1 00:00:06,506 --> 00:00:10,811 (リーシェ)う~ん。 2 00:00:13,180 --> 00:00:15,182 (ノック) 3 00:00:15,182 --> 00:00:18,518 (オリヴァー)リーシェ様 お目覚めでしょうか? 4 00:00:18,518 --> 00:00:20,520 アルノルト殿下付のオリヴァーです。 5 00:00:20,520 --> 00:00:23,123 (リーシェ)は… はい! 少しお待ちください! 6 00:00:27,361 --> 00:00:30,697 お待たせしました。 (オリヴァー)申し訳ありません。 7 00:00:30,697 --> 00:00:35,369 (オリヴァー)このタイミングでしか 執務室を出られなかったもので。 8 00:00:35,369 --> 00:00:37,871 あまり休まれていないのでは? 9 00:00:37,871 --> 00:00:41,375 自分などは まだよいほうです。 アルノルト殿下は➡ 10 00:00:41,375 --> 00:00:43,710 仮眠すら とっていらっしゃいません。 11 00:00:43,710 --> 00:00:48,048 エルミティ国の訪問中にたまった仕事に 追われていらして。 12 00:00:48,048 --> 00:00:50,384 なんだか申し訳ないです。 13 00:00:50,384 --> 00:00:54,221 いいえ。 結婚する気はないと おっしゃっていた殿下が➡ 14 00:00:54,221 --> 00:00:57,424 こうして奥方様を 見つけられたのですから。 15 00:01:01,862 --> 00:01:04,865 どうぞ いくらでも ご覧になってください。 16 00:01:04,865 --> 00:01:08,535 はい? 私を観察なさっていたでしょう? 17 00:01:08,535 --> 00:01:12,039 あっ…。 たいへん失礼をいたしました。 18 00:01:12,039 --> 00:01:16,209 殿下が おっしゃっていたとおり 慧眼をお持ちなのですね。 19 00:01:16,209 --> 00:01:20,714 オリヴァー様は 殿下を心から ご心配なさっているのですね。 20 00:01:20,714 --> 00:01:22,883 長くおそばに いらっしゃるのですか? 21 00:01:22,883 --> 00:01:24,885 10年になります。 22 00:01:24,885 --> 00:01:27,721 それほど尽くしていらっしゃる 方であれば➡ 23 00:01:27,721 --> 00:01:30,724 なぜ私と 結婚なさるおつもりなのか➡ 24 00:01:30,724 --> 00:01:32,726 ご存じなのでは? 25 00:01:32,726 --> 00:01:37,230 それは 正直なところ 私も驚いていまして。 26 00:01:37,230 --> 00:01:41,401 ですが あんなに楽しそうな殿下は 初めてですよ。 27 00:01:41,401 --> 00:01:45,072 リーシェ様の前では とても素直に笑っていらっしゃる。 28 00:01:45,072 --> 00:01:48,408 おもちゃ扱いされている だけのような…。 29 00:01:48,408 --> 00:01:52,245 アハハハ。 《否定はしてくれないのね》 30 00:01:52,245 --> 00:01:54,247 つい 話し込んでしまいました。 31 00:01:54,247 --> 00:01:59,419 殿下より 婚姻の儀に招く 賓客の一覧をお渡しするようにと。 32 00:01:59,419 --> 00:02:01,488 ありがとうございます。 33 00:02:01,488 --> 00:02:04,491 《シグウェル国のハリエット王女殿下➡ 34 00:02:04,491 --> 00:02:08,328 ドマナ王国は ジョーナル公が 代理でのご出席ね。 35 00:02:08,328 --> 00:02:11,665 それに コヨル国のカイル王子殿下》 36 00:02:11,665 --> 00:02:15,569 そして こちらが 明日の夜会のご出席者です。 37 00:02:17,838 --> 00:02:19,840 (リーシェ)夜会? 38 00:03:51,364 --> 00:04:02,676 (鐘の音) 39 00:04:04,811 --> 00:04:07,314 (エルゼ)あの ディアナさん これはどこに? 