1 00:00:15,967 --> 00:00:18,136 王妃:お姫様と王子様は 2 00:00:18,136 --> 00:00:20,138 こうして結ばれて 3 00:00:20,138 --> 00:00:24,142 いつまでも 幸せに暮らしました。 4 00:00:24,142 --> 00:00:26,144 (クリストファー)お母様 5 00:00:26,144 --> 00:00:29,647 二人にはもう 悲しいことは起きなかったの? 6 00:00:29,647 --> 00:00:31,983 そうね 悲しいことも 7 00:00:31,983 --> 00:00:34,485 つらいことも あったかもしれないわね。 8 00:00:34,485 --> 00:00:37,989 でも 二人で一緒にいれば 乗り越えられるのよ。 9 00:00:37,989 --> 00:00:39,991 本当に? 10 00:00:39,991 --> 00:00:41,993 本当に。 11 00:00:41,993 --> 00:00:44,393 一緒に いられなかったら? 12 00:00:46,497 --> 00:00:48,499 それじゃ ひとつ 13 00:00:48,499 --> 00:00:50,501 秘密の呪文を教えてあげるわ。 14 00:00:50,501 --> 00:00:52,503 秘密の呪文? 15 00:00:52,503 --> 00:00:55,339 これを言えば お姫様も王子様も 16 00:00:55,339 --> 00:00:57,341 ずっと幸せでいられるのよ。 17 00:00:57,341 --> 00:01:00,178 はぁ~! 18 00:01:00,178 --> 00:01:04,515 でもね この呪文は 特別な相手にしか効かないの。 19 00:01:04,515 --> 00:01:07,351 だから その相手に出会うまで 20 00:01:07,351 --> 00:01:09,353 決して 使ってはいけないのよ。 21 00:01:09,353 --> 00:01:11,953 はい お母様! 22 00:02:53,491 --> 00:02:58,329 (鳥のさえずり) 23 00:02:58,329 --> 00:03:00,665 (エリアーナ)はぁ…。 24 00:03:00,665 --> 00:03:03,000 これは いったい…。 25 00:03:03,000 --> 00:03:05,002 支度は終わった? エリィ。 26 00:03:05,002 --> 00:03:08,506 あっ はい。 27 00:03:08,506 --> 00:03:10,506 あっ。 28 00:03:12,777 --> 00:03:14,779 う~ん。 29 00:03:14,779 --> 00:03:17,281 やっぱり エリィの天然さが勝って 30 00:03:17,281 --> 00:03:21,619 貴族令嬢が身分を隠してますって 感じがありありだね。 31 00:03:21,619 --> 00:03:23,621 まずいかな…。 32 00:03:23,621 --> 00:03:25,623 《殿下 それはすべて 33 00:03:25,623 --> 00:03:27,959 殿下にも 当てはまってますよ?》 34 00:03:27,959 --> 00:03:30,628 んん? はっ! 35 00:03:30,628 --> 00:03:33,464 《先日の一件以来 36 00:03:33,464 --> 00:03:35,664 どうにも 落ち着かないのです》 37 00:03:37,802 --> 00:03:40,137 《殿下の おそばにいたいのに 38 00:03:40,137 --> 00:03:42,473 逃げ出したくなるような。 39 00:03:42,473 --> 00:03:44,475 けれど 離れてしまうと 40 00:03:44,475 --> 00:03:47,645 寂しくて 仕方がなくなるような》 41 00:03:47,645 --> 00:03:49,981 (グレン)まずいと思うなら 取り止めろ。 42 00:03:49,981 --> 00:03:52,316 グレン これ以上を言うのなら 43 00:03:52,316 --> 00:03:55,987 置いていって アレクの説教を お前一人で受けさせるからな。 44 00:03:55,987 --> 00:03:58,656 えっ 地味にイヤな脅しかけんなよ…。 45 00:03:58,656 --> 00:04:00,658 殿下…。 おっ? 46 00:04:00,658 --> 00:04:02,994 無理に お出かけになるのは…。 47 00:04:02,994 --> 00:04:05,830 「シスルの星」。 はっ!? 48 00:04:05,830 --> 00:04:08,499 一度でいいから 彼らの書物を 49 00:04:08,499 --> 00:04:11,769 自分で見て選びたいって エリィ言ってただろう? 50 00:04:11,769 --> 00:04:13,938 あぁ…。 今日を逃すと 51 00:04:13,938 --> 00:04:16,274 また 3年後まで待たなきゃいけない。 52 00:04:16,274 --> 00:04:18,276 でも…。 53 00:04:18,276 --> 00:04:20,444 あっ…! 54 00:04:20,444 --> 00:04:23,447 今日の私は ただの君の騎士だ。 55 00:04:23,447 --> 00:04:27,451 エリアーナ嬢 私が あなたをお守りします。 