1 00:00:00,959 --> 00:00:06,965 ♪~ 2 00:01:34,427 --> 00:01:40,433 ~♪ 3 00:01:40,809 --> 00:01:45,063 (溶岩の流れる音) 4 00:02:05,291 --> 00:02:11,297 (足音) 5 00:02:18,680 --> 00:02:22,016 (ギンコ)ハァ… ハァ… 6 00:02:22,809 --> 00:02:25,645 ハァー… あれか 7 00:02:32,944 --> 00:02:35,446 (真火(まほ)) 両手で耳をふさいでいたら― 8 00:02:35,572 --> 00:02:39,868 額が盛り上がって 角が4本生えてきた… 9 00:02:42,662 --> 00:02:46,583 (ナレーション) 雪の降る夜 音が消えたら― 10 00:02:46,708 --> 00:02:50,837 誰かと話すか 耳をふさげ 11 00:02:51,254 --> 00:02:55,633 さもなきゃ耳が… 喰(く)われるぞ 12 00:03:05,310 --> 00:03:07,937 (白沢(しらさわ)) ようこそおいでくださいました 13 00:03:08,813 --> 00:03:13,943 蟲師(むしし)のギンコさん… でしたね (ギンコ)ええ 14 00:03:14,527 --> 00:03:19,949 (白沢)村長の白沢でございます 村を代表してお呼びいたしました 15 00:03:22,118 --> 00:03:25,455 ここは ご覧のとおり深い山の底… 16 00:03:25,580 --> 00:03:28,958 風の通らぬ静かな里でございます 17 00:03:29,918 --> 00:03:34,672 特にこのような雪の晩には 物音ひとつしなくなり― 18 00:03:34,797 --> 00:03:38,968 話し声すら消えてしまうことも あるといいます 19 00:03:39,469 --> 00:03:44,224 そして そういう時 耳を病んでしまう者が出るのです 20 00:03:44,933 --> 00:03:47,310 (ギンコ)それは両耳ですか? 21 00:03:47,727 --> 00:03:50,230 ほとんどの者が片耳です 22 00:03:50,772 --> 00:03:54,692 ふもとの町のお医者方は 首をひねるばかりで― 23 00:03:54,817 --> 00:03:59,739 もしや異形の影響やもしれぬと 思い至ったのです 24 00:04:10,083 --> 00:04:12,252 (ギンコ)なるほど この粘液… 25 00:04:13,795 --> 00:04:16,256 原因は… 蟲ですな 26 00:04:16,714 --> 00:04:18,591 (男)う… はあ… 27 00:04:18,716 --> 00:04:20,260 (ギンコ)“呍(うん)”といいます 28 00:04:22,220 --> 00:04:24,555 これが音を喰ってるんです 29 00:04:24,681 --> 00:04:28,184 普通 森の中に 棲息(せいそく)する蟲ですが― 30 00:04:28,476 --> 00:04:30,478 雪は音を吸収する 31 00:04:31,813 --> 00:04:35,233 だから 音を求めて 里へ下りてきたんでしょう 32 00:04:41,864 --> 00:04:44,158 あー… ここにいました 33 00:04:45,326 --> 00:04:48,037 かなり大きな群れが 巣くってますね 34 00:04:48,162 --> 00:04:51,165 これじゃあ 音を喰い尽くしてしまうわけだ 35 00:04:56,087 --> 00:05:00,425 そうなると 群れを離れて 獣に寄生をし始める 36 00:05:01,134 --> 00:05:03,803 (男)一見カタツムリのようだ… 37 00:05:04,804 --> 00:05:05,805 あっ 38 00:05:07,598 --> 00:05:10,393 消えた!? (ギンコ)移動したんですな 39 00:05:11,519 --> 00:05:15,523 耳の中にカタツムリそっくりな 器官があるのを ご存じですか? 40 00:05:16,357 --> 00:05:20,611 飢えた呍は みずからの殻を捨て そこに寄生し― 41 00:05:20,737 --> 00:05:23,906 入ってくる音を すべて喰ってしまうんです 42 00:05:24,407 --> 00:05:27,368 ですが 器官が壊されたわけでは ありません 43 00:05:27,493 --> 00:05:28,828 (女房)あの…― 44 00:05:30,288 --> 00:05:34,083 お湯って… これぐらいで? (ギンコ)どうも 45 00:05:37,170 --> 00:05:39,047 (湯を流し込む音) 46 00:05:39,380 --> 00:05:42,550 これを耳に流し込めば… 47 00:05:43,384 --> 00:05:44,552 (男)う… 48 00:05:55,605 --> 00:05:57,273 これ このとおり 49 00:05:57,398 --> 00:06:00,443 うえっ ぺっ ぺっ! 