40 00:04:07,314 --> 00:04:09,316 (ディアナ)昨日 私が やってみせたとおりに➡ 41 00:04:09,316 --> 00:04:11,485 並べておいてちょうだい。 その…。 42 00:04:11,485 --> 00:04:13,487 (ディアナ)今 手が離せないの。 43 00:04:16,823 --> 00:04:18,825 (ノック) 44 00:04:18,825 --> 00:04:23,330 ⚟リーシェです。 殿下 少しお時間を頂けますか? 45 00:04:23,330 --> 00:04:25,332 (アルノルト)ああ。 46 00:04:25,332 --> 00:04:27,334 (ドアの開閉音) 47 00:04:27,334 --> 00:04:29,336 あっ…。 48 00:04:29,336 --> 00:04:32,506 アルノルト殿下 おねだりしたいことがあります。 49 00:04:32,506 --> 00:04:35,842 考えておけと 言ってくださったでしょう? 50 00:04:35,842 --> 00:04:38,845 ⦅欲しいものでも考えておけ。 あっ…。 51 00:04:38,845 --> 00:04:41,348 「指一本触れない」という契約を➡ 52 00:04:41,348 --> 00:04:44,351 今度こそ破ってしまったからな⦆ 53 00:04:44,351 --> 00:04:48,522 侍女の選定を 私にお任せいただけませんか? 54 00:04:48,522 --> 00:04:51,625 それは 好きにしてかまわないが…。 55 00:04:54,027 --> 00:04:56,029 ふぅ…。 56 00:04:56,029 --> 00:04:59,533 オリヴァーが伝えなかったようだな。 57 00:04:59,533 --> 00:05:01,501 今日の夜会は➡ 58 00:05:01,501 --> 00:05:04,671 「皇太子の婚姻相手は 国内からも探している」➡ 59 00:05:04,671 --> 00:05:08,508 という体裁を保つために開かれる 無意味なものだ。 60 00:05:08,508 --> 00:05:12,012 殿下。 私は この国にとって➡ 61 00:05:12,012 --> 00:05:15,348 人質の皇太子妃なのかも しれません。 62 00:05:15,348 --> 00:05:19,853 ですが そのことを 不名誉に思っていないのです。 63 00:05:19,853 --> 00:05:21,855 どうぞ➡ 64 00:05:21,855 --> 00:05:24,524 あなたの婚約者を お披露目ください。 65 00:05:27,194 --> 00:05:30,363 フンッ。 しかたない。 66 00:05:30,363 --> 00:05:33,533 触れてもいいという許しも 出たことだしな。 67 00:05:33,533 --> 00:05:36,503 お互い 手袋越しですので。 68 00:05:45,212 --> 00:05:55,555 ♬~ 69 00:05:55,555 --> 00:05:59,726 なんだか想定していたより ものすごい会なのですけれど。 70 00:05:59,726 --> 00:06:04,297 これでも小規模なほうだが。 た… 大国基準…。 71 00:06:04,297 --> 00:06:09,469 アルノルト殿下! 今宵は お招きにあずかり光栄です。 72 00:06:09,469 --> 00:06:11,805 ご足労いただき感謝する。 73 00:06:11,805 --> 00:06:16,810 殿下 どうか我が娘に 旅のお話をお聞かせください。 74 00:06:16,810 --> 00:06:20,814 あいにくだが 取り立てて 語るようなことは何もない。 75 00:06:20,814 --> 00:06:25,485 しかし 僥倖な旅ではあったな。 うん? 76 00:06:25,485 --> 00:06:28,989 こうして妻となる相手を 見つけることができた。 77 00:06:28,989 --> 00:06:32,826 妻ですって? 殿下が笑ってらっしゃる! 78 00:06:32,826 --> 00:06:36,162 今まで私たちには 見向きもなさらなかったのに。 79 00:06:36,162 --> 00:06:39,666 では こちらの美しきご令嬢が…。 