1 00:00:01,565 --> 00:00:05,378 \N(鐘の音) 2 00:00:05,402 --> 00:00:09,716 \N(リーシェ)こんばんは。 テオドール殿下。 3 00:00:09,740 --> 00:00:13,052 \N(テオドール)こんばんは。\N麗しの義姉上。 4 00:00:13,076 --> 00:00:17,724 \Nすごいね。 その様子だと\N僕だってわかってたんだ? 5 00:00:17,748 --> 00:00:21,394 \N(リーシェ)お話でしたら\N手短にお願いします。 6 00:00:21,418 --> 00:00:27,233 \N今朝の続きさ。 兄上のことは\Nまだ よく知らないでしょ? 7 00:00:27,257 --> 00:00:31,904 \Nフッフフ だから教えてあげる。 8 00:00:31,928 --> 00:00:36,743 \N兄上はね 人を殺すことなんて\Nなんとも思ってない。 9 00:00:36,767 --> 00:00:38,745 \Nそういう人間なんだよ。 10 00:00:38,769 --> 00:00:44,083 \N《私は知っている。 アルノルト・ハインが\N各国の王族を惨殺し➡ 11 00:00:44,107 --> 00:00:47,086 \N世界の国々を\N侵略していくことを》 12 00:00:47,110 --> 00:00:50,923 \N当然 僕は戦時下での話を\Nしてるんじゃない。 13 00:00:50,947 --> 00:00:54,927 \Nどういうことでしょうか?\Nフッフフフ。 14 00:00:54,951 --> 00:01:00,033 \N兄上はね…\N自分の母親を殺したんだ。 15 00:01:00,057 --> 00:01:03,036 \Nあっ…。\Nおぞましい話でしょ? 16 00:01:03,060 --> 00:01:07,373 \N実の母親を手にかけるなんて\Nまともじゃないよね? 17 00:01:07,397 --> 00:01:11,377 \N君も いずれ殺される。 18 00:01:11,401 --> 00:01:13,379 \Nそれが どうかしましたか? 19 00:01:13,403 --> 00:01:16,049 \Nえっ?\N私は➡ 20 00:01:16,073 --> 00:01:20,573 \Nすべて承知のうえで\Nアルノルト殿下に嫁ぎます。 21 00:02:52,936 --> 00:02:55,915 \N(テオドール)僕の話\Nちゃんと聞いてた? 22 00:02:55,939 --> 00:03:00,019 \N《驚きはしないわ。\Nいずれ お父君も殺し➡ 23 00:03:00,043 --> 00:03:02,355 \N皇位をさん奪するような方》 24 00:03:02,379 --> 00:03:06,359 \N君は何もわかってない!\N兄上は血も涙もない人間で…。 25 00:03:06,383 --> 00:03:10,083 \Nお話がおありのようでしたら\N続きはご兄弟で。 26 00:03:12,389 --> 00:03:15,389 \Nあっ…。 兄上…。 27 00:03:18,395 --> 00:03:20,373 \Nどうして兄上が…!? 28 00:03:20,397 --> 00:03:23,543 \N誤解だ! さっき言ったことは\N本心じゃない! 29 00:03:23,567 --> 00:03:26,045 \N全部 誤解だよ! 30 00:03:26,069 --> 00:03:28,714 \N(アルノルト)テオドール。\Nあっ…。 31 00:03:28,738 --> 00:03:32,552 \N(アルノルト)リーシェに近づくなと\N命じたはずだが? 32 00:03:32,576 --> 00:03:34,576 \Nあっ…。 33 00:03:37,247 --> 00:03:40,726 \Nごめんなさい 兄上。\N行くぞ リーシェ。 34 00:03:40,750 --> 00:03:44,730 \Nあっ…。 お待ちください 殿下。\N今少し弟君とお話を。 35 00:03:44,754 --> 00:03:46,732 \N必要ない。\Nですが…。 36 00:03:46,756 --> 00:03:48,734 \Nリーシェ。 37 00:03:48,758 --> 00:03:52,238 \Nあっ…。 はい。 38 00:03:52,262 --> 00:03:56,909 \Nクッ… フフフ…。\Nうん? 39 00:03:56,933 --> 00:04:03,349 \Nああ… やっぱり\N僕の思ったとおりだね 義姉上。 40 00:04:03,373 --> 00:04:05,351 \Nあっ…。 41 00:04:05,375 --> 00:04:08,187 \N本当にごめんなさい 兄上。 