1 00:00:10,934 --> 00:00:13,767 -…寒いな -…寒いですね 2 00:00:17,100 --> 00:00:21,033 -…ラーメンか -ラーメンですね… 3 00:00:21,067 --> 00:00:25,133 <ラーメン 明治時代 中国から伝わった汁そばを 4 00:00:25,167 --> 00:00:27,968 日本人向けに改良したものを 源流に 5 00:00:27,968 --> 00:00:31,634 戦後 さまざまなアレンジが加えられた 麺類 6 00:00:31,667 --> 00:00:35,100 麺に歯応えを求める 日本の食文化において 7 00:00:35,133 --> 00:00:37,968 その かん水を用いた コシの強い麺は 8 00:00:38,968 --> 00:00:43,133 人々の心をとらえて放さず 長く愛され続けている> 9 00:00:43,167 --> 00:00:46,534 -おなか すきましたね… -ああ… 10 00:00:46,567 --> 00:00:51,634 食べていきますか? 11 00:00:51,667 --> 00:00:55,033 いや 今日は気分ではない 12 00:00:55,067 --> 00:00:59,868 一食に七百円も使うなど そんな贅沢は できん… 13 00:00:59,901 --> 00:01:01,868 …帰るぞ 六文 14 00:01:01,901 --> 00:01:05,133 …ん? …六文? どこへ行った? 15 00:01:05,167 --> 00:01:07,300 にゃ? 16 00:01:28,167 --> 00:01:33,400 開かずのドア ひらけゴマで ちょいと腕試し 17 00:01:33,434 --> 00:01:40,501 今日は なんだか いけないことしたいのよ 18 00:01:40,534 --> 00:01:45,868 誘い口上 並べて登場で さあ始めようか 19 00:01:45,901 --> 00:01:51,901 秘密は ひとりで 内緒は ふたりで 20 00:01:51,934 --> 00:01:59,167 指切りの合図で 21 00:01:59,200 --> 00:02:02,367 キミとボクがリンクする 22 00:02:02,400 --> 00:02:05,434 境界線なら綱渡り 23 00:02:05,467 --> 00:02:08,501 踊れや歌えや今夜 24 00:02:08,534 --> 00:02:11,701 あの世も この世もない 25 00:02:11,734 --> 00:02:14,868 右か左か 26 00:02:14,901 --> 00:02:17,934 良いか悪いか 27 00:02:17,968 --> 00:02:21,033 くるくるくる変わる 28 00:02:21,067 --> 00:02:27,000 きっと答えは ウラのウラ 29 00:02:29,667 --> 00:02:33,334 のウラ 30 00:02:47,467 --> 00:02:51,934 学校の近所に ラーメン屋さんが オープンしました 31 00:02:51,968 --> 00:02:55,934 あそこのラーメン 開店セールで 一杯 百円だって 32 00:02:55,968 --> 00:02:59,000 -おお 安い -帰りに寄ってみるか 33 00:02:59,033 --> 00:03:01,434 あそこ ずっと空き店舗だったんだよね 34 00:03:01,467 --> 00:03:05,834 そうそう なんか出るって 噂があったけど 35 00:03:05,868 --> 00:03:07,834 出るって? 36 00:03:07,868 --> 00:03:10,968 夜 通りかかった人が 見たんだって 37 00:03:11,000 --> 00:03:16,834 無人のはずの厨房で 忙しく動く人魂を… 38 00:03:16,868 --> 00:03:21,534 -人魂… -あれ デマだったのかな? 39 00:03:21,567 --> 00:03:23,968 依頼の手紙だ 40 00:03:24,000 --> 00:03:27,133 学外からの相談ですか 41 00:03:27,167 --> 00:03:29,601 近所のラーメン屋さんからだ 42 00:03:29,634 --> 00:03:34,467 「オープン早々 オーナーが悪霊に 取り憑かれ 苦しんでいます 43 00:03:34,501 --> 00:03:36,467 どうか助けてください 44 00:03:36,501 --> 00:03:40,367 依頼料として ラーメン無料券を 同封致します」 45 00:03:40,400 --> 00:03:43,767 うぐっ! 46 00:03:43,801 --> 00:03:46,701 ラーメンを タダで食べられるんですか 47 00:03:46,734 --> 00:03:50,801 これは 行かねばなるまい! 