1 00:00:13,538 --> 00:00:15,540 (エリアーナ)はぁ…。 2 00:00:15,540 --> 00:00:18,209 申し訳ありません 殿下。 3 00:00:18,209 --> 00:00:22,213 少し お時間を いただけないでしょうか。 4 00:00:22,213 --> 00:00:25,113 今日だけ 家に帰りたいのです。 5 00:00:28,886 --> 00:00:31,186 (クリストファー)そう わかった。 6 00:00:33,224 --> 00:00:35,226 はっ…! 7 00:00:35,226 --> 00:01:15,700 ~ 8 00:01:15,700 --> 00:01:18,200 エリィ ちゃんと話をしよう 9 00:01:20,204 --> 00:01:23,374 《本当は 今すぐ戻って 10 00:01:23,374 --> 00:01:25,376 殿下に お詫びするべき。 11 00:01:25,376 --> 00:01:28,212 いいえ。 12 00:01:28,212 --> 00:01:32,383 本当は あの時するべきだったのに…。 13 00:01:32,383 --> 00:01:34,583 私は…》 14 00:01:36,721 --> 00:01:38,721 《逃げてしまった》 15 00:01:40,725 --> 00:01:43,060 《殿下の婚約者となってから 16 00:01:43,060 --> 00:01:47,160 お側で 様々なことを 学んだはずなのに…》 17 00:01:50,067 --> 00:01:54,906 《私は 相変わらず 何も わかっていない 「虫かぶり姫」。 18 00:01:54,906 --> 00:01:56,908 いいえ…。 19 00:01:56,908 --> 00:02:00,578 勇気のない 「虫かぶり姫」》 20 00:02:00,578 --> 00:02:03,581 アンリエッタ:クリストファーの 隣に立つ者として 21 00:02:03,581 --> 00:02:06,181 あなたに その覚悟はありますか? 22 00:02:10,755 --> 00:02:12,690 私は もう 23 00:02:12,690 --> 00:02:14,692 自分で自分が 24 00:02:14,692 --> 00:02:16,692 わからなくなってしまいました。 25 00:04:02,733 --> 00:04:04,933 (ジャン)はぁ~。 26 00:04:12,843 --> 00:04:14,843 (侍女)エリアーナ様。 27 00:04:16,847 --> 00:04:19,016 ご用とは なんでしょうか? 28 00:04:19,016 --> 00:04:21,352 ご用… ですか? 29 00:04:21,352 --> 00:04:25,856 はい 書庫室にいるから すぐに来るようにと言付けが。 30 00:04:25,856 --> 00:04:29,193 はい? サラが そう伝言してきたのですが。 31 00:04:29,193 --> 00:04:31,529 あぁ…。 32 00:04:31,529 --> 00:04:34,198 (マティルダ)うるさいわね。 33 00:04:34,198 --> 00:04:37,201 (サラ)ですが…。 誰か 中にいるっすね。 34 00:04:37,201 --> 00:04:39,201 衛兵を…。 待って。 35 00:04:42,707 --> 00:04:45,376 (サラ)もう おやめくださいませ マティルダ様。 36 00:04:45,376 --> 00:04:47,545 (マティルダ)いいから とっとと探しなさい! 37 00:04:47,545 --> 00:04:49,547 サラ ホント ぐずね。 38 00:04:49,547 --> 00:04:51,882 (サラ)エリアーナ様が お召しになる ドレスは 39 00:04:51,882 --> 00:04:55,182 王妃様 手ずから 厳重に管理なさっているのです。 40 00:04:57,221 --> 00:04:59,724 (マティルダ)ドレスがないなら ほかに何か 41 00:04:59,724 --> 00:05:03,060 役に立つものを探しなさい! (サラ)マティルダ様…。 42 00:05:03,060 --> 00:05:05,396 (マティルダ)あの人が話題にする前に 43 00:05:05,396 --> 00:05:07,565 わたくしの発想にするのよ。 44 00:05:07,565 --> 00:05:10,401 聖夜の祝宴で あの人より目立たなきゃ 45 00:05:10,401 --> 00:05:13,701 わたくしが お祖父様やお母様に 叱られてしまうんだから! 46 00:05:16,173 --> 00:05:18,676 シャロン嬢は たいした情報を持ってないし 47 00:05:18,676 --> 00:05:21,178 お前が 役に立たないせいで 48 00:05:21,178 --> 00:05:23,848 わたくしが こうして苦労してるんじゃない! 