56 00:04:27,451 --> 00:04:30,121 私とともに 出かけてくれませんか? 57 00:04:30,121 --> 00:04:32,957 うぅ…。 ヒヒッ。 58 00:04:32,957 --> 00:04:35,459 《シスルの星とは 59 00:04:35,459 --> 00:04:39,463 この大陸で有名な 学識者の一団です。 60 00:04:39,463 --> 00:04:42,300 特定の国に根をおろさず 61 00:04:42,300 --> 00:04:44,635 仲間とともに旅をしているので 62 00:04:44,635 --> 00:04:48,806 根なし草の民として 忌避する方もいると聞きます。 63 00:04:48,806 --> 00:04:51,809 そんな彼らが 3年に一度 64 00:04:51,809 --> 00:04:54,312 本の市場を開くのですが 65 00:04:54,312 --> 00:04:57,148 新しく発表された 学術書や 66 00:04:57,148 --> 00:04:59,317 珍しい他国の本を 67 00:04:59,317 --> 00:05:01,819 惜しげもなく 並べると聞いてから 68 00:05:01,819 --> 00:05:05,489 ずっと 私には憧れの場所です。 69 00:05:05,489 --> 00:05:08,492 殿下が 私の願いを知っていたのは 70 00:05:08,492 --> 00:05:10,928 おそらく 幼い時に 71 00:05:10,928 --> 00:05:13,431 そのような 話をしたのでしょう。 72 00:05:13,431 --> 00:05:16,267 なのに どうして私は 73 00:05:16,267 --> 00:05:18,269 覚えていないのでしょうか》 74 00:05:18,269 --> 00:05:20,438 どうかした エリィ。 75 00:05:20,438 --> 00:05:23,107 いえ 殿下 あの…。 76 00:05:23,107 --> 00:05:25,276 今日は 殿下呼びは禁止。 77 00:05:25,276 --> 00:05:27,278 えっ? というか 78 00:05:27,278 --> 00:05:29,947 いい加減 名前で呼んでほしいんだけどな。 79 00:05:29,947 --> 00:05:32,950 えっ! 練習してみようか エリィ。 80 00:05:32,950 --> 00:05:34,952 あっ はい 殿下…。 81 00:05:34,952 --> 00:05:37,455 あっ! フッフフ。 82 00:05:37,455 --> 00:05:39,623 殿下呼びしたら その都度 83 00:05:39,623 --> 00:05:41,959 罰を与える っていうのはどうかな? 84 00:05:41,959 --> 00:05:45,629 もちろん 罰は私が決めさせてもらう。 85 00:05:45,629 --> 00:05:47,929 あぁ…。 86 00:05:50,968 --> 00:05:56,968 (ざわめき) 87 00:06:00,978 --> 00:06:03,481 はぁ~! 88 00:06:03,481 --> 00:06:06,484 はぁ…! 89 00:06:06,484 --> 00:06:09,153 エリィ 今日 1日は 90 00:06:09,153 --> 00:06:12,256 決して 私の手を離さないように。 91 00:06:12,256 --> 00:06:14,592 はい クリス様! 92 00:06:14,592 --> 00:06:17,595 あっ…。 93 00:06:17,595 --> 00:06:19,597 ぷっ…。 94 00:06:19,597 --> 00:06:24,268 店主 3年前に出た レッツィ博士の「大地の書」はある? 95 00:06:24,268 --> 00:06:26,437 (店主)レッツィ博士の書は 96 00:06:26,437 --> 00:06:28,773 人気な上に 数が少ないからなぁ。 97 00:06:28,773 --> 00:06:30,775 すぐに 売れちまうんだよ。 98 00:06:30,775 --> 00:06:33,277 相変わらずだな。 お…。 99 00:06:33,277 --> 00:06:35,946 あっ…! 「星の旅人」かい? 100 00:06:35,946 --> 00:06:39,116 子ども向けの童話だが 大人でも楽しめるよ。 101 00:06:39,116 --> 00:06:42,953 これは セウルーカウン語版ですね。 えっ? 102 00:06:42,953 --> 00:06:46,123 できれば 旧ラカン語で書かれたもの 103 00:06:46,123 --> 00:06:49,960 もしくは カイ・アーグ帝国時代に 書かれたものか 104 00:06:49,960 --> 00:06:53,464 一番 欲しいのは 火の茨版なのですが。 105 00:06:53,464 --> 00:06:55,633 はっ? 店主 106 00:06:55,633 --> 00:06:58,302 ほかに「星の旅人」はあるかな? 107 00:06:58,302 --> 00:07:01,972 できれば セウルーカウン以外の 言葉で書かれたものが欲しい。 108 00:07:01,972 --> 00:07:05,172 あっ あぁ… ちょっと待ってな。 109 00:07:07,144 --> 00:07:10,147 皆が皆 書物に 詳しいわけじゃないんだよ。 