1 00:00:01,960 --> 00:00:04,546 (ヨキ)ハァ… 2 00:00:07,841 --> 00:00:10,260 ハァ… 3 00:00:12,262 --> 00:00:14,973 ハァ… 4 00:00:18,393 --> 00:00:21,062 ハァ… 5 00:00:22,605 --> 00:00:24,691 ハァ… 6 00:00:31,197 --> 00:00:37,203 ♪~ 7 00:01:34,803 --> 00:01:40,809 ~♪ 8 00:01:51,653 --> 00:01:52,987 (ぬい)おい 9 00:01:53,655 --> 00:01:55,198 小僧 10 00:01:55,782 --> 00:01:57,742 生きてるのか? 11 00:02:28,398 --> 00:02:29,274 (ヨキ)ハッ! 12 00:02:30,733 --> 00:02:33,486 (ぬい)お前 蟲(むし)が見えるのか? 13 00:02:33,862 --> 00:02:35,071 んっ 14 00:02:35,780 --> 00:02:36,948 ん… 15 00:02:37,949 --> 00:02:39,742 (ぬい)おびえることはない 16 00:02:39,868 --> 00:02:43,121 ああいう まだ光を帯びている やからは― 17 00:02:43,246 --> 00:02:45,498 大した影響力は持たない 18 00:02:46,166 --> 00:02:49,252 それとも 私の方が恐ろしいか? 19 00:02:52,005 --> 00:02:54,841 これを飲め ケガによい 20 00:02:58,511 --> 00:02:59,345 うん… 21 00:02:59,721 --> 00:03:01,723 早く治して 出てっとくれ 22 00:03:01,848 --> 00:03:03,892 長居は お断りだよ 23 00:03:19,657 --> 00:03:20,783 (ヨキ)うわっ… 24 00:03:39,385 --> 00:03:40,803 (ヨキ)母さん 25 00:03:41,221 --> 00:03:42,222 母さん 26 00:03:42,639 --> 00:03:44,015 母さん! 27 00:03:44,891 --> 00:03:48,853 (ヨキの母)おかしいねえ 別の道に入っちまったのかな 28 00:03:49,270 --> 00:03:50,813 (ヨキ)母さん! 29 00:03:53,691 --> 00:03:58,112 なんだい ヨキ また奇妙なものが見えるのかい? 30 00:04:00,114 --> 00:04:04,410 大丈夫 大丈夫 そんなものは 幻だよ 31 00:04:06,704 --> 00:04:09,123 心を強く持つんだよ 32 00:04:09,249 --> 00:04:10,250 (ヨキ)ああ… 33 00:04:31,104 --> 00:04:34,023 (ヨキ)ハァ ハァ… 34 00:04:37,610 --> 00:04:40,655 ハァ ハァ… 35 00:05:14,814 --> 00:05:17,400 ハッ ハァ… 36 00:05:18,443 --> 00:05:20,236 (ヨキのすすり泣き) 37 00:05:26,409 --> 00:05:28,286 (ぬい)おびえることはない 38 00:05:30,997 --> 00:05:32,665 ハッ… 39 00:05:46,387 --> 00:05:49,807 (ヨキ) だいぶ 動かせるようになった 40 00:05:56,898 --> 00:05:58,191 あ… 41 00:05:59,650 --> 00:06:01,486 なんて魚だろう 42 00:06:02,195 --> 00:06:05,198 真っ白で 目が緑… 43 00:06:09,535 --> 00:06:11,204 どれも片目がない 44 00:06:11,329 --> 00:06:13,498 (ぬい)池に棲(す)む 蟲のせいだ 45 00:06:14,624 --> 00:06:17,502 夜や明け方は 近づくんじゃないよ 46 00:06:19,712 --> 00:06:24,717 あの… あれらは 幻じゃないんだよね? 47 00:06:25,259 --> 00:06:30,681 われわれと同じように 存在してるとも 幻だとも言えない 48 00:06:31,182 --> 00:06:33,643 ただ 影響は及ぼしてくる 49 00:06:34,060 --> 00:06:36,687 俺らとは まったく違うものなの? 