1 00:03:00,202 --> 00:03:03,739 およそ遠しとされしもの 2 00:03:03,739 --> 00:03:06,976 下等で奇怪 見慣れた動植物とは 3 00:03:06,976 --> 00:03:10,246 まるで違うと おぼしきモノ達 4 00:03:10,246 --> 00:03:12,848 それら異形の一群を 5 00:03:12,848 --> 00:03:15,718 ヒトは古くから畏れを含み 6 00:03:15,718 --> 00:03:20,118 いつしか総じて「蟲」と呼んだ 7 00:04:44,173 --> 00:04:46,173 誰か来る 8 00:04:50,446 --> 00:04:52,746 何か妙なやつが来る 9 00:04:55,217 --> 00:04:57,317 誰か来る 10 00:05:00,089 --> 00:05:03,659 何か 今いたな 11 00:05:03,659 --> 00:05:05,659 猿かね 12 00:05:08,197 --> 00:05:12,697 しかし緑が異様なくらい 鮮やかな所だな 13 00:05:14,770 --> 00:05:16,770 ここは 14 00:05:29,284 --> 00:05:34,256 生来 緑や水 15 00:05:34,256 --> 00:05:37,993 生命を呼ぶ体質とでもいうのか 16 00:05:37,993 --> 00:05:41,030 そういうものを持つ人間が 17 00:05:41,030 --> 00:05:43,030 まれにいる 18 00:05:50,939 --> 00:05:55,711 おー 左手でも 文字なら大丈夫だな 19 00:05:55,711 --> 00:05:59,314 えーっと 日差しも徐々に和らぎ 20 00:05:59,314 --> 00:06:02,217 木々は萌え 鳥も… 21 00:06:02,217 --> 00:06:04,586 元々 左が利き手だし 22 00:06:04,586 --> 00:06:08,023 書きやすいな 23 00:06:08,023 --> 00:06:10,223 ん? 24 00:06:17,366 --> 00:06:20,269 しまった そうだったか 25 00:06:20,269 --> 00:06:22,938 これらの文字は元々は絵なのだ 26 00:06:22,938 --> 00:06:25,207 象形文字というやつ 27 00:06:25,207 --> 00:06:27,507 これらは これでいいとして 28 00:06:35,684 --> 00:06:37,784 おい こら 鳥 29 00:06:40,189 --> 00:06:42,189 何だ こりゃ 30 00:06:44,493 --> 00:06:47,396 勝手に外に出るんじゃない 31 00:06:47,396 --> 00:06:49,798 墨? 32 00:06:49,798 --> 00:06:52,634 あっ 33 00:06:52,634 --> 00:06:55,337 み… 見た? ああ 34 00:06:55,337 --> 00:06:59,508 そりゃもう バッチリと 君 五百蔵しんら君? 35 00:06:59,508 --> 00:07:03,212 えっ?はあ 書簡 読んでもらえたかな 36 00:07:03,212 --> 00:07:06,014 あ じゃあ あなたが 37 00:07:06,014 --> 00:07:11,353 蟲師のギンコ… さん 38 00:07:11,353 --> 00:07:14,356 お断りの手紙を書いていたんです 39 00:07:14,356 --> 00:07:18,694 これまでも何度か こういった 調査の申し入れは ありましたが 40 00:07:18,694 --> 00:07:21,230 すべて断ってきました 41 00:07:21,230 --> 00:07:24,099 祖母の遺言なんです 42 00:07:24,099 --> 00:07:27,069 僕の この性質を 広めてはならない 43 00:07:27,069 --> 00:07:30,873 そして できる限り 眠らせておくこと 44 00:07:30,873 --> 00:07:35,377 ご覧になったように昔から僕が ものの形を かたどると 45 00:07:35,377 --> 00:07:40,215 それは既存の生物でなくとも 生命を持つんです 46 00:07:40,215 --> 00:07:45,721 でも 「新たな生物を生み出すなど 人のしてよい所業ではない」 47 00:07:45,721 --> 00:07:49,525 「八百万の神々の 怒りを受ける」と言って 48 00:07:49,525 --> 00:07:53,729 左手で ものを描くことを 祖母に禁じられました 49 00:07:53,729 --> 00:07:56,598 あ 右手で描くと 何もないんですけど 50 00:07:56,598 --> 00:07:59,301 こないだ 指 ケガしちゃいまして 51 00:07:59,301 --> 00:08:01,937 それで さっきのようなことに 52 00:08:01,937 --> 00:08:05,440 なるほど あれは驚異の造形物だった 53 00:08:05,440 --> 00:08:09,378 僕も驚いた あんなものまで動き出すとは 54 00:08:09,378 --> 00:08:13,182 今までも散々 妙なもの 動き出したりしたけど 55 00:08:13,182 --> 00:08:15,484 へえ 例えば? 56 00:08:15,484 --> 00:08:18,384 コウモリ傘とか孫の手とか 57 00:08:20,322 --> 00:08:23,525 はっ 調査は お断りします ちっ 58 00:08:23,525 --> 00:08:27,095 ま でも そのまま すぐ帰れとは 言いませんが 59 00:08:27,095 --> 00:08:29,998 こんな山奥まで入ってくるのは 大変だったでしょう 60 00:08:29,998 --> 00:08:32,034 今晩は ゆっくりしてってください 61 00:08:32,034 --> 00:08:34,970 それに 実は人に会うの久しぶりで 62 00:08:34,970 --> 00:08:38,070 世間話なら ぜひとも 付き合ってほしいんですよ 