1 00:00:01,565 --> 00:00:05,378 {\an7}(鐘の音) 2 00:00:05,402 --> 00:00:09,716 {\an7}(リーシェ)こんばんは。 テオドール殿下。 3 00:00:09,740 --> 00:00:13,052 {\an7}(テオドール)こんばんは。{\an7}麗しの義姉上。 4 00:00:13,076 --> 00:00:17,724 {\an7}すごいね。 その様子だと{\an7}僕だってわかってたんだ? 5 00:00:17,748 --> 00:00:21,394 {\an7}(リーシェ)お話でしたら{\an7}手短にお願いします。 6 00:00:21,418 --> 00:00:27,233 {\an7}今朝の続きさ。 兄上のことは{\an7}まだ よく知らないでしょ? 7 00:00:27,257 --> 00:00:31,904 {\an7}フッフフ だから教えてあげる。 8 00:00:31,928 --> 00:00:36,743 {\an7}兄上はね 人を殺すことなんて{\an7}なんとも思ってない。 9 00:00:36,767 --> 00:00:38,745 {\an7}そういう人間なんだよ。 10 00:00:38,769 --> 00:00:44,083 {\an7}《私は知っている。 アルノルト・ハインが{\an7}各国の王族を惨殺し➡ 11 00:00:44,107 --> 00:00:47,086 {\an7}世界の国々を{\an7}侵略していくことを》 12 00:00:47,110 --> 00:00:50,923 {\an7}当然 僕は戦時下での話を{\an7}してるんじゃない。 13 00:00:50,947 --> 00:00:54,927 {\an7}どういうことでしょうか?{\an7}フッフフフ。 14 00:00:54,951 --> 00:01:00,033 {\an7}兄上はね…{\an7}自分の母親を殺したんだ。 15 00:01:00,057 --> 00:01:03,036 {\an7}あっ…。{\an7}おぞましい話でしょ? 16 00:01:03,060 --> 00:01:07,373 {\an7}実の母親を手にかけるなんて{\an7}まともじゃないよね? 17 00:01:07,397 --> 00:01:11,377 {\an7}君も いずれ殺される。 18 00:01:11,401 --> 00:01:13,379 {\an7}それが どうかしましたか? 19 00:01:13,403 --> 00:01:16,049 {\an7}えっ?{\an7}私は➡ 20 00:01:16,073 --> 00:01:20,573 {\an7}すべて承知のうえで{\an7}アルノルト殿下に嫁ぎます。 21 00:02:52,936 --> 00:02:55,915 {\an7}(テオドール)僕の話{\an7}ちゃんと聞いてた? 22 00:02:55,939 --> 00:03:00,019 {\an7}《驚きはしないわ。{\an7}いずれ お父君も殺し➡ 23 00:03:00,043 --> 00:03:02,355 {\an7}皇位をさん奪するような方》 24 00:03:02,379 --> 00:03:06,359 {\an7}君は何もわかってない!{\an7}兄上は血も涙もない人間で…。 25 00:03:06,383 --> 00:03:10,083 {\an7}お話がおありのようでしたら{\an7}続きはご兄弟で。 26 00:03:12,389 --> 00:03:15,389 {\an7}あっ…。 兄上…。 27 00:03:18,395 --> 00:03:20,373 {\an7}どうして兄上が…!? 28 00:03:20,397 --> 00:03:23,543 {\an7}誤解だ! さっき言ったことは{\an7}本心じゃない! 29 00:03:23,567 --> 00:03:26,045 {\an7}全部 誤解だよ! 30 00:03:26,069 --> 00:03:28,714 {\an7}(アルノルト)テオドール。{\an7}あっ…。 31 00:03:28,738 --> 00:03:32,552 {\an7}(アルノルト)リーシェに近づくなと{\an7}命じたはずだが? 32 00:03:32,576 --> 00:03:34,576 {\an7}あっ…。 33 00:03:37,247 --> 00:03:40,726 {\an7}ごめんなさい 兄上。{\an7}行くぞ リーシェ。 34 00:03:40,750 --> 00:03:44,730 {\an7}あっ…。 お待ちください 殿下。{\an7}今少し弟君とお話を。 35 00:03:44,754 --> 00:03:46,732 {\an7}必要ない。{\an7}ですが…。 36 00:03:46,756 --> 00:03:48,734 {\an7}リーシェ。 37 00:03:48,758 --> 00:03:52,238 {\an7}あっ…。 はい。 38 00:03:52,262 --> 00:03:56,909 {\an7}クッ… フフフ…。{\an7}うん? 39 00:03:56,933 --> 00:04:03,349 {\an7}ああ… やっぱり{\an7}僕の思ったとおりだね 義姉上。 40 00:04:03,373 --> 00:04:05,351 {\an7}あっ…。 