50 00:06:37,438 --> 00:06:41,192 在り方は違うが 断絶された存在ではない 51 00:06:42,151 --> 00:06:44,946 われわれの命の 別の形だ 52 00:06:47,740 --> 00:06:48,699 そうか 53 00:06:49,909 --> 00:06:52,078 そうなんだ… 54 00:06:56,124 --> 00:06:58,668 んっ んっ! 55 00:06:59,877 --> 00:07:02,922 (ヨキ) 杖なしで 歩けるようになった 56 00:07:04,257 --> 00:07:05,091 (ヨキ)んっ…! 57 00:07:11,848 --> 00:07:14,725 (ぬい)ヨキ お前― 58 00:07:15,059 --> 00:07:17,770 そろそろ 足は いいんじゃないのか? 59 00:07:18,479 --> 00:07:20,481 帰るうちも あるんだろ? 60 00:07:23,276 --> 00:07:26,112 帰るとこ… ないよ 61 00:07:26,237 --> 00:07:30,032 ずっと母さんと 物売りして 歩いてたんだ 62 00:07:31,159 --> 00:07:35,830 それに 足… まだ 歩くと痛い 63 00:07:39,083 --> 00:07:40,042 (ぬい)そうか 64 00:07:40,418 --> 00:07:43,045 それよりさ ずっと 気になってたんだけど― 65 00:07:43,546 --> 00:07:47,175 池の蟲って どんなやつなの? 教えてよ 66 00:07:49,093 --> 00:07:51,471 (ぬい)ん… ああ 67 00:07:52,555 --> 00:07:56,392 姿は… “闇”としか言えない 68 00:07:58,269 --> 00:07:59,103 闇? 69 00:07:59,312 --> 00:08:02,064 (ぬい)そう 闇には2つある 70 00:08:02,190 --> 00:08:06,819 1つは 目を閉じたり 蔵の中や 月のない夜― 71 00:08:06,944 --> 00:08:10,114 日や明かりを 遮った時に できる闇 72 00:08:10,740 --> 00:08:13,826 もう1つが… “常(とこ)の闇” 73 00:08:14,368 --> 00:08:17,580 昼間は ああした暗い所で じっとしているが― 74 00:08:17,705 --> 00:08:20,833 夜になると 池を出て 小さき蟲を食う 75 00:08:21,292 --> 00:08:25,922 池の魚や ぬいさんが そんな髪や目になったのは… 76 00:08:26,547 --> 00:08:31,385 (ぬい)明け方 時に池が 銀色に光ってることがある 77 00:08:31,844 --> 00:08:36,098 おそらく食った蟲を 光に分解してるんだろう 78 00:08:36,974 --> 00:08:40,102 あれを繰り返し浴びると こうなるようだ 79 00:08:40,728 --> 00:08:42,522 それじゃあ ここにいたら― 80 00:08:42,647 --> 00:08:44,941 もう1つの目も なくなるんじゃないの? 81 00:08:45,483 --> 00:08:47,652 (ぬい)池の魚を見たろ? 82 00:08:47,777 --> 00:08:50,238 不思議と 両目のない魚はいない 83 00:08:50,363 --> 00:08:52,448 そういうふうに できてるんだろうさ 84 00:08:52,990 --> 00:08:55,952 さあ 日が暮れる 中へ入るよ 85 00:08:56,369 --> 00:08:59,163 その蟲 なんていう名前なの? 86 00:09:01,123 --> 00:09:05,253 闇のような姿のものは トコヤミという 87 00:09:05,670 --> 00:09:09,507 光を放つのは トコヤミに棲む 別の蟲のようだが― 88 00:09:09,757 --> 00:09:12,134 そいつに名があるかは 知らない 89 00:09:12,426 --> 00:09:15,972 私は“銀蟲(ぎんこ)”と呼んでいる 90 00:09:21,394 --> 00:09:22,228 (ヨキ)これは? 91 00:09:23,563 --> 00:09:24,647 食えんよ 92 00:09:24,772 --> 00:09:26,065 (ヨキ)じゃ これ 93 00:09:26,190 --> 00:09:27,483 かじってみりゃいい 94 00:09:28,609 --> 00:09:30,403 のみ込むなよ 95 00:09:30,611 --> 00:09:32,697 かっ 辛っ! ぶへっ べっ 96 00:09:33,155 --> 00:09:35,241 あっ… なんだこれ 97 00:09:35,366 --> 00:09:36,242 (ぬい)ふっ 98 00:09:36,617 --> 00:09:37,618 (ヨキ)ぺっ ぶへっ… 99 00:09:37,743 --> 00:09:41,706 (ぬい)死にゃあしないよ そうしてりゃあ 腹も丈夫になる 100 00:09:41,831 --> 00:09:43,666 ひでえ… (ぬい)ん? 101 00:09:44,375 --> 00:09:47,503 (ヨキ)わ… ダマになってる 102 00:09:50,172 --> 00:09:52,341 (ぬい)フーッ 103 00:09:58,222 --> 00:09:59,432 散らしたの? 