80 00:06:39,666 --> 00:06:44,004 《好奇 嫉妬 下心。 81 00:06:44,004 --> 00:06:47,674 公衆の面前で 婚約破棄されることに比べれば➡ 82 00:06:47,674 --> 00:06:50,176 いたくもかゆくもないわね》 83 00:06:52,345 --> 00:06:57,651 お初にお目にかかります。 リーシェ・イルムガルド・ヴェルツナーと申します。 84 00:07:00,320 --> 00:07:02,989 (ざわめき) 85 00:07:05,659 --> 00:07:08,995 妻は他国から来たばかりで 頼る者もない。 86 00:07:08,995 --> 00:07:13,066 どうか助けてやってほしい。 もちろんです。 87 00:07:19,506 --> 00:07:21,508 妻だなんて…。 88 00:07:21,508 --> 00:07:24,344 わざわざ他のご令嬢たちを あおらなくても。 89 00:07:24,344 --> 00:07:28,348 今のうちに 示しておいたほうがいい。 示す? 90 00:07:28,348 --> 00:07:33,186 俺が どうあっても お前を守るということを。 91 00:07:33,186 --> 00:07:38,858 《守る? 守るですって!? アルノルト・ハインが!? 92 00:07:38,858 --> 00:07:42,862 私を殺した この男が!?》 93 00:07:42,862 --> 00:07:46,700 むしろ いちばん危険なのは 殿下ですし。 94 00:07:46,700 --> 00:07:49,369 どういう意味でだ? 95 00:07:49,369 --> 00:07:52,872 とりあえず剣技では かなう気がいたしません。 96 00:07:52,872 --> 00:07:56,543 いずれ お前と手合わせしてみても いいかもしれないな。 97 00:07:56,543 --> 00:07:58,545 それは ぜひ お願いしたいです! 98 00:07:58,545 --> 00:08:02,983 ぜいたくを言えば 稽古もつけていただきたいですわ。 99 00:08:02,983 --> 00:08:07,821 ハッ…。 お前からは 期待以上の答えが返ってくる。 100 00:08:07,821 --> 00:08:13,493 《あの すさまじい剣技の攻略法が わかるかもしれない》 101 00:08:13,493 --> 00:08:17,497 あっ…。 無理に踊る必要はない。 102 00:08:17,497 --> 00:08:21,334 あら 私だって どうせなら楽しみたいですわ。 103 00:08:21,334 --> 00:08:40,019 ♬~ 104 00:08:40,019 --> 00:08:44,024 《この近さ あのときを思い出す》 105 00:08:44,024 --> 00:08:53,533 ♬~ 106 00:08:53,533 --> 00:08:56,536 《少し いたずらしてみようかしら。 107 00:08:56,536 --> 00:09:01,274 私が主導権を握ろうとしたら どう出るの?》 108 00:09:01,274 --> 00:09:03,276 あっ。 109 00:09:03,276 --> 00:09:05,478 《だったら これは?》 110 00:09:10,784 --> 00:09:15,455 《何をしても無駄 とでも言いたげね》 111 00:09:15,455 --> 00:09:17,457 あっ。 112 00:09:22,128 --> 00:09:26,833 《これほど近いのに 間合いに 踏み込めている気がしない》 113 00:09:31,471 --> 00:09:35,275 《あら… そういえば さっきから…》 114 00:09:38,144 --> 00:09:41,147 《いいえ あのときもずっと》 115 00:09:41,147 --> 00:09:52,358 ♬~ 116 00:09:54,994 --> 00:09:56,996 《倒れ…》 117 00:09:59,999 --> 00:10:02,001 フッ。 118 00:10:02,001 --> 00:10:04,838 あっ…。 119 00:10:04,838 --> 00:10:07,340 いや~ すばらしい! (拍手) 120 00:10:07,340 --> 00:10:09,676 お二人の息は ぴったりでいらっしゃる。 