49 00:05:23,848 --> 00:05:26,517 (サラ)ですが マティルダ様 これ以上は…。 50 00:05:26,517 --> 00:05:29,854 お前を拾い上げたのは 我が ダウナー家なのよ。 51 00:05:29,854 --> 00:05:31,856 あっ…。 52 00:05:31,856 --> 00:05:35,860 うちの援助がなければ お前は 家族を養えなかったし 53 00:05:35,860 --> 00:05:39,196 王宮勤めの侍女になることも できなかったでしょう。 54 00:05:39,196 --> 00:05:42,199 呪われた アズールの人間である お前などが! 55 00:05:42,199 --> 00:05:44,201 あっ…。 56 00:05:44,201 --> 00:05:46,704 (マティルダ)わかったら きちんと恩に報いなさい。 57 00:05:46,704 --> 00:05:48,704 あっ! 58 00:05:51,876 --> 00:05:53,878 (サラ)エリアーナ様…。 59 00:05:53,878 --> 00:05:55,880 あっ… ううん。 60 00:05:55,880 --> 00:05:58,549 まあ エリアーナ様。 61 00:05:58,549 --> 00:06:01,552 ご実家に お戻りになったと 聞いていたのですが 62 00:06:01,552 --> 00:06:05,389 存在感が薄くて 気づきませんでしたわ。 63 00:06:05,389 --> 00:06:09,226 今の時期に 公務を放りだされるだなんて 64 00:06:09,226 --> 00:06:11,996 恥ずかしくは ございませんこと? 65 00:06:11,996 --> 00:06:14,498 強引な 話題のすり替え…。 66 00:06:14,498 --> 00:06:17,001 そんな調子だから 殿下まで 67 00:06:17,001 --> 00:06:19,837 「武を嫌う弱腰王子」とか 68 00:06:19,837 --> 00:06:23,507 「将来 我が国が戦に 巻き込まれたら危ぶまれる」と 69 00:06:23,507 --> 00:06:27,344 軍関係者から 懸念されていますのよ。 70 00:06:27,344 --> 00:06:30,848 でも わたくしが側室に上がれば 71 00:06:30,848 --> 00:06:34,018 軍部の関係者も 安心しますわ。 72 00:06:34,018 --> 00:06:36,818 これからは 長いお付き合いになりますね。 73 00:06:43,861 --> 00:06:45,861 んっ? (ビンの音) 74 00:06:50,868 --> 00:06:53,037 なんですの? 75 00:06:53,037 --> 00:06:57,708 アズール地方の テッセン川とミル川が交わる 支流でのみ とれる 76 00:06:57,708 --> 00:07:00,711 ミルル貝というものがあります。 77 00:07:00,711 --> 00:07:04,381 私が サラに頼んで 取り寄せてもらいました。 78 00:07:04,381 --> 00:07:08,886 それを加工し 古文書のインクを再現したものです。 79 00:07:08,886 --> 00:07:11,989 お役に立つのでしたら どうぞ。 80 00:07:11,989 --> 00:07:16,327 なっ なぜわたくしが 意味不明なインクなんか…。 81 00:07:16,327 --> 00:07:18,996 しかも アズール地方ですって? 82 00:07:18,996 --> 00:07:23,334 まさか コルバ村の ことじゃないでしょうね? 83 00:07:23,334 --> 00:07:26,837 そうですが 何か問題でも? 84 00:07:26,837 --> 00:07:30,507 ご自分が 何をおっしゃっているか わかっていますの? 85 00:07:30,507 --> 00:07:33,344 コルバ村だなんて おぞましい…。 86 00:07:33,344 --> 00:07:35,344 あっ…。 87 00:07:39,683 --> 00:07:42,583 (サラ)あっ! エリアーナ様…。 88 00:07:45,022 --> 00:07:48,859 アズール地方とコルバ村に 偏見が おありのようですが 89 00:07:48,859 --> 00:07:51,362 それは「灰色の悪夢」が 90 00:07:51,362 --> 00:07:54,531 アズール地方から 発生したとされるからですか? 91 00:07:54,531 --> 00:07:59,370 当たり前でしょ サラは そのコルバ村の出身よ。 