63 00:08:40,142 --> 00:08:42,578 どうぞ 64 00:08:42,578 --> 00:08:44,513 僕が漬けた果実酒です 65 00:08:44,513 --> 00:08:48,116 普段は ここで1人で やってるんだけど 66 00:08:48,116 --> 00:08:50,719 へーえ 67 00:08:50,719 --> 00:08:53,755 こんな人けのない所に 1人で住んでんのか 68 00:08:53,755 --> 00:08:57,492 4年前に ばあちゃんが 死んでからは 69 00:08:57,492 --> 00:09:02,931 ばあちゃんが この家を 出てはいけないと言ったから 70 00:09:02,931 --> 00:09:06,368 確かに もし こいつが里に住み 71 00:09:06,368 --> 00:09:09,872 人前で うっかり 何かを生み出してしまったら 72 00:09:09,872 --> 00:09:12,572 こんなふうに平穏には 生かしてもらえんだろう 73 00:09:14,710 --> 00:09:19,014 その性質は あまりに 人智を離れてる 74 00:09:19,014 --> 00:09:22,885 ばあさんってのは なかなか 賢明な人だったみたいだな 75 00:09:22,885 --> 00:09:27,985 うん いつも僕のこと 考えてくれてた 76 00:09:34,963 --> 00:09:38,166 だけど… 77 00:09:38,166 --> 00:09:40,936 これ 見てくれる? 78 00:09:40,936 --> 00:09:43,839 ん お前が描いたのか? 79 00:09:43,839 --> 00:09:46,141 うん 1人になると 80 00:09:46,141 --> 00:09:49,912 時々そういうのが どこからか出てくるんだ 81 00:09:49,912 --> 00:09:54,316 いつも 一体 何なんだろうと 思っていた 82 00:09:54,316 --> 00:09:57,219 僕は それらを見るのが楽しくて 83 00:09:57,219 --> 00:10:00,222 写生しては ばあちゃんに見せてた 84 00:10:00,222 --> 00:10:02,357 けど 85 00:10:02,357 --> 00:10:07,162 お前は なぜ こんな幻ばかり 見ているのか 86 00:10:07,162 --> 00:10:11,033 きっと あんな おそろしい力が あるせいだ 87 00:10:11,033 --> 00:10:13,368 こんな幻は忘れておしまい 88 00:10:13,368 --> 00:10:16,004 おそろしい おそろしい 89 00:10:16,004 --> 00:10:19,007 哀れな子 90 00:10:19,007 --> 00:10:23,211 そう言うばかりで 僕の見ているもののことを 91 00:10:23,211 --> 00:10:25,711 亡くなるまで 信じてはくれなかった 92 00:10:27,749 --> 00:10:30,285 だから僕自身ですら 93 00:10:30,285 --> 00:10:33,188 本当は自分は どこか おかしいのかと 94 00:10:33,188 --> 00:10:35,188 時々 思ったりした 95 00:10:38,760 --> 00:10:42,960 ばあちゃんと僕は そこだけは わかりあえなかった 96 00:10:45,200 --> 00:10:47,135 それは 97 00:10:47,135 --> 00:10:50,339 これらが皆 蟲だからだ 98 00:10:50,339 --> 00:10:52,641 蟲? ああ 99 00:10:52,641 --> 00:10:56,511 昆蟲や爬蟲類とは 一線を引く蟲だ 100 00:10:56,511 --> 00:10:58,447 大ざっぱに言うと こうだ 101 00:10:58,447 --> 00:11:03,051 こっちの4本が動物で 親指が植物だとする 102 00:11:03,051 --> 00:11:06,655 と 人はここ 心臓から一番遠い中指の先端に 103 00:11:06,655 --> 00:11:08,590 いるってことになるだろ 104 00:11:08,590 --> 00:11:13,528 手の内側にいくほど 下等な生物になっていく 105 00:11:13,528 --> 00:11:17,165 たどっていくと手首辺りで 血管が1つになってるだろ 106 00:11:17,165 --> 00:11:19,101 うん ここらにいるのが 107 00:11:19,101 --> 00:11:21,403 菌類や微生物だ 108 00:11:21,403 --> 00:11:25,073 この辺りまで さかのぼると 植物と動物との区別をつけるのは 109 00:11:25,073 --> 00:11:27,943 難しくなってくる 110 00:11:27,943 --> 00:11:31,279 けど まだまだ その先にいる ものたちがある 111 00:11:31,279 --> 00:11:34,016 腕をさかのぼり 112 00:11:34,016 --> 00:11:36,551 肩を通りすぎる 113 00:11:36,551 --> 00:11:38,620 そして おそらく 114 00:11:38,620 --> 00:11:40,756 ここらへんにいるものたちを 115 00:11:40,756 --> 00:11:45,327 「蟲」あるいは「みどりもの」と呼ぶ 116 00:11:45,327 --> 00:11:47,727 生命そのものに近いものたちだ 117 00:11:50,165 --> 00:11:53,969 そのものに近いだけあって 形や存在が あいまいで 118 00:11:53,969 --> 00:11:58,407 それらが見える性質と そうでない者に分かれてくる 119 00:11:58,407 --> 00:12:02,010 うん 透けてるのもいる 幽霊みたいに 120 00:12:02,010 --> 00:12:06,314 いわゆる幽霊ってやつの中にも 正体は蟲だというものもある 121 00:12:06,314 --> 00:12:09,885 人に擬態できるものもいるからな 122 00:12:09,885 --> 00:12:13,185 お前の ばあさんには それらが見えなかったんだろう 123 00:12:16,091 --> 00:12:19,728 感覚を分かちあうのは難しい 124 00:12:19,728 --> 00:12:22,697 相手の触れたことのない手触りを 125 00:12:22,697 --> 00:12:25,797 相手にそのまま伝えることは できないように 126 00:12:28,904 --> 00:12:31,606 見たことのない者と 127 00:12:31,606 --> 00:12:34,406 その世界を分かちあうのは 難しいさ 128 00:12:36,545 --> 00:12:38,780 でも ばあちゃん 129 00:12:38,780 --> 00:12:43,318 僕は そのおかしなものたちが この世界にいるってことが 130 00:12:43,318 --> 00:12:45,818 うれしくてたまらないんだよ 131 00:12:58,133 --> 00:13:01,570 カワヤは… と 132 00:13:01,570 --> 00:13:03,538 しかし だだっ広い家だな 133 00:13:03,538 --> 00:13:07,138 相当 古いし こんなとこ よく1人で 134 00:13:10,011 --> 00:13:12,914 今 何か横切ったな 135 00:13:12,914 --> 00:13:16,514 ま この家に 蟲がいないわけがないか 136 00:13:25,127 --> 00:13:29,227 どこへ へえ 蟲ピンだ 137 00:13:31,333 --> 00:13:35,670 そいつで蟲を串刺しにして 飾るのか 138 00:13:35,670 --> 00:13:38,607 卑しい蟲師め 139 00:13:38,607 --> 00:13:42,210 卑しい? 140 00:13:42,210 --> 00:13:44,410 蟲に言われたかねえよ 141 00:13:47,849 --> 00:13:51,853 なっ 何だ こいつ 煙のくせに 142 00:13:51,853 --> 00:13:54,489 蟲だよ お前と同じ 143 00:13:54,489 --> 00:13:56,424 かわいいやつだろ 144 00:13:56,424 --> 00:13:59,227 同胞には巻きついて離れない 145 00:13:59,227 --> 00:14:01,227 すぐ消えるけどな 146 00:14:05,033 --> 00:14:08,403 あっ ほおー 147 00:14:08,403 --> 00:14:11,306 半欠けだが きれいな色の さかずきだな 148 00:14:11,306 --> 00:14:13,642 お前も これで月見酒でも してたのか? 149 00:14:13,642 --> 00:14:17,646 うるさい 返せ ずうずうしく 人の家 上がり込みやがって 150 00:14:17,646 --> 00:14:19,781 とっとと出ていけ 151 00:14:19,781 --> 00:14:22,117 蟲のくせに偉そうなやつだな 152 00:14:22,117 --> 00:14:24,386 人の家って お前の家かよ 153 00:14:24,386 --> 00:14:27,155 ああ そうだ 154 00:14:27,155 --> 00:14:30,358 はー なるほど 155 00:14:30,358 --> 00:14:33,929 そういうことか お前は元々 人だったのが 156 00:14:33,929 --> 00:14:37,199 蟲の性質を持った たぐいのものだろ 157 00:14:37,199 --> 00:14:40,635 蟲として不完全だから そんなに弱いんだな 158 00:14:40,635 --> 00:14:42,637 緑の半欠けのさかずき 159 00:14:42,637 --> 00:14:45,840 これで お前が そうなったのも 見当がつく 160 00:14:45,840 --> 00:14:48,543 お前が誰かってこともな 161 00:14:48,543 --> 00:14:50,579 お前の名は 162 00:14:50,579 --> 00:14:52,847 廉子だ 163 00:14:52,847 --> 00:14:58,086 ここへ来る前に しんらのことは 調べさせてもらったからな 164 00:14:58,086 --> 00:15:02,591 俺に このさかずきを 元に戻す案があるが 165 00:15:02,591 --> 00:15:05,260 聞いてみるか? 166 00:15:05,260 --> 00:15:07,260 廉子ばあさん 167 00:15:10,999 --> 00:15:14,970 ばあちゃんが まだ この家にいる? 168 00:15:14,970 --> 00:15:19,040 と言っても むろん 人としてではないがな 169 00:15:19,040 --> 00:15:21,740 人と蟲の中間のものとしてだ 170 00:15:23,845 --> 00:15:26,245 どういう… こと? 171 00:15:28,316 --> 00:15:31,786 蟲の宴という現象がある 172 00:15:31,786 --> 00:15:37,592 時に蟲が人に擬態し 宴に客を招くってもんだ 173 00:15:37,592 --> 00:15:40,228 そこで人は さかずきを手渡される 174 00:15:40,228 --> 00:15:42,464 そして注がれた酒を飲みほすと 175 00:15:42,464 --> 00:15:46,167 生物としての法則を失う 176 00:15:46,167 --> 00:15:49,967 つまり蟲の… あちらの世界の住人となる 177 00:15:51,973 --> 00:15:54,676 ばあちゃんが それに? 178 00:15:54,676 --> 00:15:59,514 ああ しかし宴は 途中で中断されてしまった 179 00:15:59,514 --> 00:16:03,118 おかげで お前のばあさんは 蟲にならずにすんだが 180 00:16:03,118 --> 00:16:05,654 家に戻った ばあさんは もう 181 00:16:05,654 --> 00:16:08,957 以前の ばあさんでは なくなっていた 182 