1 00:00:09,109 --> 00:00:15,115 ♬~ 2 00:00:15,115 --> 00:00:18,085 (結束いのり)〈氷の上〉 3 00:00:18,085 --> 00:00:20,087 〈世界一の選手でも→ 4 00:00:20,087 --> 00:00:23,090 やりたい技を 100パーセント成功させるのは→ 5 00:00:23,090 --> 00:00:25,092 難しい場所〉 6 00:00:25,092 --> 00:00:32,099 ♬~ 7 00:00:32,099 --> 00:00:37,104 〈世界中の選手が 失敗してしまう技を成功させ→ 8 00:00:37,104 --> 00:00:40,107 氷上であることを 忘れるくらい→ 9 00:00:40,107 --> 00:00:44,077 自由で 魅力的に踊れる 奇跡の人〉 10 00:00:45,078 --> 00:00:47,147 〈それが→ 11 00:00:47,147 --> 00:00:49,082 フィギュアスケートの 「強い選手」だ〉 12 00:00:49,082 --> 00:00:54,087 ♬~ 13 00:00:54,087 --> 00:00:59,059 ♬~ 14 00:00:59,059 --> 00:01:03,096 ♬~ 15 00:01:03,096 --> 00:01:05,065 (拍手と歓声) 16 00:01:05,065 --> 00:01:09,069 〈その美しい世界に たどり着くために→ 17 00:01:09,069 --> 00:01:14,074 代価もわからず飛び込んだ 夢見る小さな私たちは→ 18 00:01:14,074 --> 00:01:19,079 数えきれないものを 支払っていくんだ〉 19 00:01:22,049 --> 00:01:33,060 ♬~ 20 00:01:33,060 --> 00:01:37,030 (明浦路 司) もう4時か。 小学生が増えるわけだ。 21 00:01:37,030 --> 00:01:39,032 痛い! くっ…。 22 00:01:39,032 --> 00:01:41,068 ううっ…。 23 00:01:41,068 --> 00:01:45,038 ああっ…! ああ ああ ああ…。 24 00:01:45,038 --> 00:01:48,041 キャ~ッ! あっ…。 せめて謝って…。 25 00:01:48,041 --> 00:01:50,043 (女の子の泣き声) 26 00:01:50,043 --> 00:01:52,045 《5歳くらいか…》 27 00:01:52,045 --> 00:01:57,017 《俺も あのくらい小さな頃から始めていたら 今とは違う場所に…》 28 00:01:58,051 --> 00:02:02,022 14歳? 中学で初心者? はっ… 無理 無理! 29 00:02:05,025 --> 00:02:07,027 うっ…! (男の子たち)うわあっ! 30 00:02:08,061 --> 00:02:10,063 《もう帰ろう…》 31 00:02:12,032 --> 00:02:17,037 スケートの仕事があるっていうから 横浜から わざわざ来たのに→ 32 00:02:17,037 --> 00:02:21,041 今日は忙しいから 明日 話すって…。 33 00:02:21,041 --> 00:02:23,043 ネカフェにでも泊まるか。 34 00:02:23,043 --> 00:02:25,012 (物音) ん? 35 00:02:29,049 --> 00:02:32,119 《なんで 貸靴のカウンターから 子供が…?》 36 00:02:32,119 --> 00:02:39,026 ♬~ 37 00:02:39,026 --> 00:02:42,029 こんにちは。 38 00:02:42,996 --> 00:02:47,000 ちょっと ごめんね。 確認したいことがあって。 39 00:02:49,036 --> 00:02:53,040 今日は 一人で来たの? 入場券 見せてもらえるかな。 40 00:02:53,040 --> 00:02:55,042 あっ あっ…。 41 00:02:55,042 --> 00:02:57,044 お金 払った? 42 00:02:57,044 --> 00:02:59,012 ああ…。 43 00:03:00,013 --> 00:03:02,182 うわっ! あっ 待て コラ! 44 00:03:02,182 --> 00:03:06,019 《この俺が バイトで 練習代 絞り出してるってのに→ 45 00:03:06,019 --> 00:03:09,022 ガキのくせに 無銭滑りなど 許さん!》 46 00:03:09,022 --> 00:03:11,058 逃げるな! 47 00:03:11,058 --> 00:03:14,061 (瀬古間 衛)待ってください。 その子は…。 えっ? 48 00:03:16,029 --> 00:03:17,998 あっ…! 49 00:03:19,032 --> 00:03:21,034 ええ~…。 