48 00:03:58,100 --> 00:04:01,634 -ここか -あっ 六道くん 49 00:04:01,667 --> 00:04:05,901 -六道くんも 食べに来たの? -お金あるんだ?! おごって? 50 00:04:05,934 --> 00:04:08,634 お待ちしておりました りんね様 51 00:04:13,968 --> 00:04:17,033 えーと 確かこの人… 52 00:04:17,067 --> 00:04:20,634 -堕魔死神 覚悟! -投げ銭 53 00:04:20,667 --> 00:04:23,734 てぇ?い! 54 00:04:23,767 --> 00:04:25,734 鳳(あげは)… 55 00:04:25,767 --> 00:04:27,734 -まだかな? -楽しみ 56 00:04:27,767 --> 00:04:29,801 早く食いたいな? 57 00:04:29,834 --> 00:04:34,133 <死神 鳳は フツーの人には見えないのだ> 58 00:04:34,167 --> 00:04:36,300 隠しても無駄だ だまし神が 59 00:04:36,334 --> 00:04:39,033 この店舗を 買収したという情報を つかんでいる 60 00:04:39,067 --> 00:04:45,267 ふっ 小娘 こんな投げ銭が 私に通用するとでも… 61 00:04:45,300 --> 00:04:49,834 -いやいや -当たっているぞ ど真ん中に 62 00:04:49,868 --> 00:04:52,267 -あ… -おねえちゃん 63 00:04:52,300 --> 00:04:55,901 ふ… 気づかれてしまったわね 鳳 64 00:04:55,934 --> 00:04:58,934 <鳳の姉は だまし神退治に行った先で 65 00:04:58,968 --> 00:05:01,801 その親玉 りんねの父に恋をし 66 00:05:01,834 --> 00:05:05,968 現在 堕魔死神カンパニーの 社長秘書をやっているのだ> 67 00:05:06,000 --> 00:05:09,901 お助けください りんね様 社長が大変なんです 68 00:05:09,934 --> 00:05:12,400 え… てことは… 69 00:05:12,434 --> 00:05:17,601 悪霊に取り憑かれた オーナーというのは… 70 00:05:17,634 --> 00:05:20,367 おやじ 71 00:05:22,033 --> 00:05:24,200 フーン! 72 00:05:24,234 --> 00:05:27,067 おおっ 目にもとまらぬ 見事な腕前! 73 00:05:27,100 --> 00:05:29,868 や?ん 店長さん イケメーン 74 00:05:29,901 --> 00:05:34,133 ハーッ! 75 00:05:34,167 --> 00:05:37,000 へい お待ち! 76 00:05:37,033 --> 00:05:40,901 なにい?! おやじが 普通に働いてる? 77 00:05:40,934 --> 00:05:43,234 っ… そんなばかな 78 00:05:43,267 --> 00:05:48,534 -社会復帰したんですかね? -このお店 メニューがないね 79 00:05:48,567 --> 00:05:51,467 桜さま あれを 80 00:05:51,501 --> 00:05:55,567 -ラーメンだけ? -ギョーザもライスも ないんですね 81 00:05:55,601 --> 00:05:59,634 働いているだけでも奇跡だ 贅沢は 言えんだろう 82 00:05:59,667 --> 00:06:04,300 いや そうではない 83 00:06:04,334 --> 00:06:08,100 -十文字… -昨今のラーメン専門店であれば 84 00:06:08,133 --> 00:06:11,400 ラーメン一品だけというのは 珍しくない 85 00:06:11,434 --> 00:06:16,634 しかし 既にある具を増やすだけの チャーシューメンや メンマラーメンどころか 86 00:06:16,667 --> 00:06:18,634 大盛りすらもなく 87 00:06:18,667 --> 00:06:22,567 脂の量や 麺のゆで加減 味の濃さの指定もなければ 88 00:06:22,601 --> 00:06:26,200 -にんにくも 胡椒も置いてない -確かに… 89 00:06:26,234 --> 00:06:28,834 つまり これは意図して 90 00:06:28,868 --> 00:06:32,467 ラーメン一品のみに絞っているに ほかならない 91 00:06:32,501 --> 00:06:36,234 それって… 92 00:06:36,267 --> 00:06:41,667 よほど このラーメンに 自信があるという事だ 93 00:06:43,667 --> 00:06:46,701 いいだろう… お祓い行脚の旅で 94 00:06:46,734 --> 00:06:50,400 全国津々浦々のラーメンを食べてきた このおれが 95 00:06:50,434 --> 00:06:54,667 その勝負 受けて立とう! 96 00:06:54,701 --> 00:06:56,834 ラーメン 一つ! 97 00:06:56,868 --> 00:06:59,834 アイよ! 98 00:07:04,033 --> 00:07:11,234 ほう… 鮮度を下げないため 注文が入ってからネギを刻み… 99 00:07:11,267 --> 00:07:13,801 チャーシューを切るか 100 00:07:13,834 --> 00:07:16,067 よい心遣いだ! 101 00:07:16,100 --> 00:07:19,701 しかし その程度では おれの心は動かぬ 102 00:07:19,734 --> 00:07:28,033 うお?! 103 00:07:28,067 --> 00:07:32,934 その技は! 伝説の 多角形コーナリング湯切り! 104 00:07:32,968 --> 00:07:37,467 まさか そのテクニックを 使いこなせる者がいたとは… 105 00:07:37,501 --> 00:07:40,100 フン 106 00:07:40,133 --> 00:07:42,567 へい お待ち! 107 00:07:42,601 --> 00:07:47,067 こ これは… コヤツ できる! 108 00:07:47,100 --> 00:07:49,067 食べる前から分かるの? 109 00:07:49,100 --> 00:07:52,701 ラーメンは 丼を見れば 店主の思いが分かる 110 00:07:52,734 --> 00:07:56,100 この深いながらも スリムな器… 111 00:07:56,133 --> 00:08:00,901 麺の量に対する スープの量が 絶妙なバランスで成り立ちながら 112 00:08:00,934 --> 00:08:05,267 見た目のボリューム感を保つ 計算され尽くされた形 113 00:08:05,300 --> 00:08:09,501 -この丼を選ぶとは ただ者ではない! -ふっ… 114 00:08:09,534 --> 00:08:15,868 面白い… その腕 しかと見届けよう! 115 00:08:15,901 --> 00:08:19,234 いただきます 116 00:08:19,267 --> 00:08:22,634 -な なんと… -どうしたの? 117 00:08:22,667 --> 00:08:26,767 かつてのラーメンは あくまでも 麺を食べる料理であり 118 00:08:26,801 --> 00:08:31,067 スープは 単なるツユに過ぎなかった… 119 00:08:31,100 --> 00:08:35,200 それが 昨今のラーメンブームにより 数々の進化を遂げ 120 00:08:35,234 --> 00:08:42,767 厳選された食材と 手間暇かかった スープこそが主役であり… 121 00:08:42,801 --> 00:08:44,968 麺は スープのための具といった 122 00:08:45,000 --> 00:08:49,868 主従が逆転した ラーメンが ちまたでは流行している 123 00:08:49,901 --> 00:08:53,267 しかし! このラーメンは… 124 00:08:53,300 --> 00:08:59,234 麺が 主役でもなければ スープが 主役でもない 125 00:08:59,267 --> 00:09:01,234 互いが互いを高め合い 126 00:09:01,267 --> 00:09:04,901 渾然一体となった 絶妙のバランスのうえに成り立つ 127 00:09:04,934 --> 00:09:10,634 一分のスキもない 黄金比によって 組み立てられた味の妙技 128 00:09:10,667 --> 00:09:13,334 豚骨しょうゆのパンチのある スープに負けない 129 00:09:13,367 --> 