1 00:00:01,876 --> 00:00:04,254 (青年商人) 中央が動き出したようですね 2 00:00:04,421 --> 00:00:08,174 (辣腕(らつわん)会計) 恐らく 教会の威信低下を 回復すべく― 3 00:00:08,299 --> 00:00:12,137 3回目の聖鍵(せいけん)遠征軍を 企画しているものと 4 00:00:12,303 --> 00:00:18,059 唯一 中央が操っていた白夜王は 敗戦責任から失脚同然 5 00:00:18,184 --> 00:00:19,978 (青年商人) そこへ冬寂(とうじゃく)王などという― 6 00:00:20,103 --> 00:00:24,065 英傑が現れて 人心を掌握しつつある上― 7 00:00:24,190 --> 00:00:29,529 紅の学士によって十分すぎる食料が 生産されるようになってしまった 8 00:00:29,654 --> 00:00:33,658 番犬の鎖が切れて 教会はおおわらわでしょう 9 00:00:33,825 --> 00:00:35,285 我々はどうしますか? 10 00:00:35,410 --> 00:00:37,495 同盟として動くには― 11 00:00:37,620 --> 00:00:42,125 まず我々の手で 新たな十人委員会を組織しなければ 12 00:00:42,250 --> 00:00:43,293 となると… 13 00:00:43,418 --> 00:00:44,586 (中年商人)入るぞ 14 00:00:46,087 --> 00:00:49,924 氷の国の外交官様を ご案内だ 15 00:00:52,510 --> 00:00:58,516 ♪~ 16 00:02:15,552 --> 00:02:21,558 ~♪ 17 00:02:26,187 --> 00:02:29,023 (青年商人) ぜひ お力を貸して いただけませんか 18 00:02:29,149 --> 00:02:30,400 (貴族子弟)私にですか? 19 00:02:30,733 --> 00:02:36,447 (青年商人) ダンスと口説き文句がものをいう 吟遊詩人の国の方なら最適です 20 00:02:36,573 --> 00:02:38,700 一体 何をしろと? 21 00:02:38,992 --> 00:02:44,122 現在の十人委員会の動きを止めて いろいろと探っていただきたい 22 00:02:44,289 --> 00:02:46,791 援助が必要なら この方に 23 00:02:47,417 --> 00:02:50,587 おいおい また俺が案内すんのか 24 00:02:50,712 --> 00:02:51,629 (貴族子弟)要するに― 25 00:02:52,213 --> 00:02:53,673 時間稼ぎですね 26 00:02:53,798 --> 00:02:54,549 (青年商人)はい 27 00:02:54,966 --> 00:02:58,303 勝利まではねだりませんが 時間は必要です 28 00:02:58,428 --> 00:03:02,724 僕にも あなたの師匠 紅の学士様にもね 29 00:03:03,391 --> 00:03:05,101 承りましょう 30 00:03:05,351 --> 00:03:09,105 うわさ話とダンスをするだけが 取り柄の私ですが 31 00:03:09,272 --> 00:03:13,902 いやいや これから向かう所だって なかなかの戦場ですよ 32 00:03:14,027 --> 00:03:17,697 ええ 分かっています でも そこならば私は… 33 00:03:18,239 --> 00:03:21,659 “きょとんとした顔で死ぬ” ことだけはないでしょう 34 00:03:26,414 --> 00:03:28,041 (農民) ウソだって言ってくれ 35 00:03:28,166 --> 00:03:31,294 (農民) 紅の学士様が 異端のはずなんてねえ 36 00:03:42,180 --> 00:03:43,890 (ドアが開く音) 37 00:03:44,307 --> 00:03:45,767 (勇者)広場すごいぞ 38 00:03:46,935 --> 00:03:50,939 紅の学士様は女神様だとか 言っている奴までいる 39 00:03:51,314 --> 00:03:55,026 (女騎士) 農民たちに 慕われていたからな 学士様は 40 00:03:55,526 --> 00:03:57,362 (メイド姉) 本当にそうなんです 41 00:03:57,737 --> 00:04:02,784 私と妹が道を歩いていると みなさん笑顔で手を振ってくれて… 42 00:04:03,660 --> 00:04:05,912 この春は こんなに馬鈴薯(ばれいしょ)が取れた 43 00:04:06,454 --> 00:04:08,915 この秋は小麦の育ちがいい 44 00:04:09,666 --> 00:04:11,417 