1 00:00:18,106 --> 00:00:20,108 (アラン)ねぇ アレク。 2 00:00:20,108 --> 00:00:22,945 聖夜の祝宴で演奏する 楽曲だけど…。 3 00:00:22,945 --> 00:00:25,447 (アレクセイ)それなら 候補リストがあるでしょう。 4 00:00:25,447 --> 00:00:28,116 でも そろそろ絞らないとだし…。 5 00:00:28,116 --> 00:00:31,116 クリス様は どんな曲がいいですか? 6 00:00:34,957 --> 00:00:37,292 いつも 余裕のクリス様も 7 00:00:37,292 --> 00:00:40,295 今年ばかりは そうもいかないね。 8 00:00:40,295 --> 00:00:43,298 年が明ければ 成婚の儀が迫ってるし 9 00:00:43,298 --> 00:00:46,301 やること いっぱいですよね クリス様。 10 00:00:46,301 --> 00:00:48,971 アラン 殿下の邪魔はしないように。 11 00:00:48,971 --> 00:00:50,973 は~い…。 12 00:00:50,973 --> 00:00:52,973 (グレン)由々しき事態だ! 13 00:00:55,310 --> 00:00:58,480 (クリストファー)アレク ドルード商会の陳述は却下しろ。 14 00:00:58,480 --> 00:01:01,483 あれには ダウナー伯爵が絡んでいます。 15 00:01:01,483 --> 00:01:03,652 根回ししないと 難しいかと。 16 00:01:03,652 --> 00:01:06,822 テッセン川の橋梁工事が最優先だ。 17 00:01:06,822 --> 00:01:11,493 (アレクセイ)ダウナー伯爵は 鉄鋼山への 予算申請を求められていますが。 18 00:01:11,493 --> 00:01:15,093 あの… 俺の話…。 (口笛) 19 00:01:17,099 --> 00:01:19,601 頼むから聞いてください…。 20 00:01:19,601 --> 00:01:21,603 どうしたのさ? 21 00:01:21,603 --> 00:01:23,605 聖夜の祝宴に合わせて 22 00:01:23,605 --> 00:01:26,942 ミゼラル公国から 将軍家に客人がある。 23 00:01:26,942 --> 00:01:29,945 それの どこが由々しき事態なのさ。 24 00:01:29,945 --> 00:01:33,115 来るのが いつものメンツじゃないんだ。 25 00:01:33,115 --> 00:01:35,117 あっ! 26 00:01:35,117 --> 00:01:38,120 もしかして おめでた話? 27 00:01:38,120 --> 00:01:41,456 うん…。 おめでとう グレン! 28 00:01:41,456 --> 00:01:45,294 冗談じゃない 相手は まだ10歳のお嬢さんだぞ! 29 00:01:45,294 --> 00:01:47,963 (エリアーナ)あっ!? (アレン)アッハハハハ! 30 00:01:47,963 --> 00:01:51,800 何より 母上が一番乗り気なんだ。 31 00:01:51,800 --> 00:01:54,136 かわいい娘が欲しかったって。 32 00:01:54,136 --> 00:01:56,471 そんなに娘が欲しけりゃ 今からでも 33 00:01:56,471 --> 00:01:58,974 父上と頑張ってみりゃいいんだ。 んっ…。 34 00:01:58,974 --> 00:02:03,812 ちょっとグレン クリス様の執務室で 家族計画 練らないでよ。 35 00:02:03,812 --> 00:02:07,149 グレン アラン退室。 36 00:02:07,149 --> 00:02:09,151 えっ? はぁ? (2人)あぁ…。 37 00:02:09,151 --> 00:02:12,321 フフ…。 少し前に アイゼナッハ夫人が 38 00:02:12,321 --> 00:02:16,091 母上にグレンの 女性遍歴を嘆いていたからな。 39 00:02:16,091 --> 00:02:18,093 身から出たサビだ。 40 00:02:18,093 --> 00:02:20,262 話題が増えて ちょうどいいでしょう。 41 00:02:20,262 --> 00:02:23,598 女遊びの末路って こうなるんだね。 42 00:02:23,598 --> 00:02:27,269 お前ら… そこに友情という名の 43 00:02:27,269 --> 00:02:29,438 青春の輝きはないのか! 44 00:02:29,438 --> 00:02:31,440 書類整理を手伝うなら 45 00:02:31,440 --> 00:02:34,109 知恵だけ お貸しするのは やぶさかではありません。 46 00:02:34,109 --> 00:02:37,946 僕は おもしろければどっちでも。 