1 00:00:11,976 --> 00:00:14,645 (クリストファー)エリアーナ・ベルンシュタイン嬢が 2 00:00:14,645 --> 00:00:18,148 我が妃として立つことに 否やのある者は 3 00:00:18,148 --> 00:00:20,150 今 この場で名乗り出よ! 4 00:00:20,150 --> 00:00:22,150 (エリアーナ)あっ…。 5 00:00:24,822 --> 00:00:27,157 (拍手) 6 00:00:27,157 --> 00:00:29,994 (歓声) 7 00:00:29,994 --> 00:00:31,996 《そんな…。 8 00:00:31,996 --> 00:00:36,333 私は 名ばかりの 婚約者だったはずでは?》 9 00:00:36,333 --> 00:00:39,333 ヒッ。 はぁ…。 10 00:00:49,179 --> 00:00:52,182 《一度に あまりに いろんなことが起きて 11 00:00:52,182 --> 00:00:54,182 整理がつかない…》 12 00:00:56,186 --> 00:00:58,355 《私を 妃として…。 13 00:00:58,355 --> 00:01:02,192 殿下 あれは どういう意味なのですか? 14 00:01:02,192 --> 00:01:04,361 私は 見せかけの…》 15 00:01:04,361 --> 00:01:06,361 (テオドール)エリィ。 あっ! 16 00:01:09,133 --> 00:01:11,133 テオドール様…。 17 00:01:13,304 --> 00:01:15,306 (テオドール)すまなかった。 あっ! 18 00:01:15,306 --> 00:01:18,475 (テオドール)君の身に 危険があると考えられたので 19 00:01:18,475 --> 00:01:20,978 書庫室へ近づけられなかった。 20 00:01:20,978 --> 00:01:24,815 もう懸念はないから いつものように利用しなさい。 21 00:01:24,815 --> 00:01:27,151 はい! 22 00:01:27,151 --> 00:01:29,320 (グレン)自分もお詫びします。 23 00:01:29,320 --> 00:01:32,156 ずっとピリピリしていて 怖かったですよね? 24 00:01:32,156 --> 00:01:34,992 そんなこと…。 まったく 25 00:01:34,992 --> 00:01:36,994 お前たちは 顔に出すぎだぞ。 26 00:01:36,994 --> 00:01:39,163 (アレクセイ)私は いつもどおりでしたが。 27 00:01:39,163 --> 00:01:41,832 フフッ そうだったな。 28 00:01:41,832 --> 00:01:43,834 フッフフフ…。 29 00:01:43,834 --> 00:01:46,503 《私 これからも 30 00:01:46,503 --> 00:01:49,173 皆さまと 一緒にいていいんだわ。 31 00:01:49,173 --> 00:01:51,473 よかった…》 32 00:01:53,510 --> 00:01:56,013 それにしても クリスにしてやられたな。 33 00:01:56,013 --> 00:01:58,015 あの状況を利用して 34 00:01:58,015 --> 00:02:00,184 成婚話まで 推し進めるとは。 35 00:02:00,184 --> 00:02:02,186 おぉ? フッ。 36 00:02:02,186 --> 00:02:04,188 先手必勝です。 37 00:02:04,188 --> 00:02:07,358 最後の難関だった カスール伯爵も落としました。 38 00:02:07,358 --> 00:02:10,461 これで ベルンシュタイン翁も 文句はないでしょう。 39 00:02:10,461 --> 00:02:12,463 《おじい様?》 40 00:02:12,463 --> 00:02:14,465 そろそろ 大詰めかと思って 41 00:02:14,465 --> 00:02:16,967 エリィを呼び出した私に 感謝しろよ。 42 00:02:16,967 --> 00:02:20,137 まぁ… 私 個人としては 43 00:02:20,137 --> 00:02:23,974 あのまま こじれてくれても 全然 構わなかったんだが。 44 00:02:23,974 --> 00:02:26,310 いい加減 甥の婚約者に 45 00:02:26,310 --> 00:02:29,146 横恋慕するようなマネは おやめください。 46 00:02:29,146 --> 00:02:31,148 あぁ…? 