1 00:00:36,116 --> 00:00:37,365 ひめみこさま 2 00:00:37,390 --> 00:00:38,929 足元にお気をつけくださいませ 3 00:00:38,929 --> 00:00:40,749 大丈夫ですよ 4 00:00:46,579 --> 00:00:48,740 私を覚えていたのか 5 00:00:52,436 --> 00:00:54,822 ひめみこさま!いかがでございました? 6 00:01:00,364 --> 00:01:05,838 おお、うん、男の子か 7 00:01:06,078 --> 00:01:07,504 でかしたぞ 8 00:01:08,537 --> 00:01:10,762 ああ、美しい子じゃ 9 00:01:11,096 --> 00:01:14,680 まこと立派な大王になるに違いない 10 00:01:14,680 --> 00:01:16,987 私もそう思います 11 00:01:17,012 --> 00:01:20,280 どうか良い名前をお考えくださいませ 12 00:01:20,420 --> 00:01:22,250 それはもう考えてある 13 00:01:22,275 --> 00:01:24,823 馬屋の前で生まれたのであるから 14 00:01:24,848 --> 00:01:27,638 厩戸皇子(うまやどのおうじ)としよう 15 00:01:28,485 --> 00:01:30,611 厩戸皇子ですか 16 00:01:30,712 --> 00:01:31,720 まあ 17 00:01:31,745 --> 00:01:37,451 隣の大陸よりもずっと遠い国の成人は馬小屋で生まれたと聞く 18 00:01:38,038 --> 00:01:39,633 きっとこの子も 19 00:01:39,658 --> 00:01:42,000 偉大な人間に育つじゃろう 20 00:01:42,000 --> 00:01:44,161 良い名でございます 21 00:01:44,186 --> 00:01:46,545 この厩戸皇子こそ 22 00:01:46,570 --> 00:01:48,459 後の聖徳太子なのです 23 00:01:51,231 --> 00:01:57,324 聖徳太子の理想 —中国文化と仏教の伝来— 24 00:02:03,732 --> 00:02:06,221 しかし鉄のくわとはすごいもんだな 25 00:02:06,246 --> 00:02:07,959 そうだ今までと違って 26 00:02:07,959 --> 00:02:11,122 固い土地でもどんどん掘り起こせるようになった 27 00:02:11,147 --> 00:02:13,520 いくら田や畑を拓いたところで 28 00:02:13,520 --> 00:02:15,416 作物はみんな 29 00:02:15,441 --> 00:02:17,778 蘇我大臣に持って行かれてしまうんじゃ 30 00:02:17,803 --> 00:02:19,235 つまらんな 31 00:02:19,260 --> 00:02:20,390 バカ 32 00:02:20,563 --> 00:02:22,280 そんなこと大臣に聞こえたら 33 00:02:22,280 --> 00:02:24,500 どんなひどい目に遭うかもしれんぞ 34 00:02:24,500 --> 00:02:27,910 クワバラクワバラ 35 00:02:37,280 --> 00:02:38,148 み子 36 00:02:38,173 --> 00:02:40,216 農民が使っているくわやすきも 37 00:02:40,241 --> 00:02:42,456 みな半島から渡ってきたものです 38 00:02:42,481 --> 00:02:46,666 向こうにはわが国よりずっと優れたものがたくさんあるのですね 39 00:02:46,691 --> 00:02:48,056 そうですとも 40 00:02:48,081 --> 00:02:50,979 仏教だって半島から渡ってきたのです 41 00:02:52,057 --> 00:02:56,149 み子がお生まれになる36年も前のことです 42 00:03:05,964 --> 00:03:08,267 おお、これは見事だ 43 00:03:08,292 --> 00:03:11,240 これは百済の王、聖明王のお姿か 44 00:03:11,386 --> 00:03:12,174 いえ 45 00:03:12,341 --> 00:03:14,978 お釈迦様のお姿でございます 46 00:03:15,725 --> 00:03:18,231 お釈迦様とは何者か 47 00:03:18,333 --> 00:03:19,033 はい 48 00:03:19,105 --> 00:03:21,575 今から千年ほど昔 49 00:03:21,600 --> 00:03:24,693 ずっと西の方の国でお生まれになったお方で 50 00:03:24,718 --> 00:03:27,669 この方の教えを仏教と申します 51 00:03:28,629 --> 00:03:31,439 その教えがこのお経でございます 52 00:03:32,306 --> 00:03:34,655 大陸でもわが百済でも 53 