ベリーを食べさせてくれたり― 45 00:04:12,085 --> 00:04:14,295 卵を持っていけって 言ってくれたり― 46 00:04:14,921 --> 00:04:17,006 ウズラを届けてくれたり 47 00:04:17,757 --> 00:04:19,050 村の人から頂いたものが― 48 00:04:19,175 --> 00:04:22,095 食卓に並ばない日なんて ありませんでした 49 00:04:23,304 --> 00:04:25,348 みんな 本当にいい人で― 50 00:04:25,473 --> 00:04:27,809 私たちのことを かわいがってくれて― 51 00:04:29,018 --> 00:04:31,312 当主様のことを くれぐれも頼むよって… 52 00:04:32,563 --> 00:04:35,400 自分たちは本当に お世話になってるけれど― 53 00:04:35,525 --> 00:04:37,819 直接 何もして あげられないからって 54 00:04:38,403 --> 00:04:39,570 そうか 55 00:04:40,154 --> 00:04:42,657 時には赤ちゃんを 連れてきて― 56 00:04:43,074 --> 00:04:46,494 小さな葉っぱみたいな手に 触らせてくれるんです 57 00:04:47,161 --> 00:04:50,290 賢くて優しくなるようにって 58 00:04:50,748 --> 00:04:53,167 ただの農奴だった私にですよ 59 00:04:53,876 --> 00:04:56,337 当主様に仕える 偉い人だからって 60 00:04:56,713 --> 00:04:58,298 (女騎士)いい村だよ 61 00:04:58,548 --> 00:05:01,384 みんな 一生懸命で 支え合って… 62 00:05:02,218 --> 00:05:04,804 お別れするのは寂しいです 63 00:05:04,929 --> 00:05:09,600 (教会の鐘の音) 64 00:05:17,483 --> 00:05:18,901 ぼちぼち時間だ 65 00:05:19,068 --> 00:05:20,820 (女騎士) 私も そろそろ行く 66 00:05:21,571 --> 00:05:23,948 湖畔修道会の長(おさ)として― 67 00:05:24,073 --> 00:05:26,826 下卑(げび)た使者の言葉を 受けねばならんとは― 68 00:05:26,951 --> 00:05:28,703 汚らわしいかぎりだが 69 00:05:34,042 --> 00:05:38,212 怖がらなくていい 思い悩む必要もない 70 00:05:38,671 --> 00:05:41,716 勇者が必ず助け出すからな 71 00:05:43,134 --> 00:05:44,218 はい 72 00:05:45,094 --> 00:05:46,304 (女騎士)また会おう 73 00:05:50,433 --> 00:05:51,893 (勇者)俺も移動する 74 00:05:52,643 --> 00:05:55,229 一応 周辺の監視もしておくよ 75 00:05:55,396 --> 00:05:56,355 (メイド姉)はい 76 00:05:57,732 --> 00:05:59,442 あの… 私… 77 00:05:59,609 --> 00:06:00,610 ん? 78 00:06:03,112 --> 00:06:04,113 いえ… 79 00:06:08,493 --> 00:06:09,327 じゃあ 80 00:06:09,952 --> 00:06:11,412 信じて待っててくれ 81 00:06:11,621 --> 00:06:12,538 はい 82 00:06:30,723 --> 00:06:37,730 (メイド姉のすすり泣く声) 83 00:06:44,487 --> 00:06:45,530 (メイド姉)私… 84 00:06:46,739 --> 00:06:47,990 私… 85 00:06:50,034 --> 00:06:51,494 どうして… 86 00:06:53,162 --> 00:06:56,916 こんなに… 何もできないんだろう 87 00:07:03,548 --> 00:07:06,551 (群衆のどよめき) 88 00:07:06,676 --> 00:07:08,386 (執事)すごい数だな 89 00:07:08,678 --> 00:07:13,224 (将官) はい 付近の村からかなりの数が 詰めかけているようです 90 00:07:13,683 --> 00:07:16,060 何も起きなければよいが 91 00:07:16,185 --> 00:07:18,396 まもなく使者が到着します 92 00:07:19,063 --> 00:07:20,773 警備の数を増やします 93 00:07:20,940 --> 00:07:22,024 (執事)うむ 94 00:07:31,868 --> 00:07:33,578 (農民A)おい見れ あれ! 95 00:07:34,078 --> 00:07:34,912 (農民B)王か? 96 00:07:35,288 --> 00:07:39,917 (農民C) いんや 俺たちの王が あんなに貧相なわけねえべや 97 00:07:40,042 --> 00:07:42,211 (農民D) んじゃ あれが使者か! 