00:16:08,957 --> 00:16:12,827 半分を あちら側に 置いてきてしまったんだ 183 00:16:12,827 --> 00:16:16,765 しんら お前の知ってる ばあさんは 184 00:16:16,765 --> 00:16:19,601 半分でしかなかったんだよ 185 00:16:19,601 --> 00:16:22,570 けど その もう半分も同じように 186 00:16:22,570 --> 00:16:26,470 お前が生まれた日から ずっと この家の中で見守ってたんだ 187 00:16:29,311 --> 00:16:33,715 そんな 全然 気付かなかった 188 00:16:33,715 --> 00:16:37,886 彼女は完全な蟲ではないから お前には見えんのだ 189 00:16:37,886 --> 00:16:41,289 だが お前の力を使えば 190 00:16:41,289 --> 00:16:44,726 ばあさんを完全な蟲に することができる 191 00:16:44,726 --> 00:16:50,298 そうすれば もう決して こちら側に戻ることはできないが 192 00:16:50,298 --> 00:16:53,201 どうする? 193 00:16:53,201 --> 00:16:56,604 本当か? 194 00:16:56,604 --> 00:16:59,974 本当に そうすれば 195 00:16:59,974 --> 00:17:02,674 しんらに会うことができるのか? 196 00:17:05,213 --> 00:17:09,084 ばあさんの迷いは そう長くはなかったよ 197 00:17:09,084 --> 00:17:12,287 力を貸してやれるな? 198 00:17:12,287 --> 00:17:14,287 しんら 199 00:17:18,626 --> 00:17:22,397 描くとこ見ちゃだめだよ わかったって 200 00:17:22,397 --> 00:17:25,967 じゃあ しんら さっきした ばあさんの話の宴の中で 201 00:17:25,967 --> 00:17:28,203 ばあさんが蟲にもらった さかずきを 202 00:17:28,203 --> 00:17:31,106 左手で描いてみてくれ え でも 203 00:17:31,106 --> 00:17:33,975 どんな色とか形とか聞いてないよ 204 00:17:33,975 --> 00:17:37,846 いいんだ それで 想像で描いてみてくれ 205 00:17:37,846 --> 00:17:41,216 想像… 描けるはずだ 206 00:17:41,216 --> 00:17:43,518 ばあさんが受けた さかずきの半分は 207 00:17:43,518 --> 00:17:46,818 子から孫へと体内に 受け継がれていくものだから 208 00:17:48,857 --> 00:17:52,757 見るなって言われたら 見んわけにはいかんだろ やっぱり 209 00:18:00,468 --> 00:18:03,972 緑… のような気がする 210 00:18:03,972 --> 00:18:07,308 この国の緑のような 211 00:18:07,308 --> 00:18:09,308 濃くて鮮やかな 212 00:18:11,813 --> 00:18:15,817 それで平たくて 丸い形 213 00:18:15,817 --> 00:18:17,817 ご名答! 214 00:18:22,056 --> 00:18:25,056 すげえ あ 割れる 215 00:18:29,564 --> 00:18:31,564 廉子 216 00:18:35,370 --> 00:18:38,673 そこにいるの?ばあちゃん 217 00:18:38,673 --> 00:18:40,673 合わせるぞ 218 00:18:49,651 --> 00:18:52,120 何だ これ 219 00:18:52,120 --> 00:18:54,520 さあ 飲んでみろ 廉子 220 00:19:18,079 --> 00:19:20,079 ばあちゃん? 221 00:19:22,484 --> 00:19:25,386 何 照れてんだよ お前ら いや だって 222 00:19:25,386 --> 00:19:27,856 思ってたより若かったっつーか 223 00:19:27,856 --> 00:19:30,758 ほら お前もいっとけ 祝いの酒だ 224 00:19:30,758 --> 00:19:34,562 うん 225 00:19:34,562 --> 00:19:36,498 ん? 226 00:19:36,498 --> 00:19:40,198 これは… ばあちゃんの記憶だ 227 00:19:43,238 --> 00:19:45,638 急がないと日が落ちるな 228 00:19:50,044 --> 00:19:52,044 蟲… 229 00:20:14,202 --> 00:20:16,202 列から出られない 230 00:20:41,829 --> 00:20:44,132 さあ 飲みなされ 231 00:20:44,132 --> 00:20:47,669 五百蔵廉子どの 232 00:20:47,669 --> 00:20:52,006 これは そなたのための宴なのだ 233 00:20:52,006 --> 00:20:54,006 なんて かぐわしい 234 00:21:00,281 --> 00:21:02,817 ひと口 飲むほどに 235 00:21:02,817 --> 00:21:07,589 ものを考える力を失わせる 236 00:21:07,589 --> 00:21:10,491 お気に召されたかの 237 00:21:10,491 --> 00:21:13,061 それは光酒という生き物 238 00:21:13,061 --> 00:21:17,231 普段は真の闇の底で 巨大な光脈を作り 239 00:21:17,231 --> 00:21:19,767 泳ぎまわっておるものだが 240 00:21:19,767 --> 00:21:23,171 それを抽出することのできる そのさかずきを 241 00:21:23,171 --> 00:21:26,774 特別に そなたのために作ったのだ 242 00:21:26,774 --> 00:21:31,546 それは この世界に 生命が生まれた時から流れ出で 243 