47 00:02:37,946 --> 00:02:40,782 《殿方の友情というものは 48 00:02:40,782 --> 00:02:44,453 女性の私には わかりづらいもののようです》 49 00:02:44,453 --> 00:02:46,621 冗談は さておき 50 00:02:46,621 --> 00:02:50,292 この頃あいでやってくるのが 少々引っかかりますね。 51 00:02:50,292 --> 00:02:53,462 んっ? (ノック音) 52 00:02:53,462 --> 00:02:56,798 エリアーナ様 迎えの者が参りました。 53 00:02:56,798 --> 00:02:58,798 あぁ…。 54 00:03:00,969 --> 00:03:03,638 それでは 失礼いたします。 55 00:03:03,638 --> 00:03:07,142 エリィ 何か困っていることはない? 56 00:03:07,142 --> 00:03:09,978 おっ… んん…。 57 00:03:09,978 --> 00:03:12,147 いや うん…。 58 00:03:12,147 --> 00:03:14,416 エリィが困っていなければ それでいいんだ。 59 00:03:14,416 --> 00:03:16,918 《殿下に言われた 60 00:03:16,918 --> 00:03:19,588 困っていること というより 61 00:03:19,588 --> 00:03:23,592 ここ最近 慣れない問題を 抱える事態になり 62 00:03:23,592 --> 00:03:27,429 赴く先に 足取りが重たくなるのは 63 00:03:27,429 --> 00:03:29,529 否定できない事実でした》 64 00:05:12,400 --> 00:05:15,403 はぁ… フゥ…。 65 00:05:15,403 --> 00:05:17,403 んっ…。 66 00:05:19,741 --> 00:05:21,741 (扉の閉まる音) 67 00:05:28,250 --> 00:05:31,753 お待ちしておりました エリアーナ様! 68 00:05:31,753 --> 00:05:33,755 はじめなさい。 69 00:05:33,755 --> 00:05:35,757 (マーズ商会)エリアーナ様 本日は 70 00:05:35,757 --> 00:05:38,260 貴重な 黄真珠をお持ちしました。 71 00:05:38,260 --> 00:05:41,930 (ナッシュ商会)あわせて 新しいデザインの ドレスもご用意いたしました。 72 00:05:41,930 --> 00:05:44,266 (サイナス商会)こちらの織物も ご覧ください。 73 00:05:44,266 --> 00:05:46,268 (マーズ商会)こちらもどうぞ。 (ナッシュ商会)こちらも! 74 00:05:46,268 --> 00:05:49,437 (サイナス商会)こちらもぜひ! 《私の課題は 75 00:05:49,437 --> 00:05:51,940 この中から 次期王太子の 76 00:05:51,940 --> 00:05:54,609 妃御用達候補を決めること…》 77 00:05:54,609 --> 00:05:56,611 んん…。 78 00:05:56,611 --> 00:05:59,614 エリアーナ様 あてがってみられては? 79 00:05:59,614 --> 00:06:02,284 こちらはいかがでしょう? 80 00:06:02,284 --> 00:06:05,620 こちらでも。 こちらなんか お似合いでは? 81 00:06:05,620 --> 00:06:07,956 いや でも…。 82 00:06:07,956 --> 00:06:10,625 (ジャン)お嬢 大丈夫すかねぇ。 83 00:06:10,625 --> 00:06:12,561 聖夜の祝宴が終わるまで 84 00:06:12,561 --> 00:06:16,064 王宮に滞在ってだけで 気疲れしてるのに…。 85 00:06:16,064 --> 00:06:18,233 (侍女1)エリアーナ様 86 00:06:18,233 --> 00:06:21,069 お気に召したものは ございますか? 87 00:06:21,069 --> 00:06:23,071 えっ…。 もしくは 88 00:06:23,071 --> 00:06:25,073 ご助言などございましたら。 89 00:06:25,073 --> 00:06:27,242 あぁ…。 90 00:06:27,242 --> 00:06:29,244 んん…。 91 00:06:29,244 --> 00:06:31,913 はっ! 92 00:06:31,913 --> 00:06:35,750 こちらの素描には 生花があしらわれていますが 93 00:06:35,750 --> 00:06:38,420 ユールの花を基にしていますね。 94 00:06:38,420 --> 00:06:40,422 さようにございます。 95 00:06:40,422 --> 00:06:43,592 ユールは 古代「ゲルーガ神話」で 96 00:06:43,592 --> 00:06:46,428 女神に愛された乙女の象徴…。 97 00:06:46,428 --> 00:06:50,932 その女神は 清純を示す象徴である反面 98 00:06:50,932 --> 00:06:55,437 華やかな色彩と意匠を好む 女神でもあるそうです。 