1 00:00:03,328 --> 00:00:06,331 水斗:この前のペナルティを行使する。 2 00:00:06,331 --> 00:00:10,001 明日 僕とデートしろ 3 00:00:10,001 --> 00:00:13,671 《結女:まったく 何を たくらんでいるのやら》 4 00:00:13,671 --> 00:00:15,840 はぁ…。 《というか 5 00:00:15,840 --> 00:00:17,842 こうしてデートすること自体 6 00:00:17,842 --> 00:00:21,012 ルールに 抵触する気もするんだけど…。 7 00:00:21,012 --> 00:00:24,182 いや 仲のいいきょうだいなら 休みの日に 8 00:00:24,182 --> 00:00:28,186 二人で 遊びに行くくらいする わよね? 9 00:00:28,186 --> 00:00:32,023 わざわざ家の外で 待ち合わせたりもする はず…。 10 00:00:32,023 --> 00:00:37,529 そう これは 義理のきょうだい活動の一環よ》 11 00:00:37,529 --> 00:00:40,198 すまん ちょっと遅れた。 12 00:00:40,198 --> 00:00:42,298 んっ。 13 00:00:48,039 --> 00:00:52,143 んっ? 伊理戸水斗 よね? 14 00:00:52,143 --> 00:00:54,646 私の義弟の。 15 00:00:54,646 --> 00:00:59,317 伊理戸水斗だ 君の義兄の。 16 00:00:59,317 --> 00:01:01,486 ん…。 17 00:01:01,486 --> 00:01:04,322 《かっ かかかか…。 18 00:01:04,322 --> 00:01:07,022 かっこいい~っ!》 19 00:02:51,296 --> 00:02:53,298 (にぎやかな声) 20 00:02:53,298 --> 00:02:55,300 結構並んでいるな。 21 00:02:55,300 --> 00:02:57,302 そうね。 22 00:02:57,302 --> 00:03:00,305 まあでも そんなに かからないんじゃない? 23 00:03:00,305 --> 00:03:03,808 《すごく カップルっぽい…。 24 00:03:03,808 --> 00:03:08,813 水族館なんて カップルとファミリーしか 行かないような場所じゃないの。 25 00:03:08,813 --> 00:03:13,818 この男 どうしてこんなところに? デートでもあるまいし…。 26 00:03:13,818 --> 00:03:17,818 あ いや デート なんだっけ…》 27 00:03:21,492 --> 00:03:23,995 はっ! 《ヤバい! 28 00:03:23,995 --> 00:03:27,999 なにこの 知的系かつワケあり系好青年。 29 00:03:27,999 --> 00:03:32,170 ヤバい 私の妄想が具現化しちゃった! 30 00:03:32,170 --> 00:03:34,172 ヤバい…。 31 00:03:34,172 --> 00:03:36,174 ヤバい ヤバい…。 32 00:03:36,174 --> 00:03:39,344 ヤバい ヤバい ヤバい…。 33 00:03:39,344 --> 00:03:43,514 だ ダメよ… ニヤけちゃダメ…》 34 00:03:43,514 --> 00:03:47,518 お~い チケット買えたぞ。 35 00:03:47,518 --> 00:03:49,520 はっ そう。 36 00:03:49,520 --> 00:03:51,456 じゃあ さっさと入りましょう。 37 00:03:51,456 --> 00:03:53,791 そうだな。 はっ! 38 00:03:53,791 --> 00:04:00,131 《はわ~!? 手 手 手を に ににぎっ 握ってる~!》 39 00:04:00,131 --> 00:04:02,800 (暁月)へぇ~ 仲のいい二人だね。 40 00:04:02,800 --> 00:04:05,136 (川波)おい あんま見るなよ。 41 00:04:05,136 --> 00:04:08,806 《大丈夫 仲はよくないけど…。 42 00:04:08,806 --> 00:04:10,806 もっと見て!》 43 00:04:16,647 --> 00:04:20,485 (川波)フン。 (暁月)ん…。 44 00:04:20,485 --> 00:04:23,154 はぁ…。 45 00:04:23,154 --> 00:04:25,323 いいか 伊理戸。 46 00:04:25,323 --> 00:04:27,325 今日のデートの目的は 47 00:04:27,325 --> 00:04:30,495 あの 世にも珍しき 陽キャメンヘラ女 48 00:04:30,495 --> 00:04:35,166 南暁月に 伊理戸さんを諦めさせることだ。 