1
00:00:01,565 --> 00:00:05,378
{\an7}(鐘の音)
2
00:00:05,402 --> 00:00:09,716
{\an7}(リーシェ)こんばんは。 テオドール殿下。
3
00:00:09,740 --> 00:00:13,052
{\an7}(テオドール)こんばんは。{\an7}麗しの義姉上。
4
00:00:13,076 --> 00:00:17,724
{\an7}すごいね。 その様子だと{\an7}僕だってわかってたんだ?
5
00:00:17,748 --> 00:00:21,394
{\an7}(リーシェ)お話でしたら{\an7}手短にお願いします。
6
00:00:21,418 --> 00:00:27,233
{\an7}今朝の続きさ。 兄上のことは{\an7}まだ よく知らないでしょ?
7
00:00:27,257 --> 00:00:31,904
{\an7}フッフフ だから教えてあげる。
8
00:00:31,928 --> 00:00:36,743
{\an7}兄上はね 人を殺すことなんて{\an7}なんとも思ってない。
9
00:00:36,767 --> 00:00:38,745
{\an7}そういう人間なんだよ。
10
00:00:38,769 --> 00:00:44,083
{\an7}《私は知っている。 アルノルト・ハインが{\an7}各国の王族を惨殺し➡
11
00:00:44,107 --> 00:00:47,086
{\an7}世界の国々を{\an7}侵略していくことを》
12
00:00:47,110 --> 00:00:50,923
{\an7}当然 僕は戦時下での話を{\an7}してるんじゃない。
13
00:00:50,947 --> 00:00:54,927
{\an7}どういうことでしょうか?{\an7}フッフフフ。
14
00:00:54,951 --> 00:01:00,033
{\an7}兄上はね…{\an7}自分の母親を殺したんだ。
15
00:01:00,057 --> 00:01:03,036
{\an7}あっ…。{\an7}おぞましい話でしょ?
16
00:01:03,060 --> 00:01:07,373
{\an7}実の母親を手にかけるなんて{\an7}まともじゃないよね?
17
00:01:07,397 --> 00:01:11,377
{\an7}君も いずれ殺される。
18
00:01:11,401 --> 00:01:13,379
{\an7}それが どうかしましたか?
19
00:01:13,403 --> 00:01:16,049
{\an7}えっ?{\an7}私は➡
20
00:01:16,073 --> 00:01:20,573
{\an7}すべて承知のうえで{\an7}アルノルト殿下に嫁ぎます。
21
00:02:52,936 --> 00:02:55,915
{\an7}(テオドール)僕の話{\an7}ちゃんと聞いてた?
22
00:02:55,939 --> 00:03:00,019
{\an7}《驚きはしないわ。{\an7}いずれ お父君も殺し➡
23
00:03:00,043 --> 00:03:02,355
{\an7}皇位をさん奪するような方》
24
00:03:02,379 --> 00:03:06,359
{\an7}君は何もわかってない!{\an7}兄上は血も涙もない人間で…。
25
00:03:06,383 --> 00:03:10,083
{\an7}お話がおありのようでしたら{\an7}続きはご兄弟で。
26
00:03:12,389 --> 00:03:15,389
{\an7}あっ…。 兄上…。
27
00:03:18,395 --> 00:03:20,373
{\an7}どうして兄上が…!?
28
00:03:20,397 --> 00:03:23,543
{\an7}誤解だ! さっき言ったことは{\an7}本心じゃない!
29
00:03:23,567 --> 00:03:26,045
{\an7}全部 誤解だよ!
30
00:03:26,069 --> 00:03:28,714
{\an7}(アルノルト)テオドール。{\an7}あっ…。
31
00:03:28,738 --> 00:03:32,552
{\an7}(アルノルト)リーシェに近づくなと{\an7}命じたはずだが?
32
00:03:32,576 --> 00:03:34,576
{\an7}あっ…。
33
00:03:37,247 --> 00:03:40,726
{\an7}ごめんなさい 兄上。{\an7}行くぞ リーシェ。
34
00:03:40,750 --> 00:03:44,730
{\an7}あっ…。 お待ちください 殿下。{\an7}今少し弟君とお話を。
35
00:03:44,754 --> 00:03:46,732
{\an7}必要ない。{\an7}ですが…。
36
00:03:46,756 --> 00:03:48,734
{\an7}リーシェ。
37
00:03:48,758 --> 00:03:52,238
{\an7}あっ…。 はい。
38
00:03:52,262 --> 00:03:56,909
{\an7}クッ… フフフ…。{\an7}うん?