92 00:07:59,370 --> 00:08:02,873 忌まわしい 呪われた 生き残りの一人だわ。 93 00:08:02,873 --> 00:08:06,710 近づくと 汚れますわよ。 あっ…。 94 00:08:06,710 --> 00:08:10,981 その お言葉は 病を克服された王妃様に対する 95 00:08:10,981 --> 00:08:12,983 不敬とも 受け取れますが。 96 00:08:12,983 --> 00:08:16,820 はっ お部屋に失礼しているのは 97 00:08:16,820 --> 00:08:19,156 言い逃れしようのない事実…。 98 00:08:19,156 --> 00:08:23,994 ですが あなたの情報が どこから漏れたか ご存じ? 99 00:08:23,994 --> 00:08:27,164 殿下は あなたを 大切にされているようだけど 100 00:08:27,164 --> 00:08:29,166 その あなたの情報が 101 00:08:29,166 --> 00:08:31,835 アズール地方 出身者から漏れていたら 102 00:08:31,835 --> 00:08:33,837 どう思われるかしら? 103 00:08:33,837 --> 00:08:35,839 進めている 橋梁工事も 104 00:08:35,839 --> 00:08:38,175 取りやめに なるかもしれないわね。 105 00:08:38,175 --> 00:08:40,177 マティルダ様…。 106 00:08:40,177 --> 00:08:42,846 サラではありません。 あっ! 107 00:08:42,846 --> 00:08:44,848 んん? サラが 108 00:08:44,848 --> 00:08:46,850 コルバ村出身だということは 109 00:08:46,850 --> 00:08:49,687 私も王妃様も 承知のことです。 110 00:08:49,687 --> 00:08:53,857 サラが私の情報を ダウナー家に 流していたのだとしたら 111 00:08:53,857 --> 00:08:56,860 ミルル貝を 取り寄せてもらった時点で 112 00:08:56,860 --> 00:08:59,863 とうに マティルダ様も 把握していたはずです。 113 00:08:59,863 --> 00:09:02,366 (マティルダ)そっ それは…。 114 00:09:02,366 --> 00:09:04,702 それと コルバ村について 115 00:09:04,702 --> 00:09:07,871 あなたは 思い違いをされています。 116 00:09:07,871 --> 00:09:09,873 えっ? 117 00:09:09,873 --> 00:09:12,142 15年前の冬…。 118 00:09:12,142 --> 00:09:15,980 まだ 「灰色の悪夢」という 名称もなかった頃 119 00:09:15,980 --> 00:09:19,984 例年にない豪雨で テッセン川が氾濫し 120 00:09:19,984 --> 00:09:21,986 架かっていた橋が 121 00:09:21,986 --> 00:09:24,321 いくつも流されました。 122 00:09:24,321 --> 00:09:26,323 ほかの領地との交流を 123 00:09:26,323 --> 00:09:28,659 橋に頼っていた アズール地方は 124 00:09:28,659 --> 00:09:31,328 陸の孤島となりました。 125 00:09:31,328 --> 00:09:34,164 そのような状況で 疫病が 126 00:09:34,164 --> 00:09:36,667 アズールを含む 北東方面から 127 00:09:36,667 --> 00:09:39,169 国中に広がりました。 128 00:09:39,169 --> 00:09:41,672 コルバ村は 貧しい村です。 129 00:09:41,672 --> 00:09:44,675 秋の実りを 山から得たあとは 130 00:09:44,675 --> 00:09:47,678 男性は 出稼ぎに行かねばなりません。 131 00:09:47,678 --> 00:09:50,514 残った村人たちは 132 00:09:50,514 --> 00:09:52,683 孤立無縁の状態で 133 00:09:52,683 --> 00:09:55,352 疫病と戦わねば なりませんでした。 134 00:09:55,352 --> 00:09:59,857 村に助けが向かったのは 冬が終わる頃。 135 00:09:59,857 --> 00:10:02,526 誰もが 生存を疑いました。 136 00:10:02,526 --> 00:10:04,528 ですが 137 00:10:04,528 --> 00:10:06,530 村人たちは 互いに支え合い 138 00:10:06,530 --> 00:10:09,366 被害を 最小限に抑えていたのです。 