50 00:03:22,202 --> 00:03:24,171 …あっ! クソッ! 51 00:03:26,006 --> 00:03:29,109 《まだ そう遠くへは行ってないはず…》 52 00:03:29,109 --> 00:03:31,111 ⚞(物音) ん? 53 00:03:35,015 --> 00:03:37,017 《気のせいか…》 54 00:03:39,019 --> 00:03:41,021 はあーっ!? 55 00:03:41,021 --> 00:03:44,024 ど… どこ登ってんだ! 早く下り…! 56 00:03:44,024 --> 00:03:46,026 あっ! 57 00:03:48,061 --> 00:03:50,097 ああーっ! 58 00:03:50,097 --> 00:03:52,065 フンッ! 59 00:03:53,033 --> 00:03:55,001 うっ…! 60 00:03:57,037 --> 00:04:01,007 (泣き声) 61 00:04:01,007 --> 00:04:03,043 死なないで…。 62 00:04:03,043 --> 00:04:05,011 おーい 泣くな。 63 00:04:05,011 --> 00:04:08,181 俺は大丈夫… ううっ…。 64 00:04:08,181 --> 00:04:10,183 あっ… ああっ…。 65 00:04:11,051 --> 00:04:14,054 受付のおじさんの小鳥用に ミミズ渡して→ 66 00:04:14,054 --> 00:04:17,057 それと引き換えに リンクに入れてもらっているから→ 67 00:04:17,057 --> 00:04:20,026 タダで入ってるんじゃない… と。 68 00:04:20,026 --> 00:04:22,028 う… 嘘じゃないです! 69 00:04:22,028 --> 00:04:24,030 本当! 本当なんです! えーっと…。 70 00:04:24,030 --> 00:04:26,032 このミミズと! 71 00:04:26,032 --> 00:04:29,035 わ… わかった! わかったから見せないで! 72 00:04:29,035 --> 00:04:33,173 《あのじいさん それ口実に入れてあげてたのか》 73 00:04:33,173 --> 00:04:37,010 《よく 今まで こんなズルがバレずにいたもんだ》 74 00:04:37,010 --> 00:04:41,047 あの… 震えてますけど 大丈夫ですか? 75 00:04:41,047 --> 00:04:46,019 お兄さん ヘビ系が苦手なので 本当に もう見せないでね。 76 00:04:46,019 --> 00:04:48,155 はい…。 それより…→ 77 00:04:48,155 --> 00:04:53,126 逃げたってことは いけないことだって わかってたんだよね? 78 00:04:54,027 --> 00:04:56,029 だったら やめなきゃ。 79 00:04:56,029 --> 00:05:00,033 他の人もやったら スケートリンクが貧乏になっちゃうよ。 80 00:05:00,033 --> 00:05:03,036 はい…。 《とっても素直じゃん…》 81 00:05:04,037 --> 00:05:07,040 ん? その本…。 82 00:05:07,040 --> 00:05:12,045 懐かしい! スケートの教本だよね。 俺も読んでたなあ。 83 00:05:13,046 --> 00:05:15,048 あっ これ…。 84 00:05:15,048 --> 00:05:20,053 私 フィギュアスケート どうしても やりたかったんですけど→ 85 00:05:20,053 --> 00:05:23,056 お母さんは 怪我するからダメって…。 86 00:05:23,056 --> 00:05:26,059 でも いっぱい練習して 頑張ればって…。 87 00:05:26,059 --> 00:05:28,061 ちゃんと言ったの? えっ? 88 00:05:28,061 --> 00:05:31,064 お母さんに やりたいって言ったの? 89 00:05:32,065 --> 00:05:34,134 うーん…。 90 00:05:34,134 --> 00:05:39,039 これ 名古屋にある フィギュアスケートクラブの連絡先一覧。 91 00:05:39,039 --> 00:05:44,044 お母さんに話して 自分に合いそうなクラブに連絡してもらいな。 92 00:05:46,112 --> 00:05:49,049 先生は どこのクラブのコーチなんですか? 93 00:05:49,049 --> 00:05:51,051 えっ? あっ… 俺? 94 00:05:51,051 --> 00:05:53,019 ん? 95 00:05:53,019 --> 00:05:56,056 俺は 別に コーチなんかじゃ…。 96 00:05:56,056 --> 00:05:59,159 (携帯電話のアラーム) あっ…。 