39
00:03:56,933 --> 00:04:03,349
{\an7}ああ… やっぱり{\an7}僕の思ったとおりだね 義姉上。
40
00:04:03,373 --> 00:04:05,351
{\an7}あっ…。
41
00:04:05,375 --> 00:04:08,187
{\an7}本当にごめんなさい 兄上。
42
00:04:08,211 --> 00:04:11,611
{\an7}大切な奥さんに{\an7}もう意地悪は言わないから。
43
00:04:14,050 --> 00:04:16,028
{\an7}(テオドール)おやすみなさい。
44
00:04:16,052 --> 00:04:19,552
{\an7}久しぶりに近くでお顔を見られて{\an7}うれしかったよ。
45
00:04:26,730 --> 00:04:28,875
{\an7}(アルノルト)お前にも言ったはずだ。
46
00:04:28,899 --> 00:04:31,711
{\an7}アルノルト殿下のお名前で{\an7}呼び出された以上➡
47
00:04:31,735 --> 00:04:33,880
{\an7}無視するわけにはまいりません。
48
00:04:33,904 --> 00:04:38,718
{\an7}殿下が来てくださるかは{\an7}賭けでしたが。{\an7}はぁ…。
49
00:04:38,742 --> 00:04:42,054
{\an7}(アルノルト)出した覚えのない{\an7}手紙の返事を受け取って➡
50
00:04:42,078 --> 00:04:44,724
{\an7}のうのうとしていられるほうが{\an7}どうかしている。
51
00:04:44,748 --> 00:04:47,727
{\an7}(リーシェ)来てくださって{\an7}ありがとうございます。
52
00:04:47,751 --> 00:04:50,563
{\an7}んっ…。
53
00:04:50,587 --> 00:04:52,565
{\an7}どうした?
54
00:04:52,589 --> 00:04:57,403
{\an7}あなたは なぜ 「残酷な人」と{\an7}言われているのですか?
55
00:04:57,427 --> 00:05:00,673
{\an7}それが事実だからだろう。
56
00:05:00,697 --> 00:05:04,844
{\an7}殿下は先の戦争で{\an7}多くの命を奪ったそうですが➡
57
00:05:04,868 --> 00:05:07,179
{\an7}私が この国で見たあなたは➡
58
00:05:07,203 --> 00:05:11,517
{\an7}私を思いやってくださる{\an7}優しいお方でした。
59
00:05:11,541 --> 00:05:15,521
{\an7}どうやら{\an7}お前に構いすぎたらしいな。
60
00:05:15,545 --> 00:05:18,024
{\an7}あっ…。
61
00:05:18,048 --> 00:05:20,359
{\an7}この城で生き延びたければ➡
62
00:05:20,383 --> 00:05:24,530
{\an7}その めでたい考えは{\an7}今すぐに捨てろ。
63
00:05:24,554 --> 00:05:27,700
{\an7}私は{\an7}私の見てきたものを信じます。
64
00:05:27,724 --> 00:05:31,370
{\an7}戦場での俺を見てもいないのに{\an7}何を言っている?
65
00:05:31,394 --> 00:05:33,873
{\an7}私に配慮してくださった{\an7}あなたも➡
66
00:05:33,897 --> 00:05:36,042
{\an7}紛れもなく{\an7}あなたご自身でしょ?
67
00:05:36,066 --> 00:05:38,044
{\an7}バカバカしい。
68
00:05:38,068 --> 00:05:40,713
{\an7}俺はお前を利用するために{\an7}連れてきたんだぞ。
69
00:05:40,737 --> 00:05:46,552
{\an7}それでも 私はあなたのことを{\an7}残酷なお方だとは思えません。
70
00:05:46,576 --> 00:05:48,576
{\an7}旦那様…。
71
00:05:50,580 --> 00:05:52,580
{\an7}んっ…。
72
00:05:56,920 --> 00:06:00,833
{\an7}お前の中にあるその覚悟は{\an7}いったい なんなんだ?
73
00:06:00,857 --> 00:06:05,504
{\an7}覚悟… ですか?{\an7}お前は時折 そんな目をする。
74
00:06:05,528 --> 00:06:08,341
{\an7}まるで戦場に立つ者の目だ。
75
00:06:08,365 --> 00:06:12,845
{\an7}「この信念を貫き通せるなら{\an7}ここで死んでもかまわない」。
76
00:06:12,869 --> 00:06:16,015
{\an7}そんな覚悟を決めた者の目を{\an7}している。
77
00:06:16,039 --> 00:06:19,185
{\an7}それでいて生を諦めておらず➡
78
00:06:19,209 --> 00:06:21,854
{\an7}最期の瞬間まであらがおうとする。
79
00:06:21,878 --> 00:06:26,525
{\an7}俺は そういう者を{\an7}殺さなければならない瞬間が➡
80
00:06:26,549 --> 00:06:29,195
{\an7}戦場で最も恐ろしい。
81
00:06:29,219 --> 00:06:33,419
{\an7}《この人にも{\an7}怖いと感じるものが…》
82
00:06:35,892 --> 00:06:40,539
{\an7}私は 自分が殺されてしまう夢を{\an7}見ることがあります。
83
00:06:40,563 --> 00:06:44,377
{\an7}今は夢から覚め{\an7}ちゃんと ここで生きている。
84
00:06:44,401 --> 00:06:49,215
{\an7}でも 時々 とても怖くなるのです。{\an7}怖い?
