1 00:00:02,002 --> 00:00:05,172 (ダリヤ)ご迷惑をおかけして 本当にすみませんでした。 2 00:00:05,172 --> 00:00:08,508 (ヴォルフレード)気にしないで。 そういう事情だったんだね。 3 00:00:08,508 --> 00:00:14,681 はい。 まさか お店で 父の話を聞くとは思わなくて。 4 00:00:14,681 --> 00:00:17,184 もう1年もたっているんですけど。 5 00:00:17,184 --> 00:00:19,686 まだ1年かもしれないよ。 6 00:00:19,686 --> 00:00:22,856 その話のあとで 言いにくいんだが…。 7 00:00:22,856 --> 00:00:26,693 あの店には できれば俺も 同行させてくれないか? 8 00:00:26,693 --> 00:00:29,363 もしかして私 失礼なことでも? 9 00:00:29,363 --> 00:00:34,201 いや 2人は気が合いそうだし 彼の態度も気がかりだし…。 10 00:00:34,201 --> 00:00:36,203 俺がきっかけを作ったことで➡ 11 00:00:36,203 --> 00:00:39,039 ダリヤのお父さんに 恨まれる可能性が…。 12 00:00:39,039 --> 00:00:41,208 つまり? 13 00:00:41,208 --> 00:00:44,378 彼は貴族だから 重婚にも抵抗がないし➡ 14 00:00:44,378 --> 00:00:48,882 ダリヤと同年代の妻が 2人もいるんだ。 よって俺は➡ 15 00:00:48,882 --> 00:00:51,218 ダリヤが口説かれることを 危惧している。 16 00:00:51,218 --> 00:00:53,220 ないです! 17 00:02:33,353 --> 00:02:36,857 昼食 何か食べたいものはある? 18 00:02:36,857 --> 00:02:40,527 中央区の屋台でエール というのはありですか? 19 00:02:40,527 --> 00:02:44,531 いいね 天気もいいし大賛成だ。 20 00:02:44,531 --> 00:02:48,201 ヴォルフ ポルケッタは好きですか? 21 00:02:48,201 --> 00:02:51,872 屋台のは初めてだ。 おいしそうな匂いだね。 22 00:02:51,872 --> 00:02:53,874 じゃあ 買いますね。 23 00:02:53,874 --> 00:02:56,376 なら 俺はエールを買ってくる。 24 00:02:56,376 --> 00:03:03,316 ♪~ 25 00:03:03,316 --> 00:03:05,819 ポルケッタもクレスペッレも➡ 26 00:03:05,819 --> 00:03:08,822 おいしそうですね。 ああ。 27 00:03:08,822 --> 00:03:11,491 そうだ これを。 28 00:03:11,491 --> 00:03:14,327 んっ? 一緒に食事をするときは➡ 29 00:03:14,327 --> 00:03:16,329 できればつけてほしい。 30 00:03:16,329 --> 00:03:21,835 万が一 俺目当てで 君の料理に 何かされていたら困るから。 31 00:03:21,835 --> 00:03:24,004 ヴォルフはいいんですか? 32 00:03:24,004 --> 00:03:28,341 大抵のものは ならしてあるし アンクレットもつけている。 33 00:03:28,341 --> 00:03:31,511 じゃあ お借りします。 34 00:03:31,511 --> 00:03:36,116 そのまま 複数付与の研究用に してくれてかまわないよ。 35 00:03:38,185 --> 00:03:40,187 (2人)フッ。 36 00:03:40,187 --> 00:03:43,356 店のより こっちのほうが好みかも。 37 00:03:43,356 --> 00:03:45,358 よかったです。 38 00:03:45,358 --> 00:03:48,695 父の好物で 私も好きになったんです。 39 00:03:48,695 --> 00:03:52,699 もう一杯追加する? 次は赤エールとか? 40 00:03:52,699 --> 00:03:55,202 いいですね! ちょっと買ってきます。 41 00:03:55,202 --> 00:03:57,537 いや 俺が…。 大丈夫です。 42 00:03:57,537 --> 00:03:59,873 すぐ戻りますから。 43 00:03:59,873 --> 00:04:02,642 気を遣わせてしまったな。 44 00:04:02,642 --> 00:04:04,644 これじゃ当然か。 