139 00:10:09,366 --> 00:10:13,871 当初は 奇跡と呼ばれました。 140 00:10:13,871 --> 00:10:17,207 けれど これだけの被害が出ているのに 141 00:10:17,207 --> 00:10:20,044 なぜ コルバ村は生き残ったのか? 142 00:10:20,044 --> 00:10:24,214 と疑問の声が あがり始めたのです。 143 00:10:24,214 --> 00:10:28,385 「灰色の悪夢」は コルバ村から 発生したのではないか…。 144 00:10:28,385 --> 00:10:30,387 (マティルダ)そのとおりじゃないの。 145 00:10:30,387 --> 00:10:32,556 根拠のない風聞です。 146 00:10:32,556 --> 00:10:34,892 あっ! 人は 147 00:10:34,892 --> 00:10:38,228 目に見える憎悪の対象が ほしかったのかもしれません。 148 00:10:38,228 --> 00:10:41,732 それを向けられた相手が どう思うか 149 00:10:41,732 --> 00:10:44,902 深く考えもせず…。 150 00:10:44,902 --> 00:10:48,072 実際に疫病は アズール地方から発生したし 151 00:10:48,072 --> 00:10:51,372 コルバ村の生き残りが 呪われていない証明には…。 152 00:10:53,744 --> 00:10:56,580 あっ…。 「灰色の悪夢」は 153 00:10:56,580 --> 00:11:00,084 コルバ村から 発生したものではありません。 154 00:11:00,084 --> 00:11:03,420 研究書の中には あの病が 155 00:11:03,420 --> 00:11:07,591 カイ・アーグ帝国を滅ぼした 一因でもある疫病に似ている 156 00:11:07,591 --> 00:11:09,760 とする説もあります。 157 00:11:09,760 --> 00:11:12,029 (マティルダ)でっ でも コルバ村は…。 158 00:11:12,029 --> 00:11:15,532 村の流通が 橋のみであったこと 159 00:11:15,532 --> 00:11:18,368 男手が 出稼ぎのために不在だったこと。 160 00:11:18,368 --> 00:11:21,872 このために起きた 悲劇です。 161 00:11:21,872 --> 00:11:26,043 これは 国に責任があります。 162 00:11:26,043 --> 00:11:29,213 あっ! 村の人々は 被害者です。 163 00:11:29,213 --> 00:11:32,049 本気で おっしゃっているの? 164 00:11:32,049 --> 00:11:34,218 国の責任だなんて 165 00:11:34,218 --> 00:11:37,554 あなたが そんな発言をしたら 大ごとに…。 166 00:11:37,554 --> 00:11:42,059 殿下が今 アズール地方の橋梁を 手がけていらっしゃるのは 167 00:11:42,059 --> 00:11:45,229 同じ悲劇を 繰り返してはならない 168 00:11:45,229 --> 00:11:48,899 繰り返さない という決意の表れです。 169 00:11:48,899 --> 00:11:51,235 私 一人のことで 170 00:11:51,235 --> 00:11:55,405 国の威信をかけた政策を 翻すようなことは されません。 171 00:11:55,405 --> 00:11:58,075 民は国の宝です。 172 00:11:58,075 --> 00:12:01,245 民なくして 国も王も成り立ちません。 173 00:12:01,245 --> 00:12:03,247 そんなことも わからず 174 00:12:03,247 --> 00:12:05,582 守るべき民を 蔑視する方を 175 00:12:05,582 --> 00:12:09,586 私は 殿下の側室候補とは 絶対に認めません! 176 00:12:09,586 --> 00:12:13,023 なっ… きっ! 177 00:12:13,023 --> 00:12:15,692 何を偉そうに あなたごときが! 178 00:12:15,692 --> 00:12:17,694 (サラ)おやめください! 179 00:12:17,694 --> 00:12:19,696 サラ!? 180 00:12:19,696 --> 00:12:22,199 (マティルダ)はなしなさい! (サラ)マティルダ様…。 181 00:12:22,199 --> 00:12:24,201 (マティルダ)きゃあ! 182 00:12:24,201 --> 00:12:26,203 ひどい…。 