85
00:06:49,239 --> 00:06:52,218
{\an7}本当は 自分は{\an7}もう死んでしまっていて➡
86
00:06:52,242 --> 00:06:54,553
{\an7}今 生きている世界こそが➡
87
00:06:54,577 --> 00:06:58,891
{\an7}死後に見ている{\an7}長い夢なのではないかと。
88
00:06:58,915 --> 00:07:02,995
{\an7}《私の中に{\an7}こんな感情があったなんて…。
89
00:07:03,019 --> 00:07:05,619
{\an7}だめ。{\an7}怖いからなんだというの?》
90
00:07:07,691 --> 00:07:10,169
{\an7}それでも 私は決めています。
91
00:07:10,193 --> 00:07:13,339
{\an7}たとえ この人生が{\an7}どんな結末になろうとも➡
92
00:07:13,363 --> 00:07:15,341
{\an7}逃げたくない。
93
00:07:15,365 --> 00:07:19,345
{\an7}今の私の中にあるのは{\an7}あなたの妻として生きる➡
94
00:07:19,369 --> 00:07:21,369
{\an7}その覚悟だけ。
95
00:07:23,373 --> 00:07:25,351
{\an7}フンッ。
96
00:07:25,375 --> 00:07:27,575
{\an7}あっ…。
97
00:07:30,046 --> 00:07:32,024
{\an7}あっ…。
98
00:07:32,048 --> 00:07:48,207
{\an7}♬〜
99
00:07:48,231 --> 00:07:51,210
{\an7}バカだな。
100
00:07:51,234 --> 00:07:55,434
{\an7}俺の妻になる覚悟など{\an7}しなくていい。
101
00:08:05,348 --> 00:08:08,548
{\an7}(さえずり)
102
00:08:26,202 --> 00:08:29,682
{\an7}あっ。{\an7}《なんだったの? 昨日のあれは》
103
00:08:29,706 --> 00:08:31,684
{\an7}はぁ…。
104
00:08:31,708 --> 00:08:34,353
{\an7}《それに…》
105
00:08:34,377 --> 00:08:39,024
{\an7}⦅俺の妻になる覚悟など{\an7}しなくていい⦆
106
00:08:39,048 --> 00:08:41,848
{\an7}《あの言葉 どういう…》
107
00:08:44,220 --> 00:08:48,033
{\an7}(エルゼ)リーシェ様 昨夜もお休みに{\an7}ならなかったのですか?
108
00:08:48,057 --> 00:08:51,537
{\an7}エルゼ。{\an7}ここ数日 無理しすぎです。
109
00:08:51,561 --> 00:08:54,039
{\an7}大丈夫 心配ないわ。
110
00:08:54,063 --> 00:08:58,210
{\an7}《とはいったものの{\an7}さすがに限界ね》
111
00:08:58,234 --> 00:09:01,134
{\an7}あっ…。{\an7}うん?
112
00:09:04,174 --> 00:09:07,653
{\an7}キラキラ ツヤツヤ…。
113
00:09:07,677 --> 00:09:11,157
{\an7}フフッ。 タリー会長に提案する商品よ。
114
00:09:11,181 --> 00:09:15,995
{\an7}ちょうどよかったわ。{\an7}そこに座ってくれる?