41 00:04:05,375 --> 00:04:08,187 {\an7}本当にごめんなさい 兄上。 42 00:04:08,211 --> 00:04:11,611 {\an7}大切な奥さんに{\an7}もう意地悪は言わないから。 43 00:04:14,050 --> 00:04:16,028 {\an7}(テオドール)おやすみなさい。 44 00:04:16,052 --> 00:04:19,552 {\an7}久しぶりに近くでお顔を見られて{\an7}うれしかったよ。 45 00:04:26,730 --> 00:04:28,875 {\an7}(アルノルト)お前にも言ったはずだ。 46 00:04:28,899 --> 00:04:31,711 {\an7}アルノルト殿下のお名前で{\an7}呼び出された以上➡ 47 00:04:31,735 --> 00:04:33,880 {\an7}無視するわけにはまいりません。 48 00:04:33,904 --> 00:04:38,718 {\an7}殿下が来てくださるかは{\an7}賭けでしたが。{\an7}はぁ…。 49 00:04:38,742 --> 00:04:42,054 {\an7}(アルノルト)出した覚えのない{\an7}手紙の返事を受け取って➡ 50 00:04:42,078 --> 00:04:44,724 {\an7}のうのうとしていられるほうが{\an7}どうかしている。 51 00:04:44,748 --> 00:04:47,727 {\an7}(リーシェ)来てくださって{\an7}ありがとうございます。 52 00:04:47,751 --> 00:04:50,563 {\an7}んっ…。 53 00:04:50,587 --> 00:04:52,565 {\an7}どうした? 54 00:04:52,589 --> 00:04:57,403 {\an7}あなたは なぜ 「残酷な人」と{\an7}言われているのですか? 55 00:04:57,427 --> 00:05:00,673 {\an7}それが事実だからだろう。 56 00:05:00,697 --> 00:05:04,844 {\an7}殿下は先の戦争で{\an7}多くの命を奪ったそうですが➡ 57 00:05:04,868 --> 00:05:07,179 {\an7}私が この国で見たあなたは➡ 58 00:05:07,203 --> 00:05:11,517 {\an7}私を思いやってくださる{\an7}優しいお方でした。 59 00:05:11,541 --> 00:05:15,521 {\an7}どうやら{\an7}お前に構いすぎたらしいな。 60 00:05:15,545 --> 00:05:18,024 {\an7}あっ…。 61 00:05:18,048 --> 00:05:20,359 {\an7}この城で生き延びたければ➡ 62 00:05:20,383 --> 00:05:24,530 {\an7}その めでたい考えは{\an7}今すぐに捨てろ。 63 00:05:24,554 --> 00:05:27,700 {\an7}私は{\an7}私の見てきたものを信じます。 64 00:05:27,724 --> 00:05:31,370 {\an7}戦場での俺を見てもいないのに{\an7}何を言っている? 65 00:05:31,394 --> 00:05:33,873 {\an7}私に配慮してくださった{\an7}あなたも➡ 66 00:05:33,897 --> 00:05:36,042 {\an7}紛れもなく{\an7}あなたご自身でしょ? 67 00:05:36,066 --> 00:05:38,044 {\an7}バカバカしい。 68 00:05:38,068 --> 00:05:40,713 {\an7}俺はお前を利用するために{\an7}連れてきたんだぞ。 69 00:05:40,737 --> 00:05:46,552 {\an7}それでも 私はあなたのことを{\an7}残酷なお方だとは思えません。 70 00:05:46,576 --> 00:05:48,576 {\an7}旦那様…。 71 00:05:50,580 --> 00:05:52,580 {\an7}んっ…。 72 00:05:56,920 --> 00:06:00,833 {\an7}お前の中にあるその覚悟は{\an7}いったい なんなんだ? 73 00:06:00,857 --> 00:06:05,504 {\an7}覚悟… ですか?{\an7}お前は時折 そんな目をする。 74 00:06:05,528 --> 00:06:08,341 {\an7}まるで戦場に立つ者の目だ。 75 00:06:08,365 --> 00:06:12,845 {\an7}「この信念を貫き通せるなら{\an7}ここで死んでもかまわない」。 76 00:06:12,869 --> 00:06:16,015 {\an7}そんな覚悟を決めた者の目を{\an7}している。 77 00:06:16,039 --> 00:06:19,185 {\an7}それでいて生を諦めておらず➡ 78 00:06:19,209 --> 00:06:21,854 {\an7}最期の瞬間まであらがおうとする。 79 00:06:21,878 --> 00:06:26,525 {\an7}俺は そういう者を{\an7}殺さなければならない瞬間が➡ 80 00:06:26,549 --> 00:06:29,195 {\an7}戦場で最も恐ろしい。 