1 00:00:01,418 --> 00:00:03,920 ‪(風の音)‬ 2 00:00:06,756 --> 00:00:09,426 ‪(昌幸(まさゆき))ハア… ハア…‬ 3 00:00:14,973 --> 00:00:16,433 ‪うわあああっ!‬ 4 00:00:16,516 --> 00:00:17,434 ‪(衝突音)‬ 5 00:00:21,646 --> 00:00:23,732 ‪(昌幸)う… くっ…‬ 6 00:00:27,610 --> 00:00:30,613 ‪(昌幸)‬ ‪落とされた… なぜだ ‪隼人(はやと)‬‬ 7 00:00:31,948 --> 00:00:33,867 ‪(昌幸)これは登れんぞ…‬ 8 00:00:37,787 --> 00:00:38,997 ‪死ぬ…‬ 9 00:00:40,248 --> 00:00:41,791 ‪死ぬんだな‬ 10 00:00:43,585 --> 00:00:47,297 ‪(雪女)ほう… 生きているのか‬ 11 00:00:48,298 --> 00:00:50,884 ‪連れの者に落とされたようだな‬ 12 00:00:52,010 --> 00:00:56,014 ‪そんな剣呑(けんのん)な者と‬ ‪こんな所まで登ってくるとは‬ 13 00:00:56,097 --> 00:00:58,308 ‪間が抜け過ぎではないか?‬ 14 00:01:00,685 --> 00:01:04,730 ‪(昌幸)‬ ‪死ぬ間際 白い幻覚を見た‬ 15 00:01:07,025 --> 00:01:09,027 ♪~ 16 00:02:09,920 --> 00:02:11,923 ~♪ 17 00:02:17,095 --> 00:02:19,055 ‪(昌幸)‬ ‪落とされる心当たりはない‬ 18 00:02:19,556 --> 00:02:20,974 ‪信頼できる友人だ‬ 19 00:02:21,474 --> 00:02:24,519 ‪(雪女)そのありさまで‬ ‪言えることではあるまい‬ 20 00:02:25,937 --> 00:02:26,980 ‪君はなんだ?‬ 21 00:02:27,480 --> 00:02:30,108 ‪俺の最期の幻にしては‬ ‪意地が悪すぎる‬ 22 00:02:30,608 --> 00:02:32,610 ‪ハア… まったく‬ 23 00:02:32,694 --> 00:02:35,280 ‪それらしい姿で‬ ‪現れてやったのに‬ 24 00:02:35,947 --> 00:02:39,075 ‪最近の人間は‬ ‪雪女も知らんのか?‬ 25 00:02:41,161 --> 00:02:45,206 ‪いや 雪女といえば‬ ‪もっと美人のイメージなんだが…‬ 26 00:02:45,290 --> 00:02:48,585 ‪(雪女)おい! この状況で‬ ‪よくそんな口がたたけるな‬ 27 00:02:49,169 --> 00:02:50,503 ‪この状況も何も‬ 28 00:02:51,004 --> 00:02:53,339 ‪放っておいても‬ ‪俺はじき凍え死ぬ‬ 29 00:02:53,882 --> 00:02:57,427 ‪それが雪女に殺されたとしても‬ ‪どんな違いがある?‬ 30 00:02:57,927 --> 00:03:01,723 ‪だから 私に助けてもらおうとは‬ ‪思わんのか?‬ 31 00:03:02,223 --> 00:03:04,434 ‪(昌幸)‬ ‪雪女は人を殺すものだろう‬ 32 00:03:04,934 --> 00:03:09,606 ‪おぬし 小泉八雲(こいずみやくも)の「雪女」を‬ ‪読んだこともないのか?‬ 33 00:03:10,106 --> 00:03:14,027 ‪その中で若い男は‬ ‪雪女に助けられているぞ‬ 34 00:03:14,527 --> 00:03:17,989 ‪逆にどうして雪女が‬ ‪小泉八雲を読んでいるんだ?‬ 35 00:03:18,573 --> 00:03:23,244 ‪雪女は時に人のふりをして‬ ‪人里を歩くこともある‬ 36 00:03:23,328 --> 00:03:26,456 ‪それも 小泉八雲は書いておるぞ‬ 37 00:03:36,507 --> 00:03:39,093 ‪これで ひと晩は‬ ‪しのげるであろう‬ 38 00:03:41,137 --> 00:03:43,056 ‪こんな所に落ちた者が‬ 39 00:03:43,139 --> 00:03:47,268 ‪夜にならんうちに麓に現れては‬ ‪それも騒ぎになろう‬ 40 00:03:47,769 --> 00:03:50,146 ‪明日の夕刻にでも‬ ‪送ってやるゆえ‬ 41 00:03:50,229 --> 00:03:51,940 ‪しばし休むといい‬ 42 00:03:52,440 --> 00:03:53,983 ‪(昌幸)なぜ助けてくれる?‬ 43 00:03:54,067 --> 00:03:55,151 ‪ん?‬ 44 00:03:55,235 --> 00:03:59,572 ‪そうだな‬ ‪おぬしは若いし それに…‬ 45 00:04:01,115 --> 00:04:02,825 ‪美しいから…‬ 46 00:04:04,202 --> 00:04:05,745 ‪というのは冗談だ‬ 47 00:04:05,828 --> 00:04:07,914 ‪造作は整っておるが‬ 48 00:04:07,997 --> 00:04:10,416 ‪いわゆる‬ ‪こわもてというやつだな‬ 49 00:04:10,500 --> 00:04:11,542 ‪険が濃いぞ‬ 50 00:04:12,335 --> 00:04:16,130 ‪おぬしも無事 山を下りれば‬ ‪小泉八雲くらい読もう‬ 51 00:04:17,257 --> 00:04:20,760 ‪遭難者が出ると‬ ‪捜索で山が騒がしくなるのだ‬ 52 00:04:20,843 --> 00:04:23,596 ‪そのうえ‬ ‪今後は事故がないようにと‬ 53 00:04:23,680 --> 00:04:25,556 ‪山を開発したりもする‬ 54 00:04:26,057 --> 00:04:27,976 ‪なら 助けたほうがマシだ‬ 55 00:04:28,559 --> 00:04:29,269 ‪(昌幸)うっ…‬ 56 00:04:29,769 --> 00:04:32,563 ‪(雪女)それに おぬし‬ ‪金は持っているか?