49 00:04:35,166 --> 00:04:40,671 入学直後の 伊理戸結女ブラコン宣言を 本物にするのさ。 50 00:04:40,671 --> 00:04:44,342 伊理戸さんの興味が アンタにしかねえってわかれば 51 00:04:44,342 --> 00:04:48,679 ヤツの にわか家族願望なんて 吹っ飛ぶはずだぜ。 52 00:04:48,679 --> 00:04:52,617 あの女なら アンタと伊理戸さんが デートすると聞きゃ 53 00:04:52,617 --> 00:04:54,786 絶対に覗き見する。 54 00:04:54,786 --> 00:04:57,455 そのチャンスを逃すな。 55 00:04:57,455 --> 00:05:00,458 アンタは伊理戸さんをメロッメロにして 56 00:05:00,458 --> 00:05:04,295 ラブッラブんとこを見せつけて 南のハートを…。 57 00:05:04,295 --> 00:05:07,632 バッキバキにするんだ。 (パイが割れる音) 58 00:05:07,632 --> 00:05:10,632 食うか? 遠慮しておく 59 00:05:14,138 --> 00:05:19,143 (客たちの声) 60 00:05:19,143 --> 00:05:21,145 はぁ…。 61 00:05:21,145 --> 00:05:25,149 《理屈はわかる が…。 62 00:05:25,149 --> 00:05:28,152 南さんのことを話せない以上 63 00:05:28,152 --> 00:05:31,489 この女に 事情は 説明できないってことだ。 64 00:05:31,489 --> 00:05:35,159 僕は 蜜月を極めた末に別れた彼女を 65 00:05:35,159 --> 00:05:39,497 今一度 口説き落とす ダメ男にならなきゃいけない…。 66 00:05:39,497 --> 00:05:42,166 はぁ… 気が重い》 67 00:05:42,166 --> 00:05:46,003 いいか? 伊理戸。 これだけは怠るな。 68 00:05:46,003 --> 00:05:50,303 女子の服は必ず褒めろ 必ずだ 69 00:05:52,777 --> 00:05:56,948 《ターゲットの所在も知れて 身も引き締まったところだ。 70 00:05:56,948 --> 00:05:59,116 ここらで一度 ぶちかまして 71 00:05:59,116 --> 00:06:01,916 南さんへの 攻撃とするのも悪くない》 72 00:06:03,955 --> 00:06:07,655 《というか コイツ今日 すんごい気合い入れてないか?》 73 00:06:09,794 --> 00:06:11,796 ん… ねぇ。 74 00:06:11,796 --> 00:06:13,798 な なんだ? 75 00:06:13,798 --> 00:06:17,468 この水槽が一番大きくて 人気なんだって。 76 00:06:17,468 --> 00:06:21,639 あ ああ… 確かにでかいな。 77 00:06:21,639 --> 00:06:24,308 《くそ… 調子が狂う。 78 00:06:24,308 --> 00:06:26,811 慣れないことを させられているせいだ。 79 00:06:26,811 --> 00:06:29,313 つまり 川波のせいだ》 80 00:06:29,313 --> 00:06:31,816 川波:これだけは怠るな。 81 00:06:31,816 --> 00:06:36,016 女子の服は必ずほめろ 必ずだ 82 00:06:37,989 --> 00:06:40,491 今日は…。 んっ? 83 00:06:40,491 --> 00:06:44,495 ずいぶんと… かわいいな。 84 00:06:44,495 --> 00:06:46,497 《み ミスった。 85 00:06:46,497 --> 00:06:49,333 いつもの調子で つい 言葉選びが…。 86 00:06:49,333 --> 00:06:51,269 これはまずい!》 87 00:06:51,269 --> 00:06:54,605 あ… ありがと…。 88 00:06:54,605 --> 00:06:56,774 《はっ? 89 00:06:56,774 --> 00:06:59,443 おい おいおいおいおい。 90 00:06:59,443 --> 00:07:03,114 それが仮にも 彼氏が いたことのある女の反応かよ? 91 00:07:03,114 --> 00:07:05,950 まるで 初恋中の中学生だぞ。 92 00:07:05,950 --> 00:07:07,952 いいかげん 少しはアカ抜けろよ。 93 00:07:07,952 --> 00:07:10,788 高校デビューさん! 