97 00:05:59,159 --> 00:06:01,061 もう6時!? 98 00:06:01,061 --> 00:06:05,031 じゃあ もう ミミズはダメだぞ! は… はい! 99 00:06:05,031 --> 00:06:09,202 あっ… 今 何年生? 5年生です。 100 00:06:09,202 --> 00:06:11,037 11歳くらいか…。 101 00:06:11,037 --> 00:06:15,075 本気で 選手 目指すなら ギリギリの年だぞ。 102 00:06:15,075 --> 00:06:19,045 帰ったら お母さんに すぐ言えよ。 じゃあな。 103 00:06:26,052 --> 00:06:28,054 ただいま。 104 00:06:28,054 --> 00:06:31,057 (結束のぞみ)おかえり。 遅かったわね。 105 00:06:31,057 --> 00:06:34,194 うん…。 お母さん あのね…。 106 00:06:34,194 --> 00:06:36,062 (のぞみ)今日も 宿題 あるんでしょ? 107 00:06:36,062 --> 00:06:39,065 忘れないうちに やっておきなさい。 108 00:06:39,065 --> 00:06:41,034 あっ… うん…。 109 00:06:46,039 --> 00:06:50,043 ご… ごめんね。 あの… 私 何やれば…。 110 00:06:51,011 --> 00:06:55,048 (生徒)何もしなくていいよ。 (生徒)どうせ 頼んでも できないじゃん。 111 00:06:55,048 --> 00:06:58,018 (生徒) 大丈夫。 全部 私たちでやっちゃうから。 112 00:06:58,018 --> 00:07:00,020 (生徒)いのりちゃんは 待ってて。 113 00:07:00,020 --> 00:07:02,022 うん…。 114 00:07:03,023 --> 00:07:06,026 うまく描けた? 結構 描けたかも。 115 00:07:08,028 --> 00:07:10,997 《スケート… やりたい…》 116 00:07:12,098 --> 00:07:14,034 あっ…。 117 00:07:14,034 --> 00:07:18,038 《また 瀬古間さんにミミズあげて スケート場に…》 118 00:07:18,038 --> 00:07:21,041 いけないことだって わかってたんだよね? 119 00:07:21,041 --> 00:07:23,043 だったら やめなきゃ。 120 00:07:23,043 --> 00:07:25,011 あっ…。 121 00:07:27,013 --> 00:07:32,018 (司の声)本気で 選手 目指すなら ギリギリの年だぞ。 122 00:07:32,018 --> 00:07:35,021 (泣き声) 123 00:07:36,022 --> 00:07:38,058 アシスタントコーチ? 124 00:07:38,058 --> 00:07:40,026 (高峰 瞳)そう! 司くんなら→ 125 00:07:40,026 --> 00:07:44,030 私と一緒に アイスダンスで 全日本に出た実績があるでしょ。 126 00:07:44,030 --> 00:07:48,034 (瞳)クラブに推薦すれば すぐ オーケーは出ると思う。 127 00:07:48,034 --> 00:07:51,037 コーチか…。 えっ? 嫌なの? 128 00:07:51,037 --> 00:07:56,042 全日本は みんな 瞳さんの実力で出たと思ってるよ。 129 00:07:56,042 --> 00:07:59,045 アイスダンスは 2人の競技でしょ。 130 00:07:59,045 --> 00:08:02,015 でも 実感がないんだ。 131 00:08:03,016 --> 00:08:08,054 だからって オーディション受かるまで フリーター続けるつもり? 132 00:08:08,054 --> 00:08:10,023 (ため息) 133 00:08:10,023 --> 00:08:14,027 もう 司くん 26でしょ? ほとんど収入ないんでしょ? 134 00:08:15,028 --> 00:08:19,032 別に アイスショーの仕事を諦めろとは 言わない。 135 00:08:19,032 --> 00:08:23,069 でも アシスタントコーチも 立派なスケートの仕事よ。 136 00:08:23,069 --> 00:08:25,038 (ドアの開く音) 137 00:08:25,038 --> 00:08:30,176 あの… ルクス東山の高峰先生ですか? 138 00:08:30,176 --> 00:08:33,013 お電話させていただいた 結束ですけど。 139 00:08:33,013 --> 00:08:36,015 あっ こんにちは。 お待ちしておりました。 140 00:08:36,015 --> 00:08:39,052 すみません お忙しい中…。 141 00:08:39,052 --> 00:08:41,054 いのり。 