42 00:04:08,211 --> 00:04:11,611 \N大切な奥さんに\Nもう意地悪は言わないから。 43 00:04:14,050 --> 00:04:16,028 \N(テオドール)おやすみなさい。 44 00:04:16,052 --> 00:04:19,552 \N久しぶりに近くでお顔を見られて\Nうれしかったよ。 45 00:04:26,730 --> 00:04:28,875 \N(アルノルト)お前にも言ったはずだ。 46 00:04:28,899 --> 00:04:31,711 \Nアルノルト殿下のお名前で\N呼び出された以上➡ 47 00:04:31,735 --> 00:04:33,880 \N無視するわけにはまいりません。 48 00:04:33,904 --> 00:04:38,718 \N殿下が来てくださるかは\N賭けでしたが。\Nはぁ…。 49 00:04:38,742 --> 00:04:42,054 \N(アルノルト)出した覚えのない\N手紙の返事を受け取って➡ 50 00:04:42,078 --> 00:04:44,724 \Nのうのうとしていられるほうが\Nどうかしている。 51 00:04:44,748 --> 00:04:47,727 \N(リーシェ)来てくださって\Nありがとうございます。 52 00:04:47,751 --> 00:04:50,563 \Nんっ…。 53 00:04:50,587 --> 00:04:52,565 \Nどうした? 54 00:04:52,589 --> 00:04:57,403 \Nあなたは なぜ 「残酷な人」と\N言われているのですか? 55 00:04:57,427 --> 00:05:00,673 \Nそれが事実だからだろう。 56 00:05:00,697 --> 00:05:04,844 \N殿下は先の戦争で\N多くの命を奪ったそうですが➡ 57 00:05:04,868 --> 00:05:07,179 \N私が この国で見たあなたは➡ 58 00:05:07,203 --> 00:05:11,517 \N私を思いやってくださる\N優しいお方でした。 59 00:05:11,541 --> 00:05:15,521 \Nどうやら\Nお前に構いすぎたらしいな。 60 00:05:15,545 --> 00:05:18,024 \Nあっ…。 61 00:05:18,048 --> 00:05:20,359 \Nこの城で生き延びたければ➡ 62 00:05:20,383 --> 00:05:24,530 \Nその めでたい考えは\N今すぐに捨てろ。 63 00:05:24,554 --> 00:05:27,700 \N私は\N私の見てきたものを信じます。 64 00:05:27,724 --> 00:05:31,370 \N戦場での俺を見てもいないのに\N何を言っている? 65 00:05:31,394 --> 00:05:33,873 \N私に配慮してくださった\Nあなたも➡ 66 00:05:33,897 --> 00:05:36,042 \N紛れもなく\Nあなたご自身でしょ? 67 00:05:36,066 --> 00:05:38,044 \Nバカバカしい。 68 00:05:38,068 --> 00:05:40,713 \N俺はお前を利用するために\N連れてきたんだぞ。 69 00:05:40,737 --> 00:05:46,552 \Nそれでも 私はあなたのことを\N残酷なお方だとは思えません。 70 00:05:46,576 --> 00:05:48,576 \N旦那様…。 71 00:05:50,580 --> 00:05:52,580 \Nんっ…。 72 00:05:56,920 --> 00:06:00,833 \Nお前の中にあるその覚悟は\Nいったい なんなんだ? 73 00:06:00,857 --> 00:06:05,504 \N覚悟… ですか?\Nお前は時折 そんな目をする。 74 00:06:05,528 --> 00:06:08,341 \Nまるで戦場に立つ者の目だ。 75 00:06:08,365 --> 00:06:12,845 \N「この信念を貫き通せるなら\Nここで死んでもかまわない」。 76 00:06:12,869 --> 00:06:16,015 \Nそんな覚悟を決めた者の目を\Nしている。 77 00:06:16,039 --> 00:06:19,185 \Nそれでいて生を諦めておらず➡ 78 00:06:19,209 --> 00:06:21,854 \N最期の瞬間まであらがおうとする。 79 00:06:21,878 --> 00:06:26,525 \N俺は そういう者を\N殺さなければならない瞬間が➡ 80 00:06:26,549 --> 00:06:29,195 \N戦場で最も恐ろしい。 