115
00:09:16,019 --> 00:09:20,666
{\an7}東方には 花の染料で{\an7}爪に色を塗る文化があってね➡
116
00:09:20,690 --> 00:09:25,171
{\an7}それをヒントにして{\an7}爪の補強薬に色をつけてみたの。
117
00:09:25,195 --> 00:09:29,508
{\an7}これなら 水仕事をしながらでも{\an7}おしゃれを楽しめると思って。
118
00:09:29,532 --> 00:09:34,847
{\an7}爪が強くなるのですか?{\an7}私は すぐに割れてしまうのです。
119
00:09:34,871 --> 00:09:37,349
{\an7}これで割れにくくなるはずよ。
120
00:09:37,373 --> 00:09:41,187
{\an7}でも いちばんは{\an7}お肉やお魚を食べることね。
121
00:09:41,211 --> 00:09:43,522
{\an7}肉 魚…。
122
00:09:43,546 --> 00:09:48,194
{\an7}覚えました。 これからは{\an7}お給料で食べられます。
123
00:09:48,218 --> 00:09:53,032
{\an7}エルゼのおうちは たしか…。{\an7}はい。 うちは貧しくて➡
124
00:09:53,056 --> 00:09:56,869
{\an7}弟と妹に食べさせるだけで{\an7}精いっぱいで。
125
00:09:56,893 --> 00:10:01,707
{\an7}《この国にも{\an7}根深い貧困問題がある。
126
00:10:01,731 --> 00:10:05,431
{\an7}エルゼのような家庭も存在している》
127
00:10:12,575 --> 00:10:15,221
{\an7}とても きれいです。
128
00:10:15,245 --> 00:10:18,891
{\an7}こんなキラキラしたの{\an7}見たことがありません。
129
00:10:18,915 --> 00:10:22,895
{\an7}エルゼの好きな色はある?{\an7}プレゼントしたいの。
130
00:10:22,919 --> 00:10:25,064
{\an7}だ… だめです。
131
00:10:25,088 --> 00:10:28,067
{\an7}こんなにすてきなものを{\an7}もらってしまうなんて…。
132
00:10:28,091 --> 00:10:31,403
{\an7}我慢しなくてはいけないと…{\an7}思います。
133
00:10:31,427 --> 00:10:35,727
{\an7}いいえ。 エルゼに使ってもらえるなら{\an7}私も うれしいわ。
134
00:10:37,767 --> 00:10:39,745
{\an7}何色がいい?
135
00:10:39,769 --> 00:10:44,083
{\an7}エルゼなら どんな色でも{\an7}よく似合うわ。 ねっ?
136
00:10:44,107 --> 00:10:46,107
{\an7}ハッ…。
137
00:10:49,779 --> 00:10:52,591
{\an7}エルゼ?
138
00:10:52,615 --> 00:10:56,215
{\an7}えっ? ど… どうしたの?{\an7}どこか痛かった!?
139
00:10:58,288 --> 00:11:01,200
{\an7}うれしい… です。{\an7}あっ…。
140
00:11:01,224 --> 00:11:04,036
{\an7}どんなふうに{\an7}お礼を言ったらいいか➡
141
00:11:04,060 --> 00:11:06,372
{\an7}わからないくらいに➡
142
00:11:06,396 --> 00:11:11,377
{\an7}とても… うれしい…。
143
00:11:11,401 --> 00:11:13,545
{\an7}エルゼ…。
144
00:11:13,569 --> 00:11:15,881
{\an7}(泣き声)
145
00:11:15,905 --> 00:11:19,718
{\an7}(エルゼ)うちは貧しくて{\an7}服もボロボロで➡
146
00:11:19,742 --> 00:11:22,721
{\an7}オシャレなんてできませんでした。
147
00:11:22,745 --> 00:11:26,892
{\an7}それなのに リーシェ様の侍女に{\an7}なれただけじゃなくて➡
148
00:11:26,916 --> 00:11:30,229
{\an7}こんなきれいなものを{\an7}頂けるなんて➡
149
00:11:30,253 --> 00:11:33,732
{\an7}とても うれしくて…。
150
00:11:33,756 --> 00:11:36,068
{\an7}ふぅ…。{\an7}(侍女たちのはしゃぐ声)
151
00:11:36,092 --> 00:11:38,070
{\an7}うん?{\an7}(侍女たちのはしゃぐ声)
152
00:11:38,094 --> 00:11:41,907
{\an7}(侍女たちのはしゃぐ声)
153
00:11:41,931 --> 00:11:46,078
{\an7}《エルゼが そうだったように{\an7}この国にも 家族のために➡
154
00:11:46,102 --> 00:11:49,081
{\an7}憧れや夢を{\an7}押し込めている子たちがいる》
155
00:11:49,105 --> 00:11:51,083
{\an7}あっ。
156
00:11:51,107 --> 00:11:56,255
{\an7}《そう…{\an7}今の私は商人じゃない。
157
00:11:56,279 --> 00:11:58,779
{\an7}今の私は》
158
00:12:06,222 --> 00:12:10,703
{\an7}(リーシェ)都に出入りするほとんどは{\an7}働き盛りの男性。
159
00:12:10,727 --> 00:12:13,372
{\an7}ですから お土産として最適かと。
160
00:12:13,396 --> 00:12:15,696
{\an7}この小瓶も かさばりません。
161
00:12:20,236 --> 00:12:22,214
{\an7}(タリー)フフッ。
162
00:12:22,238 --> 00:12:24,216
{\an7}すばらしい!