‬ 57 00:04:32,647 --> 00:04:34,816 ‪(昌幸)ああ いくらかは‬ 58 00:04:34,899 --> 00:04:37,068 ‪なら その半分をよこせ‬ 59 00:04:37,568 --> 00:04:40,780 ‪金がまるでなければ‬ ‪下山しても困るであろうから‬ 60 00:04:40,863 --> 00:04:42,657 ‪全部は許してやる‬ 61 00:04:43,157 --> 00:04:45,034 ‪命の値にしては安かろう‬ 62 00:04:45,535 --> 00:04:48,037 ‪妖怪が金なんか どうするんだ?‬ 63 00:04:48,621 --> 00:04:52,000 ‪最近の人の作る‬ ‪酒や食い物はうまい‬ 64 00:04:52,500 --> 00:04:55,003 ‪それは金がなければ‬ ‪買えんだろう‬ 65 00:04:55,586 --> 00:04:58,506 ‪気付かれずに‬ ‪持ち去る力くらいはあるが‬ 66 00:04:58,589 --> 00:05:00,717 ‪店が潰れたりしかねん‬ 67 00:05:01,801 --> 00:05:06,180 ‪みだりに人の世を乱すと‬ ‪後々 己の首を絞める‬ 68 00:05:06,264 --> 00:05:08,224 ‪その理(ことわり)は守らねばならん‬ 69 00:05:08,850 --> 00:05:12,020 ‪こういうときに多少を得ても‬ ‪罰は当たらんだろう‬ 70 00:05:12,520 --> 00:05:14,981 ‪(昌幸)‬ ‪まっとうだ… 妖怪なのに‬ 71 00:05:15,565 --> 00:05:19,235 ‪俺を殺して 有り金 全部‬ ‪頂こうとは考えなかったのか?‬ 72 00:05:19,319 --> 00:05:22,447 ‪今からでも‬ ‪そうしたほうがいいか?‬ 73 00:05:22,530 --> 00:05:23,406 ‪(息を吐く音)‬ 74 00:05:25,450 --> 00:05:28,161 ‪うっ… よくはないな‬ 75 00:05:28,244 --> 00:05:28,870 ‪なら‬ 76 00:05:29,454 --> 00:05:31,205 ‪私を美しくないと言ったのを‬ 77 00:05:31,289 --> 00:05:33,249 ‪謝る気にもなったであろう‬ 78 00:05:33,875 --> 00:05:38,379 ‪物語の中の雪女は‬ ‪もっと魅力的で雰囲気があるぞ‬ 79 00:05:38,463 --> 00:05:39,589 ‪フン…‬ 80 00:05:40,089 --> 00:05:43,468 ‪心にもない世辞を言えば‬ ‪殺してやろうと思ったが‬ 81 00:05:44,010 --> 00:05:45,636 ‪そうそう引っ掛からんか‬ 82 00:05:46,137 --> 00:05:49,640 ‪(昌幸)おい この期に及んで‬ ‪妙な罠(わな)を仕掛けるなよ‬ 83 00:05:49,724 --> 00:05:51,184 ‪冗談だ‬ 84 00:05:51,684 --> 00:05:53,353 ‪明日まで無事でおれよ‬ 85 00:05:54,062 --> 00:05:57,565 ‪勝手に凍死しても‬ ‪責任は感じんぞ‬ 86 00:06:02,904 --> 00:06:04,697 ‪幻覚じゃない?‬ 87 00:06:06,115 --> 00:06:08,201 ‪助かったのか?‬ 88 00:06:11,996 --> 00:06:14,791 ‪(ひび割れる音)‬ ‪(昌幸)ん…‬ 89 00:06:18,461 --> 00:06:19,462 ‪え?‬ 90 00:06:19,545 --> 00:06:20,838 ‪(雪女)お~い‬ 91 00:06:22,965 --> 00:06:25,301 ‪おう 生きておったな‬ 92 00:06:25,384 --> 00:06:27,428 ‪(昌幸)アイテッ イタタタタ…‬ 93 00:06:27,512 --> 00:06:29,555 ‪(雪女)なんだ どこが痛い?‬ 94 00:06:29,639 --> 00:06:30,723 ‪(昌幸)あちこち…‬ 95 00:06:31,641 --> 00:06:34,477 ‪(雪女)‬ ‪よし! これならどうだ?‬ 96 00:06:37,605 --> 00:06:38,898 ‪落ちるなよ‬ 97 00:06:38,981 --> 00:06:40,483 ‪下山だ!‬ 98 00:06:53,037 --> 00:06:53,538 ‪あっ‬ 99 00:06:56,082 --> 00:06:57,083 ‪(昌幸)すごいな‬ 100 00:06:57,583 --> 00:06:59,168 ‪(雪女)分かっておるだろうが‬ 101 00:06:59,252 --> 00:07:02,797 ‪私のことは‬ ‪親兄弟 妻子らにも漏らすなよ‬ 102 00:07:03,464 --> 00:07:05,675 ‪もし ひと言でも人に漏らせば‬ 103 00:07:05,758 --> 00:07:08,302 ‪どこにいようと‬ ‪確実に殺してやる‬ 104 00:07:10,054 --> 00:07:13,808 ‪つまり 死にたくなったら‬ ‪君のことを人に話せばいいんだな‬ 105 00:07:13,891 --> 00:07:17,770 ‪せっかく助かるというのに‬ ‪暗い将来を語るな‬ 106 00:07:17,854 --> 00:07:20,523 ‪冗談だ 秘密は守る‬ 107 00:07:22,066 --> 00:07:26,237 ‪雪女に助けてもらったと言っても‬ ‪誰も信じはしないしな‬ 108 00:07:28,698 --> 00:07:31,534 ‪(隼人)頂上付近の尾根から‬ ‪真っ逆さまに落ちて…‬ 109 00:07:32,118 --> 00:07:34,954 ‪昌幸が雪に埋もれて‬ ‪見えなくなって‬ 110 00:07:35,037 --> 00:07:37,874 ‪お… 俺が戻って‬ ‪捜せばよかったんです!