81 00:06:29,219 --> 00:06:33,419 \N《この人にも\N怖いと感じるものが…》 82 00:06:35,892 --> 00:06:40,539 \N私は 自分が殺されてしまう夢を\N見ることがあります。 83 00:06:40,563 --> 00:06:44,377 \N今は夢から覚め\Nちゃんと ここで生きている。 84 00:06:44,401 --> 00:06:49,215 \Nでも 時々 とても怖くなるのです。\N怖い? 85 00:06:49,239 --> 00:06:52,218 \N本当は 自分は\Nもう死んでしまっていて➡ 86 00:06:52,242 --> 00:06:54,553 \N今 生きている世界こそが➡ 87 00:06:54,577 --> 00:06:58,891 \N死後に見ている\N長い夢なのではないかと。 88 00:06:58,915 --> 00:07:02,995 \N《私の中に\Nこんな感情があったなんて…。 89 00:07:03,019 --> 00:07:05,619 \Nだめ。\N怖いからなんだというの?》 90 00:07:07,691 --> 00:07:10,169 \Nそれでも 私は決めています。 91 00:07:10,193 --> 00:07:13,339 \Nたとえ この人生が\Nどんな結末になろうとも➡ 92 00:07:13,363 --> 00:07:15,341 \N逃げたくない。 93 00:07:15,365 --> 00:07:19,345 \N今の私の中にあるのは\Nあなたの妻として生きる➡ 94 00:07:19,369 --> 00:07:21,369 \Nその覚悟だけ。 95 00:07:23,373 --> 00:07:25,351 \Nフンッ。 96 00:07:25,375 --> 00:07:27,575 \Nあっ…。 97 00:07:30,046 --> 00:07:32,024 \Nあっ…。 98 00:07:32,048 --> 00:07:48,207 \N♬〜 99 00:07:48,231 --> 00:07:51,210 \Nバカだな。 100 00:07:51,234 --> 00:07:55,434 \N俺の妻になる覚悟など\Nしなくていい。 101 00:08:05,348 --> 00:08:08,548 \N(さえずり) 102 00:08:26,202 --> 00:08:29,682 \Nあっ。\N《なんだったの? 昨日のあれは》 103 00:08:29,706 --> 00:08:31,684 \Nはぁ…。 104 00:08:31,708 --> 00:08:34,353 \N《それに…》 105 00:08:34,377 --> 00:08:39,024 \N⦅俺の妻になる覚悟など\Nしなくていい⦆ 106 00:08:39,048 --> 00:08:41,848 \N《あの言葉 どういう…》 107 00:08:44,220 --> 00:08:48,033 \N(エルゼ)リーシェ様 昨夜もお休みに\Nならなかったのですか? 108 00:08:48,057 --> 00:08:51,537 \Nエルゼ。\Nここ数日 無理しすぎです。 109 00:08:51,561 --> 00:08:54,039 \N大丈夫 心配ないわ。 110 00:08:54,063 --> 00:08:58,210 \N《とはいったものの\Nさすがに限界ね》 111 00:08:58,234 --> 00:09:01,134 \Nあっ…。\Nうん? 112 00:09:04,174 --> 00:09:07,653 \Nキラキラ ツヤツヤ…。 113 00:09:07,677 --> 00:09:11,157 \Nフフッ。 タリー会長に提案する商品よ。 114 00:09:11,181 --> 00:09:15,995 \Nちょうどよかったわ。\Nそこに座ってくれる? 115 00:09:16,019 --> 00:09:20,666 \N東方には 花の染料で\N爪に色を塗る文化があってね➡ 116 00:09:20,690 --> 00:09:25,171 \Nそれをヒントにして\N爪の補強薬に色をつけてみたの。 117 00:09:25,195 --> 00:09:29,508 \Nこれなら 水仕事をしながらでも\Nおしゃれを楽しめると思って。 118 00:09:29,532 --> 00:09:34,847 \N爪が強くなるのですか?\N私は すぐに割れてしまうのです。 119 00:09:34,871 --> 00:09:37,349 \Nこれで割れにくくなるはずよ。 120 00:09:37,373 --> 00:09:41,187 \Nでも いちばんは\Nお肉やお魚を食べることね。 121 00:09:41,211 --> 00:09:43,522 \N肉 魚…。 122 00:09:43,546 --> 00:09:48,194 \N覚えました。 これからは\Nお給料で食べられます。 