --> 00:11:00,126 《そして…》 173 00:11:00,126 --> 00:11:04,130 ⦅「皆 昔のように 茶会でもするといい」⦆ 174 00:11:07,167 --> 00:11:09,068 もしかして…。 175 00:11:09,068 --> 00:11:10,537 ハッ! 176 00:11:16,075 --> 00:11:19,078 すみません 金魚鉢は元々➡ 177 00:11:19,078 --> 00:11:21,548 あそこの棚に 飾っていたのではないですか? 178 00:11:21,548 --> 00:11:24,551 えっ… ええ そうですけど。 179 00:11:24,551 --> 00:11:28,555 昔は金魚を入れて ここに置いていたんです。 180 00:11:28,555 --> 00:11:31,124 寒くなると死んでしまうので➡ 181 00:11:31,124 --> 00:11:34,661 冬場は 茶会をする暖かい昼間だけ。 182 00:11:34,661 --> 00:11:37,063 ちょうど今みたいな時間です。 183 00:11:37,063 --> 00:11:42,569 ここ数年は 金魚を飼うこともなく ただの置物になってますけど。 184 00:11:42,569 --> 00:11:44,037 《ふ~ん》 185 00:11:45,538 --> 00:11:47,073 おい お前! 186 00:11:47,073 --> 00:11:49,075 ちょっと 水をもらいに行ってきます。 187 00:11:49,075 --> 00:11:52,579 (扉を開ける音) また勝手に動きやがって。 188 00:11:58,084 --> 00:12:01,054 昔は こうやって 水を入れていたと? 189 00:12:01,054 --> 00:12:02,555 ええ そうです。 190 00:12:02,555 --> 00:12:06,059 ちょうど この絵柄が こちらに向くように。 191 00:12:08,561 --> 00:12:10,063 やっぱり。 192 00:12:10,063 --> 00:12:14,133 (末っ子) あっ…。 (次男) おい 何だこりゃ! 193 00:12:14,133 --> 00:12:15,668 ん? 194 00:12:15,668 --> 00:12:17,070 触るな! ヒッ! 195 00:12:17,070 --> 00:12:21,107 すみません 目に入ると失明してしまいます。 196 00:12:21,107 --> 00:12:25,578 あと 邪魔なので離れてください 鍵が開きませんよ。 197 00:12:33,586 --> 00:12:36,089 (何かが焼ける音) 198 00:12:38,625 --> 00:12:41,628 栗の木の陰に入ったようですね。 199 00:12:44,030 --> 00:12:46,532 熱い それに妙なにおいがする。 200 00:12:46,532 --> 00:12:49,035 (次男) おい 何の意味があるんだ? 201 00:12:49,035 --> 00:12:53,039 では先ほどの鍵で この引き出しを開けてください。 202 00:12:53,039 --> 00:12:56,042 だから 入らないって言ってるだろうが。 203 00:12:56,042 --> 00:12:57,543 どうぞ。 204 00:12:57,543 --> 00:12:59,012 フンっ。 205 00:13:01,080 --> 00:13:03,116 (鍵が開く音) えっ? 206 00:13:03,116 --> 00:13:05,551 ど… どういうことだ? 207 00:13:05,551 --> 00:13:07,553 もしかして お父上は➡ 208 00:13:07,553 --> 00:13:11,557 貧血や腹痛などを 繰り返していませんでしたか? 209 00:13:11,557 --> 00:13:13,526 (末っ子) はい そうですが。 210 00:13:13,526 --> 00:13:16,029 他に吐き気や気鬱なども。 211 00:13:16,029 --> 00:13:18,031 ありました。 212 00:13:18,031 --> 00:13:22,068 私は彫金細工について よく知りませんが➡ 213 00:13:22,068 --> 00:13:25,138 ここではハンダも 使っているのでしょうか? 214 00:13:25,138 --> 00:13:27,040 (末っ子) ええ 使ってます。 215 00:13:27,040 --> 00:13:28,541 どういうことだ? 