00:09:15,534 歯応えのある縮れた太麺は 130 00:09:15,567 --> 00:09:18,000 すすった時に 一口で収まりながらも 131 00:09:18,033 --> 00:09:22,601 満足感のある長さに裁断され… 132 00:09:22,634 --> 00:09:25,334 ネギ チャーシュー メンマなどの具材は 133 00:09:25,367 --> 00:09:28,968 麺を食べる間の アクセントとして 生きていながらも 134 00:09:28,968 --> 00:09:32,734 過剰な主張はせず スープの うまみを引き立てる 135 00:09:32,767 --> 00:09:35,534 最適な量の胡椒が 既に入れてあり 136 00:09:35,567 --> 00:09:41,267 ちょうど麺を食べ終わった時に 飲み終わる スープの量と… 137 00:09:43,200 --> 00:09:46,534 ハァ?… 138 00:09:46,567 --> 00:09:50,634 そして のびすぎず かたすぎない 水分量を計算された 139 00:09:50,667 --> 00:09:56,334 麺の組み合わせは まさに神業! 140 00:09:56,367 --> 00:09:58,901 おごった高級食材に頼らず 141 00:09:58,934 --> 00:10:03,801 その研ぎ澄まされたセンスと 腕だけで勝負するとは 142 00:10:03,834 --> 00:10:09,267 -あっぱれ… オヤジ また来る -ふっ 143 00:10:09,300 --> 00:10:11,267 何だったの? 今の 144 00:10:11,300 --> 00:10:13,968 あいつ そんなにラーメン 好きでしたっけ? 145 00:10:15,767 --> 00:10:20,300 でも どうやら本当に真面目に 仕事しているみたいですね 146 00:10:20,334 --> 00:10:23,767 これの どこが 悪霊に取り憑かれてるの? 147 00:10:23,801 --> 00:10:28,000 -社長 りんね様が来てくれましたよ -なに 148 00:10:28,033 --> 00:10:31,300 おやじ… 働く気になったのか? 149 00:10:31,334 --> 00:10:34,367 りんね 待ちわびていたよ! 150 00:10:34,400 --> 00:10:38,167 本当に… 心を入れ替えたのか? 151 00:10:38,200 --> 00:10:44,300 りんね… パパは… パパは… 152 00:10:44,334 --> 00:10:48,801 パパは 働きたくないんだ?っ! 153 00:10:48,834 --> 00:10:50,801 …ほう 154 00:10:50,834 --> 00:10:54,000 なのに 体が勝手にラーメンを? 155 00:10:54,033 --> 00:10:59,901 -どういう事? -あれは オープン当日の事でした 156 00:10:59,934 --> 00:11:04,767 ふっふっふ ここは ラーメン屋とは名ばかり 157 00:11:04,801 --> 00:11:10,901 百円ラーメンにつられて集まる愚かな 学生どもを そのまんま あの世に 158 00:11:10,934 --> 00:11:13,167 一杯のラーメンも出さずに 159 00:11:13,200 --> 00:11:17,901 しかも この店舗はナゼか 借り手のつかない 訳あり物件 160 00:11:17,934 --> 00:11:21,300 タダ同然で手に入った くっくっくっ 161 00:11:21,334 --> 00:11:28,734 てゆーか 渡したのも 不渡手形ですけどね? あはは? 162 00:11:28,767 --> 00:11:31,701 -黙って聞いていれば -痛い 163 00:11:31,734 --> 00:11:34,701 おねえさん すっかり悪の手先に 164 00:11:34,734 --> 00:11:37,934 -情けないよ -ふっ 165 00:11:37,968 --> 00:11:41,634 -ジャーン その時だった -無視か! 166 00:11:41,667 --> 00:11:46,601 光のような… 湯気のようなモノが現れて… 167 00:11:46,634 --> 00:11:49,734 開?店? 168 00:11:49,767 --> 00:11:52,667 きゃああ? 社長?