183 00:12:26,203 --> 00:12:29,206 なんてことを! 失礼。 184 00:12:29,206 --> 00:12:31,206 あっ! 185 00:12:36,713 --> 00:12:38,882 声をかけようとしたのだが 186 00:12:38,882 --> 00:12:40,884 騒ぎが聞こえたのでね。 187 00:12:40,884 --> 00:12:42,886 殿下…。 クリストファー殿下! 188 00:12:42,886 --> 00:12:47,057 エリアーナ様が 侍女を使って わたくしのドレスを…。 189 00:12:47,057 --> 00:12:49,393 きゃあ なっ 何を! 190 00:12:49,393 --> 00:12:53,564 え~っと お嬢への 暴行未遂の現行犯っすね。 191 00:12:53,564 --> 00:12:57,067 なっ!? あと 王太子殿下への 虚偽罪 192 00:12:57,067 --> 00:12:59,736 王太子婚約者への 侮辱罪 193 00:12:59,736 --> 00:13:01,738 こんなところでいいっすか? 194 00:13:01,738 --> 00:13:04,908 はなしなさい 無礼者! お祖父様に言いつけて 195 00:13:04,908 --> 00:13:07,077 お前の首など 飛ばしてやるわよ! 196 00:13:07,077 --> 00:13:11,181 あ~… 魔王の近くより そっちの方がいいかも。 197 00:13:11,181 --> 00:13:13,183 ジャン! ふっ…。 198 00:13:13,183 --> 00:13:16,186 はなして! 殿下 この者を…。 199 00:13:16,186 --> 00:13:19,022 まったく 毎度 毎度 200 00:13:19,022 --> 00:13:22,693 そんなに私は 物事の真実を見抜けない 201 00:13:22,693 --> 00:13:25,696 間抜けな男と 思われてるのかな。 202 00:13:25,696 --> 00:13:28,699 はっ…。 あっ…。 203 00:13:28,699 --> 00:13:31,201 マティルダ・ダウナー子爵令嬢。 204 00:13:31,201 --> 00:13:33,203 あなたの祖父君は 205 00:13:33,203 --> 00:13:35,539 たしかに 軍部の重鎮であり 206 00:13:35,539 --> 00:13:39,209 若輩の私には 軽率に扱えないお方だ。 207 00:13:39,209 --> 00:13:41,545 フッ…。 だが そろそろ 208 00:13:41,545 --> 00:13:44,881 後進に道を譲る時期に 来られたように思う。 209 00:13:44,881 --> 00:13:47,884 んっ? ダウナー家の資金源である 210 00:13:47,884 --> 00:13:50,387 ドルード商会は 王家ご用達の 211 00:13:50,387 --> 00:13:52,889 マーズ商会と競合しているね。 212 00:13:52,889 --> 00:13:54,891 相手を出し抜くために 213 00:13:54,891 --> 00:13:57,894 手の者を潜り込ませるのは 常套手段だが 214 00:13:57,894 --> 00:14:01,231 狙う相手を間違えたようだ。 215 00:14:01,231 --> 00:14:04,401 ドルード商会は 黒いウワサもあったし 216 00:14:04,401 --> 00:14:07,571 取り潰しても よかったんだが…。 はっ!? 217 00:14:07,571 --> 00:14:10,407 頭をすげ替えて 引き込むことにした。 218 00:14:10,407 --> 00:14:12,676 新しい会長は近いうち 219 00:14:12,676 --> 00:14:15,345 ダウナー家への援助を 打ち切るだろう。 220 00:14:15,345 --> 00:14:18,181 そんな…。 借金の肩代わりも 221 00:14:18,181 --> 00:14:20,851 商会が行っていたようだから…。 222 00:14:20,851 --> 00:14:24,354 まぁ ダウナー家の行く末は 目に見えているね。 223 00:14:24,354 --> 00:14:27,024 うっ…。 それから 224 00:14:27,024 --> 00:14:29,026 私の 側室問題だが 225 00:14:29,026 --> 00:14:33,196 そのような戯言を発していたのは ダウナー家だけだ。 226 00:14:33,196 --> 00:14:36,700 ほかの貴族たちは 誰も そんな声を上げていない。 227 00:14:36,700 --> 00:14:39,536 私の妃は 228 00:14:39,536 --> 00:14:41,872 エリアーナだけだ。 