1 00:00:04,292 --> 00:00:07,003 ハァ… 2 00:00:10,423 --> 00:00:13,092 ハァ… 3 00:00:14,635 --> 00:00:16,721 ハァ… 4 00:00:23,227 --> 00:00:29,233 ♪~ 5 00:01:26,833 --> 00:01:32,839 ~♪ 6 00:01:43,683 --> 00:01:45,017 (ぬい)おい 7 00:01:45,685 --> 00:01:47,228 小僧 8 00:01:47,812 --> 00:01:49,772 生きてるのか? 9 00:02:20,428 --> 00:02:21,304 (ヨキ)ハッ! 10 00:02:22,763 --> 00:02:25,516 (ぬい)お前 蟲(むし)が見えるのか? 11 00:02:25,892 --> 00:02:27,101 んっ 12 00:02:27,810 --> 00:02:28,978 ん… 13 00:02:29,979 --> 00:02:31,772 (ぬい)おびえることはない 14 00:02:31,898 --> 00:02:35,151 ああいう まだ光を帯びている やからは― 15 00:02:35,276 --> 00:02:37,528 大した影響力は持たない 16 00:02:38,196 --> 00:02:41,282 それとも 私の方が恐ろしいか? 17 00:02:44,035 --> 00:02:46,871 これを飲め ケガによい 18 00:02:50,541 --> 00:02:51,375 うん… 19 00:02:51,751 --> 00:02:53,753 早く治して 出てっとくれ 20 00:02:53,878 --> 00:02:55,922 長居は お断りだよ 21 00:03:11,687 --> 00:03:12,813 (ヨキ)うわっ… 22 00:03:31,415 --> 00:03:32,833 (ヨキ)母さん 23 00:03:33,251 --> 00:03:34,252 母さん 24 00:03:34,669 --> 00:03:36,045 母さん! 25 00:03:36,921 --> 00:03:40,883 (ヨキの母)おかしいねえ 別の道に入っちまったのかな 26 00:03:41,300 --> 00:03:42,843 (ヨキ)母さん! 27 00:03:45,721 --> 00:03:50,142 なんだい ヨキ また奇妙なものが見えるのかい? 28 00:03:52,144 --> 00:03:56,440 大丈夫 大丈夫 そんなものは 幻だよ 29 00:03:58,734 --> 00:04:01,153 心を強く持つんだよ 30 00:04:01,279 --> 00:04:02,280 (ヨキ)ああ… 31 00:04:23,134 --> 00:04:26,053 (ヨキ)ハァ ハァ… 32 00:04:29,640 --> 00:04:32,685 ハァ ハァ… 33 00:05:06,844 --> 00:05:09,430 ハッ ハァ… 34 00:05:10,473 --> 00:05:12,266 (ヨキのすすり泣き) 35 00:05:18,439 --> 00:05:20,316 (ぬい)おびえることはない 36 00:05:23,027 --> 00:05:24,695 ハッ… 37 00:05:38,417 --> 00:05:41,837 (ヨキ) だいぶ 動かせるようになった 38 00:05:48,928 --> 00:05:50,221 あ… 39 00:05:51,680 --> 00:05:53,516 なんて魚だろう 40 00:05:54,225 --> 00:05:57,228 真っ白で 目が緑… 41 00:06:01,565 --> 00:06:03,234 どれも片目がない 42 00:06:03,359 --> 00:06:05,528 (ぬい)池に棲(す)む 蟲のせいだ 43 00:06:06,654 --> 00:06:09,532 夜や明け方は 近づくんじゃないよ 44 00:06:11,742 --> 00:06:16,747 あの… あれらは 幻じゃないんだよね? 45 00:06:17,289 --> 00:06:22,711 われわれと同じように 存在してるとも 幻だとも言えない 46 00:06:23,212 --> 00:06:25,673 ただ 影響は及ぼしてくる 47 00:06:26,090 --> 00:06:28,717 俺らとは まったく違うものなの? 48 00:06:29,468 --> 00:06:33,222 在り方は違うが 断絶された存在ではない 49 00:06:34,181 --> 00:06:36,976 われわれの命の 別の形だ 50 00:06:39,770 --> 00:06:40,729 そうか 51 00:06:41,939 --> 00:06:44,108 そうなんだ… 52 00:06:48,154 --> 00:06:50,698 んっ んっ! 53 00:06:51,907 --> 00:06:54,952 (ヨキ) 杖なしで 歩けるようになった 54 00:06:56,287 --> 00:06:57,121 (ヨキ)んっ…! 