142 00:08:42,055 --> 00:08:44,057 ああっ! 143 00:08:44,057 --> 00:08:46,059 (瞳)もしかして 知り合い? 144 00:08:46,059 --> 00:08:49,029 あっ うん。 少し…。 145 00:08:49,029 --> 00:08:54,034 じゃあ 同席したら? コーチの仕事 少しはわかると思うし。 146 00:08:55,068 --> 00:08:59,038 はい お菓子。 ちゃんと お母さんに言えたじゃん。 147 00:09:00,039 --> 00:09:02,042 …ん? 148 00:09:02,042 --> 00:09:06,045 (瞳)初心者には まず こちらのスクールを おすすめしております。 149 00:09:06,045 --> 00:09:09,015 週1でしたら レッスン料もお得ですし。 150 00:09:09,015 --> 00:09:12,052 でも 卒業までに2年かかるんですよね。 151 00:09:12,052 --> 00:09:14,053 あら お詳しいんですね。 152 00:09:14,053 --> 00:09:17,057 (のぞみ)はい。 上の子も フィギュアスケートをやっていたもので…。 153 00:09:17,057 --> 00:09:19,025 そうなんですか? 154 00:09:19,025 --> 00:09:22,028 はい。 5歳から やっていたんですが…。 155 00:09:23,029 --> 00:09:25,031 ああっ…! 156 00:09:25,031 --> 00:09:26,100 (のぞみの声)いろいろあって 結局…。 157 00:09:26,100 --> 00:09:30,003 つらい思いをさせてしまいました。 158 00:09:31,037 --> 00:09:36,042 だから この子には そんな思いをさせたくないんです。 159 00:09:38,044 --> 00:09:44,017 (のぞみ)それに この子 学校の成績も悪くて 先生にも心配されてて。 160 00:09:44,017 --> 00:09:47,053 勉強との両立なんて とても…。 161 00:09:47,053 --> 00:09:49,122 じゃあ どうして…? 162 00:09:49,122 --> 00:09:54,027 あんまり やりたいと言うものですから いくつかクラブ回って→ 163 00:09:54,027 --> 00:09:57,997 直接 先生の口から断られたら 諦めるだろうって。 164 00:09:59,032 --> 00:10:03,002 た… 例えばですけど クラブに直接入って 個人レッスン…。 165 00:10:03,002 --> 00:10:05,171 無駄です。 あっ あっ…。 166 00:10:05,171 --> 00:10:09,008 上の子がやっていたので フィギュアスケートが どんな世界なのか→ 167 00:10:09,008 --> 00:10:11,044 なんとなくは わかっているつもりです。 168 00:10:11,044 --> 00:10:16,015 今からでは 5歳から始めている子に 追いつけるはずがないでしょう? 169 00:10:17,016 --> 00:10:19,018 いのり あれ見て。 170 00:10:20,120 --> 00:10:22,021 (のぞみ)みんな すごく上手だよ。 171 00:10:22,021 --> 00:10:25,158 あんな小さい子がジャンプしてる。 172 00:10:25,158 --> 00:10:30,130 これから いのりが あの中に入っても みじめな思いをするだけよ。 173 00:10:33,099 --> 00:10:36,002 とりあえず 一回 滑らせてみましょう。 174 00:10:36,002 --> 00:10:38,037 えっ? でも…。 175 00:10:38,037 --> 00:10:42,008 今から始めて 本当に無駄か 僕が判断しますよ。 176 00:10:45,211 --> 00:10:47,213 司くん ちょっと…。 あっ…。 177 00:10:48,014 --> 00:10:51,017 ご… ごめん! なんか 聞いてたら 黙ってられなく…。 178 00:10:51,017 --> 00:10:54,020 ナイスアイデアパーンチ! 179 00:10:54,020 --> 00:10:57,023 あの子 褒めてあげて ここに入れるつもりでしょ! 180 00:10:57,023 --> 00:11:02,028 賢いじゃ~ん。 やっぱり 向いてるって アシスタントコーチ。 181 00:11:02,028 --> 00:11:06,032 えっ? いや 気づいたら 勝手に口が動いてただけで…。 182 00:11:06,032 --> 00:11:08,101 ただし! 褒め方は気をつけて! 183 00:11:08,101 --> 00:11:10,069 周りには 他の親御さんもいる。 184 00:11:10,069 --> 00:11:14,040 「ひいきしてる」とかになると 本当 大変だから…。 