98 00:07:43,296 --> 00:07:46,924 (農民E) 学士様を 異端者呼ばわりした奴の手先か 99 00:07:48,676 --> 00:07:49,552 (農民F)王だ 100 00:07:49,802 --> 00:07:52,054 (農民G) 王が お出ましになったぞ! 101 00:07:58,561 --> 00:07:59,645 (冬寂王)諸君 102 00:08:00,438 --> 00:08:01,731 大義である 103 00:08:01,981 --> 00:08:05,985 (使者) 王よ 約束どおり 捕縛したのだろうな? 104 00:08:06,152 --> 00:08:08,946 もちろんだ 引き渡そう 105 00:08:09,071 --> 00:08:10,781 (群衆のどよめき) 106 00:08:13,493 --> 00:08:14,702 (農民A)学士様 107 00:08:14,827 --> 00:08:16,829 (農民B)本当に学士様だ 108 00:08:17,038 --> 00:08:18,831 (使者)間違いないな? 109 00:08:22,793 --> 00:08:26,130 替え玉を使おうとしても ムダだぞ 110 00:08:26,422 --> 00:08:28,674 (女騎士) そのようなことはあり得ない 111 00:08:38,267 --> 00:08:40,937 間違いなく本人のようだ 112 00:08:41,103 --> 00:08:42,188 召し捕らえよ! 113 00:08:51,364 --> 00:08:55,243 教会はあなた方の協力に 感謝します 114 00:08:55,368 --> 00:08:59,705 このような異端の女と 関係性がなかったことが分かり― 115 00:08:59,830 --> 00:09:04,085 お二人にとって 誠に喜ばしいかぎりでしょう 116 00:09:04,210 --> 00:09:05,294 (冬寂王)痛み入る 117 00:09:05,503 --> 00:09:09,298 (使者) 冬の国の民よ! しかと見届けよ! 118 00:09:09,966 --> 00:09:12,260 この者は悪魔の使い 119 00:09:12,385 --> 00:09:15,763 関われば 同じ仕打ちが 待っているぞ 120 00:09:16,681 --> 00:09:18,933 王都まで連行する (審問僧兵)はっ 121 00:09:20,101 --> 00:09:20,935 ううっ 122 00:09:31,946 --> 00:09:33,990 (メイド姉のうめき声) 123 00:09:34,115 --> 00:09:36,284 (むちを打つ音) 124 00:09:36,409 --> 00:09:42,665 (農民) 学士様… 学士様 ウソだよな 異端だなんて そんな… 125 00:09:43,124 --> 00:09:47,211 あんなに皮膚が裂けて 血が流れて… 精霊様… 126 00:09:47,545 --> 00:09:51,132 (子供) おねえちゃんは なんでぶたれてるの? 127 00:09:51,340 --> 00:09:52,466 (審問僧兵)はいつくばれ! 128 00:09:52,675 --> 00:09:53,342 (メイド姉)うっ! 129 00:09:59,348 --> 00:10:01,767 耐えてください 若 130 00:10:04,437 --> 00:10:07,440 すまぬ 罪なき少女よ 131 00:10:07,773 --> 00:10:11,819 このような責めを 負わせた世に 報いあれ 132 00:10:11,944 --> 00:10:14,071 これは反抗的な 133 00:10:14,363 --> 00:10:16,657 まさに異端者の目! 134 00:10:18,576 --> 00:10:21,746 精霊の教えに背く 悪魔の使いが― 135 00:10:21,871 --> 00:10:25,458 何か申し開きを しようと言うのか!? 