45 00:04:04,644 --> 00:04:07,147 お母さん 早く早く~。 46 00:04:07,147 --> 00:04:10,150 もう そんなに急がないの。 僕 先行くよ! 47 00:04:10,150 --> 00:04:16,156 ♪~ 48 00:04:18,158 --> 00:04:22,162 やめてください。 ご一緒する気はありませんので。 49 00:04:22,162 --> 00:04:24,331 ほら 一緒に行こうよ。 手を離してください。 50 00:04:24,331 --> 00:04:27,667 離さないなら反撃します。 あっ! 51 00:04:27,667 --> 00:04:32,172 やってみたら? 君の反撃なんて かわいいものだと思うけど。 52 00:04:35,675 --> 00:04:37,677 ダリヤ! 53 00:04:37,677 --> 00:04:42,849 ♪~ 54 00:04:42,849 --> 00:04:44,851 うわぁ! 55 00:04:44,851 --> 00:04:46,853 チッ 魔導師かよ! 56 00:04:46,853 --> 00:04:48,855 魔導具師ですよ。 57 00:04:48,855 --> 00:04:51,191 ご迷惑をおかけしてすみません。 58 00:04:51,191 --> 00:04:55,195 いやいや こっちこそ 止めてやれなくてごめんよ。 59 00:04:55,195 --> 00:04:57,864 アンタ かっこいいね! 60 00:04:57,864 --> 00:05:00,133 お二人様限定 試飲サービス。 61 00:05:00,133 --> 00:05:04,304 次からは そこの彼氏と一緒に 買いにおいで! 62 00:05:04,304 --> 00:05:06,973 えっ? ありがとうございます。 63 00:05:06,973 --> 00:05:09,309 次は友人と一緒に来ますね。 64 00:05:09,309 --> 00:05:11,311 俺が運ぶよ。 65 00:05:11,311 --> 00:05:13,813 おにいさん 頑張りなよ。 66 00:05:13,813 --> 00:05:16,817 あ… どうも。 67 00:05:16,817 --> 00:05:20,153 本当にごめん。 やっぱり俺が行くべきだった。 68 00:05:20,153 --> 00:05:22,155 気にしないでください。 69 00:05:22,155 --> 00:05:25,659 前からフリージングリングを試したいとは 思っていたので。 70 00:05:25,659 --> 00:05:28,328 すごい威力だったね。 71 00:05:28,328 --> 00:05:31,331 もしかしたら 剣にもフリージングだけなら➡ 72 00:05:31,331 --> 00:05:33,333 つけられるかもしれませんね。 73 00:05:33,333 --> 00:05:37,337 いいね。 帰りに武器屋で 短剣を調達するよ。 74 00:05:37,337 --> 00:05:39,339 一緒に行ってもいいですか? 75 00:05:39,339 --> 00:05:42,842 父には止められていたので 一度見てみたくて。 76 00:05:42,842 --> 00:05:45,679 意外だな。 君のお父さんなら➡ 77 00:05:45,679 --> 00:05:48,849 むしろ見学しておいでと 言いそうなイメージだった。 78 00:05:48,849 --> 00:05:52,018 学院の頃 スライムでやけどをしまして。 79 00:05:52,018 --> 00:05:55,021 ああ 防水布の開発のときだね。 80 00:05:55,021 --> 00:05:58,358 はい。 通常は ガラスベラで混ぜるんですが➡ 81 00:05:58,358 --> 00:06:00,293 ぼんやりしていて 直接➡ 82 00:06:00,293 --> 00:06:03,630 手で混ぜてしまったんです ブラックスライムを。 83 00:06:03,630 --> 00:06:08,301 ブラックスライムって。 まひ毒ですね。 84 00:06:08,301 --> 00:06:10,637 おかげで 痛みはなかったんですが➡ 85 00:06:10,637 --> 00:06:15,642 父がシーツで手をぐるぐる巻きにして そのまま神殿に…。 86 00:06:15,642 --> 00:06:19,813 なので 自分では やけどの具合は わからなかったんですが。 87 00:06:19,813 --> 00:06:22,482 ダリヤ それ 寄付金いくらかかった? 88 00:06:22,482 --> 00:06:25,986 えっと たしか 金貨2枚だったかと。 89 00:06:25,986 --> 00:06:27,988 それ やけどじゃない。 