1 00:00:01,167 --> 00:00:07,173 ♪~ 2 00:01:26,500 --> 00:01:32,500 ~♪ 3 00:01:35,300 --> 00:01:37,510 (窓を開ける音) 4 00:01:43,680 --> 00:01:45,060 (男の子1)大丈夫だって 5 00:01:45,180 --> 00:01:47,940 先生 今 うちの ばあちゃん 診にきてっから 6 00:01:49,310 --> 00:01:53,520 ほらな? 珍しいもん いっぱいあるだろ? 7 00:01:54,400 --> 00:01:57,240 へえ~ すげえ 8 00:01:57,360 --> 00:01:59,990 (男の子2)うわあ なんだこれ 9 00:02:00,860 --> 00:02:01,910 (女の子)あっ 10 00:02:11,920 --> 00:02:15,210 うわあ きれいな硯(すずり) 11 00:02:26,680 --> 00:02:29,560 (男の荒い息) 12 00:02:30,310 --> 00:02:31,440 (戸をたたく音) 13 00:02:31,560 --> 00:02:33,270 (男)先生! 14 00:02:35,440 --> 00:02:38,110 先生! 来てください! 先生! 15 00:02:38,490 --> 00:02:40,610 先生! (化野(あだしの))ん~ 16 00:02:40,740 --> 00:02:42,320 (男)うちの子が…! 17 00:02:44,030 --> 00:02:44,910 (化野)ん? 18 00:02:47,160 --> 00:02:51,620 (母親)夜になって 急に 寒い 寒いと言いだして 19 00:02:51,960 --> 00:02:56,340 一緒に遊んでた隣の子らも 同じ様子なんです 20 00:02:57,380 --> 00:03:00,970 (化野)なんだこれは 体温が ひどく低い 21 00:03:02,630 --> 00:03:04,890 お母ちゃん 寒い 22 00:03:05,180 --> 00:03:06,890 お布団 もう1枚 23 00:03:07,010 --> 00:03:07,890 (母親)待ってな 24 00:03:08,350 --> 00:03:10,600 (化野)吐く息まで 冷たい 25 00:03:13,060 --> 00:03:13,900 先生 26 00:03:19,570 --> 00:03:20,490 (化野)氷? 27 00:03:20,610 --> 00:03:23,200 先生 ごめんなさい 28 00:03:23,320 --> 00:03:26,120 今日 先生のところの蔵に… 29 00:03:26,240 --> 00:03:27,910 はっ! あ… 30 00:03:28,740 --> 00:03:30,450 蔵のものに触ったのか? 31 00:03:31,620 --> 00:03:33,250 ごめんなさい 32 00:03:33,370 --> 00:03:35,130 硯が… 33 00:03:35,460 --> 00:03:37,460 (化野)硯… 34 00:03:47,180 --> 00:03:49,100 (ギンコ)お~い 来たぞ 35 00:03:49,220 --> 00:03:51,430 (化野)おう こっちだ ギンコ 36 00:03:53,390 --> 00:03:54,850 よく来たな 37 00:03:57,060 --> 00:03:58,900 うかつだった 38 00:03:59,110 --> 00:04:02,950 蔵の中は 里の者には 見せないようにしてたんだがなあ 39 00:04:05,030 --> 00:04:05,860 患者は? 40 00:04:05,990 --> 00:04:07,740 (化野)衰弱してきてる 41 00:04:07,870 --> 00:04:10,660 湯を飲ませて 体を温めさせてるが 42 00:04:12,750 --> 00:04:13,660 これだ 43 00:04:14,460 --> 00:04:16,960 知り合いの収集家から 買ったものだ 44 00:04:17,080 --> 00:04:22,170 姿も美しいが 何かの蟲(むし)の 化石でできた硯だと言うんでな 45 00:04:23,510 --> 00:04:25,260 蟲の化石? 46 00:04:26,390 --> 00:04:28,470 そんなもの ありえるかねえ 47 00:04:28,800 --> 00:04:31,680 大概 やつらは 骸(むくろ)を残さんものだ 48 00:04:32,470 --> 00:04:36,730 こういう 情報のあいまいなもの 買うんじゃねえよ 49 00:04:36,850 --> 00:04:37,690 厄介だな 50 00:04:39,230 --> 00:04:44,190 自分の愛でてるものが 異形のモノだってこと 忘れたか? 51 00:04:45,570 --> 00:04:48,410 すまんなあ つい… 52 00:04:54,660 --> 00:04:58,210 (ギンコ)こいつは… 化石じゃあないな 53 00:04:58,540 --> 00:05:00,790 まだ生きた蟲に見える 54 00:05:01,250 --> 00:05:04,550 で その患者らは 何をしてたってんだ? 