00:21:31,546 --> 00:21:35,516 それが近づいた土地は 草青み 命芽吹き 244 00:21:35,516 --> 00:21:38,453 遠ざかれば枯渇する 245 00:21:38,453 --> 00:21:40,588 つまり命の水 246 00:21:40,588 --> 00:21:44,258 この世に これより うまいものはない 247 00:21:44,258 --> 00:21:48,463 さかずきを交わし 最高のもてなしをしたのには 248 00:21:48,463 --> 00:21:52,066 そなたに頼みたいことが あるからだ 249 00:21:52,066 --> 00:21:56,971 これより31年後に誕生する そなたの孫は 250 00:21:56,971 --> 00:22:03,011 生物世界を変えるほどの 特異な性質を持って生まれてくる 251 00:22:03,011 --> 00:22:07,715 そなたには生涯その目付けを してほしいのだ 252 00:22:07,715 --> 00:22:10,118 私の孫 253 00:22:10,118 --> 00:22:12,787 それが その子供と この世界にとって 254 00:22:12,787 --> 00:22:15,590 幸福なことなのだ 255 00:22:15,590 --> 00:22:20,428 それを望まれるなら そなたに力を与えよう 256 00:22:20,428 --> 00:22:24,628 さあ 残りの酒を すべて飲みほされよ 257 00:22:49,424 --> 00:22:51,424 乾いてる 258 00:22:56,798 --> 00:22:59,500 帰らなきゃ 259 00:22:59,500 --> 00:23:01,500 はっ 260 00:23:22,724 --> 00:23:25,626 しんら? あれ 261 00:23:25,626 --> 00:23:27,826 どうしたんだろ 僕 262 00:23:29,630 --> 00:23:33,167 しんらの涙は止まらなかった 263 00:23:33,167 --> 00:23:35,103 廉子の感情 264 00:23:35,103 --> 00:23:39,540 感覚が つぶさに 流れ込んできたのだという 265 00:23:39,540 --> 00:23:42,443 ただ ただ 266 00:23:42,443 --> 00:23:45,146 さかずきが割れてしまったことが 267 00:23:45,146 --> 00:23:48,916 悲しくて仕方なかったのだという 268 00:23:48,916 --> 00:23:52,820 そして それに感応するように 269 00:23:52,820 --> 00:23:56,791 光酒も さかずきから わき続けた 270 00:23:56,791 --> 00:24:00,191 とめどなく流れ続けた 271 00:24:06,334 --> 00:24:08,334 もう行くのか? 272 00:24:12,473 --> 00:24:15,243 すごいな 一面のコケだ 273 00:24:15,243 --> 00:24:20,414 ああ 昨晩 光酒が しみ込んだ一帯だな 274 00:24:20,414 --> 00:24:23,351 しんらの調査とやらは あきらめるのか? 275 00:24:23,351 --> 00:24:29,957 そーなあ 面倒な お目付け役が 復活しちまったからな 276 00:24:29,957 --> 00:24:33,528 調査抜きなら近くへ来た時 寄るといい 277 00:24:33,528 --> 00:24:36,164 仕方がないとはいえ こんな所に1人では 278 00:24:36,164 --> 00:24:39,834 しんらも寂しかろう 279 00:24:39,834 --> 00:24:43,371 別に その必要は ないんじゃないか 280 00:24:43,371 --> 00:24:47,071 これからは いつでも あんたが そばにいるんだから 281 00:24:51,045 --> 00:24:53,648 あれ ギンコは? 282 00:24:53,648 --> 00:24:57,518 もう行ったぞ 何だよ あいさつもなしに 283 00:24:57,518 --> 00:25:01,018 こっちも大した礼もしてないし 悪かったな 284 00:25:04,292 --> 00:25:08,162 いや… でも 285 00:25:08,162 --> 00:25:10,962 緑のさかずきが ないけどね 286 00:25:14,902 --> 00:25:21,676 それ以後 神の筆を持つ 少年についての新しい噂は 287 00:25:21,676 --> 00:25:23,676 ふっつりと途切れた 288 00:31:15,129 --> 00:31:18,632 およそ遠しとされしもの 289 00:31:18,632 --> 00:31:22,002 下等で奇怪 見慣れた動植物とは 290 00:31:22,002 --> 00:31:25,206 まるで違うと おぼしきモノ達 291 00:31:25,206 --> 00:31:27,775 それら異形の一群を 292 00:31:27,775 --> 00:31:30,678 ヒトは古くから畏れを含み 293 00:31:30,678 --> 00:31:34,878 いつしか総じて「蟲」と呼んだ 294 00:32:07,448 --> 00:32:10,451 おはよう スイ 295 00:32:10,451 --> 00:32:13,551 おはよう ビキ 296 00:32:23,964 --> 00:32:28,736 今日はどう?