110 00:07:10,147 --> 00:07:12,583 そうなのですか 殿下…。 111 00:07:12,583 --> 00:07:14,585 はっ クリス様…。 112 00:07:14,585 --> 00:07:16,587 お詳しいんですね。 113 00:07:16,587 --> 00:07:18,589 まぁね でも 114 00:07:18,589 --> 00:07:20,925 「星の旅人」が そんなに いろんな言葉で 115 00:07:20,925 --> 00:07:23,260 書かれているとは 知らなかったな。 116 00:07:23,260 --> 00:07:25,930 中身も時代や国によって 117 00:07:25,930 --> 00:07:27,932 少しずつ変わっているのです。 118 00:07:27,932 --> 00:07:31,936 母が好きだった本で 父も集めていました。 119 00:07:31,936 --> 00:07:33,938 それは 興味深いね。 120 00:07:33,938 --> 00:07:36,107 私も 読み返してみようかな。 121 00:07:36,107 --> 00:07:38,943 殿下が 童話を読まれるのですか? 122 00:07:38,943 --> 00:07:41,445 エリィ。 はっ! 123 00:07:41,445 --> 00:07:44,281 そんなに 私の罰が欲しいのかな? 124 00:07:44,281 --> 00:07:46,283 あぁ…。 (店主)お二人さん。 125 00:07:46,283 --> 00:07:48,452 イチャつくなら よそでやってくれんかね。 126 00:07:48,452 --> 00:07:50,454 うぅ…。 127 00:07:50,454 --> 00:07:52,790 (ざわめき) 128 00:07:52,790 --> 00:07:55,793 旧ラカン語版 あってよかったね。 129 00:07:55,793 --> 00:07:58,295 はい あっ。 130 00:07:58,295 --> 00:08:02,299 テオドール様が 探し求めておられた本です。 131 00:08:02,299 --> 00:08:05,803 んっ 叔父上には時間も財もある。 132 00:08:05,803 --> 00:08:07,805 いつでも 自分で買いにこられるよ。 133 00:08:07,805 --> 00:08:09,807 えっ でも…。 134 00:08:09,807 --> 00:08:12,743 ほかの男の名前を言うのも 禁止。 135 00:08:12,743 --> 00:08:15,079 えっ でん…。 136 00:08:15,079 --> 00:08:17,414 でっ でんでん虫が…。 137 00:08:17,414 --> 00:08:20,251 (アラン)アッハハハハハ! (2人)おっ? 138 00:08:20,251 --> 00:08:23,754 ヒッヒヒヒヒ…。 なぜ お前がここにいる? 139 00:08:23,754 --> 00:08:26,757 (アラン)いや だって こんな おもしろい見世物 140 00:08:26,757 --> 00:08:28,759 見逃すわけにはいかないでしょ。 141 00:08:28,759 --> 00:08:31,595 おぉ… お知り合いですか? 142 00:08:31,595 --> 00:08:34,265 えっ!? んん… いや。 143 00:08:34,265 --> 00:08:37,101 あぁ…。 知らない人だったみたいだ。 144 00:08:37,101 --> 00:08:39,270 行こう。 ちょ ちょっと…。 145 00:08:39,270 --> 00:08:41,272 おっ? (叫び声) 146 00:08:41,272 --> 00:08:44,441 泥棒だ~! あっ! 147 00:08:44,441 --> 00:08:46,777 (パオロ/ルネ)ハァハァハァ…。 148 00:08:46,777 --> 00:08:49,113 (男1)待て~! (男2)止まれ~! 149 00:08:49,113 --> 00:08:51,282 (男3)んんっ! (パオロ)あっ! 150 00:08:51,282 --> 00:08:53,284 (パオロ)んっ…! (男3)捕まえた! 151 00:08:53,284 --> 00:08:55,953 離せよ うわっ! 152 00:08:55,953 --> 00:08:59,290 (ルネ)あぁ…。 仲間の店から盗むなんて 153 00:08:59,290 --> 00:09:02,626 ふてぇヤツらだ! 子どもだけじゃ 本は売れねぇぞ! 154 00:09:02,626 --> 00:09:05,963 違うよ 盗んで来いって 言われたんだよ! 155 00:09:05,963 --> 00:09:09,800 (男1)なんだと どこのどいつだ そんなこと ぬかすヤツは!? 156 00:09:09,800 --> 00:09:11,735 ベルンシュタインって貴族だよ! 157 00:09:11,735 --> 00:09:14,238 えっ!? んん…。 158 00:09:14,238 --> 00:09:16,907 ベルンシュタイン? そいつは どこにいる? 159 00:09:16,907 --> 00:09:18,909 んっ! 160 00:09:18,909 --> 00:09:21,245 あぁ… あっ。 161 00:09:21,245 --> 00:09:24,248 クリス様…。 