99 00:06:55,437 --> 00:06:58,607 はぁ~。 そこで いっそのこと 100 00:06:58,607 --> 00:07:00,775 女神の衣裳のように 101 00:07:00,775 --> 00:07:03,445 ドレスの襟ぐりを さらに深くし 102 00:07:03,445 --> 00:07:05,780 そこに ユールの花をモチーフにした 103 00:07:05,780 --> 00:07:08,283 レースを飾るのは いかがでしょうか? 104 00:07:08,283 --> 00:07:11,119 なるほど! エリアーナ様 105 00:07:11,119 --> 00:07:13,888 ぜひ わたくしども ナッシュ商会にも助言を! 106 00:07:13,888 --> 00:07:15,890 まぁ ナッシュ商会は 107 00:07:15,890 --> 00:07:18,059 昨日も助言を いただいたばかりでしょう。 108 00:07:18,059 --> 00:07:22,230 サイナス商会こそ 毎回 宝石の由来を 聞くばかりじゃない。 109 00:07:22,230 --> 00:07:24,566 (サイナス商会)なんですって! (ナッシュ商会)そちらこそ! 110 00:07:24,566 --> 00:07:27,402 エリアーナ様。 あっ。 111 00:07:27,402 --> 00:07:30,071 わたくしは やはり こちらがよいかと。 112 00:07:30,071 --> 00:07:32,240 わたくしなら 絶対こちらの方が。 113 00:07:32,240 --> 00:07:34,240 ダメよ 華やかな赤の方が。 114 00:07:36,244 --> 00:07:39,914 (アンリエッタ)エリアーナ まだ衣裳が 決まらないのですか? 115 00:07:39,914 --> 00:07:41,916 (侍女たち)あっ! 116 00:07:41,916 --> 00:07:45,754 ~ 117 00:07:45,754 --> 00:07:48,423 毎度のこととはいえ 困ったこと…。 118 00:07:48,423 --> 00:07:51,926 エリアーナ 王太子妃の役目とは 119 00:07:51,926 --> 00:07:56,765 商会の者たちへ有益な助言を 与えて 人気を取ることでも 120 00:07:56,765 --> 00:08:00,769 侍女たちの言葉に 流されることでもないのですよ。 121 00:08:00,769 --> 00:08:02,771 はい…。 122 00:08:02,771 --> 00:08:04,773 そちらの山吹色のドレスに 123 00:08:04,773 --> 00:08:07,275 花のデコルテがあるもの。 (侍女1)はい! 124 00:08:07,275 --> 00:08:11,279 宝石は銀細工の意匠で 目新しいものはありますか? 125 00:08:11,279 --> 00:08:13,214 (侍女2)はい こちらに。 126 00:08:13,214 --> 00:08:16,384 (アンリエッタ)これはないわね これもないわね。 127 00:08:16,384 --> 00:08:19,984 《私は この方のように なれるのでしょうか…》 128 00:08:26,394 --> 00:08:28,396 ふぅ…。 129 00:08:28,396 --> 00:08:31,232 《疲れました…》 130 00:08:31,232 --> 00:08:34,569 ありがとうございました またのごひいきを。 131 00:08:34,569 --> 00:08:36,569 (扉の閉まる音) 132 00:08:38,573 --> 00:08:40,742 あっ! 133 00:08:40,742 --> 00:08:42,911 エリアーナ。 134 00:08:42,911 --> 00:08:46,581 あなたは サウズリンド王国の次期王太子妃。 135 00:08:46,581 --> 00:08:50,418 いつまでも クリスに守られ 本ばかり読んでいては 136 00:08:50,418 --> 00:08:54,422 いざというときに あなた自身が 困ることになるのですよ。 137 00:08:54,422 --> 00:08:56,758 はい…。 138 00:08:56,758 --> 00:08:59,928 正式に 成婚の日取りが決まった以上 139 00:08:59,928 --> 00:09:02,764 今までのような 甘えは許されません。 140 00:09:02,764 --> 00:09:05,433 王家の一員となる以上 141 00:09:05,433 --> 00:09:07,435 人の裏を読み 142 00:09:07,435 --> 00:09:10,271 百戦錬磨の狐狸たちとも 渡り合う術を 143 00:09:10,271 --> 00:09:12,273 身につけるのは必須です。 144 00:09:12,273 --> 00:09:15,043 あなたは その点 社交の面において 145 00:09:15,043 --> 00:09:17,712 遅きに失した感があります。 146 00:09:17,712 --> 00:09:20,382 自分でも わかっていますね エリアーナ。 