55 00:07:03,878 --> 00:07:06,755 (ぬい)ヨキ お前― 56 00:07:07,089 --> 00:07:09,800 そろそろ 足は いいんじゃないのか? 57 00:07:10,509 --> 00:07:12,511 帰るうちも あるんだろ? 58 00:07:15,306 --> 00:07:18,142 帰るとこ… ないよ 59 00:07:18,267 --> 00:07:22,062 ずっと母さんと 物売りして 歩いてたんだ 60 00:07:23,189 --> 00:07:27,860 それに 足… まだ 歩くと痛い 61 00:07:31,113 --> 00:07:32,072 (ぬい)そうか 62 00:07:32,448 --> 00:07:35,075 それよりさ ずっと 気になってたんだけど― 63 00:07:35,576 --> 00:07:39,205 池の蟲って どんなやつなの? 教えてよ 64 00:07:41,123 --> 00:07:43,501 (ぬい)ん… ああ 65 00:07:44,585 --> 00:07:48,422 姿は… “闇”としか言えない 66 00:07:50,299 --> 00:07:51,133 闇? 67 00:07:51,342 --> 00:07:54,094 (ぬい)そう 闇には2つある 68 00:07:54,220 --> 00:07:58,849 1つは 目を閉じたり 蔵の中や 月のない夜― 69 00:07:58,974 --> 00:08:02,144 日や明かりを 遮った時に できる闇 70 00:08:02,770 --> 00:08:05,856 もう1つが… “常(とこ)の闇” 71 00:08:06,398 --> 00:08:09,610 昼間は ああした暗い所で じっとしているが― 72 00:08:09,735 --> 00:08:12,863 夜になると 池を出て 小さき蟲を食う 73 00:08:13,322 --> 00:08:17,952 池の魚や ぬいさんが そんな髪や目になったのは… 74 00:08:18,577 --> 00:08:23,415 (ぬい)明け方 時に池が 銀色に光ってることがある 75 00:08:23,874 --> 00:08:28,128 おそらく食った蟲を 光に分解してるんだろう 76 00:08:29,004 --> 00:08:32,132 あれを繰り返し浴びると こうなるようだ 77 00:08:32,758 --> 00:08:34,552 それじゃあ ここにいたら― 78 00:08:34,677 --> 00:08:36,971 もう1つの目も なくなるんじゃないの? 79 00:08:37,513 --> 00:08:39,682 (ぬい)池の魚を見たろ? 80 00:08:39,807 --> 00:08:42,268 不思議と 両目のない魚はいない 81 00:08:42,393 --> 00:08:44,478 そういうふうに できてるんだろうさ 82 00:08:45,020 --> 00:08:47,982 さあ 日が暮れる 中へ入るよ 83 00:08:48,399 --> 00:08:51,193 その蟲 なんていう名前なの? 84 00:08:53,153 --> 00:08:57,283 闇のような姿のものは トコヤミという 85 00:08:57,700 --> 00:09:01,537 光を放つのは トコヤミに棲む 別の蟲のようだが― 86 00:09:01,787 --> 00:09:04,164 そいつに名があるかは 知らない 87 00:09:04,456 --> 00:09:08,002 私は“銀蟲(ぎんこ)”と呼んでいる 88 00:09:13,424 --> 00:09:14,258 (ヨキ)これは? 89 00:09:15,593 --> 00:09:16,677 食えんよ 90 00:09:16,802 --> 00:09:18,095 (ヨキ)じゃ これ 91 00:09:18,220 --> 00:09:19,513 かじってみりゃいい 92 00:09:20,639 --> 00:09:22,433 のみ込むなよ 93 00:09:22,641 --> 00:09:24,727 かっ 辛っ! ぶへっ べっ 94 00:09:25,185 --> 00:09:27,271 あっ… なんだこれ 95 00:09:27,396 --> 00:09:28,272 (ぬい)ふっ 96 00:09:28,647 --> 00:09:29,648 (ヨキ)ぺっ ぶへっ… 97 00:09:29,773 --> 00:09:33,736 (ぬい)死にゃあしないよ そうしてりゃあ 腹も丈夫になる 98 00:09:33,861 --> 00:09:35,696 ひでえ… (ぬい)ん? 99 00:09:36,405 --> 00:09:39,533 (ヨキ)わ… ダマになってる 100 00:09:42,202 --> 00:09:44,371 (ぬい)フーッ 101 00:09:50,252 --> 00:09:51,462 散らしたの? 