81 00:06:29,219 --> 00:06:33,419 {\an7}《この人にも{\an7}怖いと感じるものが…》 82 00:06:35,892 --> 00:06:40,539 {\an7}私は 自分が殺されてしまう夢を{\an7}見ることがあります。 83 00:06:40,563 --> 00:06:44,377 {\an7}今は夢から覚め{\an7}ちゃんと ここで生きている。 84 00:06:44,401 --> 00:06:49,215 {\an7}でも 時々 とても怖くなるのです。{\an7}怖い? 85 00:06:49,239 --> 00:06:52,218 {\an7}本当は 自分は{\an7}もう死んでしまっていて➡ 86 00:06:52,242 --> 00:06:54,553 {\an7}今 生きている世界こそが➡ 87 00:06:54,577 --> 00:06:58,891 {\an7}死後に見ている{\an7}長い夢なのではないかと。 88 00:06:58,915 --> 00:07:02,995 {\an7}《私の中に{\an7}こんな感情があったなんて…。 89 00:07:03,019 --> 00:07:05,619 {\an7}だめ。{\an7}怖いからなんだというの?》 90 00:07:07,691 --> 00:07:10,169 {\an7}それでも 私は決めています。 91 00:07:10,193 --> 00:07:13,339 {\an7}たとえ この人生が{\an7}どんな結末になろうとも➡ 92 00:07:13,363 --> 00:07:15,341 {\an7}逃げたくない。 93 00:07:15,365 --> 00:07:19,345 {\an7}今の私の中にあるのは{\an7}あなたの妻として生きる➡ 94 00:07:19,369 --> 00:07:21,369 {\an7}その覚悟だけ。 95 00:07:23,373 --> 00:07:25,351 {\an7}フンッ。 96 00:07:25,375 --> 00:07:27,575 {\an7}あっ…。 97 00:07:30,046 --> 00:07:32,024 {\an7}あっ…。 98 00:07:32,048 --> 00:07:48,207 {\an7}♬〜 99 00:07:48,231 --> 00:07:51,210 {\an7}バカだな。 100 00:07:51,234 --> 00:07:55,434 {\an7}俺の妻になる覚悟など{\an7}しなくていい。 101 00:08:05,348 --> 00:08:08,548 {\an7}(さえずり) 102 00:08:26,202 --> 00:08:29,682 {\an7}あっ。{\an7}《なんだったの? 昨日のあれは》 103 00:08:29,706 --> 00:08:31,684 {\an7}はぁ…。 104 00:08:31,708 --> 00:08:34,353 {\an7}《それに…》 105 00:08:34,377 --> 00:08:39,024 {\an7}⦅俺の妻になる覚悟など{\an7}しなくていい⦆ 106 00:08:39,048 --> 00:08:41,848 {\an7}《あの言葉 どういう…》 107 00:08:44,220 --> 00:08:48,033 {\an7}(エルゼ)リーシェ様 昨夜もお休みに{\an7}ならなかったのですか? 108 00:08:48,057 --> 00:08:51,537 {\an7}エルゼ。{\an7}ここ数日 無理しすぎです。 109 00:08:51,561 --> 00:08:54,039 {\an7}大丈夫 心配ないわ。 110 00:08:54,063 --> 00:08:58,210 {\an7}《とはいったものの{\an7}さすがに限界ね》 111 00:08:58,234 --> 00:09:01,134 {\an7}あっ…。{\an7}うん? 112 00:09:04,174 --> 00:09:07,653 {\an7}キラキラ ツヤツヤ…。 113 00:09:07,677 --> 00:09:11,157 {\an7}フフッ。 タリー会長に提案する商品よ。 114 00:09:11,181 --> 00:09:15,995 {\an7}ちょうどよかったわ。{\an7}そこに座ってくれる? 115 00:09:16,019 --> 00:09:20,666 {\an7}東方には 花の染料で{\an7}爪に色を塗る文化があってね➡ 116 00:09:20,690 --> 00:09:25,171 {\an7}それをヒントにして{\an7}爪の補強薬に色をつけてみたの。 117 00:09:25,195 --> 00:09:29,508 {\an7}これなら 水仕事をしながらでも{\an7}おしゃれを楽しめると思って。 118 00:09:29,532 --> 00:09:34,847 {\an7}爪が強くなるのですか?{\an7}私は すぐに割れてしまうのです。 119 00:09:34,871 --> 00:09:37,349 {\an7}これで割れにくくなるはずよ。 120 00:09:37,373 --> 00:09:41,187 {\an7}でも いちばんは{\an7}お肉やお魚を食べることね。 121 00:09:41,211 --> 00:09:43,522 {\an7}肉 魚…。 122 00:09:43,546 --> 00:09:48,194 {\an7}覚えました。 