00:03:34,680 --> 00:03:37,800 王をはじめみ仏の教えを信じております 54 00:03:37,800 --> 00:03:40,214 仏教とな 55 00:03:44,444 --> 00:03:46,900 これは素晴らしいものだ 56 00:03:46,900 --> 00:03:49,381 何だこんなもの 57 00:03:49,495 --> 00:03:51,060 これをどうしたものかな 58 00:03:51,615 --> 00:03:54,246 わが国の大王となられた方は 59 00:03:54,271 --> 00:03:56,677 天地の神々を祀ってきました 60 00:03:56,723 --> 00:03:58,609 外国の神などを拝んだら 61 00:03:58,634 --> 00:04:01,281 立ちどころに神罰が下りまするぞ 62 00:04:01,306 --> 00:04:03,274 そうおっしゃらず 63 00:04:03,299 --> 00:04:07,561 大陸でも半島でも 皆仏像を礼拝してます 64 00:04:07,586 --> 00:04:09,956 きっと立派な教えでありましょう 65 00:04:09,981 --> 00:04:12,419 いえ 黙れ わしは反対じゃ 66 00:04:12,444 --> 00:04:14,924 しかし物部大連 67 00:04:14,949 --> 00:04:17,952 この穏やかで美しいお顔をご覧なされ 68 00:04:17,977 --> 00:04:20,507 あなたのようにすぐ怒り狂う人こそ 69 00:04:20,532 --> 00:04:24,120 み仏の教えを受けた方が良いのではありませんか 70 00:04:24,120 --> 00:04:25,641 うるさい! 71 00:04:25,666 --> 00:04:27,298 また始めよって 72 00:04:27,323 --> 00:04:29,673 いい加減にせんか 73 00:04:29,698 --> 00:04:35,058 聖明王のせっかくの贈り物を 粗末に扱うわけにもいくまい 74 00:04:35,083 --> 00:04:37,112 稲目そなたに預けよう 75 00:04:37,137 --> 00:04:40,560 大事に祀ることにいたします 76 00:04:45,099 --> 00:04:47,405 私の父、蘇我稲目は 77 00:04:47,430 --> 00:04:50,275 仏像を自分の家で祀ったのです 78 00:04:50,300 --> 00:04:54,091 また近くにあった家を清めて、寺としたのです 79 00:04:54,116 --> 00:04:57,656 これがわが国で一番最初のお寺です 80 00:05:02,518 --> 00:05:04,404 み子、ご覧ください。 81 00:05:04,429 --> 00:05:08,380 今はこんなに立派なお寺が立つようになったのです 82 00:05:08,405 --> 00:05:13,128 み子また大臣の自慢話を聞かされておられるのですか 83 00:05:13,153 --> 00:05:15,540 そういうわけではありません 84 00:05:15,565 --> 00:05:18,203 仏教は国を滅ぼす教えです 85 00:05:18,228 --> 00:05:21,654 今にきっと災いが起こりますよ、み子 86 00:05:23,273 --> 00:05:24,539 ふん 87 00:05:30,147 --> 00:05:32,010 蘇我と物部は 88 00:05:32,035 --> 00:05:35,450 親子二代にわたって争っているのですね 89 00:05:35,475 --> 00:05:37,319 あんな奴こそ 90 00:05:37,319 --> 00:05:40,454 今にみ仏の罰があたるんです 91 00:05:40,479 --> 00:05:41,579 ところが 92 00:05:41,579 --> 00:05:44,594 塔が建設されてまもなく 93 00:05:50,023 --> 00:05:53,048 見ろ、外国の神など祀るからだ 94 00:05:53,106 --> 00:05:55,279 みんな塔だと申ししまえ 95 00:06:08,969 --> 00:06:11,549 燃えろ!燃えろ! 96 00:06:20,797 --> 00:06:23,320 くそ、物部の奴らめ 97 00:06:23,446 --> 00:06:25,060 今に見ていろ 98 00:06:25,091 --> 00:06:27,172 敏達天皇が亡くなられて 99 00:06:27,197 --> 00:06:28,626 太子の父 100 00:06:28,651 --> 00:06:32,833 橘豊日(たちばなのとよひ)皇子が用明天皇となりましたが 101 00:06:32,858 --> 00:06:35,934 わずか二年ほどで亡くなられました 102 00:06:36,514 --> 00:06:40,399 次の大王は厩戸皇子では若すぎるから 103 00:06:40,399 --> 00:06:42,500 用明天皇の弟 104 00:06:42,500 --> 00:06:44,759 穴穂部(あなほべ)皇子がよい 105 00:06:44,759 --> 00:06:45,720 いや 106 00:06:45,720 --> 00:06:48,639 その弟王の泊瀬部(はつせべ)皇子だ 107 00:06:48,639 --> 00:06:51,100 穴穂部皇子のような乱暴者は 108 00:06:51,100 --> 00:06:53,079 大王にふさわしくない 109 00:06:53,079 --> 00:06:54,339 黙れ! 110 00:06:54,339 --> 00:06:57,860 兄の方が大王になるのは当然ではないか 111 00:06:57,860 --> 00:06:59,000 うるさい! 112 00:06:59,000 --> 00:07:00,660 そんなことは許さん 113 00:07:00,660 --> 00:07:02,279 大王が亡くなられて 114 00:07:02,279 --> 00:07:05,720 次の大君を決めるので大変らしい 115 00:07:05,720 --> 00:07:08,614 大臣と大連が大喧嘩だそうじゃ 116 00:07:09,252 --> 00:07:11,759 おだやかにすみそうもないな 117 00:07:11,784 --> 00:07:14,629 いよいよ争いは避けられぬか 118 00:07:14,749 --> 00:07:16,507 恐ろしいことじゃ 119 00:07:16,532 --> 00:07:17,625 こうなったら 120 00:07:17,650 --> 00:07:20,345 蘇我馬子とは戦いで白黒をつける 121 00:07:20,370 --> 00:07:23,439 河内に戻って戦の支度だ! 122 00:07:28,290 --> 00:07:29,431 よいか 123 00:07:29,456 --> 00:07:31,368 穴穂部皇子を殺して 124 00:07:31,393 --> 00:07:34,240 その勢いで物部守屋を打ち果たす 125 00:07:51,348 --> 00:07:57,554 み子、確かに血なまぐさい争いはみ仏の教えにそむくものです。 126 00:07:58,068 --> 00:08:01,800 しかし物部守屋はわたしたち蘇我一族を 127 00:08:01,800 --> 00:08:04,961 皆殺しにしようとたくらんでいるのです。 128 00:08:08,788 --> 00:08:12,284 み子、このままでは蘇我一族はほろぼされ 129 00:08:12,309 --> 00:08:15,472 み仏の教えもほろびてしまいます 130 00:08:15,825 --> 00:08:18,842 み子、物部をうつのです 131 00:08:18,867 --> 00:08:20,740 み仏の教えを守るためです 132 00:08:20,939 --> 00:08:22,792 み子! 133 00:08:27,436 --> 00:08:28,649 いきましょう 134 00:08:41,676 --> 00:08:45,495 それ!物部一族をうて! 135 00:09:22,006 --> 00:09:24,212 くそっ、守屋め! 136 00:09:42,586 --> 00:09:44,632 守屋の死を最後に、 137 00:09:44,657 --> 00:09:47,299 蘇我氏と対立していた物部氏も 138 00:09:47,324 --> 00:09:50,338 とうとう姿を消してしまったのです 139 00:09:51,698 --> 00:09:55,912 馬子の考え通り、 泊瀬皇子が天皇になりました。 140 00:09:55,937 --> 00:09:58,373 崇峻天皇です。 141 00:10:09,547 --> 00:10:11,308 蘇我馬子が、 142 00:10:11,333 --> 00:10:15,655 天皇以上の実力者になったのはどうしてでしょうか 143 00:10:15,680 --> 00:10:19,584 それは朝廷の財政を握ったいたからです 144 00:10:19,609 --> 00:10:22,488 当時はお米がお金の代わりでした。 145 00:10:22,581 --> 00:10:23,590 その力で、 146 00:10:23,590 --> 00:10:27,265 馬子は多くの豪族を見方につけたのです 147 00:10:27,290 --> 00:10:30,745 そしてもう一つの大きな原因は、 148 00:10:30,770 --> 00:10:34,590 蘇我氏の娘が何人も天皇の妃となり 149 00:10:34,590 --> 00:10:37,825 朝廷との結びつきをかたくしたからです 150 00:10:46,240 --> 00:10:49,840 み子、ここにりっぱなお寺をたてましょう。 151 00:10:49,840 --> 00:10:51,320 そしてわが国に 152 00:10:51,320 --> 00:10:54,572 どんどん仏教を広めさせましょう。 153 00:10:56,120 --> 00:10:56,990 うん 154 00:11:05,879 --> 00:11:08,100 大王さまご覧ください。 