‬ 111 00:07:38,458 --> 00:07:40,418 ‪(警官)そう自分を責めないで‬ 112 00:07:40,501 --> 00:07:43,796 ‪明日の朝には‬ ‪捜索隊を出しましょう… ん?‬ 113 00:07:48,384 --> 00:07:49,927 ‪うわああっ!‬ 114 00:07:50,011 --> 00:07:51,512 ‪ま… 昌幸!‬ 115 00:07:51,596 --> 00:07:54,473 ‪なんで… お前 生きてるんだ?‬ 116 00:07:55,766 --> 00:07:57,518 ‪こいつに突き落とされた‬ 117 00:07:59,270 --> 00:08:00,521 ‪死ぬかと思ったが‬ 118 00:08:01,022 --> 00:08:04,150 ‪下山ルートを奇跡的に‬ ‪発見したので生還できました‬ 119 00:08:04,734 --> 00:08:06,485 ‪こいつを捕まえてください‬ 120 00:08:09,363 --> 00:08:13,409 ‪(刑事)被疑者の供述ですが‬ ‪“魔が差した”そうです‬ 121 00:08:14,118 --> 00:08:17,497 ‪好きな女性が‬ ‪あなたに片思いをしていて‬ 122 00:08:17,580 --> 00:08:20,541 ‪告白するから協力してほしいと‬ ‪頼まれた‬ 123 00:08:21,167 --> 00:08:22,752 ‪あなたに嫉妬していたが‬ 124 00:08:22,835 --> 00:08:26,172 ‪女性のためにと思い‬ ‪あなたに話したところ…‬ 125 00:08:27,465 --> 00:08:28,758 ‪誰だ それは?‬ 126 00:08:30,343 --> 00:08:34,304 ‪(刑事)まるで興味がない様子が‬ ‪決定打になったとか‬ 127 00:08:34,931 --> 00:08:36,224 ‪昌幸さんが死んで‬ 128 00:08:36,307 --> 00:08:39,184 ‪悲嘆している‬ ‪その女性に近づけば‬ 129 00:08:39,268 --> 00:08:43,397 ‪うまく自分のものにできるのでは‬ ‪という考えが‬ 130 00:08:43,481 --> 00:08:45,650 ‪頭をよぎったと言っていました‬ 131 00:08:47,610 --> 00:08:49,362 ‪(昌幸)つまらない理由ですね‬ 132 00:08:49,946 --> 00:08:50,988 ‪そのくらいのことで‬ 133 00:08:51,072 --> 00:08:55,368 ‪高校時代からの友人に‬ ‪殺されかけるなんて 信じがたい‬ 134 00:08:55,868 --> 00:09:00,748 ‪いや 友人だと思っていたのは‬ ‪俺だけだったのかな‬ 135 00:09:07,463 --> 00:09:08,839 ‪(弁護士)隼人氏のご両親が‬ 136 00:09:08,923 --> 00:09:11,592 ‪慰謝料を受け取ってほしい‬ ‪とのことです‬ 137 00:09:11,676 --> 00:09:15,721 ‪あの様子だと受け取るまで‬ ‪引き下がりそうもないですよ‬ 138 00:09:16,847 --> 00:09:19,892 ‪あちらは裕福ですし‬ ‪早く済ませたいなら‬ 139 00:09:19,976 --> 00:09:22,478 ‪素直に受け取ったほうが‬ ‪いいでしょう‬ 140 00:09:22,979 --> 00:09:25,898 ‪分かりました‬ ‪裁判もお任せします‬ 141 00:09:26,607 --> 00:09:29,402 ‪もう 隼人と顔を合わせても‬ ‪気まずいだけです‬ 142 00:09:29,902 --> 00:09:31,779 ‪彼に会わずに済ませたい‬ 143 00:09:34,532 --> 00:09:37,702 ‪世の中‬ ‪恐ろしいものがいるもんだ‬ 144 00:09:40,705 --> 00:09:42,581 ‪登山は もうやめよう…‬ 145 00:10:07,148 --> 00:10:07,773 ‪ん?‬ 146 00:10:18,701 --> 00:10:19,827 ‪(昌幸)なるほど‬ 147 00:10:19,910 --> 00:10:23,831 ‪まったく それらしい姿で‬ ‪現れてやったのに‬ 148 00:10:23,914 --> 00:10:25,708 ‪(昌幸)こういうことか‬ 149 00:10:32,298 --> 00:10:34,967 ‪(昌幸)昔 山の中で‬ ‪死にかけていたところ‬ 150 00:10:35,468 --> 00:10:38,763 ‪自分を美人だと思っている‬ ‪女と出会いましてね‬ 151 00:10:40,765 --> 00:10:41,265 ‪あっ‬ 152 00:10:41,849 --> 00:10:43,934 ‪女は雪女だと名乗り‬ 153 00:10:44,018 --> 00:10:46,687 ‪あやかしの力で‬ ‪助けてくれたのです‬ 154 00:10:59,742 --> 00:11:01,994 ‪(昌幸)おかげで‬ ‪こうして生きているわけですが‬ 155 00:11:02,578 --> 00:11:05,164 ‪時折 あれは夢だったのか‬ ‪現実だったのか‬ 156 00:11:05,247 --> 00:11:07,416 ‪迷うこともある次第で‬ 157 00:11:09,627 --> 00:11:10,961 ‪待て 待て 待て!