55 00:05:05,630 --> 00:05:08,760 (化野)硯を… どうしたんだ? 56 00:05:09,140 --> 00:05:12,350 (女の子)墨をすってみようって 57 00:05:14,100 --> 00:05:16,390 (男の子1) ん? どうかしたのか? 58 00:05:16,520 --> 00:05:19,270 (男の子2)なんだそれ? ただの硯じゃないか 59 00:05:20,190 --> 00:05:23,150 いや きっと特別な硯なんだよ 60 00:05:23,280 --> 00:05:25,110 なあ そこに水あるぜ 61 00:05:25,240 --> 00:05:26,780 試しにすってみようか 62 00:05:29,870 --> 00:05:33,160 (女の子)やめなよ 先生 怒るよ 63 00:05:33,290 --> 00:05:35,250 (男の子1)ちょっとだけだって 64 00:05:36,830 --> 00:05:38,170 (3人)あっ… え? 65 00:05:38,620 --> 00:05:42,170 (男の子2) 何か 冷たいの出てこなかった? 66 00:05:42,290 --> 00:05:43,550 (女の子)うん 67 00:05:43,920 --> 00:05:45,670 吸い込んじゃった 68 00:05:49,800 --> 00:05:54,180 (ギンコ)すられることで再生して 体内に入り 内から冷やす 69 00:05:54,310 --> 00:05:57,520 これだけの条件で 蟲の特定は 難しいな 70 00:05:58,770 --> 00:05:59,690 そうか 71 00:06:01,520 --> 00:06:03,440 前の持ち主は なんか知らねえのか? 72 00:06:03,860 --> 00:06:06,320 いや 知人もそれ以上は 知らんらしい 73 00:06:06,490 --> 00:06:10,450 それ以前の持ち主は皆 硯を使用して― 74 00:06:10,570 --> 00:06:11,950 死んじまってるそうだ 75 00:06:13,330 --> 00:06:16,450 (ギンコ)残るは 硯の作り手か 76 00:06:18,330 --> 00:06:21,460 (化野)銘がある 調べれば 居所も分かるはず 77 00:06:22,790 --> 00:06:24,250 行ってみよう 78 00:06:24,670 --> 00:06:26,460 こいつは 借りてくぞ 79 00:06:27,920 --> 00:06:29,470 頼む! (ギンコ)ああ 80 00:06:45,440 --> 00:06:47,070 ああ… 81 00:06:47,440 --> 00:06:49,320 (ギンコ)ずいぶん 来たなあ 82 00:06:50,530 --> 00:06:52,610 この辺で いいはずだが 83 00:06:55,740 --> 00:07:00,250 (女)ああ あそこだけど もう硯は作ってないよ 84 00:07:00,710 --> 00:07:01,790 (ギンコ)ん? 85 00:07:02,420 --> 00:07:03,420 なぜです? 86 00:07:03,540 --> 00:07:07,210 (女)さてね ぱったり やめちまったのさ 87 00:07:07,340 --> 00:07:11,050 身寄りはないが 腕は確かだったってのに 88 00:07:28,650 --> 00:07:31,110 (たがね)なんだい? あんた 89 00:07:33,240 --> 00:07:35,200 (ギンコ) これを作ったのは あんたか? 90 00:07:36,160 --> 00:07:37,740 (たがね)はっ… 91 00:07:38,660 --> 00:07:40,750 確かに 私の銘だけど 92 00:07:42,040 --> 00:07:44,500 それが… 何か? 93 00:07:45,630 --> 00:07:49,000 今 この硯のために 苦しんでる者がいる 94 00:07:52,050 --> 00:07:54,510 あんたの知ってることを 教えてほしい 95 00:08:01,100 --> 00:08:04,480 (たがね)よく… 来てくれた 96 00:08:04,650 --> 00:08:07,900 探してたんだ この硯を 97 00:08:08,690 --> 00:08:10,030 ずっと… 98 00:08:12,990 --> 00:08:17,280 私が知る限り その硯を使った者は3人 99 00:08:19,370 --> 00:08:23,500 皆 ひと月以内には 亡くなったと聞く 100 00:08:24,160 --> 00:08:25,420 あれは― 101 00:08:26,170 --> 00:08:30,670 硯の名工だった父が倒れて しばらくのころだった 102 00:08:32,970 --> 00:08:35,430 私には婚約者がいた 103 00:08:36,890 --> 00:08:42,470 彼は ひと山越えた町に住む 父の硯の依頼主だったが― 104 00:08:43,520 --> 00:08:45,810 彼も 彼の両親も― 105 00:08:45,940 --> 00:08:49,610 私が父の跡を継ぐことに 反対していた 106 00:08:50,900 --> 00:08:52,730 (婚約者)たがね どうしてもか? 