1 00:00:06,840 --> 00:00:13,146 (奉行)日置藩藩士 佐々木和正一家 惨殺の一件➡ 2 00:00:13,146 --> 00:00:17,117 これより 評定を申し渡す。 3 00:00:17,117 --> 00:00:21,154 当主 和正が妻 蝶。 4 00:00:21,154 --> 00:00:25,792 市中引き回しのうえ はりつけ獄門と処す。 5 00:00:25,792 --> 00:00:28,161 ギャーッ! フフフフフ…。 6 00:00:28,161 --> 00:00:31,198 フフフフフフフ…。 7 00:00:31,198 --> 00:00:35,469 ハハハハハハ… ハハハハハハハハハ! 8 00:00:35,469 --> 00:00:38,472 (斬撃音) 9 00:00:38,472 --> 00:00:48,782 (うぐいすの鳴き声) 10 00:00:51,518 --> 00:00:54,488 (お蝶)あぁ… すっきりした。 11 00:00:58,659 --> 00:01:01,728 (お蝶)謹んで お受けいたします。 12 00:02:36,089 --> 00:02:38,091 (奉行)これにて 一件落着。 13 00:02:42,429 --> 00:02:45,432 (薬売り)アンタ…。 14 00:02:45,432 --> 00:02:48,435 いったい何をしたんだい? 15 00:02:50,804 --> 00:02:52,873 どなたですか? 16 00:02:52,873 --> 00:02:56,777 見てのとおり あなたの ご同輩ですよ。 17 00:02:56,777 --> 00:02:59,746 薬売りをしているんですがね➡ 18 00:02:59,746 --> 00:03:03,717 客の一人に けしからんヤツがおりまして。 19 00:03:03,717 --> 00:03:06,586 売った丸薬が まったく効かない➡ 20 00:03:06,586 --> 00:03:10,090 詐欺だなんだと 難癖をつけてきましてね。 21 00:03:10,090 --> 00:03:13,727 だいたい 薬に頼って治そうっていう➡ 22 00:03:13,727 --> 00:03:16,596 心根が気に食わない。 23 00:03:16,596 --> 00:03:20,133 効かぬは 貴様の信心が足りぬからだ。 24 00:03:20,133 --> 00:03:23,437 めざしの頭の例えも あるじゃないか➡ 25 00:03:23,437 --> 00:03:27,607 と言い返したら 金を返せと騒ぎ出したんで➡ 26 00:03:27,607 --> 00:03:30,243 番屋に駆け込んだところ➡ 27 00:03:30,243 --> 00:03:35,115 逆に私が このありさまで まったくのところ…。 28 00:03:35,115 --> 00:03:38,685 あっ いわしの頭だったかな。 29 00:03:40,754 --> 00:03:42,756 おかしいですね。 ん? 30 00:03:42,756 --> 00:03:45,092 人を呼びます。 31 00:03:45,092 --> 00:03:47,427 だって そうでしょう。 32 00:03:47,427 --> 00:03:50,097 男と女を同じ牢に。 33 00:03:50,097 --> 00:03:54,067 まあまあ… どうせ あなた➡ 34 00:03:54,067 --> 00:03:57,437 死罪なんでしょ? 35 00:03:57,437 --> 00:04:00,073 ご存じなんですね。 36 00:04:00,073 --> 00:04:03,110 えっ… いや まあね。 37 00:04:03,110 --> 00:04:07,114 ちまたでは アンタのうわさで 持ちきりですからね。 38 00:04:07,114 --> 00:04:12,085 お侍一家 旦那 姑殺しの鬼嫁 お蝶ってね。 39 00:04:14,087 --> 00:04:17,924 そうですか 世間では そのような言われようですか。 40 00:04:17,924 --> 00:04:21,128 しかし ずいぶんと➡ 41 00:04:21,128 --> 00:04:24,698 派手にやったもんですね。 42 00:04:29,102 --> 00:04:32,606 4人を梅の木につるすとは…。 43 00:04:32,606 --> 00:04:36,743 違いますけど。 あれ? おかしいな。 44 00:04:36,743 --> 00:04:38,745 じゃあ…。 45 00:04:41,748 --> 00:04:44,451 すさまじいものだ。 46 00:04:44,451 --> 00:04:47,120 違います。 47 00:04:47,120 --> 00:04:49,789 違いますか…。 