1 00:00:02,636 --> 00:00:07,140 (薬売り)人は変わるもの。 時は うつろうもの。 2 00:00:07,140 --> 00:00:09,810 海は たゆとうもの。 3 00:00:09,810 --> 00:00:13,480 同じ港を目指し 船出したとて➡ 4 00:00:13,480 --> 00:00:17,451 見える海原 波の色 高さは➡ 5 00:00:17,451 --> 00:00:21,121 それぞれ相たがえるもの。 6 00:00:21,121 --> 00:00:25,158 アヤカシ モノノ怪 海坊主。 7 00:00:25,158 --> 00:00:30,631 人の心に闇あるかぎり おとなうものは絶えずして➡ 8 00:00:30,631 --> 00:00:35,636 迎え いざなう声こそ 恐るるべし。 9 00:02:23,510 --> 00:02:28,682 《加世:確かに この薬売りさんは 坂井の化猫騒動をおさめた。 10 00:02:28,682 --> 00:02:32,853 でも 結局 坂井家は 取り潰しになっちゃったし➡ 11 00:02:32,853 --> 00:02:36,690 誰が本当に 助けられたのかというと…。 12 00:02:36,690 --> 00:02:40,227 本当は この人 誰の味方なの?》 13 00:02:40,227 --> 00:02:44,164 あんまり怖い顔していると 嫁のもらい手がなくなる。 14 00:02:44,164 --> 00:02:46,466 大きなお世話です! 15 00:02:48,535 --> 00:02:52,172 聞いても本当のこと 言いそうにないけど 聞きます。 16 00:02:52,172 --> 00:02:55,809 薬売りさんが羅針盤を 細工したんじゃないんですよね? 17 00:02:55,809 --> 00:02:58,679 どうだかね。 むぅ~。 18 00:03:00,747 --> 00:03:04,651 羅針盤に 細工はしなかったとしても➡ 19 00:03:04,651 --> 00:03:06,653 私も この龍の三角➡ 20 00:03:06,653 --> 00:03:10,157 アヤカシの海へ 連れて来られたんですよ。 21 00:03:12,492 --> 00:03:14,995 誰に? (鈴の音) 22 00:03:14,995 --> 00:03:19,499 はあ? この剣って 命を持ってるとか? 23 00:03:19,499 --> 00:03:22,002 さあ どうだか。 24 00:03:22,002 --> 00:03:24,004 あのね 薬売りさん! 25 00:03:24,004 --> 00:03:27,174 あなたが なんだか すごい人だってことは認めるわよ。 26 00:03:27,174 --> 00:03:29,176 でもね だからって➡ 27 00:03:29,176 --> 00:03:32,145 その もったいぶった態度は あんまりだと思うのよ。 28 00:03:32,145 --> 00:03:36,149 そんなんじゃ 女の子にモテませんからね! 29 00:03:36,149 --> 00:03:39,319 はい はい。 30 00:03:39,319 --> 00:03:43,457 前に アヤカシとモノノ怪は 違うって言ってましたよね。 31 00:03:43,457 --> 00:03:45,659 同じようなもんじゃ ないんですか? 32 00:03:45,659 --> 00:03:49,830 だって アヤカシも八百万の神様も 同じようなもんだって。 33 00:03:49,830 --> 00:03:54,201 うつし世に 人や獣や鳥がいるのと等しく➡ 34 00:03:54,201 --> 00:03:57,971 この世ならざるアヤカシも あまねく いるものだ。 35 00:03:57,971 --> 00:04:01,475 アヤカシって 人が死んだら なるものなんですか? 36 00:04:01,475 --> 00:04:03,844 (幻殃斉)という者もいる。 37 00:04:03,844 --> 00:04:06,913 先刻の船幽霊も その手合いだろうて。 38 00:04:06,913 --> 00:04:08,915 だが それだけではなく➡ 39 00:04:08,915 --> 00:04:13,153 物や道具に魂が宿ることもあるし 千差万別よ。 40 00:04:13,153 --> 00:04:16,156 ただ どういう筋でなったにせよ➡ 41 00:04:16,156 --> 00:04:18,825 アヤカシの道理は人にはわからん。 42 00:04:18,825 --> 00:04:20,827 じゃあ モノノ怪は? 43 00:04:20,827 --> 00:04:23,797 モノノ怪の「怪」って もともと何か知っているか? 44 00:04:23,797 --> 00:04:27,467 知らないから聞いてるんでしょ。 