107 00:08:54,240 --> 00:08:55,950 あんたなら 分かるでしょ? 108 00:08:56,070 --> 00:08:59,030 ここの石は 父さんと私にしか彫れない 109 00:08:59,160 --> 00:09:00,450 絶やしたくないの! 110 00:09:00,990 --> 00:09:03,330 お前1人じゃ やっていけんよ 111 00:09:03,450 --> 00:09:06,210 実際 工房への注文は 減る一方だろう 112 00:09:06,540 --> 00:09:07,750 今に― 113 00:09:08,130 --> 00:09:10,710 父さんと同じぐらいのものを 作ってみせる 114 00:09:11,710 --> 00:09:13,300 だから… 115 00:09:16,550 --> 00:09:17,970 (婚約者)また来るよ 116 00:09:19,800 --> 00:09:21,010 (たがね)あの人に― 117 00:09:23,100 --> 00:09:26,690 認めてもらえる ものを作ればきっと… 118 00:09:27,310 --> 00:09:31,190 私は それからさらに 硯作りに打ち込んだ 119 00:09:31,610 --> 00:09:35,860 だが なかなか納得のいくものは 作れなかった 120 00:09:39,110 --> 00:09:42,700 そしてある日 私は その石を掘り当てた 121 00:09:43,580 --> 00:09:47,410 不思議とひきつけられ 夢中でその石を彫った 122 00:09:49,210 --> 00:09:53,090 出来上がった硯は かつてない傑作となった 123 00:09:56,210 --> 00:09:57,340 (たがねの父)いい姿だ 124 00:09:58,300 --> 00:10:00,840 どら 試しずりしてみなさい 125 00:10:12,860 --> 00:10:14,320 はっ! はあっ! 126 00:10:14,610 --> 00:10:16,070 (せきこみ) 127 00:10:16,190 --> 00:10:17,490 (たがねの父)ん? 128 00:10:18,610 --> 00:10:20,660 (たがね)何? 今の 129 00:10:20,780 --> 00:10:22,030 (たがねの父)どうした? 130 00:10:22,160 --> 00:10:25,410 硯から 煙みたいなものが 131 00:10:26,080 --> 00:10:28,410 ほら まだ あそこ 132 00:10:30,040 --> 00:10:31,000 どこにだ? 133 00:10:31,420 --> 00:10:32,830 えっ? 134 00:10:35,710 --> 00:10:36,550 あ… 135 00:10:41,970 --> 00:10:44,260 墨のおりも いいようだな 136 00:10:45,060 --> 00:10:49,020 これならもう 安心して 後を任せられる 137 00:10:57,190 --> 00:11:00,280 (たがね)あの煙を吸って 数日 経ったけど― 138 00:11:00,400 --> 00:11:02,320 害はないようだし 139 00:11:02,740 --> 00:11:04,490 私にしか 見えてない 140 00:11:05,620 --> 00:11:09,250 この硯を見て 考え直してもらえれば 141 00:11:14,630 --> 00:11:15,540 分かった 142 00:11:16,840 --> 00:11:20,800 これを預かっていいか? 両親を説得してみよう 143 00:11:20,920 --> 00:11:23,050 あ… 本当? 144 00:11:23,180 --> 00:11:27,720 ああ 分かってもらえたら すぐに文を出す 145 00:11:28,520 --> 00:11:32,140 (たがね) だが ひと月後 届いた文は― 146 00:11:32,310 --> 00:11:34,980 彼の死を告げるものだった 147 00:11:37,230 --> 00:11:41,740 私が硯を渡した日から 寒いと言い始め― 148 00:11:42,110 --> 00:11:46,030 体温が下がり続ける奇病に 侵されたという 149 00:11:47,740 --> 00:11:53,370 そしてその硯は“不吉だ”と 古物商に売り払われていた 150 00:11:55,920 --> 00:12:00,510 私は その古物商を訪ねたが すでに売れたあとで― 151 00:12:00,630 --> 