1 00:00:02,252 --> 00:00:04,921 ‪(‪多恵(たえ)‪)‬‬‬ ‪いよいよ 妙な話になってきた‬ 2 00:00:05,505 --> 00:00:08,550 ‪(多恵)年寄りを‬ ‪酷使しないでほしいもんだよ‬ 3 00:00:08,633 --> 00:00:11,761 ‪一体 あたしに‬ ‪どうしろっていうんだい‬ 4 00:00:12,804 --> 00:00:13,680 ‪(多恵)だけど‬ 5 00:00:14,264 --> 00:00:17,934 ‪老い先が短いから‬ ‪できることがあるかもしれないね‬ 6 00:00:18,560 --> 00:00:19,936 ‪(多恵)さて おひいさん‬ 7 00:00:20,020 --> 00:00:23,314 ‪これで大体‬ ‪あたしらが知ってることは話した‬ 8 00:00:23,398 --> 00:00:24,941 ‪気になるところはあるかい?‬ 9 00:00:25,025 --> 00:00:26,776 ‪(琴子(ことこ))‬ ‪あらかじめ聞いていたのと‬ 10 00:00:26,860 --> 00:00:28,778 ‪大きな違いはないようです‬ 11 00:00:29,279 --> 00:00:32,240 ‪ただ いくつか‬ ‪腑(ふ)‪に落ちない点があります‬‬ 12 00:00:32,866 --> 00:00:33,450 ‪ん?‬ 13 00:00:34,034 --> 00:00:37,037 ‪勝手に動き‬ ‪害をもたらす人形というのは‬ 14 00:00:37,120 --> 00:00:39,581 ‪そうやすやすと‬ ‪生まれるものじゃあありません‬ 15 00:00:39,664 --> 00:00:43,251 ‪高名な人形師が‬ ‪精魂を傾けて作ったものや‬ 16 00:00:43,334 --> 00:00:44,794 ‪長年 大事にされ‬ 17 00:00:44,878 --> 00:00:48,339 ‪持ち主の念が宿ったものなどは‬ ‪動いたりしそうですが‬ 18 00:00:48,423 --> 00:00:51,384 ‪問題になっている‬ ‪木製の人形を作ったのは‬ 19 00:00:51,468 --> 00:00:55,221 ‪不器用な素人であり‬ ‪完成したのも1か月ほど前‬ 20 00:00:55,805 --> 00:00:58,850 ‪あまつさえ 手から‬ ‪電撃を出せるなんて規格外です‬ 21 00:00:58,933 --> 00:01:02,312 ‪老人一人の恨みで‬ ‪そんなものが生まれるなら‬ 22 00:01:02,395 --> 00:01:04,480 ‪もっと浮世は‪混沌(こんとん)‪としています‬‬‬ 23 00:01:04,563 --> 00:01:06,775 ‪そこが今回 不可解なんです‬ 24 00:01:06,858 --> 00:01:09,360 ‪知り合いに‬ ‪そういう規格外の怪物を‬ 25 00:01:09,444 --> 00:01:11,905 ‪作り出しかねない人がいまして…‬ 26 00:01:11,988 --> 00:01:14,449 ‪もし その人物が裏にいるなら‬ 27 00:01:14,532 --> 00:01:17,911 ‪人形への対応は‬ ‪かなり‪厄介(やっかい)‪になるんですが…‬‬‬ 28 00:01:19,120 --> 00:01:20,789 ‪(多恵)‬ ‪そっちの事情は知らないけど‬ 29 00:01:20,872 --> 00:01:23,083 ‪そういう裏はないだろうね‬ 30 00:01:23,166 --> 00:01:25,794 ‪善太(ぜんた)‪の人形は‬‬ ‪ピノッキオと同じなんだ‬ 31 00:01:25,877 --> 00:01:30,507 ‪あの人形に使われた材料には‬ ‪特別なものが混じっているんだよ‬ 32 00:01:30,590 --> 00:01:32,342 ‪特別なもの?‬ 33 00:01:32,425 --> 00:01:34,302 ‪確かに‬ ‪「ピノッキオの冒険」では‬ 34 00:01:34,385 --> 00:01:37,138 ‪しゃべって動く‬ ‪棒切れから作られましたが…‬ 35 00:01:37,222 --> 00:01:40,475 ‪さすがに善太はそこまでの木は‬ ‪持ってなかったけど‬ 36 00:01:40,558 --> 00:01:42,352 ‪特別は特別さ‬ 37 00:01:42,435 --> 00:01:45,772 ‪あの人形には 一部‬ ‪隕石(いんせき)‪のはまり込んだ木が‬‬ 38 00:01:45,855 --> 00:01:47,524 ‪使われてるんだ‬ 39 00:01:48,066 --> 00:01:49,567 ‪いん?‬ 40 00:01:50,068 --> 00:01:52,070 ♪~ 41 00:02:52,964 --> 00:02:54,966 ~♪ 42 00:02:55,550 --> 00:02:58,469 ‪善太が言うには‬ ‪10年ばかり前のこと‬ 43 00:02:59,053 --> 00:03:01,723 ‪当時 善太は‬ ‪体調がかなり悪かった‬ 44 00:03:01,806 --> 00:03:04,225 ‪神経痛や偏頭痛がひどくなって‬ 45 00:03:04,309 --> 00:03:07,520 ‪半ば自殺を考えて‬ ‪山に入ったそうだよ‬ 46 00:03:07,604 --> 00:03:08,855 ‪するとね…‬ 47 00:03:09,355 --> 00:03:11,149 ‪(轟音(ごうおん))‬ 48 00:03:11,232 --> 00:03:12,066 ‪(善太)あっ!‬ 49 00:03:13,610 --> 00:03:14,903 ‪あっ…‬ 50 00:03:18,573 --> 00:03:21,993 ‪(多恵)善太はそれが隕石だと‬ ‪すぐ気付いたそうだよ‬ 51 00:03:22,076 --> 00:03:26,247 ‪隕石が落ちた直後に‬ ‪発見するなんて珍しいことだし‬ 52 00:03:26,331 --> 00:03:29,167 ‪世間に知らせれば‬ ‪ニュースになったろうね‬ 53 00:03:29,250 --> 00:03:32,629 ‪でも 善太は‬ ‪その石に奇妙な魅力を感じ‬ 54 00:03:32,712 --> 00:03:35,882 ‪それを持ち帰って‬ ‪そばに置いていたそうだ‬ 55 00:03:35,965 --> 00:03:37,759 ‪すると不思議なことに‬ 56 00:03:37,842 --> 00:03:41,596 ‪体の不調が‬ ‪日に日に良くなっていったという‬ 57 00:03:42,430 --> 00:03:45,475 ‪以来 善太は‬ ‪その隕石がはまった木に入れ込み‬ 58 00:03:45,558 --> 