123 00:09:48,218 --> 00:09:53,032 \Nエルゼのおうちは たしか…。\Nはい。 うちは貧しくて➡ 124 00:09:53,056 --> 00:09:56,869 \N弟と妹に食べさせるだけで\N精いっぱいで。 125 00:09:56,893 --> 00:10:01,707 \N《この国にも\N根深い貧困問題がある。 126 00:10:01,731 --> 00:10:05,431 \Nエルゼのような家庭も存在している》 127 00:10:12,575 --> 00:10:15,221 \Nとても きれいです。 128 00:10:15,245 --> 00:10:18,891 \Nこんなキラキラしたの\N見たことがありません。 129 00:10:18,915 --> 00:10:22,895 \Nエルゼの好きな色はある?\Nプレゼントしたいの。 130 00:10:22,919 --> 00:10:25,064 \Nだ… だめです。 131 00:10:25,088 --> 00:10:28,067 \Nこんなにすてきなものを\Nもらってしまうなんて…。 132 00:10:28,091 --> 00:10:31,403 \N我慢しなくてはいけないと…\N思います。 133 00:10:31,427 --> 00:10:35,727 \Nいいえ。 エルゼに使ってもらえるなら\N私も うれしいわ。 134 00:10:37,767 --> 00:10:39,745 \N何色がいい? 135 00:10:39,769 --> 00:10:44,083 \Nエルゼなら どんな色でも\Nよく似合うわ。 ねっ? 136 00:10:44,107 --> 00:10:46,107 \Nハッ…。 137 00:10:49,779 --> 00:10:52,591 \Nエルゼ? 138 00:10:52,615 --> 00:10:56,215 \Nえっ? ど… どうしたの?\Nどこか痛かった!? 139 00:10:58,288 --> 00:11:01,200 \Nうれしい… です。\Nあっ…。 140 00:11:01,224 --> 00:11:04,036 \Nどんなふうに\Nお礼を言ったらいいか➡ 141 00:11:04,060 --> 00:11:06,372 \Nわからないくらいに➡ 142 00:11:06,396 --> 00:11:11,377 \Nとても… うれしい…。 143 00:11:11,401 --> 00:11:13,545 \Nエルゼ…。 144 00:11:13,569 --> 00:11:15,881 \N(泣き声) 145 00:11:15,905 --> 00:11:19,718 \N(エルゼ)うちは貧しくて\N服もボロボロで➡ 146 00:11:19,742 --> 00:11:22,721 \Nオシャレなんてできませんでした。 147 00:11:22,745 --> 00:11:26,892 \Nそれなのに リーシェ様の侍女に\Nなれただけじゃなくて➡ 148 00:11:26,916 --> 00:11:30,229 \Nこんなきれいなものを\N頂けるなんて➡ 149 00:11:30,253 --> 00:11:33,732 \Nとても うれしくて…。 150 00:11:33,756 --> 00:11:36,068 \Nふぅ…。\N(侍女たちのはしゃぐ声) 151 00:11:36,092 --> 00:11:38,070 \Nうん?\N(侍女たちのはしゃぐ声) 152 00:11:38,094 --> 00:11:41,907 \N(侍女たちのはしゃぐ声) 153 00:11:41,931 --> 00:11:46,078 \N《エルゼが そうだったように\Nこの国にも 家族のために➡ 154 00:11:46,102 --> 00:11:49,081 \N憧れや夢を\N押し込めている子たちがいる》 155 00:11:49,105 --> 00:11:51,083 \Nあっ。 156 00:11:51,107 --> 00:11:56,255 \N《そう…\N今の私は商人じゃない。 157 00:11:56,279 --> 00:11:58,779 \N今の私は》 158 00:12:06,222 --> 00:12:10,703 \N(リーシェ)都に出入りするほとんどは\N働き盛りの男性。 159 00:12:10,727 --> 00:12:13,372 \Nですから お土産として最適かと。 160 00:12:13,396 --> 00:12:15,696 \Nこの小瓶も かさばりません。 161 00:12:20,236 --> 00:12:22,214 \N(タリー)フフッ。 162 00:12:22,238 --> 00:12:24,216 \Nすばらしい! 163 00:12:24,240 --> 00:12:27,553 \Nいったい どんな天才が\Nひらめいた品なのか。 