‬ 158 00:11:11,045 --> 00:11:14,340 ‪おぬし 人に漏らせば‬ ‪殺すと言ったであろう!‬ 159 00:11:14,840 --> 00:11:17,468 ‪当事者に‬ ‪思い出話を語っただけだ‬ 160 00:11:18,052 --> 00:11:20,846 ‪まだ小泉八雲を‬ ‪読んでおらんのか‬ 161 00:11:20,930 --> 00:11:22,473 ‪あれに出てくる男は‬ 162 00:11:22,556 --> 00:11:26,352 ‪それでも約束を破ったと‬ ‪雪女に激怒されておるぞ‬ 163 00:11:26,435 --> 00:11:27,687 ‪読んだ‬ 164 00:11:28,187 --> 00:11:29,897 ‪あれは主人公の男が‬ 165 00:11:29,980 --> 00:11:32,650 ‪妻を雪女と知らずに‬ ‪話しているわけだ‬ 166 00:11:33,150 --> 00:11:35,444 ‪だが 俺は‬ ‪君があのときの雪女だと‬ 167 00:11:35,528 --> 00:11:37,613 ‪認識したうえで‬ ‪話しているのだから‬ 168 00:11:37,697 --> 00:11:39,907 ‪人に漏らしたことにはならない‬ 169 00:11:39,990 --> 00:11:42,660 ‪それは‬ ‪詭弁(きべん)‪とかいうのではないか?‬‬ 170 00:11:43,244 --> 00:11:44,161 ‪まあいい‬ 171 00:11:44,245 --> 00:11:47,998 ‪しかし よく私が‬ ‪あのときの雪女だと分かったな‬ 172 00:11:48,499 --> 00:11:52,211 ‪顔や白さは変わっていない‬ ‪見間違えるものか‬ 173 00:11:55,297 --> 00:11:58,008 ‪ああ 美しさは隠せんか‬ 174 00:11:58,092 --> 00:12:00,052 ‪いや 強いて言うほどではないぞ‬ 175 00:12:00,136 --> 00:12:02,430 ‪今からでも‬ ‪以前 死にかけた場所に‬ 176 00:12:02,513 --> 00:12:04,014 ‪運んでやろうか?‬ 177 00:12:04,515 --> 00:12:05,933 ‪それも悪くないな‬ 178 00:12:07,435 --> 00:12:09,186 ‪そちらも よく俺が分かったな‬ 179 00:12:09,770 --> 00:12:11,439 ‪あれから10年以上たってるんだ‬ 180 00:12:11,939 --> 00:12:14,608 ‪年相応に‬ ‪顔も変わっているはずだが‬ 181 00:12:15,192 --> 00:12:18,487 ‪最近 助けた覚えのある人間は‬ ‪おぬしだけだ‬ 182 00:12:18,988 --> 00:12:21,407 ‪それに 我らあやかしは‬ 183 00:12:21,490 --> 00:12:24,744 ‪顔 形だけで‬ ‪人間を見ているわけではない‬ 184 00:12:24,827 --> 00:12:28,330 ‪たやすく変わらぬ‬ ‪その者の気配や色がある‬ 185 00:12:28,831 --> 00:12:30,082 ‪へえ‬ 186 00:12:32,001 --> 00:12:34,253 ‪俺は恩を十分に‬ ‪返せていなかったのを‬ 187 00:12:34,336 --> 00:12:35,296 ‪気にしていた‬ 188 00:12:35,796 --> 00:12:38,758 ‪社会人になって‬ ‪自由にできる金も増えた‬ 189 00:12:39,258 --> 00:12:42,052 ‪ソフトクリームくらい‬ ‪何十個でも買ってやれるぞ‬ 190 00:12:42,553 --> 00:12:45,097 ‪別に これを何十もいらんが…‬ 191 00:12:45,181 --> 00:12:48,851 ‪確かに昨今 手に入る‬ ‪人間の金は少ない‬ 192 00:12:48,934 --> 00:12:50,853 ‪物の値段も上がっておる‬ 193 00:12:50,936 --> 00:12:54,106 ‪人の店に入るのは‬ ‪やはり緊張もする‬ 194 00:12:54,190 --> 00:12:57,902 ‪ポイントカードがどうとか‬ ‪サービスデーがどうとか‬ 195 00:12:57,985 --> 00:13:00,905 ‪人の暦など知らんし‬ ‪惑うばかりだ‬ 196 00:13:00,988 --> 00:13:02,406 ‪おぬしが一緒なら‬ 197 00:13:02,490 --> 00:13:06,327 ‪店に入って品をゆっくり選べるし‬ ‪惑うこともないが‬ 198 00:13:06,410 --> 00:13:09,538 ‪今月から町の外れに‬ ‪家を借りて暮らしている‬ 199 00:13:10,122 --> 00:13:13,125 ‪人目を気にせず‬ ‪食事するにも適しているよ‬ 200 00:13:13,209 --> 00:13:15,920 ‪ほう!‬ ‪なら おぬし 料理できるか?