1 00:00:00,660 --> 00:00:03,240 (ヨキ)ハァ… 2 00:00:06,540 --> 00:00:08,960 ハァ… 3 00:00:10,960 --> 00:00:13,670 ハァ… 4 00:00:17,090 --> 00:00:19,760 ハァ… 5 00:00:21,300 --> 00:00:23,390 ハァ… 6 00:00:29,890 --> 00:00:35,900 ♪~ 7 00:01:26,800 --> 00:01:32,800 ~♪ 8 00:01:43,650 --> 00:01:44,980 (ぬい)おい 9 00:01:45,650 --> 00:01:47,190 小僧 10 00:01:47,780 --> 00:01:49,740 生きてるのか? 11 00:02:20,390 --> 00:02:21,270 (ヨキ)ハッ! 12 00:02:22,730 --> 00:02:25,480 (ぬい)お前 蟲(むし)が見えるのか? 13 00:02:25,860 --> 00:02:27,070 んっ 14 00:02:27,780 --> 00:02:28,940 ん… 15 00:02:29,940 --> 00:02:31,740 (ぬい)おびえることはない 16 00:02:31,860 --> 00:02:35,120 ああいう まだ光を帯びている やからは― 17 00:02:35,240 --> 00:02:37,490 大した影響力は持たない 18 00:02:38,160 --> 00:02:41,250 それとも 私の方が恐ろしいか? 19 00:02:44,000 --> 00:02:46,840 これを飲め ケガによい 20 00:02:50,510 --> 00:02:51,340 うん… 21 00:02:51,720 --> 00:02:53,720 早く治して 出てっとくれ 22 00:02:53,840 --> 00:02:55,890 長居は お断りだよ 23 00:03:11,650 --> 00:03:12,780 (ヨキ)うわっ… 24 00:03:31,380 --> 00:03:32,800 (ヨキ)母さん 25 00:03:33,220 --> 00:03:34,220 母さん 26 00:03:34,630 --> 00:03:36,010 母さん! 27 00:03:36,890 --> 00:03:40,850 (ヨキの母)おかしいねえ 別の道に入っちまったのかな 28 00:03:41,270 --> 00:03:42,810 (ヨキ)母さん! 29 00:03:45,690 --> 00:03:50,110 なんだい ヨキ また奇妙なものが見えるのかい? 30 00:03:52,110 --> 00:03:56,410 大丈夫 大丈夫 そんなものは 幻だよ 31 00:03:58,700 --> 00:04:01,120 心を強く持つんだよ 32 00:04:01,240 --> 00:04:02,250 (ヨキ)ああ… 33 00:04:23,100 --> 00:04:26,020 (ヨキ)ハァ ハァ… 34 00:04:29,610 --> 00:04:32,650 ハァ ハァ… 35 00:05:06,810 --> 00:05:09,400 ハッ ハァ… 36 00:05:10,440 --> 00:05:12,230 (ヨキのすすり泣き) 37 00:05:18,400 --> 00:05:20,280 (ぬい)おびえることはない 38 00:05:22,990 --> 00:05:24,660 ハッ… 39 00:05:38,380 --> 00:05:41,800 (ヨキ) だいぶ 動かせるようになった 40 00:05:48,890 --> 00:05:50,190 あ… 41 00:05:51,650 --> 00:05:53,480 なんて魚だろう 42 00:05:54,190 --> 00:05:57,190 真っ白で 目が緑… 43 00:06:01,530 --> 00:06:03,200 どれも片目がない 44 00:06:03,320 --> 00:06:05,490 (ぬい)池に棲(す)む 蟲のせいだ 45 00:06:06,620 --> 00:06:09,500 夜や明け方は 近づくんじゃないよ 46 00:06:11,710 --> 00:06:16,710 あの… あれらは 幻じゃないんだよね? 47 00:06:17,250 --> 00:06:22,680 われわれと同じように 存在してるとも 幻だとも言えない 48 00:06:23,180 --> 00:06:25,640 ただ 影響は及ぼしてくる 49 00:06:26,060 --> 00:06:28,680 俺らとは まったく違うものなの? 