っ! 169 00:11:52,701 --> 00:11:55,133 …で 取り憑かれたと 170 00:11:55,167 --> 00:11:58,801 さしずめ相手は この店にいた地縛霊… 171 00:11:58,834 --> 00:12:03,334 -店長さん 六道くんのお父さんだって -似てる?っ! 172 00:12:03,367 --> 00:12:06,267 -うまかった?… -ごちそうさ?ん 173 00:12:06,300 --> 00:12:10,067 -百円 そこに置いたよ -明日も来よーぜ 174 00:12:10,100 --> 00:12:14,868 みんな 普通に喜んでる 本当においしい ラーメンなんだね 175 00:12:14,901 --> 00:12:17,701 一生 取り憑かれたままで いいんじゃない? 176 00:12:22,634 --> 00:12:26,901 大変! 血の涙を流しながら 気絶している! 177 00:12:26,934 --> 00:12:31,334 普通に働くのが そんなに… 178 00:12:47,000 --> 00:12:52,968 しかし おやじも一応死神なのに 霊ひとつ祓えんとはな 179 00:12:52,968 --> 00:12:55,734 社長 長年サボってたから 180 00:12:55,767 --> 00:13:01,968 さいわい おやじも気絶しているし 霊の話を聞いてみよう 分離香で 181 00:13:02,000 --> 00:13:08,100 <分離香とは 取り憑いた霊を 煙でいぶり出す 死神道具である> 182 00:13:17,701 --> 00:13:19,667 まあ… 183 00:13:19,701 --> 00:13:24,400 なんか… きらきら輝く まっすぐな目をした好青年 184 00:13:24,434 --> 00:13:27,667 お話しください あなたの未練は なんですか? 185 00:13:27,701 --> 00:13:32,100 ぼくは ラーメンが大好きで ラーメン屋さんになるのが夢でした 186 00:13:32,133 --> 00:13:36,100 いろんな店で修行して 不眠不休で働いて 187 00:13:36,133 --> 00:13:39,334 やっと この店を手に入れて… 188 00:13:39,367 --> 00:13:44,167 いよいよ開店という前日に 長年の無理がたたって 189 00:13:44,200 --> 00:13:48,334 厨房で倒れ そのまま… 190 00:13:48,367 --> 00:13:53,667 -一杯のラーメンも 客に出せずに… -さぞ無念だったでしょうね 191 00:13:53,701 --> 00:13:55,734 一応 おうかがいしましょう 192 00:13:55,767 --> 00:13:58,300 どうすれば満足して 成仏できるのか 193 00:13:58,334 --> 00:14:02,300 そりゃあもう 今日みたいに 生身の肉体を使って 194 00:14:02,334 --> 00:14:06,534 おいしいラーメンを作り お客様の喜ぶ顔を見て 195 00:14:06,567 --> 00:14:09,834 それを 百年くらい 続けられれば 196 00:14:09,868 --> 00:14:11,834 百年 197 00:14:11,868 --> 00:14:14,868 -いいよ -おやじ 198 00:14:14,901 --> 00:14:19,567 -ぼくの体を使うと いいよ -うわ?っ 本当にいいんですか?? 199 00:14:19,601 --> 00:14:23,634 -ああ… 本当だとも -ありがとうございます 200 00:14:23,667 --> 00:14:26,767 このご恩は 一生忘れません! 201 00:14:26,801 --> 00:14:31,067 好きなだけ働くといい ぼくも 協力を惜しまないよ 202 00:14:31,100 --> 00:14:34,567 まさか社長… 働く喜びに目ざめた? 203 00:14:34,601 --> 00:14:38,167 ばかな… コイツにかぎって そんな事はありえん 204 00:14:38,200 --> 00:14:41,501 でも このダニおやじが 真人間になれば 205 00:14:41,534 --> 00:14:44,667 おねえちゃんも 昔のカッコいい おねえちゃんに戻るかも… 206 00:14:44,701 --> 00:14:48,334 君の未練を 好きなだけ晴らすといい 207 00:14:48,367 --> 00:14:51,367 百年でも 二百年でもね… 208 00:14:51,400 --> 00:14:54,200 おとうさん なにか たくらんでる? 