これからは{\an7}お給料で食べられます。 123 00:09:48,218 --> 00:09:53,032 {\an7}エルゼのおうちは たしか…。{\an7}はい。 うちは貧しくて➡ 124 00:09:53,056 --> 00:09:56,869 {\an7}弟と妹に食べさせるだけで{\an7}精いっぱいで。 125 00:09:56,893 --> 00:10:01,707 {\an7}《この国にも{\an7}根深い貧困問題がある。 126 00:10:01,731 --> 00:10:05,431 {\an7}エルゼのような家庭も存在している》 127 00:10:12,575 --> 00:10:15,221 {\an7}とても きれいです。 128 00:10:15,245 --> 00:10:18,891 {\an7}こんなキラキラしたの{\an7}見たことがありません。 129 00:10:18,915 --> 00:10:22,895 {\an7}エルゼの好きな色はある?{\an7}プレゼントしたいの。 130 00:10:22,919 --> 00:10:25,064 {\an7}だ… だめです。 131 00:10:25,088 --> 00:10:28,067 {\an7}こんなにすてきなものを{\an7}もらってしまうなんて…。 132 00:10:28,091 --> 00:10:31,403 {\an7}我慢しなくてはいけないと…{\an7}思います。 133 00:10:31,427 --> 00:10:35,727 {\an7}いいえ。 エルゼに使ってもらえるなら{\an7}私も うれしいわ。 134 00:10:37,767 --> 00:10:39,745 {\an7}何色がいい? 135 00:10:39,769 --> 00:10:44,083 {\an7}エルゼなら どんな色でも{\an7}よく似合うわ。 ねっ? 136 00:10:44,107 --> 00:10:46,107 {\an7}ハッ…。 137 00:10:49,779 --> 00:10:52,591 {\an7}エルゼ? 138 00:10:52,615 --> 00:10:56,215 {\an7}えっ? ど… どうしたの?{\an7}どこか痛かった!? 139 00:10:58,288 --> 00:11:01,200 {\an7}うれしい… です。{\an7}あっ…。 140 00:11:01,224 --> 00:11:04,036 {\an7}どんなふうに{\an7}お礼を言ったらいいか➡ 141 00:11:04,060 --> 00:11:06,372 {\an7}わからないくらいに➡ 142 00:11:06,396 --> 00:11:11,377 {\an7}とても… うれしい…。 143 00:11:11,401 --> 00:11:13,545 {\an7}エルゼ…。 144 00:11:13,569 --> 00:11:15,881 {\an7}(泣き声) 145 00:11:15,905 --> 00:11:19,718 {\an7}(エルゼ)うちは貧しくて{\an7}服もボロボロで➡ 146 00:11:19,742 --> 00:11:22,721 {\an7}オシャレなんてできませんでした。 147 00:11:22,745 --> 00:11:26,892 {\an7}それなのに リーシェ様の侍女に{\an7}なれただけじゃなくて➡ 148 00:11:26,916 --> 00:11:30,229 {\an7}こんなきれいなものを{\an7}頂けるなんて➡ 149 00:11:30,253 --> 00:11:33,732 {\an7}とても うれしくて…。 150 00:11:33,756 --> 00:11:36,068 {\an7}ふぅ…。{\an7}(侍女たちのはしゃぐ声) 151 00:11:36,092 --> 00:11:38,070 {\an7}うん?{\an7}(侍女たちのはしゃぐ声) 152 00:11:38,094 --> 00:11:41,907 {\an7}(侍女たちのはしゃぐ声) 153 00:11:41,931 --> 00:11:46,078 {\an7}《エルゼが そうだったように{\an7}この国にも 家族のために➡ 154 00:11:46,102 --> 00:11:49,081 {\an7}憧れや夢を{\an7}押し込めている子たちがいる》 155 00:11:49,105 --> 00:11:51,083 {\an7}あっ。 156 00:11:51,107 --> 00:11:56,255 {\an7}《そう…{\an7}今の私は商人じゃない。 157 00:11:56,279 --> 00:11:58,779 {\an7}今の私は》 158 00:12:06,222 --> 00:12:10,703 {\an7}(リーシェ)都に出入りするほとんどは{\an7}働き盛りの男性。 159 00:12:10,727 --> 00:12:13,372 {\an7}ですから お土産として最適かと。 160 00:12:13,396 --> 00:12:15,696 {\an7}この小瓶も かさばりません。 161 00:12:20,236 --> 00:12:22,214 {\an7}(タリー)フフッ。 162 00:12:22,238 --> 00:12:24,216 {\an7}すばらしい! 163 00:12:24,240 --> 00:12:27,553 {\an7}いったい どんな天才が{\an7}ひらめいた品なのか。 