163
00:12:24,240 --> 00:12:27,553
{\an7}いったい どんな天才が{\an7}ひらめいた品なのか。
164
00:12:27,577 --> 00:12:30,556
{\an7}多くの女性が欲しがるのは{\an7}間違いない。
165
00:12:30,580 --> 00:12:33,559
{\an7}ぜひとも 我が商会に{\an7}お任せいただきたく。
166
00:12:33,583 --> 00:12:36,228
{\an7}(チェスター)よし!{\an7}早速 取引先に売り込もうぜ!
167
00:12:36,252 --> 00:12:38,230
{\an7}まあ 待て。{\an7}(2人)えっ?
168
00:12:38,254 --> 00:12:41,400
{\an7}このまま我々に{\an7}預けていただけるのであれば➡
169
00:12:41,424 --> 00:12:45,404
{\an7}貴族向けの高額商品として{\an7}売り出しますが➡
170
00:12:45,428 --> 00:12:50,909
{\an7}どうやらリーシェ様には{\an7}別のお考えがあるようだ。
171
00:12:50,933 --> 00:12:54,747
{\an7}はい。 ここからは{\an7}事業についてのお話です。
172
00:12:54,771 --> 00:12:56,749
{\an7}フンッ。
173
00:12:56,773 --> 00:13:00,019
{\an7}3年前 この国には{\an7}アルノルト殿下によって➡
174
00:13:00,043 --> 00:13:02,354
{\an7}最低賃金が制定されました。
175
00:13:02,378 --> 00:13:06,525
{\an7}なるほど。{\an7}皇太子殿下の政策でしたか。
176
00:13:06,549 --> 00:13:09,862
{\an7}ただし{\an7}その恩恵にあずかれるのは➡
177
00:13:09,886 --> 00:13:13,532
{\an7}働き口を得られた者に限る… と。
178
00:13:13,556 --> 00:13:16,201
{\an7}はい。 そして この商品➡
179
00:13:16,225 --> 00:13:19,872
{\an7}原価は安く{\an7}工程も難しくはありませんが➡
180
00:13:19,896 --> 00:13:22,875
{\an7}大量生産には人手が必要です。
181
00:13:22,899 --> 00:13:27,212
{\an7}そこで ご提案が。{\an7}お聞かせ願いましょう。
182
00:13:27,236 --> 00:13:30,883
{\an7}貧民街の方々の大量雇用。
183
00:13:30,907 --> 00:13:32,885
{\an7}あっ…。{\an7}(カミル)あっ…。
184
00:13:32,909 --> 00:13:36,221
{\an7}これを{\an7}お約束いただける場合にのみ➡
185
00:13:36,245 --> 00:13:41,645
{\an7}この商品の技術を提供します。{\an7}たいへんすばらしいお考えです。
186
00:13:43,586 --> 00:13:47,566
{\an7}しかし…。{\an7}んっ…。
187
00:13:47,590 --> 00:13:50,736
{\an7}はぁ…。
188
00:13:50,760 --> 00:13:54,073
{\an7}あんたにはガッカリだよ リーシェ嬢。
189
00:13:54,097 --> 00:13:56,909
{\an7}ケイン・タリー! なんという無礼か!
190
00:13:56,933 --> 00:13:58,911
{\an7}かまいません。{\an7}あっ…。
191
00:13:58,935 --> 00:14:00,846
{\an7}施しをしたいなら➡
192
00:14:00,870 --> 00:14:04,349
{\an7}俺が聖職者に転職するまで{\an7}どうぞお待ちを。
193
00:14:04,373 --> 00:14:09,188
{\an7}会長 これは商いのお話です。{\an7}うん?
194
00:14:09,212 --> 00:14:11,356
{\an7}ガルクハイン国は戦後➡
195
00:14:11,380 --> 00:14:14,526
{\an7}国民のために いくつもの政策を{\an7}立ち上げました。
196
00:14:14,550 --> 00:14:17,529
{\an7}(タリー)おかげで{\an7}多くの人々の所得が上がり➡
197
00:14:17,553 --> 00:14:19,698
{\an7}生活が豊かになったとか。
198
00:14:19,722 --> 00:14:24,369
{\an7}はい。 ですが 恩恵にあずかれない{\an7}人々もいます。
199
00:14:24,393 --> 00:14:28,874
{\an7}その方々にも手だてを{\an7}講じなければ経済は停滞し➡
200
00:14:28,898 --> 00:14:32,377
{\an7}ゆくゆくは 税収の低下に{\an7}つながるでしょう。
201
00:14:32,401 --> 00:14:37,382
{\an7}つまり 私たちは{\an7}経済という循環の輪の中にいる➡
202
00:14:37,406 --> 00:14:40,052
{\an7}運命共同体なのです。{\an7}フンッ。
203
00:14:40,076 --> 00:14:42,554
{\an7}要は こう言いたいってことだろ?