病のことよ。 45 00:04:27,467 --> 00:04:29,836 そして モノとは荒ぶる神のこと。 46 00:04:29,836 --> 00:04:34,674 ってことは モノノ怪は 人を病のように たたる…。 47 00:04:34,674 --> 00:04:37,811 恨み 悲しみ 憎しみ。 48 00:04:37,811 --> 00:04:42,182 激しい人の情念が アヤカシと結びつくと どうなるか。 49 00:04:42,182 --> 00:04:46,520 もはや封印の呪符など効かぬ 魔羅の鬼。 50 00:04:46,520 --> 00:04:49,856 (兵衛)しかし その退魔の剣なら斬れると。 51 00:04:49,856 --> 00:04:52,159 ただし モノノ怪の…。 52 00:04:52,159 --> 00:04:56,830 (加世) 形と真と理がなくては抜けない。 53 00:04:56,830 --> 00:05:00,834 お主が言う 真と理とは何だ? 54 00:05:00,834 --> 00:05:04,771 真とは 事のありさま。 55 00:05:04,771 --> 00:05:09,176 理とは 心のありさま。 56 00:05:09,176 --> 00:05:11,678 ほう? ありさまとな。 57 00:05:11,678 --> 00:05:14,848 じゃあ この海には アヤカシだけじゃなくって➡ 58 00:05:14,848 --> 00:05:17,551 モノノ怪もいるってことなんですか? 59 00:05:22,989 --> 00:05:25,025 ん? 60 00:05:25,025 --> 00:05:26,993 ん? えっ? 61 00:05:26,993 --> 00:05:28,995 ん? ん? 62 00:05:31,164 --> 00:05:33,166 (菖源)ひあ~っ! 63 00:05:33,166 --> 00:05:36,336 まったく 頼りにならぬ坊主どもだ。 64 00:05:36,336 --> 00:05:39,506 アヤカシだろうがモノノ怪だろうが➡ 65 00:05:39,506 --> 00:05:43,210 次こそは 我が呪法にて 退散させてみせようぞ。 66 00:05:45,145 --> 00:05:47,347 一緒に来てくださいよ。 67 00:05:47,347 --> 00:05:50,517 今 行きますよ。 68 00:05:50,517 --> 00:05:55,789 だが… 少々やっかいですよ。 69 00:06:09,135 --> 00:06:11,137 (多門)鬼火が こんなに! 70 00:06:11,137 --> 00:06:14,140 明るいのはよいが 面妖な…。 (琵琶) 71 00:06:14,140 --> 00:06:16,810 へさきのほうから 何か来る! 72 00:06:16,810 --> 00:06:25,285 (琵琶) 73 00:06:25,285 --> 00:06:27,654 あれが アヤカシ!? 74 00:06:27,654 --> 00:06:29,789 一太刀で斬れそうだ。 75 00:06:29,789 --> 00:06:32,792 (琵琶) 76 00:06:32,792 --> 00:06:36,496 あぁ やはりアヤカシだ。 宙を飛んでいる。 77 00:06:36,496 --> 00:06:41,134 あれは海座頭だ。 刀で斬れる手合いではない。 78 00:06:41,134 --> 00:06:43,103 では どうする? 79 00:06:46,139 --> 00:06:48,642 フフッ アイツは問うてくる。 80 00:06:48,642 --> 00:06:51,578 自分の姿が怖いかと。 81 00:06:51,578 --> 00:06:56,149 怖いと答えてはならない。 怖くないと答えてやるのだ。 82 00:06:56,149 --> 00:06:58,685 そうしたら 去ってくれるんでしょうか。 83 00:06:58,685 --> 00:07:02,289 ん? いや いや待て。 84 00:07:02,289 --> 00:07:05,125 えぇ… おぉ そうだ。 85 00:07:05,125 --> 00:07:08,461 この旅の行く先に 何があるか わからない。 86 00:07:08,461 --> 00:07:12,299 それが いちばん怖いと 答えればよいのだ。 87 00:07:12,299 --> 00:07:15,802 (琵琶) 88 00:07:15,802 --> 00:07:18,471 (海座頭)船の者たちに問う。 89 00:07:18,471 --> 00:07:20,440 ほら きた。 90 00:07:20,440 --> 00:07:22,842 一人一人に問う。 91 00:07:22,842 --> 00:07:26,479 答えねば 生きた亡者となって とわに➡ 92 00:07:26,479 --> 00:07:29,950 この海を さまようであろう。 