47 00:02:31,148 --> 00:02:34,485 エリィと一番話が合うのは 私だがね。 48 00:02:34,485 --> 00:02:38,155 エリィ エリィと気安く 連呼しないでいただきたい。 49 00:02:38,155 --> 00:02:40,991 (アレクセイ)じゃれ合いは その程度でお収めください。 50 00:02:40,991 --> 00:02:43,827 あと始末と 殿下の発言のおかげで 51 00:02:43,827 --> 00:02:46,997 新たな仕事が山積みなのを お忘れですか? 52 00:02:46,997 --> 00:02:50,334 ホント マジ勘弁しろ。 53 00:02:50,334 --> 00:02:52,503 一か月かけて 内定した案件を 54 00:02:52,503 --> 00:02:54,838 いきなり 三日で物証を揃えろとか 55 00:02:54,838 --> 00:02:57,675 お前は 俺たちを過労死させる気か? 56 00:02:57,675 --> 00:03:00,511 んっ? 三日もあれば十分だろ。 57 00:03:00,511 --> 00:03:04,181 えっ いくら期限切れだと せっつかれたからって…。 58 00:03:04,181 --> 00:03:06,350 期限切れ? 59 00:03:06,350 --> 00:03:08,352 あっ いや…。 60 00:03:08,352 --> 00:03:10,454 まぁ…。 まったく。 61 00:03:10,454 --> 00:03:13,957 もう少しで 数世代ぶりに 表舞台に引っ張り出した 62 00:03:13,957 --> 00:03:15,959 「サウズリンドの頭脳」を 63 00:03:15,959 --> 00:03:18,295 またも 隠棲させるところでした。 64 00:03:18,295 --> 00:03:20,464 4年も時間がありながら 65 00:03:20,464 --> 00:03:23,634 麗しの王子はいったい 何をされていたんですかね? 66 00:03:23,634 --> 00:03:26,637 (アレン)ほ~んと 王子が実は 67 00:03:26,637 --> 00:03:28,737 こんなヘタレだったなんてね~。 68 00:03:31,308 --> 00:03:34,144 お…。 改めまして。 69 00:03:34,144 --> 00:03:36,146 僕はアラン・フェレーラ。 70 00:03:36,146 --> 00:03:39,983 あなたのことを「妖精姫」の 愛称で広めたのは 僕だよ。 71 00:03:39,983 --> 00:03:42,319 妖精姫? 72 00:03:42,319 --> 00:03:45,989 じゃあ 本気でベルンシュタインの妖精姫から 73 00:03:45,989 --> 00:03:48,158 アイリーン嬢に乗り換えるのか? 74 00:03:48,158 --> 00:03:50,828 《私が妖精姫? 75 00:03:50,828 --> 00:03:54,331 昔 「図書館の亡霊」と 76 00:03:54,331 --> 00:03:56,331 呼ばれたことはありますが…》 77 00:03:58,335 --> 00:04:00,337 (アラン)これからは アレクたち同様 78 00:04:00,337 --> 00:04:02,339 親しくしてくれると うれしいな。 79 00:04:02,339 --> 00:04:06,176 アラン 今回お前が 公然と出てきたせいで 80 00:04:06,176 --> 00:04:08,512 この先 やりにくくなるだろう。 81 00:04:08,512 --> 00:04:11,782 えぇ~ いい加減 潮時でしょう。 82 00:04:11,782 --> 00:04:14,284 僕が殿下の隠し駒ってこと 83 00:04:14,284 --> 00:04:16,787 結構 気づかれてるよ。 はぁ…。 84 00:04:16,787 --> 00:04:18,789 今まで気づかずに 85 00:04:18,789 --> 00:04:21,125 大変 申し訳ありませんでした。 86 00:04:21,125 --> 00:04:23,127 あぁ…。 以降 87 00:04:23,127 --> 00:04:26,296 気をつけさせていただきます 宮廷楽師様。 88 00:04:26,296 --> 00:04:28,632 はぁ… やっぱり僕 89 00:04:28,632 --> 00:04:31,135 4年間 一度も気づかれてなかったんだ。 90 00:04:31,135 --> 00:04:33,303 アランです…。 