164 00:12:27,577 --> 00:12:30,556 {\an7}多くの女性が欲しがるのは{\an7}間違いない。 165 00:12:30,580 --> 00:12:33,559 {\an7}ぜひとも 我が商会に{\an7}お任せいただきたく。 166 00:12:33,583 --> 00:12:36,228 {\an7}(チェスター)よし!{\an7}早速 取引先に売り込もうぜ! 167 00:12:36,252 --> 00:12:38,230 {\an7}まあ 待て。{\an7}(2人)えっ? 168 00:12:38,254 --> 00:12:41,400 {\an7}このまま我々に{\an7}預けていただけるのであれば➡ 169 00:12:41,424 --> 00:12:45,404 {\an7}貴族向けの高額商品として{\an7}売り出しますが➡ 170 00:12:45,428 --> 00:12:50,909 {\an7}どうやらリーシェ様には{\an7}別のお考えがあるようだ。 171 00:12:50,933 --> 00:12:54,747 {\an7}はい。 ここからは{\an7}事業についてのお話です。 172 00:12:54,771 --> 00:12:56,749 {\an7}フンッ。 173 00:12:56,773 --> 00:13:00,019 {\an7}3年前 この国には{\an7}アルノルト殿下によって➡ 174 00:13:00,043 --> 00:13:02,354 {\an7}最低賃金が制定されました。 175 00:13:02,378 --> 00:13:06,525 {\an7}なるほど。{\an7}皇太子殿下の政策でしたか。 176 00:13:06,549 --> 00:13:09,862 {\an7}ただし{\an7}その恩恵にあずかれるのは➡ 177 00:13:09,886 --> 00:13:13,532 {\an7}働き口を得られた者に限る… と。 178 00:13:13,556 --> 00:13:16,201 {\an7}はい。 そして この商品➡ 179 00:13:16,225 --> 00:13:19,872 {\an7}原価は安く{\an7}工程も難しくはありませんが➡ 180 00:13:19,896 --> 00:13:22,875 {\an7}大量生産には人手が必要です。 181 00:13:22,899 --> 00:13:27,212 {\an7}そこで ご提案が。{\an7}お聞かせ願いましょう。 182 00:13:27,236 --> 00:13:30,883 {\an7}貧民街の方々の大量雇用。 183 00:13:30,907 --> 00:13:32,885 {\an7}あっ…。{\an7}(カミル)あっ…。 184 00:13:32,909 --> 00:13:36,221 {\an7}これを{\an7}お約束いただける場合にのみ➡ 185 00:13:36,245 --> 00:13:41,645 {\an7}この商品の技術を提供します。{\an7}たいへんすばらしいお考えです。 186 00:13:43,586 --> 00:13:47,566 {\an7}しかし…。{\an7}んっ…。 187 00:13:47,590 --> 00:13:50,736 {\an7}はぁ…。 188 00:13:50,760 --> 00:13:54,073 {\an7}あんたにはガッカリだよ リーシェ嬢。 189 00:13:54,097 --> 00:13:56,909 {\an7}ケイン・タリー! なんという無礼か! 190 00:13:56,933 --> 00:13:58,911 {\an7}かまいません。{\an7}あっ…。 191 00:13:58,935 --> 00:14:00,846 {\an7}施しをしたいなら➡ 192 00:14:00,870 --> 00:14:04,349 {\an7}俺が聖職者に転職するまで{\an7}どうぞお待ちを。 193 00:14:04,373 --> 00:14:09,188 {\an7}会長 これは商いのお話です。{\an7}うん? 194 00:14:09,212 --> 00:14:11,356 {\an7}ガルクハイン国は戦後➡ 195 00:14:11,380 --> 00:14:14,526 {\an7}国民のために いくつもの政策を{\an7}立ち上げました。 196 00:14:14,550 --> 00:14:17,529 {\an7}(タリー)おかげで{\an7}多くの人々の所得が上がり➡ 197 00:14:17,553 --> 00:14:19,698 {\an7}生活が豊かになったとか。 198 00:14:19,722 --> 00:14:24,369 {\an7}はい。 ですが 恩恵にあずかれない{\an7}人々もいます。 199 00:14:24,393 --> 00:14:28,874 {\an7}その方々にも手だてを{\an7}講じなければ経済は停滞し➡ 200 00:14:28,898 --> 00:14:32,377 {\an7}ゆくゆくは 税収の低下に{\an7}つながるでしょう。 201 00:14:32,401 --> 00:14:37,382 {\an7}つまり 私たちは{\an7}経済という循環の輪の中にいる➡ 202 00:14:37,406 --> 00:14:40,052 {\an7}運命共同体なのです。