204
00:14:42,578 --> 00:14:46,558
{\an7}「財を 一つ所にとどめていても{\an7}豊かにはなれません。
205
00:14:46,582 --> 00:14:50,562
{\an7}なれば 貧しい人にも{\an7}分け与えましょう」ってな。
206
00:14:50,586 --> 00:14:55,734
{\an7}昔 ある人が言っていました。
207
00:14:55,758 --> 00:15:00,506
{\an7}「一流の商人は客を選べる」と。
208
00:15:00,530 --> 00:15:03,530
{\an7}あっ…。{\an7}ですが 会長…。
209
00:15:05,535 --> 00:15:11,016
{\an7}お客様を選ぶのではなく{\an7}我々の手で作り出しませんか?
210
00:15:11,040 --> 00:15:13,040
{\an7}んっ…。
211
00:15:16,546 --> 00:15:19,858
{\an7}フッフフフ… ハハハハハハ!
212
00:15:19,882 --> 00:15:22,194
{\an7}なるほど! 気に入った!
213
00:15:22,218 --> 00:15:27,366
{\an7}つまり 「客を選ぶな{\an7}客へと育てろ」ってことか。
214
00:15:27,390 --> 00:15:29,868
{\an7}どういうこった?
215
00:15:29,892 --> 00:15:33,038
{\an7}(タリー)貧民街のヤツらが{\an7}収入を得られれば➡
216
00:15:33,062 --> 00:15:35,040
{\an7}そいつらが顧客になる。
217
00:15:35,064 --> 00:15:39,211
{\an7}その数が増えれば{\an7}結果 商人の売り上げも上がる。
218
00:15:39,235 --> 00:15:41,213
{\an7}そういう魂胆だな?
219
00:15:41,237 --> 00:15:44,383
{\an7}商会の品は{\an7}どれも すばらしいものです。
220
00:15:44,407 --> 00:15:47,886
{\an7}お客様が育った市場で{\an7}いちばんのもうけを出すのは➡
221
00:15:47,910 --> 00:15:50,389
{\an7}アリア商会になりますよ。
222
00:15:50,413 --> 00:15:55,561
{\an7}《食べていけるだけではなく{\an7}夢を捨てずに生きられる。
223
00:15:55,585 --> 00:16:00,666
{\an7}貧困からくる絶望も{\an7}希望に変えられる国に。
224
00:16:00,690 --> 00:16:03,001
{\an7}今の私が行うべきは➡
225
00:16:03,025 --> 00:16:08,674
{\an7}皇太子妃として{\an7}国民の豊かさにつながる商い》
226
00:16:08,698 --> 00:16:13,178
{\an7}これが 今の私にできる{\an7}数少ない提案です。
227
00:16:13,202 --> 00:16:17,182
{\an7}悪くないぜ? 俺の信念が{\an7}見透かされたみたいで➡
228
00:16:17,206 --> 00:16:20,018
{\an7}なかなかに楽しかった。
229
00:16:20,042 --> 00:16:23,689
{\an7}だが リーシェ嬢 あんたは未熟だな。
230
00:16:23,713 --> 00:16:27,192
{\an7}んっ…。{\an7}その振る舞いは切実すぎる。
231
00:16:27,216 --> 00:16:30,028
{\an7}よっぽど うちの商会が{\an7}欲しいらしい。
232
00:16:30,052 --> 00:16:32,531
{\an7}俺は そのご執心を利用して➡
233
00:16:32,555 --> 00:16:36,868
{\an7}ギリギリまで搾り取ろうと{\an7}たくらみ始めたところだ。
234
00:16:36,892 --> 00:16:38,870
{\an7}会長 これ以上は…。
235
00:16:38,894 --> 00:16:43,542
{\an7}さて あんたの提案に{\an7}どこから難癖つけてやろうか。
236
00:16:43,566 --> 00:16:45,544
{\an7}私ごときの提案を➡
237
00:16:45,568 --> 00:16:48,547
{\an7}手放しで認めてくださるとは{\an7}思っていません。
238
00:16:48,571 --> 00:16:51,717
{\an7}ほう〜。 数回しか{\an7}会ったことがねえのに➡
239
00:16:51,741 --> 00:16:54,886
{\an7}俺のことをよくわかってくれて{\an7}うれしいねぇ。
240
00:16:54,910 --> 00:17:00,210
{\an7}《できることなら この手は{\an7}使いたくなかったけれど…》
241
00:17:02,685 --> 00:17:06,665
{\an7}おっと!{\an7}次は何が飛び出してくるのか…。
242
00:17:06,689 --> 00:17:08,689
{\an7}なっ…。
243
00:17:11,360 --> 00:17:13,338
{\an7}(メルヴィン)会長?