155 00:11:08,100 --> 00:11:10,642 こんな大きなイノシシがとれました 156 00:11:12,669 --> 00:11:13,769 ほほう 157 00:11:13,769 --> 00:11:16,538 これは大した獲物だな 158 00:11:25,009 --> 00:11:26,970 大王さまどうなされました 159 00:11:26,970 --> 00:11:28,919 こいつの首を切り落とすように、 160 00:11:28,944 --> 00:11:31,610 あの嫌な奴の首を切ってやりたいものだ 161 00:11:31,610 --> 00:11:34,809 崇峻天皇は馬子の勢力が強くて、 162 00:11:34,809 --> 00:11:37,850 自分がなおざりにされているのが不満だったのです 163 00:11:37,850 --> 00:11:39,073 そうか 164 00:11:39,730 --> 00:11:42,169 嫌な奴の首とな 165 00:11:42,169 --> 00:11:43,273 はは 166 00:11:43,298 --> 00:11:44,746 うーん 167 00:11:46,057 --> 00:11:47,823 ふん、へへへ… 168 00:11:52,894 --> 00:11:56,350 なんて、大王さまが殺されたという噂じゃ 169 00:11:56,350 --> 00:11:57,990 恐ろしいことじゃ 170 00:11:57,990 --> 00:12:00,389 どうやら大臣の差し金らしいんじゃ 171 00:12:00,389 --> 00:12:03,190 これめったなことを口にするでない 172 00:12:03,190 --> 00:12:04,933 クワバラクワバラ 173 00:12:09,000 --> 00:12:11,158 こんな争いばかりしていると 174 00:12:11,286 --> 00:12:13,385 朝廷はダメになってしまう 175 00:12:20,224 --> 00:12:25,354 次の大王はわしの思い通りにになる者でなくてはならん 176 00:12:27,500 --> 00:12:30,024 このわたくしが大王に? 177 00:12:30,049 --> 00:12:32,918 姫は欽明の大王のみ女であるし 178 00:12:32,943 --> 00:12:35,179 大王の資格は十分ですよ 179 00:12:35,179 --> 00:12:38,338 でも本来なら厩戸皇子が? 180 00:12:38,363 --> 00:12:40,038 み子はまだ若すぎます 181 00:12:40,063 --> 00:12:42,010 ぜひ姫に頼みたい 182 00:12:44,210 --> 00:12:46,667 わかりました、お引き受けしましょう 183 00:12:46,692 --> 00:12:47,790 そのかわり、 184 00:12:47,815 --> 00:12:51,916 厩戸皇子に摂政として政治をみてもらいます。 185 00:12:53,255 --> 00:12:54,669 いいでしょう 186 00:12:54,694 --> 00:12:55,597 馬子は、 187 00:12:55,621 --> 00:12:59,520 自分の姪の炊屋姫(かしきやひめ)を天皇の位につけました。 188 00:12:59,545 --> 00:13:01,299 日本ではじめての女帝。 189 00:13:01,299 --> 00:13:03,635 推古天皇です。 190 00:13:04,739 --> 00:13:07,519 冠位(かんい)を定めるとはどういうことですか 191 00:13:08,244 --> 00:13:09,479 いままでは、 192 00:13:09,504 --> 00:13:12,115 豪族の家に生まれた者でなくては 193 00:13:12,140 --> 00:13:15,111 高い位につくことはできませんでした。 194 00:13:15,136 --> 00:13:16,164 ええ 195 00:13:16,189 --> 00:13:17,698 しかしそれでは、 196 00:13:17,723 --> 00:13:20,625 かならず国民の間に不満がでてきて 197 00:13:20,706 --> 00:13:22,646 世の中が収まりません。 198 00:13:23,691 --> 00:13:26,735 ですから十二の階級をつくって 199 00:13:26,848 --> 00:13:29,098 役人たちの働きに応じて 200 00:13:29,123 --> 00:13:31,351 上へあがっていけるようにするのです 201 00:13:31,376 --> 00:13:33,459 それはよい方法ですが 202 00:13:33,613 --> 00:13:36,200 馬子どのが承知するでしょうか 203 00:13:36,766 --> 00:13:37,625 いえ 204 00:13:38,007 --> 00:13:40,992 これは大王と私が決めることです。 