229 00:14:41,872 --> 00:14:44,541 あっ…。 彼女以外の女性を 230 00:14:44,541 --> 00:14:47,377 側に置くことは 決して ありえない。 231 00:14:47,377 --> 00:14:49,577 連れて行け。 232 00:14:51,548 --> 00:14:55,052 サラ 君の処分は追って沙汰する。 233 00:14:55,052 --> 00:14:57,052 下がっていいよ。 234 00:15:00,057 --> 00:15:02,557 (ドアの開閉音) 235 00:15:07,230 --> 00:15:10,067 エリィ…。 あっ…。 236 00:15:10,067 --> 00:15:13,170 あっ… ふっ…。 237 00:15:13,170 --> 00:15:16,173 《謝らなければ…。 238 00:15:16,173 --> 00:15:19,676 殿下に 謝らなければ…。 239 00:15:19,676 --> 00:15:23,347 逃げて 臆病な私に 240 00:15:23,347 --> 00:15:26,347 きっと 殿下は失望されている…》 241 00:15:28,852 --> 00:15:31,688 ごめん エリィ。 えっ? 242 00:15:31,688 --> 00:15:35,359 私が 悪かった… ごめん。 243 00:15:35,359 --> 00:15:39,196 《なぜ 殿下が謝るのでしょう。 244 00:15:39,196 --> 00:15:42,366 一人で思い悩んで 245 00:15:42,366 --> 00:15:45,869 一人で勝手に思いつめたのは 私です。 246 00:15:45,869 --> 00:15:49,706 嫉妬の気持ちで 心がいっぱいになって。 247 00:15:49,706 --> 00:15:52,376 今だって 248 00:15:52,376 --> 00:15:55,576 好きな人を 私が傷つけた》 249 00:15:57,881 --> 00:16:00,050 殿下は…。 250 00:16:00,050 --> 00:16:02,052 あっ! 251 00:16:02,052 --> 00:16:04,054 殿下は… 252 00:16:04,054 --> 00:16:07,057 何も 悪く… ありません。 253 00:16:07,057 --> 00:16:09,057 私が…。 254 00:16:15,999 --> 00:16:18,001 ごめん。 255 00:16:18,001 --> 00:16:20,003 うっ うぅ…。 256 00:16:20,003 --> 00:16:22,506 エリィ ごめん…。 257 00:16:22,506 --> 00:16:24,508 うぅ…。 (泣く声) 258 00:16:24,508 --> 00:16:26,843 < それから私は 259 00:16:26,843 --> 00:16:30,013 胸に抱えていた不安を ひとつずつ 260 00:16:30,013 --> 00:16:32,182 お話ししました…。 261 00:16:32,182 --> 00:16:35,685 アンリエッタ王妃様のように なれなくて 262 00:16:35,685 --> 00:16:39,189 私なりに頑張ろうと していたところに起きた 263 00:16:39,189 --> 00:16:41,191 発言の流用…。 264 00:16:41,191 --> 00:16:44,861 宮廷の恐ろしさを 改めて知って 265 00:16:44,861 --> 00:16:47,531 心細くなっていたこと。 266 00:16:47,531 --> 00:16:50,200 殿下の側室問題に 267 00:16:50,200 --> 00:16:52,369 不安を抱いていたこと。 268 00:16:52,369 --> 00:16:54,871 ミレーユ様のことで 269 00:16:54,871 --> 00:16:57,571 疑心暗鬼になってしまったこと> 270 00:17:01,545 --> 00:17:03,547 殿下に お聞きしなきゃって 271 00:17:03,547 --> 00:17:05,882 でも 怖くて…。 272 00:17:05,882 --> 00:17:09,219 それに 殿下の 負担になってはいけないと 273 00:17:09,219 --> 00:17:11,488 私の失態が 274 00:17:11,488 --> 00:17:14,658 殿下の足を 引っ張ってしまったと…。 275 00:17:14,658 --> 00:17:16,827 心苦しくて 276 00:17:16,827 --> 00:17:19,830 情けなくて…。 277 00:17:19,830 --> 00:17:22,499 エリィ そんなことはないよ。 