93 00:07:29,950 --> 00:07:32,152 おぉ 問うがよい! 94 00:07:32,152 --> 00:07:34,220 よいな。 あ… はい。 95 00:07:40,660 --> 00:07:47,701 お前が恐ろしいことは… 何だ? 96 00:07:47,701 --> 00:07:49,803 えっ あっ 私…。 97 00:07:49,803 --> 00:07:53,440 この旅の先に何があるのか わ… わ… わからな…。 98 00:07:53,440 --> 00:07:58,878 お前が 本当に恐ろしいことは何だ? 99 00:07:58,878 --> 00:08:02,615 本当は か… か… 金をすべて失い➡ 100 00:08:02,615 --> 00:08:05,652 一文無しに なってしまうことでございます。 101 00:08:05,652 --> 00:08:07,620 (幻殃斉)あぁ…。 102 00:08:07,620 --> 00:08:11,925 (琵琶) 103 00:08:18,798 --> 00:08:22,469 うっ… うぅ… うがぁ…。 104 00:08:22,469 --> 00:08:26,473 ぐはっ… ぐはっ… ぐへぇ~! 105 00:08:32,879 --> 00:08:35,648 南蛮渡来の大事な金魚が! 106 00:08:35,648 --> 00:08:41,154 大枚はたき船の造作を変えてまで 運んできたのに…。 107 00:08:41,154 --> 00:08:43,423 (琵琶) 108 00:08:46,626 --> 00:08:51,464 お前が いちばん 恐ろしいことは何だ? 109 00:08:51,464 --> 00:08:56,803 この世に怖いものなど 俺にはない。 110 00:08:56,803 --> 00:09:00,640 この九字兼定は 俺の手に渡ってから➡ 111 00:09:00,640 --> 00:09:03,643 100人もの血を吸ってきた。 112 00:09:03,643 --> 00:09:05,612 殺人鬼かよ。 113 00:09:05,612 --> 00:09:08,615 一度は アヤカシを斬ってみたかったものよ。 114 00:09:08,615 --> 00:09:11,317 だから 無理だって。 115 00:09:11,317 --> 00:09:13,787 (琵琶) 116 00:09:24,964 --> 00:09:27,767 うわぁ! 117 00:09:29,836 --> 00:09:36,142 佐々木兵衛… よくも辻斬りしてくれたな。 118 00:09:36,142 --> 00:09:38,111 兵衛様…。 119 00:09:38,111 --> 00:09:40,613 迷い出たか 亡者ども! 120 00:09:40,613 --> 00:09:43,049 地獄へ帰れ! 121 00:09:43,049 --> 00:09:47,787 地獄に落ちるのは お前だ 佐々木兵衛よ。 122 00:09:47,787 --> 00:09:49,789 い… 岩井師範! 123 00:09:49,789 --> 00:09:53,460 貴殿を斬ったのは俺ではない。 こ… この兼定が。 124 00:09:53,460 --> 00:09:55,662 だから俺は 江戸へ落ちようと…。 125 00:09:55,662 --> 00:09:58,431 成仏してくれ! 126 00:10:12,645 --> 00:10:17,617 (うめき声) 127 00:10:17,617 --> 00:10:19,652 お侍様!? 128 00:10:19,652 --> 00:10:24,157 あの侍 怖いものはないと言うのは ウソであったということか。 129 00:10:24,157 --> 00:10:26,826 これまで斬ってきた者たちが➡ 130 00:10:26,826 --> 00:10:29,829 本当は ずっと怖かったのであろうて。 131 00:10:29,829 --> 00:10:32,765 ウソを言うと どうかなっちゃうんですか? 132 00:10:32,765 --> 00:10:36,302 あんなふうに。 あの様子から察するに➡ 133 00:10:36,302 --> 00:10:40,373 おのが心の内の恐怖を まざまざと見せられるのだろう。 134 00:10:40,373 --> 00:10:43,676 えぇ~ じゃあ 本当のこと言ってもウソついても➡ 135 00:10:43,676 --> 00:10:45,645 同じじゃないですか。 136 00:10:45,645 --> 00:10:47,847 どうすれば いいんですか? 137 00:10:47,847 --> 00:10:50,750 心の内が問題なれば➡ 138 00:10:50,750 --> 00:10:54,020 他人が どうこうできるわけもない。 