147 00:09:20,382 --> 00:09:23,718 はい… アンリエッタ王妃様。 148 00:09:23,718 --> 00:09:27,222 先日も言いましたね。 149 00:09:27,222 --> 00:09:30,558 二人だけの時には なんと呼ぶのですか? 150 00:09:30,558 --> 00:09:34,229 はっ! あぁ…。 151 00:09:34,229 --> 00:09:37,232 お義母様…。 152 00:09:37,232 --> 00:09:39,234 ヒッ! 153 00:09:39,234 --> 00:09:42,404 エリアーナ 先日も言いましたが 154 00:09:42,404 --> 00:09:46,241 私を義母と呼ぶたびに 恥じらうものではありません。 155 00:09:46,241 --> 00:09:50,078 まるで私が 強要している みたいではありませんか。 156 00:09:50,078 --> 00:09:53,248 はい… 申し訳ありません。 157 00:09:53,248 --> 00:09:55,750 んんっ ともかく 158 00:09:55,750 --> 00:09:59,921 今日は あなたに大切な話を しなければなりません。 159 00:09:59,921 --> 00:10:01,921 はい…。 160 00:10:04,592 --> 00:10:07,762 エリアーナ あなたは15年前の 161 00:10:07,762 --> 00:10:10,432 「灰色の悪夢」を覚えていますね。 162 00:10:10,432 --> 00:10:14,269 あっ! サウズリンドの北東から発生し 163 00:10:14,269 --> 00:10:17,272 膨大な死者を出した 疫病です。 164 00:10:17,272 --> 00:10:20,775 あなたの母君も…。 はい…。 165 00:10:20,775 --> 00:10:24,446 周知のとおり 私も この病にかかり 166 00:10:24,446 --> 00:10:27,949 一時期は 王宮から隔離されました。 167 00:10:27,949 --> 00:10:31,786 当時クリスは7歳という 幼齢の身。 168 00:10:31,786 --> 00:10:35,457 私は陛下に嫁いでから クリスが生まれるまで 169 00:10:35,457 --> 00:10:37,959 少し時間が かかったものですから 170 00:10:37,959 --> 00:10:41,959 周囲から それは いろいろと言われたものです。 171 00:10:43,965 --> 00:10:46,968 私の意図することが わかりますね? 172 00:10:46,968 --> 00:10:48,970 あぁ…。 173 00:10:48,970 --> 00:10:53,141 アグネス:現在のサウズリンド王家が 抱えている問題。 174 00:10:53,141 --> 00:10:55,143 それは直系の跡継ぎが 175 00:10:55,143 --> 00:10:57,812 クリストファー殿下だけということです。 176 00:10:57,812 --> 00:10:59,981 えっ…。 本来なら陛下が 177 00:10:59,981 --> 00:11:03,985 即位されると同時に 弟君のテオドール殿下は 178 00:11:03,985 --> 00:11:06,488 継承権を返上するものです。 179 00:11:06,488 --> 00:11:10,492 しかし いまだに王弟殿下の 立場にいらっしゃいます。 180 00:11:10,492 --> 00:11:13,094 実際 宮廷内は 181 00:11:13,094 --> 00:11:15,430 テオドール殿下を擁立する派閥 182 00:11:15,430 --> 00:11:17,765 クリストファー殿下を推す派閥 183 00:11:17,765 --> 00:11:21,603 中立を保つ派と 三分化されております。 184 00:11:21,603 --> 00:11:24,439 テオドール様が自ら 185 00:11:24,439 --> 00:11:26,441 権力から最も離れた 186 00:11:26,441 --> 00:11:29,611 王宮書庫室長という 地位につかれたのも 187 00:11:29,611 --> 00:11:33,615 王位継承権争いを 回避してのことかもしれません 188 00:11:33,615 --> 00:11:37,815 ご側室を ということでしょうか? 189 00:11:40,288 --> 00:11:42,790 でも アンリエッタ様には 190 00:11:42,790 --> 00:11:45,126 ミゼラル公国の後ろ盾が…。 191 00:11:45,126 --> 00:11:49,797 あの国はむしろ 自国の公女を 差し向けてくる勢いでしたよ。 192 00:11:49,797 --> 00:11:52,967 そんな…。 ひどいと思いますか? 193 00:11:52,967 --> 00:11:56,137 あまりにも 思いやりのない仕打ちだと? 