278 00:17:22,499 --> 00:17:25,335 君は 何も悪くない。 279 00:17:25,335 --> 00:17:27,635 殿下の せいでは…。 280 00:17:30,841 --> 00:17:34,511 エリィが 生真面目で 頑張り すぎるのは 知っていたのに 281 00:17:34,511 --> 00:17:37,180 私が きちんと側にいて 282 00:17:37,180 --> 00:17:39,182 配慮すべきだった。 283 00:17:39,182 --> 00:17:41,184 ごめんね。 284 00:17:41,184 --> 00:17:43,854 あっ…。 285 00:17:43,854 --> 00:17:46,523 ラモンド夫人とのことは 286 00:17:46,523 --> 00:17:48,525 本当に誤解なんだ。 287 00:17:48,525 --> 00:17:50,694 エリィが今 288 00:17:50,694 --> 00:17:54,030 慣れない公務のことで 必死なのも わかっていたから 289 00:17:54,030 --> 00:17:56,867 私の方で 対処するつもりだった。 290 00:17:56,867 --> 00:17:58,869 ふっ…。 291 00:17:58,869 --> 00:18:01,371 私の 悪いクセが出たな。 292 00:18:01,371 --> 00:18:05,709 一人で解決しようとした 私の失態だ。 293 00:18:05,709 --> 00:18:08,378 殿下…。 294 00:18:08,378 --> 00:18:11,314 エリィが こんなに泣くのは 295 00:18:11,314 --> 00:18:13,650 初めて見たな。 296 00:18:13,650 --> 00:18:17,153 ちょっと 悪いクセになるかも。 297 00:18:17,153 --> 00:18:19,155 んん? 298 00:18:19,155 --> 00:18:22,492 (ドアの開く音) 299 00:18:22,492 --> 00:18:25,161 (アンリエッタ)エリアーナの部屋で 騒ぎがあったとは 300 00:18:25,161 --> 00:18:27,831 どういうこと? マズい…。 301 00:18:27,831 --> 00:18:29,831 (アンリエッタ)クリスは 何をやっていたの? 302 00:18:37,173 --> 00:18:39,843 (アンリエッタ)逃げたわね あの子ったら…。 303 00:18:39,843 --> 00:18:43,179 (アグネス)侍女の話では ダウナー子爵のご令嬢が 304 00:18:43,179 --> 00:18:45,849 無断で 部屋に入られたそうです。 305 00:18:45,849 --> 00:18:49,853 (アンリエッタ)本当に ダウナー家は 毎度 懲りないわね。 306 00:18:49,853 --> 00:18:54,553 でも… とうとうクリスに 引導を渡されてしまったようね。 307 00:18:56,693 --> 00:19:00,196 (アンリエッタ)あの程度の小もの あの子の敵ではないでしょう。 308 00:19:00,196 --> 00:19:04,534 それよりも 聖夜の祝宴は 明後日なのに 309 00:19:04,534 --> 00:19:08,371 エリアーナの装飾品が まだ決まっていないのですよ。 310 00:19:08,371 --> 00:19:12,309 なのに あの子は 毎度 毎度 エリアーナを独り占めして…。 311 00:19:12,309 --> 00:19:16,146 読書の時間を邪魔したら 逃げられる と言うから 312 00:19:16,146 --> 00:19:19,983 私も社交の場に 頻繁に呼ぶのは 控えたというのに。 313 00:19:19,983 --> 00:19:22,652 あの子が 不甲斐ないせいで 314 00:19:22,652 --> 00:19:24,988 逃げられそうに なったではないの。 315 00:19:24,988 --> 00:19:27,324 まったく… 情けない…。 316 00:19:27,324 --> 00:19:30,327 (アグネス)王妃様 そろそろ 次のご予定が。 317 00:19:30,327 --> 00:19:32,627 (アンリエッタ)はぁ…。 318 00:19:39,169 --> 00:19:41,838 自分の婚約者を 独り占めして 319 00:19:41,838 --> 00:19:44,507 何が悪いんだ? あぁ…。 320 00:19:44,507 --> 00:19:48,511 エリィ たぶん 気づいていなかったと思うけど 321 00:19:48,511 --> 00:19:51,848 4年前から 君は 母上のお気に入りなんだよ。 