121 00:10:09,676 --> 00:10:12,512 まるで 剣舞を見ているかのようでした。 122 00:10:12,512 --> 00:10:18,518 (拍手) 123 00:10:23,523 --> 00:10:25,859 (コルネリア)リーシェ様。 うん? 124 00:10:25,859 --> 00:10:29,362 (コルネリア)先ほどのダンス とてもすてきでしたわ。 125 00:10:29,362 --> 00:10:33,700 ありがとうございます。 よろしければ このワインをどうぞ。 126 00:10:33,700 --> 00:10:35,702 (2人の笑い声) 127 00:10:35,702 --> 00:10:38,705 いただきますわ。 128 00:10:42,876 --> 00:10:45,879 《すり潰した唐辛子の香り。 129 00:10:45,879 --> 00:10:48,381 食べ物で遊ぶなんて…》 130 00:10:48,381 --> 00:10:51,384 どこか刺激的な香りがする ワインですね。 131 00:10:51,384 --> 00:10:53,386 とても興味深いです。 132 00:10:53,386 --> 00:10:56,689 わたくしのお持ちしたワインでは ご不満ですか? 133 00:10:59,893 --> 00:11:01,861 (3人)あっ。 134 00:11:01,861 --> 00:11:06,866 想像したとおり とても刺激的な味ですね。 135 00:11:06,866 --> 00:11:09,702 このような歓迎を していただけたこと➡ 136 00:11:09,702 --> 00:11:12,372 とてもうれしいです。 137 00:11:12,372 --> 00:11:14,541 行きましょう! 138 00:11:22,048 --> 00:11:25,385 辛い…。 (アルノルト)辛い? 139 00:11:25,385 --> 00:11:27,387 殿下。 140 00:11:27,387 --> 00:11:30,056 唐辛子入りの特製ワインです。 141 00:11:30,056 --> 00:11:33,393 そんなもの捨ててしまえばいい。 142 00:11:33,393 --> 00:11:35,395 いいえ。 これは➡ 143 00:11:35,395 --> 00:11:38,731 おいしくたしなまれる機会を 失ってしまったのですから➡ 144 00:11:38,731 --> 00:11:41,901 せめて残さず飲んであげないと。 145 00:11:41,901 --> 00:11:43,903 あっ。 146 00:11:43,903 --> 00:11:46,573 えっ? ちょっ…。 147 00:11:46,573 --> 00:11:49,742 辛いな。 だから言ったではありませんか! 148 00:11:49,742 --> 00:11:52,078 これでワインへの義理は 果たせたか? 149 00:11:52,078 --> 00:11:57,417 はい…。 ありがとうございます。 150 00:11:57,417 --> 00:12:01,487 ダンスのとき 何を考えていた? えっ? 151 00:12:01,487 --> 00:12:05,491 俺ではない誰か別の人間のことを 考えていただろう。 152 00:12:12,498 --> 00:12:17,003 《未来のあなたのこと なんて言えないし…》 153 00:12:17,003 --> 00:12:20,506 殿下のお体を心配していました。 154 00:12:23,176 --> 00:12:27,080 ここに おけがをされていませんか? 155 00:12:29,515 --> 00:12:31,517 《彼の左肩は➡ 156 00:12:31,517 --> 00:12:35,521 右に比べて ほんの少しだけ動きが鈍い。 157 00:12:35,521 --> 00:12:37,624 あのときも》 158 00:12:43,029 --> 00:12:45,198 あっ…。 159 00:12:45,198 --> 00:12:48,701 古傷だ。 肩口まで続いていて➡ 160 00:12:48,701 --> 00:12:52,038 僅かに皮膚の ひきつれる部分がある。 