目は まだ痛む? 297 00:32:28,736 --> 00:32:32,006 ねえ ビキ ん? 298 00:32:32,006 --> 00:32:35,276 ビキには教えてあげるね 299 00:32:35,276 --> 00:32:37,778 私 知ってるの 300 00:32:37,778 --> 00:32:39,878 この病気の原因 301 00:32:42,049 --> 00:32:46,387 蟲がいるのよ 住んでるの 302 00:32:46,387 --> 00:32:49,587 ずっと私の目の中に 303 00:32:53,661 --> 00:32:56,330 スイは本家の末娘で 304 00:32:56,330 --> 00:33:01,430 半年ほど前 光が当たると 目が痛むという病を患った 305 00:33:06,106 --> 00:33:10,878 それは どこの眼医にも 原因のわからぬ奇病で 306 00:33:10,878 --> 00:33:13,380 治療法も見つからないうちに 307 00:33:13,380 --> 00:33:16,680 わずかな光も ひどく 痛がるようになっていった 308 00:33:20,954 --> 00:33:25,492 そのため より光を遮る 丈夫な蔵のある僕の家に 309 00:33:25,492 --> 00:33:28,796 1人 預けられたのだ 310 00:33:28,796 --> 00:33:32,599 それは スイのためだったのかも しれないけど 311 00:33:32,599 --> 00:33:36,799 僕には スイが ここに 捨てられていったように見えた 312 00:33:51,485 --> 00:33:56,185 まぶたの裏にね もう1つ まぶたがあるの 313 00:34:00,728 --> 00:34:05,232 そこは絶対に外の光が 届かない所で 314 00:34:05,232 --> 00:34:07,568 蟲は そこにいるのよ 315 00:34:07,568 --> 00:34:09,503 2つ目のまぶた? 316 00:34:09,503 --> 00:34:11,739 そうよ 317 00:34:11,739 --> 00:34:13,774 ビキは閉じ方 知らないの? 318 00:34:13,774 --> 00:34:15,909 じゃあ 教えたげる 319 00:34:15,909 --> 00:34:19,780 目を閉じて うん 320 00:34:19,780 --> 00:34:22,049 何か見える? 321 00:34:22,049 --> 00:34:24,451 ううん 何も 322 00:34:24,451 --> 00:34:26,451 あ でも 323 00:34:29,289 --> 00:34:35,162 何かチカチカしたものが 目の中 動いてる 324 00:34:35,162 --> 00:34:38,999 でしょ?1度まぶたを閉じても 325 00:34:38,999 --> 00:34:41,869 目は まだ そのまぶたを見ていて 326 00:34:41,869 --> 00:34:44,169 本当には閉じていないの 327 00:34:46,206 --> 00:34:51,044 だから本当の真っ暗闇が欲しい時 328 00:34:51,044 --> 00:34:53,747 そのチカチカを見ている目玉を 329 00:34:53,747 --> 00:34:57,618 もう1度 閉じるの 330 00:34:57,618 --> 00:35:00,821 そうしたら上のほうから 331 00:35:00,821 --> 00:35:03,421 本当の闇が下りてくる 332 00:35:18,639 --> 00:35:21,542 できないよ そーお? 333 00:35:21,542 --> 00:35:23,542 ビキって不器用ね 334 00:35:36,056 --> 00:35:39,656 僕たちは深い闇の中で遊ぶ 335 00:35:42,629 --> 00:35:47,067 蔵の中へ入ってすぐは 本当に何も見えないけど 336 00:35:47,067 --> 00:35:49,870 しばらくすると闇の向こうから 337 00:35:49,870 --> 00:35:52,770 ものたちが おのずと 輪郭を現してくる 338 00:35:59,213 --> 00:36:01,515 どうして見えるんだろう 339 00:36:01,515 --> 00:36:04,017 真っ暗なはずなのに 340 00:36:04,017 --> 00:36:08,255 地面の下に光の川が 流れてるからよ 341 00:36:08,255 --> 00:36:10,257 ええ? 342 00:36:10,257 --> 00:36:13,594 2つ目の まぶたを閉じると 見えるよ 343 00:36:13,594 --> 00:36:16,894 ずーっと本当の闇を見ているとね 344 00:36:18,966 --> 00:36:23,270 遠くのほうから 光の粒が見えてきて 345 00:36:23,270 --> 00:36:25,770 それが どんどん洪水になるの 346 00:36:28,008 --> 00:36:32,846 その光は よく見ると 全部 小さな蟲でね 347 00:36:32,846 --> 00:36:37,146 でも もっと近くで見ようとして 近づくと 348 00:36:39,620 --> 00:36:41,620 だめだ 349 00:36:47,828 --> 00:36:52,299 それ以上 その川には近づくな 350 00:36:52,299 --> 00:36:55,335 会ったことない知らない人よ 351 00:36:55,335 --> 00:36:59,506 片目の男の人が いつも川の向こう岸にいて 352 00:36:59,506 --> 00:37:01,475 そう言うの 353 00:37:01,475 --> 00:37:06,914 だから いつも少し遠くで 眺めているの 354 00:37:06,914 --> 00:37:10,584 僕は 355 00:37:10,584 --> 00:37:12,784 時々 ふと不安になる 356 00:37:31,004 --> 00:37:34,775 ふさがれた目で スイが見ているものたちは 357 00:37:34,775 --> 00:37:36,775 一体… 358 00:37:40,414 --> 00:37:43,014 一体 何なのだろう 359 00:37:46,887 --> 00:37:51,525 ビキ あんた いつも蔵の中に 長く いすぎだよ 360 00:37:51,525 --> 00:37:54,861 ちゃんと取り換えた眼帯は 焼いて捨てたよ 361 00:37:54,861 --> 00:37:57,661 手も食器も消毒したし 362 00:38:02,603 --> 00:38:08,809 それでも伝染しない 保証なんてないんだよ 363 00:38:08,809 --> 00:38:14,147 本家の人たちも それが怖くて スイを見放したんでしょう? 