00:03:47,602 ‪大事にするようになったんだ‬ 59 00:03:47,685 --> 00:03:51,022 ‪隕石は古来‬ ‪空から降る不思議な物体として‬ 60 00:03:51,105 --> 00:03:53,274 ‪信仰の対象にもなっていました‬ 61 00:03:53,358 --> 00:03:56,903 ‪天からのお告げとされたり‬ ‪奇跡の象徴として‬ 62 00:03:56,986 --> 00:03:59,155 ‪神殿に‬ ‪納められたこともあります‬ 63 00:03:59,239 --> 00:04:01,407 ‪(九郎(くろう))だが 隕石は隕石だろう‬ 64 00:04:01,491 --> 00:04:03,117 ‪人形を動かし‬ 65 00:04:03,201 --> 00:04:06,412 ‪手から電撃を出せるようにする‬ ‪力があるというのは…‬ 66 00:04:06,496 --> 00:04:11,209 ‪地には妖怪やあやかし‬ ‪幽霊や魔を生み出す力が存在し‬ 67 00:04:11,292 --> 00:04:14,921 ‪それらは多くの人にとって‬ ‪不可思議な現象をもたらします‬ 68 00:04:15,004 --> 00:04:16,047 ‪宇宙にも‬ 69 00:04:16,130 --> 00:04:18,466 ‪それに似た力がないとは‬ ‪言えません‬ 70 00:04:18,548 --> 00:04:23,721 ‪それが隕石に宿り 地に降り‬ ‪手にした者の念や願望を受けて‬ 71 00:04:23,805 --> 00:04:25,932 ‪害を引き起こすのも‬ ‪ありえるでしょう‬ 72 00:04:26,015 --> 00:04:28,434 ‪さながら宇宙的な怪異です‬ 73 00:04:29,060 --> 00:04:29,978 ‪ああ…‬ 74 00:04:30,478 --> 00:04:31,562 ‪(せきばらい)‬ 75 00:04:31,646 --> 00:04:35,984 ‪善太の隕石話は大抵の者が‬ ‪笑い話と聞いていたけれど‬ 76 00:04:36,067 --> 00:04:37,986 ‪善太は本気だった‬ 77 00:04:39,445 --> 00:04:42,365 ‪(多恵)人形なんか作って‬ ‪代わりにするつもりかい?‬ 78 00:04:42,448 --> 00:04:45,326 ‪ピノッキオみたいに‬ ‪特別な木があるからって‬ 79 00:04:45,410 --> 00:04:48,997 ‪それを使えば動きだすとでも‬ ‪夢みてるのかい‬ 80 00:04:50,748 --> 00:04:53,876 ‪この石は‬ ‪願いをかなえてくれるんです‬ 81 00:04:53,960 --> 00:04:56,087 ‪(多恵)‬ ‪ピノッキオを作ったおじいさんは‬ 82 00:04:56,170 --> 00:04:58,881 ‪ピノッキオのせいで‬ ‪さんざんな目に遭ってるんだよ‬ 83 00:04:59,465 --> 00:05:02,218 ‪そんなもの作ったって‬ ‪ろくなことはないんだ‬ 84 00:05:03,970 --> 00:05:07,015 ‪(善太)もう‬ ‪さんざんな目に遭ってますよ‬ 85 00:05:07,098 --> 00:05:10,810 ‪隕石が食い込んだ木が‬ ‪使われているのは右腕‬ 86 00:05:10,893 --> 00:05:13,646 ‪だから 右手だけから‬ ‪電撃が出るんだろう‬ 87 00:05:13,730 --> 00:05:14,897 ‪(化け猫)多恵さん!‬ 88 00:05:14,981 --> 00:05:18,359 ‪そんな重要な話‬ ‪初めて聞きましたがな‬ 89 00:05:18,443 --> 00:05:20,570 ‪話したところで‬ ‪役に立ったのかい?‬ 90 00:05:21,154 --> 00:05:24,282 ‪知っていれば‬ ‪無謀な奇襲などしませんよ‬ 91 00:05:24,365 --> 00:05:27,952 ‪宇宙的な怪異なぞに‬ ‪我らがかなうわけがありませぬ‬ 92 00:05:28,036 --> 00:05:30,997 ‪あたしだって あんたらの事情を‬ ‪知らなかったんだ‬ 93 00:05:31,080 --> 00:05:34,417 ‪宇宙の神秘とかも‬ ‪相手にしないといけないとは‬ 94 00:05:34,500 --> 00:05:35,960 ‪お前も大変だな‬ 95 00:05:36,044 --> 00:05:38,004 ‪先輩も相手してください‬ 96 00:05:38,087 --> 00:05:41,466 ‪宇宙から来たものは‬ ‪この地にとって異物です‬ 97 00:05:41,549 --> 00:05:44,510 ‪こちらの秩序とは‬ ‪相いれないものでしょう‬ 98 00:05:44,594 --> 00:05:46,512 ‪直ちに排除しないといけません‬ 99 00:05:46,596 --> 00:05:50,224 ‪あの人が関わってるよりは‬ ‪よほど分かりやすい状況です‬ 100 00:05:50,308 --> 00:05:52,769 ‪善太さんは人形を作っている際‬ 101 00:05:52,852 --> 00:05:56,230 ‪それに何をさせるか‬ ‪具体的に語っていましたか?‬ 102 00:05:56,314 --> 00:05:57,231 ‪いいや‬ 103 00:05:57,315 --> 00:05:59,442 ‪ふむ なるほど‬ 104 00:05:59,525 --> 00:06:02,070 ‪ピノッキオを意識して‬ ‪人形を作っているとは‬ 105 00:06:02,153 --> 00:06:03,613 ‪断言してないんですか‬ 106 00:06:04,739 --> 00:06:06,282 ‪それが どうかしたかい?