91 00:04:33,303 --> 00:04:36,140 (アルフレッド)ハァハァ エリィ! あっ! 92 00:04:36,140 --> 00:04:38,475 ハァハァ…。 お兄様! 93 00:04:38,475 --> 00:04:41,478 騒ぎがあったと聞いたが 大丈夫か? 94 00:04:41,478 --> 00:04:43,480 はい…。 95 00:04:43,480 --> 00:04:45,649 そうか…。 アルフレッド。 96 00:04:45,649 --> 00:04:48,819 んっ! ベルンシュタイン翁に お伝えしてくれ。 97 00:04:48,819 --> 00:04:51,488 条件は すべて満たしたと。 98 00:04:51,488 --> 00:04:53,824 はい 伝えましょう。 あぁ…。 99 00:04:53,824 --> 00:04:58,495 ただし もし また妹にあんな顔をさせたら 100 00:04:58,495 --> 00:05:02,833 ベルンシュタインの頭脳を 総動員してでも許しませんので 101 00:05:02,833 --> 00:05:05,836 そのおつもりで。 お兄様? 102 00:05:05,836 --> 00:05:08,672 心得ている。 んっ。 103 00:05:08,672 --> 00:05:12,609 殿下 陛下と宰相が お二人をお呼びです。 104 00:05:12,609 --> 00:05:15,112 ことの詳細を説明せよ と。 105 00:05:15,112 --> 00:05:18,282 陛下が? はっ…! 106 00:05:18,282 --> 00:05:22,119 火急の用にて 少しお時間を いただくと伝えてくれ。 107 00:05:22,119 --> 00:05:25,289 王家の存亡に関わる 一大事だと。 108 00:05:25,289 --> 00:05:27,291 はっ!? 109 00:05:27,291 --> 00:05:30,627 叔父上 アレク 先に説明を頼む! 110 00:05:30,627 --> 00:05:33,797 《おっ 王家の存亡に関わる 111 00:05:33,797 --> 00:05:35,797 一大事!?》 112 00:07:16,433 --> 00:07:20,103 (鳥のさえずり) 113 00:07:20,103 --> 00:07:23,440 《王家の存亡に 関わる一大事…。 114 00:07:23,440 --> 00:07:27,277 と おっしゃっていたのに。 115 00:07:27,277 --> 00:07:30,948 これは どういう状況なのでしょうか?》 116 00:07:30,948 --> 00:07:33,116 あ…。 117 00:07:33,116 --> 00:07:35,619 やっと捕まえた。 118 00:07:35,619 --> 00:07:38,789 でっ 殿下? ごめんね エリィ。 119 00:07:38,789 --> 00:07:42,459 今まで たくさんの 誤解と不安を与えたね。 120 00:07:42,459 --> 00:07:46,964 実は 君と婚約するにあたって 121 00:07:46,964 --> 00:07:49,299 ベルンシュタイン翁と侯爵から 122 00:07:49,299 --> 00:07:52,699 出された条件があったんだ。 条件? 123 00:07:54,638 --> 00:07:58,809 ベルンシュタイン侯爵:まず一つに ベルンシュタインの隠し名を使わず 124 00:07:58,809 --> 00:08:02,145 貴族たちから 婚姻の賛同を得ること。 125 00:08:02,145 --> 00:08:06,817 二つ目は エリィの関心を 書物よりも得ること 126 00:08:06,817 --> 00:08:10,587 期限は エリィが成人するまでの4年。 127 00:08:10,587 --> 00:08:13,090 それまでに 条件が満たされなければ 128 00:08:13,090 --> 00:08:15,092 婚約は解消…。 129 00:08:15,092 --> 00:08:17,928 君は 侯爵とアルフレッドともども 130 00:08:17,928 --> 00:08:20,097 領地に こもることになっていた。 131 00:08:20,097 --> 00:08:23,600 まぁ…。 それで 私が成人しても 132 00:08:23,600 --> 00:08:26,103 成婚の話を進められなかった。 133 00:08:26,103 --> 00:08:29,606 初めに 言っていただければ…。 134 00:08:29,606 --> 00:08:31,608 うん…。 