00:12:04,510 それきり 行方は知れぬところと なってしまった 152 00:12:05,840 --> 00:12:11,020 だが 仲買人や古物商から うわさだけは入ってきた 153 00:12:12,310 --> 00:12:16,350 (仲買人) あの硯で また死人が出たってよ 154 00:12:20,480 --> 00:12:23,860 (たがね) その後 父も亡くなって― 155 00:12:23,990 --> 00:12:26,490 私は硯を作ることを断った 156 00:12:27,620 --> 00:12:29,330 力になりたいが― 157 00:12:29,450 --> 00:12:32,000 私の知っていることは これで全部 158 00:12:35,170 --> 00:12:37,250 (ギンコ) いや おかげで見当がついたよ 159 00:12:37,750 --> 00:12:39,290 礼を言う 160 00:12:40,210 --> 00:12:41,250 どういうこと? 161 00:12:42,800 --> 00:12:44,470 悪いが 急いでるんでね 162 00:12:44,720 --> 00:12:45,970 (たがね)待って 163 00:12:46,640 --> 00:12:49,470 その硯 買い取らせてくれない? 164 00:12:49,600 --> 00:12:51,970 それは 私の手で消したいの 165 00:12:54,060 --> 00:12:55,980 これは 俺んじゃねえしな 166 00:12:56,810 --> 00:12:58,980 なんなら あんたも 一緒に来るといい 167 00:13:05,150 --> 00:13:07,450 (女の子)ハァ ハァ… 168 00:13:15,250 --> 00:13:19,790 自分の愛でてるものが 異形のものだってこと 忘れたか? 169 00:13:22,800 --> 00:13:25,380 (化野) 分かってるつもりだったが… 170 00:13:27,010 --> 00:13:29,550 (ギンコ) さすがに こたえたようだな 171 00:13:29,680 --> 00:13:30,510 (化野)戻ったか 172 00:13:31,050 --> 00:13:34,020 軽口たたけるくらいの材料は あったんだろう… な… 173 00:13:35,850 --> 00:13:37,230 大丈夫 174 00:13:37,440 --> 00:13:39,020 きっと 助ける 175 00:13:43,820 --> 00:13:47,240 (化野)ん… 墨と 焜炉(こんろ)と… 176 00:13:47,700 --> 00:13:49,740 鍋 あと背負子(しょいこ)はあるか? 177 00:13:50,280 --> 00:13:52,240 ん? ああ 178 00:13:54,160 --> 00:13:57,460 (ギンコ)あの硯の中にいるのは “雲喰(くもは)み”という蟲だ 179 00:13:58,870 --> 00:14:02,590 入道雲のような姿をしていて 名の通り 雲 180 00:14:02,710 --> 00:14:07,220 つまり空気中の水や氷を食い 雪や あられにして降らす 181 00:14:07,760 --> 00:14:09,930 その時 地上からは 雲もないのに― 182 00:14:10,050 --> 00:14:12,350 あられが降ってるように 見えるわけだ 183 00:14:12,970 --> 00:14:16,430 だが 自らは動けない 風任せのモノで― 184 00:14:16,730 --> 00:14:19,390 雲がない時期が続くと 小さくしぼみ― 185 00:14:19,520 --> 00:14:23,110 地表に降りてきて 自らを凍らせて 仮死とする 186 00:14:24,150 --> 00:14:26,860 あれは そのまま 石になってしまったんだろう 187 00:14:27,530 --> 00:14:29,360 何万と 時をかけて 188 00:14:29,700 --> 00:14:33,030 そして 硯となって 再び地表に現れ― 189 00:14:33,160 --> 00:14:37,250 水を与えられることで 何度かに分けて 再生してきた 190 00:14:38,750 --> 00:14:41,620 (化野)で これから どうしようってんだ? 191 00:14:42,960 --> 00:14:45,590 (ギンコ)たがねさん 硯を届ける時― 192 00:14:45,710 --> 00:14:47,340 山1つ 越えてったと 言ったね 193 00:14:48,090 --> 00:14:51,470 あの煙を吸って 無事でいるのは そのせいだろう 194 00:14:52,050 --> 00:14:55,850 患者らを この辺で一番 高い山に連れていく 195 00:15:07,030 --> 00:15:10,530 (女の子)ハァ… ハァ… (化野)うん 196 00:15:10,650 --> 00:15:12,990 まずい 湯を飲ませてくれ 197 00:15:13,110 --> 00:15:14,490 (母親)はい 198 00:15:14,620 --> 00:15:16,790 あ… もうぬるくなってきてるわ 199 00:15:17,080 --> 00:15:18,870 先に行って 湯を沸かしてます 200 00:15:19,000 --> 00:15:20,000 (母親)お願いします 201 00:15:26,130 --> 00:15:28,000 ハァ ハァ… 202 00:15:28,210 --> 00:15:32,680 (母親) 先生… まだ 登るんですか? 