162 00:09:24,248 --> 00:09:26,584 その貴族ってのは どこにいるんだ! 163 00:09:26,584 --> 00:09:29,084 ちょっといいかな? (一同)あぁ? 164 00:09:32,423 --> 00:09:34,425 かっ…! 165 00:09:34,425 --> 00:09:36,594 なんだ お前。 166 00:09:36,594 --> 00:09:38,929 コイツらの知り合いか? 167 00:09:38,929 --> 00:09:40,931 お父さん! 168 00:09:40,931 --> 00:09:42,931 んっ!? え? 169 00:09:45,936 --> 00:09:48,105 お前が コイツらの父親か! 170 00:09:48,105 --> 00:09:50,105 んっ…。 んっ! 171 00:09:53,444 --> 00:09:56,113 あぁ…。 172 00:09:56,113 --> 00:09:58,115 えっ!? 173 00:09:58,115 --> 00:10:00,117 あっ…。 174 00:10:00,117 --> 00:10:02,119 というわけで。 あぁ…。 175 00:10:02,119 --> 00:10:04,419 二人の身柄は預かる。 176 00:10:06,457 --> 00:10:08,459 (グレン)つまりなんだ。 177 00:10:08,459 --> 00:10:11,629 このルネって子の母親が病気で 医者に診せたいが 178 00:10:11,629 --> 00:10:14,465 根なし草のシスルの民は 診てもらえない。 179 00:10:14,465 --> 00:10:16,467 うん。 そのことを知って 180 00:10:16,467 --> 00:10:18,469 声をかけてきた貴族と 181 00:10:18,469 --> 00:10:20,471 市場から本を盗む代わりに 182 00:10:20,471 --> 00:10:23,641 医者に診せてもらう 約束をした。 (パオロ)ああ。 183 00:10:23,641 --> 00:10:26,977 (グレン)お前さんは この子のために ひと肌脱いだ。 184 00:10:26,977 --> 00:10:29,813 (パオロ)ルネは 俺の弟分だからさ。 185 00:10:29,813 --> 00:10:32,149 そこまでは わかったけどな…。 186 00:10:32,149 --> 00:10:34,318 このルネって子は なぜクリスを 187 00:10:34,318 --> 00:10:36,320 父親だと思い込んでるんだ? 188 00:10:36,320 --> 00:10:40,491 思い込むも何も その人が ルネの親父だからだろ。 189 00:10:40,491 --> 00:10:42,493 んん…。 190 00:10:42,493 --> 00:10:47,164 あっ… エリィ 私にはなんら 後ろ暗いところはないからね。 191 00:10:47,164 --> 00:10:51,335 はぁ…。 ボクのお父さんは 騎士様なんだよ。 192 00:10:51,335 --> 00:10:53,504 ボクと同じ 青い目をしていて 193 00:10:53,504 --> 00:10:56,340 ボクたちを 必ず迎えに来てくれるって 194 00:10:56,340 --> 00:10:59,343 お母さんが言ってた。 んん…。 195 00:10:59,343 --> 00:11:02,513 あ~ つまり? お前さんもこの子も 196 00:11:02,513 --> 00:11:04,682 母親が言っていた特徴だけで 197 00:11:04,682 --> 00:11:06,850 クリスを父親と判断したわけだな。 198 00:11:06,850 --> 00:11:09,019 それだけじゃないよ。 199 00:11:09,019 --> 00:11:12,122 さっきシスルの星の 博士の名前を出して 200 00:11:12,122 --> 00:11:14,291 みんなを 引き下がらせたじゃないか。 201 00:11:14,291 --> 00:11:17,795 レッツィ博士の古い知り合いでね 202 00:11:17,795 --> 00:11:21,131 博士の知り合いなんだろ? あぁ…。 203 00:11:21,131 --> 00:11:24,468 (パオロ)ルネの母ちゃんは シスルの星の踊り子なんだけど 204 00:11:24,468 --> 00:11:27,137 サウズリンドの騎士様が 博士と知り合えたのは 205 00:11:27,137 --> 00:11:29,139 恋人だったからだろ? 206 00:11:29,139 --> 00:11:31,141 そうなのですか? 207 00:11:31,141 --> 00:11:33,977 エリィ 何かな その目は。 208 00:11:33,977 --> 00:11:36,480 いえ 別に…。 209 00:11:36,480 --> 00:11:39,483 (アラン)舞姫と 騎士様の恋愛小説って 210 00:11:39,483 --> 00:11:41,819 クリス様が お相手の騎士だったとは 211 00:11:41,819 --> 00:11:43,821 知らなかったなぁ。 212 00:11:43,821 --> 00:11:46,490 エリアーナ様 食べないの? 213 00:11:46,490 --> 00:11:49,827 もしかして 食べたことない料理に 警戒してる? 