102 00:09:51,587 --> 00:09:53,714 すぐまた たまるがな 103 00:09:53,839 --> 00:09:56,425 私が山を歩くと いつもこうだ 104 00:09:56,550 --> 00:09:58,218 ねえ 俺にもできる? 105 00:09:58,344 --> 00:10:00,429 おもしろ半分に やるもんじゃないぞ 106 00:10:00,846 --> 00:10:02,181 (ヨキ)分かってる 107 00:10:02,306 --> 00:10:04,433 (ぬい)少々 クセがきついぞ 108 00:10:07,561 --> 00:10:10,689 (ヨキのせき込み) 109 00:10:11,273 --> 00:10:15,694 (ぬいの笑い声) 110 00:10:20,240 --> 00:10:21,700 (ヨキ)ぬい! 111 00:10:22,368 --> 00:10:23,994 明かり つけようよ 112 00:10:24,119 --> 00:10:25,454 (ぬい)ああ すまない 113 00:10:28,666 --> 00:10:32,294 私の目は 夜目が利くのでな つい 114 00:10:32,878 --> 00:10:34,421 銀蟲のせい? 115 00:10:34,546 --> 00:10:37,633 (ぬい)たぶんな なに 便利なもんだ 116 00:10:41,512 --> 00:10:43,097 なあ ヨキ 117 00:10:43,555 --> 00:10:46,475 夜 山を1人で歩いているとな― 118 00:10:47,226 --> 00:10:51,814 さっきまで道を照らしていた月が 急に見えなくなったり― 119 00:10:51,939 --> 00:10:56,777 星が消えたりして 方向が 分からなくなる時がある 120 00:10:58,112 --> 00:11:00,572 それは 普通にもあることだが― 121 00:11:01,240 --> 00:11:06,578 さらに自分の名前や 過去のことも 思い出せなくなってるようなら― 122 00:11:06,703 --> 00:11:10,040 それはトコヤミが そばに来ているためだ 123 00:11:10,499 --> 00:11:14,128 どうにか思い出せれば 抜けられるという 124 00:11:14,920 --> 00:11:17,089 (ヨキ)どうしても 思い出せない時は? 125 00:11:17,214 --> 00:11:18,298 (ぬい)なんでもいい 126 00:11:18,424 --> 00:11:21,051 すぐ思い付く名を 付ければいいそうだ 127 00:11:21,176 --> 00:11:22,719 (ヨキ)そんなんでいいの? 128 00:11:22,845 --> 00:11:26,723 (ぬい)その代わり 前の名だったころのことは― 129 00:11:26,849 --> 00:11:29,309 思い出せなくなるそうだがね 130 00:11:33,313 --> 00:11:34,898 (ヨキ)ねえ (ぬい)ん? 131 00:11:35,023 --> 00:11:37,443 (ヨキ)どうして ぬいが ここにいるのか― 132 00:11:38,068 --> 00:11:39,236 聞いていい? 133 00:11:41,405 --> 00:11:43,532 ああ 構わないよ 134 00:11:45,409 --> 00:11:49,371 この山の先には 私の故郷がある 135 00:11:50,205 --> 00:11:53,750 閉ざされているが 美しい里だ 136 00:11:54,877 --> 00:11:58,630 私には生来 蟲を寄せる性質があり― 137 00:11:58,755 --> 00:12:03,510 ひとつところに とどまれず 蟲を払いながら里を巡る― 138 00:12:03,635 --> 00:12:05,554 蟲師(むしし)をして 旅をしていた 139 00:12:07,139 --> 00:12:10,392 それでも足しげく 私は里へ戻った 140 00:12:10,934 --> 00:12:12,728 親や友人― 141 00:12:12,853 --> 00:12:16,732 そして何より 夫と子どもに会うために 142 00:12:17,274 --> 00:12:18,108 だが… 143 00:12:19,109 --> 00:12:25,616 ある時 夫と子 そして 父や友人を含む多くの者が― 144 00:12:25,741 --> 00:12:29,036 山へ入ったきり戻らないと 聞かされた 145 00:12:29,995 --> 00:12:33,123 