辛っ なんだこれ!? 50 00:06:00,568 --> 00:06:01,819 塩ですよ 51 00:06:02,278 --> 00:06:05,156 塩? あ… 聞こえるぞ 52 00:06:05,281 --> 00:06:06,824 (女房)あ… (男)ハハッ 53 00:06:07,408 --> 00:06:10,870 あとはそれを屋根裏中に 吹き付けておけば― 54 00:06:10,995 --> 00:06:12,830 問題ないでしょう 55 00:06:15,333 --> 00:06:17,168 (白沢)驚きました 56 00:06:17,293 --> 00:06:21,005 蟲師の仕事というのを 初めて見ました 57 00:06:22,757 --> 00:06:27,929 あとは1人だけ 両耳を病んでしまった者が… 58 00:06:28,054 --> 00:06:31,766 私の… 孫なんですが 59 00:06:35,061 --> 00:06:38,106 他の者とは明らかに様子が違う 60 00:06:39,023 --> 00:06:45,113 孫の様は 村の者には一切 漏らさないでいただけますか 61 00:06:45,780 --> 00:06:51,786 (いろいろな音) 62 00:07:03,923 --> 00:07:07,802 (真火)うるさい… 静かにしろ! 63 00:07:16,185 --> 00:07:20,690 (白沢)真火です 前の冬から このようなことに… 64 00:07:21,441 --> 00:07:25,027 突然その角が生えたかと思うと― 65 00:07:26,946 --> 00:07:30,199 それまで聞こえていた音が 聞こえなくなり― 66 00:07:31,367 --> 00:07:35,705 “これまでに聞いたこともない音”が 聞こえだしたと言うのです 67 00:07:37,248 --> 00:07:43,379 こんな物音ひとつしない夜でも 家の内で外で音がする 68 00:07:43,504 --> 00:07:46,507 ささやくような音 とどろくような音 69 00:07:46,632 --> 00:07:50,261 耳をふさいでも 隙間を埋めても変わらない 70 00:07:50,386 --> 00:07:53,431 角から音が入ってくると… 71 00:07:55,892 --> 00:07:58,227 (ギンコ)これは もしや― 72 00:07:58,352 --> 00:08:00,229 “阿(あ)” (白沢)え? 73 00:08:01,105 --> 00:08:05,818 (ギンコ)呍と共に行動し 呍の作った“無音”を喰う蟲です 74 00:08:07,695 --> 00:08:11,407 これに寄生されると 見境なく音を拾うために― 75 00:08:11,532 --> 00:08:14,994 近くの音だけを聞くことは できなくなります 76 00:08:15,369 --> 00:08:20,124 ですが 呍に比べて 非常に数の少ない蟲でして― 77 00:08:20,249 --> 00:08:24,462 伝えられている治療の記録は 1件のみです 78 00:08:25,630 --> 00:08:30,051 それによると 呍と同じように塩水を用いても― 79 00:08:30,176 --> 00:08:32,595 阿は耳から出てこなかった 80 00:08:33,012 --> 00:08:36,766 さらに さまざまな生薬などを 試してみたが― 81 00:08:36,891 --> 00:08:39,227 効果のあるものは見つからず― 82 00:08:39,977 --> 00:08:43,981 患者が発病した その次の冬の終わり― 83 00:08:44,232 --> 00:08:48,236 夜も昼も洪水のように 押し寄せる音の中で― 84 00:08:48,819 --> 00:08:54,617 患者は精神をすり減らし やがて衰弱死してしまったと… 85 00:08:56,410 --> 00:08:59,747 その次の… 冬の終わり… 86 00:09:03,626 --> 00:09:07,797 (ギンコ)とにもかくにも… 相手を知らねばね 87 00:09:18,349 --> 00:09:19,183 (真火)は… 88 00:09:22,603 --> 00:09:24,814 (ギンコ)俺の声が聞こえるか? 