214 00:11:49,827 --> 00:11:53,163 いえ 東の国の料理は以前 215 00:11:53,163 --> 00:11:55,332 「東方見聞書」を読んだ際 216 00:11:55,332 --> 00:11:58,001 家の料理人に 作ってもらいました。 217 00:11:58,001 --> 00:12:00,337 (アラン)ベルンシュタイン家の料理人って 218 00:12:00,337 --> 00:12:02,673 なんでもござれの 凄腕なんだね。 219 00:12:02,673 --> 00:12:06,677 あぁ… 我が家のことを ご存知なのでしょうか? 220 00:12:06,677 --> 00:12:09,513 おっ やっぱり気づいてない…。 221 00:12:09,513 --> 00:12:12,282 僕の存在感って どんだけ…。 222 00:12:12,282 --> 00:12:14,284 アランです…。 223 00:12:14,284 --> 00:12:17,287 アラン 報告は向こうで聞こうか。 224 00:12:17,287 --> 00:12:19,289 グレン。 225 00:12:19,289 --> 00:12:22,459 エリィ ごめんね 先に食べてて。 226 00:12:22,459 --> 00:12:24,461 はい…。 227 00:12:24,461 --> 00:12:28,799 君も 私の方を向いていたら 食事ができないよ。 228 00:12:28,799 --> 00:12:31,299 ほら。 ふふ…。 229 00:12:33,303 --> 00:12:37,808 あぁ…。 230 00:12:37,808 --> 00:12:40,644 ルネ いいから今は メシ食えよ。 231 00:12:40,644 --> 00:12:42,646 うん…。 232 00:12:42,646 --> 00:12:44,648 あん。 233 00:12:44,648 --> 00:12:48,819 ちっこい姉ちゃん アンタ ベルンシュタインって貴族の人間なの? 234 00:12:48,819 --> 00:12:52,656 はい エリアーナ・ベルンシュタインと申します。 235 00:12:52,656 --> 00:12:55,826 アンタ モグラの身内なのか? 236 00:12:55,826 --> 00:12:57,995 モグラ? 237 00:12:57,995 --> 00:13:01,832 モグラ貴族だよ 偉そうにふんぞり返ってさ。 238 00:13:01,832 --> 00:13:05,169 俺たちのこと 見下してるのが 丸わかりだったんだ。 239 00:13:05,169 --> 00:13:07,171 でも ルネの母ちゃんを 240 00:13:07,171 --> 00:13:09,173 医者に 診せてくれるっていうから 241 00:13:09,173 --> 00:13:11,442 我慢して 付き合ってやってたけど…。 242 00:13:11,442 --> 00:13:13,610 ごめんね パオロ…。 はっ…。 243 00:13:13,610 --> 00:13:15,612 ルネが 悪いんじゃないよ。 244 00:13:15,612 --> 00:13:17,781 俺たちのことも 診てくれる医者がいたら 245 00:13:17,781 --> 00:13:20,617 あんなヤツの言うことなんか 誰が聞くもんか! 246 00:13:20,617 --> 00:13:22,619 あっ! 247 00:13:22,619 --> 00:13:24,788 《誰でも診てくれる お医者様…。 248 00:13:24,788 --> 00:13:28,125 そんな話を昔 したような…》 249 00:13:28,125 --> 00:13:30,127 (パウロ)だから 俺は。 はっ! 250 00:13:30,127 --> 00:13:32,296 人に足元見て ふんぞり返ってる 251 00:13:32,296 --> 00:13:35,466 アンタら貴族なんて 大嫌いだ! 252 00:13:35,466 --> 00:13:37,801 貴族は そんなに偉いのかよ! 253 00:13:37,801 --> 00:13:40,304 そんなことは…。 254 00:13:40,304 --> 00:13:43,304 貴族は みんな同じだ くっ! 255 00:13:45,976 --> 00:13:47,976 あぁ…。 256 00:13:50,481 --> 00:13:53,484 どうお伝えしたらいいのか わかりませんが 257 00:13:53,484 --> 00:13:56,487 これは 私が子どもの時から 258 00:13:56,487 --> 00:13:59,656 繰り返し読んできた 「星の旅人」です。 259 00:13:59,656 --> 00:14:04,495 この中で 荒野で出会ったカラスに いじめられた旅人は 260 00:14:04,495 --> 00:14:06,497 こうかえしています。 261 00:14:06,497 --> 00:14:11,101 「僕は今 君にいじめられてとても悲しい。 262 00:14:11,101 --> 00:14:15,272 だから僕は ほかのカラスに出会っても 263 00:14:15,272 --> 00:14:18,775 いじめることはしないよ」。 264 00:14:18,775 --> 00:14:21,778 私も そういう人でありたいと 265 00:14:21,778 --> 00:14:23,780 思っています。 