139 00:10:56,656 --> 00:10:58,825 やっかいって こういうこと? 140 00:10:58,825 --> 00:11:00,994 女! ヒイッ! 141 00:11:00,994 --> 00:11:05,999 お前が いちばん恐ろしいことは何だ? 142 00:11:05,999 --> 00:11:10,503 も… もう私? 今は あなたが いちばん怖いわよ。 143 00:11:10,503 --> 00:11:14,140 でも 何だろう 私が いちばん怖いことって。 144 00:11:14,140 --> 00:11:17,544 聞こえぬわ! せ… せかさないでよ! 145 00:11:17,544 --> 00:11:22,115 え~と 私はまだ すてきな恋とかもしてないし➡ 146 00:11:22,115 --> 00:11:25,318 これから きっと楽しいことだって いっぱいあるはず。 147 00:11:25,318 --> 00:11:28,688 幸せな結婚して かわいい子どもとかできて。 148 00:11:28,688 --> 00:11:32,225 でも そんなこれからのこと 何も経験しないで➡ 149 00:11:32,225 --> 00:11:34,827 死んじゃうってことが いちばん怖いのかな。 150 00:11:34,827 --> 00:11:37,197 (琵琶) 151 00:11:41,167 --> 00:11:44,837 うっ… うぅ… うぅ…。 152 00:11:44,837 --> 00:11:47,507 うわぁ~! 153 00:11:47,507 --> 00:11:51,177 うっ… あぁ…。 154 00:11:51,177 --> 00:11:54,347 あぁ… あぁ…。 155 00:11:54,347 --> 00:11:56,749 あぁ~っ! 156 00:11:58,751 --> 00:12:01,854 ハァ ハァ ハァ ハァ…。 157 00:12:08,194 --> 00:12:10,163 ヒッ! 158 00:12:16,169 --> 00:12:19,172 いや… いや~っ!! 159 00:12:19,172 --> 00:12:21,507 私 もう結婚なんてしない! 160 00:12:21,507 --> 00:12:24,177 子どもなんて絶対産みたくない! 161 00:12:24,177 --> 00:12:27,513 落ち着いて。 海座頭が見せるのは幻。 162 00:12:27,513 --> 00:12:32,185 悪い夢を見たにすぎない。 加世さんの真は何も変わらない。 163 00:12:32,185 --> 00:12:34,687 薬売りさん…。 164 00:12:34,687 --> 00:12:36,656 (琵琶) 165 00:12:36,656 --> 00:12:38,691 次は俺か。 166 00:12:38,691 --> 00:12:43,329 お前が いちばん 恐ろしいことは何だ? 167 00:12:43,329 --> 00:12:46,833 お… 俺は… 俺が いちばん怖いのは➡ 168 00:12:46,833 --> 00:12:48,835 ま ま まんじゅうだ。 169 00:12:48,835 --> 00:12:51,037 ハハハハ まんじゅうが怖い。 170 00:12:51,037 --> 00:12:53,806 落語かよ。 (琵琶) 171 00:12:59,178 --> 00:13:04,183 お… おぉ これは。 172 00:13:07,854 --> 00:13:11,991 なんと美味な酒蒸しの…。 173 00:13:11,991 --> 00:13:14,494 ん!? あぁ~! 174 00:13:19,699 --> 00:13:22,335 ぐえ~ ぐえ~。 175 00:13:22,335 --> 00:13:28,007 どんな幻を見せられたか あんまし想像したくない。 176 00:13:28,007 --> 00:13:31,878 (源慧)さて 残ったる3人。 177 00:13:31,878 --> 00:13:35,415 誰から海座頭に答えますかな? 178 00:13:35,415 --> 00:13:38,851 問うがいい 答えよう。 179 00:13:38,851 --> 00:13:43,723 お前が本当に恐ろしいことは… 何だ? 180 00:13:43,723 --> 00:13:47,794 私が本当に恐ろしいこと それは➡ 181 00:13:47,794 --> 00:13:52,198 この世の果てには 形も真も理もない世界が➡ 182 00:13:52,198 --> 00:13:56,202 ただ存在しているということを 知るのが怖い。 183 00:13:56,202 --> 00:13:58,171 (琵琶) 184 00:14:33,139 --> 00:14:35,141 薬売りさん。 