164 00:12:27,577 --> 00:12:30,556 \N多くの女性が欲しがるのは\N間違いない。 165 00:12:30,580 --> 00:12:33,559 \Nぜひとも 我が商会に\Nお任せいただきたく。 166 00:12:33,583 --> 00:12:36,228 \N(チェスター)よし!\N早速 取引先に売り込もうぜ! 167 00:12:36,252 --> 00:12:38,230 \Nまあ 待て。\N(2人)えっ? 168 00:12:38,254 --> 00:12:41,400 \Nこのまま我々に\N預けていただけるのであれば➡ 169 00:12:41,424 --> 00:12:45,404 \N貴族向けの高額商品として\N売り出しますが➡ 170 00:12:45,428 --> 00:12:50,909 \Nどうやらリーシェ様には\N別のお考えがあるようだ。 171 00:12:50,933 --> 00:12:54,747 \Nはい。 ここからは\N事業についてのお話です。 172 00:12:54,771 --> 00:12:56,749 \Nフンッ。 173 00:12:56,773 --> 00:13:00,019 \N3年前 この国には\Nアルノルト殿下によって➡ 174 00:13:00,043 --> 00:13:02,354 \N最低賃金が制定されました。 175 00:13:02,378 --> 00:13:06,525 \Nなるほど。\N皇太子殿下の政策でしたか。 176 00:13:06,549 --> 00:13:09,862 \Nただし\Nその恩恵にあずかれるのは➡ 177 00:13:09,886 --> 00:13:13,532 \N働き口を得られた者に限る… と。 178 00:13:13,556 --> 00:13:16,201 \Nはい。 そして この商品➡ 179 00:13:16,225 --> 00:13:19,872 \N原価は安く\N工程も難しくはありませんが➡ 180 00:13:19,896 --> 00:13:22,875 \N大量生産には人手が必要です。 181 00:13:22,899 --> 00:13:27,212 \Nそこで ご提案が。\Nお聞かせ願いましょう。 182 00:13:27,236 --> 00:13:30,883 \N貧民街の方々の大量雇用。 183 00:13:30,907 --> 00:13:32,885 \Nあっ…。\N(カミル)あっ…。 184 00:13:32,909 --> 00:13:36,221 \Nこれを\Nお約束いただける場合にのみ➡ 185 00:13:36,245 --> 00:13:41,645 \Nこの商品の技術を提供します。\Nたいへんすばらしいお考えです。 186 00:13:43,586 --> 00:13:47,566 \Nしかし…。\Nんっ…。 187 00:13:47,590 --> 00:13:50,736 \Nはぁ…。 188 00:13:50,760 --> 00:13:54,073 \Nあんたにはガッカリだよ リーシェ嬢。 189 00:13:54,097 --> 00:13:56,909 \Nケイン・タリー! なんという無礼か! 190 00:13:56,933 --> 00:13:58,911 \Nかまいません。\Nあっ…。 191 00:13:58,935 --> 00:14:00,846 \N施しをしたいなら➡ 192 00:14:00,870 --> 00:14:04,349 \N俺が聖職者に転職するまで\Nどうぞお待ちを。 193 00:14:04,373 --> 00:14:09,188 \N会長 これは商いのお話です。\Nうん? 194 00:14:09,212 --> 00:14:11,356 \Nガルクハイン国は戦後➡ 195 00:14:11,380 --> 00:14:14,526 \N国民のために いくつもの政策を\N立ち上げました。 196 00:14:14,550 --> 00:14:17,529 \N(タリー)おかげで\N多くの人々の所得が上がり➡ 197 00:14:17,553 --> 00:14:19,698 \N生活が豊かになったとか。 198 00:14:19,722 --> 00:14:24,369 \Nはい。 ですが 恩恵にあずかれない\N人々もいます。 199 00:14:24,393 --> 00:14:28,874 \Nその方々にも手だてを\N講じなければ経済は停滞し➡ 200 00:14:28,898 --> 00:14:32,377 \Nゆくゆくは 税収の低下に\Nつながるでしょう。 201 00:14:32,401 --> 00:14:37,382 \Nつまり 私たちは\N経済という循環の輪の中にいる➡ 202 00:14:37,406 --> 00:14:40,052 \N運命共同体なのです。\Nフンッ。 