244
00:17:13,362 --> 00:17:15,340
{\an7}あっ…。
245
00:17:15,364 --> 00:17:20,679
{\an7}なんで… なんで{\an7}あんたが このことを?
246
00:17:20,703 --> 00:17:25,017
{\an7}申し訳ありません。{\an7}少々 特殊な手段を使い➡
247
00:17:25,041 --> 00:17:27,352
{\an7}調べさせていただきました。
248
00:17:27,376 --> 00:17:32,576
{\an7}(リーシェ)妹君… アリア・タリー様の{\an7}ご病気のことも。
249
00:17:34,550 --> 00:17:39,031
{\an7}アリアのことは 情報が漏れていても{\an7}おかしくない。
250
00:17:39,055 --> 00:17:43,201
{\an7}あちこちの医者に{\an7}話を聞いて回っているからな。
251
00:17:43,225 --> 00:17:48,040
{\an7}(リーシェ)私は現在{\an7}複数の薬草を栽培しています。
252
00:17:48,064 --> 00:17:51,710
{\an7}その薬草を そこに書いた方法で{\an7}調合することで➡
253
00:17:51,734 --> 00:17:56,715
{\an7}東の大国 レンファに伝わる薬が{\an7}完成します。
254
00:17:56,739 --> 00:18:00,319
{\an7}アリア様の病に効能がある薬が。
255
00:18:00,343 --> 00:18:02,321
{\an7}あっ…。
256
00:18:02,345 --> 00:18:05,324
{\an7}この薬を{\an7}1年ほど服用いただければ➡
257
00:18:05,348 --> 00:18:08,327
{\an7}劇的に回復なさるはずです。
258
00:18:08,351 --> 00:18:10,495
{\an7}信じられるとでも?
259
00:18:10,519 --> 00:18:12,664
{\an7}医者でもない人間に{\an7}そんなことを言われ…。
260
00:18:12,688 --> 00:18:15,500
{\an7}先日 お渡しした薬は{\an7}皆様のお役に➡
261
00:18:15,524 --> 00:18:17,669
{\an7}立ちませんでしたか?{\an7}あっ…。
262
00:18:17,693 --> 00:18:19,671
{\an7}⦅皆さんが起きたら➡
263
00:18:19,695 --> 00:18:22,174
{\an7}この薬を{\an7}飲ませてあげてください⦆
264
00:18:22,198 --> 00:18:25,344
{\an7}確かに{\an7}ひどい二日酔いだったのに➡
265
00:18:25,368 --> 00:18:27,846
{\an7}あれを飲んだら{\an7}すぐ楽になって…。
266
00:18:27,870 --> 00:18:31,170
{\an7}あれは私が調合したものです。{\an7}(チェスター/メルヴィン)なっ…。
267
00:18:33,376 --> 00:18:35,854
{\an7}はぁ…。
268
00:18:35,878 --> 00:18:38,857
{\an7}「客に選ばれる商人になれ」。
269
00:18:38,881 --> 00:18:43,528
{\an7}これは 俺が自分の部下に{\an7}言い聞かせている言葉だ。
270
00:18:43,552 --> 00:18:47,699
{\an7}形勢逆転だよ リーシェ嬢。
271
00:18:47,723 --> 00:18:52,204
{\an7}これまでは 俺が あんたを{\an7}選ぶかどうかの駆け引きだった。
272
00:18:52,228 --> 00:18:57,628
{\an7}だが今は あんたが俺を選ぶ側だ。{\an7}会長…。
273
00:18:59,502 --> 00:19:03,815
{\an7}頼む。 俺の全財産を{\an7}あんたにささげてもいい。
274
00:19:03,839 --> 00:19:05,984
{\an7}だから俺に この薬を…。
275
00:19:06,008 --> 00:19:08,987
{\an7}どうか{\an7}誤解をなさらないでください。
276
00:19:09,011 --> 00:19:13,492
{\an7}調合法も薬草も{\an7}無条件でお渡しします。{\an7}あっ…。
277
00:19:13,516 --> 00:19:16,495
{\an7}妹君を盾に取るつもりは{\an7}ありません。
278
00:19:16,519 --> 00:19:20,165
{\an7}ですが{\an7}わかっていただきたいのです。
279
00:19:20,189 --> 00:19:25,670
{\an7}貧民街の方々も 家族のことを{\an7}思い合っているということを。
280
00:19:25,694 --> 00:19:30,175
{\an7}幼い弟妹が病にかからないよう{\an7}食べさせられるよう➡
281
00:19:30,199 --> 00:19:35,680
{\an7}自分の夢を犠牲にしている{\an7}兄や姉が大勢いるということを。
282
00:19:35,704 --> 00:19:37,682
{\an7}あなたへの提案も➡
283
00:19:37,706 --> 00:19:41,520
{\an7}このような拙い方法しか{\an7}持ち合わせていません。
284
00:19:41,544 --> 00:19:46,191
{\an7}形勢が逆転したなどとも{\an7}思っておりません。
285
00:19:46,215 --> 00:19:51,863
{\an7}どうかお願いです タリー会長。{\an7}あっ…。
286
00:19:51,887 --> 00:19:56,587
{\an7}私と 取り引きを交わしては{\an7}いただけないでしょうか。
287
00:20:12,575 --> 00:20:15,387
{\an7}お顔をお上げください リーシェ様。{\an7}(ざわめき)
288
00:20:15,411 --> 00:20:18,056
{\an7}タリー会長! おやめください!