‬ 107 00:06:06,783 --> 00:06:09,869 ‪ああ 人形がだいぶ‬ ‪それらしくなってきたとき‬ 108 00:06:09,952 --> 00:06:11,871 ‪善太は こうも言ってたね‬ 109 00:06:11,954 --> 00:06:14,749 ‪(善太)‬ ‪これなら 私が望むことを‬ 110 00:06:14,832 --> 00:06:18,669 ‪代わりに果たしてくれる‬ ‪かもしれないじゃないですか‬ 111 00:06:19,837 --> 00:06:22,465 ‪(多恵)あのとき‬ ‪善太が何をしようとしているのか‬ 112 00:06:22,548 --> 00:06:24,550 ‪あたしが気付いていればね‬ 113 00:06:24,634 --> 00:06:27,553 ‪それだけの情報で‬ ‪気付くのは無理でしょう‬ 114 00:06:27,637 --> 00:06:30,431 ‪人形が動きだし‬ ‪そこまで力を持つとは‬ 115 00:06:30,515 --> 00:06:32,475 ‪私でも測れませんね‬ 116 00:06:33,267 --> 00:06:34,936 ‪(多恵)どうにも のんきだね‬ 117 00:06:35,019 --> 00:06:38,731 ‪放っておけば いずれ‬ ‪町の者もあれを目にするだろう‬ 118 00:06:38,815 --> 00:06:40,066 ‪最初は怖がっても‬ 119 00:06:40,149 --> 00:06:43,403 ‪みんなしてあの人形を捕まえ‬ ‪壊そうとするはずだ‬ 120 00:06:43,486 --> 00:06:47,365 ‪そうなれば あの電撃で‬ ‪どれだけの被害が出るか…‬ 121 00:06:48,116 --> 00:06:50,034 ‪どうするんだい おひいさん‬ 122 00:06:50,118 --> 00:06:50,910 ‪見たところ‬ 123 00:06:50,993 --> 00:06:54,247 ‪あんたにあの人形を壊す力は‬ ‪なさそうなんだけど‬ 124 00:06:54,330 --> 00:06:55,415 ‪(化け猫)た… 多恵さん‬ 125 00:06:55,498 --> 00:06:57,667 ‪おひいさまは‬ ‪知恵の神でいらして‬ 126 00:06:57,750 --> 00:07:01,337 ‪荒事に向かれた姿でないのは‬ ‪当然でございます‬ 127 00:07:01,420 --> 00:07:04,382 ‪それに この度は‬ ‪九郎殿がおられます‬ 128 00:07:04,465 --> 00:07:07,760 ‪この方は化け物を超えた‬ ‪化け物とでも呼びうる方‬ 129 00:07:07,844 --> 00:07:11,389 ‪あんな人形など‬ ‪ひとひねりでございますよ!‬ 130 00:07:13,099 --> 00:07:15,476 ‪こんな‬ ‪薄ぼんやりした男がかい?‬ 131 00:07:15,560 --> 00:07:17,103 ‪ごもっともです‬ 132 00:07:17,186 --> 00:07:21,023 ‪(琴子)あの 九郎先輩は‬ ‪親公認の私の恋人ですので‬ 133 00:07:21,107 --> 00:07:23,609 ‪あしざまに言わないで‬ ‪いただきたいのですが‬ 134 00:07:23,693 --> 00:07:25,361 ‪ほう 恋人‬ 135 00:07:25,444 --> 00:07:28,072 ‪恋人とは人聞きが悪いなあ‬ 136 00:07:28,156 --> 00:07:29,282 ‪(琴子)事実でしょ!‬ 137 00:07:29,365 --> 00:07:31,701 ‪それに‬ ‪こんなかわいい乙女が恋人で‬ 138 00:07:31,784 --> 00:07:33,411 ‪どんな支障があると?‬ 139 00:07:33,494 --> 00:07:35,913 ‪(九郎)じきに‬ ‪二十歳(はたち)‪になろうっていうのに‬‬ 140 00:07:35,997 --> 00:07:37,290 ‪乙女はないだろう‬ 141 00:07:37,373 --> 00:07:41,002 ‪そりゃあ 先輩のおかげで‬ ‪“乙女”ではありませんが…‬ 142 00:07:41,711 --> 00:07:44,422 ‪あんたたちの関係は‬ ‪どうでもいいよ‬ 143 00:07:44,505 --> 00:07:47,258 ‪その彼がいれば‬ ‪人形は止められるんだね?‬ 144 00:07:48,426 --> 00:07:50,720 ‪もともと九郎先輩がいなくても‬ 145 00:07:50,803 --> 00:07:53,139 ‪人形を破壊するだけなら‬ ‪簡単なんです‬ 146 00:07:53,222 --> 00:07:55,475 ‪人の話を聞いてたのかい?‬ 147 00:07:55,558 --> 00:07:58,769 ‪あの人形には‬ ‪化け物でさえ近づけないんだよ‬ 148 00:07:59,395 --> 00:08:03,357 ‪人形は昼間は山に潜み‬ ‪夜 山から海へ‬ 149 00:08:03,858 --> 00:08:06,110 ‪ほとんど同じ道筋を‬ ‪通ってくるんですよね‬ 150 00:08:06,194 --> 00:08:10,239 ‪そして この家の‬ ‪下辺りに広がる砂浜を通る‬ 151 00:08:10,323 --> 00:08:13,993 ‪更に 近くにあっても‬ ‪動かないものには攻撃しない‬ 152 00:08:14,076 --> 00:08:15,995 ‪(琴子)そうですね?‬ ‪(多恵)ああ‬ 153 00:08:16,078 --> 00:08:18,998 ‪なら 待ち伏せして‬ ‪罠(わな)‪を仕掛ければいいんです‬‬ 154 00:08:19,081 --> 00:08:22,376 ‪あらかじめ‬ ‪砂浜の一定範囲に爆薬を埋め‬ 155 00:08:22,460 --> 00:08:26,005 ‪人形がその範囲の‬ ‪中央辺りに入ったとき‬ 156 00:08:26,088 --> 00:08:30,051 ‪遠隔装置で起爆させれば‬ ‪木っ端みじんになるでしょう‬ 157 00:08:31,260 --> 00:08:35,472 ‪爆薬を手に入れるのが難しいなら‬ ‪可燃物でもかまいません‬ 158 00:08:35,556 --> 00:08:37,099 ‪広範囲に敷き詰め‬ 159 00:08:37,183 --> 00:08:40,061 ‪人形が‬ ‪その一帯に立ち入ったときに‬ 160 00:08:40,144 --> 00:08:41,437 ‪発火させればいい‬ 161 00:08:41,938 --> 00:08:43,731 ‪遠くから火矢をうったり‬ 162 00:08:43,813 --> 00:08:46,150 ‪灯油などを詰めた袋を‬ ‪投げつければ‬ 163 00:08:46,234 --> 00:08:48,945 ‪人形は確実に火だるまです‬ 164 00:08:49,445 --> 00:08:53,366 ‪電撃を放つ間もありません‬ ‪どうとでも料理できます‬ 165 00:08:54,575 --> 00:08:55,493 ‪ハア…‬ 166 00:08:55,576 --> 00:08:58,704 ‪どうしてそんな単純な手が‬ ‪浮かばなかったのか‬ 167 00:08:58,788 --> 00:09:00,957 ‪あたしも もうろくしたもんだ‬ 168 00:09:01,040 --> 00:09:03,209 ‪常識外のものを‬ ‪目の当たりにして‬ 169 00:09:03,292 --> 00:09:06,379 ‪人間的な発想が‬ ‪できなくなっていたのでしょう‬ 170 00:09:06,462 --> 00:09:07,630 ‪無理もありません‬ 171 00:09:07,713 --> 00:09:09,507 ‪とんだ空騒ぎだ‬ 172 00:09:09,590 --> 00:09:11,926 ‪少し考えれば‬ ‪あの人形を壊すのは‬ 173 00:09:12,009 --> 00:09:13,469 ‪たやすかったなんて‬ 174 00:09:13,552 --> 00:09:16,097 ‪だからこそ‬ ‪腑に落ちないんですよ‬ 175 00:09:16,180 --> 00:09:18,307 ‪ん? 