161 00:12:52,038 --> 00:12:55,375 なんて ひどい…。 162 00:12:55,375 --> 00:12:57,877 《とても古い傷。 163 00:12:57,877 --> 00:13:03,182 刃物で何度も何度も… 殺すつもりで…》 164 00:13:03,182 --> 00:13:06,853 この傷のことを知る者は ごく一部だ。 165 00:13:06,853 --> 00:13:09,522 ましてや 感づいた者などいなかった。 166 00:13:09,522 --> 00:13:11,591 どうして このような傷を? 167 00:13:14,861 --> 00:13:17,030 夜風が冷えてきた。 168 00:13:17,030 --> 00:13:33,813 ♬~ 169 00:13:40,019 --> 00:13:43,356 (ニコル)侍女の選定 そろそろかしらね。 うん。 170 00:13:43,356 --> 00:13:46,859 けど この分だと 私たち選ばれそうにないかも…。 171 00:13:50,563 --> 00:13:52,565 まだ終わっていないの? 172 00:13:52,565 --> 00:13:55,902 ご… ごめんなさい ディアナさん! すみません。 173 00:13:55,902 --> 00:13:59,739 今朝のシーツも 説明したとおりに 畳めていなかったわよ! 174 00:13:59,739 --> 00:14:01,641 (マーヤ)そんなんじゃ 絶対に➡ 175 00:14:01,641 --> 00:14:03,643 皇太子妃様の侍女には 選ばれないわね! 176 00:14:03,643 --> 00:14:07,313 手伝います。 (2人)あっ…。 177 00:14:07,313 --> 00:14:09,315 また あなたなの? 178 00:14:09,315 --> 00:14:13,653 どこの所属か わからないけど よく人を手伝う暇があるわね。 179 00:14:13,653 --> 00:14:15,988 あなたたちも さっさと終わらせなさい! 180 00:14:15,988 --> 00:14:17,990 (3人)あっ…。 181 00:14:17,990 --> 00:14:21,494 今日は離宮用のテーブルクロスが 届くみたいね。 182 00:14:21,494 --> 00:14:24,997 お手伝いをすれば きっと評価が上がるわ。 183 00:14:24,997 --> 00:14:28,000 行くわよ マーヤ ラウラ。 (マーヤ/ラウラ)ええ。 184 00:14:30,336 --> 00:14:34,507 ごめんなさい。 私たちの物覚えが悪いばかりに。 185 00:14:34,507 --> 00:14:38,177 皆さんは まだお城に来て 日が浅いのでしょう? 186 00:14:38,177 --> 00:14:41,681 初めからできる人はいませんから。 187 00:14:41,681 --> 00:14:45,852 《そもそもエルゼさんたちは 洗濯に不慣れなわけではないわ。 188 00:14:45,852 --> 00:14:49,522 仕事は こなせているけど 時間がかかっているだけ。 189 00:14:49,522 --> 00:14:54,694 そこはディアナさんの言うとおり。 でも原因は明白だわ》 190 00:14:54,694 --> 00:14:58,865 ディアナさんが ここに来る前のお話を 聞いたことはありますか? 191 00:14:58,865 --> 00:15:01,667 たしか いくつものお店を やっていらっしゃる➡ 192 00:15:01,667 --> 00:15:05,004 裕福なおうちで…。 私も聞いたことある。 193 00:15:05,004 --> 00:15:09,175 でも 借金ができちゃって 全部 手放してしまったのよね。 194 00:15:09,175 --> 00:15:11,144 そう…。 195 00:15:18,518 --> 00:15:20,520 ピカピカになってる。 196 00:15:20,520 --> 00:15:24,524 いつの間に…? 誰が掃除をしたのかしら? 197 00:15:24,524 --> 00:15:27,193 そういえば いつも しゃしゃり出てくるあの子➡ 198 00:15:27,193 --> 00:15:29,862 いないわね。 あんな生意気な新人➡ 199 00:15:29,862 --> 00:15:32,865 外されて当然よ。 