135 00:08:31,608 --> 00:08:33,610 お…? 136 00:08:33,610 --> 00:08:35,612 4年前のエリィに言っていたら 137 00:08:35,612 --> 00:08:37,614 まず 間違いなく…。 138 00:08:37,614 --> 00:08:40,117 そんな めんどくさいことをせずとも 139 00:08:40,117 --> 00:08:44,287 婚約相手は ほかの方になさってください 140 00:08:44,287 --> 00:08:47,290 とか 返されただろうね。 141 00:08:47,290 --> 00:08:51,628 《たしかに 当時の私なら言いそうです》 142 00:08:51,628 --> 00:08:53,797 申し訳ありません。 143 00:08:53,797 --> 00:08:56,633 いや そこで謝られると 144 00:08:56,633 --> 00:08:58,802 私の立場がないというか…。 145 00:08:58,802 --> 00:09:00,971 でも 結局エリィは 146 00:09:00,971 --> 00:09:03,807 書物より 私に関心を示してくれた。 147 00:09:03,807 --> 00:09:06,143 あぁ…。 148 00:09:06,143 --> 00:09:08,645 そうだよね? 149 00:09:08,645 --> 00:09:10,745 あぁ…。 150 00:09:13,417 --> 00:09:15,585 アイリーン嬢とのことで 151 00:09:15,585 --> 00:09:18,088 エリィを さらに不安にさせたね。 152 00:09:18,088 --> 00:09:20,424 グレンやアレクも 153 00:09:20,424 --> 00:09:23,093 アイリーン嬢に 探りを入れてくれたんだが 154 00:09:23,093 --> 00:09:27,431 収穫がないばかりか 君の身に危険が及び始めた。 155 00:09:27,431 --> 00:09:29,433 あぁ…。 156 00:09:29,433 --> 00:09:32,436 だから 私自ら 探ることにしたんだ。 157 00:09:32,436 --> 00:09:35,605 エリィの叔母上にも 協力してもらってね。 158 00:09:35,605 --> 00:09:37,607 えっ? それじゃあ 159 00:09:37,607 --> 00:09:39,776 叔母の病気というのは…。 160 00:09:39,776 --> 00:09:43,613 そう 君を王宮から離すための口実。 161 00:09:43,613 --> 00:09:45,613 あぁ…。 162 00:09:48,118 --> 00:09:51,718 でも 結局 エリィに誤解させることになった…。 163 00:09:54,291 --> 00:09:58,295 あの時は 頭が真っ白になったよ。 164 00:09:58,295 --> 00:10:01,465 まぁ おかげでエリィには 165 00:10:01,465 --> 00:10:03,467 自覚してもらえたようだけど。 166 00:10:03,467 --> 00:10:06,803 はっ…。 167 00:10:06,803 --> 00:10:08,805 だけど 168 00:10:08,805 --> 00:10:11,808 君を 深く傷つけてしまったことは 169 00:10:11,808 --> 00:10:13,810 本当に反省している。 170 00:10:13,810 --> 00:10:16,980 はぁ…。 これは 171 00:10:16,980 --> 00:10:20,150 エリィのために 探し求めた本なんだ。 172 00:10:20,150 --> 00:10:22,819 君の 173 00:10:22,819 --> 00:10:25,819 喜ぶ顔が 見たかった。 174 00:10:32,662 --> 00:10:34,664 もう一度…。 175 00:10:34,664 --> 00:10:36,664 受け取ってもらえるかな? 176 00:10:40,837 --> 00:10:42,839 《「殿下からの 贈り物に 177 00:10:42,839 --> 00:10:45,509 特別な意味なんかない」。 178 00:10:45,509 --> 00:10:49,809 あの日 そう思い込んでいた》 179 00:10:52,182 --> 00:10:54,182 《けれど…》 180 00:10:57,521 --> 00:10:59,521 はい…。 181 00:11:01,691 --> 00:11:04,861 ふっ…。 