205 00:13:54,526 --> 00:13:56,314 今から読み上げるのは 206 00:13:56,339 --> 00:13:59,288 そちたち役人が必ず守らなければならない 207 00:13:59,313 --> 00:14:01,366 十七条である。 208 00:14:03,486 --> 00:14:04,591 ひとつ、 209 00:14:04,649 --> 00:14:07,009 わをもってとうとしとなせ。 210 00:14:07,589 --> 00:14:10,648 お互い仲良くしろという意味だな。 211 00:14:10,673 --> 00:14:15,563 ひとつ、裁判は公平にして、わいろをとるべからず。 212 00:14:15,588 --> 00:14:19,292 ひとつ、大王の命令にはかなずしたがうこと。 213 00:14:19,317 --> 00:14:22,625 これを「憲法十七条」と言いますが、 214 00:14:22,650 --> 00:14:27,700 今の憲法と違って朝廷の役人をいましめたものです 215 00:14:29,788 --> 00:14:36,711 太子、憲法の確か第三条に大王の命令は絶対であると書いてあるが、 216 00:14:36,798 --> 00:14:39,232 これは私への皮肉ですかな 217 00:14:39,257 --> 00:14:41,340 そんなつもりはありませんよ 218 00:14:41,580 --> 00:14:46,178 ただこの国は大王を中心に動いていかなくてはならないという 219 00:14:46,203 --> 00:14:48,100 私の理想を述べたものです 220 00:14:49,166 --> 00:14:50,674 まあよろしい 221 00:14:50,699 --> 00:14:54,225 だが世の中理想通りに行きますかな 222 00:14:54,571 --> 00:14:56,185 お待ちなさい大臣! 223 00:14:57,580 --> 00:15:02,027 私たちは今朝廷の中で争っている時ではありません 224 00:15:05,389 --> 00:15:09,620 大陸では今、隋が強大な力を持っていて 225 00:15:09,620 --> 00:15:11,879 朝鮮半島を支配しようとしています 226 00:15:12,139 --> 00:15:14,460 隋の野心はどうからず 227 00:15:14,485 --> 00:15:16,852 わが国にも及んでくるはずです 228 00:15:16,939 --> 00:15:19,803 まさかはるばる海を越えて 229 00:15:20,003 --> 00:15:23,765 いえ、権力の欲望とはそういうものです 230 00:15:25,543 --> 00:15:28,190 ではどうしたらいいのですか 231 00:15:28,230 --> 00:15:31,910 わが国の方から積極的に隋と付き合うのです 232 00:15:34,212 --> 00:15:37,259 それも対等の気持ちで付き合うのです 233 00:15:38,646 --> 00:15:41,485 これは隋の帝に送る新書です 234 00:15:41,606 --> 00:15:42,626 見てください 235 00:15:46,185 --> 00:15:47,011 え? 236 00:15:47,039 --> 00:15:48,485 た…太子! 237 00:15:48,658 --> 00:15:50,921 こんな高飛車の文章を送って 238 00:15:50,946 --> 00:15:53,676 隋の帝を怒らせたらどうなるのです? 239 00:15:54,226 --> 00:15:56,909 これは少し行き過ぎですよ 240 00:15:57,129 --> 00:15:58,270 そうです 241 00:15:58,295 --> 00:16:01,208 でも私はやってみるつもりです 242 00:16:01,233 --> 00:16:03,753 しかし大変な賭けだこれは 243 00:16:03,826 --> 00:16:06,170 やってみましょう大王さま 244 00:16:07,604 --> 00:16:11,597 太子が十分考えたことならやってみましょう 245 00:16:11,991 --> 00:16:16,486 仏教だけでなく隋の文化をどんどん取り入れなくてはならない 246 00:16:17,200 --> 00:16:20,723 帝に親書を渡して何でも見てくるがいい 247 00:16:21,030 --> 00:16:23,919 太子さま承知いたしました 248 00:16:40,928 --> 00:16:41,793 ふむ 249 00:16:41,854 --> 00:16:47,120 日出ずる国の天子から日沈む国の天子へご挨拶申し上げますか 250 00:16:52,179 --> 00:16:53,264 ぶれいな! 251 00:16:53,288 --> 00:16:58,506 日出ずる国の天子が日沈む国の天子に文書を送るとは何事だ 252 00:16:58,531 --> 00:17:03,797 吹けば飛ぶような国がわが国を見下す態度を取るなど許せん! 