そうね。 200 00:15:32,865 --> 00:15:36,202 皇太子妃様に仕えるなら 礼儀が必要だもの。 201 00:15:36,202 --> 00:15:39,038 ドキドキするね。 ええ。 202 00:15:39,038 --> 00:15:42,041 皇太子妃様って どんな方かな? 203 00:15:42,041 --> 00:15:44,043 (ドアの開く音) 204 00:15:44,043 --> 00:15:46,512 リーシェ様がいらっしゃいました。 205 00:16:05,965 --> 00:16:07,967 あっ。 206 00:16:11,804 --> 00:16:14,607 リーシェ・イルムガルド・ヴェルツナーと申します。 207 00:16:17,476 --> 00:16:21,481 《ごめんね。 あなたたちの状況を 正しく知るには➡ 208 00:16:21,481 --> 00:16:25,318 同じ侍女として話すのが いちばんだと思ったの》 209 00:16:25,318 --> 00:16:28,821 では 今から お名前をお呼びいたします。 210 00:16:28,821 --> 00:16:30,823 マグリッドさん。 211 00:16:30,823 --> 00:16:32,825 エルゼさん。 えっ…。 212 00:16:32,825 --> 00:16:34,994 ニコルさん ローザさん。 213 00:16:34,994 --> 00:16:38,331 ヒルデさん アメリアさん。 214 00:16:38,331 --> 00:16:41,834 以上の方は わたくしの侍女に なっていただきます。 215 00:16:41,834 --> 00:16:44,670 えっ…。 これから よろしくお願いします。 216 00:16:44,670 --> 00:16:47,340 では 名前を呼ばれた者は別室へ。 217 00:16:47,340 --> 00:16:50,843 どうしてですか リーシェ様! 選ばれたのは新人ばかり! 218 00:16:50,843 --> 00:16:53,179 侍女の経験は 私たちのほうが! 219 00:16:53,179 --> 00:16:55,681 不敬だぞ。 いいのです。 220 00:16:55,681 --> 00:16:58,351 確かに失礼なことを言いました。 221 00:16:58,351 --> 00:17:01,954 ですが どうか侍女としての実力を 見てください! 222 00:17:01,954 --> 00:17:04,323 ディアナさん。 はい。 223 00:17:04,323 --> 00:17:07,827 あなたには今日かぎりで 侍女を辞めていただきます。 224 00:17:07,827 --> 00:17:09,829 えっ!? 225 00:17:09,829 --> 00:17:11,797 そんな…。 226 00:17:14,333 --> 00:17:18,170 ねぇ ディアナ あなたがお城に来たばかりの頃➡ 227 00:17:18,170 --> 00:17:21,340 何に困っていたか思い出せる? 228 00:17:21,340 --> 00:17:25,344 最初から今みたいに 仕事をこなせていたの? 229 00:17:25,344 --> 00:17:31,684 いえ…。 最初は やり方を 理解するのに苦労しました。 230 00:17:31,684 --> 00:17:34,854 一度聞いただけでは 覚えられなくて。 231 00:17:34,854 --> 00:17:37,857 でも先輩たちは みんな忙しくて➡ 232 00:17:37,857 --> 00:17:42,028 「教えている暇なんてないから 見て覚えて」と言われて。 233 00:17:42,028 --> 00:17:45,531 それでも私は こうして 一人前に育ちました! 234 00:17:45,531 --> 00:17:48,534 彼女たちと違って! そうね。 235 00:17:48,534 --> 00:17:52,371 確かに あなたは彼女たちと 大きく違うことがあるわ。 236 00:17:52,371 --> 00:17:54,540 えっ? それは➡ 237 00:17:54,540 --> 00:17:58,210 字の読み書きができることよ。 あっ…。 