194 00:11:56,137 --> 00:11:59,307 ですが これが王家に嫁いだ 195 00:11:59,307 --> 00:12:01,476 女性の宿命でもあります。 196 00:12:01,476 --> 00:12:05,813 エリアーナ 社交の面よりも何よりも 197 00:12:05,813 --> 00:12:07,815 あなたに足りないのは 198 00:12:07,815 --> 00:12:10,985 王家の人間に 嫁ぐという覚悟です。 199 00:12:10,985 --> 00:12:13,421 私の身に起こったことは 200 00:12:13,421 --> 00:12:16,758 いつ あなたの身に降りかかっても おかしくないのです。 201 00:12:16,758 --> 00:12:19,093 サウズリンドの王太子 202 00:12:19,093 --> 00:12:21,930 クリストファーの隣に立つ者として 203 00:12:21,930 --> 00:12:25,099 あなたに その覚悟はありますか? 204 00:12:25,099 --> 00:12:27,936 あぁ…! 205 00:12:27,936 --> 00:12:32,106 《その お言葉は 私の胸にさざ波を立て 206 00:12:32,106 --> 00:12:36,110 やがて大きな 「不安」という名の波となり 207 00:12:36,110 --> 00:12:39,110 私を 飲み込むかのようでした》 208 00:12:45,453 --> 00:12:49,053 はぁ…! 209 00:12:52,293 --> 00:12:55,797 女性たちは すっかり 目を奪われているようだね。 210 00:12:55,797 --> 00:12:58,800 (シャロン)エレンがいると いつもこうなんです。 211 00:12:58,800 --> 00:13:01,469 それより 殿下 さっきの話 212 00:13:01,469 --> 00:13:04,806 雪ウサギを壊されたのは グレン様だったのですね。 213 00:13:04,806 --> 00:13:07,141 あぁ? クリストファー殿下が 214 00:13:07,141 --> 00:13:10,144 ミレーユ姉様のために 手ずから作られた 215 00:13:10,144 --> 00:13:12,580 力作だと伺いましたのに。 216 00:13:12,580 --> 00:13:17,085 シャロン嬢 それは 私が5 6歳の頃の話だね。 217 00:13:17,085 --> 00:13:20,421 見て覚えていたのは 周囲の者じゃないかな。 218 00:13:20,421 --> 00:13:23,758 あら ミレーユ姉様から お聞きしたんです。 219 00:13:23,758 --> 00:13:26,928 ミレーユ姉様は 殿下との思い出を 220 00:13:26,928 --> 00:13:28,930 それは大切に覚えていて 221 00:13:28,930 --> 00:13:31,265 今でも よく口にされますの。 222 00:13:31,265 --> 00:13:34,268 《話題のミレーユ様とは 223 00:13:34,268 --> 00:13:37,271 ミゼラル公国が誇る 224 00:13:37,271 --> 00:13:42,110 「真珠姫」とも称された 美貌と才智で有名な大公女様。 225 00:13:42,110 --> 00:13:46,280 現在は 国内の 貴族の方の元へ嫁がれ 226 00:13:46,280 --> 00:13:49,450 公女の位からは 降りていらっしゃるそうですが。 227 00:13:49,450 --> 00:13:52,286 殿下と お年が近いため 228 00:13:52,286 --> 00:13:54,622 幼い頃から交流があり 229 00:13:54,622 --> 00:13:58,459 かつては 婚約者候補とも 言われていたそうです》 230 00:13:58,459 --> 00:14:01,462 あぁ…。 231 00:14:01,462 --> 00:14:04,132 ミレーユ姉様も 聖夜の祝宴に 232 00:14:04,132 --> 00:14:06,634 お誘いできれば よかったのですけれど…。 233 00:14:06,634 --> 00:14:10,304 姉様は まだ喪が明けていませんから。 234 00:14:10,304 --> 00:14:13,074 嫁がれて 2年足らずで 235 00:14:13,074 --> 00:14:15,243 ご夫君を亡くされるとは…。 236 00:14:15,243 --> 00:14:19,914 友好国の民の一人として 弔慰申し上げる。 237 00:14:19,914 --> 00:14:23,584 殿下がそのように お心を寄せてくださるのなら 238 00:14:23,584 --> 00:14:26,421 ミレーユ姉様も きっと元気になるわ。 239 00:14:26,421 --> 00:14:31,092 クリストファー殿下 どうか 幼馴染のよしみでもって 240 00:14:31,092 --> 00:14:34,762 ミレーユ姉様を 励ましては いただけないでしょうか? 241 00:14:34,762 --> 00:14:37,098 エリアーナ様。 