94 00:07:10,788 --> 00:07:16,627 どれ… 不肖この僕が 手本を見せてやろうじゃないか》 95 00:07:16,627 --> 00:07:18,627 ん…。 96 00:07:21,465 --> 00:07:24,802 お おう…。 97 00:07:24,802 --> 00:07:26,804 (暁月)ん…。 98 00:07:26,804 --> 00:07:29,974 なっ? 完全にいい感じだろ あの二人。 99 00:07:29,974 --> 00:07:31,976 そう? 100 00:07:31,976 --> 00:07:36,981 (楽しげな声) 101 00:07:36,981 --> 00:07:45,181 ~ 102 00:07:47,325 --> 00:07:49,327 えっ。 103 00:07:49,327 --> 00:07:51,596 わ~ お魚さん! すみません。 104 00:07:51,596 --> 00:07:53,598 ぶつからなかったか? 105 00:07:53,598 --> 00:07:55,933 《ちょ 顔近い! 106 00:07:55,933 --> 00:07:57,935 いい匂いするっ! 107 00:07:57,935 --> 00:08:00,938 ああ もう! なんなの今日のこの男は! 108 00:08:00,938 --> 00:08:03,774 すごい紳士! 優しい! 109 00:08:03,774 --> 00:08:08,446 一挙手一投足が 私のツボを刺激する!》 110 00:08:08,446 --> 00:08:12,283 はっ! いつまで肩を抱いてるつもり? 111 00:08:12,283 --> 00:08:14,952 あっ ああ 悪い。 112 00:08:14,952 --> 00:08:17,288 人が多いから はぐれるなよ。 113 00:08:17,288 --> 00:08:20,791 そんなこと いちいち 言われなくてもわかってるわよ。 114 00:08:20,791 --> 00:08:23,294 子どもじゃないんだから。 115 00:08:23,294 --> 00:08:25,296 そうだな。 116 00:08:25,296 --> 00:08:27,298 《あ あれ? 117 00:08:27,298 --> 00:08:31,802 今 私 なかなかトゲトゲしい態度を とったと思うんだけど。 118 00:08:31,802 --> 00:08:34,639 皮肉は? 嫌みは? 119 00:08:34,639 --> 00:08:38,139 いつもの憎たらしい嘲笑は どこに忘れてきたの?》 120 00:08:40,478 --> 00:08:44,315 《水槽を眺めていたら 横顔をにらまれ 121 00:08:44,315 --> 00:08:47,818 他の客に ぶつかりそうなところを 助けてみれば 122 00:08:47,818 --> 00:08:50,254 力の入った目で にらまれる。 123 00:08:50,254 --> 00:08:55,593 そして今も… にらまれている。 124 00:08:55,593 --> 00:08:58,693 デートって 難しい》 125 00:09:01,766 --> 00:09:04,435 (川波)ブヒヒヒッ! 126 00:09:04,435 --> 00:09:07,271 出荷するぞ。 (川波)ブヒッ フガフガッ! 127 00:09:07,271 --> 00:09:11,442 助けろ川波 空気 最悪すぎるだろ これ。 128 00:09:11,442 --> 00:09:15,112 (川波)へぇ~ そっちからは そう見えてるわけ? 129 00:09:15,112 --> 00:09:18,282 見えてるも何も そうだろうが。 130 00:09:18,282 --> 00:09:22,119 まあ 俺から言えることは一つだけだ。 131 00:09:22,119 --> 00:09:25,790 前線の判断に任せることとする。 132 00:09:25,790 --> 00:09:29,960 おい 丸投げはやめろ 役目を果たせ 司令官! 133 00:09:29,960 --> 00:09:32,160 (川波)ブッヒヒヒヒ! 134 00:09:34,465 --> 00:09:37,968 《経緯はどうあれ 僕が言い出したことだ。 135 00:09:37,968 --> 00:09:41,472 勝手にデートを 打ち切るようなマネはすまい》 136 00:09:41,472 --> 00:09:43,974 はぁ…。 《だが 137 00:09:43,974 --> 00:09:47,978 危険人物を友達にしたのは あの女の責任だ。 138 00:09:47,978 --> 00:09:50,314 恋人でもないヤツのために 139 00:09:50,314 --> 00:09:53,014 なんで僕が ここまで 苦労しなきゃならない?》 