分からないね‬ 176 00:09:18,391 --> 00:09:21,519 ‪(琴子)人形は お孫さんを‬ ‪事故で殺された善太さんが‬ 177 00:09:21,602 --> 00:09:23,479 ‪その報復として作った‬ 178 00:09:23,562 --> 00:09:26,732 ‪善太さんのたたりが‬ ‪形になったものですよね‬ 179 00:09:27,233 --> 00:09:29,485 ‪だとすると‬ ‪おかしくありませんか?‬ 180 00:09:29,568 --> 00:09:31,279 ‪人形は真っ先に‬ 181 00:09:31,362 --> 00:09:35,533 ‪お孫さんをひき殺した者を‬ ‪殺しに行くんじゃあありませんか?‬ 182 00:09:35,616 --> 00:09:37,577 ‪ああ そうだ…‬ 183 00:09:37,660 --> 00:09:41,455 ‪(琴子)車に乗っていた‬ ‪4人の大学生は逮捕されましたが‬ 184 00:09:41,539 --> 00:09:44,709 ‪起訴されたのは‬ ‪運転していた者 一人だけです‬ 185 00:09:44,792 --> 00:09:46,377 ほかの3人がふざけて 186 00:09:46,460 --> 00:09:48,462 ハンドル操作を 誤らせたり 187 00:09:48,546 --> 00:09:49,505 被害者の救助にも 188 00:09:49,589 --> 00:09:51,299 積極的に動かなかった といった 189 00:09:51,382 --> 00:09:53,092 証言もあったそうです 190 00:09:53,175 --> 00:09:56,137 ‪そして 起訴された者も‬ ‪親が裕福で‬ 191 00:09:56,220 --> 00:09:59,890 ‪賠償金を十分に支払い‬ ‪反省もしているとして‬ 192 00:09:59,974 --> 00:10:02,852 ‪執行猶予のついた判決が‬ ‪確定しています‬ 193 00:10:02,935 --> 00:10:05,229 ‪一人の子供の死に対し‬ 194 00:10:05,313 --> 00:10:09,483 ‪彼らが被害者遺族の納得のいく‬ ‪代償を払ったと言えるかどうか‬ 195 00:10:09,567 --> 00:10:12,611 ‪いいや 善太は納得してなかった‬ 196 00:10:13,195 --> 00:10:15,573 ‪あの大学生たちを恨んでたんだ‬ 197 00:10:16,073 --> 00:10:19,910 ‪(琴子)4人の大学生が‬ ‪変死したという報道はありません‬ 198 00:10:19,994 --> 00:10:23,956 ‪つまり 彼らは現在‬ ‪人形から何もされていない‬ 199 00:10:24,040 --> 00:10:27,126 ‪おかしい…‬ ‪なら どう考えればいいんだい?‬ 200 00:10:27,209 --> 00:10:29,879 ‪人形を壊す方法は‬ ‪いくらでもある‬ 201 00:10:29,962 --> 00:10:31,297 ‪それは 善太さんが‬ 202 00:10:31,380 --> 00:10:34,467 ‪人形を町の人たちに‬ ‪壊させるために作ったから‬ 203 00:10:35,217 --> 00:10:36,218 ‪だとすれば‬ 204 00:10:37,511 --> 00:10:39,347 ‪人形をこのまま破壊すると‬ 205 00:10:39,430 --> 00:10:42,475 ‪それこそ取り返しのつかない‬ ‪結果をもたらすでしょう‬ 206 00:10:42,558 --> 00:10:45,144 ‪私が そうはさせませんが‬ 207 00:10:57,573 --> 00:11:00,451 ‪(あやかしたちのざわめき)‬ 208 00:11:01,786 --> 00:11:04,997 ‪お前は海側 お前たちは陸側へ‬ 209 00:11:05,081 --> 00:11:08,209 ‪人形が近づいても‬ ‪決して動かないこと‬ 210 00:11:08,292 --> 00:11:10,002 ‪(琴子)いいですね?‬ ‪(あやかしたち)お~っ!‬ 211 00:11:10,086 --> 00:11:12,505 ‪(多恵)奇妙な光景だね‬ 212 00:11:17,843 --> 00:11:19,553 ‪(多恵)‬ ‪あんたも あのおひいさんには‬ 213 00:11:19,637 --> 00:11:21,263 ‪苦労してそうだね‬ 214 00:11:21,347 --> 00:11:22,223 ‪どうでしょう‬ 215 00:11:22,306 --> 00:11:25,893 ‪彼女がいなければ‬ ‪今頃 僕はどう暮らしていいか‬ 216 00:11:25,976 --> 00:11:27,853 ‪見失っていたかもしれません‬ 217 00:11:29,688 --> 00:11:32,400 ‪死と引き換えに‬ ‪未来を決められるって‬ 218 00:11:32,483 --> 00:11:34,151 ‪どういう感覚なんだい?‬ 219 00:11:34,235 --> 00:11:36,112 ‪未来を決定できるといっても‬ 220 00:11:36,195 --> 00:11:39,532 ‪起こりそうなことを‬ ‪必ず起こさせるくらいのものです‬ 221 00:11:40,032 --> 00:11:42,993 ‪起こる可能性が低い未来には‬ ‪手が届きません‬ 222 00:11:43,077 --> 00:11:45,371 ‪それでも‬ ‪おひいさんが用意した罠を‬ 223 00:11:45,454 --> 00:11:48,874 ‪必ず成功させる力くらいは‬ ‪あるわけかい‬ 224 00:11:48,958 --> 00:11:51,043 ‪岩永(いわなが)‪なら 僕がいなくても‬‬ 225 00:11:51,127 --> 00:11:54,422 ‪自身の運だけで‬ ‪成功を引き寄せそうですけど‬ 226 00:11:54,505 --> 00:11:58,008 ‪ああ あの子は神かけて‬ ‪敵にしちゃいけないね‬ 227 00:11:58,092 --> 00:11:59,427 ‪(琴子)先輩!