238 00:17:58,210 --> 00:18:02,648 あなたは商家の生まれで 高い教育が受けられたけれど➡ 239 00:18:02,648 --> 00:18:06,986 一般庶民が同じような教育を 受けられることは少ないわ。 240 00:18:06,986 --> 00:18:09,822 あなたは先輩に言われたことを 書き留めて➡ 241 00:18:09,822 --> 00:18:14,327 読み返すことができた。 でも それができなかったら? 242 00:18:14,327 --> 00:18:16,329 あっ…。 243 00:18:16,329 --> 00:18:18,331 ⦅昨日 私が やってみせたとおりに➡ 244 00:18:18,331 --> 00:18:21,334 並べておいてちょうだい。 その…。 245 00:18:21,334 --> 00:18:25,604 今朝のシーツも 説明したとおりに 畳めていなかったわよ!⦆ 246 00:18:27,840 --> 00:18:33,679 家が破産して 何もかも失って後ろ盾もない…。 247 00:18:33,679 --> 00:18:36,515 そんな私が一人前になれたのに➡ 248 00:18:36,515 --> 00:18:40,519 どうして あなたたちは できないのって思ってた。 249 00:18:40,519 --> 00:18:44,490 私が ちゃんと やり方を教えられていなかった。 250 00:18:47,026 --> 00:18:52,698 ごめんなさい。 悪いのは私だったのね。 251 00:18:52,698 --> 00:18:56,035 本当に… ごめんなさい! 252 00:18:56,035 --> 00:18:59,372 リーシェ様! ディアナさんは優秀で いつも一生懸命で…。 253 00:18:59,372 --> 00:19:02,441 だから辞めさせないでください。 254 00:19:02,441 --> 00:19:06,946 ありがとう。 でも私は選ばれなくて当然よ。 255 00:19:06,946 --> 00:19:08,948 (エルゼ)ディアナさん…。 256 00:19:08,948 --> 00:19:12,118 (ディアナの泣き声) 257 00:19:12,118 --> 00:19:14,120 (3人)あっ。 258 00:19:14,120 --> 00:19:17,289 あなたには お願いしたいことがあるの。 259 00:19:17,289 --> 00:19:19,291 私は この離宮を➡ 260 00:19:19,291 --> 00:19:22,795 新人侍女たちの教育の場に したいと思っているの。 261 00:19:22,795 --> 00:19:27,633 技能を身につけるのと同時に 文字の勉強もしてもらいたい。 262 00:19:27,633 --> 00:19:29,969 読み書きも仕事も身につけば➡ 263 00:19:29,969 --> 00:19:33,139 どこでも どんな場合でも 武器になる。 264 00:19:33,139 --> 00:19:36,142 別の人生を生きなきゃ いけなくなったときも➡ 265 00:19:36,142 --> 00:19:38,144 必ず役に立つわ。 266 00:19:38,144 --> 00:19:43,482 ディアナ。 あなたには その教材作りを 手伝ってほしいの。 267 00:19:43,482 --> 00:19:45,818 私が…? 268 00:19:45,818 --> 00:19:49,321 私 あんな失礼なことを 言ったのに…。 269 00:19:49,321 --> 00:19:52,491 フフッ なんのことだか。 270 00:19:52,491 --> 00:19:54,660 力を貸してくれる? 271 00:19:54,660 --> 00:19:57,863 はい… 喜んで。 272 00:20:00,332 --> 00:20:03,335 なるほどな。 予想どおりですか? 273 00:20:03,335 --> 00:20:08,007 まさか。 何か しでかすだろうとは 思っていたが。 274 00:20:08,007 --> 00:20:12,344 あまり露骨におもしろがっては 未来の奥方に失礼ですよ。 275 00:20:12,344 --> 00:20:15,681 ですが 私も楽しんでしまいそうです。 276 00:20:15,681 --> 00:20:19,518 あの方が この国で どんなことを 成し遂げてくださるのかを。 