185 00:14:37,143 --> 00:14:40,146 アヤカシが集う モノノ怪の海。 186 00:14:40,146 --> 00:14:43,616 その海へ この船を差し向けた訳➡ 187 00:14:43,616 --> 00:14:47,153 お聞かせ願いたく。 188 00:14:47,153 --> 00:14:51,491 わ… 私は…。 (琵琶) 189 00:14:51,491 --> 00:14:56,496 お前が本当に恐ろしいことは 何だ? 190 00:14:56,496 --> 00:15:00,666 わ… 私が 本当に恐ろしいのは…。 191 00:15:02,668 --> 00:15:04,804 私が本当に恐ろしいのは➡ 192 00:15:04,804 --> 00:15:07,140 源慧様です。 えっ!? 193 00:15:07,140 --> 00:15:11,177 源慧様は たいへん立派なお師匠様です。 194 00:15:11,177 --> 00:15:14,247 けれど この江戸への旅では➡ 195 00:15:14,247 --> 00:15:16,783 おかしなことばかり なさっておられます。 196 00:15:16,783 --> 00:15:19,152 (源慧)そうかもしれぬな。 197 00:15:19,152 --> 00:15:23,322 ゆうべも ずっと お題目を 唱えておられましたが…。 198 00:15:23,322 --> 00:15:29,328 (読経) 199 00:15:29,328 --> 00:15:32,198 ⦅菖源:ん… んぐ…。 200 00:15:32,198 --> 00:15:36,335 (源慧)菖源。 (菖源)は… はい 源慧様。 201 00:15:36,335 --> 00:15:40,506 (源慧)船の長旅に酔ったか? (菖源)い… いえ。 202 00:15:40,506 --> 00:15:44,510 (源慧)酔ったのなら 潮風に当たってくるがよい。 203 00:15:44,510 --> 00:15:48,514 (菖源)私は…。 (源慧)夜風に当たってくるとよい。 204 00:15:48,514 --> 00:15:50,516 (菖源)わかりました⦆ 205 00:15:50,516 --> 00:15:54,854 そうだったんだ。 (菖源)そうは 思いたくなかったのですが➡ 206 00:15:54,854 --> 00:15:59,258 私を上へと追いやったあとに➡ 207 00:15:59,258 --> 00:16:04,130 羅針盤に細工ができたのは➡ 208 00:16:04,130 --> 00:16:07,633 お師匠様だけです。 209 00:16:07,633 --> 00:16:28,988 (五浪丸のいびき) 210 00:16:28,988 --> 00:16:31,157 どうして こんなこと…。 211 00:16:31,157 --> 00:16:33,993 皆を 巻き込むつもりはなかった。 212 00:16:33,993 --> 00:16:36,028 しかし 漁師たちに➡ 213 00:16:36,028 --> 00:16:39,599 この龍の三角まで 乗せてくれと頼んでも➡ 214 00:16:39,599 --> 00:16:42,168 誰も引き受けてはくれなかった。 215 00:16:42,168 --> 00:16:44,504 震えていますね。 216 00:16:44,504 --> 00:16:47,506 そこまで あなたを恐怖させながら➡ 217 00:16:47,506 --> 00:16:51,510 この海にまで 来なくてはならなくなった訳。 218 00:16:51,510 --> 00:16:54,847 海座頭 問うがいい。 (琵琶) 219 00:16:54,847 --> 00:16:59,252 お前が本当に恐ろしいことは➡ 220 00:16:59,252 --> 00:17:01,254 それは何だ? 221 00:17:01,254 --> 00:17:04,690 これを待っていたんだ。 222 00:17:04,690 --> 00:17:09,161 私が50年もの間 ずっと そのことを考え➡ 223 00:17:09,161 --> 00:17:12,832 恐ろしさに 身を震わせ続けてきたもの。 224 00:17:12,832 --> 00:17:15,134 それは この海にある。 225 00:17:15,134 --> 00:17:17,837 (琵琶) 226 00:17:17,837 --> 00:17:20,840 それは この海に漂い続け➡ 227 00:17:20,840 --> 00:17:25,478 この海そのものを アヤカシの集う 魔境に変化させたもの。 228 00:17:25,478 --> 00:17:27,513 (琵琶) 229 00:17:27,513 --> 00:17:30,182 それはいったい 何? 230 00:17:30,182 --> 00:17:32,518 (琵琶) 231 00:17:32,518 --> 00:17:34,553 それは…。 