104 00:09:59,557 --> 00:10:01,684 すぐまた たまるがな 105 00:10:01,809 --> 00:10:04,395 私が山を歩くと いつもこうだ 106 00:10:04,520 --> 00:10:06,188 ねえ 俺にもできる? 107 00:10:06,314 --> 00:10:08,399 おもしろ半分に やるもんじゃないぞ 108 00:10:08,816 --> 00:10:10,151 (ヨキ)分かってる 109 00:10:10,276 --> 00:10:12,403 (ぬい)少々 クセがきついぞ 110 00:10:15,531 --> 00:10:18,659 (ヨキのせき込み) 111 00:10:19,243 --> 00:10:23,664 (ぬいの笑い声) 112 00:10:28,210 --> 00:10:29,670 (ヨキ)ぬい! 113 00:10:30,338 --> 00:10:31,964 明かり つけようよ 114 00:10:32,089 --> 00:10:33,424 (ぬい)ああ すまない 115 00:10:36,636 --> 00:10:40,264 私の目は 夜目が利くのでな つい 116 00:10:40,848 --> 00:10:42,391 銀蟲のせい? 117 00:10:42,516 --> 00:10:45,603 (ぬい)たぶんな なに 便利なもんだ 118 00:10:49,482 --> 00:10:51,067 なあ ヨキ 119 00:10:51,525 --> 00:10:54,445 夜 山を1人で歩いているとな― 120 00:10:55,196 --> 00:10:59,784 さっきまで道を照らしていた月が 急に見えなくなったり― 121 00:10:59,909 --> 00:11:04,747 星が消えたりして 方向が 分からなくなる時がある 122 00:11:06,082 --> 00:11:08,542 それは 普通にもあることだが― 123 00:11:09,210 --> 00:11:14,548 さらに自分の名前や 過去のことも 思い出せなくなってるようなら― 124 00:11:14,673 --> 00:11:18,010 それはトコヤミが そばに来ているためだ 125 00:11:18,469 --> 00:11:22,098 どうにか思い出せれば 抜けられるという 126 00:11:22,890 --> 00:11:25,059 (ヨキ)どうしても 思い出せない時は? 127 00:11:25,184 --> 00:11:26,268 (ぬい)なんでもいい 128 00:11:26,394 --> 00:11:29,021 すぐ思い付く名を 付ければいいそうだ 129 00:11:29,146 --> 00:11:30,689 (ヨキ)そんなんでいいの? 130 00:11:30,815 --> 00:11:34,693 (ぬい)その代わり 前の名だったころのことは― 131 00:11:34,819 --> 00:11:37,279 思い出せなくなるそうだがね 132 00:11:41,283 --> 00:11:42,868 (ヨキ)ねえ (ぬい)ん? 133 00:11:42,993 --> 00:11:45,413 (ヨキ)どうして ぬいが ここにいるのか― 134 00:11:46,038 --> 00:11:47,206 聞いていい? 135 00:11:49,375 --> 00:11:51,502 ああ 構わないよ 136 00:11:53,379 --> 00:11:57,341 この山の先には 私の故郷がある 137 00:11:58,175 --> 00:12:01,720 閉ざされているが 美しい里だ 138 00:12:02,847 --> 00:12:06,600 私には生来 蟲を寄せる性質があり― 139 00:12:06,725 --> 00:12:11,480 ひとつところに とどまれず 蟲を払いながら里を巡る― 140 00:12:11,605 --> 00:12:13,524 蟲師(むしし)をして 旅をしていた 141 00:12:15,109 --> 00:12:18,362 それでも足しげく 私は里へ戻った 142 00:12:18,904 --> 00:12:20,698 親や友人― 143 00:12:20,823 --> 00:12:24,702 そして何より 夫と子どもに会うために 144 00:12:25,244 --> 00:12:26,078 だが… 145 00:12:27,079 --> 00:12:33,586 ある時 夫と子 そして 父や友人を含む多くの者が― 146 00:12:33,711 --> 00:12:37,006 山へ入ったきり戻らないと 聞かされた 