90 00:06:27,988 --> 00:06:30,991 その金額だと たぶん骨が見えてた。 えっ? 91 00:06:30,991 --> 00:06:34,327 大けがは見るだけで ショック死する人もいるから➡ 92 00:06:34,327 --> 00:06:37,497 君のお父さんは 傷口を見せなかったんだろう。 93 00:06:37,497 --> 00:06:40,834 騎士だってスライムで死ぬことはある。 94 00:06:40,834 --> 00:06:44,170 火と水と風 すべてに耐性を持つブラックスライムは➡ 95 00:06:44,170 --> 00:06:46,339 特に剥がしにくいから。 96 00:06:46,339 --> 00:06:49,843 なるほど ブラックスライムには そんな特性が…。 97 00:06:49,843 --> 00:06:52,679 ダリヤ 今はその話じゃない。 98 00:06:52,679 --> 00:06:56,516 すまない。 俺がムキになることじゃなかった。 99 00:06:56,516 --> 00:07:00,620 いえ しみじみと反省しています。 100 00:07:00,620 --> 00:07:03,623 ああ… 今やっとわかったよ。 101 00:07:03,623 --> 00:07:07,627 俺がスカーレットアーマーの話をしたときの 君の気持ちが。 102 00:07:10,130 --> 00:07:13,800 俺の場合 心配だと 口うるさくなるのか…。 103 00:07:13,800 --> 00:07:15,802 あ…。 104 00:07:15,802 --> 00:07:18,805 今は そんな危ないことは してないよね? 105 00:07:18,805 --> 00:07:21,007 してないです! 106 00:07:22,976 --> 00:07:25,312 どうぞ 今日のお礼です。 107 00:07:25,312 --> 00:07:28,648 なんで今まで 知らなかったんだろう。 108 00:07:28,648 --> 00:07:30,984 これ すごくすごくおいしい。 109 00:07:30,984 --> 00:07:33,820 チーズとワインとパンだけでできますよ。 110 00:07:33,820 --> 00:07:36,323 それなら野営でもできそうだ。 111 00:07:36,323 --> 00:07:38,658 遠征中は 何を食べているんですか? 112 00:07:38,658 --> 00:07:42,662 それなりに支給があって とても…。 113 00:07:42,662 --> 00:07:45,498 お皿 洗ってもらってすみません。 114 00:07:45,498 --> 00:07:48,501 いや 野営で慣れているから。 115 00:07:48,501 --> 00:07:51,338 門限とかは平気ですか? 116 00:07:51,338 --> 00:07:54,841 大丈夫なら もう一本開けますけど。 117 00:07:54,841 --> 00:08:00,113 規則は特にないけど 正直 もっと話したい俺と➡ 118 00:08:00,113 --> 00:08:05,118 帰らないと迷惑だという俺で 意見が2つに割れている。 119 00:08:05,118 --> 00:08:07,787 私のほうは かまいませんが…。 120 00:08:07,787 --> 00:08:10,623 部屋に入れてもらっておいて アレだけど➡ 121 00:08:10,623 --> 00:08:14,961 君は警戒心が足りないんじゃ…。 そんなことありませんよ。 122 00:08:14,961 --> 00:08:18,298 なんなら今からでも 縛るなり放り出すなりしてくれ。 123 00:08:18,298 --> 00:08:21,968 君は塔の中で 俺は外で窓を開けて話そう。 124 00:08:21,968 --> 00:08:24,304 どれだけ大声で話す気ですか。 125 00:08:24,304 --> 00:08:27,974 ゆっくり話せるなら どんな方法でもかまわないよ。 126 00:08:27,974 --> 00:08:30,977 それなら おとなしく ここにいてください。 127 00:08:30,977 --> 00:08:34,981 だけど やっぱり。 警戒心なら ちゃんとあります。 128 00:08:34,981 --> 00:08:38,818 でも ヴォルフは私を口説こうとか 思わないでしょう? 129 00:08:38,818 --> 00:08:41,821 思わない。 私も同じです。 130 00:08:41,821 --> 00:08:44,324 だから家に入れたんです。 131 00:08:44,324 --> 00:08:47,827 ごめん。 