277 00:20:19,518 --> 00:20:21,520 オリヴァー。 うん? 278 00:20:21,520 --> 00:20:27,193 リーシェは 皇族の利や国益のために 連れてきた妻ではない。 279 00:20:27,193 --> 00:20:31,197 (ディアナ)最初に覚える文字は 掃除道具でいかがでしょうか? 280 00:20:31,197 --> 00:20:33,199 毎日使うものなので➡ 281 00:20:33,199 --> 00:20:36,702 覚えたことが役立っている実感も 得やすいんじゃないかと。 282 00:20:36,702 --> 00:20:40,539 ええ。 とてもいいと思うわ。 ありがとうございます。 283 00:20:40,539 --> 00:20:42,541 リーシェ様。 284 00:20:42,541 --> 00:20:46,212 私 みんなに どうやって 教えたらいいかを考えるのが➡ 285 00:20:46,212 --> 00:20:49,048 とっても楽しいです。 それはよかったわ。 286 00:20:49,048 --> 00:20:51,217 (ノックとドアの開く音) 287 00:20:51,217 --> 00:20:54,887 失礼します。 リーシェ様 そろそろご準備を。 288 00:20:54,887 --> 00:20:58,057 ええ。 では 私はこれで失礼します。 289 00:20:58,057 --> 00:21:00,025 よろしくね。 290 00:21:00,025 --> 00:21:04,697 あっ ディアナさん 夜ごはんのあと また勉強教えてもらえますか? 291 00:21:04,697 --> 00:21:07,366 もちろんよ。 ありがとうございます。 292 00:21:10,536 --> 00:21:14,707 すてきなドレス。 手持ちで いちばん高価なの。 293 00:21:14,707 --> 00:21:19,044 これに合わせて髪を結うのを 手伝ってくれる? はい。 294 00:21:19,044 --> 00:21:24,216 あの お客様は商人さんと お聞きしましたが➡ 295 00:21:24,216 --> 00:21:28,053 その… いちばん高いドレスが 必要なのですか? 296 00:21:28,053 --> 00:21:31,223 そうね。 とりあえず 材料の一つになるかも➡ 297 00:21:31,223 --> 00:21:34,226 しれないから。 材料? 298 00:21:34,226 --> 00:21:36,228 《なんといっても相手は➡ 299 00:21:36,228 --> 00:21:39,899 商人のなんたるかを 私に たたき込んでくれた人。 300 00:21:39,899 --> 00:21:42,401 彼らを味方につけておけば➡ 301 00:21:42,401 --> 00:21:45,371 この先の選択肢は かなり広がるわ。 302 00:21:45,371 --> 00:21:49,041 このときのアリア商会は 設立したばかり。 303 00:21:49,041 --> 00:21:51,877 ガルクハインの皇族相手の商談なら➡ 304 00:21:51,877 --> 00:21:54,880 何がなんでも 成立させたいはず》 305 00:21:59,418 --> 00:22:01,320 《もう少し派手なほうが➡ 306 00:22:01,320 --> 00:22:03,989 買い物好きな いいカモに 見えるかしら?》 307 00:22:03,989 --> 00:22:05,991 私は残念です。 308 00:22:05,991 --> 00:22:09,495 まとめ髪に後れ毛で りんとなるお姿のほうが➡ 309 00:22:09,495 --> 00:22:11,497 このドレスには お似合いかと。 310 00:22:11,497 --> 00:22:13,499 ありがとう エルゼ。 311 00:22:13,499 --> 00:22:17,336 でも今日は これが勝負の装いなの。 勝負? 312 00:22:17,336 --> 00:22:20,339 (カミル)お客様が到着されました。 (ノック) 313 00:22:24,343 --> 00:22:28,047 このたびは ご結婚おめでとうございます。 314 00:22:30,683 --> 00:22:34,687 アリア商会のケイン・タリーと申します。