203 00:15:33,430 --> 00:15:36,050 あ… 息が苦しくなって― 204 00:15:37,260 --> 00:15:38,680 子どもらも つらそうです 205 00:15:40,810 --> 00:15:41,680 ギンコ 206 00:15:47,980 --> 00:15:49,480 (ギンコ)もうじきだ 207 00:15:50,690 --> 00:15:53,780 (うめき声) 208 00:15:54,200 --> 00:15:55,030 (ギンコ)あっ! 209 00:15:55,320 --> 00:15:59,240 (女の子のうめき声) 210 00:15:59,990 --> 00:16:03,210 (ギンコ)みんな! 息を止めろ (一同)あっ… 211 00:16:04,540 --> 00:16:06,670 はっ! うっ! 212 00:16:07,500 --> 00:16:13,090 うう うあっ ああ… ああ~… 213 00:16:13,760 --> 00:16:16,930 (男の子たち)ああ ああ~… 214 00:16:23,850 --> 00:16:26,600 は… ああ… 215 00:16:38,910 --> 00:16:43,500 (母親)んっ ぷはっ ハァ ハァ… 216 00:16:44,330 --> 00:16:46,670 あっ! お前 顔色が! 217 00:16:49,130 --> 00:16:51,670 寒く… なくなった 218 00:16:53,300 --> 00:16:54,170 はっ! 219 00:16:56,220 --> 00:16:57,680 体温が戻ってきた 220 00:16:58,550 --> 00:16:58,970 (男の子の父親)どうだ? 221 00:16:58,970 --> 00:17:00,010 (化野)は~ 抜けた… のか (母親)ああ! (男の子の父親)どうだ? 222 00:17:00,010 --> 00:17:00,680 (化野)は~ 抜けた… のか (母親)ああ! 223 00:17:00,680 --> 00:17:02,680 (男の子)寒くない (化野)は~ 抜けた… のか (母親)ああ! 224 00:17:02,680 --> 00:17:03,020 (化野)は~ 抜けた… のか (母親)ああ! 225 00:17:03,180 --> 00:17:03,390 (男の子の父親) よかった よかった 226 00:17:03,390 --> 00:17:05,190 よかった (女の子)んふ (男の子の父親) よかった よかった 227 00:17:06,600 --> 00:17:08,270 一体…― 228 00:17:08,610 --> 00:17:10,230 なんで…? 229 00:17:12,440 --> 00:17:13,940 空気圧のせいだ 230 00:17:14,860 --> 00:17:18,360 あれは 雲の浮かぶ空気の層で 生きてるモノだ 231 00:17:18,620 --> 00:17:21,950 とすれば その層と 同じ重さのもののはず 232 00:17:22,080 --> 00:17:24,660 層の近くまで来れば 吸い寄せられる 233 00:17:25,710 --> 00:17:28,080 あんたは元々 高地の住人だ 234 00:17:28,210 --> 00:17:31,170 吸った煙は少しずつ 外へ漏れ出ただろうし― 235 00:17:31,750 --> 00:17:36,550 硯を届けに山を越えた時 完全に抜けたんじゃねえかなあ 236 00:17:38,260 --> 00:17:42,470 (子どもと親たちの喜ぶ声) 237 00:17:45,390 --> 00:17:48,770 ハァ… ああ… 238 00:17:50,270 --> 00:17:51,940 よかった 239 00:17:55,030 --> 00:17:57,200 よかった… 240 00:18:09,420 --> 00:18:11,380 (たがね)そもそも こういう危険なものを― 241 00:18:11,500 --> 00:18:13,670 好奇の対象にしたことが 誤りなのよ 242 00:18:14,500 --> 00:18:16,260 私が責任を持って葬ります 243 00:18:17,300 --> 00:18:20,090 だから そいつは 対処法も分かったことだし― 244 00:18:20,220 --> 00:18:21,300 問題ないだろう 245 00:18:21,720 --> 00:18:23,390 (たがね)そういう甘い考えで― 246 00:18:23,510 --> 00:18:25,680 ほかのもの すべて 安全と言い切れるの? 