‬ 201 00:13:16,003 --> 00:13:18,631 ‪作りたてがうまいものも‬ ‪あるというからな‬ 202 00:13:18,714 --> 00:13:21,258 ‪ああ 去年 離婚してから‬ 203 00:13:21,342 --> 00:13:23,135 ‪料理は かなり‬ ‪できるようになった‬ 204 00:13:25,554 --> 00:13:28,349 ‪(雪女)よく見れば‬ ‪顔色も随分 すぐれんな‬ 205 00:13:28,432 --> 00:13:30,684 ‪重めの人間不信だ‬ 206 00:13:31,185 --> 00:13:34,230 ‪信頼して結婚した妻に‬ ‪愛人を作られ‬ 207 00:13:34,313 --> 00:13:36,190 ‪あげく また殺されかけた‬ 208 00:13:36,690 --> 00:13:38,108 ‪結局 離婚だ‬ 209 00:13:38,692 --> 00:13:40,528 ‪これが去年の6月‬ 210 00:13:40,611 --> 00:13:43,322 ‪更に大学を出てから‬ ‪興した会社は‬ 211 00:13:43,405 --> 00:13:47,743 ‪3か月前 仲間の裏切りに遭って‬ ‪大会社に吸収合併された‬ 212 00:13:48,452 --> 00:13:50,663 ‪社長の俺に当然 居場所はない‬ 213 00:13:51,163 --> 00:13:53,290 ‪友と妻と仲間に裏切られ‬ 214 00:13:53,374 --> 00:13:56,669 ‪職も失って‬ ‪人を信じられなくなった‬ 215 00:13:57,670 --> 00:14:00,172 ‪こうして腹を割って‬ ‪愚痴を話せそうなのは‬ 216 00:14:00,256 --> 00:14:02,800 ‪妖怪くらいしか‬ ‪思いつかなかった‬ 217 00:14:04,260 --> 00:14:07,012 ‪だから 身辺を‬ ‪できるかぎり整理して‬ 218 00:14:07,096 --> 00:14:08,681 ‪ここに移ってきた‬ 219 00:14:09,181 --> 00:14:11,892 ‪こんな所で偶然 出くわすとは‬ ‪思わなかったが…‬ 220 00:14:12,476 --> 00:14:15,396 ‪ならば おぬし‬ ‪暮らしにも困っておろう‬ 221 00:14:15,479 --> 00:14:17,565 ‪そんな人間には たかれんぞ‬ 222 00:14:17,648 --> 00:14:20,276 ‪(昌幸)‬ ‪相変わらず分別のつく妖怪だな‬ 223 00:14:20,860 --> 00:14:22,403 ‪社長職は追われたが‬ 224 00:14:22,486 --> 00:14:24,905 ‪個人的な資産まで‬ ‪奪われたわけじゃない‬ 225 00:14:25,614 --> 00:14:28,367 ‪まあ 30年くらいは‬ ‪優雅に暮らせる金はあるよ‬ 226 00:14:29,827 --> 00:14:31,579 ‪それを先に言え!‬ 227 00:14:31,662 --> 00:14:34,540 ‪むしろ‬ ‪恵まれた身の上ではないか‬ 228 00:14:34,623 --> 00:14:37,918 ‪第一 二度も殺されかけて‬ ‪無事でいるのだから‬ 229 00:14:38,002 --> 00:14:40,129 ‪おぬし かなりの幸運だろう‬ 230 00:14:40,212 --> 00:14:42,881 ‪金はあるが‬ ‪人を信じられない男は‬ 231 00:14:42,965 --> 00:14:46,719 ‪昔話じゃ最後にひどい目に遭う‬ ‪悪役じゃないか‬ 232 00:14:47,303 --> 00:14:48,804 ‪不憫(ふびん)‪なヤツだな‬‬ 233 00:14:48,888 --> 00:14:51,807 ‪フフフッ いい酒が飲みたいな‬ 234 00:14:51,890 --> 00:14:53,601 ‪海の魚も食べてみたい‬ 235 00:14:54,184 --> 00:14:55,603 ‪それを前にしてなら‬ 236 00:14:55,686 --> 00:14:57,605 ‪話し相手くらいには‬ ‪なってやろう‬ 237 00:14:57,688 --> 00:15:00,024 ‪これから‬ ‪スーパーに行くところだ‬ 238 00:15:00,524 --> 00:15:03,193 ‪そこで好きなものを好きなだけ‬ ‪カゴに入れてくれ‬ 239 00:15:03,777 --> 00:15:06,155 ‪望みの料理があれば‬ ‪作らせてもらうよ‬ 240 00:15:06,655 --> 00:15:07,448 ‪フフッ‬ 241 00:15:10,701 --> 00:15:12,786 ‪(昌幸)雪女は週に2~3度‬ 242 00:15:12,870 --> 00:15:15,748 ‪夜になってから訪れるのが‬ ‪習慣になっていた‬ 243 00:15:17,082 --> 00:15:17,875 ‪昌幸!‬ 244 00:15:18,459 --> 00:15:21,045 ‪今日は私も‬ ‪スーパーへ連れていけ‬ 245 00:15:22,630 --> 00:15:25,424 ‪やはり‬ ‪食材を見て選びたいからな‬ 246 00:15:25,507 --> 00:15:29,261 ‪それなら街まで出て‬ ‪大きめの商業施設へ行こう‬ 247 00:15:29,345 --> 00:15:33,432 ‪さすがに町内で連れ立ってると‬ ‪顔を覚えられるからな‬ 248 00:15:35,809 --> 00:15:38,979 ‪車か! いいな 初めてだ‬ 249 00:15:41,815 --> 00:15:43,484 ‪わあ~‬ 250 00:16:06,215 --> 00:16:08,634 ‪(風鈴の音)‬ ‪(雪女)ぷは~っ‬ 251 00:16:09,218 --> 00:16:12,054 ‪日本酒は吟醸酒が一番だな‬ 252 00:16:12,137 --> 00:16:14,515 ‪ビールもうまいが‬ ‪発泡酒のほうが好きだ‬ 253 00:16:15,891 --> 00:16:19,144 ‪(昌幸)なあ 本当に‬ ‪カレーうどんなんかでいいのか?