89 00:09:25,189 --> 00:09:31,445 (真火)うん… 周りの音が… 少し静かになった 90 00:09:32,405 --> 00:09:36,784 お兄さんが来てから ますます音が増えて― 91 00:09:36,909 --> 00:09:39,537 頭が割れそうだったんだ 92 00:09:39,662 --> 00:09:41,956 そりゃ… 悪かったな 93 00:09:42,415 --> 00:09:45,501 俺はどうも 蟲を呼ぶ体質でね 94 00:09:45,626 --> 00:09:48,462 蟲ってのは ガチャガチャうるさいだろ? 95 00:09:48,588 --> 00:09:50,715 この煙で遠ざけておいた 96 00:09:51,215 --> 00:09:54,760 蟲? この音が? 97 00:09:54,885 --> 00:09:56,721 (ギンコ) ほとんどは そうだろうな 98 00:09:57,972 --> 00:10:01,684 人間ってのは 特別に耳の悪い動物でな 99 00:10:01,809 --> 00:10:05,855 多くの獣たちは もっと多彩な音を 聞き分けて生きてる 100 00:10:07,189 --> 00:10:12,069 が 獣たちでも聞き取れない でかい音の層があるらしい 101 00:10:13,112 --> 00:10:14,739 それが蟲の声の層 102 00:10:15,364 --> 00:10:19,243 蟲は こんなに大きな声で 話しているの? 103 00:10:19,368 --> 00:10:20,870 (ギンコ)そうじゃない 104 00:10:20,995 --> 00:10:24,248 一匹一匹のつぶやきは 微小なもんだろう 105 00:10:25,625 --> 00:10:29,170 だが蟲は数えることなど できんほどいる 106 00:10:29,462 --> 00:10:33,257 それだけのモノどもが ひと言つぶやけばどうだ 107 00:10:33,549 --> 00:10:36,969 それはすさまじい音量で こだまのように呼応し― 108 00:10:37,094 --> 00:10:39,680 世界をはいずり回っているという 109 00:10:41,766 --> 00:10:46,687 お前の耳の奥にいる阿という蟲が お前の静寂を喰う 110 00:10:47,021 --> 00:10:48,856 するとその角が生え― 111 00:10:48,981 --> 00:10:52,234 そこから あらゆる層の音が 流れ込み始めた 112 00:10:52,693 --> 00:10:55,154 おそらく そういうことだろう 113 00:10:55,279 --> 00:10:58,741 耳の方には なんら変化は見られなかったからな 114 00:10:59,450 --> 00:11:02,953 その角… どんな風にして生えてきた? 115 00:11:07,625 --> 00:11:10,461 (真火)耳を ふさいでたんだ 116 00:11:11,879 --> 00:11:13,714 去年の冬― 117 00:11:14,048 --> 00:11:16,717 母さんが死んでしまったから… 118 00:11:18,177 --> 00:11:22,139 母さんが よくそうしてたから― 119 00:11:22,264 --> 00:11:25,226 思い出してマネしてみたんだ 120 00:11:26,060 --> 00:11:27,228 そしたら― 121 00:11:28,270 --> 00:11:32,024 額が盛り上がって 角が生えてきた 122 00:11:33,609 --> 00:11:35,986 耳を ふさいでた? 123 00:11:37,279 --> 00:11:39,240 どうしてお前の母さんは…? 124 00:11:39,949 --> 00:11:43,744 分からない… 思い出せないんだ 125 00:11:43,869 --> 00:11:48,999 母さんも 俺と同じ 角が生える病気で― 126 00:11:49,125 --> 00:11:53,003 耳をふさいでも 音は防げなかったはず 127 00:11:54,588 --> 00:11:58,300 あの時 母さんは何か言って― 128 00:12:01,137 --> 00:12:03,264 弱り果ててしまった両手で― 129 00:12:04,390 --> 00:12:07,101 強く俺の耳をふさいだ 130 00:12:08,686 --> 00:12:12,523 でも あの時なんて言ったか― 131 00:12:13,107 --> 00:12:18,237 覚えてるはずなのに いつも思い出そうとするのに― 132 00:12:19,113 --> 00:12:24,285 頭の中にもどんどん音が流れてきて 聞き取れない 133 00:12:25,119 --> 00:12:27,496 う… ひっく… (ギンコ)そうか 134 00:12:29,331 --> 00:12:32,877 (ギンコ)これは 