140 00:09:56,320 --> 00:09:59,657 《誤算は三つある。 141 00:09:59,657 --> 00:10:02,159 まず 女子トイレに 待つ気にもなれないほどの 142 00:10:02,159 --> 00:10:04,328 長蛇の列ができていたため 143 00:10:04,328 --> 00:10:08,499 他のトイレを探したが そこが思ったより遠かったこと。 144 00:10:08,499 --> 00:10:13,003 更に館内が 思ったより複雑だったこと。 145 00:10:13,003 --> 00:10:17,508 最後に 私は地図を読むのが 苦手だったこと。 146 00:10:17,508 --> 00:10:22,847 そういうわけで 認めがたいことに 迷子である。 147 00:10:22,847 --> 00:10:27,351 あぁ~! なんで私はこうなるの!》 148 00:10:27,351 --> 00:10:29,353 あっ。 149 00:10:36,527 --> 00:10:41,866 もしもし…。 もしもし 君 どこにいるんだ? 150 00:10:41,866 --> 00:10:45,870 あ… 空の下。 151 00:10:45,870 --> 00:10:47,872 あ~。 152 00:10:47,872 --> 00:10:51,642 あ… ご ごめんなさい。 153 00:10:51,642 --> 00:10:53,978 《絶対 嫌みの雨が降る。 154 00:10:53,978 --> 00:10:57,148 ここぞとばかりに 人格攻撃の嵐を起こす 155 00:10:57,148 --> 00:10:59,650 あの男の顔が目に浮かぶ。 156 00:10:59,650 --> 00:11:03,821 でも これに関しては 言い訳の余地がない…》 157 00:11:03,821 --> 00:11:08,325 いや 君が悪いわけじゃない。 158 00:11:08,325 --> 00:11:10,828 注意しなかった僕も悪かった。 159 00:11:10,828 --> 00:11:13,330 君は動かなくていい。 160 00:11:13,330 --> 00:11:15,330 迎えにいくから そこで待っ…。 変…。 161 00:11:17,334 --> 00:11:19,336 そういうのじゃない。 162 00:11:19,336 --> 00:11:21,338 えっ。 163 00:11:21,338 --> 00:11:23,538 (不通音) 164 00:11:26,177 --> 00:11:28,512 なんだよ…。 165 00:11:28,512 --> 00:11:31,312 そういうのじゃないって…。 166 00:11:35,686 --> 00:11:37,688 はぁ…。 167 00:11:37,688 --> 00:11:40,191 なんであんなこと…。 168 00:11:40,191 --> 00:11:43,194 《今日のアイツは すごくいい感じだった。 169 00:11:43,194 --> 00:11:46,197 かっこよくて紳士的で優しかった。 170 00:11:46,197 --> 00:11:48,365 嫌みの雨より ずっといい。 171 00:11:48,365 --> 00:11:50,968 皮肉の嵐より ずっといい。 172 00:11:50,968 --> 00:11:53,971 いつもの うっとうしくて いまいましい いがみ合いより 173 00:11:53,971 --> 00:11:56,140 何億倍も心地いい。 174 00:11:56,140 --> 00:11:58,142 なのに…。 175 00:11:58,142 --> 00:12:02,479 私 いったい 何がしたいんだろう…。 176 00:12:02,479 --> 00:12:05,816 こんなふうに また 迷惑までかけて…》 177 00:12:05,816 --> 00:12:10,321 <今となっては若気の至りとしか 言いようがないけれど 178 00:12:10,321 --> 00:12:13,824 私には中学二年から 中学三年にかけて 179 00:12:13,824 --> 00:12:18,495 いわゆる彼氏というものが 存在したことがある。 180 00:12:18,495 --> 00:12:21,498 その男と 正式に付き合い始める前 181 00:12:21,498 --> 00:12:25,669 まだ学校の図書室で 話すだけの間柄だったとき 182 00:12:25,669 --> 00:12:28,172 私はありったけの勇気を出し 183 00:12:28,172 --> 00:12:31,842 人生で初めてのデートに誘った。 184 00:12:31,842 --> 00:12:37,514 一緒に訪れた 地元の夏祭りは 予想以上のすさまじい人出で 185 00:12:37,514 --> 00:12:40,517 私は はぐれてしまった。 