136 00:10:31,130 --> 00:10:32,465 私は… 137 00:10:33,799 --> 00:10:36,761 私は魂を持つ者として― 138 00:10:36,886 --> 00:10:39,388 皆さんに語らなければ ならないことがあります 139 00:10:40,389 --> 00:10:41,557 私は… 140 00:10:43,893 --> 00:10:47,813 私は 実は農奴の子として 生まれました 141 00:10:50,691 --> 00:10:54,820 私は7人の兄弟姉妹の 3番目として生まれました 142 00:10:55,863 --> 00:10:58,491 兄は農作業中に腕を折り― 143 00:10:58,783 --> 00:11:01,494 そのまま衰弱して 捨て置かれました 144 00:11:06,832 --> 00:11:11,337 (雷鳴) 145 00:11:12,713 --> 00:11:15,716 (メイド姉) 姉は ある晩 地主に召し出され― 146 00:11:16,217 --> 00:11:17,718 帰りませんでした 147 00:11:28,479 --> 00:11:30,523 冬のよく晴れた朝― 148 00:11:30,940 --> 00:11:35,861 1番下の弟は冷たくなったまま とうとう目を覚ましませんでした 149 00:11:37,029 --> 00:11:38,697 疱瘡(ほうそう)にかかった兄弟もいます 150 00:11:39,740 --> 00:11:41,659 私は何もできなくて… 151 00:11:42,326 --> 00:11:45,663 生き残ったのは 私と妹だけです 152 00:11:46,789 --> 00:11:50,334 ある時 逃げ出した私たちに 転機が訪れて― 153 00:11:50,960 --> 00:11:53,629 それは運命の輝きを 持っていましたが― 154 00:11:54,296 --> 00:11:56,465 私はずっと悩んでいました 155 00:11:57,383 --> 00:11:59,802 ずっと ずっと… 156 00:12:00,302 --> 00:12:04,640 運命は暖かく 私に優しくしてくれました 157 00:12:05,349 --> 00:12:08,394 安心しろ 何とかしてやる 158 00:12:08,894 --> 00:12:10,146 しかし 皆さん! 159 00:12:10,729 --> 00:12:12,440 貴族の皆さん 160 00:12:12,606 --> 00:12:14,358 兵士の皆さん 161 00:12:14,483 --> 00:12:17,361 開拓民の皆さん そして― 162 00:12:17,486 --> 00:12:19,071 農奴の皆さん! 163 00:12:20,281 --> 00:12:23,159 私は それを 拒否しなければなりません 164 00:12:23,534 --> 00:12:27,204 あんなに恩のある 優しくしてくれた手なのに 165 00:12:28,080 --> 00:12:31,792 優しくしてくれたからこそ 拒まねばなりません 166 00:12:32,501 --> 00:12:34,879 私は人間だからです! 167 00:12:36,464 --> 00:12:38,215 私は自信がありません 168 00:12:39,175 --> 00:12:41,051 この体の中には― 169 00:12:41,177 --> 00:12:43,888 卑しい農奴の血が 流れているじゃないか 170 00:12:44,889 --> 00:12:49,602 お前は所詮 虫けら同然の 人間もどきじゃないかと 171 00:12:50,060 --> 00:12:51,437 だからこそ… 172 00:12:52,271 --> 00:12:53,731 だとしても私は― 173 00:12:54,064 --> 00:12:56,609 人間だと言い切らねば なりません 174 00:12:57,109 --> 00:13:00,112 なぜなら みずからを そう呼ぶことが― 175 00:13:00,237 --> 00:13:04,450 人間である最初の条件だと 私は思うからです 176 00:13:04,909 --> 00:13:07,578 夏の日ざしに 頬を照らされる時― 177 00:13:07,953 --> 00:13:10,789 目をつぶっても その恵みが分かるように― 178 00:13:10,998 --> 00:13:14,335 胸の内側に暖かさを 感じたことはありませんか? 179 00:13:15,044 --> 00:13:19,590 たわいのない優しさに 幸せを感じることはありませんか? 180 00:13:19,965 --> 00:13:23,177 それは皆さんが 光の精霊のいとし子で― 181 00:13:23,302 --> 00:13:24,803 人間である証明です 182 00:13:24,929 --> 00:13:25,721 やめろ! 183 00:13:29,433 --> 00:13:31,268 い… 異端め! 184 00:13:32,269 --> 00:13:34,980 (メイド姉) 異端かどうかなど 問題にもしていません! 