私は山中を捜し回ったあげく― 146 00:12:33,248 --> 00:12:36,627 この池にいるのが トコヤミだと気づいた 147 00:12:38,420 --> 00:12:41,215 トコヤミにとらわれたら どうなるのか― 148 00:12:41,340 --> 00:12:45,886 どうすればいいのかは ほかの蟲師より 伝え聞いていた 149 00:12:46,637 --> 00:12:48,180 それで― 150 00:12:48,722 --> 00:12:52,017 彼らはきっとまだ さまよっているのだと― 151 00:12:52,684 --> 00:12:56,396 諦めきれずに ここにいるのさ 152 00:12:59,441 --> 00:13:01,527 どれくらいになるの? 153 00:13:02,152 --> 00:13:04,488 (ぬい)6年になるかね 154 00:13:04,738 --> 00:13:06,281 ずっと1人で… 155 00:13:08,200 --> 00:13:12,788 その人たちさ ぬいと 同じ姿になってるのかな 156 00:13:13,038 --> 00:13:15,457 そうだな きっと 157 00:13:15,582 --> 00:13:18,502 俺も捜すの手伝うよ いいだろ? 158 00:13:18,627 --> 00:13:20,379 だからここに… (ぬい)だめだ! 159 00:13:21,922 --> 00:13:24,383 どうして… 何がいけないの? 160 00:13:26,843 --> 00:13:30,514 これは 私だけでやりたい 161 00:13:31,473 --> 00:13:32,891 それだけだ 162 00:13:33,267 --> 00:13:36,270 ここにいるための 口実にするんじゃないよ 163 00:13:37,479 --> 00:13:39,398 それ以上 言ったら― 164 00:13:39,523 --> 00:13:41,567 すぐにでも追ん出すよ 165 00:14:07,426 --> 00:14:09,303 ぬいは 何か隠してる 166 00:14:09,428 --> 00:14:11,972 俺がいちゃ 困る理由が 何かあるんだ 167 00:14:12,890 --> 00:14:14,975 出てこい トコヤミ 銀蟲… 168 00:14:27,946 --> 00:14:29,114 ハッ… 169 00:14:33,744 --> 00:14:34,870 んっ… 170 00:14:39,291 --> 00:14:41,376 (ヨキ)なんだ あの魚… 171 00:14:41,501 --> 00:14:44,338 残った方の目が潰れて… 172 00:14:55,265 --> 00:14:56,642 消えた… 173 00:14:56,767 --> 00:14:58,101 (ぬい)ヨキッ 174 00:14:58,644 --> 00:15:01,897 何してんだい 光を浴びるのは よくないと… 175 00:15:02,022 --> 00:15:05,108 ぬい! 片目の魚しか いないのは― 176 00:15:05,233 --> 00:15:07,569 両目がなくなったら 消えちゃうからなんだ 177 00:15:08,612 --> 00:15:10,197 ねえ 知ってたの? 178 00:15:12,324 --> 00:15:14,076 (ぬい)消えるのではない 179 00:15:14,242 --> 00:15:18,413 銀蟲の放つ光が 生き物を トコヤミに変えるのだ 180 00:15:18,538 --> 00:15:20,082 そんなの一緒だよ! 181 00:15:20,207 --> 00:15:22,709 どうして 知ってて そのままにしておいたの? 182 00:15:23,001 --> 00:15:24,544 蟲師だったんだろ? 183 00:15:24,670 --> 00:15:27,214 こんな恐ろしい蟲 どうして生かしておくんだよ 184 00:15:28,924 --> 00:15:33,053 恐れや怒りに 目を くらまされるな 185 00:15:33,178 --> 00:15:38,183 皆 ただ それぞれが あるように あるだけ 186 00:15:38,725 --> 00:15:40,852 逃れられるモノからは― 187 00:15:40,978 --> 00:15:44,189 知恵ある われわれが 逃れればいい 188 00:15:44,815 --> 00:15:48,360 蟲師とはずっと はるか古来から― 189 00:15:48,485 --> 00:15:51,655 そのすべを 探してきた者たちだ 190 00:15:52,364 --> 00:15:55,742 私も銀蟲の記録を取り続けたよ 191 00:15:55,867 --> 00:15:59,413 そして魚の行く末に 気づいた時には― 192 00:15:59,538 --> 00:16:03,250 私も もう光を浴びすぎていた 193 00:16:03,959 --> 00:16:06,920 片目の魚を池から離し― 194 00:16:07,045 --> 00:16:10,841 光を浴びぬよう 繰り返し 試しもした 195 00:16:11,174 --> 00:16:12,634 だが… 196 00:16:12,968 --> 00:16:15,929 一度 白化の始まった 魚たちは― 197 00:16:16,346 --> 00:16:21,393 多少の遅れは見られても いずれは両目を失い― 198 00:16:21,518 --> 00:16:23,145 トコヤミとなった 199 00:16:23,770 --> 00:16:25,022 そんな… 200 00:16:25,272 --> 00:16:26,481 それじゃ ぬい… 201 00:16:26,815 --> 00:16:30,402 それでも 夫や子らが トコヤミになってしまったと― 202 00:16:30,527 --> 00:16:32,487 認めたくはなかった 203 00:16:32,612 --> 00:16:36,992 光を浴びぬようにして 生き長らえ 捜し歩いた 204 00:16:39,077 --> 00:16:41,705 けど さすがにいつからか― 205 00:16:42,497 --> 00:16:47,252 すべては ここにあると 悟ってしまった 206 00:16:48,003 --> 00:16:50,589 もう全部 手遅れなんだ 207 00:16:50,714 --> 00:16:54,468 ヨキ 分かったら お前はもう 出ておゆき 208 00:16:54,593 --> 00:16:55,969 んっ やだ! 209 00:16:56,094 --> 00:16:58,597 きっと なんとかなるよ ぬいも ここを出よう 210 00:16:58,722 --> 00:17:00,182 (ぬい)バカ言うんじゃないよ (ヨキ)ハッ…! 211 00:17:02,225 --> 00:17:04,269 (ぬい) もう どうにもならないし― 212 00:17:04,394 --> 00:17:07,689 ずっと どうにもならなくていいと 思ってきたのに― 213 00:17:08,398 --> 00:17:11,193 お前がいると つらいばかりだ 214 00:17:16,573 --> 00:17:18,700 頼むから もう行ってくれ 215 00:17:19,034 --> 00:17:21,953 お前なら 旅の暮らしもできるだろう 216 00:17:22,579 --> 00:17:26,625 愛する故郷のないことは きっとお前には 幸運だ 217 00:17:26,750 --> 00:17:29,544 いやだ! 俺の故郷ならここだ 218 00:17:29,669 --> 00:17:31,463 一番 長くいた土地だ 219 00:17:31,588 --> 00:17:36,343 (ぬい)違う ここは 私とトコヤミたちの場所 220 00:17:36,468 --> 00:17:39,304 お前のいていい場所じゃない 221 00:18:08,917 --> 00:18:10,710 これでもう― 222 00:18:11,128 --> 00:18:13,088 いいよな 223 00:18:24,558 --> 00:18:26,852 (ヨキ)池…? ぬい! 224 00:18:28,562 --> 00:18:31,523 行っちゃ いやだ 行っちゃ やだ! 225 00:18:36,319 --> 00:18:37,320 ぬい? 226 00:18:37,988 --> 00:18:38,989 待ってよ 227 00:18:40,282 --> 00:18:41,241 行くなよ 228 00:18:41,658 --> 00:18:43,160 ぬい! 229 00:18:49,624 --> 00:18:51,501 (ぬい)なんてこと 230 00:18:57,174 --> 00:18:58,967 (ヨキ)ぬい? ぬいなんだな? 231 00:18:59,759 --> 00:19:00,844 (ぬい)戻るんだ 232 00:19:01,178 --> 00:19:02,137 ぬいは? 233 00:19:02,470 --> 00:19:05,098 (ぬい)私は もう… 234 00:19:06,266 --> 00:19:08,685 もうじき 銀蟲が目を覚ます 235 00:19:08,810 --> 00:19:10,854 できる限り 遠くへ行くんだ 236 00:19:11,646 --> 00:19:13,106 さっ 早くおし 237 00:19:15,275 --> 00:19:17,986 (ヨキ)ぬいの手 温度がない 238 00:19:18,612 --> 00:19:20,822 冷たくも温かくもない 239 00:19:21,489 --> 00:19:24,034 (ぬい)お前の手は