209 00:14:54,234 --> 00:14:58,133 気絶している間に 引導を渡しておくべきだったか 210 00:15:02,868 --> 00:15:06,534 終わった 終わった? ラーメン 食べに行こーぜ 211 00:15:06,567 --> 00:15:09,267 店長さんが 六道くんの おとうさんなんだって 212 00:15:09,300 --> 00:15:12,901 え?っ 見てみたーい 213 00:15:16,534 --> 00:15:18,667 行列ができてる 214 00:15:18,701 --> 00:15:21,767 りんね様 ほっといて いいんですか? 215 00:15:21,801 --> 00:15:23,868 おやじが どうなろうと かまわんが 216 00:15:23,901 --> 00:15:30,334 あの働き者の ラーメン屋さんは きちんと成仏させてやりたい 217 00:15:30,367 --> 00:15:33,801 ありがとうございました? 218 00:15:33,834 --> 00:15:36,834 ウマカッタ? 219 00:15:36,868 --> 00:15:39,901 なんか 魂抜かれたような… 220 00:15:39,934 --> 00:15:42,000 ヘイ ラッシャイ 221 00:15:42,033 --> 00:15:46,434 体を貸すと言いながら すでに 別のなにかが働いてるし 222 00:15:46,467 --> 00:15:48,434 依代人形だ 223 00:15:48,467 --> 00:15:50,467 店長さん かっこい? 224 00:15:50,501 --> 00:15:54,300 <だが フツーの人には 人間に見えているのだ> 225 00:15:54,334 --> 00:15:57,634 あら りんね様 桜さま いらっしゃい 226 00:15:57,667 --> 00:16:00,734 どうぞ 食べてってくださいな 227 00:16:00,767 --> 00:16:02,801 へぇー 228 00:16:02,834 --> 00:16:05,367 鳳 229 00:16:05,400 --> 00:16:09,133 -それを 食べちゃダメっ! -食べないよ 230 00:16:09,167 --> 00:16:15,467 -うまい うまい -食べてる 231 00:16:15,501 --> 00:16:17,501 ごちそーさんっ 232 00:16:22,267 --> 00:16:26,033 -りんね様 魂が -ああ… 233 00:16:26,067 --> 00:16:29,033 あ… 234 00:16:29,067 --> 00:16:36,934 なんという事だ! この歯応え このノド越し 235 00:16:36,968 --> 00:16:41,167 こんなうまい麺は 食べた事ない ごちそうさん! 236 00:16:43,968 --> 00:16:46,567 アイツ 何で 食っちゃってるんですか? 237 00:16:46,601 --> 00:16:48,934 お祓い屋なのに 気付かないのか? 238 00:16:48,968 --> 00:16:54,000 よっぽどラーメン 好きなんだね 239 00:16:54,033 --> 00:16:56,033 …あそこか 240 00:17:00,968 --> 00:17:03,467 ふ? 241 00:17:03,501 --> 00:17:08,634 おい なに? このくつろぎの空間は 242 00:17:08,667 --> 00:17:11,968 ラーメン屋さんに 体を貸すんじゃなかったのか 243 00:17:11,968 --> 00:17:14,701 あ? あの話ね 244 00:17:14,734 --> 00:17:19,801 -この体なら不眠不休で働けるよ -不眠不休? 245 00:17:19,834 --> 00:17:24,934 -はい これも自由に使ってい?よ -特製かえ魂メン 246 00:17:24,968 --> 00:17:27,701 -かえ魂メン -うん 247 00:17:27,734 --> 00:17:31,033 堕魔死神カンパニー食品部で開発した 248 00:17:31,067 --> 00:17:35,567 食べたメンのかわりに 客の魂を 押し出す 特製メンだよ 249 00:17:35,601 --> 00:17:37,567 ええっ それじゃ… 250 00:17:37,601 --> 00:17:41,300 そう 彼が はりきって 働けば働くほど 251 00:17:41,334 --> 00:17:44,133 このよーに 魂がっ 252 00:17:44,167 --> 00:17:47,000 -ドサッときたね -この悪党 253 00:17:47,033 --> 00:17:50,467 このままじゃ あのラーメン屋さん… 254 00:17:50,501 --> 00:17:54,767 おいしいラーメンを作って お客様の喜ぶ顔が見たい 255 00:17:54,801 --> 00:17:58,467 純粋な心を利用されて 悪の手先に 256 00:17:58,501 --> 00:18:01,834 ヘイ オ待チ 257 00:18:01,868 --> 00:18:08,367 気の毒だが 依代人形から 出てもらうしかない 分離香で! 258 00:18:08,400 --> 00:18:10,968 テーイ! 259 00:18:11,000 --> 00:18:14,868 はっはっはっはっは 働く邪魔をされたくないよーだね 260 00:18:14,901 --> 00:18:18,200 ちょっと あんた! ダマされてるのが わかんないの 261 00:18:18,234 --> 00:18:20,200 おかしいでしょ これ! 262 00:18:20,234 --> 00:18:23,400 デモ オ客サン 喜ンデマスカラ 263 00:18:23,434 --> 00:18:28,133 -なっ いいのか -ふっ 甘いな りんね 264 00:18:28,167 --> 00:18:33,367 -おまえは この霊の本質をまったく理解していない -なにい 265 00:18:33,400 --> 00:18:37,734 覚えておくがいい もともと霊とは 理不尽なもの 266 00:18:37,767 --> 00:18:41,634 客が喜べば なんでもいい! 働ければ どうでもいい! 267 00:18:41,667 --> 00:18:46,334 逆に それさえ満たしてやれば なんでもする! 268 00:18:46,367 --> 00:18:50,601 そんな霊を おまえごときが 成仏させてやれるかな 269 00:18:50,634 --> 00:18:53,901 いやいや 祓ってくださいと 泣きついてきたのは 270 00:18:53,934 --> 00:18:57,334 -おとうさんの方じゃ… -りんね 言い返して! 271 00:18:57,367 --> 00:19:02,868 くっ… 今のところは おれの負けだーっ! 272 00:19:02,901 --> 00:19:04,868 ええーっ 273 00:19:04,901 --> 00:19:06,868 覚えてろ! 274 00:19:10,000 --> 00:19:12,234 ハイ らーめんカエ魂 275 00:19:12,267 --> 00:19:15,567 出前 お願いします ラーメン五百杯 276 00:19:15,601 --> 00:19:19,133 届け先は 堕魔死神カンパニーで 277 00:19:19,167 --> 00:19:21,133 ふっふっふっふっ… 278 00:19:21,167 --> 00:19:24,601 ええ 負けたからって イヤガラセですか 279 00:19:24,634 --> 00:19:27,934 らーめん五百杯 作りマース! 280 00:19:31,434 --> 00:19:33,634 す… すごい 281 00:19:33,667 --> 00:19:38,334 しかし 出前はスピード勝負だ 果たして達成できるかな? 282 00:19:38,367 --> 00:19:40,334 あっ 戻って来た 283 00:19:40,367 --> 00:19:42,334 ガンバリマス! 284 00:19:42,367 --> 00:19:44,434 こんな事で 成仏させられるの? 285 00:19:44,467 --> 00:19:47,934 その昔 首をはねられそうになった 武将が 286 00:19:47,968 --> 00:19:51,634 イキナリ 何を言い出すの? 287 00:19:51,667 --> 00:19:54,868 きさまの一族 末代まで呪ってやる! 288 00:19:54,901 --> 00:20:01,467 面白い ならば その決意の証に あの石に喰らいついてみよ 289 00:20:01,501 --> 00:20:03,868 そう言われて はねられた武将の首が 290 00:20:03,901 --> 00:20:08,033 本当に喰らいついたので 人々は おおいに恐れたが 291 00:20:08,067 --> 00:20:12,501 敵の武将が 呪われる事は なかった なぜなら 292 00:20:12,534 --> 00:20:16,067 武将は 目の前の石に 喰らいつく事に集中するあまり 293 00:20:16,100 --> 00:20:19,667 相手を呪う事を 忘れてしまったからだ 294 00:20:19,701 --> 00:20:23,367 つまり 目標のすりかえ 295 00:20:23,400 --> 00:20:28,367 確かに ラーメン五百杯の出前は 相当な達成感を感じるはず… 296 00:20:28,400 --> 00:20:32,667 成仏できるかも! 