185 00:13:36,565 --> 00:13:38,317 私は人間として― 186 00:13:38,734 --> 00:13:43,739 冬越し村の恵みを受けた者として 仲間に話しかけているのです 187 00:13:44,240 --> 00:13:48,744 皆さん 望むこと 願うこと 考えること― 188 00:13:48,869 --> 00:13:51,247 働き続けることを やめてはいけません 189 00:13:51,830 --> 00:13:56,710 精霊様は その奇跡をもって 人間に生命を与えてくださり― 190 00:13:57,002 --> 00:14:01,090 その大地の恵みをもって 財産を与えてくださり― 191 00:14:01,215 --> 00:14:03,300 その魂のかけらをもって― 192 00:14:03,425 --> 00:14:06,220 私たちに自由を 与えてくださいました 193 00:14:06,345 --> 00:14:07,596 (農民)“自由”? 194 00:14:07,846 --> 00:14:09,056 (メイド姉)そうです 195 00:14:09,932 --> 00:14:16,021 それは よりよき行いをする自由 よりよき者になろうとする自由です 196 00:14:16,522 --> 00:14:20,860 精霊様は完全なるよき者として 人間を作らずに― 197 00:14:20,985 --> 00:14:25,531 毎日 少しずつ頑張るという自由を 与えてくださいました 198 00:14:25,906 --> 00:14:28,617 それが喜びだから 199 00:14:30,327 --> 00:14:34,290 だから 楽するために 手放したりしないでください 200 00:14:34,540 --> 00:14:36,792 精霊様のくださった 贈り物は― 201 00:14:37,084 --> 00:14:38,794 たとえ王でも― 202 00:14:39,378 --> 00:14:41,505 たとえ教会であっても― 203 00:14:42,006 --> 00:14:45,551 侵すことのできない 神聖な宝物なのです 204 00:14:45,926 --> 00:14:47,011 (使者)異端め! 205 00:14:47,219 --> 00:14:49,388 その口を閉じろ! 206 00:14:50,556 --> 00:14:53,309 (メイド姉) 閉じません! 私は人間です 207 00:14:53,851 --> 00:14:57,229 もう私は その宝物を 捨てたりしない 208 00:14:57,563 --> 00:14:59,440 もう虫には戻らない! 209 00:14:59,565 --> 00:15:03,694 たとえ その宝を持つのが つらく苦しくても― 210 00:15:03,819 --> 00:15:05,696 あの暗いまどろみには戻らない 211 00:15:06,989 --> 00:15:08,324 光があるから 212 00:15:11,160 --> 00:15:13,162 優しくしてもらえたから 213 00:15:13,621 --> 00:15:14,705 クッ 214 00:15:16,123 --> 00:15:18,959 この異端の売女(ばいた)めに 石を投げろ! 215 00:15:20,336 --> 00:15:22,171 何をしているのだ! 216 00:15:22,379 --> 00:15:25,633 石を投げない者は すべて背教者だ! 217 00:15:28,010 --> 00:15:30,512 (メイド姉) 投げようと思うなら投げなさい 218 00:15:32,139 --> 00:15:36,852 この狭く冷たい世界の中で 家族を守り 自分を守るために― 219 00:15:36,977 --> 00:15:39,521 石を投げることが 必要なこともあるでしょう 220 00:15:40,314 --> 00:15:42,441 私は それを責めたりしない 221 00:15:43,233 --> 00:15:46,862 その判断の自由も また人間のもの 222 00:15:47,363 --> 00:15:50,407 その人の心が流す血と 同じだけの血を― 223 00:15:50,532 --> 00:15:52,993 私は この身をもって 流しましょう 224 00:15:54,620 --> 00:15:57,373 しかし 他人に 言われたから― 225 00:15:57,498 --> 00:16:01,001 命令されたからという理由で 石を投げるというのなら― 226 00:16:01,502 --> 00:16:03,003 その人は虫です 227 00:16:03,671 --> 00:16:05,422 自分の意志を持たない― 228 00:16:05,547 --> 00:16:07,883 精霊様に与えられた 大切な贈り物を― 229 00:16:08,008 --> 00:16:09,510 