‬ 254 00:16:19,228 --> 00:16:20,312 ‪(雪女)構わん‬ 255 00:16:20,396 --> 00:16:23,065 ‪というか‬ ‪カレーうどんが食べたいのだ‬ 256 00:16:23,148 --> 00:16:24,316 ‪(昌幸)安上がりだな‬ 257 00:16:24,400 --> 00:16:27,444 ‪食材の高い安いなど知らぬ‬ 258 00:16:27,945 --> 00:16:31,156 ‪でも その着物で食べるのは‬ ‪やめたほうがいいぞ‬ 259 00:16:31,240 --> 00:16:33,993 ‪白い服でカレーうどんは禁忌だ‬ 260 00:16:34,493 --> 00:16:35,869 ‪何を言うか‬ 261 00:16:35,953 --> 00:16:38,122 ‪雪女といえば この姿だろう‬ 262 00:16:42,084 --> 00:16:44,044 ‪うん うまい!‬ 263 00:16:44,128 --> 00:16:46,839 ‪米にかけるルーとは‬ ‪また違うのだな‬ 264 00:16:46,922 --> 00:16:49,133 ‪その服 なんで汚れないんだ?‬ 265 00:16:51,176 --> 00:16:53,512 (昌幸)今? 家で一人でいるよ 266 00:16:54,013 --> 00:16:55,472 ‪相変わらず引きこもってる‬ 267 00:16:55,973 --> 00:16:56,807 ‪(‪渚(なぎさ)‪)そうですか…‬‬‬ 268 00:16:57,474 --> 00:17:00,602 ‪酒を飲みながら‬ ‪朝まで読書でもするつもりだ‬ 269 00:17:01,103 --> 00:17:02,438 ‪(渚)社長…‬ 270 00:17:02,521 --> 00:17:03,772 ‪もう社長じゃない‬ 271 00:17:04,356 --> 00:17:08,277 ‪(渚)失礼しました… ‪室井(むろい)‪さん‬‬‬ ‪(昌幸)なんだ?‬ 272 00:17:08,861 --> 00:17:11,280 ‪(渚)室井さんが‬ ‪新しい仕事を始めるの‬ 273 00:17:11,363 --> 00:17:12,573 ‪私 待ってますから‬ 274 00:17:13,073 --> 00:17:13,574 ‪ああ‬ 275 00:17:14,074 --> 00:17:16,785 ‪じゃあ もう切るよ‬ ‪後のことは頼む‬ 276 00:17:16,868 --> 00:17:18,746 ‪(渚)はい 失礼します‬ 277 00:17:20,914 --> 00:17:25,002 ‪う~ん 揚げたての‬ ‪この熱さがたまらんな‬ 278 00:17:25,711 --> 00:17:28,422 ‪天つゆよりも‬ ‪塩で食べるほうがいい‬ 279 00:17:28,505 --> 00:17:30,716 ‪雪女が熱さがいいとか…‬ 280 00:17:31,633 --> 00:17:33,510 ‪昔話じゃ いろりの火や‬ 281 00:17:33,594 --> 00:17:36,138 ‪熱いお茶で溶けたとかいう‬ ‪例もあるんだぞ‬ 282 00:17:36,722 --> 00:17:38,515 ‪体はどうともならないのか?‬ 283 00:17:38,599 --> 00:17:40,392 ‪いつの時代の話だ‬ 284 00:17:40,476 --> 00:17:44,063 ‪それで死ぬなら‬ ‪雪女の寿命は1年もなかろう‬ 285 00:17:44,563 --> 00:17:47,316 ‪人と交わって‬ ‪何人も子を作る雪女が‬ 286 00:17:47,399 --> 00:17:49,359 ‪語られ信じられているのに‬ 287 00:17:49,443 --> 00:17:51,779 ‪天ぷらくらいで‬ ‪溶けてたまるものか‬ 288 00:17:52,279 --> 00:17:53,781 ‪ちょっと聞きたいんだが‬ 289 00:17:54,406 --> 00:17:56,575 ‪多くの人間が知らないだけで‬ 290 00:17:56,658 --> 00:18:00,329 ‪町なかには君みたいな妖怪が‬ ‪結構 紛れているのか?‬ 291 00:18:00,829 --> 00:18:02,289 ‪いるだろうな‬ 292 00:18:02,372 --> 00:18:05,959 ‪ただ 人間に関わると‬ ‪厄介(やっかい)‪事を招きやすいので‬‬ 293 00:18:06,043 --> 00:18:08,128 ‪そう近しくなる者はあるまい‬ 294 00:18:08,754 --> 00:18:11,924 ‪怪異そのものが‬ ‪人より強いとはかぎらんし‬ 295 00:18:12,007 --> 00:18:14,760 ‪双方 関わらぬのが‬ ‪平穏というものだ‬ 296 00:18:15,344 --> 00:18:19,014 ‪人間は世のありようへの‬ ‪恐れや敬意を持たん分‬ 297 00:18:19,097 --> 00:18:20,724 ‪危うくてかなわん‬ 298 00:18:21,391 --> 00:18:24,478 ‪(昌幸)なら 君がこうして‬ ‪俺の所に来ていることは‬ 299 00:18:24,561 --> 00:18:25,938 ‪問題にならないのか?‬ 300 00:18:26,021 --> 00:18:30,108 ‪仲間内ではやめたほうがいいと‬ ‪忠告する者もある‬ 301 00:18:30,192 --> 00:18:32,528 ‪逆に 人をよく知るためにも‬ 302 00:18:32,611 --> 00:18:35,364 ‪近い者がいていい‬ ‪という意見もある‬ 303 00:18:37,783 --> 00:18:41,036 ‪私もそれで‬ ‪おぬしを利用し過ぎではないかと‬ 304 00:18:41,119 --> 00:18:43,288 ‪おひいさまに‬ ‪相談したこともある‬ 305 00:18:43,789 --> 00:18:45,624 ‪(昌幸)おひいさま?