185 00:11:14,040 --> 00:11:17,043 司くんは 特に 声 大きいから 注意して! 186 00:11:17,043 --> 00:11:19,012 わ… わかった。 187 00:11:19,012 --> 00:11:23,016 それと 本格的にやると 本当にお金がかかるのが→ 188 00:11:23,016 --> 00:11:25,051 フィギュアスケートよ。 189 00:11:25,051 --> 00:11:28,054 投げ出されたら 本人と同じぐらい 家族もつらい。 190 00:11:28,054 --> 00:11:32,025 それは覚えておいて。 ああ…。 191 00:11:33,026 --> 00:11:37,030 サイズは 21じゃなくて 22でいいの? 192 00:11:37,030 --> 00:11:39,032 うん…。 193 00:11:39,032 --> 00:11:41,034 《落ち込みすぎ…!》 194 00:11:41,034 --> 00:11:46,072 《なんとかしてあげたいけど 瞳さんの言うことも もっともだしな…》 195 00:11:46,072 --> 00:11:48,141 ごめんなさい…。 ん…? 196 00:11:48,141 --> 00:11:53,046 やっぱり ズルなんかしないで もっと早く やりたいって言ってれば→ 197 00:11:53,046 --> 00:11:55,048 スケート できたのかな…。 198 00:11:56,049 --> 00:11:59,018 《もっと早く始めていれば…》 199 00:12:01,054 --> 00:12:04,057 ほら 足 入れて。 は… はい。 200 00:12:06,059 --> 00:12:10,029 偉そうなこと言ったけど 俺は 親には言えなかったよ。 201 00:12:10,029 --> 00:12:11,998 えっ? 202 00:12:13,066 --> 00:12:16,035 君は 十分偉い。 203 00:12:16,035 --> 00:12:18,037 あっ…。 204 00:12:24,978 --> 00:12:27,981 準備はいい? はい。 205 00:12:29,015 --> 00:12:31,017 (瞳)ちょっと… ヘルメットは!? 206 00:12:31,017 --> 00:12:32,986 あっ! ちょっと 待っ…。 207 00:12:34,020 --> 00:12:35,989 《速い!》 208 00:12:36,990 --> 00:12:38,992 《ただ滑っているだけなのに→ 209 00:12:38,992 --> 00:12:41,961 通ったあとに 星が舞うように見える》 210 00:12:46,100 --> 00:12:49,002 《なんなんだ? この子…》 211 00:12:49,002 --> 00:12:53,006 《氷の上だと まるで別人じゃないか!》 212 00:12:54,007 --> 00:12:55,975 才能… あります。 213 00:12:55,975 --> 00:12:57,977 (のぞみ・瞳)えっ? 214 00:12:57,977 --> 00:13:01,014 もしかして 無理に褒めて クラブに入れさせようと…。 215 00:13:01,014 --> 00:13:03,016 (瞳)ハハハ… まさか…。 216 00:13:03,016 --> 00:13:06,019 司くん! 言葉のチョイス! 217 00:13:06,019 --> 00:13:08,021 (せき払い) 218 00:13:08,021 --> 00:13:10,089 じゃあ 基礎の滑り やってみようか。 219 00:13:10,089 --> 00:13:13,092 まず ひょうたん。 わかる? はい。 220 00:13:14,027 --> 00:13:16,029 ひょうたん。 221 00:13:16,029 --> 00:13:18,031 バックの ひょうたん。 222 00:13:18,031 --> 00:13:20,033 T字ストップ。 223 00:13:20,033 --> 00:13:23,036 スクール行く必要ないです! すぐ クラブに入れましょう! 224 00:13:23,036 --> 00:13:25,038 ちょ… ちょっと… 声! 225 00:13:25,038 --> 00:13:30,009 でも 正直 驚きました。 あの子 いつの間に…。 226 00:13:31,010 --> 00:13:33,012 スネーク。 227 00:13:33,012 --> 00:13:35,014 フォアクロス。 228 00:13:35,014 --> 00:13:38,017 天才ですよ 天才! (瞳)だから 声! 229 00:13:38,017 --> 00:13:42,021 《そうだ この子は 転ぶのを怖がらないんだ》 230 00:13:42,021 --> 00:13:45,024 《一人で練習して 何度も転んでいるうちに→ 231 00:13:45,024 --> 00:13:46,993 恐怖を自然と克服しているんだ》 232 00:13:47,994 --> 00:13:50,029 じゃあ スケーティングやってみようか。 