48 00:04:49,789 --> 00:04:52,459 どんなものでしたっけ? 49 00:04:59,432 --> 00:05:02,102 あれ? どうしました? 50 00:05:02,102 --> 00:05:04,771 いえ もう忘れました。 51 00:05:04,771 --> 00:05:07,774 ほお… 忘れましたか。 52 00:05:07,774 --> 00:05:12,779 まあ うわさ話なんて 尾ひれ背びれが くっつくもの。 53 00:05:12,779 --> 00:05:15,448 どうやったかは問題じゃない。 54 00:05:15,448 --> 00:05:20,587 味噌で煮ようが塩で焼こうが さばは さばってね。 55 00:05:20,587 --> 00:05:22,622 訳がわかりません。 56 00:05:22,622 --> 00:05:26,092 とても女一人の手で やったとは思えない➡ 57 00:05:26,092 --> 00:05:29,262 ってことですよ。 何です? それ。 58 00:05:29,262 --> 00:05:31,932 天秤です。 天秤? 59 00:05:31,932 --> 00:05:34,401 お気になさらず。 60 00:05:34,401 --> 00:05:37,604 単なる仕事道具ですから。 61 00:05:41,608 --> 00:05:46,112 目撃の証言も 証拠らしい証拠もなく➡ 62 00:05:46,112 --> 00:05:50,083 自分がやったという あなたの自白だけ。 63 00:05:50,083 --> 00:05:52,786 肝心のところは曖昧だ。 64 00:05:52,786 --> 00:05:56,656 実はね お蝶さん… 私は➡ 65 00:05:56,656 --> 00:06:00,961 あなた1人でやったんじゃないと 思っているんですよ。 66 00:06:06,399 --> 00:06:12,439 私はね モノノ怪の仕業だと 思っているんです。 67 00:06:12,439 --> 00:06:17,444 モノノ怪? 心当たり おありじゃありませんかね。 68 00:06:17,444 --> 00:06:20,780 いいえ… まったく。 69 00:06:20,780 --> 00:06:25,452 ほう。 私 1人でやったんです。 70 00:06:25,452 --> 00:06:27,420 そう。 71 00:06:27,420 --> 00:06:30,423 しかし あなた…。 はい。 72 00:06:30,423 --> 00:06:34,427 ほら その… あるでしょ? 73 00:06:34,427 --> 00:06:39,099 人には その… まとわねばならぬ空気とか➡ 74 00:06:39,099 --> 00:06:42,302 顔というものが。 顔? 75 00:06:42,302 --> 00:06:47,741 明日 死罪を迎えている者が まとっている空気ではない➡ 76 00:06:47,741 --> 00:06:50,076 ということですよ。 77 00:06:50,076 --> 00:06:53,780 着物は すっかり白装束ですけど。 78 00:06:53,780 --> 00:06:56,750 まあ それはここの お仕着せですから。 79 00:06:56,750 --> 00:06:59,452 なりはともかく 顔ですよ。 80 00:06:59,452 --> 00:07:01,421 私の言いたいのは➡ 81 00:07:01,421 --> 00:07:04,925 まるで別人だ ふだんのお蝶さんと。 82 00:07:04,925 --> 00:07:07,427 何を おっしゃるのです? 83 00:07:07,427 --> 00:07:10,463 ふだんの私を知りもしないで。 84 00:07:10,463 --> 00:07:13,433 あなた 何者です? 85 00:07:16,770 --> 00:07:20,140 ん? ⚟おぬし 何者だ? 86 00:07:20,140 --> 00:07:24,210 ⚟答えろ 何者だ!? 87 00:07:24,210 --> 00:07:27,113 ただの薬売りですよ。 88 00:07:27,113 --> 00:07:29,616 おっと 今は罪人か。 89 00:07:29,616 --> 00:07:32,485 ⚟なぜ ここにいる? 90 00:07:32,485 --> 00:07:36,523 ⚟答えろ どうやって ここに入った? 91 00:07:36,523 --> 00:07:38,425 よくしゃべる。 92 00:07:38,425 --> 00:07:42,429 初めてですよ こんなモノノ怪にお会いしたのは。 93 00:07:42,429 --> 00:07:45,098 (お蝶) バカなことを言わないでください。 