232 00:17:34,553 --> 00:17:37,857 (琵琶) 233 00:17:37,857 --> 00:17:40,860 アヤカシの海を作りしもの それは…。 234 00:17:40,860 --> 00:17:46,499 (琵琶) 235 00:17:46,499 --> 00:17:52,505 50年前に私の妹が乗って流された 虚ろ舟。 236 00:17:52,505 --> 00:17:54,507 (琵琶) 237 00:17:59,512 --> 00:18:03,549 ん~ ブハッ。 238 00:18:03,549 --> 00:18:09,822 (琵琶) 239 00:18:13,492 --> 00:18:16,329 海座頭は消えたのか? 240 00:18:16,329 --> 00:18:18,864 虚ろ舟って何ですか? 241 00:18:18,864 --> 00:18:24,437 それはな もともとは大木を くり抜いて作られた舟のことだ。 242 00:18:24,437 --> 00:18:26,305 中が空洞? 243 00:18:26,305 --> 00:18:28,841 そんな舟に乗ったら 出られないじゃない。 244 00:18:28,841 --> 00:18:31,844 そう 出られない。 そういう舟なのだ。 245 00:18:31,844 --> 00:18:36,215 えぇ! そんな舟に 源慧さんの妹さんが どうして!? 246 00:18:38,150 --> 00:18:40,152 (鎖の音) 247 00:18:40,152 --> 00:18:42,655 ああっ 鎖の音が! 248 00:18:42,655 --> 00:18:47,660 虚ろ舟を縛った鎖の音が! あぁ~! 249 00:19:18,824 --> 00:19:26,766 (読経) 250 00:19:26,766 --> 00:19:30,503 (幻殃斉)これも幻なのか! 虚ろ舟が…。 251 00:19:30,503 --> 00:19:33,139 (加世) 幻じゃない 私にも見えてる。 252 00:19:33,139 --> 00:19:37,209 源慧様 50年前に いったい何があったのですか? 253 00:19:37,209 --> 00:19:40,179 妹様は どうして 虚ろ舟なんかで➡ 254 00:19:40,179 --> 00:19:42,214 流されたのですか? 255 00:19:42,214 --> 00:19:46,185 こんな小さな舟が この海を変えてしまったの? 256 00:19:52,224 --> 00:19:57,496 (物音) 257 00:19:57,496 --> 00:20:01,534 何だ この音… 中から聞こえてくる。 258 00:20:01,534 --> 00:20:05,171 人だ! 中で人が ひっかいているぞ! 259 00:20:05,171 --> 00:20:09,175 50年前から ずっとこの中に!? そんな ありえない。 260 00:20:09,175 --> 00:20:11,844 うわぁ~! もう耐えられない。 261 00:20:11,844 --> 00:20:16,849 こんな… こんな恐ろしいことは もうたくさんよ! 262 00:20:16,849 --> 00:20:19,852 あのモノノ怪の➡ 263 00:20:19,852 --> 00:20:23,522 真と理➡ 264 00:20:23,522 --> 00:20:27,860 お聞かせ願いたく候。 265 00:20:27,860 --> 00:20:31,530 許しておくれ お庸。 266 00:20:31,530 --> 00:20:35,835 50年もの間 お前のことを忘れたときは➡ 267 00:20:35,835 --> 00:20:38,170 いっときもなかった。 268 00:20:38,170 --> 00:20:41,807 私の身代わりに 虚ろ舟に自ら入り➡ 269 00:20:41,807 --> 00:20:45,144 龍の三角へ流れていった お前が➡ 270 00:20:45,144 --> 00:20:47,546 よもや… よもや ここを➡ 271 00:20:47,546 --> 00:20:50,816 このような アヤカシの集いし魔境に 変えるほどの➡ 272 00:20:50,816 --> 00:20:54,186 怨念を持ち続けようなどと➡ 273 00:20:54,186 --> 00:20:57,223 どうして思えよう…。 274 00:20:57,223 --> 00:21:01,460 (フタをひっかく音) 275 00:21:01,460 --> 00:21:04,163 (雷鳴) 276 00:21:08,167 --> 00:21:11,504 モノノ怪の形➡ 277 00:21:11,504 --> 00:21:14,173 来たれり。