266 00:14:23,780 --> 00:14:26,617 あぁ…。 だから なんだよ! 267 00:14:26,617 --> 00:14:29,286 あっ! そんなの 口だけなら 268 00:14:29,286 --> 00:14:31,288 なんとでも 言えるんだよ! 269 00:14:31,288 --> 00:14:34,458 そうですね…。 270 00:14:34,458 --> 00:14:36,958 あぁ んん…。 271 00:14:39,296 --> 00:14:41,632 パオロ…。 あっ んん…。 272 00:14:41,632 --> 00:14:43,634 んん…。 273 00:14:43,634 --> 00:14:47,137 あっ あぁ…。 274 00:14:47,137 --> 00:14:50,307 《でも どうすればいいのか…》 275 00:14:50,307 --> 00:14:52,309 (パオロ)ごめん。 あっ。 276 00:14:52,309 --> 00:14:54,645 言い過ぎた…。 277 00:14:54,645 --> 00:14:56,980 姉ちゃんのせいじゃないのに。 278 00:14:56,980 --> 00:15:00,984 アンタが ベルンシュタインって聞いて つい…。 279 00:15:00,984 --> 00:15:02,984 ごめん! んっ…。 280 00:15:09,326 --> 00:15:11,261 パオロ様。 んっ! 281 00:15:11,261 --> 00:15:13,263 パオロ… 様? 282 00:15:13,263 --> 00:15:17,768 我が家の者は 書物を盗むような マネは 決してしません。 283 00:15:17,768 --> 00:15:20,437 それが どうしても欲しい書物で 284 00:15:20,437 --> 00:15:22,773 どうしても 手にはいらなければ。 285 00:15:22,773 --> 00:15:24,775 ければ? 286 00:15:24,775 --> 00:15:26,777 拝み倒してでも 287 00:15:26,777 --> 00:15:28,779 一服 盛らせていただいてでも 288 00:15:28,779 --> 00:15:31,448 とにかく 読ませていただきます。 289 00:15:31,448 --> 00:15:35,118 おぉ… 一服 盛る方が悪くね? 290 00:15:35,118 --> 00:15:37,287 えっ? (笑い声) 291 00:15:37,287 --> 00:15:39,623 えっ? 292 00:15:39,623 --> 00:15:42,292 プッ フフフフ。 フフフフ。 293 00:15:42,292 --> 00:15:47,297 (笑い声) 294 00:15:47,297 --> 00:15:50,300 (ルネ)ボク 「星の旅人」知ってるよ。 295 00:15:50,300 --> 00:15:52,469 お母さんが読んでくれた。 296 00:15:52,469 --> 00:15:56,139 ボクたち「シスルの星」の 道しるべなんだって。 297 00:15:56,139 --> 00:15:58,141 そうなのですね。 298 00:15:58,141 --> 00:16:00,644 うん…。 私も小さい頃 299 00:16:00,644 --> 00:16:02,646 母に読んでもらいました。 300 00:16:02,646 --> 00:16:04,815 ふふ。 ふふっ。 301 00:16:04,815 --> 00:16:06,815 あ~ん。 302 00:16:08,986 --> 00:16:11,755 ふぁ~。 303 00:16:11,755 --> 00:16:15,592 おっ… ふふ。 304 00:16:15,592 --> 00:16:17,761 なぁ ちっこい姉ちゃん。 305 00:16:17,761 --> 00:16:21,431 アンタが ほかの貴族とは なんか違うのはわかったよ。 306 00:16:21,431 --> 00:16:23,433 だから 聞くけどさ。 307 00:16:23,433 --> 00:16:25,435 青い目の 兄ちゃんと姉ちゃんって 308 00:16:25,435 --> 00:16:27,437 どういう関係なんだ? 309 00:16:27,437 --> 00:16:29,606 どういう とは? 310 00:16:29,606 --> 00:16:33,276 だからさ 恋人同士なのか どうかってこと。 311 00:16:33,276 --> 00:16:36,113 あっ あぁ…。 312 00:16:36,113 --> 00:16:39,783 《婚約者という 肩書きなら 313 00:16:39,783 --> 00:16:42,452 4年前から そうですが…。 314 00:16:42,452 --> 00:16:44,788 私は 殿下との出会いを 315 00:16:44,788 --> 00:16:47,124 思い出すこともできず。 316 00:16:47,124 --> 00:16:50,293 恋人として ふさわしい 振る舞いができているかも 317 00:16:50,293 --> 00:16:52,295 自信がないのに…》 318 00:16:52,295 --> 00:16:56,299 恋人というか…。 319 00:16:56,299 --> 00:16:58,802 なんだよ ハッキリしねぇな。 