ありがとうございます。 182 00:11:04,861 --> 00:11:07,861 クリストファー 殿下…。 183 00:11:12,135 --> 00:11:14,304 エリィ…。 184 00:11:14,304 --> 00:11:16,304 殿下…。 185 00:11:24,314 --> 00:11:26,316 我が家の 186 00:11:26,316 --> 00:11:28,318 ベルンシュタインの隠し名とは 187 00:11:28,318 --> 00:11:30,320 なんですか? 188 00:11:30,320 --> 00:11:32,322 なっ…。 189 00:11:32,322 --> 00:11:36,326 それは あとでも よかったんじゃないかな? 190 00:11:36,326 --> 00:11:38,328 エリィ…。 191 00:11:38,328 --> 00:11:40,330 え? 192 00:11:40,330 --> 00:11:43,833 家臣1:クリストファー殿下は また外出なされたのか? 193 00:11:43,833 --> 00:11:47,003 (家臣2)はい 先ほど王立図書館のほうへ…。 194 00:11:47,003 --> 00:11:49,005 お止めしたのですが 今日は何か 195 00:11:49,005 --> 00:11:51,007 お気に障ることがあったらしく…。 196 00:11:51,007 --> 00:11:53,207 (家臣1)む… 困ったものだ。 197 00:11:55,679 --> 00:11:59,182 ん…。 198 00:11:59,182 --> 00:12:01,184 やった! 199 00:12:01,184 --> 00:12:04,354 (足音) 200 00:12:04,354 --> 00:12:07,023 謝りなさい! んっ!? 201 00:12:07,023 --> 00:12:10,293 本に謝りなさい! 202 00:12:10,293 --> 00:12:12,629 ん…。 203 00:12:12,629 --> 00:12:14,965 お前 誰に向かってそんな口を…。 204 00:12:14,965 --> 00:12:16,967 どこの誰だろうと 関係ありません! 205 00:12:16,967 --> 00:12:19,970 なっ。 書物は物言わぬ先人です。 206 00:12:19,970 --> 00:12:21,972 人類の宝です。 207 00:12:21,972 --> 00:12:24,307 あなたは 口が聞けない人に対して 208 00:12:24,307 --> 00:12:27,644 非道な振る舞いをしても いいとでも教わったのですか? 209 00:12:27,644 --> 00:12:29,646 ん… 大げさだぞ。 210 00:12:29,646 --> 00:12:31,648 たかが書物ではないか。 211 00:12:31,648 --> 00:12:35,986 は… たかが? 212 00:12:35,986 --> 00:12:37,986 んっ? 213 00:12:39,990 --> 00:12:41,992 あなたは何歳ですか? 214 00:12:41,992 --> 00:12:45,328 じゅ 12歳だ。 215 00:12:45,328 --> 00:12:49,833 あなたが投げたこの書物は 百年余りも昔に書かれて 216 00:12:49,833 --> 00:12:53,003 今なお再版され続けている 歴史的書物です。 217 00:12:53,003 --> 00:12:57,007 それがどう…。 たかが12年ぽっち しか生きていないあなたなど 218 00:12:57,007 --> 00:13:00,176 この本に比べたら 赤子も同然です! 219 00:13:00,176 --> 00:13:03,680 んっ!? お尻に殻がついたピヨピヨのピヨコです! 220 00:13:03,680 --> 00:13:07,517 ぴ ピヨコ…。 偉大なる先人に謝りなさい! 221 00:13:07,517 --> 00:13:10,287 んっ! 222 00:13:10,287 --> 00:13:13,287 す… すまなかった。 223 00:13:26,803 --> 00:13:28,803 んっ? 224 00:13:32,976 --> 00:13:34,978 (雨音) 225 00:13:34,978 --> 00:13:36,978 (足音) 226 00:13:40,817 --> 00:13:43,017 んっ! 227 00:13:45,322 --> 00:13:47,657 何を読んでるの? 228 00:13:47,657 --> 00:13:52,329 また本を 乱暴しに来られたのですか? 