50 00:06:29,430 --> 00:06:33,190 在り方は違うが 断絶された存在ではない 51 00:06:34,150 --> 00:06:36,940 われわれの命の 別の形だ 52 00:06:39,740 --> 00:06:40,690 そうか 53 00:06:41,900 --> 00:06:44,070 そうなんだ… 54 00:06:48,120 --> 00:06:50,660 んっ んっ! 55 00:06:51,870 --> 00:06:54,920 (ヨキ) 杖なしで 歩けるようになった 56 00:06:56,250 --> 00:06:57,090 (ヨキ)んっ…! 57 00:07:03,840 --> 00:07:06,720 (ぬい)ヨキ お前― 58 00:07:07,050 --> 00:07:09,770 そろそろ 足は いいんじゃないのか? 59 00:07:10,470 --> 00:07:12,480 帰るうちも あるんだろ? 60 00:07:15,270 --> 00:07:18,110 帰るとこ… ないよ 61 00:07:18,230 --> 00:07:22,030 ずっと母さんと 物売りして 歩いてたんだ 62 00:07:23,150 --> 00:07:27,830 それに 足… まだ 歩くと痛い 63 00:07:31,080 --> 00:07:32,040 (ぬい)そうか 64 00:07:32,410 --> 00:07:35,040 それよりさ ずっと 気になってたんだけど― 65 00:07:35,540 --> 00:07:39,170 池の蟲って どんなやつなの? 教えてよ 66 00:07:41,090 --> 00:07:43,470 (ぬい)ん… ああ 67 00:07:44,550 --> 00:07:48,390 姿は… “闇”としか言えない 68 00:07:50,260 --> 00:07:51,100 闇? 69 00:07:51,310 --> 00:07:54,060 (ぬい)そう 闇には2つある 70 00:07:54,190 --> 00:07:58,810 1つは 目を閉じたり 蔵の中や 月のない夜― 71 00:07:58,940 --> 00:08:02,110 日や明かりを 遮った時に できる闇 72 00:08:02,740 --> 00:08:05,820 もう1つが… “常(とこ)の闇” 73 00:08:06,360 --> 00:08:09,580 昼間は ああした暗い所で じっとしているが― 74 00:08:09,700 --> 00:08:12,830 夜になると 池を出て 小さき蟲を食う 75 00:08:13,290 --> 00:08:17,920 池の魚や ぬいさんが そんな髪や目になったのは… 76 00:08:18,540 --> 00:08:23,380 (ぬい)明け方 時に池が 銀色に光ってることがある 77 00:08:23,840 --> 00:08:28,090 おそらく食った蟲を 光に分解してるんだろう 78 00:08:28,970 --> 00:08:32,100 あれを繰り返し浴びると こうなるようだ 79 00:08:32,720 --> 00:08:34,520 それじゃあ ここにいたら― 80 00:08:34,640 --> 00:08:36,940 もう1つの目も なくなるんじゃないの? 81 00:08:37,480 --> 00:08:39,650 (ぬい)池の魚を見たろ? 82 00:08:39,770 --> 00:08:42,230 不思議と 両目のない魚はいない 83 00:08:42,360 --> 00:08:44,440 そういうふうに できてるんだろうさ 84 00:08:44,990 --> 00:08:47,950 さあ 日が暮れる 中へ入るよ 85 00:08:48,360 --> 00:08:51,160 その蟲 なんていう名前なの? 86 00:08:53,120 --> 00:08:57,250 闇のような姿のものは トコヤミという 87 00:08:57,670 --> 00:09:01,500 光を放つのは トコヤミに棲む 別の蟲のようだが― 88 00:09:01,750 --> 00:09:04,130 そいつに名があるかは 知らない 89 00:09:04,420 --> 00:09:07,970 私は“銀蟲(ぎんこ)”と呼んでいる 90 00:09:13,390 --> 00:09:14,220 (ヨキ)これは? 91 00:09:15,560 --> 00:09:16,640 食えんよ 92 00:09:16,770 --> 00:09:18,060 (ヨキ)じゃ これ 93 00:09:18,190 --> 00:09:19,480 かじってみりゃいい 94 00:09:20,600 --> 00:09:22,400 のみ込むなよ 95 00:09:22,610 --> 00:09:24,690 かっ 辛っ! ぶへっ べっ 96 00:09:25,150 --> 00:09:27,240 あっ… なんだこれ 97 00:09:27,360 --> 00:09:28,240 (ぬい)ふっ 98 00:09:28,610 --> 00:09:29,610 (ヨキ)ぺっ ぶへっ… 99 00:09:29,740 --> 00:09:33,700 (ぬい)死にゃあしないよ そうしてりゃあ 腹も丈夫になる 100 00:09:33,830 --> 00:09:35,660 ひでえ… (ぬい)ん? 101 00:09:36,370 --> 00:09:39,500 (ヨキ)わ… ダマになってる 102 00:09:42,170 --> 00:09:44,340 (ぬい)フーッ 103 00:09:50,220 --> 00:09:51,430 散らしたの? 