悪いが運がいい 135 00:12:33,377 --> 00:12:36,380 まったく同じ環境での 症例があるとは… 136 00:12:37,256 --> 00:12:39,967 どこかに処置法の鍵はあるはずだ 137 00:12:46,891 --> 00:12:50,436 (白沢)娘の末期(まつご)… ですか 138 00:12:51,437 --> 00:12:53,939 そりゃ かわいそうなものでした 139 00:12:54,648 --> 00:12:58,611 音のために ろくに眠りが取れぬのです 140 00:12:58,736 --> 00:13:02,448 真火の前では 決して口にしませんでしたが― 141 00:13:04,450 --> 00:13:06,452 しきりに言ってました 142 00:13:07,453 --> 00:13:10,289 (真火の母) どんな音も届かない所で― 143 00:13:10,414 --> 00:13:12,625 ゆっくりと眠りたい… 144 00:13:13,542 --> 00:13:18,631 先ほどのお話と同じ… 発病した次の冬の終わり― 145 00:13:19,340 --> 00:13:22,676 その望む所へ行ってしまいました 146 00:13:23,594 --> 00:13:27,640 最期まで苦しめられたわけですか (白沢)ええ 147 00:13:29,475 --> 00:13:32,561 いえ… いいえ 違います 148 00:13:32,686 --> 00:13:36,148 あの子 あの日 急に言いだしました 149 00:13:37,650 --> 00:13:40,945 (真火の母)母さん 音が消えたの 150 00:13:41,904 --> 00:13:46,158 今度はぴんと… 何も聞こえなくなった 151 00:13:46,825 --> 00:13:48,244 怖いの… 152 00:13:49,078 --> 00:13:53,165 あんなに恐ろしかった音が 懐かしい 153 00:13:56,085 --> 00:13:58,963 そして そのまま間もなく― 154 00:13:59,088 --> 00:14:02,675 消えるように… 死んでしまいました 155 00:14:03,133 --> 00:14:07,763 死に際になって 音がまったく 聞こえなくなってしまったと… 156 00:14:07,888 --> 00:14:08,973 (白沢)はい 157 00:14:10,099 --> 00:14:11,183 他に何か? 158 00:14:11,559 --> 00:14:16,063 (白沢)いいえ ですがおそらく さっき真火が言っていたのは― 159 00:14:16,188 --> 00:14:18,232 この時期のことでしょう 160 00:14:18,357 --> 00:14:21,694 私も当事 奇妙に思ってはいました 161 00:14:22,486 --> 00:14:25,698 あの子 一体なんのために… 162 00:14:27,992 --> 00:14:30,703 (ギンコ)死に際に訪れた静寂… 163 00:14:31,370 --> 00:14:35,207 宿主の死期を悟って 阿は逃げ出したのか? 164 00:14:36,417 --> 00:14:40,421 いや… なら聴覚は元に戻るはずだ 165 00:14:41,338 --> 00:14:44,216 何も聞こえなくなるとは どういうことだ? 166 00:14:44,717 --> 00:14:49,221 なのに一体… 何から耳をふさぎたかったんだ? 167 00:14:49,346 --> 00:14:52,725 (戸の開閉音) 168 00:14:52,850 --> 00:14:54,977 (ギンコ)どこ行くんだぁ? お前 169 00:14:55,394 --> 00:14:57,021 つっても聞こえんのか… 170 00:14:57,146 --> 00:14:58,230 (真火)ひっ… 171 00:14:58,856 --> 00:14:59,857 だっ… 172 00:15:01,358 --> 00:15:02,735 大丈夫 173 00:15:03,068 --> 00:15:05,529 ちょっと散歩… するだけ 174 00:15:06,238 --> 00:15:08,240 ばあちゃんには内緒 175 00:15:09,617 --> 00:15:14,288 ずっと家の中にいたら よけい… おかしくなる 176 00:15:14,997 --> 00:15:17,249 か… 母さんの… 177 00:15:20,085 --> 00:15:24,298 母さんの 死んじゃった時の ことばっかり― 178 00:15:24,423 --> 00:15:26,258 思い出すからさ… 179 00:15:32,348 --> 00:15:33,891 (ギンコ)しかたないか 180 