94 00:07:45,098 --> 00:07:47,600 あの方は怪しい方ではありません。 95 00:07:47,600 --> 00:07:49,602 出てはいけない。 96 00:07:49,602 --> 00:07:52,505 どいてください。 出てはいけない。 97 00:07:52,505 --> 00:07:55,075 何をなさいます。 放して。 98 00:07:55,075 --> 00:07:58,111 あっ 放してください! 放して! 99 00:07:58,111 --> 00:08:02,282 なぜ邪魔をなさるのです!? 出てはいけない。 100 00:08:02,282 --> 00:08:04,784 ここにいれば 安全だ。 101 00:08:04,784 --> 00:08:06,786 (解錠音) 102 00:08:06,786 --> 00:08:08,755 なに!? 103 00:08:14,294 --> 00:08:17,497 (仮面の男)怪しいヤツ… 貴様 何者。 104 00:08:19,432 --> 00:08:23,436 やはり 取りつかれていましたね。 105 00:08:23,436 --> 00:08:28,742 しかし 形を暴くのに 骨が折れるかと思ったが…。 106 00:08:34,280 --> 00:08:36,416 まさか➡ 107 00:08:36,416 --> 00:08:42,222 そちらから 来てくれる… とは。 108 00:08:44,424 --> 00:08:47,093 形を見たり。 109 00:08:47,093 --> 00:08:49,095 なに!? 110 00:08:49,095 --> 00:08:52,599 貴様 モノノ怪の形ではないのか? 111 00:08:52,599 --> 00:08:56,102 フフッ 何のことかな。 112 00:08:56,102 --> 00:08:58,438 なぜ 邪魔をなさるのですか。 113 00:08:58,438 --> 00:09:02,442 出てはいけない ここにいれば安全だ。 114 00:09:02,442 --> 00:09:05,412 ここは 閉ざされていると思えば 牢になり…。 115 00:09:05,412 --> 00:09:08,915 何のことを? 出たくないと思えば城になる。 116 00:09:08,915 --> 00:09:13,453 また あの場所へ戻る気か? 117 00:09:13,453 --> 00:09:15,755 戻る…。 118 00:09:20,527 --> 00:09:24,230 (悲鳴) 119 00:09:27,100 --> 00:09:29,068 かまいません。 120 00:09:31,137 --> 00:09:34,073 人間のほうが よほど恐ろしい。 121 00:09:34,073 --> 00:09:36,109 かまいません。 122 00:09:36,109 --> 00:09:39,112 心根の優しいモノノ怪も いるはずですから。 123 00:09:39,112 --> 00:09:41,781 聞いたな 今の言葉。 124 00:09:41,781 --> 00:09:45,151 夢幻の摂理は 我にあり! 125 00:09:55,595 --> 00:10:00,400 えっ。 形を探して さまようがいい。 126 00:10:09,075 --> 00:10:11,411 (仮面の男) ここまで来れば大丈夫だ。 127 00:10:11,411 --> 00:10:13,813 しばらく追っ手も来まい。 128 00:10:13,813 --> 00:10:15,782 (お蝶)あなた様は? 129 00:10:15,782 --> 00:10:20,487 (仮面の男)驚かれたでしょうね。 怪しい技の数々。 130 00:10:20,487 --> 00:10:25,125 あの男の言ったとおり 私は モノノ怪です。 131 00:10:25,125 --> 00:10:27,126 モノノ怪? 132 00:10:27,126 --> 00:10:31,531 あなたを 牢獄から 救い出すために生まれた。 133 00:10:31,531 --> 00:10:34,234 牢獄? 134 00:10:47,113 --> 00:10:49,415 牢獄…。 135 00:10:52,519 --> 00:10:56,456 (亭主) お~い 酒だ 酒! 酒がないぞ! 136 00:10:56,456 --> 00:10:59,592 (銚子の割れる音) 137 00:10:59,592 --> 00:11:03,596 酒を持ってこいと言っておるのに 何をやっておるのだ! 138 00:11:03,596 --> 00:11:06,065 (お蝶)す… すみません。 139 00:11:06,065 --> 00:11:08,101 (弟嫁)もう お蝶さんったら。 140 00:11:08,101 --> 00:11:10,770 早く持ってきてあげたら いいじゃない。 