‬ ‪(雪女)うむ‬ 306 00:18:45,707 --> 00:18:50,712 ‪我らあやかし 妖怪 幽霊 魔‬ ‪などと呼ばれるものたちの‬ 307 00:18:50,796 --> 00:18:52,047 ‪知恵の神だ‬ 308 00:18:52,923 --> 00:18:55,425 ‪我らの間でも もめ事はあるし‬ 309 00:18:55,509 --> 00:18:58,470 ‪解決に苦しむ問題を‬ ‪抱えることもある‬ 310 00:18:58,971 --> 00:19:03,142 ‪人の行いに悩まされ‬ ‪その解消を願うこともな‬ 311 00:19:03,725 --> 00:19:05,811 ‪そういうときに‬ ‪頼らせていただくのが‬ 312 00:19:05,894 --> 00:19:07,312 ‪おひいさまだ‬ 313 00:19:08,397 --> 00:19:10,941 ‪私がお会いしたのは‬ ‪2度ほどだが‬ 314 00:19:11,024 --> 00:19:15,070 ‪そのご活躍の数々‬ ‪知恵のさえには ほれぼれするぞ‬ 315 00:19:15,571 --> 00:19:20,033 ‪妖怪が神とあがめるとは‬ ‪また特別な化け物なのか‬ 316 00:19:20,117 --> 00:19:23,245 ‪(雪女)いや おひいさまは‬ ‪人の子であらせられる‬ 317 00:19:23,745 --> 00:19:25,622 ‪ブッ… ゲホゲホッ‬ 318 00:19:25,706 --> 00:19:27,916 ‪人とあやかしの間に立ち‬ 319 00:19:28,000 --> 00:19:31,420 ‪世の理を整えられる役目を‬ ‪負われる方だ‬ 320 00:19:32,171 --> 00:19:34,548 ‪人としてのお立場も‬ ‪なくてはならん‬ 321 00:19:35,048 --> 00:19:36,925 ‪おひいさまは我らによって‬ 322 00:19:37,009 --> 00:19:38,927 ‪人から神になられたのだ‬ 323 00:19:40,137 --> 00:19:41,930 ‪それで おひいさまは‬ 324 00:19:42,014 --> 00:19:44,099 ‪俺とのつきあいを‬ ‪どうおっしゃってるんだ?‬ 325 00:19:44,182 --> 00:19:45,601 ‪人目につかず‬ 326 00:19:45,684 --> 00:19:48,312 ‪その相手に‬ ‪利用され過ぎぬようにあれば‬ 327 00:19:48,395 --> 00:19:50,355 ‪かまわんと言ってくださった‬ 328 00:19:50,939 --> 00:19:52,900 ‪多少は人を利してもよいが‬ 329 00:19:52,983 --> 00:19:57,738 ‪我らが力の 人の世への影響が‬ ‪大きくなりすぎてはいかんと‬ 330 00:19:57,821 --> 00:19:59,198 ‪もっともだな‬ 331 00:19:59,281 --> 00:20:01,116 ‪おひいさまは割合まともだ‬ 332 00:20:01,200 --> 00:20:05,787 ‪面倒になれば凍死させて‬ ‪逃げるようにとも言われておるぞ‬ 333 00:20:05,871 --> 00:20:09,124 ‪(昌幸)その解決は乱暴だろう‬ ‪おひいさま…‬ 334 00:20:09,208 --> 00:20:10,542 ‪ハハハッ‬ 335 00:20:12,711 --> 00:20:16,048 ‪ところで おぬし‬ ‪近所づきあいはどうしている?‬ 336 00:20:16,632 --> 00:20:19,301 ‪引きこもりでこわもてで‬ ‪よそ者だからな‬ 337 00:20:19,384 --> 00:20:22,679 ‪周りの住民には怖がられて‬ ‪避けられてる‬ 338 00:20:23,180 --> 00:20:25,390 ‪堅気じゃないと‬ ‪思われてるようだ‬ 339 00:20:27,017 --> 00:20:29,811 ‪君がいなければ‬ ‪誰とも会わないあまり‬ 340 00:20:29,895 --> 00:20:32,189 ‪声の出し方も‬ ‪忘れていたかもしれない‬ 341 00:20:32,272 --> 00:20:33,941 ‪大げさな‬ 342 00:20:34,024 --> 00:20:36,777 ‪さっきも電話が‬ ‪かかってきていたではないか‬ 343 00:20:37,569 --> 00:20:40,155 ‪昔の部下が‬ ‪業務連絡をよこしただけだ‬ 344 00:20:40,239 --> 00:20:43,241 ‪おぬしの才を‬ ‪惜しんでいるのではないか?‬ 345 00:20:43,325 --> 00:20:45,827 ‪ああ… でも一人だけだ‬ 346 00:20:45,911 --> 00:20:49,122 ‪(雪女)一人でもいれば‬ ‪やり直すときは役に立とう‬ 347 00:20:49,206 --> 00:20:53,377 ‪それに前より よほど‬ ‪生気のある顔になっておるぞ‬ 348 00:20:53,460 --> 00:20:57,965 ‪まあ おぬしの心が晴れるまで‬ ‪いくらでも相手してやるがな‬ 349 00:20:59,049 --> 00:21:01,510 ‪私もいろいろと‬ ‪うまいものが食べられて‬ 350 00:21:01,593 --> 00:21:03,595 ‪満足しておるし…‬ 351 00:21:03,679 --> 00:21:07,224 ‪ふむ それでは私が得をし過ぎか‬ 352 00:21:07,724 --> 00:21:08,558 ‪そうだ!‬ 353 00:21:08,642 --> 00:21:12,062 ‪前の奥方と別れて‬ ‪かなりたつであろう‬ 354 00:21:12,145 --> 00:21:15,148 ‪よければ‬ ‪夜の相手もしてやるぞ‬ 355 00:21:18,443 --> 00:21:21,405 ‪妖怪の貞操観念は‬ ‪どうなってるんだ?