まだ温かいよ 240 00:19:24,951 --> 00:19:28,538 手だけじゃあない 私にもう 目玉はないが― 241 00:19:29,039 --> 00:19:34,044 お前の目玉がこちらを見ると まるで 日の当たるように 温かだ 242 00:19:34,961 --> 00:19:40,300 あの ほの暗い池の傍らで それが どんなに懐かしかったか… 243 00:19:40,425 --> 00:19:44,054 さあ ヨキ この先は 片目を閉じて おゆき 244 00:19:44,971 --> 00:19:47,349 1つは 銀蟲にくれてやれ 245 00:19:47,474 --> 00:19:50,060 トコヤミから抜け出すために 246 00:19:50,352 --> 00:19:53,313 だが もう1つは 固く閉じろ 247 00:19:50,352 --> 00:19:53,313 (ヨキ)ふっ… うう… 248 00:19:53,980 --> 00:19:57,067 また日の光を見るために 249 00:19:57,651 --> 00:20:00,028 あっ… いけない 250 00:20:00,320 --> 00:20:02,072 銀蟲が目を覚ます 251 00:20:06,743 --> 00:20:08,370 (ヨキ)あ… ぬ…! 252 00:20:18,630 --> 00:20:21,466 あれが 銀蟲… 253 00:20:21,591 --> 00:20:23,260 常闇の底の…― 254 00:20:23,885 --> 00:20:25,679 目のない魚… 255 00:20:28,014 --> 00:20:32,102 (ぬい)恐れや怒りに 目を くらまされるな 256 00:20:32,227 --> 00:20:37,107 皆 ただ それぞれが あるように あるだけ 257 00:20:47,659 --> 00:20:48,952 (ヨキ)土のにおいがする 258 00:20:58,920 --> 00:21:00,880 また 月… 259 00:21:03,758 --> 00:21:05,635 これで何回目だっけ 260 00:21:07,137 --> 00:21:10,265 分からなくなった… ハッ! 261 00:21:11,683 --> 00:21:13,560 俺の名前… 262 00:21:14,060 --> 00:21:18,273 こういう時 どうすれば いいんだったっけ… 263 00:21:24,195 --> 00:21:26,156 (ヨキ)その翌日― 264 00:21:31,244 --> 00:21:34,331 右目は日の光を見ていた 265 00:21:38,001 --> 00:21:38,835 (男)ん? 266 00:21:39,502 --> 00:21:42,422 なんだ おめえ 見ねえガキだな 267 00:21:42,547 --> 00:21:43,840 お おい! 268 00:21:49,304 --> 00:21:50,597 おう 戻ったぞ 269 00:21:51,097 --> 00:21:53,099 起きてて平気か? 無理すんな 270 00:21:53,224 --> 00:21:54,059 (ヨキ)うん 271 00:21:54,184 --> 00:21:55,310 (男)で どうだ? 272 00:21:55,393 --> 00:21:57,812 名前以外に 何か 思い出せたか? 273 00:21:59,481 --> 00:22:00,315 いいや 274 00:22:00,565 --> 00:22:03,818 まあいいさ なんなら ずっと いてもいいぞ 275 00:22:03,943 --> 00:22:06,821 ともかく 明日 村長のとこ 顔 出しとこう 276 00:22:07,989 --> 00:22:08,823 (ヨキ)ただ― 277 00:22:12,786 --> 00:22:18,374 左目の穴は 日の下においても 闇をすくいとったかのように暗く― 278 00:22:19,125 --> 00:22:22,378 それは奇妙なものを 寄せつけた 279 00:22:24,255 --> 00:22:26,508 このまま ここに寄せ続けたら― 280 00:22:26,633 --> 00:22:29,469 きっと あれらは災いを呼ぶ 281 00:22:29,928 --> 00:22:31,888 そんな気がする… 282 00:22:33,223 --> 00:22:36,101 (男)おい ギンコ 飯にするぞ 283 00:22:37,519 --> 00:22:38,603 あれ… 284 00:22:39,229 --> 00:22:41,773 ギンコ~ お~い 285 00:22:42,440 --> 00:22:44,567 どこ 行っちまったんだ 286 00:22:46,402 --> 00:22:52,408 ♪~ 287 00:23:24,315 --> 00:23:30,321 ~♪