00:15:34,892 --> 00:15:38,979 自分と同じ病で 母親を看取(みと)ったんだからな 181 00:15:46,820 --> 00:15:50,574 (ギンコ)降ってきた 行かすんじゃなかったか… 182 00:15:50,950 --> 00:15:53,661 (白沢)真火… 真火? 183 00:15:53,786 --> 00:15:56,580 ああ ギンコさん 真火がいないんです 184 00:15:57,331 --> 00:16:00,125 (ギンコ)大丈夫 どっちへ行ったか見てましたから 185 00:16:00,250 --> 00:16:01,168 (白沢)ええっ! 186 00:16:01,460 --> 00:16:03,253 なんで行かせたんですか!? 187 00:16:03,379 --> 00:16:05,547 (ギンコ)捜しに行ってきまーす 188 00:16:06,173 --> 00:16:09,927 (足音) 189 00:16:10,052 --> 00:16:11,553 (ギンコ)静かだ 190 00:16:13,430 --> 00:16:14,515 (枝が揺れる音) 191 00:16:14,974 --> 00:16:18,060 (ギンコ) だが 決して無音じゃない 192 00:16:19,937 --> 00:16:24,066 耳をそばだてれば 雪の積もるのにも音はある 193 00:16:24,608 --> 00:16:29,530 周りに音がなくなれば 自分の心臓の音が聞こえてくる 194 00:16:31,782 --> 00:16:35,244 だが あらゆる音を 拾うとなると― 195 00:16:35,369 --> 00:16:38,747 一つ一つの音は もう聞こえなくなるのか 196 00:16:40,833 --> 00:16:43,836 それが極限まで高まれば… 197 00:16:44,294 --> 00:16:45,379 もしや…― 198 00:16:46,922 --> 00:16:51,593 もしやそれが… 音が消える ということか? 199 00:16:54,013 --> 00:16:55,681 そうか 200 00:16:58,100 --> 00:16:59,518 (ギンコ)ん? 201 00:17:06,400 --> 00:17:07,401 え? 202 00:17:07,943 --> 00:17:10,029 ふぅ… (真火)ごめんなさい 203 00:17:10,154 --> 00:17:13,657 でも ちゃんとすぐ帰る つもりだったんだ 204 00:17:14,783 --> 00:17:17,745 途中で 吹雪(ふぶ)いてきたから… 205 00:17:18,162 --> 00:17:21,832 やむまで ここで待ってようと思って 206 00:17:22,416 --> 00:17:25,419 だけど どんどん強くなってきて… 207 00:17:26,503 --> 00:17:28,672 (ギンコ)え… 声が? 208 00:17:43,479 --> 00:17:44,396 ああっ! 209 00:17:46,482 --> 00:17:50,277 (ギンコ)こらこら… お前らケンカすんない 210 00:17:51,195 --> 00:17:53,113 阿はどいつだぁ? 211 00:17:53,697 --> 00:17:57,409 呍は右巻き 阿は左巻き… と 212 00:17:58,494 --> 00:17:59,787 お前だ 213 00:18:06,543 --> 00:18:07,753 うわあぁ… 214 00:18:12,633 --> 00:18:14,760 (ギンコ)ん ん… 215 00:18:16,762 --> 00:18:19,765 真火 両手を貸してくれ 216 00:18:20,641 --> 00:18:23,685 お前の母親のようにな… 217 00:18:34,196 --> 00:18:35,572 (真火)こう? 218 00:18:36,448 --> 00:18:37,449 は… 219 00:18:46,458 --> 00:18:47,459 溶けた!? 220 00:18:50,295 --> 00:18:53,632 (ギンコ)両手で耳をふさいでも 無音にはなりません 221 00:18:55,259 --> 00:18:59,763 彼女は死ぬ直前に何かから 耳をふさぎたかったわけではなく― 222 00:18:59,888 --> 00:19:04,184 その時 聞こえる音を 聞こうとしていたんだと思います 223 00:19:06,311 --> 00:19:07,813 聞こえますか? 