242 00:14:37,098 --> 00:14:39,267 ミレーユ姉様に どうか 243 00:14:39,267 --> 00:14:41,936 寛大な お心を お願いできないでしょうか? 244 00:14:41,936 --> 00:14:44,439 あぁ…。 シャロン嬢。 245 00:14:44,439 --> 00:14:47,275 此度のことは お気の毒に思うが 246 00:14:47,275 --> 00:14:50,445 サウズリンドより 弔辞は すでに済んでいる。 247 00:14:50,445 --> 00:14:53,448 これ以上 私が心を砕けば 248 00:14:53,448 --> 00:14:56,117 ご主人との 思い出に浸っている夫人を 249 00:14:56,117 --> 00:14:58,119 わずらわせかねないだろう。 250 00:14:58,119 --> 00:15:00,455 でも…。 あなたが 251 00:15:00,455 --> 00:15:02,623 夫人をなぐさめようと 思っているのは 252 00:15:02,623 --> 00:15:04,625 私にも 伝わったよ。 253 00:15:04,625 --> 00:15:06,794 グレンは こんなに心根の優しい 254 00:15:06,794 --> 00:15:10,298 将来有望な相手に 巡り会えて果報者だなぁ。 255 00:15:10,298 --> 00:15:13,401 (アイゼナッハ夫人)オッホホホ 本当に。 256 00:15:13,401 --> 00:15:17,238 我が家は良縁の女神の ご加護を授かったと 257 00:15:17,238 --> 00:15:20,074 皆様に 羨まれてしまいますわね。 258 00:15:20,074 --> 00:15:24,912 それにしても うちの愚息は どこに行ってしまったのかしら。 259 00:15:24,912 --> 00:15:28,249 アイゼナッハ夫人も 困ったお方だ。 260 00:15:28,249 --> 00:15:31,419 その調子で 母上にも 焚きつけられたのでしょう? 261 00:15:31,419 --> 00:15:34,756 義娘がいる喜びが うんぬんと。 262 00:15:34,756 --> 00:15:37,091 あら 恐れながら 263 00:15:37,091 --> 00:15:39,594 殿方には おわかりにならないのですわ。 264 00:15:39,594 --> 00:15:43,931 義娘というのは それはそれは 愛らしいものですのよ。 265 00:15:43,931 --> 00:15:45,933 エリィの愛らしさは 266 00:15:45,933 --> 00:15:48,936 今さら誰に 説かれるものでもないですが…。 267 00:15:48,936 --> 00:15:52,940 母上がそこに参戦してくるのは 遠慮 願いたいな。 268 00:15:52,940 --> 00:15:56,277 まぁ 本当に殿下とエリアーナ様は 269 00:15:56,277 --> 00:15:58,613 仲むつまじくて いらっしゃること。 270 00:15:58,613 --> 00:16:01,449 まるで「ユールの恋人」のようだわ。 271 00:16:01,449 --> 00:16:03,785 「ユールの恋人」? 272 00:16:03,785 --> 00:16:08,456 我が国で今 とても流行っている 恋愛物語ですのよ。 273 00:16:08,456 --> 00:16:12,393 まぁ それは どのような お話なのですか? 274 00:16:12,393 --> 00:16:14,896 それはっ。 あっ! 275 00:16:14,896 --> 00:16:17,565 女神に愛された 花の乙女と 276 00:16:17,565 --> 00:16:20,067 王子の恋物語だったかな。 277 00:16:20,067 --> 00:16:22,403 もし今後 劇にでもなったら 278 00:16:22,403 --> 00:16:25,239 一緒に見に行こうか エリアーナ。 279 00:16:25,239 --> 00:16:28,242 その時は ユールの花束を持って 280 00:16:28,242 --> 00:16:30,244 君を迎えに行くよ。 281 00:16:30,244 --> 00:16:32,747 でっ 殿下… あの…。 282 00:16:32,747 --> 00:16:34,749 んん…。 283 00:16:34,749 --> 00:16:37,418 私の大切な婚約者だからね。 284 00:16:37,418 --> 00:16:39,921 (アイゼナッハ夫人)オッホホホホ。 285 00:16:39,921 --> 00:16:42,423 お二人には あてられてしまいますわ。 286 00:16:42,423 --> 00:16:45,927 申し訳ない 政務に戻らねばなりません。 287 00:16:45,927 --> 00:16:50,097 中途で失礼させて いただくことを お許し願いたい。 288 00:16:50,097 --> 00:16:53,997 まぁ とんでもありませんわ クリストファー殿下。 