203 00:14:40,076 --> 00:14:42,554 \N要は こう言いたいってことだろ? 204 00:14:42,578 --> 00:14:46,558 \N「財を 一つ所にとどめていても\N豊かにはなれません。 205 00:14:46,582 --> 00:14:50,562 \Nなれば 貧しい人にも\N分け与えましょう」ってな。 206 00:14:50,586 --> 00:14:55,734 \N昔 ある人が言っていました。 207 00:14:55,758 --> 00:15:00,506 \N「一流の商人は客を選べる」と。 208 00:15:00,530 --> 00:15:03,530 \Nあっ…。\Nですが 会長…。 209 00:15:05,535 --> 00:15:11,016 \Nお客様を選ぶのではなく\N我々の手で作り出しませんか? 210 00:15:11,040 --> 00:15:13,040 \Nんっ…。 211 00:15:16,546 --> 00:15:19,858 \Nフッフフフ… ハハハハハハ! 212 00:15:19,882 --> 00:15:22,194 \Nなるほど! 気に入った! 213 00:15:22,218 --> 00:15:27,366 \Nつまり 「客を選ぶな\N客へと育てろ」ってことか。 214 00:15:27,390 --> 00:15:29,868 \Nどういうこった? 215 00:15:29,892 --> 00:15:33,038 \N(タリー)貧民街のヤツらが\N収入を得られれば➡ 216 00:15:33,062 --> 00:15:35,040 \Nそいつらが顧客になる。 217 00:15:35,064 --> 00:15:39,211 \Nその数が増えれば\N結果 商人の売り上げも上がる。 218 00:15:39,235 --> 00:15:41,213 \Nそういう魂胆だな? 219 00:15:41,237 --> 00:15:44,383 \N商会の品は\Nどれも すばらしいものです。 220 00:15:44,407 --> 00:15:47,886 \Nお客様が育った市場で\Nいちばんのもうけを出すのは➡ 221 00:15:47,910 --> 00:15:50,389 \Nアリア商会になりますよ。 222 00:15:50,413 --> 00:15:55,561 \N《食べていけるだけではなく\N夢を捨てずに生きられる。 223 00:15:55,585 --> 00:16:00,666 \N貧困からくる絶望も\N希望に変えられる国に。 224 00:16:00,690 --> 00:16:03,001 \N今の私が行うべきは➡ 225 00:16:03,025 --> 00:16:08,674 \N皇太子妃として\N国民の豊かさにつながる商い》 226 00:16:08,698 --> 00:16:13,178 \Nこれが 今の私にできる\N数少ない提案です。 227 00:16:13,202 --> 00:16:17,182 \N悪くないぜ? 俺の信念が\N見透かされたみたいで➡ 228 00:16:17,206 --> 00:16:20,018 \Nなかなかに楽しかった。 229 00:16:20,042 --> 00:16:23,689 \Nだが リーシェ嬢 あんたは未熟だな。 230 00:16:23,713 --> 00:16:27,192 \Nんっ…。\Nその振る舞いは切実すぎる。 231 00:16:27,216 --> 00:16:30,028 \Nよっぽど うちの商会が\N欲しいらしい。 232 00:16:30,052 --> 00:16:32,531 \N俺は そのご執心を利用して➡ 233 00:16:32,555 --> 00:16:36,868 \Nギリギリまで搾り取ろうと\Nたくらみ始めたところだ。 234 00:16:36,892 --> 00:16:38,870 \N会長 これ以上は…。 235 00:16:38,894 --> 00:16:43,542 \Nさて あんたの提案に\Nどこから難癖つけてやろうか。 236 00:16:43,566 --> 00:16:45,544 \N私ごときの提案を➡ 237 00:16:45,568 --> 00:16:48,547 \N手放しで認めてくださるとは\N思っていません。 238 00:16:48,571 --> 00:16:51,717 \Nほう〜。 数回しか\N会ったことがねえのに➡ 239 00:16:51,741 --> 00:16:54,886 \N俺のことをよくわかってくれて\Nうれしいねぇ。 240 00:16:54,910 --> 00:17:00,210 \N《できることなら この手は\N使いたくなかったけれど…》 241 00:17:02,685 --> 00:17:06,665 \Nおっと!\N次は何が飛び出してくるのか…。 