104 00:09:51,550 --> 00:09:53,680 すぐまた たまるがな 105 00:09:53,800 --> 00:09:56,390 私が山を歩くと いつもこうだ 106 00:09:56,520 --> 00:09:58,180 ねえ 俺にもできる? 107 00:09:58,310 --> 00:10:00,390 おもしろ半分に やるもんじゃないぞ 108 00:10:00,810 --> 00:10:02,150 (ヨキ)分かってる 109 00:10:02,270 --> 00:10:04,400 (ぬい)少々 クセがきついぞ 110 00:10:07,530 --> 00:10:10,650 (ヨキのせき込み) 111 00:10:11,240 --> 00:10:15,660 (ぬいの笑い声) 112 00:10:20,210 --> 00:10:21,670 (ヨキ)ぬい! 113 00:10:22,330 --> 00:10:23,960 明かり つけようよ 114 00:10:24,080 --> 00:10:25,420 (ぬい)ああ すまない 115 00:10:28,630 --> 00:10:32,260 私の目は 夜目が利くのでな つい 116 00:10:32,840 --> 00:10:34,390 銀蟲のせい? 117 00:10:34,510 --> 00:10:37,600 (ぬい)たぶんな なに 便利なもんだ 118 00:10:41,480 --> 00:10:43,060 なあ ヨキ 119 00:10:43,520 --> 00:10:46,440 夜 山を1人で歩いているとな― 120 00:10:47,190 --> 00:10:51,780 さっきまで道を照らしていた月が 急に見えなくなったり― 121 00:10:51,900 --> 00:10:56,740 星が消えたりして 方向が 分からなくなる時がある 122 00:10:58,080 --> 00:11:00,540 それは 普通にもあることだが― 123 00:11:01,210 --> 00:11:06,540 さらに自分の名前や 過去のことも 思い出せなくなってるようなら― 124 00:11:06,670 --> 00:11:10,010 それはトコヤミが そばに来ているためだ 125 00:11:10,460 --> 00:11:14,090 どうにか思い出せれば 抜けられるという 126 00:11:14,890 --> 00:11:17,050 (ヨキ)どうしても 思い出せない時は? 127 00:11:17,180 --> 00:11:18,260 (ぬい)なんでもいい 128 00:11:18,390 --> 00:11:21,020 すぐ思い付く名を 付ければいいそうだ 129 00:11:21,140 --> 00:11:22,680 (ヨキ)そんなんでいいの? 130 00:11:22,810 --> 00:11:26,690 (ぬい)その代わり 前の名だったころのことは― 131 00:11:26,810 --> 00:11:29,270 思い出せなくなるそうだがね 132 00:11:33,280 --> 00:11:34,860 (ヨキ)ねえ (ぬい)ん? 133 00:11:34,990 --> 00:11:37,410 (ヨキ)どうして ぬいが ここにいるのか― 134 00:11:38,030 --> 00:11:39,200 聞いていい? 135 00:11:41,370 --> 00:11:43,500 ああ 構わないよ 136 00:11:45,370 --> 00:11:49,340 この山の先には 私の故郷がある 137 00:11:50,170 --> 00:11:53,720 閉ざされているが 美しい里だ 138 00:11:54,840 --> 00:11:58,600 私には生来 蟲を寄せる性質があり― 139 00:11:58,720 --> 00:12:03,480 ひとつところに とどまれず 蟲を払いながら里を巡る― 140 00:12:03,600 --> 00:12:05,520 蟲師(むしし)をして 旅をしていた 141 00:12:07,100 --> 00:12:10,360 それでも足しげく 私は里へ戻った 142 00:12:10,900 --> 00:12:12,690 親や友人― 143 00:12:12,820 --> 00:12:16,700 そして何より 夫と子どもに会うために 144 00:12:17,240 --> 00:12:18,070 だが… 145 00:12:19,070 --> 00:12:25,580 ある時 夫と子 そして 父や友人を含む多くの者が― 146 00:12:25,710 --> 00:12:29,000 