他人に譲り渡して― 230 00:16:09,635 --> 00:16:12,096 考えることをやめた虫です 231 00:16:12,763 --> 00:16:15,516 それが どんなに 安らげる道であっても― 232 00:16:15,641 --> 00:16:18,978 宝物を譲り渡した者は 虫になるのです 233 00:16:19,478 --> 00:16:21,730 私は虫を軽蔑します 234 00:16:22,314 --> 00:16:24,316 私は虫にはならない 235 00:16:26,485 --> 00:16:27,736 私は… 236 00:16:28,779 --> 00:16:30,948 私は“人間”だから! 237 00:16:46,422 --> 00:16:48,841 (使者) や… やめよ! 石を投げるのは― 238 00:16:48,966 --> 00:16:51,176 この汚れた女にだ! 239 00:16:51,301 --> 00:16:52,219 ぐほっ 240 00:16:54,471 --> 00:16:57,599 やめろ! 能のない農民風情が! 241 00:16:57,725 --> 00:17:01,311 貴様らも 貴様らも すべて背教者だ! 242 00:17:01,437 --> 00:17:03,605 何をしている 冬寂王! 243 00:17:03,731 --> 00:17:06,316 こいつらを 全員 取り押さえろ! 244 00:17:10,487 --> 00:17:11,447 捕縛士! 245 00:17:11,780 --> 00:17:16,410 もはや異端は明白だ 即刻 その首を切り落とせ! 246 00:17:19,663 --> 00:17:20,456 (捕縛士)うおっ 247 00:17:21,331 --> 00:17:23,042 (群衆)やめてください! 248 00:17:24,460 --> 00:17:26,545 (メイド姉) ごめんなさい 勇者様 249 00:17:27,463 --> 00:17:30,049 任せておけって 言ってくださったのに… 250 00:17:30,299 --> 00:17:32,259 私 できませんでした 251 00:17:33,010 --> 00:17:36,555 メイド長様 一度も呼べなかったけど― 252 00:17:37,431 --> 00:17:40,059 先生って呼んでもいいですか? 253 00:17:40,809 --> 00:17:41,560 やれえ! 254 00:17:47,858 --> 00:17:49,693 (冬寂王)それには及ばない 255 00:17:51,820 --> 00:17:52,738 立てるか? 256 00:17:56,158 --> 00:17:58,368 何をする気だ お前たち! 257 00:18:00,412 --> 00:18:02,706 私は この国の王だ 258 00:18:03,999 --> 00:18:06,627 これまで中央の鎖に つながれて― 259 00:18:06,752 --> 00:18:11,673 そのつらさ 苦しさ おぞましさを 分かっていたつもりであったが― 260 00:18:13,759 --> 00:18:17,513 いつの間にか 心まで 虫になっていたようだ 261 00:18:18,222 --> 00:18:20,891 このような娘に 教えられるとは… 262 00:18:21,433 --> 00:18:23,685 おのが不明を恥じるばかりだ 263 00:18:24,520 --> 00:18:26,480 我が国の民の心に― 264 00:18:26,605 --> 00:18:29,191 このような誇りが 育っていようとはな 265 00:18:29,983 --> 00:18:31,360 王様… 266 00:18:31,777 --> 00:18:33,403 な… 貴様 267 00:18:33,529 --> 00:18:34,947 (女騎士)使者殿 268 00:18:35,572 --> 00:18:38,534 私は光の精霊の しもべの1人として― 269 00:18:39,284 --> 00:18:41,787 そなたの立ち居ふるまいが 恥ずかしい 270 00:18:42,371 --> 00:18:45,707 そして 中央の教会が したこともだ 271 00:18:46,166 --> 00:18:48,210 精霊様はおっしゃられた 272 00:18:48,502 --> 00:18:51,004 あなたは罪を おさめなければならない 273 00:18:51,338 --> 00:18:54,925 罪を犯す自由もまた 人間に与えた上で… 274 00:18:55,092 --> 00:18:59,221 な… 何を言っているか 分かっているのか 貴様たち! 275 00:18:59,346 --> 00:19:02,558 今ここに 高らかに宣言しよう 276 00:19:02,933 --> 00:19:04,184 我が冬の国は― 277 00:19:05,060 --> 00:19:07,938 紅の学士に 正式なる保護を与える 278 00:19:08,856 --> 00:19:10,440 (女騎士)湖畔修道会は― 279 00:19:10,774 --> 00:19:13,735 紅の学士を聖人として認める 280 00:19:14,903 --> 00:19:17,948 (農民A) 王様が学士様を お守りくださった! 