帰らなくていいって 言われたことを➡ 132 00:08:47,827 --> 00:08:51,331 素直に喜んでいいのか 実は少し迷った。 133 00:08:51,331 --> 00:08:53,333 私も謝ります。 134 00:08:53,333 --> 00:08:57,170 ないとは思いましたが 危険も考えはしたので。 135 00:08:57,170 --> 00:09:01,608 私 昔から 恋愛よりも魔導具に夢中で。 136 00:09:01,608 --> 00:09:04,444 もともと そういうの 向いていないみたいです。 137 00:09:04,444 --> 00:09:08,782 そうだったのか。 俺も同じだ。 じゃあ これからも➡ 138 00:09:08,782 --> 00:09:12,452 魔導具と魔剣のお話をする お友達でいませんか? 139 00:09:12,452 --> 00:09:14,454 ああ 喜んで。 140 00:09:14,454 --> 00:09:19,459 実は こんなふうに話せる女性は ダリヤが初めてなんだ。 141 00:09:19,459 --> 00:09:23,463 友人と呼べるのも僅かだし。 そうですか。 142 00:09:23,463 --> 00:09:26,800 貴族だと人づきあいも 慎重になりそうですよね。 143 00:09:26,800 --> 00:09:31,971 いや 俺の場合 女性がらみで 友情が破綻することが多くて。 144 00:09:31,971 --> 00:09:35,475 目立つ容姿だと いろいろと大変なんですね。 145 00:09:35,475 --> 00:09:38,978 友達の好きな女の子が 俺を好きだった。 146 00:09:38,978 --> 00:09:41,481 友情の破綻。 うっ。 147 00:09:41,481 --> 00:09:44,484 友達の彼女が俺を好きだと言う。 148 00:09:44,484 --> 00:09:47,153 友情の破綻。 うう…。 149 00:09:47,153 --> 00:09:50,824 婚約者がいるのに俺に迫ってきた 友達の妹。 150 00:09:50,824 --> 00:09:53,993 断ったら 俺に言い寄られたとウソを言う。 151 00:09:53,993 --> 00:09:56,663 友達は妹を信じて俺を殴る。 152 00:09:56,663 --> 00:09:58,665 友情の破綻。 153 00:09:58,665 --> 00:10:01,501 どれだけ破綻してるんですか…。 154 00:10:01,501 --> 00:10:06,339 今は夫に先立たれた前公爵夫人の 夜会の送迎をしているから➡ 155 00:10:06,339 --> 00:10:09,175 お互いに虫よけになっているけど。 156 00:10:09,175 --> 00:10:11,845 ご親戚ですか? いや。 157 00:10:11,845 --> 00:10:16,015 俺の母が騎士だったから 夫人の護衛をしていたんだ。 158 00:10:16,015 --> 00:10:19,018 その方は お友達と呼べるのでは? 159 00:10:19,018 --> 00:10:22,522 血はつながっていないけど 叔母というか…。 160 00:10:22,522 --> 00:10:25,024 貴族のことを教わる先生かな。 161 00:10:25,024 --> 00:10:27,627 本当に世話になってばかりだよ。 162 00:10:30,864 --> 00:10:33,700 そんなに自分の顔が 嫌いなんですか? 163 00:10:33,700 --> 00:10:36,202 ああ 大嫌いだ。 164 00:10:36,202 --> 00:10:39,873 神官に この目は 神の祝福だと言われたよ。 165 00:10:39,873 --> 00:10:43,209 金の目は人の好意を招くらしい。 166 00:10:43,209 --> 00:10:47,046 欲望の間違いだろうと思ったよ。 167 00:10:47,046 --> 00:10:51,050 その目 人から隠せるなら 隠したいですか? 168 00:10:51,050 --> 00:10:53,052 それはもちろん。 169 00:10:53,052 --> 00:10:55,889 ダリヤはなんだか 魔女のようなことを言うね。 170 00:10:55,889 --> 00:10:57,891 お酒を持ったままでいいので➡ 171 00:10:57,891 --> 00:10:59,893 ちょっと つきあってもらえますか? 172 00:10:59,893 --> 00:11:02,829 いったい何を? 173 00:11:02,829 --> 00:11:07,500 魔女ではなく魔導具師なので…。 