‬ 228 00:11:59,510 --> 00:12:02,930 ‪よっ… 人形が海岸へ入りました‬ 229 00:12:03,013 --> 00:12:06,058 ‪あと数分で‬ ‪この付近に来るでしょう‬ 230 00:12:06,142 --> 00:12:08,519 ‪九郎先輩も配置にお願いします‬ 231 00:12:08,602 --> 00:12:10,646 ‪あそこに印がしてありますから‬ 232 00:12:11,147 --> 00:12:13,941 ‪そこに人形が踏み込むよう‬ ‪誘導してください‬ 233 00:12:14,024 --> 00:12:17,319 ‪そのあと 先輩が‬ ‪いいタイミングで合図を‬ 234 00:12:18,028 --> 00:12:18,779 ‪あと…‬ 235 00:12:19,280 --> 00:12:21,407 ‪なるべく死なない方向で‬ 236 00:12:22,992 --> 00:12:24,869 ‪今更 言うことか?‬ 237 00:12:24,952 --> 00:12:27,538 ‪いえ どうも妖怪たちの間で‬ 238 00:12:27,621 --> 00:12:30,666 ‪おひいさまは恋人が‬ ‪いくら死んでも気にされない⸺‬ 239 00:12:30,750 --> 00:12:33,544 ‪クールな方だ‬ ‪というウワサになっているらしく‬ 240 00:12:33,627 --> 00:12:34,795 ‪事実だろう‬ 241 00:12:34,879 --> 00:12:36,630 ‪(琴子)‬ ‪少しは気にしてますよ!‬ 242 00:12:36,714 --> 00:12:38,424 ‪いくら‬ ‪すぐ生き返るといっても!‬ 243 00:12:39,008 --> 00:12:40,426 ‪(九郎)はいはい‬ 244 00:12:40,509 --> 00:12:42,178 ‪(多恵)少しなのか‬ 245 00:12:47,266 --> 00:12:50,686 ‪さて おひいさんの読みが‬ ‪どこまで正しいかね‬ 246 00:12:50,769 --> 00:12:54,440 ‪最悪の可能性を前提に‬ ‪策は立てるものですよ‬ 247 00:13:09,371 --> 00:13:12,458 ‪(琴子)‬ ‪人形は古来 洋の東西を問わず‬ 248 00:13:12,541 --> 00:13:15,377 ‪呪術的な意味合いのもとに‬ ‪作られてきました‬ 249 00:13:15,461 --> 00:13:18,005 ‪神や霊を‬ ‪そこに降ろす器にしたり‬ 250 00:13:18,088 --> 00:13:20,090 ‪その伝承も数多いものです‬ 251 00:13:20,174 --> 00:13:22,968 ‪人の身代わりとして‬ ‪災いを引き受けたり‬ 252 00:13:23,052 --> 00:13:25,346 ‪命令に従わせて労働させたり‬ 253 00:13:25,429 --> 00:13:28,224 ‪ピノッキオの童話も‬ ‪その系譜にあるでしょう‬ 254 00:13:28,307 --> 00:13:31,101 ‪しかし 人形と呪術と聞いて‬ 255 00:13:31,185 --> 00:13:34,688 ‪連想すべき有名な使用法が‬ ‪もう一つありませんか?‬ 256 00:13:35,356 --> 00:13:36,023 ‪まさか…‬ 257 00:13:36,106 --> 00:13:38,776 ‪ええ そうです 呪詛(じゅそ)人形です‬ 258 00:13:38,859 --> 00:13:41,654 ‪丑(うし)‪の刻参りで知られる‪藁(わら)‪人形は‬‬‬‬ 259 00:13:41,737 --> 00:13:44,657 ‪神社の木に五寸‪釘(くぎ)‪で‬‬‬ ‪打ちつけることによって‬ 260 00:13:44,740 --> 00:13:46,534 ‪対象に危害を加えます‬ 261 00:13:46,617 --> 00:13:50,746 ‪呪詛の人形には大抵‬ ‪憎い相手の名前を書き入れたり‬ 262 00:13:50,830 --> 00:13:54,416 ‪似顔絵や写真を貼る‬ ‪髪の毛や爪を埋め込むなど‬ 263 00:13:54,500 --> 00:13:57,294 ‪その人物に関係するものを‬ ‪付与します‬ 264 00:13:57,378 --> 00:14:00,673 ‪それによって‬ ‪人形は呪う相手そのものとなり‬ 265 00:14:00,756 --> 00:14:04,760 ‪釘を人形に刺せば‬ ‪刺したのと同じ部分に痛みを‬ 266 00:14:05,427 --> 00:14:07,513 ‪腕を折れば 同じく腕が折れ‬ 267 00:14:07,596 --> 00:14:08,514 ‪火にくべれば‬ 268 00:14:08,597 --> 00:14:11,642 ‪相手もまた燃え上がるという‬ ‪現象が生じます‬ 269 00:14:12,601 --> 00:14:15,396 ‪善太さんの作った人形も‬ ‪それなんです‬ 270 00:14:21,402 --> 00:14:24,071 ‪(九郎)ぐあっ… くっ…‬ 271 00:14:29,410 --> 00:14:32,204 ‪(琴子)‬ ‪勝手に動き 手から電撃を放ち‬ 272 00:14:32,288 --> 00:14:36,458 ‪町に災いをもたらしているため‬ ‪その連想が浮かびにくいですが‬ 273 00:14:36,542 --> 00:14:39,461 ‪そう考えると‬ ‪全てのつじつまが合います‬ 274 00:14:58,105 --> 00:14:58,856 ‪くっ…‬ 275 00:15:00,774 --> 00:15:04,111 ‪(琴子)善太さんの人形には‬ ‪お孫さんをひき殺した⸺‬ 276 00:15:04,194 --> 00:15:07,489 ‪4人の大学生とつながるものが‬ ‪込められているでしょう‬ 277 00:15:07,573 --> 00:15:09,158 ‪うかつに破壊すれば‬ 278 00:15:09,241 --> 00:15:12,578 ‪大学生たちは恐らく‬ ‪命を落とします‬ 279 00:15:21,462 --> 00:15:24,173 ‪(琴子)‬ ‪善太さんは 4人の大学生も‬ 280 00:15:24,256 --> 00:15:26,967 ‪この町の人たちのことも‬ ‪憎んでいました‬ 281 00:15:27,051 --> 00:15:31,513 ‪けれど 人を殺す度胸もなく‬ ‪その責任を負う強さもなかった‬ 282 00:15:31,597 --> 00:15:33,223 ‪だから 町の人に‬ 283 00:15:33,307 --> 00:15:36,936 ‪4人の大学生を殺す罪を‬ ‪かぶってもらおうと考えたんです‬ 284 00:15:37,519 --> 00:15:39,938 ‪人形が町に‬ ‪災いをもたらしたなら‬ 285 00:15:40,022 --> 00:15:42,524 ‪町の人は それを破壊しようと‬ ‪するでしょう‬ 286 00:15:43,108 --> 00:15:45,611 ‪善太さんのお孫さんを‬ ‪殺した者たちへ‬ 287 00:15:45,694 --> 00:15:48,489 ‪人形を通して‬ ‪強い憎しみが向けられる‬ 288 00:15:48,572 --> 00:15:53,035 ‪善太さん一人の憎しみでなく‬ ‪町全体の憎悪がもたらす⸺‬ 289 00:15:53,118 --> 00:15:55,746 ‪大きな痛みが届くのを‬ ‪願ったのです‬ 290 00:15:55,829 --> 00:15:58,999 ‪そして‬ ‪人形の破壊と時を同じくして‬ 291 00:15:59,083 --> 00:16:03,462 ‪4人の大学生が変死し‬ ‪そのニュースが町に伝われば‬ 292 00:16:03,545 --> 00:16:07,091 ‪町の人たちは‬ ‪漠然とした因果関係を感じ‬ 293 00:16:07,174 --> 00:16:09,718 ‪その心に‬ ‪深い影を落とすでしょう‬ 294 00:16:09,802 --> 00:16:11,470 ‪善太さん自身は‬ 295 00:16:11,553 --> 00:16:15,224 ‪自分は最後の一手を下していない‬ ‪という免罪符は得られます‬ 296 00:16:15,307 --> 00:16:17,601 ‪魚を大量死させ‬ 297 00:16:17,685 --> 00:16:20,729 ‪町を衰退させるというのも‬ ‪十分な呪いですが‬ 298 00:16:20,813 --> 00:16:24,149 ‪自分の代わりに‬ ‪町の者に殺人の罪を負わせるのも‬ 299 00:16:24,233 --> 00:16:25,567 ‪また呪いです‬ 300 00:16:25,651 --> 00:16:29,238 ‪罪を負えない弱さ‬ ‪善人としての心根から‬ 301 00:16:29,321 --> 00:16:31,699 ‪思考がねじれて生まれた‬ ‪たくらみでしょうが‬ 302 00:16:32,282 --> 00:16:34,326 ‪結果的に どんな報復より‬ 303 00:16:34,410 --> 00:16:37,079 ‪禍々(まがまが)‪しい姿となっている‬‬ ‪かもしれません‬ 304 00:16:37,162 --> 00:16:39,623 ‪それじゃ‬ ‪打つ手がないじゃないか‬ 305 00:16:39,707 --> 00:16:42,876 ‪このまま人形を破壊して‬ ‪町の者に代わって‬ 306 00:16:42,960 --> 00:16:46,004 ‪4人の大学生を殺す罪を‬ ‪負うつもりかい?‬ 307 00:16:46,088 --> 00:16:49,091 ‪別に私は罪を負っても‬ ‪かまいませんし‬ 308 00:16:49,174 --> 00:16:51,885 ‪この町にどんな被害が出ても‬ ‪かまいはしません‬ 309 00:16:52,761 --> 00:16:55,097 ‪(多恵)‬ ‪かわいい顔して非情な態度だ‬ 310 00:16:55,180 --> 00:16:59,727 ‪ただし 善太さんの行いは‬ ‪この地の秩序を乱すものです‬ 311 00:17:00,310 --> 00:17:02,771 ‪空の向こうから来たものの‬ ‪力を借りて‬ 312 00:17:02,855 --> 00:17:05,065 ‪願いをかなえようと‬ ‪しているんですから‬ 313 00:17:05,148 --> 00:17:07,317 ‪(多恵)‬ ‪いや このおひいさまは…‬ 314 00:17:07,401 --> 00:17:11,195 ‪なら 願いどおりにさせるわけには‬ ‪いかないのですよ‬ 315 00:17:11,280 --> 00:17:13,699 ‪(多恵)‬ ‪可憐(かれん)‪にして苛烈なのだった‬‬ 316 00:17:14,782 --> 00:17:16,160 ‪手はあります‬ 317 00:17:16,242 --> 00:17:18,871 ‪人形から呪詛につながる‬ ‪なんらかを外し‬ 318 00:17:18,954 --> 00:17:20,873 ‪それから人形を壊せば‬ 319 00:17:20,955 --> 00:17:23,791 ‪対象者に災いが向かうことは‬ ‪ないでしょう‬ 320 00:17:25,836 --> 00:17:28,756 ‪(九郎)ぐあっ… ああっ…‬ 321 00:17:34,261 --> 00:17:35,512 ‪あ…‬ 322 00:17:53,405 --> 00:17:53,906 ‪今だ!‬ 323 00:17:57,159 --> 00:17:58,243 ‪うっ!‬ 324 00:18:12,090 --> 00:18:14,343 ‪(あやかしたちの声)‬ 325 00:18:17,846 --> 00:18:19,515 ‪(あやかしたち)ん~!‬ 326 00:18:27,397 --> 00:18:29,566 ‪穴に落とすだけなら‬ ‪簡単でしたが‬ 327 00:18:30,150 --> 00:18:32,861 ‪こうして右腕だけ‬ ‪縄に絡めてつるのは‬ 328 00:18:32,945 --> 00:18:36,115 ‪九郎先輩の能力がなければ‬ ‪難しかったでしょう‬ 329 00:18:36,198 --> 00:18:38,867 ‪右の肩や肘が外れかねない‬ 330 00:18:38,951 --> 00:18:41,453 ‪お前たち 予定どおり埋めなさい‬ 331 00:18:45,707 --> 00:18:47,209 ‪九郎先輩‬ 332 00:18:49,086 --> 00:18:50,379 ‪人形に何か‬ 333 00:18:50,462 --> 00:18:54,550 ‪呪詛をつなぐものが仕込まれた‬ ‪形跡がないか調べてください‬ 334 00:18:54,633 --> 00:18:55,634 ‪分かった‬ 335 00:19:01,098 --> 00:19:03,392 ‪(琴子)‬ ‪手足は関節を固定する部品が‬ 336 00:19:03,475 --> 00:19:07,855 ‪外れる可能性がありますから‬ ‪胴体に仕込まれていると思います‬ 337 00:19:08,772 --> 00:19:09,273 ‪あっ‬ 338 00:19:09,356 --> 00:19:12,651 ‪この辺りに人の名前が‬ ‪いくつも彫り込まれている‬ 339 00:19:12,734 --> 00:19:15,404 ‪4人の大学生の名前と…‬ 340 00:19:16,530 --> 00:19:18,907 ‪もう一人 別の名前が‬ 341 00:19:18,991 --> 00:19:19,908 ‪もう一人?