224 00:19:09,773 --> 00:19:13,861 (白沢) 小さな 地鳴りのような音が… 225 00:19:14,319 --> 00:19:18,490 それは 腕の筋肉の 運動している音だといいます 226 00:19:18,824 --> 00:19:23,745 つまり阿の弱点は 他の生物の 生きている音だろうと 227 00:19:23,871 --> 00:19:29,293 しかし その音は生物に寄生すれば 常に体内に響いているもの 228 00:19:29,418 --> 00:19:33,338 阿にとってそこは 居心地の良い所ではないはず 229 00:19:34,756 --> 00:19:37,050 だから消そうとする 230 00:19:37,801 --> 00:19:41,805 阿が溶け出すか 宿主が衰弱死するか… 231 00:19:43,056 --> 00:19:47,895 その答えが出るのが およそ 1年後ということなんでしょう 232 00:19:48,562 --> 00:19:51,607 彼女はそれに気づいていたんじゃ ないでしょうか 233 00:19:52,357 --> 00:19:56,069 けれど… その時には 衰えが進みすぎていて― 234 00:19:56,570 --> 00:19:58,906 もはや手遅れとなっていた 235 00:20:00,407 --> 00:20:01,825 (真火の母)真火… 236 00:20:03,368 --> 00:20:04,953 聞こえる? 237 00:20:05,245 --> 00:20:07,623 これが母さんの音だよ 238 00:20:08,957 --> 00:20:12,794 昔… 母さん見たんだよ 239 00:20:13,545 --> 00:20:17,341 父さんとね… 火を噴く山 240 00:20:17,424 --> 00:20:21,261 (溶岩の流れる音) 241 00:20:21,386 --> 00:20:25,933 (真火の母)この音は あの溶岩の音にそっくり… 242 00:20:26,266 --> 00:20:26,642 (溶岩の流れるような音) 243 00:20:26,642 --> 00:20:31,730 (溶岩の流れるような音) 244 00:20:26,642 --> 00:20:31,730 だから 母さん 消えそうなくらい不安な時― 245 00:20:32,189 --> 00:20:34,149 この音を聞くの 246 00:20:35,108 --> 00:20:37,945 なんでも溶かす溶岩みたいに― 247 00:20:39,321 --> 00:20:46,286 不安もつらさも みんな 溶かし込んでしまえる気がするの 248 00:20:47,120 --> 00:20:50,374 ほら お前もやってごらん 249 00:20:50,999 --> 00:20:54,253 お前の中にも 溶岩が… 250 00:20:54,378 --> 00:20:57,381 (溶岩の流れるような音) 251 00:21:06,974 --> 00:21:07,891 ああ! 252 00:21:10,143 --> 00:21:13,188 (真火)溶岩が… (白沢)真火? 253 00:21:15,274 --> 00:21:16,900 (真火)真っ赤な溶岩が― 254 00:21:18,568 --> 00:21:20,404 流れてるよ… 255 00:21:25,742 --> 00:21:28,578 (ギンコ) では これが報酬ということで 256 00:21:29,079 --> 00:21:32,499 (白沢) ええ 本当にそれでよろしいの? 257 00:21:32,624 --> 00:21:33,583 (ギンコ)結構ですよ 258 00:21:34,668 --> 00:21:37,587 (白沢)いいのね? 真火 (真火)うん… 259 00:21:41,842 --> 00:21:43,093 フー… 260 00:21:47,764 --> 00:21:48,890 は? 261 00:21:53,020 --> 00:21:54,021 え? 262 00:21:54,855 --> 00:21:57,649 (ギンコ) 世界は静かだろう 真火 263 00:21:58,317 --> 00:22:00,527 慣れるまでは 落ち着かないだろうし― 264 00:22:00,652 --> 00:22:03,947 断たれた世界を 恋しく思うこともあるだろう 265 00:22:05,699 --> 00:22:10,620 だが それも春になって にぎやかになれば忘れる 266 00:22:12,664 --> 00:22:15,625 俺… 忘れない 267 00:22:17,169 --> 00:22:19,629 (真火)ずっと 聞いてたんだ 268 00:22:20,088 --> 00:22:22,257 母さんと同じ音 269 00:22:24,009 --> 00:22:26,720 ぞっとするぐらい― 270 00:22:27,554 --> 00:22:29,306 きれいな音 271 00:22:29,431 --> 00:22:35,437 ♪~ 272 00:23:34,204 --> 00:23:40,210 ~♪