{\an7}フンッ。 203 00:14:40,076 --> 00:14:42,554 {\an7}要は こう言いたいってことだろ? 204 00:14:42,578 --> 00:14:46,558 {\an7}「財を 一つ所にとどめていても{\an7}豊かにはなれません。 205 00:14:46,582 --> 00:14:50,562 {\an7}なれば 貧しい人にも{\an7}分け与えましょう」ってな。 206 00:14:50,586 --> 00:14:55,734 {\an7}昔 ある人が言っていました。 207 00:14:55,758 --> 00:15:00,506 {\an7}「一流の商人は客を選べる」と。 208 00:15:00,530 --> 00:15:03,530 {\an7}あっ…。{\an7}ですが 会長…。 209 00:15:05,535 --> 00:15:11,016 {\an7}お客様を選ぶのではなく{\an7}我々の手で作り出しませんか? 210 00:15:11,040 --> 00:15:13,040 {\an7}んっ…。 211 00:15:16,546 --> 00:15:19,858 {\an7}フッフフフ… ハハハハハハ! 212 00:15:19,882 --> 00:15:22,194 {\an7}なるほど! 気に入った! 213 00:15:22,218 --> 00:15:27,366 {\an7}つまり 「客を選ぶな{\an7}客へと育てろ」ってことか。 214 00:15:27,390 --> 00:15:29,868 {\an7}どういうこった? 215 00:15:29,892 --> 00:15:33,038 {\an7}(タリー)貧民街のヤツらが{\an7}収入を得られれば➡ 216 00:15:33,062 --> 00:15:35,040 {\an7}そいつらが顧客になる。 217 00:15:35,064 --> 00:15:39,211 {\an7}その数が増えれば{\an7}結果 商人の売り上げも上がる。 218 00:15:39,235 --> 00:15:41,213 {\an7}そういう魂胆だな? 219 00:15:41,237 --> 00:15:44,383 {\an7}商会の品は{\an7}どれも すばらしいものです。 220 00:15:44,407 --> 00:15:47,886 {\an7}お客様が育った市場で{\an7}いちばんのもうけを出すのは➡ 221 00:15:47,910 --> 00:15:50,389 {\an7}アリア商会になりますよ。 222 00:15:50,413 --> 00:15:55,561 {\an7}《食べていけるだけではなく{\an7}夢を捨てずに生きられる。 223 00:15:55,585 --> 00:16:00,666 {\an7}貧困からくる絶望も{\an7}希望に変えられる国に。 224 00:16:00,690 --> 00:16:03,001 {\an7}今の私が行うべきは➡ 225 00:16:03,025 --> 00:16:08,674 {\an7}皇太子妃として{\an7}国民の豊かさにつながる商い》 226 00:16:08,698 --> 00:16:13,178 {\an7}これが 今の私にできる{\an7}数少ない提案です。 227 00:16:13,202 --> 00:16:17,182 {\an7}悪くないぜ? 俺の信念が{\an7}見透かされたみたいで➡ 228 00:16:17,206 --> 00:16:20,018 {\an7}なかなかに楽しかった。 229 00:16:20,042 --> 00:16:23,689 {\an7}だが リーシェ嬢 あんたは未熟だな。 230 00:16:23,713 --> 00:16:27,192 {\an7}んっ…。{\an7}その振る舞いは切実すぎる。 231 00:16:27,216 --> 00:16:30,028 {\an7}よっぽど うちの商会が{\an7}欲しいらしい。 232 00:16:30,052 --> 00:16:32,531 {\an7}俺は そのご執心を利用して➡ 233 00:16:32,555 --> 00:16:36,868 {\an7}ギリギリまで搾り取ろうと{\an7}たくらみ始めたところだ。 234 00:16:36,892 --> 00:16:38,870 {\an7}会長 これ以上は…。 235 00:16:38,894 --> 00:16:43,542 {\an7}さて あんたの提案に{\an7}どこから難癖つけてやろうか。 236 00:16:43,566 --> 00:16:45,544 {\an7}私ごときの提案を➡ 237 00:16:45,568 --> 00:16:48,547 {\an7}手放しで認めてくださるとは{\an7}思っていません。 238 00:16:48,571 --> 00:16:51,717 {\an7}ほう〜。 数回しか{\an7}会ったことがねえのに➡ 239 00:16:51,741 --> 00:16:54,886 {\an7}俺のことをよくわかってくれて{\an7}うれしいねぇ。 240 00:16:54,910 --> 00:17:00,210 {\an7}《できることなら この手は{\an7}使いたくなかったけれど…》 241 00:17:02,685 --> 00:17:06,665 {\an7}おっと!{\an7}次は何が飛び出してくるのか…。 