233 00:13:50,029 --> 00:13:52,031 スケーティング? 234 00:13:52,031 --> 00:13:53,100 これ… じゃなくて? 235 00:13:53,100 --> 00:13:59,005 違うよ。 フィギュアスケートの美しい進み方だ。 236 00:13:59,005 --> 00:14:03,009 見て。 スケートは 靴のブレードの 2本のエッジで滑る。 237 00:14:03,009 --> 00:14:05,011 インサイドエッジと→ 238 00:14:05,011 --> 00:14:06,979 アウトサイドエッジ。 239 00:14:08,214 --> 00:14:11,984 この2本の使い分けを覚えるのが スケーティングの第一歩。 240 00:14:11,984 --> 00:14:15,988 まず最初は 足は約45度。 241 00:14:15,988 --> 00:14:18,991 ひざを しっかり曲げて 手は水平。 242 00:14:18,991 --> 00:14:23,096 足首を親指側に傾け インのエッジにして→ 243 00:14:23,096 --> 00:14:26,065 ブレード全体で 氷を押す。 244 00:14:27,066 --> 00:14:31,003 この時 氷についてない足 フリーレッグを引き上げると→ 245 00:14:31,003 --> 00:14:33,973 かっこ良く見えるけど 最初は無理しなくていい。 246 00:14:35,007 --> 00:14:37,009 足 長い…。 247 00:14:37,009 --> 00:14:40,012 前進後は 曲げた軸足を起こして→ 248 00:14:40,012 --> 00:14:41,981 フリーレッグを引き寄せ→ 249 00:14:41,981 --> 00:14:43,983 引き寄せきったら→ 250 00:14:43,983 --> 00:14:47,987 軸にしていた足を インエッジ側に傾けて 押し出し→ 251 00:14:47,987 --> 00:14:51,991 押し出された足を軸足に変えて 氷を押す。 252 00:14:51,991 --> 00:14:53,993 その繰り返しだ。 253 00:14:53,993 --> 00:14:56,996 えっと… 足を こうして…。 254 00:14:56,996 --> 00:15:01,000 ああ… あれ? 全然 進まない…。 255 00:15:01,000 --> 00:15:05,004 前かがみになると ブレーキがかかるから 顔を引いて。 256 00:15:05,004 --> 00:15:08,007 顔を… うわあっ…! 257 00:15:08,007 --> 00:15:10,977 あっ… おい! 大丈夫か!? 258 00:15:12,979 --> 00:15:16,015 やっぱり 私 ダメなんでしょうか…。 259 00:15:16,015 --> 00:15:18,985 《この子も 大概 極端だな》 260 00:15:19,986 --> 00:15:24,023 スケーティングは 一日やそこらでは ものにはならない。 261 00:15:24,023 --> 00:15:26,993 自分だけの重心の一点を探して→ 262 00:15:26,993 --> 00:15:31,998 何度も練習を重ねて 磨き続けていくものなんだ。 263 00:15:31,998 --> 00:15:33,100 もう一度 やってみよう。 264 00:15:35,001 --> 00:15:37,003 はい! 265 00:15:38,004 --> 00:15:41,007 こうやって… こう…。 266 00:15:41,007 --> 00:15:44,010 足先を もっと伸ばせる? はい! 267 00:15:44,010 --> 00:15:47,013 《のみ込みが早い! 楽しい!》 268 00:15:47,013 --> 00:15:50,016 いのり… すごいよ! できてる! 269 00:15:50,016 --> 00:15:52,018 あっ…。 270 00:15:52,018 --> 00:15:55,021 お母さん 今 褒めてくれたの!? 271 00:15:55,021 --> 00:15:56,989 すごいね いのり。 272 00:15:56,989 --> 00:16:01,994 こんなにできるなんて… お母さん 感激しちゃった。 273 00:16:01,994 --> 00:16:04,230 じゃあ スケートを…! 274 00:16:04,230 --> 00:16:05,998 (のぞみ)それはダメ。 (瞳・司)ええっ!? 275 00:16:05,998 --> 00:16:10,002 とにかく この子には スケートをやらせたくないんです。 276 00:16:10,002 --> 00:16:13,072 でも…。 (のぞみ)上の子を見て 思ったんです。 