141 00:11:10,770 --> 00:11:15,408 (姑)まったく グズな嫁だこと。 (亭主)フンッ 陰気な女だ。 142 00:11:15,408 --> 00:11:19,078 (義弟)兄上 何ゆえ あんなのをもらったのだ。 143 00:11:19,078 --> 00:11:23,082 (亭主)あぁ あれのおふくろに 泣きつかれたのだ。 144 00:11:23,082 --> 00:11:25,451 (姑)前の嫁が首などつらなきゃ➡ 145 00:11:25,451 --> 00:11:28,721 誰がすき好んで あんな女を家に入れるものか。 146 00:11:28,721 --> 00:11:31,424 (亭主) だが 飯炊きにはちょうどいい。 147 00:11:31,424 --> 00:11:34,594 (義弟) まあ 夜のほうがよければな。 148 00:11:34,594 --> 00:11:37,063 (弟嫁)まあ やだわ お前様! 149 00:11:37,063 --> 00:11:44,070 (笑い声) 150 00:11:47,407 --> 00:11:58,084 (笑い声) 151 00:11:58,084 --> 00:12:01,087 (仮面の男)あなたの心に…。 152 00:12:01,087 --> 00:12:03,222 (悲鳴) 153 00:12:03,222 --> 00:12:07,594 おりのようにたまっていく毒を 吐き出してほしかった。 154 00:12:07,594 --> 00:12:09,629 毒? 155 00:12:09,629 --> 00:12:13,099 モノノ怪の分際で おかしいと思われるでしょうね。 156 00:12:15,168 --> 00:12:17,136 いいえ。 157 00:12:19,072 --> 00:12:21,074 あの感触…。 158 00:12:21,074 --> 00:12:26,746 (笑い声) 159 00:12:26,746 --> 00:12:30,416 あの感触のおかげで 私は 耐えてこられた。 160 00:12:30,416 --> 00:12:36,589 (笑い声と悲鳴) 161 00:12:36,589 --> 00:12:39,559 (お蝶)何度も 何度も 何度も➡ 162 00:12:39,559 --> 00:12:42,528 あなたに助けられてきた。 163 00:12:42,528 --> 00:12:45,398 じゃあ またあの場所に…。 164 00:12:45,398 --> 00:12:48,067 (仮面の男)戻らねばなりません。 165 00:12:48,067 --> 00:12:52,572 我が力は その程度。 すぐに追っ手が来ます。 166 00:12:52,572 --> 00:12:54,574 さあ。 167 00:12:59,379 --> 00:13:01,414 嫌です。 168 00:13:01,414 --> 00:13:03,583 あの場所に戻りたくないのです。 169 00:13:03,583 --> 00:13:07,754 このままでは あなたは罪人。 ご亭主も ご一家も➡ 170 00:13:07,754 --> 00:13:11,424 本当に あなたが 殺したことになってしまいます。 171 00:13:11,424 --> 00:13:16,429 (お蝶)あそこに戻っても 私 いても いなくても同じ。 172 00:13:16,429 --> 00:13:20,099 (仮面の男)戻らねば 一生 追っ手に追われることになる。 173 00:13:20,099 --> 00:13:22,101 かまいません。 174 00:13:22,101 --> 00:13:24,570 捕まれば 即刻 手討ちということも。 175 00:13:24,570 --> 00:13:27,573 そのほうが きっと楽。 176 00:13:27,573 --> 00:13:31,444 あの牢獄の男か。 えっ? 177 00:13:31,444 --> 00:13:35,081 あの男のせいで そのようなことを。 178 00:13:35,081 --> 00:13:37,684 戻りたくないだけ。 179 00:13:43,089 --> 00:13:53,633 (面を叩く音) 180 00:13:53,633 --> 00:13:56,402 お蝶さん。 はい。 181 00:13:56,402 --> 00:13:59,105 この俺と一緒になってくれないか。 182 00:13:59,105 --> 00:14:01,574 えっ? だって あなたは…。 183 00:14:01,574 --> 00:14:04,977 確かに俺は人間じゃない。 でも このとおり➡ 184 00:14:04,977 --> 00:14:08,081 ふだんは 人間と変わらぬ姿形をしている。 185 00:14:08,081 --> 00:14:11,417 俺の この面を 外すことはできない。 