320 00:16:58,802 --> 00:17:00,804 あっ! あの兄ちゃんが 321 00:17:00,804 --> 00:17:03,640 ルネの父ちゃんじゃないのは なんとなくわかったよ。 322 00:17:03,640 --> 00:17:08,145 でも ルネのヤツ ずっと父親の存在に憧れてたんだ。 323 00:17:08,145 --> 00:17:10,914 頼むよ 今日 1日だけ 324 00:17:10,914 --> 00:17:13,417 ルネの父ちゃんとして 貸し出してくれよ。 325 00:17:13,417 --> 00:17:15,919 あぁ…。 そういうことは 326 00:17:15,919 --> 00:17:18,922 本人から 了承を得てくれるかな? 327 00:17:18,922 --> 00:17:23,093 エリィ これからシスルの星の長に 会いに行ってみよう。 328 00:17:23,093 --> 00:17:25,762 シスルの星の長に? 329 00:17:25,762 --> 00:17:28,098 確かめたいことがあってね。 330 00:17:28,098 --> 00:17:31,101 あまり会いたくない人だが 仕方ない。 331 00:17:31,101 --> 00:17:33,603 あぁ…。 332 00:17:33,603 --> 00:17:36,273 兄ちゃん モグラはどうするの? 333 00:17:36,273 --> 00:17:39,276 せっかくの休日を 邪魔してくれたんだ。 334 00:17:39,276 --> 00:17:42,612 そのあとで よくよくお礼をするよ。 335 00:17:42,612 --> 00:17:45,449 (みんな)うぅ…。 336 00:17:45,449 --> 00:17:47,951 さぁ 行こう。 はい。 337 00:17:47,951 --> 00:17:49,953 おっ…。 338 00:17:49,953 --> 00:17:51,953 おぉ…。 339 00:17:58,628 --> 00:18:00,628 《どうして こうなった…》 340 00:18:03,967 --> 00:18:08,138 《今日 エリィを守る騎士役は 私の役目だったはずなのに…》 341 00:18:08,138 --> 00:18:10,140 はぁ…。 342 00:18:10,140 --> 00:18:13,243 んん おっ お父さん? 343 00:18:13,243 --> 00:18:15,579 んっ。 あぁ…。 344 00:18:15,579 --> 00:18:17,748 あっ…。 345 00:18:17,748 --> 00:18:19,916 《自分も あの頃 346 00:18:19,916 --> 00:18:22,919 常にこんな顔を していたんだろうか》 347 00:18:22,919 --> 00:18:27,424 ひとつ 昔話をしようか。 うん…。 348 00:18:27,424 --> 00:18:29,426 あるところに 349 00:18:29,426 --> 00:18:32,929 青い目をした一人の 小さな男の子がいた。 350 00:18:32,929 --> 00:18:35,265 男の子の母親は 351 00:18:35,265 --> 00:18:38,935 病気を治すために 遠いところへ移されてしまう。 352 00:18:38,935 --> 00:18:42,272 このまま 会えなくなったら どうしようと 353 00:18:42,272 --> 00:18:45,275 優しい母親が 大好きだった男の子は 354 00:18:45,275 --> 00:18:47,444 とても 不安だった。 355 00:18:47,444 --> 00:18:51,114 それで 毎日いっぱいお祈りして 356 00:18:51,114 --> 00:18:53,450 たくさん手紙を書いたんだ。 357 00:18:53,450 --> 00:18:55,452 そして ついに 358 00:18:55,452 --> 00:18:59,289 母親は 病気に勝って戻ってきた。 359 00:18:59,289 --> 00:19:03,960 ところが 母親は まったくの別人になっていた。 360 00:19:03,960 --> 00:19:06,296 厳しくて 冷たい 361 00:19:06,296 --> 00:19:10,233 男の子に 笑いかけてもくれない 母親になってしまっていた。 362 00:19:10,233 --> 00:19:12,235 あぁ…。 363 00:19:12,235 --> 00:19:15,071 ふっ。 364 00:19:15,071 --> 00:19:17,741 男の子は とても傷ついたし 365 00:19:17,741 --> 00:19:20,410 ちょっぴりだけ 泣いてしまったかもしれない。 366 00:19:20,410 --> 00:19:22,579 そして 考えた。 367 00:19:22,579 --> 00:19:25,415 お母さんはきっと 悪い魔法使いに 368 00:19:25,415 --> 00:19:28,084 魔法をかけられたんだと。 えっ! 369 00:19:28,084 --> 00:19:30,086 それからは 毎日 370 00:19:30,086 --> 00:19:32,589 魔法を解きたくて たくさん勉強をした。 371 00:19:32,589 --> 00:19:34,925 でも 解き方がわからなくて 372 00:19:34,925 --> 00:19:37,093 ちょっと むしゃくしゃしていたんだ。 