242 00:17:06,689 --> 00:17:08,689 \Nなっ…。 243 00:17:11,360 --> 00:17:13,338 \N(メルヴィン)会長? 244 00:17:13,362 --> 00:17:15,340 \Nあっ…。 245 00:17:15,364 --> 00:17:20,679 \Nなんで… なんで\Nあんたが このことを? 246 00:17:20,703 --> 00:17:25,017 \N申し訳ありません。\N少々 特殊な手段を使い➡ 247 00:17:25,041 --> 00:17:27,352 \N調べさせていただきました。 248 00:17:27,376 --> 00:17:32,576 \N(リーシェ)妹君… アリア・タリー様の\Nご病気のことも。 249 00:17:34,550 --> 00:17:39,031 \Nアリアのことは 情報が漏れていても\Nおかしくない。 250 00:17:39,055 --> 00:17:43,201 \Nあちこちの医者に\N話を聞いて回っているからな。 251 00:17:43,225 --> 00:17:48,040 \N(リーシェ)私は現在\N複数の薬草を栽培しています。 252 00:17:48,064 --> 00:17:51,710 \Nその薬草を そこに書いた方法で\N調合することで➡ 253 00:17:51,734 --> 00:17:56,715 \N東の大国 レンファに伝わる薬が\N完成します。 254 00:17:56,739 --> 00:18:00,319 \Nアリア様の病に効能がある薬が。 255 00:18:00,343 --> 00:18:02,321 \Nあっ…。 256 00:18:02,345 --> 00:18:05,324 \Nこの薬を\N1年ほど服用いただければ➡ 257 00:18:05,348 --> 00:18:08,327 \N劇的に回復なさるはずです。 258 00:18:08,351 --> 00:18:10,495 \N信じられるとでも? 259 00:18:10,519 --> 00:18:12,664 \N医者でもない人間に\Nそんなことを言われ…。 260 00:18:12,688 --> 00:18:15,500 \N先日 お渡しした薬は\N皆様のお役に➡ 261 00:18:15,524 --> 00:18:17,669 \N立ちませんでしたか?\Nあっ…。 262 00:18:17,693 --> 00:18:19,671 \N⦅皆さんが起きたら➡ 263 00:18:19,695 --> 00:18:22,174 \Nこの薬を\N飲ませてあげてください⦆ 264 00:18:22,198 --> 00:18:25,344 \N確かに\Nひどい二日酔いだったのに➡ 265 00:18:25,368 --> 00:18:27,846 \Nあれを飲んだら\Nすぐ楽になって…。 266 00:18:27,870 --> 00:18:31,170 \Nあれは私が調合したものです。\N(チェスター/メルヴィン)なっ…。 267 00:18:33,376 --> 00:18:35,854 \Nはぁ…。 268 00:18:35,878 --> 00:18:38,857 \N「客に選ばれる商人になれ」。 269 00:18:38,881 --> 00:18:43,528 \Nこれは 俺が自分の部下に\N言い聞かせている言葉だ。 270 00:18:43,552 --> 00:18:47,699 \N形勢逆転だよ リーシェ嬢。 271 00:18:47,723 --> 00:18:52,204 \Nこれまでは 俺が あんたを\N選ぶかどうかの駆け引きだった。 272 00:18:52,228 --> 00:18:57,628 \Nだが今は あんたが俺を選ぶ側だ。\N会長…。 273 00:18:59,502 --> 00:19:03,815 \N頼む。 俺の全財産を\Nあんたにささげてもいい。 274 00:19:03,839 --> 00:19:05,984 \Nだから俺に この薬を…。 275 00:19:06,008 --> 00:19:08,987 \Nどうか\N誤解をなさらないでください。 276 00:19:09,011 --> 00:19:13,492 \N調合法も薬草も\N無条件でお渡しします。\Nあっ…。 277 00:19:13,516 --> 00:19:16,495 \N妹君を盾に取るつもりは\Nありません。 278 00:19:16,519 --> 00:19:20,165 \Nですが\Nわかっていただきたいのです。 279 00:19:20,189 --> 00:19:25,670 \N貧民街の方々も 家族のことを\N思い合っているということを。 280 00:19:25,694 --> 00:19:30,175 \N幼い弟妹が病にかからないよう\N食べさせられるよう➡ 281 00:19:30,199 --> 00:19:35,680 \N自分の夢を犠牲にしている\N兄や姉が大勢いるということを。 