174 00:11:07,500 --> 00:11:10,336 もしかしたら 少しだけ魔導具で➡ 175 00:11:10,336 --> 00:11:12,672 かなえてあげられるかも しれません。 176 00:11:12,672 --> 00:11:15,508 眼鏡? はい。 177 00:11:15,508 --> 00:11:19,512 この妖精結晶を付与してみます。 178 00:11:19,512 --> 00:11:23,516 妖精結晶って 今日 店で見たランプの? 179 00:11:23,516 --> 00:11:28,021 ええ。 妖精結晶には 認識阻害の力があるので➡ 180 00:11:28,021 --> 00:11:31,357 目に対する見え方を 変えられると思います。 181 00:11:31,357 --> 00:11:33,860 ありがたいけど 大変じゃないか? 182 00:11:33,860 --> 00:11:37,864 なので 失敗する確率のほうが 高いかと。 183 00:11:37,864 --> 00:11:41,201 つきあわせておいて 申し訳ないんですけど➡ 184 00:11:41,201 --> 00:11:43,202 実験だと思ってください。 185 00:11:43,202 --> 00:11:46,539 こちら側で見ていても いいだろうか? 186 00:11:46,539 --> 00:11:48,541 はい いいですよ。 187 00:11:50,543 --> 00:11:53,713 (深呼吸) 188 00:11:53,713 --> 00:11:55,715 始めます。 189 00:11:55,715 --> 00:12:03,990 ♪~ 190 00:12:03,990 --> 00:12:06,326 《結晶の向きが不ぞろいだと➡ 191 00:12:06,326 --> 00:12:11,331 レンズ両面に認識阻害がかかって 眼鏡としては使えない》 192 00:12:13,833 --> 00:12:18,171 ((カルロ:ダリヤ 素材と話しながら 魔法付与をするんだ。 193 00:12:18,171 --> 00:12:20,840 お話ししながら? ああ。 194 00:12:20,840 --> 00:12:25,011 欲しがっている場所へ 求められている角度で。 195 00:12:25,011 --> 00:12:29,182 そうすると まれに その魔導具や素材と➡ 196 00:12:29,182 --> 00:12:32,018 わかり合えることがある) 197 00:12:32,018 --> 00:12:35,855 何を願うの? 198 00:12:35,855 --> 00:12:40,693 《彼のために 彼の目を 目立たなくしてあげてほしい》 199 00:12:40,693 --> 00:12:43,029 なぜ あなたが願うの? 200 00:12:43,029 --> 00:12:45,031 きれいなのに隠すの? 201 00:12:45,031 --> 00:12:50,036 《欲望や悪意ある視線から 彼を守りたい》 202 00:12:52,538 --> 00:12:54,540 はっ! 203 00:12:54,540 --> 00:12:57,543 《彼が… ヴォルフが 笑顔でいられるよう➡ 204 00:12:57,543 --> 00:12:59,545 守ってほしい。 205 00:12:59,545 --> 00:13:03,149 私が ヴォルフに 傷ついてほしくない!》 206 00:13:03,149 --> 00:13:07,320 守ってあげる! あなたが虹へ送ってくれるなら。 207 00:13:07,320 --> 00:13:10,323 (妖精たちの笑い声) 208 00:13:12,825 --> 00:13:18,998 (オオカミの息遣い) 209 00:13:18,998 --> 00:13:21,167 (妖精たちの悲鳴) 210 00:13:21,167 --> 00:13:24,570 はっ! ハァ ハァ ハァ…。 211 00:13:27,173 --> 00:13:29,175 うっ! 212 00:13:29,175 --> 00:13:31,177 うっ! ダリヤ! 213 00:13:31,177 --> 00:13:33,513 ハァ ハァ…。 一度休んだほうが…。 214 00:13:33,513 --> 00:13:35,515 静かに! 215 00:13:38,518 --> 00:13:41,854 《成功… した? 216 00:13:41,854 --> 00:13:45,191 集中力が続くうちに もう一枚!》 217 00:13:45,191 --> 00:14:01,207 ♪~ 218 00:14:06,479 --> 00:14:09,315 ハァ… よし。 219 00:14:09,315 --> 00:14:12,819 ハァ… ヴォルフ。 