186 00:12:40,517 --> 00:12:43,687 人生初デートで この醜態。 187 00:12:43,687 --> 00:12:47,024 刻一刻と無駄になる時間。 188 00:12:47,024 --> 00:12:50,794 鼻緒ずれで拷問器具と化した下駄。 189 00:12:50,794 --> 00:12:54,798 今世紀で最高の死にたさだった。 190 00:12:54,798 --> 00:12:57,468 グズグズと鼻水をすすりながら 191 00:12:57,468 --> 00:13:00,471 電話越しに ひたすら謝り倒す私に 192 00:13:00,471 --> 00:13:05,309 「いいからそこで待ってて」と告げ 彼は通話を切った。 193 00:13:05,309 --> 00:13:09,647 何をしても ドン臭くて 要領が悪くて うまくいかない。 194 00:13:09,647 --> 00:13:13,317 そんな自分のことが嫌いだった。 195 00:13:13,317 --> 00:13:16,654 せめて誰にも迷惑をかけずに 生きたかった。 196 00:13:16,654 --> 00:13:21,492 せめて好きな人くらいには 迷惑だと思われたくなかった。 197 00:13:21,492 --> 00:13:25,162 なのに欲をかいて 舞い上がって 調子に乗って 198 00:13:25,162 --> 00:13:28,666 結局がこれだ。 199 00:13:28,666 --> 00:13:32,836 こんな私は 消えてしまったほうが 世界のためになる。 200 00:13:32,836 --> 00:13:34,838 そう思ったとき 201 00:13:34,838 --> 00:13:39,510 目の前に 一本の缶ジュースが差し出され 202 00:13:39,510 --> 00:13:44,014 あの男はこう言った> 203 00:13:44,014 --> 00:13:46,016 あのな 綾井。 204 00:13:46,016 --> 00:13:48,185 僕は今 人ごみの中 205 00:13:48,185 --> 00:13:51,622 君を探し回ったおかげで 正直クタクタだ。 206 00:13:51,622 --> 00:13:54,792 その上 スマホ越しに 延々 泣き言を聞かされて 207 00:13:54,792 --> 00:13:57,127 精神まで疲弊した。 208 00:13:57,127 --> 00:14:02,967 でもな それで幻滅するほど 僕は君を知らないわけじゃない。 209 00:14:02,967 --> 00:14:06,971 君がドン臭くて 要領の悪いヤツ だってことくらい 知ってるよ。 210 00:14:06,971 --> 00:14:10,140 迷子になりやすいっていうのも 今日 知った。 211 00:14:10,140 --> 00:14:14,478 承知の上で今 僕はここにいる。 212 00:14:14,478 --> 00:14:16,814 だから おびえなくていい。 213 00:14:16,814 --> 00:14:19,149 僕にだったら… 214 00:14:19,149 --> 00:14:21,449 (風の音) 215 00:14:25,489 --> 00:14:27,489 帰ろう…。 216 00:14:29,493 --> 00:14:31,793 んっ。 217 00:14:37,167 --> 00:14:40,504 は…。 だから おびえなくていい。 218 00:14:40,504 --> 00:14:46,004 僕にだったら… いくらでも迷惑をかけてくれ 219 00:15:00,791 --> 00:15:03,961 お迎えにあがりました お嬢様。 220 00:15:03,961 --> 00:15:08,799 方向感覚をご修理されたほうが よろしいのでは? 221 00:15:08,799 --> 00:15:11,635 あ…。 222 00:15:11,635 --> 00:15:16,140 何それ あなたって ほんと信じられないセンスね。 223 00:15:16,140 --> 00:15:18,142 何だと 貴様。 224 00:15:18,142 --> 00:15:21,645 よし わかった。 ビブリオバトルで勝負だ。 225 00:15:21,645 --> 00:15:24,815 表に出ろ。 じゃあ 先行 私。 226 00:15:24,815 --> 00:15:27,985 坂口安吾『不連続殺人事件』。 227 00:15:27,985 --> 00:15:32,156 じゃ 後攻 僕。 森鴎外『舞姫』。 228 00:15:32,156 --> 00:15:35,993 豊太郎とかいう クズのことを 私に思い出させないで。 229 00:15:35,993 --> 00:15:39,997 『不連続殺人事件』も クズの大名行列だろうが。 