289 00:16:55,937 --> 00:16:59,607 また あとでね エリィ。 290 00:16:59,607 --> 00:17:01,607 あぁ…。 291 00:17:04,612 --> 00:17:07,281 あぁ…。 292 00:17:07,281 --> 00:17:11,285 《殿下に 「またあとで」 と言われましたが 293 00:17:11,285 --> 00:17:13,888 政務で多忙の殿下と 294 00:17:13,888 --> 00:17:15,890 公務に振り回される 私は 295 00:17:15,890 --> 00:17:18,392 そのまま会えずじまいでした》 296 00:17:18,392 --> 00:17:21,062 (ざわめき) 297 00:17:21,062 --> 00:17:24,065 (ベッカー伯爵)ご招待いただき ありがとうございます。 298 00:17:24,065 --> 00:17:27,401 アンリエッタ王妃様 エリアーナ様。 299 00:17:27,401 --> 00:17:30,238 ようこそ ベッカー伯爵。 300 00:17:30,238 --> 00:17:32,907 わたくしも お会いできて光栄です。 301 00:17:32,907 --> 00:17:37,578 (マイエ夫人)エリアーナ様 今宵は クリストファー殿下のエスコートがなく 302 00:17:37,578 --> 00:17:39,580 残念でしたわね。 303 00:17:39,580 --> 00:17:42,980 はい 殿下は政務でお忙しくて。 304 00:17:45,586 --> 00:17:48,089 (ダウナー夫人)ご機嫌 うるわしく存じます。 305 00:17:48,089 --> 00:17:51,092 アンリエッタ王妃様 エリアーナ様。 306 00:17:51,092 --> 00:17:53,594 はっ! 307 00:17:53,594 --> 00:17:57,598 《これは アンリエッタ様の 要注意人物と促す合図》 308 00:17:57,598 --> 00:18:00,434 ご機嫌よう ダウナー夫人。 309 00:18:00,434 --> 00:18:03,271 ご息女の マティルダ嬢。 310 00:18:03,271 --> 00:18:05,773 王妃様 わたくし 311 00:18:05,773 --> 00:18:09,610 この度 娘がデザインした ドレスを仕立ててみましたの。 312 00:18:09,610 --> 00:18:14,048 娘のドレスも マティルダが 自分で デザインしたものですのよ。 313 00:18:14,048 --> 00:18:17,051 (マティルダ)ウッフフ…。 オッホホホホホ。 314 00:18:17,051 --> 00:18:21,222 娘に このような才能があるとは 思いもよりませんでした。 315 00:18:21,222 --> 00:18:25,893 いかがでしょう 率直な意見を お聞かせ願えませんか? 316 00:18:25,893 --> 00:18:28,396 はっ! 317 00:18:28,396 --> 00:18:31,732 《これは ユールの花?》 318 00:18:31,732 --> 00:18:35,403 少々 奇抜なようにも思えますが 319 00:18:35,403 --> 00:18:38,739 発想としては 悪くないのではないかしら。 320 00:18:38,739 --> 00:18:41,575 (どよめき) 321 00:18:41,575 --> 00:18:46,247 (2人)フフッ。 マティルダは ノルン国の歴史にも詳しく 322 00:18:46,247 --> 00:18:49,417 あちらの有名な ユールの花をデザインすることを 323 00:18:49,417 --> 00:18:52,253 思いつきましたの。 フッ。 324 00:18:52,253 --> 00:18:55,589 (ダウナー夫人)我が家では ユールの花を仕入れるために 325 00:18:55,589 --> 00:18:59,760 大手の商会とも 商談が 始まっているところですのよ。 326 00:18:59,760 --> 00:19:03,431 きっとノルン国との友好にも お役に立てること 327 00:19:03,431 --> 00:19:05,599 間違いありませんわ。 328 00:19:05,599 --> 00:19:08,602 それは 頼もしいこと。 (ざわめき) 329 00:19:08,602 --> 00:19:13,207 マティルダ嬢は 外交に役立つことを お望みなのかしら? 330 00:19:13,207 --> 00:19:16,210 おそれながら 非才なこの身は 331 00:19:16,210 --> 00:19:19,380 いつでも 国の役に立つことを 望んでおります。 332 00:19:19,380 --> 00:19:23,551 ですが わたくし風情が お役に立てるのは せいぜい 333 00:19:23,551 --> 00:19:26,053 嫁いだ お方の憂いのないよう 334 00:19:26,053 --> 00:19:29,056 血筋をつないでいくこと くらいでしょう。 