253 00:17:04,130 --> 00:17:07,352 お言葉ですがそれは誤解でございます 254 00:17:07,377 --> 00:17:10,228 私の国は東の方にありますゆえ 255 00:17:10,253 --> 00:17:13,252 太陽の昇る方角といった程度のことで 256 00:17:13,277 --> 00:17:14,426 他意はございません 257 00:17:14,451 --> 00:17:18,043 隋を見下すなどとんでもないことでございます 258 00:17:24,903 --> 00:17:27,667 東の国の王とはどのような人物じゃ 259 00:17:28,346 --> 00:17:30,029 推古という女王ですが 260 00:17:30,029 --> 00:17:33,365 摂政の聖徳太子が政治を取り仕切っていると聞いております 261 00:17:33,767 --> 00:17:35,640 聖徳太子 262 00:17:35,960 --> 00:17:36,780 はい 263 00:17:37,133 --> 00:17:40,384 大変優れた人物と聞いております 264 00:17:40,409 --> 00:17:43,021 あれだけ高飛車に出てくるからには 265 00:17:43,046 --> 00:17:46,856 よほど国の力が充実しているのかもしれぬな 266 00:17:46,881 --> 00:17:47,955 皇帝陛下 267 00:17:48,001 --> 00:17:51,784 一応返礼の使者を送って様子を見てはいかがでしょう? 268 00:17:57,019 --> 00:17:58,380 翌年、 269 00:17:58,380 --> 00:18:00,500 小野妹子は隋の使者 270 00:18:00,500 --> 00:18:04,359 裴世清(はいせいせい)とともに日本へ帰ってきました 271 00:18:16,460 --> 00:18:18,417 私が聖徳太子です 272 00:18:22,945 --> 00:18:24,938 大した人物だ 273 00:18:25,650 --> 00:18:29,730 私もあの手紙は少々高飛車すぎたかに思えたが 274 00:18:30,010 --> 00:18:32,209 よく煬帝の怒りを解いてくれた 275 00:18:33,170 --> 00:18:35,230 ずいぶん苦労しましたが 276 00:18:35,230 --> 00:18:39,849 今思いますと、かえって帝はわが国を見直したようでございます。 277 00:18:39,849 --> 00:18:41,276 ご苦労だった。 278 00:18:41,300 --> 00:18:45,354 よいな、隋の使者は大事にもてなしてやってくれ 279 00:18:45,379 --> 00:18:47,689 いいところだけを見せるようにな。 280 00:18:47,714 --> 00:18:49,360 かしこまりました。 281 00:18:54,983 --> 00:18:59,318 あなたの国にこんなりっぱなお寺があるとは夢にも思いませんでした 282 00:18:59,343 --> 00:19:01,532 これは驚きました 283 00:19:01,557 --> 00:19:04,969 太子は身分の高い者も低い者も、 284 00:19:04,994 --> 00:19:08,642 誰もが住みよい国を作りたいと考えておられます 285 00:19:10,262 --> 00:19:12,868 そのためには仏教を広めて 286 00:19:12,893 --> 00:19:18,632 その教えによって人々が幸せに生きることが大事であると申しておられます。 287 00:19:20,759 --> 00:19:24,890 そのお気持ちのあらわれがこの法隆寺なのです 288 00:19:32,089 --> 00:19:35,269 そちたちは隋の使者の帰国とともに 289 00:19:35,630 --> 00:19:38,269 大陸に渡って勉強してもらいたい 290 00:19:38,638 --> 00:19:40,269 何年かかってもよい 291 00:19:40,731 --> 00:19:43,269 満足のいくまで勉強するのです 292 00:19:43,582 --> 00:19:44,560 はい 293 00:19:45,360 --> 00:19:47,853 大陸の文化を取り入れることが 294 00:19:48,280 --> 00:19:51,787 わが国の発展にどうしても必要なのです 295 00:19:51,987 --> 00:19:56,509 必ずや太子さまのご期待にお応えいたします 296 00:19:56,534 --> 00:20:00,909 いつかきっとこの国のお役に立ちたいと存じます 297 00:20:01,269 --> 00:20:02,227 うん 298 00:20:12,730 --> 00:20:18,181 この留学生たちが隋の制度や学問を長い間勉強して 299 00:20:18,206 --> 00:20:23,481 次の時代の大化の改新の大きな柱となるのです 300 00:20:23,506 --> 00:20:29,573 聖徳太子は蘇我馬子と協力して歴史の本を作り始めましたが 301 00:20:31,001 --> 00:20:35,009 622年病の床につきました 302 00:20:35,610 --> 00:20:39,817 政治というものに高い理想を持っていた太子にとっては 303 00:20:39,864 --> 00:20:43,246 現実の政治の中の醜い争いは、 304 00:20:43,271 --> 00:20:46,372 身も心も苛まれるものだったのでしょう。 