281 00:19:18,448 --> 00:19:21,577 (農民B) やはり学士様は 異端なんかじゃなかっただ! 282 00:19:22,202 --> 00:19:25,205 (農民C) 修道会の人も聖人様って! 283 00:19:25,747 --> 00:19:28,834 (農民D) おらたちの学士様は聖人様だ 284 00:19:29,001 --> 00:19:30,210 けえれ! 285 00:19:30,335 --> 00:19:32,546 (農民E) 使者は国へけえれ! 286 00:19:33,172 --> 00:19:35,883 (女騎士) お引き取り願おう 使者殿 287 00:19:36,508 --> 00:19:41,013 これもまた お前たちの もくろみのうちなのであろうが― 288 00:19:41,513 --> 00:19:45,601 以降は別の形でお目にかかろう 今は お引き取りを 289 00:19:46,185 --> 00:19:49,771 覚えておれ この背教の国々めが 290 00:19:49,980 --> 00:19:52,983 精霊の子たる 中央協会に背いて― 291 00:19:53,108 --> 00:19:56,570 地上に存在できると 思わぬことだな! 292 00:20:00,616 --> 00:20:02,201 まったく… 293 00:20:03,118 --> 00:20:07,664 (群衆の歓声) 294 00:20:14,463 --> 00:20:17,299 (刻印王のうめき声) 295 00:20:17,507 --> 00:20:21,637 (刻印王) なぜ この者を捕らえた… 我が刻印の瞳よ 296 00:20:22,012 --> 00:20:26,475 いずれ世界のすべてを 手にする この僕に― 297 00:20:27,226 --> 00:20:29,937 何を伝えようとしているのだ? 298 00:20:34,066 --> 00:20:36,026 (勇者) 待ってろって言ったのに 299 00:20:36,151 --> 00:20:37,569 (メイド姉)ごめんなさい 300 00:20:37,986 --> 00:20:39,613 (勇者) でも マジですげえと思った 301 00:20:39,738 --> 00:20:40,530 (メイド姉)えっ? 302 00:20:41,073 --> 00:20:44,368 言葉だけで 軍隊を引かせられるんだな 303 00:20:47,996 --> 00:20:54,002 ♪~ 304 00:22:11,913 --> 00:22:17,919 ~♪ 305 00:22:21,757 --> 00:22:25,177 (光の精霊) 今までいくつもの光が 消えていった 306 00:22:25,802 --> 00:22:30,599 広くて狭いこの世界で 光が1つ消えるたび― 307 00:22:30,724 --> 00:22:33,393 私は痛みに貫かれる 308 00:22:34,144 --> 00:22:37,397 明滅する光は誕生と死 309 00:22:38,023 --> 00:22:42,402 私とあの人の願いどおり 世界は救われるかもしれない 310 00:22:43,278 --> 00:22:48,325 だけど ごめんなさい ごめんなさい 311 00:22:48,784 --> 00:22:52,079 世界を引き裂いたのも この私 312 00:22:52,204 --> 00:22:54,289 それは許されない罪 313 00:22:55,415 --> 00:22:58,794 黒髪をくぐり抜けた 指先の暖かさは― 314 00:22:58,919 --> 00:23:01,755 遠い遠い時の果て 315 00:23:02,005 --> 00:23:07,594 交わした言葉も 触れ合った指先も 頬をたたく天空の風も… 316 00:23:08,345 --> 00:23:12,599 再び出会った時 何と語りかけるべきなのだろう 317 00:23:12,974 --> 00:23:15,811 私は何と語りかけて 欲しいのだろう 318 00:23:18,647 --> 00:23:21,817 私が今 言えることは 決まっている 319 00:23:22,567 --> 00:23:28,240 すべての人々に救済を 世界に とわの平穏を 320 00:23:28,532 --> 00:23:32,619 そして願わくば 再会を