335 00:19:29,056 --> 00:19:31,559 あっ…! (ダウナー夫人)オッホホホ! 336 00:19:31,559 --> 00:19:35,730 我が子ながら 淑女の心得を 身につけた娘ですわ。 337 00:19:35,730 --> 00:19:39,066 王妃様 せん越ではございますが 338 00:19:39,066 --> 00:19:42,903 王妃様のお召し物に 娘のデザインを加えさせては 339 00:19:42,903 --> 00:19:44,905 いただけないでしょうか? 340 00:19:44,905 --> 00:19:48,743 きっと 王妃様のご希望に かなうものをご用意できると 341 00:19:48,743 --> 00:19:51,043 わたくしも 自信を持っております。 342 00:19:53,414 --> 00:19:55,583 考えておきましょう。 343 00:19:55,583 --> 00:19:57,583 あっ! (ざわめき) 344 00:19:59,587 --> 00:20:01,756 フフッ。 345 00:20:01,756 --> 00:20:03,756 はぁ…。 346 00:20:07,428 --> 00:20:09,430 虫が湧いたようね。 347 00:20:09,430 --> 00:20:11,432 手を打たれますか? 348 00:20:11,432 --> 00:20:13,432 そうね…。 349 00:20:16,103 --> 00:20:18,105 少し 様子を見ましょう。 350 00:20:18,105 --> 00:20:20,107 んっ…。 351 00:20:20,107 --> 00:20:22,109 エリアーナ。 352 00:20:22,109 --> 00:20:25,112 髪が ほつれています 直していらっしゃい。 353 00:20:25,112 --> 00:20:28,449 はっ はい…。 354 00:20:28,449 --> 00:20:30,949 (侍女)お戻りになる際に お呼びください。 355 00:20:33,954 --> 00:20:35,956 《アンリエッタ様は 356 00:20:35,956 --> 00:20:39,794 私に一人で考える 時間をくださったのでしょう。 357 00:20:39,794 --> 00:20:43,798 主賓席で 情けない顔をさらさないように。 358 00:20:43,798 --> 00:20:47,468 ダウナー夫人たちの ドレスは 359 00:20:47,468 --> 00:20:49,637 気のせいでも 偶然でもなく 360 00:20:49,637 --> 00:20:53,137 先日 私が口にした 発言が元になっていた》 361 00:20:55,142 --> 00:20:57,144 ユールの花をモチーフにした 362 00:20:57,144 --> 00:20:59,814 レースを飾るのは いかがでしょうか? 363 00:20:59,814 --> 00:21:01,816 これは つまり 364 00:21:01,816 --> 00:21:05,820 私の情報をもらす者がいる ということ…》 365 00:21:05,820 --> 00:21:08,656 はぁ~。 366 00:21:08,656 --> 00:21:11,492 《こんな 情けない私では 367 00:21:11,492 --> 00:21:13,427 アンリエッタ様に 368 00:21:13,427 --> 00:21:16,527 殿下のおそばに ふさわしくないと 思われているのでは…》 369 00:21:32,780 --> 00:21:34,782 エリアーナ様? 370 00:21:34,782 --> 00:21:37,282 少し 夜風に当たってきます。 371 00:21:46,127 --> 00:21:48,129 はぁ…。 372 00:21:48,129 --> 00:21:50,464 《しっかりしないと…》 373 00:21:50,464 --> 00:21:52,800 (エレン)殿下が 求められていた答えを 374 00:21:52,800 --> 00:21:55,136 私は お持ちしたつもりなのですが。 375 00:21:55,136 --> 00:21:57,304 あぁ…。 私が? 376 00:21:57,304 --> 00:22:00,808 どんな疑問を持って 答えをお待ちしていたと? 377 00:22:00,808 --> 00:22:03,144 ミゼラルの女騎士どの。 378 00:22:03,144 --> 00:22:06,814 (エレン)私に当たられるのは 筋違いというものですよ。 379 00:22:06,814 --> 00:22:09,316 私は ただの使者ですから。 380 00:22:09,316 --> 00:22:12,920 《あれは シャロン様の連れていた…》 381 00:22:12,920 --> 00:22:15,256 (エレン)ミレーユ様からです。 382 00:22:15,256 --> 00:22:17,258 はっ! 383 00:22:17,258 --> 00:22:21,458 ミレーユ様も同じお考えですよ クリストファー殿下。 384 00:22:23,430 --> 00:22:25,430 あっ…。