220 00:14:12,819 --> 00:14:14,821 つけてみてください。 221 00:14:16,823 --> 00:14:20,493 ああ はっきり見える。 まぶしくもないよ。 222 00:14:20,493 --> 00:14:24,163 では 鏡を見てください。 223 00:14:24,163 --> 00:14:27,166 どうです? これって? 224 00:14:27,166 --> 00:14:31,838 すみません うちの父の目のイメージが 少し入ってます。 225 00:14:31,838 --> 00:14:36,509 あの それならフードなしで 街を歩けるでしょうか? 226 00:14:36,509 --> 00:14:40,012 歩けると… 思う。 227 00:14:40,012 --> 00:14:42,348 ありがとう。 228 00:14:42,348 --> 00:14:44,684 これを正当な価格で 俺に売ってほしい。 229 00:14:44,684 --> 00:14:46,686 いくらでもかまわない。 230 00:14:46,686 --> 00:14:50,523 いえ それは試作品で 材料も残り物なので。 231 00:14:50,523 --> 00:14:52,625 頭を上げてください。 232 00:14:54,694 --> 00:14:57,029 新しく作るなら いくらかかる? 233 00:14:57,029 --> 00:15:02,135 元の眼鏡とガラス 加工賃で 大銀貨3枚ほどでしょうか。 234 00:15:02,135 --> 00:15:06,305 ただ 妖精結晶が金貨3枚でして。 235 00:15:06,305 --> 00:15:08,641 わかった すぐに用意する。 236 00:15:08,641 --> 00:15:11,477 いえ だから それは試作品で! 237 00:15:11,477 --> 00:15:15,314 あっ! 予備に もう一本あるほうがいいですか? 238 00:15:15,314 --> 00:15:17,483 あれば うれしいとは思う。 239 00:15:17,483 --> 00:15:21,320 でも もうあんな無理は してほしくないよ。 240 00:15:21,320 --> 00:15:23,656 同じ魔物と戦うなら➡ 241 00:15:23,656 --> 00:15:26,325 2度目のほうが うまく戦えませんか? 242 00:15:26,325 --> 00:15:30,329 そうだね。 魔導具作りも同じです。 243 00:15:30,329 --> 00:15:35,168 それに 討伐と違って 失敗しても気絶するだけなので。 244 00:15:35,168 --> 00:15:39,005 《魔力は カラに近いけど》 245 00:15:39,005 --> 00:15:42,175 成功したんです。 乾杯しましょう! 246 00:15:42,175 --> 00:15:44,177 ああ! 247 00:15:44,177 --> 00:15:52,351 (にぎわい) 248 00:15:52,351 --> 00:15:56,556 《やっと 王都の一部になれたみたいだ》 249 00:16:03,462 --> 00:16:05,965 《しぜんと ここに来てしまった》 250 00:16:12,305 --> 00:16:14,473 ((逃がすな! 油断するな!) 251 00:16:14,473 --> 00:16:16,976 (衝撃音) 252 00:16:16,976 --> 00:16:22,315 《母は身内と幼い俺を守るために 飛び出して戦い…。 253 00:16:22,315 --> 00:16:25,818 死んだ…。 254 00:16:25,818 --> 00:16:29,322 母を亡くし 不安定なまま成長するにつれ➡ 255 00:16:29,322 --> 00:16:31,991 周囲の視線は変わっていき➡ 256 00:16:31,991 --> 00:16:34,327 振り切るように剣に励んで➡ 257 00:16:34,327 --> 00:16:38,831 最も家柄を問わない 魔物討伐部隊に入ってからは➡ 258 00:16:38,831 --> 00:16:41,334 少しだけ楽になった。 259 00:16:41,334 --> 00:16:45,671 それなりにつきあい それなりに生きる日々の中で➡ 260 00:16:45,671 --> 00:16:50,576 今でも呪いのように 祈りのように 夢に見ることがある》 261 00:16:53,846 --> 00:16:55,848 《魔剣があれば➡ 262 00:16:55,848 --> 00:16:59,018 夢の中の あの日の母を 救えるのだろうか。 