364 00:38:14,147 --> 00:38:16,750 だから僕らは 365 00:38:16,750 --> 00:38:21,054 わかってる それはそうよ 366 00:38:21,054 --> 00:38:24,391 あの子は いい子だよ とても 367 00:38:24,391 --> 00:38:26,991 母さんは こらえなきゃいけないね 368 00:38:32,499 --> 00:38:37,337 あの子が心の中まで 光を失ってしまわないように 369 00:38:37,337 --> 00:38:39,337 ついててあげるんだよ 370 00:38:42,175 --> 00:38:45,379 でも頼むから 371 00:38:45,379 --> 00:38:48,379 お前まで あの病に なってしまわないで 372 00:38:52,886 --> 00:38:55,889 本当? 373 00:38:55,889 --> 00:38:59,993 ここへ 374 00:38:59,993 --> 00:39:01,993 来てくれるの? 375 00:39:53,814 --> 00:39:57,651 何だ 今の 376 00:39:57,651 --> 00:39:59,651 まさか 377 00:40:02,122 --> 00:40:05,392 違うよ 378 00:40:05,392 --> 00:40:08,592 違うよ 母さん 379 00:40:33,553 --> 00:40:36,022 ビキ 380 00:40:36,022 --> 00:40:38,022 まだ寝てるの? 381 00:40:40,861 --> 00:40:42,861 ビキ! 382 00:40:53,440 --> 00:40:55,440 ビキ? 383 00:40:58,378 --> 00:41:00,378 ビキ? 384 00:41:03,550 --> 00:41:06,319 どうしたの? 385 00:41:06,319 --> 00:41:09,689 ビキは 386 00:41:09,689 --> 00:41:13,627 もう来させないわ 387 00:41:13,627 --> 00:41:16,927 あなたの病気 あの子に伝染したの 388 00:41:24,738 --> 00:41:30,076 あなたが悪いんじゃないわ 389 00:41:30,076 --> 00:41:33,276 他人に情けなんか かけたのが悪かったのよ 390 00:41:52,666 --> 00:41:56,503 誰?雨戸を開けたら ビキが 391 00:41:56,503 --> 00:41:58,503 大丈夫ですよ 392 00:42:00,473 --> 00:42:02,973 こちらは この道の専門ですから 393 00:42:05,245 --> 00:42:08,882 治療薬と鎮痛剤を 与えておきました 394 00:42:08,882 --> 00:42:13,286 闇に閉じ込めておくと 病気は悪化する一方ですよ 395 00:42:13,286 --> 00:42:15,722 あなたは何者なんです? 396 00:42:15,722 --> 00:42:19,993 ああ これは失敬 397 00:42:19,993 --> 00:42:22,495 蟲師のギンコと申します 398 00:42:22,495 --> 00:42:25,995 蔵の娘のことを 風の噂に聞きましてね 399 00:42:29,269 --> 00:42:31,304 あれは眼医ではなく 400 00:42:31,304 --> 00:42:36,009 我々 蟲師に回してもらわねば 治りませんよ 401 00:42:36,009 --> 00:42:39,446 ビキは… この子は治るんですか? 402 00:42:39,446 --> 00:42:44,117 ああ そっちの蟲は まだ ふ化直後みたいです 403 00:42:44,117 --> 00:42:47,217 薬による治療だけで おそらく効くでしょう 404 00:42:56,363 --> 00:42:58,363 ビキ 405 00:43:00,567 --> 00:43:02,567 ビキ 406 00:43:05,205 --> 00:43:07,205 ビキ 407 00:43:11,544 --> 00:43:17,350 ごめんね ごめんね 408 00:43:17,350 --> 00:43:19,286 ごめんね 409 00:43:19,286 --> 00:43:21,286 スイ! 410 00:43:28,595 --> 00:43:31,095 目が覚めたか? え? 411 00:43:33,433 --> 00:43:36,069 目は まだ痛むか? 412 00:43:36,069 --> 00:43:38,972 う… ううん 413 00:43:38,972 --> 00:43:42,742 よーし 効いたな 414 00:43:42,742 --> 00:43:47,414 スイの病気の原因は マナコノヤミムシという蟲でな 415 00:43:47,414 --> 00:43:49,514 闇を通して繁殖する 416 00:43:52,252 --> 00:43:56,623 お前はスイと闇を 共有しすぎたんだな 417 00:43:56,623 --> 00:44:00,493 スイを知ってるの? 418 00:44:00,493 --> 00:44:02,562 片目… 419 00:44:02,562 --> 00:44:05,198 2つ目のまぶたを閉じるたび 420 00:44:05,198 --> 00:44:07,968 あの子が対岸にいた 421 00:44:07,968 --> 00:44:10,704 あれ? あの光の川は 422 00:44:10,704 --> 00:44:13,606 地上の光とは異質なもので できている 423 00:44:13,606 --> 00:44:18,011 あまり近くで見すぎると 目に毒だ 424 00:44:18,011 --> 00:44:19,946 左目がある 425 00:44:19,946 --> 00:44:23,746 スイの言ってた片目の人とは 違うのかな 426 00:44:26,086 --> 00:44:28,986 日が落ちたら スイの治療を始める 427 00:44:30,924 --> 00:44:34,024 うん わかった 428 00:44:53,680 --> 00:44:56,716 んっ 429 00:44:56,716 --> 00:44:59,786 スイ 430 00:44:59,786 --> 00:45:04,286 お前 あれほど あの川には 入るなと言ったのに 431 00:45:18,171 --> 00:45:20,171 スイ 432 00:45:35,722 --> 00:45:38,491 スイの目玉は もう死んでる 433 00:45:38,491 --> 00:45:43,029 え? だが 何とかは してみる 434 00:45:43,029 --> 00:45:46,066 2つ目のまぶたは 長い時間 閉じすぎると 435 00:45:46,066 --> 00:45:48,366 闇に目玉が食われるんだよ 436 00:45:50,804 --> 00:45:52,806 じゃあ いいか スイ 437 00:45:52,806 --> 00:45:56,910 月の光で蟲を おびき出す 438 00:45:56,910 --> 00:45:59,479 2つ目のまぶたを閉じたまま 439 00:45:59,479 --> 00:46:01,679 目をゆっくりと開くんだ 440 00:46:23,503 --> 00:46:25,939 出てこい 蟲ども 441 00:46:25,939 --> 00:46:27,939 光だぞ 442 00:46:49,762 --> 00:46:51,762 む… 蟲? 443 00:47:02,809 --> 00:47:05,545 いた 444 00:47:05,545 --> 00:47:08,345 スイ いいぞ 目を閉じろ 445 00:47:34,707 --> 00:47:37,010 これでいい 446 00:47:37,010 --> 00:47:40,914 さて あとはスイの目玉だが 447 00:47:40,914 --> 00:47:42,916 む… 蟲だ 448 00:47:42,916 --> 00:47:47,787 本当に目の中に む… 蟲が 449 00:47:47,787 --> 00:47:50,557 やはり もう 使いものにならんな 450 00:47:50,557 --> 00:47:52,757 うまくいくかは わからんが 451 00:47:55,395 --> 00:47:57,395 ええっ? 452 00:48:00,200 --> 00:48:03,036 これをスイにやる 453 00:48:03,036 --> 00:48:06,906 君 さっきから驚きすぎ 454 00:48:06,906 --> 00:48:10,643 まあ そう焦るな 義眼だよ 455 00:48:10,643 --> 00:48:13,479 これは さっきの液状の蟲だ 456 00:48:13,479 --> 00:48:15,982 これを吹き込めば ただのガラス玉も 457 00:48:15,982 --> 00:48:18,482 眼球として生命を持つはずだ 458 00:48:25,458 --> 00:48:28,461 あの 聞いていい? 459 00:48:28,461 --> 00:48:32,966 あなたたちが見ていた 光の川の正体って 460 00:48:32,966 --> 00:48:35,501 一体 何? 461 00:48:35,501 --> 00:48:38,401 2つ目のまぶたを閉じてごらん 462 00:48:40,340 --> 00:48:44,744 お前は忘れてしまったのか 463 00:48:44,744 --> 00:48:48,044 すると闇への通路が開く 464 00:48:50,283 --> 00:48:53,983 お前も昔は あんなだったじゃないか 465 00:49:04,197 --> 00:49:07,100 人間は光を手に入れた頃から 466 00:49:07,100 --> 00:49:11,000 2つ目のまぶたの閉じ方を 忘れたのだという 467 00:49:13,473 --> 00:49:19,579 まあ それは生きる者としては よかったのかもしれない 468 00:49:19,579 --> 00:49:23,916 かつて人間は そのものを 見すぎたばかりに 469 00:49:23,916 --> 00:49:27,316 目玉を失う者も 多かったというから 470 00:49:33,893 --> 00:49:36,596 2つ目のまぶた 471 00:49:36,596 --> 00:49:38,865 本当の闇 472 00:49:38,865 --> 00:49:40,865 異質な光 473 00:49:50,176 --> 00:49:54,047 我々の足の下を泳ぐ無数の生命 474 00:49:54,047 --> 00:49:56,547 そのものの群れのこと 475 00:50:00,920 --> 00:50:03,856 ぼんって周りが明るくなったと 思ったら 476 00:50:03,856 --> 00:50:06,693 そのあと一瞬 真っ暗闇が来て 477 00:50:06,693 --> 00:50:10,496 足の下が抜けて ずーっと下のほうに 478 00:50:10,496 --> 00:50:14,296 光の川が流れてるのが見えたんだ 479 00:50:16,903 --> 00:50:19,939 あの蟲師さんが スイに目玉を入れたあとの 480 00:50:19,939 --> 00:50:23,476 ちょっとの間だけど 481 00:50:23,476 --> 00:50:25,411 すごくきれいで 482 00:50:25,411 --> 00:50:28,748 体が引き込まれるみたいで 483 00:50:28,748 --> 00:50:30,848 ずっと見てたくなった 484 00:50:36,289 --> 00:50:38,289 できたよ 485 00:50:42,095 --> 00:50:44,764 スイは蔵を出た 486 00:50:44,764 --> 00:50:49,602 木々や花や光を たくさん見る 487 00:50:49,602 --> 00:50:53,172 もう 暗闇の中で 488 00:50:53,172 --> 00:50:56,472 あの不思議な光に 魅せられることもないだろう 489 00:51:01,581 --> 00:51:04,384 あの人もスイと同じようにして 490 00:51:04,384 --> 00:51:07,084 本物の片目を なくしたんだろうか