277 00:16:13,072 --> 00:16:17,076 5歳から 遊びもせず スケートだけを頑張って→ 278 00:16:17,076 --> 00:16:21,013 それでも 結果が出ずに 諦めて…。 279 00:16:21,013 --> 00:16:24,984 やめる時は 本当に かわいそうだった。 280 00:16:27,019 --> 00:16:30,022 この子は まだ スケート以外の夢を 知らないだけです。 281 00:16:30,022 --> 00:16:35,995 頑張っても報われないと わかっているものに 時間とお金をかけないでほしい。 282 00:16:35,995 --> 00:16:38,998 親として そう考えるのは おかしいでしょうか? 283 00:16:41,000 --> 00:16:44,036 《この人の言うとおりだ》 284 00:16:44,036 --> 00:16:49,041 《11からスケートを始めることが どんなに大変か…》 285 00:16:49,041 --> 00:16:52,011 《遅くから始めた俺が 一番わかってるはずじゃ…》 286 00:16:52,011 --> 00:16:56,015 私… 私は 今が嫌なの! 287 00:16:56,015 --> 00:16:58,017 いのり…? 288 00:16:58,017 --> 00:17:00,086 (荒い息遣い) 289 00:17:00,086 --> 00:17:05,024 私… スケート 絶対 やりたかったの…! 290 00:17:05,024 --> 00:17:07,026 ス… スケートは→ 291 00:17:07,026 --> 00:17:12,031 お姉ちゃんも やめちゃうくらい 大変なんだって ちゃんと知ってる。 292 00:17:12,031 --> 00:17:18,004 私のせいで お母さんに いっぱい迷惑かけてるのも知ってる。 293 00:17:18,004 --> 00:17:22,008 い… いつも ごめんなさいって思ってた。 294 00:17:22,008 --> 00:17:26,012 もう これ以上 困らせちゃダメだって…。 295 00:17:26,012 --> 00:17:29,015 わがまま言っちゃダメだって…。 296 00:17:29,015 --> 00:17:33,019 でも… ずっとずっと やりたかった…。 297 00:17:33,019 --> 00:17:35,988 私のお守りだったの! 298 00:17:35,988 --> 00:17:40,993 スケートのこと 考えると 学校での嫌なことも気にならなかった。 299 00:17:40,993 --> 00:17:44,997 みんなができないスケートが 私にはできるって思えた。 300 00:17:44,997 --> 00:17:48,000 でも 本当は それも ただのまねっこ…。 301 00:17:48,000 --> 00:17:51,003 私… なんにもない! 302 00:17:54,006 --> 00:17:58,978 私 ダメじゃない部分がある自分になりたい。 303 00:17:58,978 --> 00:18:03,015 私にも 誰かに負けないぐらい 好きなことがあるって…→ 304 00:18:03,015 --> 00:18:07,019 上手にできることがあるって…。 305 00:18:07,019 --> 00:18:11,991 私は恥ずかしくないって 思いたいの! 306 00:18:11,991 --> 00:18:20,100 ♬~ 307 00:18:20,100 --> 00:18:23,002 お母さん。 えっ…? 308 00:18:23,002 --> 00:18:25,004 もう さっさとやらせましょう。 309 00:18:25,004 --> 00:18:28,007 (のぞみ)さっさと…? (瞳)やらせましょう!? 310 00:18:28,007 --> 00:18:30,977 もちろん オリンピック選手みたいになれる保証は→ 311 00:18:30,977 --> 00:18:33,012 どこにもありません。 312 00:18:33,012 --> 00:18:37,984 けど この子には スケートを続けるのに 絶対に必要な能力がある。 313 00:18:37,984 --> 00:18:40,987 リンクにかける執念が! 314 00:18:41,988 --> 00:18:48,060 フィギュアスケートは 時間も費用も 他の習い事の比じゃないくらいかかる。 315 00:18:48,060 --> 00:18:53,100 それを乗り越えるには 本人の 強い前向きな意思が必要なんです。 316 00:18:53,100 --> 00:18:56,068 でも 他の子は 5歳から始めて…。 317 00:18:56,068 --> 00:18:58,004 5歳 5歳って…。 318 00:18:58,004 --> 00:19:01,007 うわ~ん! もう帰る~! 319 00:19:01,007 --> 00:19:04,010 その年から バリバリ練習できる子なんて そういないんですよ! 