‬ 356 00:21:21,488 --> 00:21:25,784 ‪それに そこまで君に頼るのは‬ ‪現状じゃ情けなさすぎるよ‬ 357 00:21:26,285 --> 00:21:29,204 ‪“据え膳食わぬは恥”ともいうぞ‬ 358 00:21:29,288 --> 00:21:31,748 ‪ああ それとも尻派か?‬ 359 00:21:31,832 --> 00:21:34,459 ‪(昌幸)俺にも少しは‬ ‪格好をつけさせてくれ‬ 360 00:21:35,043 --> 00:21:36,837 ‪今の俺は死人も同然だ‬ 361 00:21:37,337 --> 00:21:39,423 ‪君の相手になれる男じゃない‬ 362 00:21:39,923 --> 00:21:41,925 ‪それに そこまでの関係は‬ 363 00:21:42,009 --> 00:21:44,052 ‪おひいさまも‬ ‪認めないんじゃないか?‬ 364 00:21:44,553 --> 00:21:47,222 ‪避妊すればかまわないと‬ ‪おっしゃったぞ‬ 365 00:21:47,723 --> 00:21:48,932 ‪ハア~‬ 366 00:21:49,016 --> 00:21:52,561 ‪やっぱり そのおひいさまは‬ ‪信用ならないな‬ 367 00:21:54,646 --> 00:21:56,523 ‪(チャイム)‬ 368 00:21:56,606 --> 00:21:57,816 ‪おっ‬ 369 00:21:57,899 --> 00:22:01,194 ‪取り寄せたひつまぶしが‬ ‪届いたのではないか?‬ 370 00:22:01,278 --> 00:22:02,946 ‪おい 昌幸‬ 371 00:22:03,030 --> 00:22:05,866 ‪見ておいてやるから‬ ‪早く出てくるがよい‬ 372 00:22:05,949 --> 00:22:08,243 ‪再配達になってしまう‬ ‪ではないか!‬ 373 00:22:08,326 --> 00:22:09,161 ‪ああ‬ 374 00:22:09,244 --> 00:22:10,996 ‪(チャイム)‬ ‪(昌幸)はいはい‬ 375 00:22:13,248 --> 00:22:15,292 ‪(古川(ふるかわ))室井昌幸さんですね?‬ 376 00:22:15,375 --> 00:22:16,293 ‪(昌幸)はい‬ 377 00:22:19,629 --> 00:22:21,256 ‪(古川)原田美春(はらだみはる)さん‬ 378 00:22:21,339 --> 00:22:23,383 ‪あなたが昨年‬ ‪離婚された奥さんが‬ 379 00:22:23,467 --> 00:22:25,802 ‪殺されたのはご存じですか?‬ 380 00:22:27,637 --> 00:22:30,307 ‪(ドアが閉まる音)‬ ‪(九郎(くろう))うわ…‬ 381 00:22:31,308 --> 00:22:33,518 ‪それが新しい相談者か?‬ 382 00:22:34,102 --> 00:22:36,188 ‪(琴子(ことこ))この者は連絡係です‬ 383 00:22:36,271 --> 00:22:39,441 ‪相談は とある山岳に住まう‬ ‪雪女からです‬ 384 00:22:40,025 --> 00:22:41,193 ‪雪女?‬ 385 00:22:41,276 --> 00:22:43,278 ‪(琴子)原田美春という女性が‬ 386 00:22:43,362 --> 00:22:47,908 ‪9月12日の夜 何者かに‬ ‪撲殺された事件なんですが‬ 387 00:22:47,991 --> 00:22:50,869 ‪ニュースサイトにも‬ ‪詳しく載ってませんね‬ 388 00:22:50,952 --> 00:22:52,329 ‪資料も少ない‬ 389 00:22:52,412 --> 00:22:56,416 ‪それで雪女が‬ ‪どうして殺人事件と関わるんだ?‬ 390 00:22:56,500 --> 00:22:57,834 ‪この事件で警察から‬ 391 00:22:57,918 --> 00:23:00,337 ‪有力容疑者にされている人が‬ ‪いるんです‬ 392 00:23:00,420 --> 00:23:02,130 ‪雪女が言うには‬ 393 00:23:02,214 --> 00:23:05,801 ‪その人は事件当時‬ ‪アリバイがあって犯人ではない‬ 394 00:23:05,884 --> 00:23:08,386 ‪だから 助けてほしい‬ ‪という頼みです‬ 395 00:23:08,470 --> 00:23:11,598 ‪アリバイがあるのに‬ ‪有力容疑者なのか?‬ 396 00:23:11,681 --> 00:23:15,227 ‪何しろアリバイの証人が‬ ‪その雪女なので‬ 397 00:23:15,310 --> 00:23:17,562 ‪警察には主張できないんですよ‬ 398 00:23:18,146 --> 00:23:19,231 ‪(雪女)うう~‬ 399 00:23:19,314 --> 00:23:21,733 ‪まだなのか 昌幸~!‬ 400 00:23:22,317 --> 00:23:25,195 ‪このままでは‬ ‪焦げてしまうではないか~!‬ 401 00:23:25,278 --> 00:23:25,946 ‪うう…‬ 402 00:23:26,029 --> 00:23:27,447 ‪(物音)‬ ‪(雪女)あっ‬ 403 00:23:28,240 --> 00:23:29,699 ‪おい まさゆ…‬ 404 00:23:36,498 --> 00:23:37,874 ‪どうかされましたか?‬ 405 00:23:37,958 --> 00:23:39,960 ‪あっ いえ…‬ 406 00:23:41,211 --> 00:23:43,630 ‪おや 飼ってるんですか?‬ 407 00:23:44,131 --> 00:23:47,008 ‪(雪女)キュウウ…‬ 408 00:23:51,054 --> 00:23:53,056 ♪~ 409 00:24:59,039 --> 00:25:01,041 ~♪