山へ入ったきり戻らないと 聞かされた 147 00:12:29,960 --> 00:12:33,090 私は山中を捜し回ったあげく― 148 00:12:33,210 --> 00:12:36,590 この池にいるのが トコヤミだと気づいた 149 00:12:38,390 --> 00:12:41,180 トコヤミにとらわれたら どうなるのか― 150 00:12:41,310 --> 00:12:45,850 どうすればいいのかは ほかの蟲師より 伝え聞いていた 151 00:12:46,600 --> 00:12:48,150 それで― 152 00:12:48,690 --> 00:12:51,980 彼らはきっとまだ さまよっているのだと― 153 00:12:52,650 --> 00:12:56,360 諦めきれずに ここにいるのさ 154 00:12:59,410 --> 00:13:01,490 どれくらいになるの? 155 00:13:02,120 --> 00:13:04,450 (ぬい)6年になるかね 156 00:13:04,700 --> 00:13:06,250 ずっと1人で… 157 00:13:08,170 --> 00:13:12,750 その人たちさ ぬいと 同じ姿になってるのかな 158 00:13:13,000 --> 00:13:15,420 そうだな きっと 159 00:13:15,550 --> 00:13:18,470 俺も捜すの手伝うよ いいだろ? 160 00:13:18,590 --> 00:13:20,340 だからここに… (ぬい)だめだ! 161 00:13:21,890 --> 00:13:24,350 どうして… 何がいけないの? 162 00:13:26,810 --> 00:13:30,480 これは 私だけでやりたい 163 00:13:31,440 --> 00:13:32,860 それだけだ 164 00:13:33,230 --> 00:13:36,240 ここにいるための 口実にするんじゃないよ 165 00:13:37,440 --> 00:13:39,360 それ以上 言ったら― 166 00:13:39,490 --> 00:13:41,530 すぐにでも追ん出すよ 167 00:14:07,390 --> 00:14:09,270 ぬいは 何か隠してる 168 00:14:09,390 --> 00:14:11,940 俺がいちゃ 困る理由が 何かあるんだ 169 00:14:12,860 --> 00:14:14,940 出てこい トコヤミ 銀蟲… 170 00:14:27,910 --> 00:14:29,080 ハッ… 171 00:14:33,710 --> 00:14:34,840 んっ… 172 00:14:39,260 --> 00:14:41,340 (ヨキ)なんだ あの魚… 173 00:14:41,470 --> 00:14:44,300 残った方の目が潰れて… 174 00:14:55,230 --> 00:14:56,610 消えた… 175 00:14:56,730 --> 00:14:58,070 (ぬい)ヨキッ 176 00:14:58,610 --> 00:15:01,860 何してんだい 光を浴びるのは よくないと… 177 00:15:01,990 --> 00:15:05,070 ぬい! 片目の魚しか いないのは― 178 00:15:05,200 --> 00:15:07,530 両目がなくなったら 消えちゃうからなんだ 179 00:15:08,580 --> 00:15:10,160 ねえ 知ってたの? 180 00:15:12,290 --> 00:15:14,040 (ぬい)消えるのではない 181 00:15:14,210 --> 00:15:18,380 銀蟲の放つ光が 生き物を トコヤミに変えるのだ 182 00:15:18,500 --> 00:15:20,050 そんなの一緒だよ! 183 00:15:20,170 --> 00:15:22,670 どうして 知ってて そのままにしておいたの? 184 00:15:22,970 --> 00:15:24,510 蟲師だったんだろ? 185 00:15:24,640 --> 00:15:27,180 こんな恐ろしい蟲 どうして生かしておくんだよ 186 00:15:28,890 --> 00:15:33,020 恐れや怒りに 目を くらまされるな 187 00:15:33,140 --> 00:15:38,150 皆 ただ それぞれが あるように あるだけ 188 00:15:38,690 --> 00:15:40,820 逃れられるモノからは― 189 00:15:40,940 --> 00:15:44,150 知恵ある われわれが 逃れればいい 190 00:15:44,780 --> 00:15:48,330 蟲師とはずっと はるか古来から― 191 00:15:48,450 --> 00:15:51,620 そのすべを 探してきた者たちだ 192 00:15:52,330 --> 00:15:55,710 私も銀蟲の記録を取り続けたよ 193 00:15:55,830 --> 