229 00:13:52,329 --> 00:13:54,329 もうしないよ。 230 00:13:58,668 --> 00:14:00,670 その本は? 231 00:14:00,670 --> 00:14:03,173 東方にある国の伝承記です。 232 00:14:03,173 --> 00:14:05,342 ふ~ん…。 233 00:14:05,342 --> 00:14:08,678 おもしろいの? あ…。 234 00:14:08,678 --> 00:14:10,947 ええ。 235 00:14:10,947 --> 00:14:12,949 んっ…。 236 00:14:12,949 --> 00:14:59,996 ~ 237 00:14:59,996 --> 00:15:02,332 (宰相)婚約のご相談を陛下に。 238 00:15:02,332 --> 00:15:04,501 公爵家のご令嬢だ。 239 00:15:04,501 --> 00:15:08,171 (宰相)して 相手のお名前は? 240 00:15:08,171 --> 00:15:10,607 名前を口にした途端に 241 00:15:10,607 --> 00:15:14,277 いきなり父上も宰相も 慌てだしたんだよ。 242 00:15:14,277 --> 00:15:18,448 まあ… やんごとなき 身分の方だったのですか? 243 00:15:18,448 --> 00:15:20,450 えっ? 244 00:15:20,450 --> 00:15:23,119 エリィ…。 はい。 245 00:15:23,119 --> 00:15:27,624 今 私は 君と私の昔話をしているんだよ。 246 00:15:27,624 --> 00:15:32,128 えっ? ここまで話しても 覚えてないって…。 247 00:15:32,128 --> 00:15:34,798 も 申し訳ありません。 248 00:15:34,798 --> 00:15:37,467 ん… まあ エリィの中では 249 00:15:37,467 --> 00:15:41,137 最悪な印象だったろうから 幸いというべきか…。 250 00:15:41,137 --> 00:15:43,139 んっ? 251 00:15:43,139 --> 00:15:47,811 とにかく 私はそのとき初めて ベルンシュタイン家にまつわる 252 00:15:47,811 --> 00:15:51,481 「サウズリンドの頭脳」という 隠し名を聞いたんだ。 253 00:15:51,481 --> 00:15:54,818 王家の人間や 王宮のごく一部の者だけしか 254 00:15:54,818 --> 00:15:56,820 知らぬ隠し名だよ。 255 00:15:56,820 --> 00:15:59,656 サウズリンドの頭脳…。 256 00:15:59,656 --> 00:16:03,493 ベルンシュタイン家の 人間が仕えた王の御代は 257 00:16:03,493 --> 00:16:06,663 等しく 繁栄してきたんだ。 258 00:16:06,663 --> 00:16:09,432 君の父上も兄のアルフレッドも 259 00:16:09,432 --> 00:16:13,102 その能力は高く評価されていた。 260 00:16:13,102 --> 00:16:16,439 けれど 二人とも ベルンシュタイン家の気質から 261 00:16:16,439 --> 00:16:19,776 出世より 本に埋もれて 暮らすことを選んだ。 262 00:16:19,776 --> 00:16:21,945 まあ…。 もっとも 263 00:16:21,945 --> 00:16:24,447 本に囲まれて暮らすことこそが 264 00:16:24,447 --> 00:16:27,951 その高い能力の 源と言えるのだけどね。 265 00:16:27,951 --> 00:16:32,789 とにかく 己の能力に 重きを置かないところが 266 00:16:32,789 --> 00:16:38,294 ベルンシュタイン家の美点でもあり 欠点でもあるね。 267 00:16:38,294 --> 00:16:42,131 光栄な話ですが 我が家は代々 268 00:16:42,131 --> 00:16:46,135 ただの本好き一族の 集まりだと思っていました…。 269 00:16:46,135 --> 00:16:50,306 ツェルガを贋作と 見破った時のことを覚えてる? 270 00:16:50,306 --> 00:16:52,642 はい。 あの時も。 