263 00:16:59,018 --> 00:17:02,121 母の優れた魔力ではなく➡ 264 00:17:02,121 --> 00:17:05,524 容姿しか受け継がなかった 自分でも…》 265 00:17:08,961 --> 00:17:11,964 ダリヤは すごいな。 266 00:17:13,966 --> 00:17:19,138 《たった3度会っただけで 自分の世界を変えてくれた。 267 00:17:19,138 --> 00:17:22,975 化粧がはがれ 汗まみれの真摯な職人の顔は➡ 268 00:17:22,975 --> 00:17:25,144 何よりも美しかった。 269 00:17:25,144 --> 00:17:27,980 でも これは恋じゃない。 270 00:17:27,980 --> 00:17:30,483 彼女も それを望んでいない。 271 00:17:30,483 --> 00:17:33,152 ただ友愛と尊敬をもって➡ 272 00:17:33,152 --> 00:17:37,323 一人の友として 彼女の隣にありたい。 273 00:17:37,323 --> 00:17:42,328 そのためにも 俺は俺にできることをしよう》 274 00:17:42,328 --> 00:17:44,997 (イレネオ)話は一とおり聞いた。 275 00:17:44,997 --> 00:17:48,167 俺の留守中にやってくれたな。 276 00:17:48,167 --> 00:17:51,003 (トビアス)すまない。 (イレネオ)トビアス➡ 277 00:17:51,003 --> 00:17:53,172 ダリヤの何が不満だった? 278 00:17:53,172 --> 00:17:57,510 俺にはエミリヤが…。 女の好みなら しかたない。 279 00:17:57,510 --> 00:18:00,780 だが 貴族との縁は 期待できないぞ。 280 00:18:00,780 --> 00:18:02,782 どういうことだ? 281 00:18:02,782 --> 00:18:09,455 エミリヤは タリーニ子爵家の先代の弟と そのメイドとの子どもだ。 282 00:18:09,455 --> 00:18:15,294 子爵家は 当時 結構な額を支払い 正式に縁切りをしている。 283 00:18:15,294 --> 00:18:17,496 これが証拠だ。 284 00:18:20,967 --> 00:18:23,636 俺はそれでいい。 エミリヤはエミリヤだ。 285 00:18:23,636 --> 00:18:27,139 お前がいいならかまわない。 だが➡ 286 00:18:27,139 --> 00:18:29,308 貴族を軽く見るな。 287 00:18:29,308 --> 00:18:33,312 お家騒動にでも巻き込まれたら うちの商会は終わりだ。 288 00:18:33,312 --> 00:18:35,648 なっ… そんな大げさな。 289 00:18:35,648 --> 00:18:38,818 なぜ 父さんとカルロが お前とダリヤに➡ 290 00:18:38,818 --> 00:18:42,154 結婚を勧めたか聞いてるか? いや…。 291 00:18:42,154 --> 00:18:45,658 この際だ 酷なようだが教えておく。 292 00:18:45,658 --> 00:18:47,994 お前たちの婚約は➡ 293 00:18:47,994 --> 00:18:51,330 父さんがお前のために カルロに頼み込んだんだ。 294 00:18:51,330 --> 00:18:56,168 魔導具師のお前を助けられるヤツが うちにはいないからな。 295 00:18:56,168 --> 00:19:00,272 そんな… でも それなら師匠はどうして? 296 00:19:00,272 --> 00:19:04,944 カルロも打算だ。 身寄りのない 有能な魔導具師なんて➡ 297 00:19:04,944 --> 00:19:07,279 危ない手合いから狙われかねん。 298 00:19:07,279 --> 00:19:13,119 目立たないよう 2人まとめて うちの商会で守る算段だった。 299 00:19:13,119 --> 00:19:15,788 それじゃあ 俺はまるで➡ 300 00:19:15,788 --> 00:19:18,124 魔導具師ダリヤのための 「めくらまし」じゃないか! 301 00:19:18,124 --> 00:19:20,126 俺じゃなくても 誰でも…。 302 00:19:20,126 --> 00:19:22,628 カルロはよく言っていた。 303 00:19:22,628 --> 00:19:27,633 ((トビアスは真面目だな。 丁寧で いい仕事だ。 304 00:19:27,633 --> 00:19:32,471 商家生まれなのに 努力で魔導具師になっただけある。 305 00:19:32,471 --> 00:19:35,641 俺よりいい魔導具師になるぞ。 