282 00:19:35,704 --> 00:19:37,682 \Nあなたへの提案も➡ 283 00:19:37,706 --> 00:19:41,520 \Nこのような拙い方法しか\N持ち合わせていません。 284 00:19:41,544 --> 00:19:46,191 \N形勢が逆転したなどとも\N思っておりません。 285 00:19:46,215 --> 00:19:51,863 \Nどうかお願いです タリー会長。\Nあっ…。 286 00:19:51,887 --> 00:19:56,587 \N私と 取り引きを交わしては\Nいただけないでしょうか。 287 00:20:12,575 --> 00:20:15,387 \Nお顔をお上げください リーシェ様。\N(ざわめき) 288 00:20:15,411 --> 00:20:18,056 \Nタリー会長! おやめください! 289 00:20:18,080 --> 00:20:23,228 \N商いとは 関わった人すべてを\N豊かにする仕事です。 290 00:20:23,252 --> 00:20:26,064 \Nなのに客を選ぶなどと…。 291 00:20:26,088 --> 00:20:28,233 \N俺のほうこそ未熟でした。 292 00:20:28,257 --> 00:20:30,902 \Nこれまで貧民街の人間なんて➡ 293 00:20:30,926 --> 00:20:34,739 \N俺にとっては どうでもよかった\Nってのが本音だ。 294 00:20:34,763 --> 00:20:39,911 \Nしかし そこには俺の妹のような\N子どもたちも大勢いる。 295 00:20:39,935 --> 00:20:44,583 \Nあなたの商いは 俺みたいな人間が\N考える商売よりも➡ 296 00:20:44,607 --> 00:20:48,753 \Nはるかに尊ばれるべきものです。 297 00:20:48,777 --> 00:20:54,259 \N妹の件とは無関係に\N俺は 俺の傲慢さを恥じましょう。 298 00:20:54,283 --> 00:20:56,683 \Nあっ…。 では 会長…。 299 00:21:00,890 --> 00:21:05,370 \Nアリア商会は今後\Nケイン・タリーの名のもとに➡ 300 00:21:05,394 --> 00:21:08,594 \Nあなたの望むものを\Nご用意いたします。 301 00:21:10,566 --> 00:21:13,066 \Nありがとう… ございます。 302 00:21:17,740 --> 00:21:20,719 \Nはぁ…。 303 00:21:20,743 --> 00:21:25,390 \N《綱渡りだったけど\N本当によかった。 304 00:21:25,414 --> 00:21:30,395 \Nでも 喜んでばかりも\Nいられないわ。 次の準備を…》 305 00:21:30,419 --> 00:21:33,231 \N(2人)あっ。\N(倒れる音) 306 00:21:33,255 --> 00:21:35,233 \Nリーシェ様!\N大丈夫ですか!? 307 00:21:35,257 --> 00:21:38,757 \Nもしや お体の具合が…。\Nごめんなさい。 308 00:21:41,764 --> 00:21:45,076 \Nエルゼを呼び戻していただけますか? 309 00:21:45,100 --> 00:21:47,412 \N(2人)は… はい! 310 00:21:47,436 --> 00:21:52,250 \N(オリヴァー)リーシェ様のご様子は?\N(デニス)かなり体調が悪そうです。 311 00:21:52,274 --> 00:21:55,253 \N現在は カミルと侍女のエルゼが介抱を。 312 00:21:55,277 --> 00:21:58,256 \N(オリヴァー)リーシェ様! 313 00:21:58,280 --> 00:22:00,280 \Nあっ…。 314 00:22:08,390 --> 00:22:12,037 \N(鼻歌) 315 00:22:12,061 --> 00:22:14,039 \Nお待ちしておりました。 316 00:22:14,063 --> 00:22:19,044 \Nフッフフ 体調を崩して倒れるなんて\N好都合だ。 317 00:22:19,068 --> 00:22:21,046 \Nありがとうね。 318 00:22:21,070 --> 00:22:25,216 \Nエルゼ カミル。 319 00:22:25,240 --> 00:22:27,218 \Nフッフフ。 320 00:22:27,242 --> 00:22:31,242 \N(テオドール)未来の皇太子妃様を\Nさらってくれて。