373 00:19:37,093 --> 00:19:39,095 そうしたら そこに 374 00:19:39,095 --> 00:19:42,432 魔法を解く お姫様が現れた。 375 00:19:42,432 --> 00:19:45,268 お姫様は 図書館の妖精でね。 376 00:19:45,268 --> 00:19:48,438 魔法を解く 呪文を教えてくれた。 377 00:19:48,438 --> 00:19:52,776 大切なものは 目に見えないのです 378 00:19:52,776 --> 00:19:54,778 「星の旅人」だ! 379 00:19:54,778 --> 00:19:56,947 うん それで 男の子は 380 00:19:56,947 --> 00:20:00,617 自分が大切なものを 見落としていたことに気がついた。 381 00:20:00,617 --> 00:20:02,619 そうなの? 382 00:20:02,619 --> 00:20:05,789 実は 変わってしまったと 思っていた母親は 383 00:20:05,789 --> 00:20:09,626 男の子からの手紙を すべて大切にとっていて 384 00:20:09,626 --> 00:20:11,628 宝物にしていたんだ。 385 00:20:11,628 --> 00:20:15,131 だから それからは 母親に厳しくされても 386 00:20:15,131 --> 00:20:17,467 男の子は平気になった。 387 00:20:17,467 --> 00:20:21,471 そして お姫様にとても感謝したんだ。 388 00:20:21,471 --> 00:20:23,473 はぁ~! 389 00:20:23,473 --> 00:20:27,978 ルネ 大切なものは いつでも 目に見えない。 390 00:20:27,978 --> 00:20:30,146 君は君の 391 00:20:30,146 --> 00:20:32,646 大切なものを 見失ってはいけないよ。 392 00:20:34,651 --> 00:20:36,653 お父… んっ…。 393 00:20:36,653 --> 00:20:38,953 うん お兄ちゃん。 394 00:20:41,324 --> 00:20:43,326 あぁ…。 395 00:20:43,326 --> 00:20:47,497 エリィ。 あっ ルネくん よかったらどうぞ。 396 00:20:47,497 --> 00:20:50,166 わぁ~ ハァハァ! 397 00:20:50,166 --> 00:20:52,502 ありがとう。 398 00:20:52,502 --> 00:20:54,504 私にも ひとつもらえるかな? 399 00:20:54,504 --> 00:20:57,007 えっ あ はい。 400 00:20:57,007 --> 00:20:59,007 あ~ん。 えっ!? 401 00:21:01,011 --> 00:21:03,011 えぇ…。 402 00:21:08,518 --> 00:21:10,787 はん。 あぁ~! 403 00:21:10,787 --> 00:21:13,623 わわわ 私の指は 食べ物ではありません! 404 00:21:13,623 --> 00:21:15,792 あっ…。 はあぁ~! 405 00:21:15,792 --> 00:21:17,794 そう? 406 00:21:17,794 --> 00:21:21,798 こんなに 甘くておいしいのに。 407 00:21:21,798 --> 00:21:23,800 俺 食べる気なくした。 408 00:21:23,800 --> 00:21:25,969 言うな 俺たちには 409 00:21:25,969 --> 00:21:28,138 日常茶飯事の光景なんだ。 410 00:21:28,138 --> 00:21:30,138 知ったことか。 411 00:21:34,144 --> 00:21:37,314 ニコラ・レッツィ博士に 取り次いでほしい。 412 00:21:37,314 --> 00:21:40,317 6年前の借りを 返してもらいにきたと 413 00:21:40,317 --> 00:21:42,319 伝えてくれればわかる。 414 00:21:42,319 --> 00:21:44,319 《6年前?》 415 00:21:49,326 --> 00:21:53,330 (レッツィ博士)金髪の騎士様じゃと? 覚えはないわ。 416 00:21:53,330 --> 00:21:55,498 んん…。 あぁ…。 417 00:21:55,498 --> 00:21:58,501 酒おごらせて 借りを作った相手なら 418 00:21:58,501 --> 00:22:00,670 星の数ほどおるがな。 419 00:22:00,670 --> 00:22:04,674 相変わらずだな 酒飲みレッツィじいさん。 420 00:22:04,674 --> 00:22:08,845 ほぅ いつぞやの青臭い坊主か。 421 00:22:08,845 --> 00:22:12,615 いつの間に シスルの子どもなんぞ こしらえたんじゃ。 422 00:22:12,615 --> 00:22:14,617 んんっ…。 423 00:22:14,617 --> 00:22:16,953 あぁ…。 424 00:22:16,953 --> 00:22:18,953 《やはり私は…》 425 00:22:22,625 --> 00:22:24,794 おっ! 《あまりにも 426 00:22:24,794 --> 00:22:28,394 殿下のことを 知らなさ過ぎるの かもしれません》