297 00:20:38,200 --> 00:20:42,567 壊れた! 働きすぎよ 298 00:20:44,234 --> 00:20:50,033 社長 帰るんですか? うん ずいぶん たまったからね 299 00:20:50,067 --> 00:20:52,100 魂を あの世に送ろう 300 00:20:52,133 --> 00:20:55,901 -五百杯? -きゃあ? 社長! 301 00:20:55,934 --> 00:21:00,534 -よしっ -完全に目標が すりかわった 302 00:21:00,567 --> 00:21:02,868 そして 六道くんのおとうさんは 303 00:21:02,901 --> 00:21:08,167 ボロゾーキンのようになるまで ラーメンを 作り続けました 304 00:21:08,200 --> 00:21:13,434 -五百杯? -社長 がんばって あと百杯ですよ 305 00:21:13,467 --> 00:21:16,167 達成感? 306 00:21:16,200 --> 00:21:22,300 それによって ラーメン屋さんは 無事 成仏しました 307 00:21:33,634 --> 00:21:40,467 かえ魂メンで奪われた 魂も 元の体に返還されました 308 00:21:46,334 --> 00:21:48,801 はっ おれは今まで何を 309 00:21:48,834 --> 00:21:51,868 偽物のラーメンで 魂を抜き取られてたわよ 310 00:21:51,901 --> 00:21:55,367 ふっ 敵をだますには まず味方から 311 00:21:55,400 --> 00:21:58,567 やつの もくろみを暴くための おとり捜査さ 312 00:21:58,601 --> 00:22:01,501 おとりじゃなくて 獲物だったよ 313 00:22:04,434 --> 00:22:08,133 ね? 聞いた? ラーメン屋さん 閉店しちゃったんだって 314 00:22:08,167 --> 00:22:11,968 え?っ おいしかったのに? 315 00:22:13,667 --> 00:22:17,534 お礼のメッセージカード 貼ろうよ うん 316 00:22:17,567 --> 00:22:21,534 きっと ラーメン屋さんも 浮かばれることでしょう 317 00:22:21,567 --> 00:22:27,501 ラーメン屋さん ありがとー 318 00:22:27,534 --> 00:22:29,501 あいつじゃないんだがな 319 00:22:31,534 --> 00:22:37,801 君が嫌い でも愛してる どうしようもない程に 320 00:22:37,834 --> 00:22:41,334 交わらない ふたつの世界 321 00:22:41,367 --> 00:22:44,701 輪廻の輪の 向こう 322 00:22:44,734 --> 00:22:48,534 こらえてた言葉さえ 323 00:22:48,567 --> 00:22:52,901 唇から こぼれそう 324 00:22:52,934 --> 00:22:56,667 愛の欠片 流れ星のよう 325 00:22:56,701 --> 00:23:02,767 消えてしまう きっと 326 00:23:02,801 --> 00:23:04,868 気付かない 327 00:23:04,901 --> 00:23:08,367 もつれた 赤い糸ほどく 328 00:23:08,400 --> 00:23:12,033 君に触れたい 気持ち 329 00:23:12,067 --> 00:23:15,667 たとえ近くに感じても 330 00:23:15,701 --> 00:23:20,601 明かせない この気持ち 331 00:23:25,334 --> 00:23:27,434 忘れないで 332 00:23:27,467 --> 00:23:31,767 生まれ変わる時が来ても 333 00:23:31,801 --> 00:23:37,868 心が ちょっと近づいても 334 00:23:43,133 --> 00:23:50,367 交わらない ふたつの世界 輪廻の輪の向こう 335 00:23:50,400 --> 00:23:58,334 回る回る 記憶をつなぐ また会う日まで