186 00:14:11,417 --> 00:14:14,387 でも 道化神楽でも何でもやって➡ 187 00:14:14,387 --> 00:14:17,423 アンタを食わしていくくらいのことは できる。 188 00:14:17,423 --> 00:14:20,093 俺の女房になってくれ。 189 00:14:25,732 --> 00:14:28,434 私なんかでいいの? 190 00:14:28,434 --> 00:14:31,738 罪人の女なんかでいいの? 191 00:14:31,738 --> 00:14:33,740 アンタがいいんだ。 192 00:14:39,412 --> 00:14:42,749 それは承知ということか? 193 00:14:42,749 --> 00:14:44,717 や… やったあ。 194 00:14:44,717 --> 00:14:48,755 やったあ! やったあ! やったあ! 195 00:14:48,755 --> 00:14:53,593 ハハハハハ やったあ 早速祝いだ! 196 00:14:53,593 --> 00:14:59,365 ハハハハハハ ハハハハハハハハハハハ…。 197 00:15:11,744 --> 00:15:16,382 お蝶 新しい人生の門出だ。 198 00:15:16,382 --> 00:15:18,418 はい。 199 00:15:18,418 --> 00:15:21,587 (仮面の男) おい みんな 俺の嫁だぞ! 200 00:15:21,587 --> 00:15:23,589 (賢徳)見ろよ お蝶さんだ。 201 00:15:23,589 --> 00:15:27,226 (武悪)おぉ 手柄だな お蝶さんを嫁にするとは。 202 00:15:27,226 --> 00:15:31,097 (乙)うらやましや うらやましや。 めでたや めでたや。 203 00:15:31,097 --> 00:15:34,233 (一同)めでたや めでたや。 204 00:15:34,233 --> 00:15:36,235 フッ。 205 00:15:38,404 --> 00:15:43,409 まったく いいかげんな連中だ。 (お蝶)おもしろい人たち。 206 00:15:43,409 --> 00:15:46,412 みんな ずっとアンタの周りにいたんだ。 207 00:15:46,412 --> 00:15:49,415 (お蝶)ホント? 気がつかなかっただけだ。 208 00:15:49,415 --> 00:15:53,452 ずっと アンタを見守ってくれていた。 209 00:15:53,452 --> 00:15:56,522 人は皆 忘れてしまう。 210 00:15:56,522 --> 00:15:59,892 どれだけ たくさんのモノと出会い➡ 211 00:15:59,892 --> 00:16:04,564 どれだけ たくさんのモノに 囲まれているのかを。 212 00:16:04,564 --> 00:16:07,600 これからは 違う。 213 00:16:07,600 --> 00:16:10,603 これからは 俺が➡ 214 00:16:10,603 --> 00:16:14,407 アンタの生きる証しになる。 215 00:16:16,742 --> 00:16:18,778 はい。 216 00:16:18,778 --> 00:16:31,591 ♬「高砂や この浦舟に帆を上げて」 217 00:16:31,591 --> 00:16:34,760 これで 契りは結ばれた。 218 00:16:34,760 --> 00:16:37,930 これより我らは 2人で1人だ。 219 00:16:37,930 --> 00:16:40,099 はい。 220 00:16:49,408 --> 00:16:52,078 どこへ出しても 恥ずかしくないように➡ 221 00:16:52,078 --> 00:16:54,080 しつけてまいりました。 222 00:16:54,080 --> 00:16:57,250 末永く よろしくお願い奉ります。 223 00:16:57,250 --> 00:16:59,252 誰だ? 貴様。 224 00:16:59,252 --> 00:17:02,722 どうかどうか お願い奉ります。 225 00:17:02,722 --> 00:17:05,925 母上様…。 なに 母上!? 226 00:17:09,762 --> 00:17:12,565 何だ!? これは いったい何だ!? 227 00:17:12,565 --> 00:17:17,570 (笑い声) 228 00:17:17,570 --> 00:17:20,740 嫁入り… 私の…。 229 00:17:20,740 --> 00:17:22,909 何だと!? 230 00:17:22,909 --> 00:17:27,313 これで我が家 梅沢家先祖代々の墓参りに➡ 231 00:17:27,313 --> 00:17:30,082 胸を張って行くことができます。 