242 00:17:06,689 --> 00:17:08,689 {\an7}なっ…。 243 00:17:11,360 --> 00:17:13,338 {\an7}(メルヴィン)会長? 244 00:17:13,362 --> 00:17:15,340 {\an7}あっ…。 245 00:17:15,364 --> 00:17:20,679 {\an7}なんで… なんで{\an7}あんたが このことを? 246 00:17:20,703 --> 00:17:25,017 {\an7}申し訳ありません。{\an7}少々 特殊な手段を使い➡ 247 00:17:25,041 --> 00:17:27,352 {\an7}調べさせていただきました。 248 00:17:27,376 --> 00:17:32,576 {\an7}(リーシェ)妹君… アリア・タリー様の{\an7}ご病気のことも。 249 00:17:34,550 --> 00:17:39,031 {\an7}アリアのことは 情報が漏れていても{\an7}おかしくない。 250 00:17:39,055 --> 00:17:43,201 {\an7}あちこちの医者に{\an7}話を聞いて回っているからな。 251 00:17:43,225 --> 00:17:48,040 {\an7}(リーシェ)私は現在{\an7}複数の薬草を栽培しています。 252 00:17:48,064 --> 00:17:51,710 {\an7}その薬草を そこに書いた方法で{\an7}調合することで➡ 253 00:17:51,734 --> 00:17:56,715 {\an7}東の大国 レンファに伝わる薬が{\an7}完成します。 254 00:17:56,739 --> 00:18:00,319 {\an7}アリア様の病に効能がある薬が。 255 00:18:00,343 --> 00:18:02,321 {\an7}あっ…。 256 00:18:02,345 --> 00:18:05,324 {\an7}この薬を{\an7}1年ほど服用いただければ➡ 257 00:18:05,348 --> 00:18:08,327 {\an7}劇的に回復なさるはずです。 258 00:18:08,351 --> 00:18:10,495 {\an7}信じられるとでも? 259 00:18:10,519 --> 00:18:12,664 {\an7}医者でもない人間に{\an7}そんなことを言われ…。 260 00:18:12,688 --> 00:18:15,500 {\an7}先日 お渡しした薬は{\an7}皆様のお役に➡ 261 00:18:15,524 --> 00:18:17,669 {\an7}立ちませんでしたか?{\an7}あっ…。 262 00:18:17,693 --> 00:18:19,671 {\an7}⦅皆さんが起きたら➡ 263 00:18:19,695 --> 00:18:22,174 {\an7}この薬を{\an7}飲ませてあげてください⦆ 264 00:18:22,198 --> 00:18:25,344 {\an7}確かに{\an7}ひどい二日酔いだったのに➡ 265 00:18:25,368 --> 00:18:27,846 {\an7}あれを飲んだら{\an7}すぐ楽になって…。 266 00:18:27,870 --> 00:18:31,170 {\an7}あれは私が調合したものです。{\an7}(チェスター/メルヴィン)なっ…。 267 00:18:33,376 --> 00:18:35,854 {\an7}はぁ…。 268 00:18:35,878 --> 00:18:38,857 {\an7}「客に選ばれる商人になれ」。 269 00:18:38,881 --> 00:18:43,528 {\an7}これは 俺が自分の部下に{\an7}言い聞かせている言葉だ。 270 00:18:43,552 --> 00:18:47,699 {\an7}形勢逆転だよ リーシェ嬢。 271 00:18:47,723 --> 00:18:52,204 {\an7}これまでは 俺が あんたを{\an7}選ぶかどうかの駆け引きだった。 272 00:18:52,228 --> 00:18:57,628 {\an7}だが今は あんたが俺を選ぶ側だ。{\an7}会長…。 273 00:18:59,502 --> 00:19:03,815 {\an7}頼む。 俺の全財産を{\an7}あんたにささげてもいい。 274 00:19:03,839 --> 00:19:05,984 {\an7}だから俺に この薬を…。 275 00:19:06,008 --> 00:19:08,987 {\an7}どうか{\an7}誤解をなさらないでください。 276 00:19:09,011 --> 00:19:13,492 {\an7}調合法も薬草も{\an7}無条件でお渡しします。{\an7}あっ…。 277 00:19:13,516 --> 00:19:16,495 {\an7}妹君を盾に取るつもりは{\an7}ありません。 278 00:19:16,519 --> 00:19:20,165 {\an7}ですが{\an7}わかっていただきたいのです。 279 00:19:20,189 --> 00:19:25,670 {\an7}貧民街の方々も 家族のことを{\an7}思い合っているということを。 280 00:19:25,694 --> 00:19:30,175 {\an7}幼い弟妹が病にかからないよう{\an7}食べさせられるよう➡ 281 00:19:30,199 --> 00:19:35,680 {\an7}自分の夢を犠牲にしている{\an7}兄や姉が大勢いるということを。 