147 00:12:37,965 --> 00:12:41,093 私は山中を捜し回ったあげく― 148 00:12:41,218 --> 00:12:44,597 この池にいるのが トコヤミだと気づいた 149 00:12:46,390 --> 00:12:49,185 トコヤミにとらわれたら どうなるのか― 150 00:12:49,310 --> 00:12:53,856 どうすればいいのかは ほかの蟲師より 伝え聞いていた 151 00:12:54,607 --> 00:12:56,150 それで― 152 00:12:56,692 --> 00:12:59,987 彼らはきっとまだ さまよっているのだと― 153 00:13:00,654 --> 00:13:04,366 諦めきれずに ここにいるのさ 154 00:13:07,411 --> 00:13:09,497 どれくらいになるの? 155 00:13:10,122 --> 00:13:12,458 (ぬい)6年になるかね 156 00:13:12,708 --> 00:13:14,251 ずっと1人で… 157 00:13:16,170 --> 00:13:20,758 その人たちさ ぬいと 同じ姿になってるのかな 158 00:13:21,008 --> 00:13:23,427 そうだな きっと 159 00:13:23,552 --> 00:13:26,472 俺も捜すの手伝うよ いいだろ? 160 00:13:26,597 --> 00:13:28,349 だからここに… (ぬい)だめだ! 161 00:13:29,892 --> 00:13:32,353 どうして… 何がいけないの? 162 00:13:34,813 --> 00:13:38,484 これは 私だけでやりたい 163 00:13:39,443 --> 00:13:40,861 それだけだ 164 00:13:41,237 --> 00:13:44,240 ここにいるための 口実にするんじゃないよ 165 00:13:45,449 --> 00:13:47,368 それ以上 言ったら― 166 00:13:47,493 --> 00:13:49,537 すぐにでも追ん出すよ 167 00:14:15,396 --> 00:14:17,273 ぬいは 何か隠してる 168 00:14:17,398 --> 00:14:19,942 俺がいちゃ 困る理由が 何かあるんだ 169 00:14:20,860 --> 00:14:22,945 出てこい トコヤミ 銀蟲… 170 00:14:35,916 --> 00:14:37,084 ハッ… 171 00:14:41,714 --> 00:14:42,840 んっ… 172 00:14:47,261 --> 00:14:49,346 (ヨキ)なんだ あの魚… 173 00:14:49,471 --> 00:14:52,308 残った方の目が潰れて… 174 00:15:03,235 --> 00:15:04,612 消えた… 175 00:15:04,737 --> 00:15:06,071 (ぬい)ヨキッ 176 00:15:06,614 --> 00:15:09,867 何してんだい 光を浴びるのは よくないと… 177 00:15:09,992 --> 00:15:13,078 ぬい! 片目の魚しか いないのは― 178 00:15:13,203 --> 00:15:15,539 両目がなくなったら 消えちゃうからなんだ 179 00:15:16,582 --> 00:15:18,167 ねえ 知ってたの? 180 00:15:20,294 --> 00:15:22,046 (ぬい)消えるのではない 181 00:15:22,212 --> 00:15:26,383 銀蟲の放つ光が 生き物を トコヤミに変えるのだ 182 00:15:26,508 --> 00:15:28,052 そんなの一緒だよ! 183 00:15:28,177 --> 00:15:30,679 どうして 知ってて そのままにしておいたの? 184 00:15:30,971 --> 00:15:32,514 蟲師だったんだろ? 185 00:15:32,640 --> 00:15:35,184 こんな恐ろしい蟲 どうして生かしておくんだよ 186 00:15:36,894 --> 00:15:41,023 恐れや怒りに 目を くらまされるな 187 00:15:41,148 --> 00:15:46,153 皆 ただ それぞれが あるように あるだけ 188 00:15:46,695 --> 00:15:48,822 逃れられるモノからは― 189 00:15:48,948 --> 00:15:52,159 知恵ある われわれが 逃れればいい 190 00:15:52,785 --> 00:15:56,330 蟲師とはずっと はるか古来から― 191 00:15:56,455 --> 00:15:59,625 そのすべを 探してきた者たちだ 192 00:16:00,334 --> 00:16:03,712 私も銀蟲の記録を取り続けたよ 193 00:16:03,837 --> 00:16:07,383 そして魚の行く末に 