306 00:19:35,641 --> 00:19:39,645 アイツらがどんなものを作るのか 楽しみだ) 307 00:19:39,645 --> 00:19:43,983 お前とダリヤには 魔導具師として肩を並べ➡ 308 00:19:43,983 --> 00:19:46,485 支え合って暮らしてほしいと。 309 00:19:46,485 --> 00:19:49,155 なんで俺には…。 310 00:19:49,155 --> 00:19:51,991 父さんも師匠も 何も言わなかったじゃないか。 311 00:19:51,991 --> 00:19:57,663 話したらお前は 意地でも ダリヤと結婚しなかっただろう。 312 00:19:57,663 --> 00:20:00,332 止められなかった俺も加害者だ。 313 00:20:00,332 --> 00:20:03,669 だから 約束をほごにした責任は➡ 314 00:20:03,669 --> 00:20:06,839 一緒に背負おう。 ううっ…。 315 00:20:06,839 --> 00:20:09,842 (ノック) 316 00:20:09,842 --> 00:20:11,844 いきなり来てすまない。 317 00:20:11,844 --> 00:20:15,848 昨日の眼鏡の支払いと これを早く届けたくて。 318 00:20:17,850 --> 00:20:21,353 「ダリヤ・ロセッティを対等なる友人とし➡ 319 00:20:21,353 --> 00:20:25,524 自由な発言を許し 一切の不敬を問わない」。 320 00:20:25,524 --> 00:20:28,360 まさか本当に作るとは…。 321 00:20:28,360 --> 00:20:30,362 いろいろ考えて➡ 322 00:20:30,362 --> 00:20:33,365 きちんと公証人に頼んだほうが いいと思ったから➡ 323 00:20:33,365 --> 00:20:36,535 ドミニクさんに相談して 書いてもらったんだ。 324 00:20:36,535 --> 00:20:38,537 ありがとうございます。 325 00:20:38,537 --> 00:20:41,540 それは こっちのせりふだよ。 326 00:20:41,540 --> 00:20:45,544 ダリヤ 本当に心からありがとう。 327 00:20:45,544 --> 00:20:50,216 王城からここまで 誰の視線も感じなかった。 328 00:20:50,216 --> 00:20:54,553 名前を聞かれることも 敵意を向けられることもなく➡ 329 00:20:54,553 --> 00:20:56,555 初めて自由に歩けた。 330 00:20:56,555 --> 00:20:58,557 よかったです。 331 00:20:58,557 --> 00:21:02,495 そうだ 立ち話もなんですし お茶でもいかがですか? 332 00:21:02,495 --> 00:21:05,498 いや その格好 まだ仕事中だよね。 333 00:21:05,498 --> 00:21:08,667 邪魔したくないから また今度来るよ。 334 00:21:08,667 --> 00:21:12,671 わかりました。 フッ。 335 00:21:12,671 --> 00:21:14,673 あっ。 336 00:21:17,176 --> 00:21:21,580 じゃあ… 次は短剣の付与をしましょうか。 337 00:21:23,682 --> 00:21:26,185 ああ すごく楽しみだ! 338 00:21:31,690 --> 00:21:35,694 《「魔導具師なんて」と バカにされることがある。 339 00:21:35,694 --> 00:21:39,031 魔導師のような 派手な魔法は使えないし➡ 340 00:21:39,031 --> 00:21:44,870 錬金術師のように 希少金属や 回復薬が作れるわけでもない。 341 00:21:44,870 --> 00:21:48,707 開発は手探りだし いい魔導具を作っても➡ 342 00:21:48,707 --> 00:21:51,377 必要とされるとはかぎらない。 343 00:21:51,377 --> 00:21:56,882 それでも自分の作った魔導具が 少しでも誰かの役に立ち➡ 344 00:21:56,882 --> 00:21:58,884 笑顔につながる。 345 00:21:58,884 --> 00:22:02,822 そんな瞬間を見るのは 癖になるほど楽しい。 346 00:22:02,822 --> 00:22:06,992 これだから 自分は魔導具師をやめられない。 347 00:22:06,992 --> 00:22:09,328 そう思える日があるのだ。 348 00:22:09,328 --> 00:22:13,132 今日が その日だった》