232 00:17:30,082 --> 00:17:32,451 ほら お前も➡ 233 00:17:32,451 --> 00:17:35,588 よくお頼み。 234 00:17:35,588 --> 00:17:38,724 お前には 生まれついての器量があるんだ。 235 00:17:38,724 --> 00:17:42,428 この器量に 十分な たしなみを身につければ➡ 236 00:17:42,428 --> 00:17:44,797 いかに浪々の育ちとはいえ➡ 237 00:17:44,797 --> 00:17:48,568 いずれは石取りの家に 嫁ぐことができるのです。 238 00:17:48,568 --> 00:17:51,070 はい かか様。 239 00:17:51,070 --> 00:17:54,073 おぉ よい子じゃ よい子じゃ。 240 00:17:54,073 --> 00:17:57,510 (仮面の男)やめろ! それを見せてはならん! 241 00:17:57,510 --> 00:18:03,616 (泣き声) 242 00:18:03,616 --> 00:18:05,584 (鈴の音) 243 00:18:08,754 --> 00:18:10,723 (鈴の音) 244 00:18:14,593 --> 00:18:16,562 (鈴の音) 245 00:18:18,564 --> 00:18:25,071 (拍手) 246 00:18:25,071 --> 00:18:28,908 はい はい はい はい。 247 00:18:28,908 --> 00:18:33,746 めでたしや めでたしや。 いやぁ いい芝居でした。 248 00:18:33,746 --> 00:18:37,083 楽しませていただきましたよ。 249 00:18:37,083 --> 00:18:39,418 貴様 その面は! 250 00:18:39,418 --> 00:18:42,588 面ですか。 251 00:18:42,588 --> 00:18:47,093 面と書いて オモテとも読む。 252 00:18:49,395 --> 00:18:52,064 しょせん人の顔など➡ 253 00:18:52,064 --> 00:18:55,434 オモテに現れている形にすぎぬ。 254 00:18:55,434 --> 00:18:59,772 私が この面をオモテと認めれば いともたやすく➡ 255 00:18:59,772 --> 00:19:02,742 私の顔となるのです。 256 00:19:04,777 --> 00:19:08,147 おや また顔が変わった。 257 00:19:12,752 --> 00:19:16,088 お前の本当の顔は どこにある。 258 00:19:16,088 --> 00:19:18,124 うおぉ~! 259 00:19:18,124 --> 00:19:33,272 ♬~ 260 00:19:33,272 --> 00:19:35,441 あっ…。 261 00:19:37,576 --> 00:19:39,779 どこにあったの? 262 00:19:39,779 --> 00:19:53,592 ♬~ 263 00:19:53,592 --> 00:19:55,594 うがぁ~! 264 00:19:55,594 --> 00:19:57,596 あなた! 265 00:19:57,596 --> 00:20:11,110 (うめき声) 266 00:20:11,110 --> 00:20:13,679 崩れてゆく…。 267 00:20:15,748 --> 00:20:18,751 やっと つかんだ➡ 268 00:20:18,751 --> 00:20:22,421 新しい人生が…。 269 00:20:22,421 --> 00:20:25,825 崩れてゆく。 270 00:20:25,825 --> 00:20:29,728 こんな偽物 すべて あなたをだますために➡ 271 00:20:29,728 --> 00:20:32,732 モノノ怪が仕組んだ 芝居だったのです。 272 00:20:32,732 --> 00:20:34,734 どうして? 273 00:20:34,734 --> 00:20:37,670 助けてくれたと思ったのに…。 274 00:20:37,670 --> 00:20:43,776 欺くからには 隠さねばならぬ真実があるはず。 275 00:20:43,776 --> 00:20:49,582 わざわざ面をかぶり 凝った芝居をうってまでして➡ 276 00:20:49,582 --> 00:20:54,253 あなたから 何を隠しているのでしょうかね。 277 00:20:54,253 --> 00:20:56,422 さあ…。 278 00:20:58,757 --> 00:21:04,163 オモテを忘れた モノノ怪。 279 00:21:09,368 --> 00:21:13,372 形を… 現せ。