271 00:16:52,642 --> 00:16:55,645 ツェルガが王家の秘宝と されているのは 272 00:16:55,645 --> 00:16:58,147 今はもうない鉱石を使い 273 00:16:58,147 --> 00:17:02,819 独自の配合で生み出された 「ツェルガの青」と呼ばれる色彩が 274 00:17:02,819 --> 00:17:06,322 珍重されているからだと 美術書にありました。 275 00:17:06,322 --> 00:17:09,092 ツェルガは古代語で 夜明けを意味します。 276 00:17:09,092 --> 00:17:13,429 つまり「ツェルガの青」とは 夜明けの深みのある青のこと。 277 00:17:13,429 --> 00:17:17,767 これは単体色に見えますし 古書によれば文様も… 278 00:17:17,767 --> 00:17:22,272 アレクと2人 さすが博識の一族と感嘆したよ。 279 00:17:22,272 --> 00:17:26,609 あれは 本を読んで 知っていただけのことです。 280 00:17:26,609 --> 00:17:28,611 それだけじゃない。 281 00:17:28,611 --> 00:17:33,616 ワイマールの賄賂問題の発覚も マルドゥラ国との国交の安定も 282 00:17:33,616 --> 00:17:36,452 エリィが 助言してくれたおかげなんだよ。 283 00:17:36,452 --> 00:17:38,454 はあ…。 284 00:17:38,454 --> 00:17:41,291 まさに「サウズリンドの頭脳」…。 285 00:17:41,291 --> 00:17:44,294 君は自らそれを証明していたんだ。 286 00:17:44,294 --> 00:17:50,466 だが権力に おもねることのない ベルンシュタイン家との婚約は 難しい。 287 00:17:50,466 --> 00:17:55,138 万が一にも 一族の機嫌を 損ねかねない要求… と 288 00:17:55,138 --> 00:17:58,808 父上も宰相も私に忠告したんだ。 289 00:17:58,808 --> 00:18:02,979 けれど諦めきれない私は 忠告を聞かず 290 00:18:02,979 --> 00:18:05,979 直接 ベルンシュタイン侯爵に 打診してしまった…。 291 00:18:08,985 --> 00:18:12,255 そうしたら…。 292 00:18:12,255 --> 00:18:16,926 翌日に… 君は王都からいなくなっていた。 293 00:18:16,926 --> 00:18:20,096 領地へ返されてしまっていたんだ。 294 00:18:20,096 --> 00:18:22,098 まあ…。 295 00:18:22,098 --> 00:18:24,767 あの時の自分のうかつさ…。 296 00:18:24,767 --> 00:18:28,605 本当に後ろから しばき倒してやりたいよね。 297 00:18:28,605 --> 00:18:33,943 《殿下… ご自分を後ろから しばき倒すのは無理かと…》 298 00:18:33,943 --> 00:18:37,280 その後 何度も申し込みを 突っ返されて 299 00:18:37,280 --> 00:18:41,618 ようやく エリィが社交界デビューして 再び会えたと思ったら…。 300 00:18:41,618 --> 00:18:44,120 私のこと 全然覚えてないし 301 00:18:44,120 --> 00:18:49,125 誰に声をかけられても 同じように挨拶を返すし…。 302 00:18:49,125 --> 00:18:52,795 《殿下… それは普通のことなのでは…》 303 00:18:52,795 --> 00:18:54,797 む…。 304 00:18:54,797 --> 00:18:59,969 あ… 大変な失礼を。 305 00:18:59,969 --> 00:19:01,971 (ため息) 306 00:19:01,971 --> 00:19:04,641 エリィ…。 307 00:19:04,641 --> 00:19:10,079 「図書館の亡霊」でも「妖精姫」でも 鈍すぎる君であっても 308 00:19:10,079 --> 00:19:12,679 私の気持ちは変わったりしない。 309 00:19:15,418 --> 00:19:18,921 やっとの思いで捕まえたんだ。 あっ…。 310 00:19:18,921 --> 00:19:23,426 今更 何があっても 君を手放す気なんてないからね。 311 00:19:23,426 --> 00:19:25,426 は…。 312 00:19:27,430 --> 00:19:32,268 《殿下の お気持ちが伝わってくる…。 