305 00:20:49,485 --> 00:20:54,079 そしてその年の2月22日 306 00:20:54,326 --> 00:20:58,118 49歳の生涯を閉じたのです 307 00:21:00,920 --> 00:21:04,568 聖徳太子と言うと一万円札に出てる人だね 308 00:21:04,593 --> 00:21:05,489 そうよ 309 00:21:05,514 --> 00:21:09,756 もっともこれはずっと後の人が書いた肖像らしいけど 310 00:21:10,103 --> 00:21:17,058 1958年から1986年までに発行された一万円札には、 311 00:21:17,083 --> 00:21:19,843 聖徳太子が描かれていました。 312 00:21:20,334 --> 00:21:22,315 飛鳥時代になると、 313 00:21:22,340 --> 00:21:25,557 古墳があまり作られなくなったらしいけど、 314 00:21:25,582 --> 00:21:27,130 どうしてなの? 315 00:21:27,130 --> 00:21:28,758 そうね 316 00:21:28,809 --> 00:21:32,406 大きな古墳を作って権力を自慢することが、 317 00:21:32,431 --> 00:21:35,130 必要でなくなったのかもしれないわね。 318 00:21:35,879 --> 00:21:36,911 その代わり、 319 00:21:36,936 --> 00:21:39,936 りっぱなお寺を建てるようになったんじゃないかしら 320 00:21:40,277 --> 00:21:44,130 するとお寺は信仰のためだけじゃないのか 321 00:21:44,130 --> 00:21:46,253 うん信仰のためも大きいけど、 322 00:21:46,278 --> 00:21:47,925 まあどちらにしても 323 00:21:47,950 --> 00:21:50,359 そのためにたくさんの税を取られたり 324 00:21:50,384 --> 00:21:53,831 労働させられた農民は大変だったでしょうね。 325 00:21:53,856 --> 00:21:55,130 ところで二人とも 326 00:21:55,130 --> 00:21:58,320 仏教が最初どこの国で起こったか知ってる? 327 00:21:58,345 --> 00:21:59,130 えーと 328 00:21:59,130 --> 00:22:00,130 インド! 329 00:22:00,130 --> 00:22:01,130 そう 330 00:22:01,130 --> 00:22:04,130 インドでお釈迦さまが開いた仏教は 331 00:22:04,130 --> 00:22:09,397 日本に伝わるまで一万キロの道を千年もかかったのよ 332 00:22:09,422 --> 00:22:12,294 へー千年もかかったのか 333 00:22:13,321 --> 00:22:14,510 この頃、 334 00:22:14,535 --> 00:22:19,038 西アジアに広大なイスラム帝国が誕生していました。 335 00:22:19,063 --> 00:22:22,453 マホメットによって作られた宗教国家です 336 00:22:22,593 --> 00:22:28,492 中国では隋の煬帝が太子の亡くなる4年前に亡くなりました。 337 00:22:28,517 --> 00:22:32,203 その後に起こったのが唐という国です。 338 00:22:47,545 --> 00:22:53,865 子供みたいな あなたを見てると 339 00:22:53,950 --> 00:23:01,926 私は小さな 海になる 340 00:23:02,499 --> 00:23:09,772 遠い過去から 私たち 341 00:23:09,826 --> 00:23:17,623 愛してたような 気がするの 342 00:23:17,670 --> 00:23:24,067 胸に火照(ほて)った 耳を当てれば 343 00:23:24,188 --> 00:23:32,305 せつなくてあたたかい 生命(いのち)のひびき 344 00:23:32,352 --> 00:23:38,933 都会の風は 気まぐれで 345 00:23:39,007 --> 00:23:45,580 今にも別れが 来そうだけど 346 00:23:45,627 --> 00:23:51,596 花が散っては 咲くように 347 00:23:51,621 --> 00:24:06,653 このつぎの人生も 会いましょう