気づいた時には― 194 00:16:07,508 --> 00:16:11,220 私も もう光を浴びすぎていた 195 00:16:11,929 --> 00:16:14,890 片目の魚を池から離し― 196 00:16:15,015 --> 00:16:18,811 光を浴びぬよう 繰り返し 試しもした 197 00:16:19,144 --> 00:16:20,604 だが… 198 00:16:20,938 --> 00:16:23,899 一度 白化の始まった 魚たちは― 199 00:16:24,316 --> 00:16:29,363 多少の遅れは見られても いずれは両目を失い― 200 00:16:29,488 --> 00:16:31,115 トコヤミとなった 201 00:16:31,740 --> 00:16:32,992 そんな… 202 00:16:33,242 --> 00:16:34,451 それじゃ ぬい… 203 00:16:34,785 --> 00:16:38,372 それでも 夫や子らが トコヤミになってしまったと― 204 00:16:38,497 --> 00:16:40,457 認めたくはなかった 205 00:16:40,582 --> 00:16:44,962 光を浴びぬようにして 生き長らえ 捜し歩いた 206 00:16:47,047 --> 00:16:49,675 けど さすがにいつからか― 207 00:16:50,467 --> 00:16:55,222 すべては ここにあると 悟ってしまった 208 00:16:55,973 --> 00:16:58,559 もう全部 手遅れなんだ 209 00:16:58,684 --> 00:17:02,438 ヨキ 分かったら お前はもう 出ておゆき 210 00:17:02,563 --> 00:17:03,939 んっ やだ! 211 00:17:04,064 --> 00:17:06,567 きっと なんとかなるよ ぬいも ここを出よう 212 00:17:06,692 --> 00:17:08,152 (ぬい)バカ言うんじゃないよ (ヨキ)ハッ…! 213 00:17:10,195 --> 00:17:12,239 (ぬい) もう どうにもならないし― 214 00:17:12,364 --> 00:17:15,659 ずっと どうにもならなくていいと 思ってきたのに― 215 00:17:16,368 --> 00:17:19,163 お前がいると つらいばかりだ 216 00:17:24,543 --> 00:17:26,670 頼むから もう行ってくれ 217 00:17:27,004 --> 00:17:29,923 お前なら 旅の暮らしもできるだろう 218 00:17:30,549 --> 00:17:34,595 愛する故郷のないことは きっとお前には 幸運だ 219 00:17:34,720 --> 00:17:37,514 いやだ! 俺の故郷ならここだ 220 00:17:37,639 --> 00:17:39,433 一番 長くいた土地だ 221 00:17:39,558 --> 00:17:44,313 (ぬい)違う ここは 私とトコヤミたちの場所 222 00:17:44,438 --> 00:17:47,274 お前のいていい場所じゃない 223 00:18:16,887 --> 00:18:18,680 これでもう― 224 00:18:19,098 --> 00:18:21,058 いいよな 225 00:18:32,528 --> 00:18:34,822 (ヨキ)池…? ぬい! 226 00:18:36,532 --> 00:18:39,493 行っちゃ いやだ 行っちゃ やだ! 227 00:18:44,289 --> 00:18:45,290 ぬい? 228 00:18:45,958 --> 00:18:46,959 待ってよ 229 00:18:48,252 --> 00:18:49,211 行くなよ 230 00:18:49,628 --> 00:18:51,130 ぬい! 231 00:18:57,594 --> 00:18:59,471 (ぬい)なんてこと 232 00:19:05,144 --> 00:19:06,937 (ヨキ)ぬい? ぬいなんだな? 233 00:19:07,729 --> 00:19:08,814 (ぬい)戻るんだ 234 00:19:09,148 --> 00:19:10,107 ぬいは? 235 00:19:10,440 --> 00:19:13,068 (ぬい)私は もう… 236 00:19:14,236 --> 00:19:16,655 もうじき 銀蟲が目を覚ます 237 00:19:16,780 --> 00:19:18,824 できる限り 遠くへ行くんだ 238 00:19:19,616 --> 00:19:21,076 さっ 早くおし 239 00:19:23,245 --> 00:19:25,956 (ヨキ)ぬいの手 温度がない 240 00:19:26,582 --> 00:19:28,792 冷たくも温かくもない 241 00:19:29,459 --> 00:19:32,004 (ぬい)お前の手は まだ温かいよ 242 00:19:32,921 --> 00:19:36,508 手だけじゃあない 私にもう 目玉はないが― 243 00:19:37,009 --> 00:19:42,014 お前の目玉がこちらを見ると まるで 日の当たるように 温かだ 244 00:19:42,931 --> 00:19:48,270 あの ほの暗い池の傍らで それが どんなに懐かしかったか… 245 00:19:48,395 --> 00:19:52,024 さあ ヨキ この先は 片目を閉じて おゆき 246 00:19:52,941 --> 00:19:55,319 1つは 銀蟲にくれてやれ 247 00:19:55,444 --> 00:19:58,030 トコヤミから抜け出すために 248 00:19:58,322 --> 00:20:01,283 だが もう1つは 固く閉じろ 249 00:19:58,322 --> 00:20:01,283 (ヨキ)ふっ… うう… 250 00:20:01,950 --> 00:20:05,037 また日の光を見るために 251 00:20:05,621 --> 00:20:07,998 あっ… いけない 252 00:20:08,290 --> 00:20:10,042 銀蟲が目を覚ます 253 00:20:14,713 --> 00:20:16,340 (ヨキ)あ… ぬ…! 254 00:20:26,600 --> 00:20:29,436 あれが 銀蟲… 255 00:20:29,561 --> 00:20:31,230 常闇の底の…― 256 00:20:31,855 --> 00:20:33,649 目のない魚… 257 00:20:35,984 --> 00:20:40,072 (ぬい)恐れや怒りに 目を くらまされるな 258 00:20:40,197 --> 00:20:45,077 皆 ただ それぞれが あるように あるだけ 259 00:20:55,629 --> 00:20:56,922 (ヨキ)土のにおいがする 260 00:21:06,890 --> 00:21:08,850 また 月… 261 00:21:11,728 --> 00:21:13,605 これで何回目だっけ 262 00:21:15,107 --> 00:21:18,235 分からなくなった… ハッ! 263 00:21:19,653 --> 00:21:21,530 俺の名前… 264 00:21:22,030 --> 00:21:26,243 こういう時 どうすれば いいんだったっけ… 265 00:21:32,165 --> 00:21:34,126 (ヨキ)その翌日― 266 00:21:39,214 --> 00:21:42,301 右目は日の光を見ていた 267 00:21:45,971 --> 00:21:46,805 (男)ん? 268 00:21:47,472 --> 00:21:50,392 なんだ おめえ 見ねえガキだな 269 00:21:50,517 --> 00:21:51,810 お おい! 270 00:21:57,274 --> 00:21:58,567 おう 戻ったぞ 271 00:21:59,067 --> 00:22:01,069 起きてて平気か? 無理すんな 272 00:22:01,194 --> 00:22:02,029 (ヨキ)うん 273 00:22:02,154 --> 00:22:03,280 (男)で どうだ? 274 00:22:03,363 --> 00:22:05,782 名前以外に 何か 思い出せたか? 275 00:22:07,451 --> 00:22:08,285 いいや 276 00:22:08,535 --> 00:22:11,788 まあいいさ なんなら ずっと いてもいいぞ 277 00:22:11,913 --> 00:22:14,791 ともかく 明日 村長のとこ 顔 出しとこう 278 00:22:15,959 --> 00:22:16,793 (ヨキ)ただ― 279 00:22:20,756 --> 00:22:26,344 左目の穴は 日の下においても 闇をすくいとったかのように暗く― 280 00:22:27,095 --> 00:22:30,348 それは奇妙なものを 寄せつけた 281 00:22:32,225 --> 00:22:34,478 このまま ここに寄せ続けたら― 282 00:22:34,603 --> 00:22:37,439 きっと あれらは災いを呼ぶ 283 00:22:37,898 --> 00:22:39,858 そんな気がする… 284 00:22:41,193 --> 00:22:44,071 (男)おい ギンコ 飯にするぞ 285 00:22:45,489 --> 00:22:46,573 あれ… 286 00:22:47,199 --> 00:22:49,743 ギンコ~ お~い 287 00:22:50,410 --> 00:22:52,537 どこ 行っちまったんだ 288 00:22:54,372 --> 00:23:00,378 ♪~ 289 00:23:32,285 --> 00:23:38,291 ~♪