320 00:19:04,010 --> 00:19:06,979 (瞳)司くん 声。 321 00:19:06,979 --> 00:19:08,981 《バカか 俺は…》 322 00:19:08,981 --> 00:19:11,017 《なんで ためらった!?》 323 00:19:11,017 --> 00:19:15,021 《誰よりも この子の気持ちがわかるのは 俺じゃないか!》 324 00:19:15,021 --> 00:19:19,025 《何歳からだろうが 自信がなかろうが→ 325 00:19:19,025 --> 00:19:21,994 諦められるはずないんだ!》 326 00:19:21,994 --> 00:19:24,997 《あの時 俺は どうしてほしかった!?》 327 00:19:24,997 --> 00:19:28,000 《何を願っていた!?》 328 00:19:28,000 --> 00:19:35,007 ♬~ 329 00:19:35,007 --> 00:19:38,010 俺が この子のコーチになります! 330 00:19:38,010 --> 00:19:40,980 コーチとして スケートを教えます! 331 00:19:42,014 --> 00:19:45,217 この子は ここまで 一人で覚えてきたんですよ。 332 00:19:45,217 --> 00:19:47,019 今からでも追いつける! 333 00:19:47,019 --> 00:19:50,222 この子は 上達する才能が かなりある! 334 00:19:50,222 --> 00:19:53,025 痛みを怖がらない。 体幹がいい。 335 00:19:53,025 --> 00:19:56,062 人の話が聞ける。 意欲がある。 336 00:19:56,062 --> 00:20:02,034 お母さんが 練習に連れてきてさえくだされば この子は 絶対に 才能を開花できると思う。 337 00:20:02,034 --> 00:20:04,036 いや 「思う」じゃない。 338 00:20:04,036 --> 00:20:09,008 俺が 全日本選手権に出場できる 選手にしてみせます! 339 00:20:09,008 --> 00:20:11,010 よろしくお願いします! 340 00:20:13,012 --> 00:20:15,014 あっ…。 341 00:20:15,014 --> 00:20:18,017 ああ~…! 342 00:20:18,017 --> 00:20:21,020 (のぞみ)そ… そこまで…→ 343 00:20:21,020 --> 00:20:24,023 先生がおっしゃるなら…。 344 00:20:25,024 --> 00:20:27,026 ああっ…! 345 00:20:27,026 --> 00:20:29,028 やったー! 346 00:20:29,028 --> 00:20:33,032 (泣き声) 347 00:20:33,032 --> 00:20:36,001 よかったな! あっ えーっと… 名前…。 348 00:20:36,001 --> 00:20:38,003 いのりです…。 349 00:20:39,004 --> 00:20:41,006 結束いのりです! 350 00:20:41,006 --> 00:20:43,008 はっ…。 351 00:20:45,010 --> 00:20:47,012 超いい名前じゃん。 352 00:20:47,012 --> 00:20:48,981 フフッ…。 353 00:20:50,015 --> 00:21:20,012 ♬~ 354 00:21:20,012 --> 00:21:48,974 ♬~ 355 00:21:48,974 --> 00:22:17,970 ♬~ 356 00:22:20,039 --> 00:22:24,009 (チャイム) (生徒)起立! 礼! 357 00:22:24,009 --> 00:22:26,011 さよなら~! 358 00:22:26,011 --> 00:22:29,014 いのりちゃん 前から あんな感じだっけ? 359 00:22:29,014 --> 00:22:32,017 最近 すっごく元気だよね。 360 00:22:32,017 --> 00:22:35,020 (生徒)なんか ちょっと 楽しそう。 361 00:22:37,022 --> 00:22:42,027 (瞳)あれから 大変だったんだからね! 親御さんたちからの圧がハンパなくて! 362 00:22:42,027 --> 00:22:46,031 ひいきっぽい褒め方は 心の中だけにしてよ! 363 00:22:46,031 --> 00:22:49,034 …ん? わかりました。 364 00:22:49,034 --> 00:22:54,039 その「俺 そんなことしたことありませんが」 みたいな顔 やめてくれる? 365 00:22:54,039 --> 00:22:58,010 司先生! こんにちは! 366 00:22:58,010 --> 00:23:00,079 はあっ…! 367 00:23:00,079 --> 00:23:04,049 笑顔が誰よりも天才! だから 声って言ってるでしょ!