313 00:19:32,268 --> 00:19:34,604 ベルンシュタインの名ではなく 314 00:19:34,604 --> 00:19:39,275 私個人を 望んでくださっている… と。 315 00:19:39,275 --> 00:19:42,779 でも… でも…》 316 00:19:42,779 --> 00:19:46,949 ですが 私はお妃教育を受けていません。 317 00:19:46,949 --> 00:19:51,621 それについては すでに母上や 女官たちがこう言っている。 318 00:19:51,621 --> 00:19:56,793 知識 教養 礼儀作法 容姿 性質 問題なし。 319 00:19:56,793 --> 00:20:00,797 えっ? わ 私は…。 320 00:20:00,797 --> 00:20:03,466 私は社交が得意ではありません。 321 00:20:03,466 --> 00:20:06,302 そんなことはないよ。 えっ? 322 00:20:06,302 --> 00:20:08,805 他国の賓客をもてなすとき 323 00:20:08,805 --> 00:20:12,475 母上は必ず エリィを同席させていただろう? 324 00:20:12,475 --> 00:20:15,478 君の他国に関する文化の知識や 325 00:20:15,478 --> 00:20:17,980 言語などが 助けになっていたんだ。 326 00:20:17,980 --> 00:20:23,152 そんな… てっきり 王太子婚約者の役割だとばかり…。 327 00:20:23,152 --> 00:20:26,155 エリィ 君は自分の力で 328 00:20:26,155 --> 00:20:29,325 己の場所を しっかり作り上げているんだ。 329 00:20:29,325 --> 00:20:32,662 《後出しが多すぎて…。 330 00:20:32,662 --> 00:20:37,834 殿下の手の上で 転がされている感が否めない。 331 00:20:37,834 --> 00:20:40,503 でも…。 332 00:20:40,503 --> 00:20:43,005 胸の中にあった不安が…。 333 00:20:43,005 --> 00:20:46,342 「見せかけの婚約者」 という つかえが 334 00:20:46,342 --> 00:20:49,011 消えていくのがわかる…》 335 00:20:49,011 --> 00:20:51,013 ねぇ エリィ。 んっ。 336 00:20:51,013 --> 00:20:55,184 人の上に立つからには 完璧さは求められるけれど 337 00:20:55,184 --> 00:20:58,354 幸い 君や私の周りには 338 00:20:58,354 --> 00:21:01,190 それを補ってくれる人たちがいる。 339 00:21:01,190 --> 00:21:04,694 何より 私はこの先もずっと 340 00:21:04,694 --> 00:21:07,363 君にそばにいてほしい。 341 00:21:07,363 --> 00:21:09,298 はっ…。 342 00:21:09,298 --> 00:21:11,801 エリィはそれを望まない? 343 00:21:11,801 --> 00:21:20,977 ~ 344 00:21:20,977 --> 00:21:27,483 おそばに いても… よろしいのですか? 345 00:21:27,483 --> 00:21:31,983 はっ エリィ… エリアーナ! 346 00:21:34,490 --> 00:21:39,495 後にも先にも 私がそばに望むのは 君だけだよ。 347 00:21:39,495 --> 00:21:44,834 ~ 348 00:21:44,834 --> 00:21:48,671 《今 ハッキリとわかる…。 349 00:21:48,671 --> 00:21:54,844 この4年間 毎日当たり前のように 過ぎていた時間。 350 00:21:54,844 --> 00:21:59,015 それは 私にとってかけがえのない 351 00:21:59,015 --> 00:22:02,018 決して 失いたくないものなのだと…》 352 00:22:02,018 --> 00:22:07,523 ~ 353 00:22:07,523 --> 00:22:11,460 書物だけでは わからない世界があることを 354 00:22:11,460 --> 00:22:13,660 初めて知りました。 355 00:22:15,798 --> 00:22:17,800 エリィ…。 356 00:22:17,800 --> 00:22:21,470 私の愛しい…。 357 00:22:21,470 --> 00:22:24,170 虫かぶり姫…。