216 00:13:28,541 --> 00:13:30,543 私は ただ➡ 217 00:13:30,543 --> 00:13:35,548 「皆で昔と同じように茶会をしろ」 という遺言に従っただけです。 218 00:13:38,051 --> 00:13:40,019 鍵の鋳型ですね。 219 00:13:40,019 --> 00:13:42,055 型から抜いても よろしいでしょうか? 220 00:13:42,055 --> 00:13:44,090 あ… ああ。 221 00:13:44,090 --> 00:13:48,061 《まだ少し温かい それに柔らかい》 222 00:13:48,061 --> 00:13:51,531 《鍵穴に詰まっていた金属が 熱で溶けて➡ 223 00:13:51,531 --> 00:13:55,034 その下の型に流れて 固まったのだろう》 224 00:13:57,537 --> 00:13:59,038 (鍵が開く音) 225 00:14:03,042 --> 00:14:07,080 あ… 開いたぞ! 中身は? 226 00:14:07,080 --> 00:14:09,115 (次男) ん? 何だこりゃ? 227 00:14:09,115 --> 00:14:11,551 《この青みがかった結晶は➡ 228 00:14:11,551 --> 00:14:15,555 玄関先に飾られていたものと 同じみたいだ》 229 00:14:15,555 --> 00:14:19,525 チックショウ… 何が みんな仲良くだよ! 230 00:14:19,525 --> 00:14:23,029 結局 親父の最後のイタズラに 振り回されて終わりかよ! 231 00:14:23,029 --> 00:14:25,031 やってらんねえ。 232 00:14:25,031 --> 00:14:28,101 鉛と錫? 233 00:14:28,101 --> 00:14:30,636 《技は見て盗めとか➡ 234 00:14:30,636 --> 00:14:34,040 職人気質の客人が昔 言ってたな》 235 00:14:34,040 --> 00:14:37,543 《それを真に受けて おやじが採ってきた薬草を➡ 236 00:14:37,543 --> 00:14:41,114 見よう見まねで煎じて 中毒を起こして…》 237 00:14:41,114 --> 00:14:43,549 (羅門)⦅まずは聞きなさい⦆ 238 00:14:43,549 --> 00:14:46,052 《…と諭されたこともある》 239 00:14:46,052 --> 00:14:49,555 《恐らく 死んだ父親の意図を 理解できたのは➡ 240 00:14:49,555 --> 00:14:51,591 末っ子だけだろう》 241 00:14:51,591 --> 00:14:55,528 《ハンダは数種類の金属を 混ぜ合わせることで➡ 242 00:14:55,528 --> 00:15:00,032 本来 個々で溶ける温度より 低い温度で溶けるという》 243 00:15:00,032 --> 00:15:03,536 《3つの塊のうち 2つは鉛と錫》 244 00:15:03,536 --> 00:15:06,539 《そして もう一つの塊を 合わせることで➡ 245 00:15:06,539 --> 00:15:10,042 新しい金属が出来るとすれば どうだろう?》 246 00:15:10,042 --> 00:15:14,113 《しかも 金魚鉢で集約した 光の熱とはいえ➡ 247 00:15:14,113 --> 00:15:17,550 さして当たった時間は 長くなかった》 248 00:15:17,550 --> 00:15:20,553 《それだけ溶ける温度が 低いということだ》 249 00:15:20,553 --> 00:15:22,555 《大きさが違う引き出しは➡ 250 00:15:22,555 --> 00:15:26,559 配合の比率に 関係しているのかもしれないが➡ 251 00:15:26,559 --> 00:15:29,562 これ以上 口を出す必要はない》 252 00:15:29,562 --> 00:15:33,099 何が遺言だ 行くぞ! 253 00:15:33,099 --> 00:15:35,635 親父に期待して損したぜ。 254 00:15:35,635 --> 00:15:38,571 あっ 待ってよ 兄さん! あ? 255 00:15:38,571 --> 00:15:40,606 (末っ子) イタズラなんかじゃ ない。 256 00:15:40,606 --> 00:15:43,576 だったら 何だってんだよ? 257 00:15:43,576 --> 00:15:47,547 やっぱり 親父は僕たち兄弟に 仲良くしてほしくて➡ 258 00:15:47,547 --> 00:15:51,083 遺言を残したんだ。 (2人) あ? 259 00:15:51,083 --> 00:15:53,586 (末っ子) だから 僕は…➡ 260 00:15:53,586 --> 00:15:58,057 これからも兄さんたちと 一緒にやっていきたい! 261 00:16:01,561 --> 00:16:06,065 フッ… 一緒に? 俺たちと? 262 00:16:06,065 --> 00:16:10,570 笑わせんな お前は俺たちとは違う。 263 00:16:10,570 --> 00:16:12,572 才能のあるお前は➡ 264 00:16:12,572 --> 00:16:17,076 親父に特別に かわいがられてたからな。 265 00:16:17,076 --> 00:16:19,111 そんなことない! 266 00:16:19,111 --> 00:16:23,149 親父は兄さんたちのことを 信頼していた。 267 00:16:23,149 --> 00:16:25,551 いつも僕に言ってたんだ。 268 00:16:25,551 --> 00:16:31,057 (末っ子の声) チャン兄さんは いつも冷静で 細かな作業も正確にこなす。 269 00:16:31,057 --> 00:16:34,060 ミスがないから 何だって任せられるって。 270 00:16:34,060 --> 00:16:38,064 ツー兄さんは 人の心をつかむのがうまい。 271 00:16:38,064 --> 00:16:44,670 誰とでも打ち解けられるのは 兄さんの誇れる才能だって。 272 00:16:44,670 --> 00:16:48,074 (末っ子の声) 親父は僕たち兄弟のことを➡ 273 00:16:48,074 --> 00:16:50,576 同じように見ていた。 274 00:16:57,083 --> 00:17:00,453 少なくとも僕はそう思う。 275 00:17:03,589 --> 00:17:07,126 失礼。 あっ… すみません。 276 00:17:07,126 --> 00:17:09,562 《父親》 277 00:17:09,562 --> 00:17:12,532 《まぁ 私には関係ないことだ》 278 00:17:12,532 --> 00:17:15,568 ありがとうございました。 279 00:17:15,568 --> 00:17:18,537 《だけど これだけは伝えておこう》 280 00:17:18,537 --> 00:17:20,540 おい。 281 00:17:22,074 --> 00:17:27,113 花街の緑青館という店に 羅門という薬師がいます。 282 00:17:27,113 --> 00:17:29,181 医術の腕も確かなので➡ 283 00:17:29,181 --> 00:17:32,552 何か体調が悪いようであれば 訪ねてみてください。 284 00:17:32,552 --> 00:17:34,553 あっ… はい。 285 00:17:48,568 --> 00:17:51,103 (羅漢) 先日は どうも。 286 00:17:51,103 --> 00:17:55,174 いやはや なかなか 面白いことになったよ。 287 00:17:55,174 --> 00:17:57,043 やはり あの3兄弟➡ 288 00:17:57,043 --> 00:18:01,547 一番できるのは 末の息子だったようですね。 289 00:18:01,547 --> 00:18:04,550 《軍師殿には 分かっていたのだろう》 290 00:18:04,550 --> 00:18:09,555 あの後 末っ子がめきめきと 力を見せ出しましてね。 291 00:18:09,555 --> 00:18:15,628 後継者になって 宮廷に出す細工を 扱うといわれています。 292 00:18:15,628 --> 00:18:17,663 長男と次男は今回の件で➡ 293 00:18:17,663 --> 00:18:21,033 職人から 足を洗うことにしたそうです。 294 00:18:21,033 --> 00:18:23,069 ん? それは…。 295 00:18:23,069 --> 00:18:26,572 なぁに 悪いことではないでしょう。 296 00:18:26,572 --> 00:18:31,577 死んだ父親の思いを くみ取ったとでも言いますか。 297 00:18:31,577 --> 00:18:34,580 長男は 売り上げの管理。 298 00:18:34,580 --> 00:18:37,083 次男は 販路の開拓。 299 00:18:37,083 --> 00:18:42,655 それぞれ別の方面から 家業を支えることにしたそうです。 