230 00:15:39,997 --> 00:15:41,999 だいたい死ぬからいいの! 231 00:15:41,999 --> 00:15:44,001 ほほう? じゃあ何か? 232 00:15:44,001 --> 00:15:47,004 なんか… 楽しそう。 233 00:15:47,004 --> 00:15:50,774 ~ 234 00:15:50,774 --> 00:15:53,944 この水槽 死体が流れてきそうじゃない? 235 00:15:53,944 --> 00:15:57,281 入院したほうが いいんじゃないか ミステリ脳。 236 00:15:57,281 --> 00:16:00,784 何よ それじゃあ あなたは思わないわけ? 237 00:16:00,784 --> 00:16:04,621 優雅かつ幻想的に泳ぐ くらげの間に 238 00:16:04,621 --> 00:16:08,125 ポツリポツリと死体のカケラを たゆたわせたら 239 00:16:08,125 --> 00:16:11,462 おもしろい事件に なりそうだなって。 240 00:16:11,462 --> 00:16:15,132 そんな物騒なこと 夢にも思ったことないぞ。 241 00:16:15,132 --> 00:16:19,970 妄想するとしても せいぜい 「鴨川に人食いザメが出現して 242 00:16:19,970 --> 00:16:25,309 等間隔に座るカップルを 次々と 食い殺していく」くらいだろう。 243 00:16:25,309 --> 00:16:27,644 そっちの方が物騒でしょ。 244 00:16:27,644 --> 00:16:31,648 だいたい あんな浅い川で サメなんか泳げるはずないじゃない。 245 00:16:31,648 --> 00:16:35,152 サメには 無限の能力があるからいいんだよ。 246 00:16:35,152 --> 00:16:37,654 ないわよ たかが魚類に! 247 00:16:37,654 --> 00:16:40,824 いいだろう だったら確かめに行こう。 248 00:16:40,824 --> 00:16:43,994 貴様はサメが持つ 無限のパワーに戦慄し 249 00:16:43,994 --> 00:16:47,831 自らその膝を 屈することになるだろう。 250 00:16:47,831 --> 00:16:50,601 なんでそんなに自信満々なの? 251 00:16:50,601 --> 00:16:53,270 伝説上の名前を語って 予告状を出す 252 00:16:53,270 --> 00:16:55,606 殺人鬼より不遜なんだけど。 253 00:16:55,606 --> 00:16:58,108 なんだってクソマニア。 254 00:16:58,108 --> 00:17:01,445 なによ クソオタク。 255 00:17:01,445 --> 00:17:03,447 (2人)ふん! 256 00:17:03,447 --> 00:17:05,949 《仲違いをしてからの半年間 257 00:17:05,949 --> 00:17:10,120 僕は日を追うごとに この女が嫌いになっていった。 258 00:17:10,120 --> 00:17:15,959 一挙手一投足 発言の一つ一つが 気に障るようになっていった。 259 00:17:15,959 --> 00:17:20,130 それが何よりも苦痛だった。 260 00:17:20,130 --> 00:17:22,633 何よりも好きだったはずのもの。 261 00:17:22,633 --> 00:17:24,801 大切だったはずのもの。 262 00:17:24,801 --> 00:17:27,804 それらが次々に いとわしくなっていくのが 263 00:17:27,804 --> 00:17:30,474 この上なく苦痛だった。 264 00:17:30,474 --> 00:17:33,174 だから別れた》 265 00:17:36,647 --> 00:17:41,485 《そして 恋人同士のしがらみから 解き放たれた僕たちは 266 00:17:41,485 --> 00:17:44,321 好かれなければならない義務も 267 00:17:44,321 --> 00:17:46,823 嫌わなければならない理由もない。 268 00:17:46,823 --> 00:17:49,493 ただ付き合っていたことが あるだけの 269 00:17:49,493 --> 00:17:51,929 義理のきょうだいとなった。 270 00:17:51,929 --> 00:17:54,765 なるほど納得だ。 271 00:17:54,765 --> 00:17:58,769 付き合っているくせに 仲が悪いのよりは 272 00:17:58,769 --> 00:18:00,969 よっぽど上等だ》 273 00:18:03,941 --> 00:18:06,109 じゃあ 先に帰ってるわ。 