00:15:59,380 そして魚の行く末に 気づいた時には― 194 00:15:59,500 --> 00:16:03,220 私も もう光を浴びすぎていた 195 00:16:03,920 --> 00:16:06,890 片目の魚を池から離し― 196 00:16:07,010 --> 00:16:10,810 光を浴びぬよう 繰り返し 試しもした 197 00:16:11,140 --> 00:16:12,600 だが… 198 00:16:12,930 --> 00:16:15,890 一度 白化の始まった 魚たちは― 199 00:16:16,310 --> 00:16:21,360 多少の遅れは見られても いずれは両目を失い― 200 00:16:21,480 --> 00:16:23,110 トコヤミとなった 201 00:16:23,740 --> 00:16:24,990 そんな… 202 00:16:25,240 --> 00:16:26,450 それじゃ ぬい… 203 00:16:26,780 --> 00:16:30,370 それでも 夫や子らが トコヤミになってしまったと― 204 00:16:30,490 --> 00:16:32,450 認めたくはなかった 205 00:16:32,580 --> 00:16:36,960 光を浴びぬようにして 生き長らえ 捜し歩いた 206 00:16:39,040 --> 00:16:41,670 けど さすがにいつからか― 207 00:16:42,460 --> 00:16:47,220 すべては ここにあると 悟ってしまった 208 00:16:47,970 --> 00:16:50,550 もう全部 手遅れなんだ 209 00:16:50,680 --> 00:16:54,430 ヨキ 分かったら お前はもう 出ておゆき 210 00:16:54,560 --> 00:16:55,930 んっ やだ! 211 00:16:56,060 --> 00:16:58,560 きっと なんとかなるよ ぬいも ここを出よう 212 00:16:58,690 --> 00:17:00,150 (ぬい)バカ言うんじゃないよ (ヨキ)ハッ…! 213 00:17:02,190 --> 00:17:04,230 (ぬい) もう どうにもならないし― 214 00:17:04,360 --> 00:17:07,650 ずっと どうにもならなくていいと 思ってきたのに― 215 00:17:08,360 --> 00:17:11,160 お前がいると つらいばかりだ 216 00:17:16,540 --> 00:17:18,670 頼むから もう行ってくれ 217 00:17:19,000 --> 00:17:21,920 お前なら 旅の暮らしもできるだろう 218 00:17:22,540 --> 00:17:26,590 愛する故郷のないことは きっとお前には 幸運だ 219 00:17:26,720 --> 00:17:29,510 いやだ! 俺の故郷ならここだ 220 00:17:29,630 --> 00:17:31,430 一番 長くいた土地だ 221 00:17:31,550 --> 00:17:36,310 (ぬい)違う ここは 私とトコヤミたちの場所 222 00:17:36,430 --> 00:17:39,270 お前のいていい場所じゃない 223 00:18:08,880 --> 00:18:10,680 これでもう― 224 00:18:11,090 --> 00:18:13,050 いいよな 225 00:18:24,520 --> 00:18:26,820 (ヨキ)池…? ぬい! 226 00:18:28,530 --> 00:18:31,490 行っちゃ いやだ 行っちゃ やだ! 227 00:18:36,280 --> 00:18:37,290 ぬい? 228 00:18:37,950 --> 00:18:38,950 待ってよ 229 00:18:40,250 --> 00:18:41,210 行くなよ 230 00:18:41,620 --> 00:18:43,130 ぬい! 231 00:18:49,590 --> 00:18:51,470 (ぬい)なんてこと 232 00:18:57,140 --> 00:18:58,930 (ヨキ)ぬい? ぬいなんだな? 233 00:18:59,720 --> 00:19:00,810 (ぬい)戻るんだ 234 00:19:01,140 --> 00:19:02,100 ぬいは? 235 00:19:02,440 --> 00:19:05,060 (ぬい)私は もう… 236 00:19:06,230 --> 00:19:08,650 もうじき 銀蟲が目を覚ます 237 00:19:08,780 --> 00:19:10,820 できる限り 遠くへ行くんだ 238 00:19:11,610 --> 00:19:13,070 さっ 早くおし 239 00:19:15,240 --> 00:19:17,950 (ヨキ)ぬいの手 温度がない 240 00:19:18,580 --> 00:19:20,790 冷たくも温かくもない 241 