300 00:18:42,655 --> 00:18:47,526 まぁ 要するに適材適所に 落ち着いたということですな。 301 00:18:47,526 --> 00:18:49,528 フッ…。 302 00:18:49,528 --> 00:18:53,032 《屋敷で 何があったかは分からない》 303 00:18:53,032 --> 00:18:57,536 《きっと あの薬師の娘は 知ってて黙っているだろう》 304 00:18:57,536 --> 00:19:02,041 最後に先代が作った細工は 素晴らしかった。 305 00:19:02,041 --> 00:19:07,146 あれは単なる金具でしたが 祭具に あの細工を使うと➡ 306 00:19:07,146 --> 00:19:11,050 映えるでしょうなぁ。 307 00:19:11,050 --> 00:19:13,052 そうですね。 308 00:19:13,052 --> 00:19:15,021 《いやらしい男だ》 309 00:19:15,021 --> 00:19:17,056 《本来 私の立場に➡ 310 00:19:17,056 --> 00:19:20,059 祭具など関係ないと 分かっているだろうに》 311 00:19:20,059 --> 00:19:22,028 なぜ軍師殿が そんな職人…。 312 00:19:22,028 --> 00:19:25,598 いや何 埋もれた才能を そのままにしておくのは➡ 313 00:19:25,598 --> 00:19:28,634 もったいないと思いまして。 314 00:19:28,634 --> 00:19:30,569 兄 弟など関係ない。 315 00:19:30,569 --> 00:19:36,575 才能があるなら 目をかけてやるべきだろうとね。 316 00:19:36,575 --> 00:19:38,544 《一理ある》 317 00:19:38,544 --> 00:19:43,082 《羅漢は うさんくさい男だが 人の才能を見抜く目は確かだ》 318 00:19:43,082 --> 00:19:48,621 《その采配によって 現在の地位に 上り詰めたと言ってもいい》 319 00:19:48,621 --> 00:19:54,060 ところで 前の話の続きを 聞きたいのですが。 320 00:19:54,060 --> 00:19:57,063 前の話といいますと? 321 00:19:57,063 --> 00:20:01,067 以前 聞いた妓女の話ですよ。 322 00:20:01,067 --> 00:20:06,038 あぁ 妓女の希少価値を 下げる方法ですか。 323 00:20:07,573 --> 00:20:09,608 そういうことは➡ 324 00:20:09,608 --> 00:20:13,079 その世界を知る者に 聞いた方が早い。 325 00:20:15,081 --> 00:20:17,583 いやはや もう時間ですね。 326 00:20:17,583 --> 00:20:23,055 長居をすると部下に怒られる あっ あぁ~。 327 00:20:25,558 --> 00:20:29,562 これは部屋付きの女官たちにでも あげてくだされ。 328 00:20:29,562 --> 00:20:33,632 甘過ぎない 飲みやすい口ですから。 329 00:20:33,632 --> 00:20:36,035 では またあした。 330 00:20:36,035 --> 00:20:39,038 (扉の開閉音) 331 00:20:39,038 --> 00:20:42,541 ハァ~。 ハァ…。 332 00:20:42,541 --> 00:20:46,045 壬氏さま。 ん? 333 00:20:46,045 --> 00:20:48,547 お疲れのところ恐縮ですが…。 334 00:20:53,085 --> 00:20:55,087 お呼びでしょうか? 335 00:20:55,087 --> 00:20:57,623 お前は化粧に詳しいか? 336 00:20:57,623 --> 00:21:01,527 はぁ… まぁ 一通りは。 337 00:21:01,527 --> 00:21:05,531 ならば 俺に化粧をしてくれないか? 338 00:21:08,033 --> 00:21:10,035 はい? 339 00:21:10,035 --> 00:21:30,055 ♬~ 340 00:21:30,055 --> 00:21:50,643 ♬~ 341 00:21:50,643 --> 00:21:54,547 ♬~ 342 00:21:54,547 --> 00:22:14,600 ♬~ 343 00:22:14,600 --> 00:22:36,055 ♬~ 344 00:22:36,055 --> 00:22:39,024 ♬~