274 00:18:06,109 --> 00:18:08,209 ああ。 275 00:18:10,614 --> 00:18:15,118 《別々に帰って それで水族館デートは終わり。 276 00:18:15,118 --> 00:18:17,718 あとは…》 277 00:18:20,958 --> 00:18:24,628 (暁月)あれ~? 278 00:18:24,628 --> 00:18:28,298 伊理戸くんだ! 偶然だね~。 279 00:18:28,298 --> 00:18:32,135 ああ 偶然だな 南さん。 280 00:18:32,135 --> 00:18:34,135 フッ。 281 00:18:37,808 --> 00:18:41,812 ごめん! さすがに家に入るのは やりすぎだったよね! 282 00:18:41,812 --> 00:18:43,814 悪気はなかったの! 283 00:18:43,814 --> 00:18:46,817 伊理戸くんが無用心にも 鍵を閉めなかったからさ 284 00:18:46,817 --> 00:18:49,517 ちょっと誘惑に 勝てなかったよねっ! 285 00:18:52,422 --> 00:18:56,622 結女ちゃんに言うよね? あたしのこと。 286 00:19:00,264 --> 00:19:04,101 はぁ いいよ別に。 これから自重してくれるなら。 287 00:19:04,101 --> 00:19:06,603 えっ どうして…。 288 00:19:06,603 --> 00:19:10,774 アイツにとって 南さんは 大事な友達だからな。 289 00:19:10,774 --> 00:19:13,443 んっ! 290 00:19:13,443 --> 00:19:15,743 ふ~ん そっか。 291 00:19:17,948 --> 00:19:19,950 ありがとうは言わないよ。 292 00:19:19,950 --> 00:19:23,120 いや 言えよ。 泣いて感謝するところだぞ。 293 00:19:23,120 --> 00:19:25,622 ニヒ…。 294 00:19:25,622 --> 00:19:28,458 はぁ~。 295 00:19:28,458 --> 00:19:31,295 あっ そういえば…。 296 00:19:31,295 --> 00:19:34,464 うちのダイニングテーブルに 5つめのイスを置いて 297 00:19:34,464 --> 00:19:36,466 何してたんだ? 298 00:19:36,466 --> 00:19:39,803 んっ? なんのこと? 299 00:19:39,803 --> 00:19:42,306 えっ…。 300 00:19:42,306 --> 00:19:44,641 ウソウソ! 冗談冗談! 301 00:19:44,641 --> 00:19:48,145 おい…。 あれは ごっご遊び的な? 302 00:19:48,145 --> 00:19:50,814 いや~ ほんとごめんねっ! 303 00:19:50,814 --> 00:19:55,485 これからは自重して 友達として 堂々と お泊まりしに行くから! 304 00:19:55,485 --> 00:19:59,489 おっと 反省して 距離をとるという選択肢を 305 00:19:59,489 --> 00:20:02,159 1ミリも考慮してない顔だな。 306 00:20:02,159 --> 00:20:06,663 それか 伊理戸くんと結婚して 同居するねっ。 307 00:20:06,663 --> 00:20:09,499 その路線も諦めてないのかよ…。 308 00:20:09,499 --> 00:20:11,501 恋敵を潰すには 309 00:20:11,501 --> 00:20:16,001 その恋敵に 別の相手を あてがっちゃうのが最適でしょ? 310 00:20:21,011 --> 00:20:24,348 《どうも 腑に落ちないことだらけ…。 311 00:20:24,348 --> 00:20:27,684 あの男が私をデートに誘った理由も 312 00:20:27,684 --> 00:20:32,022 玄関にあった女物のローファーの謎も 解決されないまま…。 313 00:20:32,022 --> 00:20:36,026 ミステリだったら… 落第点よね。 314 00:20:36,026 --> 00:20:39,529 まあでも これでデートは終了…。 315 00:20:39,529 --> 00:20:44,034 いいえ! このまま 終わらせるわけにはいかない!》 316 00:20:44,034 --> 00:20:46,203 ただいま。 317 00:20:46,203 --> 00:20:49,039 んっ? 318 00:20:49,039 --> 00:20:53,810 これより 弟の晴れ姿を記録します。 