00:19:21,450 --> 00:19:24,000 (ぬい)お前の手は まだ温かいよ 242 00:19:24,920 --> 00:19:28,500 手だけじゃあない 私にもう 目玉はないが― 243 00:19:29,000 --> 00:19:34,010 お前の目玉がこちらを見ると まるで 日の当たるように 温かだ 244 00:19:34,930 --> 00:19:40,270 あの ほの暗い池の傍らで それが どんなに懐かしかったか… 245 00:19:40,390 --> 00:19:44,020 さあ ヨキ この先は 片目を閉じて おゆき 246 00:19:44,940 --> 00:19:47,310 1つは 銀蟲にくれてやれ 247 00:19:47,440 --> 00:19:50,030 トコヤミから抜け出すために 248 00:19:50,320 --> 00:19:53,280 (ヨキ)ふっ… うう… だが もう1つは 固く閉じろ 249 00:19:53,950 --> 00:19:57,030 また日の光を見るために 250 00:19:57,620 --> 00:19:59,990 あっ… いけない 251 00:20:00,290 --> 00:20:02,040 銀蟲が目を覚ます 252 00:20:06,710 --> 00:20:08,340 (ヨキ)あ… ぬ…! 253 00:20:18,600 --> 00:20:21,430 あれが 銀蟲… 254 00:20:21,560 --> 00:20:23,230 常闇の底の…― 255 00:20:23,850 --> 00:20:25,640 目のない魚… 256 00:20:27,980 --> 00:20:32,070 (ぬい)恐れや怒りに 目を くらまされるな 257 00:20:32,190 --> 00:20:37,070 皆 ただ それぞれが あるように あるだけ 258 00:20:47,620 --> 00:20:48,920 (ヨキ)土のにおいがする 259 00:20:58,890 --> 00:21:00,850 また 月… 260 00:21:03,720 --> 00:21:05,600 これで何回目だっけ 261 00:21:07,100 --> 00:21:10,230 分からなくなった… ハッ! 262 00:21:11,650 --> 00:21:13,530 俺の名前… 263 00:21:14,030 --> 00:21:18,240 こういう時 どうすれば いいんだったっけ… 264 00:21:24,160 --> 00:21:26,120 (ヨキ)その翌日― 265 00:21:31,210 --> 00:21:34,300 右目は日の光を見ていた 266 00:21:37,970 --> 00:21:38,800 (男)ん? 267 00:21:39,470 --> 00:21:42,390 なんだ おめえ 見ねえガキだな 268 00:21:42,510 --> 00:21:43,810 お おい! 269 00:21:49,270 --> 00:21:50,560 おう 戻ったぞ 270 00:21:51,060 --> 00:21:53,060 起きてて平気か? 無理すんな 271 00:21:53,190 --> 00:21:54,020 (ヨキ)うん 272 00:21:54,150 --> 00:21:55,280 (男)で どうだ? 273 00:21:55,360 --> 00:21:57,780 名前以外に 何か 思い出せたか? 274 00:21:59,450 --> 00:22:00,280 いいや 275 00:22:00,530 --> 00:22:03,780 まあいいさ なんなら ずっと いてもいいぞ 276 00:22:03,910 --> 00:22:06,790 ともかく 明日 村長のとこ 顔 出しとこう 277 00:22:07,950 --> 00:22:08,790 (ヨキ)ただ― 278 00:22:12,750 --> 00:22:18,340 左目の穴は 日の下においても 闇をすくいとったかのように暗く― 279 00:22:19,090 --> 00:22:22,340 それは奇妙なものを 寄せつけた 280 00:22:24,220 --> 00:22:26,470 このまま ここに寄せ続けたら― 281 00:22:26,600 --> 00:22:29,430 きっと あれらは災いを呼ぶ 282 00:22:29,890 --> 00:22:31,850 そんな気がする… 283 00:22:33,190 --> 00:22:36,070 (男)おい ギンコ 飯にするぞ 284 00:22:37,480 --> 00:22:38,570 あれ… 285 00:22:39,190 --> 00:22:41,740 ギンコ~ お~い 286 00:22:42,410 --> 00:22:44,530 どこ 行っちまったんだ 287 00:22:46,370 --> 00:22:52,370 ♪~ 288 00:23:24,280 --> 00:23:30,290 ~♪