247 00:18:25,810 --> 00:18:28,020 (化野)そこまで あんたにゃ 関係ないだろ 248 00:18:28,560 --> 00:18:32,110 ハァ… おいギンコ お前も言ってやってくれ 249 00:18:32,230 --> 00:18:34,730 硯を壊すってことは まだ中に眠ってる― 250 00:18:34,860 --> 00:18:37,190 蟲も殺すってことだろ? 251 00:18:37,320 --> 00:18:39,900 うん まあ そうなるな 252 00:18:40,360 --> 00:18:42,910 (化野)なあ 蟲には罪はねえんだ 253 00:18:43,950 --> 00:18:45,660 それに その硯― 254 00:18:45,910 --> 00:18:48,830 壊しちまうには あまりに美しい 255 00:18:48,960 --> 00:18:53,080 あんたにとっても 自分の子のようなものなんじゃないか? 256 00:18:53,840 --> 00:18:54,670 けど… 257 00:18:55,840 --> 00:18:57,260 あんたが許せんのは― 258 00:18:57,380 --> 00:19:00,630 蟲の眠る硯を 世に出しちまった 自分の罪だろ? 259 00:19:03,180 --> 00:19:07,390 なら 硯から 蟲を 解放してやったらどうだ? 260 00:19:07,770 --> 00:19:08,600 え? 261 00:19:09,140 --> 00:19:11,600 (化野)っておい これは 俺の硯だぞ 262 00:19:12,480 --> 00:19:15,860 今回の件は 化野 お前の抜かりがデカい 263 00:19:16,070 --> 00:19:16,900 あっ… 264 00:19:17,030 --> 00:19:19,400 (ギンコ) 今後の教訓として 目ぇ つむれ 265 00:19:20,110 --> 00:19:24,620 なに 硯としちゃあ一級品だ しっかり使ってやるといい 266 00:19:24,740 --> 00:19:26,530 (化野)うーむ! 267 00:19:26,660 --> 00:19:29,790 うーん… 268 00:19:32,290 --> 00:19:33,330 ふっ 269 00:20:24,090 --> 00:20:25,720 (男)ん~ 270 00:20:26,090 --> 00:20:27,680 なんだあ? 271 00:20:28,510 --> 00:20:29,640 (女の子)え? 272 00:20:33,310 --> 00:20:34,140 うわあ あられだ 273 00:20:34,140 --> 00:20:35,690 (男の子たちの はしゃぎ声) うわあ あられだ 274 00:20:35,690 --> 00:20:37,230 (男の子たちの はしゃぎ声) 275 00:20:37,230 --> 00:20:38,480 (男)雲もねえのに どっから (男の子たちの はしゃぎ声) 276 00:20:38,480 --> 00:20:40,440 (男)雲もねえのに どっから 277 00:20:47,450 --> 00:20:51,450 (瓦が割れる音) 278 00:20:52,870 --> 00:20:54,710 ハァ… こりゃあ 村中― 279 00:20:54,830 --> 00:20:57,960 屋根の修理代 おおごとだなあ フハッ! 280 00:20:58,380 --> 00:21:00,750 私に請求していいよ 281 00:21:00,960 --> 00:21:03,420 一生かかっても 返すから 282 00:21:03,880 --> 00:21:06,720 つっても あんた どうやって? 283 00:21:08,300 --> 00:21:10,430 また 硯を作りゃあいい 284 00:21:10,850 --> 00:21:13,100 すぐに身を立てられる 285 00:21:14,520 --> 00:21:15,440 それは… 286 00:21:15,890 --> 00:21:18,440 じゃあ 1つ 注文してもいいかね 287 00:21:19,400 --> 00:21:21,900 なんなら 蟲入りでも構わねえし 288 00:21:22,110 --> 00:21:24,820 (ギンコ) 未練タラタラだなあ お前 289 00:21:38,420 --> 00:21:40,080 (たがね)そうだね 290 00:21:42,210 --> 00:21:44,300 いま少し― 291 00:21:44,550 --> 00:21:46,840 時間はかかると思うけど 292 00:21:49,510 --> 00:21:53,930 (化野) しかし いつ やむんだ? こりゃ 293 00:21:55,100 --> 00:21:57,810 (ギンコ)久々の食事だろうしなあ 294 00:21:57,940 --> 00:22:03,940 ♪~ 295 00:23:25,270 --> 00:23:31,280 ~♪