289
00:20:18,080 --> 00:20:23,228
{\an7}商いとは 関わった人すべてを{\an7}豊かにする仕事です。
290
00:20:23,252 --> 00:20:26,064
{\an7}なのに客を選ぶなどと…。
291
00:20:26,088 --> 00:20:28,233
{\an7}俺のほうこそ未熟でした。
292
00:20:28,257 --> 00:20:30,902
{\an7}これまで貧民街の人間なんて➡
293
00:20:30,926 --> 00:20:34,739
{\an7}俺にとっては どうでもよかった{\an7}ってのが本音だ。
294
00:20:34,763 --> 00:20:39,911
{\an7}しかし そこには俺の妹のような{\an7}子どもたちも大勢いる。
295
00:20:39,935 --> 00:20:44,583
{\an7}あなたの商いは 俺みたいな人間が{\an7}考える商売よりも➡
296
00:20:44,607 --> 00:20:48,753
{\an7}はるかに尊ばれるべきものです。
297
00:20:48,777 --> 00:20:54,259
{\an7}妹の件とは無関係に{\an7}俺は 俺の傲慢さを恥じましょう。
298
00:20:54,283 --> 00:20:56,683
{\an7}あっ…。 では 会長…。
299
00:21:00,890 --> 00:21:05,370
{\an7}アリア商会は今後{\an7}ケイン・タリーの名のもとに➡
300
00:21:05,394 --> 00:21:08,594
{\an7}あなたの望むものを{\an7}ご用意いたします。
301
00:21:10,566 --> 00:21:13,066
{\an7}ありがとう… ございます。
302
00:21:17,740 --> 00:21:20,719
{\an7}はぁ…。
303
00:21:20,743 --> 00:21:25,390
{\an7}《綱渡りだったけど{\an7}本当によかった。
304
00:21:25,414 --> 00:21:30,395
{\an7}でも 喜んでばかりも{\an7}いられないわ。 次の準備を…》
305
00:21:30,419 --> 00:21:33,231
{\an7}(2人)あっ。{\an7}(倒れる音)
306
00:21:33,255 --> 00:21:35,233
{\an7}リーシェ様!{\an7}大丈夫ですか!?
307
00:21:35,257 --> 00:21:38,757
{\an7}もしや お体の具合が…。{\an7}ごめんなさい。
308
00:21:41,764 --> 00:21:45,076
{\an7}エルゼを呼び戻していただけますか?
309
00:21:45,100 --> 00:21:47,412
{\an7}(2人)は… はい!
310
00:21:47,436 --> 00:21:52,250
{\an7}(オリヴァー)リーシェ様のご様子は?{\an7}(デニス)かなり体調が悪そうです。
311
00:21:52,274 --> 00:21:55,253
{\an7}現在は カミルと侍女のエルゼが介抱を。
312
00:21:55,277 --> 00:21:58,256
{\an7}(オリヴァー)リーシェ様!
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00:21:58,280 --> 00:22:00,280
{\an7}あっ…。
314
00:22:08,390 --> 00:22:12,037
{\an7}(鼻歌)
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00:22:12,061 --> 00:22:14,039
{\an7}お待ちしておりました。
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00:22:14,063 --> 00:22:19,044
{\an7}フッフフ 体調を崩して倒れるなんて{\an7}好都合だ。
317
00:22:19,068 --> 00:22:21,046
{\an7}ありがとうね。
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00:22:21,070 --> 00:22:25,216
{\an7}エルゼ カミル。
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00:22:25,240 --> 00:22:27,218
{\an7}フッフフ。
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00:22:27,242 --> 00:22:31,242
{\an7}(テオドール)未来の皇太子妃様を{\an7}さらってくれて。