‬ 342 00:19:22,744 --> 00:19:24,830 ‪(多恵)あたしの名前だろう?‬ 343 00:19:27,749 --> 00:19:31,795 ‪善太は あたしが幸せそうなのが‬ ‪認められなかったんだろう‬ 344 00:19:33,630 --> 00:19:35,674 ‪この名前をどう消す?‬ 345 00:19:35,757 --> 00:19:37,301 ‪(多恵)削り取ればいいよ‬ 346 00:19:37,384 --> 00:19:40,762 ‪名前の人物に‬ ‪痛みが出るかもしれないけれど‬ 347 00:19:40,846 --> 00:19:43,182 ‪それくらいは甘受すべきだろう‬ 348 00:19:43,265 --> 00:19:44,641 ‪このあたしもね‬ 349 00:19:48,478 --> 00:19:52,399 ‪(削る音)‬ 350 00:19:56,904 --> 00:20:00,365 ‪うん 痛くもかゆくもないさ‬ 351 00:20:00,991 --> 00:20:04,161 ‪さしもの‬ ‪怪異の隕石も善太の念も‬ 352 00:20:04,244 --> 00:20:07,789 ‪人形を動かし‬ ‪電撃を放つのが精いっぱいで‬ 353 00:20:07,873 --> 00:20:10,250 ‪その呪詛までは‬ ‪かなえられなかったんだろう‬ 354 00:20:12,377 --> 00:20:14,046 ‪(琴子)‬ ‪なら 善太さんのたくらみは‬ 355 00:20:14,129 --> 00:20:16,840 ‪最初から‬ ‪失敗していたことになりますね‬ 356 00:20:17,341 --> 00:20:20,052 ‪名が刻まれた大学生たちに‬ ‪危害はなく‬ 357 00:20:20,135 --> 00:20:22,679 ‪私の作戦も意味はなかったと‬ 358 00:20:22,763 --> 00:20:26,642 ‪これも“人を呪わば穴二つ”‬ ‪というんでしょうか?‬ 359 00:20:26,725 --> 00:20:28,352 ‪どうだかね‬ 360 00:20:29,478 --> 00:20:33,315 ‪複雑で他人の力を当てにした‬ ‪計画を立てれば‬ 361 00:20:33,398 --> 00:20:36,902 ‪しくじる可能性が高くなるのは‬ ‪道理ってもんだろう‬ 362 00:20:36,985 --> 00:20:39,655 ‪それはそれで嫌な話だけどね‬ 363 00:20:40,405 --> 00:20:42,658 ‪人形を壊すのを‬ ‪手伝われますか?‬ 364 00:20:42,741 --> 00:20:46,954 ‪年寄りを少しはいたわりな‬ ‪もう休むよ‬ 365 00:20:52,501 --> 00:20:54,920 ‪(多恵)‬ ‪あたしには子供が2人いた‬ 366 00:20:55,003 --> 00:20:59,383 ‪でも 2人とも小さいころ‬ ‪一緒に交通事故で亡くなってね‬ 367 00:20:59,883 --> 00:21:03,011 ‪犯人は金持ちで‬ ‪賠償金を山と積んで‬ 368 00:21:03,095 --> 00:21:06,056 ‪実刑は受けたけど‬ ‪あっという間に出所した‬ 369 00:21:06,139 --> 00:21:07,349 ‪あたしたち夫婦は‬ 370 00:21:07,432 --> 00:21:10,686 ‪おかげで こんな田舎で‬ ‪いきなり資産家になった‬ 371 00:21:10,769 --> 00:21:13,021 ‪暮らしに困っちゃいなかったのに‬ 372 00:21:13,105 --> 00:21:16,441 ‪そんなもの後生大事に抱えても‬ ‪ろくなことがない‬ 373 00:21:16,525 --> 00:21:19,695 ‪だから 旦那の友人が‬ ‪起業するって言うんで‬ 374 00:21:19,778 --> 00:21:21,780 ‪そこにほとんど出資したんだ‬ 375 00:21:21,863 --> 00:21:24,950 ‪そしたら‬ ‪その会社が急成長してね‬ 376 00:21:25,033 --> 00:21:28,453 ‪出資した金は‬ ‪何倍にもなって戻ってきた‬ 377 00:21:28,954 --> 00:21:30,455 ‪ふざけた話だ‬ 378 00:21:30,539 --> 00:21:33,083 ‪交通遺児の基金に寄付したり‬ 379 00:21:33,166 --> 00:21:35,585 ‪とにかく その金を‬ ‪使い切ろうとしたんだけど‬ 380 00:21:35,669 --> 00:21:37,504 ‪まるで減りゃしない‬ 381 00:21:37,587 --> 00:21:40,841 ‪ようやく身の丈に合った‬ ‪額になるかと思ったころ‬ 382 00:21:40,924 --> 00:21:43,844 ‪今度は旦那が水難事故で急死だ‬ 383 00:21:43,927 --> 00:21:47,180 ‪あたしより10も若くて‬ ‪50代だったんだよ‬ 384 00:21:47,681 --> 00:21:51,435 ‪それで また‬ ‪賠償金やらが転がり込んだ‬ 385 00:21:51,935 --> 00:21:54,980 ‪もう 使い道を考えるのにも‬ ‪ひと苦労だった‬ 386 00:21:55,063 --> 00:21:55,981 ‪でも 裏じゃ‬ 387 00:21:56,064 --> 00:21:59,234 ‪身内の死体でもうけた魔女‬ ‪とか言われてるよ‬ 388 00:21:59,317 --> 00:22:00,402 ‪善太からすれば‬ 389 00:22:00,485 --> 00:22:03,530 ‪そんなあたしは‬ ‪否定すべき存在だったんだろう‬ 390 00:22:03,613 --> 00:22:05,866 ‪身内の死で‬ ‪幸せに生きてるあたしは‬ 391 00:22:05,949 --> 00:22:07,826 ‪間違いでなければいけない‬ 392 00:22:07,909 --> 00:22:11,455 ‪でなければ 善太の行いは‬ ‪あまりに愚かになる‬ 393 00:22:11,538 --> 00:22:12,873 ‪それで あの人形に‬ 394 00:22:12,956 --> 00:22:15,334 ‪あたしの名前も‬ ‪彫り込んだんだろう‬ 395 00:22:15,417 --> 00:22:18,503 ‪逆恨みも甚だしくはありますね‬ 396 00:22:18,587 --> 00:22:21,882 ‪私も何やら恵まれているように‬ ‪言われたりするのですが‬ 397 00:22:21,965 --> 00:22:23,925 ‪肝心の恋人からの愛が‬ 398 00:22:24,009 --> 00:22:27,220 ‪まるで足らないという‬ ‪不幸に見舞われていますよ‬ 399 00:22:27,304 --> 00:22:28,889 ‪へえ そうかい?