322 00:19:51,848 --> 00:19:53,848 えっ? 323 00:19:57,687 --> 00:20:00,357 私の婚約者に あがったばかりの頃 324 00:20:00,357 --> 00:20:03,860 やたらと 母上の お茶会に呼ばれただろう? 325 00:20:03,860 --> 00:20:06,029 あれは 君をみんなに 326 00:20:06,029 --> 00:20:08,031 自慢したくて 仕方なかったんだ。 327 00:20:08,031 --> 00:20:10,700 あぁ…。 自分を尊敬して 328 00:20:10,700 --> 00:20:13,536 追いつこうと 努力する人を間近にして 329 00:20:13,536 --> 00:20:16,039 君なら 可愛がらずにいられる? 330 00:20:16,039 --> 00:20:19,376 母上が 君に厳しく接しているのは 331 00:20:19,376 --> 00:20:22,212 エリィが可愛くて 仕方ないからだよ。 332 00:20:22,212 --> 00:20:25,882 あの人は 素直じゃないから。 333 00:20:25,882 --> 00:20:30,553 君は 今のままで問題なんてないよ。 334 00:20:30,553 --> 00:20:34,224 完璧であろうとする 姿勢は大切だけど 335 00:20:34,224 --> 00:20:36,424 それだけに 捉われないで。 336 00:20:39,062 --> 00:20:41,898 民を 第一に思う君は 337 00:20:41,898 --> 00:20:46,236 今のままで 十分 私の隣に立つ存在として 338 00:20:46,236 --> 00:20:49,239 ふさわしいよ。 殿下…。 339 00:20:49,239 --> 00:20:51,241 エリィの後ろには 340 00:20:51,241 --> 00:20:55,578 君が全霊で守ろうとする サウズリンドの民たちがついている。 341 00:20:55,578 --> 00:20:58,748 あっ…。 みんな それをわかっているから 342 00:20:58,748 --> 00:21:02,419 私の側室なんて 声を上げないんだよ。 343 00:21:02,419 --> 00:21:05,255 君が 君のままでいることで 344 00:21:05,255 --> 00:21:07,757 私はいつでも 守られているし 345 00:21:07,757 --> 00:21:09,759 支えにもなっている。 346 00:21:09,759 --> 00:21:12,362 自信をなくすことなんてない。 347 00:21:12,362 --> 00:21:15,198 《私は 348 00:21:15,198 --> 00:21:18,368 王太子妃になるという 現実に 349 00:21:18,368 --> 00:21:20,370 知らず気負って 350 00:21:20,370 --> 00:21:22,372 怖気づいて 351 00:21:22,372 --> 00:21:24,374 でも 私には 352 00:21:24,374 --> 00:21:26,376 今のままの 私でいい 353 00:21:26,376 --> 00:21:31,047 そう言ってくださる 大切な方が側にいる》 354 00:21:31,047 --> 00:21:35,047 まだ 私に聞きたいことはある? エリィ…。 355 00:21:37,387 --> 00:21:39,389 私…。 356 00:21:39,389 --> 00:21:41,391 おっ? 357 00:21:41,391 --> 00:21:45,891 私以外の女性を めとらないでください。 358 00:21:49,733 --> 00:21:52,569 エリィ… それ 反則…。 359 00:21:52,569 --> 00:21:54,571 殿下…。 360 00:21:54,571 --> 00:21:57,240 エリィ以外 誰もいらないよ。 361 00:21:57,240 --> 00:21:59,242 あっ…! 362 00:21:59,242 --> 00:22:03,413 君が 逃げても 私は 何度だって捕まえる…。 363 00:22:03,413 --> 00:22:07,751 そんな簡単に 諦められる程度の 想いなら 364 00:22:07,751 --> 00:22:10,751 こんな苦しい思いしていない。 365 00:22:13,356 --> 00:22:17,694 エリィ 私の気持ちを疑うことだけは 366 00:22:17,694 --> 00:22:19,696 しないで…。 367 00:22:19,696 --> 00:22:21,698 好きです。 368 00:22:21,698 --> 00:22:24,033 クリストファー様…。 369 00:22:24,033 --> 00:22:27,633 もう決して 逃げません。