319 00:20:53,810 --> 00:20:55,812 はぁ? 320 00:20:55,812 --> 00:20:58,982 下着事件のペナルティよ。 321 00:20:58,982 --> 00:21:02,152 足組んで。 (シャッター音) 322 00:21:02,152 --> 00:21:04,488 そうそう! 323 00:21:04,488 --> 00:21:07,488 いいわ! いいわ~! 324 00:21:09,493 --> 00:21:11,495 次は頬杖! 325 00:21:11,495 --> 00:21:13,997 こうか? そうそうっ! 326 00:21:13,997 --> 00:21:17,334 いい感じよ~! 327 00:21:17,334 --> 00:21:19,669 はぁ…。 はっ!? (連写音) 328 00:21:19,669 --> 00:21:22,339 スト~ップ! 329 00:21:22,339 --> 00:21:24,341 その角度 キープ! 330 00:21:24,341 --> 00:21:26,510 いいわ! (連写音) 331 00:21:26,510 --> 00:21:33,183 今 私 姉として いい写真 撮れてる! 332 00:21:33,183 --> 00:21:35,852 エヘ エヘヘヘ…。 333 00:21:35,852 --> 00:21:38,688 イケメンがスマホに いっぱい…。 334 00:21:38,688 --> 00:21:41,191 なぁ 姉さん。 えっ? 335 00:21:41,191 --> 00:21:43,693 この際だ あと一つくらいなら 336 00:21:43,693 --> 00:21:46,196 リクエストを 聞いてやってもいいぞ。 337 00:21:46,196 --> 00:21:49,866 じゃ じゃあじゃあ! 338 00:21:49,866 --> 00:21:52,302 後ろから優しく抱きしめて 339 00:21:52,302 --> 00:21:55,138 耳元でなんか ささやいて…。 340 00:21:55,138 --> 00:21:57,140 なんだそれ…。 341 00:21:57,140 --> 00:21:59,810 ん… ただのペナルティよ! 342 00:21:59,810 --> 00:22:02,710 私の趣味とか まったく関係ないから! 343 00:22:12,989 --> 00:22:15,689 ん…。 344 00:22:18,829 --> 00:22:20,829 あ…。 345 00:22:22,833 --> 00:22:24,835 捕まえた。 346 00:22:24,835 --> 00:22:27,035 はっ…。 347 00:22:36,346 --> 00:22:40,346 捕まっちゃった…。 348 00:22:42,352 --> 00:22:44,855 (暁月)結女ちゃ~ん おっはよ~! 349 00:22:44,855 --> 00:22:46,857 おはよう 南さん。 350 00:22:46,857 --> 00:22:50,961 土日何してた? あたし ずっと寝ちゃっててさ~。 351 00:22:50,961 --> 00:22:53,296 私も大して変わらないわ。 352 00:22:53,296 --> 00:22:55,298 家で本読んでた。 353 00:22:55,298 --> 00:22:57,634 そうなんだ~。 354 00:22:57,634 --> 00:23:00,637 これにて一件落着ってか? 355 00:23:00,637 --> 00:23:04,140 全然 落ち着いていないと思うが。 356 00:23:04,140 --> 00:23:07,143 まあ あの女が 不穏な動きを見せたら 357 00:23:07,143 --> 00:23:09,145 また相談してくれや。 358 00:23:09,145 --> 00:23:11,481 (川波)南暁月に関してだったら 359 00:23:11,481 --> 00:23:15,318 俺は他の誰よりも 助けになれると思うぜ。 360 00:23:15,318 --> 00:23:18,822 つかぬことを聞くが 川波。 んっ? 361 00:23:18,822 --> 00:23:22,993 君 入院したことあるか? 362 00:23:22,993 --> 00:23:24,995 ん~。 363 00:23:24,995 --> 00:23:28,498 あるぜ? 中学の頃にな。 364 00:23:28,498 --> 00:23:30,500 フッ…。 365 00:23:30,500 --> 00:23:33,003 大変だな お互い。 366 00:23:33,003 --> 00:23:35,005 そうだな。 367 00:23:35,005 --> 00:23:37,674 明日 持ってくるわ。 ホントに~!? 368 00:23:37,674 --> 00:23:39,974 やったぁ!