‬ 400 00:22:29,806 --> 00:22:34,269 ‪そうはいっても 暮らしに困らず‬ ‪一人でも腐らず生きてるあたしは‬ 401 00:22:34,353 --> 00:22:36,355 ‪不幸じゃないんだろう‬ 402 00:22:37,272 --> 00:22:41,318 ‪でも 子供たちを亡くしたとき‬ ‪旦那を亡くしたとき‬ 403 00:22:41,401 --> 00:22:44,529 ‪どちらもあたしは‬ ‪死んでしまいたかった‬ 404 00:22:45,781 --> 00:22:49,034 ‪ただ あたしは‬ ‪自分で死ぬ勇気がなかっただけだ‬ 405 00:22:49,117 --> 00:22:51,745 ‪あたしもある意味 善太と同じさ‬ 406 00:22:51,828 --> 00:22:54,289 ‪自分で責任を負うのは怖いんだ‬ 407 00:22:54,373 --> 00:22:55,707 ‪自分の大切なものは‬ 408 00:22:55,791 --> 00:22:58,335 ‪ひとつとして‬ ‪この家の中にないのに‬ 409 00:22:58,418 --> 00:23:01,129 ‪ここを自分から去る勇気はない‬ 410 00:23:01,213 --> 00:23:03,298 ‪あの人形が現れたときにね‬ 411 00:23:03,382 --> 00:23:05,342 ‪あれを止め 町を救うために‬ 412 00:23:05,425 --> 00:23:08,929 ‪今のあたしがいたんじゃないか‬ ‪って運命を感じた‬ 413 00:23:09,429 --> 00:23:10,847 ‪この身を犠牲にして‬ 414 00:23:10,931 --> 00:23:15,102 ‪あの人形と刺し違えるなんて‬ ‪成り行きになるんじゃないかってね‬ 415 00:23:15,185 --> 00:23:17,270 ‪とんだ妄想だったよ‬ 416 00:23:17,354 --> 00:23:20,315 ‪あたしがいなくても‬ ‪あれは簡単に壊せた‬ 417 00:23:20,398 --> 00:23:23,402 ‪あたしは意味なく‬ ‪ここにいるだけだよ‬ 418 00:23:23,485 --> 00:23:24,403 ‪(琴子)いえ‬ 419 00:23:24,486 --> 00:23:26,696 ‪あなたが ここに‬ ‪いてくださったおかげで‬ 420 00:23:26,780 --> 00:23:30,450 ‪私は今日 おいしい朝ご飯を‬ ‪食べられています‬ 421 00:23:30,534 --> 00:23:32,244 ‪感謝の言葉もありません‬ 422 00:23:33,620 --> 00:23:34,746 ‪ありがとよ‬ 423 00:23:34,830 --> 00:23:36,206 ‪でも そのみそ汁は‬ 424 00:23:36,289 --> 00:23:39,876 ‪おひいさんの持ってきた‬ ‪手土産のフリーズドライだけどね‬ 425 00:23:39,960 --> 00:23:41,545 ‪それでもですよ‬ 426 00:23:43,213 --> 00:23:46,842 ‪(九郎)隕石とご老人の念から‬ ‪あんな人形が生まれるなんて‬ 427 00:23:46,925 --> 00:23:48,468 ‪世の中 不思議だな‬ 428 00:23:48,552 --> 00:23:50,011 ‪どうでしょうね‬ 429 00:23:50,095 --> 00:23:52,305 ‪それだけじゃあ‬ ‪なかったかもしれません‬ 430 00:23:52,389 --> 00:23:56,685 ‪この隕石から感じる力も‬ ‪さほど大きくはありませんから‬ 431 00:23:56,768 --> 00:23:59,813 ‪ひょっとすると‬ ‪嶋井(しまい)‪多恵さんの念も‬‬ 432 00:23:59,896 --> 00:24:02,691 ‪人形を動かす力に‬ ‪なっていたかもしれません‬ 433 00:24:02,774 --> 00:24:04,943 ‪また いいかげんなウソを言う‬ 434 00:24:05,026 --> 00:24:08,655 ‪今回は意図的に‬ ‪ウソをついたことはありませんよ‬ 435 00:24:08,738 --> 00:24:10,740 ‪あの人は死を望んでいました‬ 436 00:24:10,824 --> 00:24:14,119 ‪それも 意味のある死を‬ ‪望まれていたようです‬ 437 00:24:14,202 --> 00:24:17,038 ‪あの人形が町に災いをもたらし‬ 438 00:24:17,122 --> 00:24:20,208 ‪それを命を懸けて解決する‬ ‪役回りになるのを‬ 439 00:24:20,709 --> 00:24:22,752 ‪無意識のうちに‬ ‪願ったのではないでしょうか‬ 440 00:24:24,963 --> 00:24:27,716 ‪だから 人形は‬ ‪善太さんの念だけでは‬ 441 00:24:27,799 --> 00:24:30,427 ‪持ちえなかった力を‬ ‪持つようになった‬ 442 00:24:30,927 --> 00:24:34,097 ‪あの人は幸せなのか 不幸なのか‬ 443 00:24:34,181 --> 00:24:37,809 ‪それは私たちがどうこう‬ ‪評価することじゃあありません‬ 444 00:24:38,310 --> 00:24:40,937 ‪それより‬ ‪今日は時間もありますし‬ 445 00:24:41,021 --> 00:24:43,231 ‪どこか寄り道をして‬ ‪観光をしましょう‬ 446 00:24:43,315 --> 00:24:45,609 ‪来るときに‬ ‪目星をつけていたんです‬ 447 00:24:45,692 --> 00:24:47,736 ‪こことか こことか!‬ 448 00:24:48,695 --> 00:24:50,989 ‪(九郎)‬ ‪お前は幸せそうでいいな‬ 449 00:24:51,072 --> 00:24:52,282 ‪なんですか それは!‬ 450 00:24:52,365 --> 00:24:54,576 ‪人を繊細さの欠ける‬ ‪バカのように!‬ 451 00:24:54,659 --> 00:24:55,827 (九郎) ん? 違うのか? 452 00:24:55,911 --> 00:24:57,496 (琴子)なんですと~!