282 00:19:35,704 --> 00:19:37,682 {\an7}あなたへの提案も➡ 283 00:19:37,706 --> 00:19:41,520 {\an7}このような拙い方法しか{\an7}持ち合わせていません。 284 00:19:41,544 --> 00:19:46,191 {\an7}形勢が逆転したなどとも{\an7}思っておりません。 285 00:19:46,215 --> 00:19:51,863 {\an7}どうかお願いです タリー会長。{\an7}あっ…。 286 00:19:51,887 --> 00:19:56,587 {\an7}私と 取り引きを交わしては{\an7}いただけないでしょうか。 287 00:20:12,575 --> 00:20:15,387 {\an7}お顔をお上げください リーシェ様。{\an7}(ざわめき) 288 00:20:15,411 --> 00:20:18,056 {\an7}タリー会長! おやめください! 289 00:20:18,080 --> 00:20:23,228 {\an7}商いとは 関わった人すべてを{\an7}豊かにする仕事です。 290 00:20:23,252 --> 00:20:26,064 {\an7}なのに客を選ぶなどと…。 291 00:20:26,088 --> 00:20:28,233 {\an7}俺のほうこそ未熟でした。 292 00:20:28,257 --> 00:20:30,902 {\an7}これまで貧民街の人間なんて➡ 293 00:20:30,926 --> 00:20:34,739 {\an7}俺にとっては どうでもよかった{\an7}ってのが本音だ。 294 00:20:34,763 --> 00:20:39,911 {\an7}しかし そこには俺の妹のような{\an7}子どもたちも大勢いる。 295 00:20:39,935 --> 00:20:44,583 {\an7}あなたの商いは 俺みたいな人間が{\an7}考える商売よりも➡ 296 00:20:44,607 --> 00:20:48,753 {\an7}はるかに尊ばれるべきものです。 297 00:20:48,777 --> 00:20:54,259 {\an7}妹の件とは無関係に{\an7}俺は 俺の傲慢さを恥じましょう。 298 00:20:54,283 --> 00:20:56,683 {\an7}あっ…。 では 会長…。 299 00:21:00,890 --> 00:21:05,370 {\an7}アリア商会は今後{\an7}ケイン・タリーの名のもとに➡ 300 00:21:05,394 --> 00:21:08,594 {\an7}あなたの望むものを{\an7}ご用意いたします。 301 00:21:10,566 --> 00:21:13,066 {\an7}ありがとう… ございます。 302 00:21:17,740 --> 00:21:20,719 {\an7}はぁ…。 303 00:21:20,743 --> 00:21:25,390 {\an7}《綱渡りだったけど{\an7}本当によかった。 304 00:21:25,414 --> 00:21:30,395 {\an7}でも 喜んでばかりも{\an7}いられないわ。 次の準備を…》 305 00:21:30,419 --> 00:21:33,231 {\an7}(2人)あっ。{\an7}(倒れる音) 306 00:21:33,255 --> 00:21:35,233 {\an7}リーシェ様!{\an7}大丈夫ですか!? 307 00:21:35,257 --> 00:21:38,757 {\an7}もしや お体の具合が…。{\an7}ごめんなさい。 308 00:21:41,764 --> 00:21:45,076 {\an7}エルゼを呼び戻していただけますか? 309 00:21:45,100 --> 00:21:47,412 {\an7}(2人)は… はい! 310 00:21:47,436 --> 00:21:52,250 {\an7}(オリヴァー)リーシェ様のご様子は?{\an7}(デニス)かなり体調が悪そうです。 311 00:21:52,274 --> 00:21:55,253 {\an7}現在は カミルと侍女のエルゼが介抱を。 312 00:21:55,277 --> 00:21:58,256 {\an7}(オリヴァー)リーシェ様! 313 00:21:58,280 --> 00:22:00,280 {\an7}あっ…。 314 00:22:08,390 --> 00:22:12,037 {\an7}(鼻歌) 315 00:22:12,061 --> 00:22:14,039 {\an7}お待ちしておりました。 316 00:22:14,063 --> 00:22:19,044 {\an7}フッフフ 体調を崩して倒れるなんて{\an7}好都合だ。 317 00:22:19,068 --> 00:22:21,046 {\an7}ありがとうね。 318 00:22:21,070 --> 00:22:25,216 {\an7}エルゼ カミル。 319 00:22:25,240 --> 00:22:27,218 {\an7}フッフフ。 320 00:22:27,242 --> 00:22:31,242 {\an7}(テオドール)未来の皇太子妃様を{\an7}さらってくれて。