1 00:00:01,730 --> 00:00:05,190 《潤:女ってのは 身勝手な生き物だと思う。 2 00:00:05,190 --> 00:00:09,330 そうしたいから。 こっちのほうが楽しいから。 3 00:00:09,330 --> 00:00:13,370 正しいとか間違ってるとかは 関係なくて➡ 4 00:00:13,370 --> 00:00:16,300 自分がよければ それでいいんだ》 5 00:00:21,420 --> 00:00:25,420 (カヤ)驚いた。 今日も飛ぶの? なんて軽々しい。 6 00:00:25,420 --> 00:00:28,430 あなた そんなこと 60年も 繰り返してきたの? 7 00:00:28,430 --> 00:00:30,430 (あらし)うん。 (一)うんうん。 8 00:00:30,430 --> 00:00:32,430 (カヤ)いいこと? あらし。 9 00:00:32,430 --> 00:00:34,770 あなたは 事の重大性を ちっとも わかっていないわ。 10 00:00:34,770 --> 00:00:36,770 だって じっとしていられる? 11 00:00:36,770 --> 00:00:40,110 私たちみたいな子が 他に いるかもしれないんだよ。 12 00:00:40,110 --> 00:00:43,110 行こう 一ちゃん。 あいよ。 13 00:00:52,120 --> 00:00:54,320 ちょっ ちょっと! 14 00:01:07,400 --> 00:01:10,400 何? (潤)ちょっと カヤさん いいですか。 15 00:01:10,400 --> 00:01:13,410 俺 調べてみたんですけど。 16 00:01:13,410 --> 00:01:16,410 (潤)カヤさんたちが来た 昭和20年って➡ 17 00:01:16,410 --> 00:01:19,080 戦争の真っただ中ですよね。 18 00:01:19,080 --> 00:01:21,080 そうよ。 19 00:01:21,080 --> 00:01:25,750 (カヤ)空襲の爆発に巻き込まれて 気がついたら…。 20 00:01:25,750 --> 00:01:29,420 (潤)あなたも 通じる相手を 捜しているんですか? 21 00:01:29,420 --> 00:01:33,430 ええ。 言っておきますけど 俺は お断りですよ。 22 00:01:33,430 --> 00:01:36,430 こんな危ないところになんか 行かないですからね。 23 00:01:36,430 --> 00:01:41,770 大丈夫よ。 あなたと私が 通じることは 決して ないわ。 24 00:01:41,770 --> 00:01:44,370 あら 潤 髪が…。 25 00:01:48,440 --> 00:01:51,140 女には 触ってほしくないんです。 26 00:01:55,110 --> 00:01:58,810 男のくせに 情けないこと言うのね。 27 00:02:01,720 --> 00:02:04,320 あっ…。 あっ! 28 00:02:08,390 --> 00:02:12,730 (マスター)うお~い 何してんだ? ケンカしてる間は…。 29 00:02:12,730 --> 00:02:14,730 時給 発生しねえぞ。 30 00:03:49,370 --> 00:03:52,470 イテッ! イテテテテ…。 31 00:03:52,470 --> 00:03:56,810 (一/あらし)たっだいま~。 32 00:03:56,810 --> 00:04:00,320 (一)どうしたんすか? ナマズの寝起きみたいな顔して。 33 00:04:00,320 --> 00:04:02,320 あれっ? 潤くんとカヤは? 34 00:04:02,320 --> 00:04:06,990 消えた 2人とも 目の前で。 35 00:04:06,990 --> 00:04:09,690 (2人)えっ? え~っ! 36 00:04:13,660 --> 00:04:29,340 ♪~ 37 00:04:29,340 --> 00:04:32,340 (カヤ)まさか 時を飛んでしまったの!? 38 00:04:35,680 --> 00:04:38,350 (カヤ)昭和20年4月2日。 39 00:04:38,350 --> 00:04:41,690 もしかして さっき見ていた新聞記事のせい? 40 00:04:41,690 --> 00:04:43,690 でも だとすると…。 41 00:04:43,690 --> 00:04:47,700 ちょっと カヤさん? あの 飛んだって まさか…。 42 00:04:47,700 --> 00:04:52,300 あなた 女の子なの? えっ なっ なんで? 43 00:04:52,300 --> 00:04:54,970 私は 女の子としか通じないの。 44 00:04:54,970 --> 00:04:57,970 潤 どうして 男装なんて…。 45 00:04:57,970 --> 00:05:00,980 こっ これは わけがあって…。 46 00:05:00,980 --> 00:05:02,980 誰だ? 47 00:05:04,980 --> 00:05:09,990 うん? カヤちゃんか。 店長。 48 00:05:09,990 --> 00:05:13,990 その子は? あっ 大森の近くに住んでる子。 49 00:05:13,990 --> 00:05:17,330 あっ ああ。 しかし なぜ こんな時間に? 50 00:05:17,330 --> 00:05:21,000 あっ あの それは…。 51 00:05:21,000 --> 00:05:23,000 何事だ!? 52 00:05:23,000 --> 00:05:25,330 近隣住民からの通報があった。 53 00:05:25,330 --> 00:05:28,000 強い光があったそうだが 何かあったのか? 54 00:05:28,000 --> 00:05:31,010 (カヤ)憲兵さん。 むっ 西洋人ではないか。 55 00:05:31,010 --> 00:05:34,340 貴様 諜報か? 一緒に来てもらおう。 56 00:05:34,340 --> 00:05:37,680 痛っ! 待ってください。 57 00:05:37,680 --> 00:05:39,680 彼女は 私の友人で➡ 58 00:05:39,680 --> 00:05:42,680 大森から通っている ドイツ人留学生です。 59 00:05:42,680 --> 00:05:45,350 同盟国には 失礼のないようにせねば。 60 00:05:45,350 --> 00:05:49,690 しかし…。 憲兵殿 私のこの脚に免じて➡ 61 00:05:49,690 --> 00:05:53,630 この場は お収めいただけませんでしょうか。 62 00:05:53,630 --> 00:05:57,630 むぅ。 しっ しかたあるまい。 感謝します。 63 00:05:57,630 --> 00:06:02,640 ただし 灯火管制は 厳守するよう。 はい。 64 00:06:02,640 --> 00:06:06,640 ふぅ…。 (扉が閉まる音) 65 00:06:06,640 --> 00:06:08,640 ごめんなさい。 66 00:06:11,650 --> 00:06:13,820 とっておきの豆があるんだ。 67 00:06:13,820 --> 00:06:17,920 せっかくのお客様だからね 特別に。 どうぞ。 68 00:06:20,320 --> 00:06:23,990 そうだ カヤちゃん。 昼間 来たときに貸してくれた小説➡ 69 00:06:23,990 --> 00:06:26,330 読んでみたよ。 70 00:06:26,330 --> 00:06:28,330 カヤちゃん? はい。 71 00:06:28,330 --> 00:06:30,330 どうしたの? (カヤ)いえ。 72 00:06:30,330 --> 00:06:33,000 《そっか。 カヤさんにしてみれば➡ 73 00:06:33,000 --> 00:06:35,670 ひと夏ぶりに 会ったことになるんだ》 74 00:06:35,670 --> 00:06:39,010 そういえば カヤちゃん ドイツには 戻れそうかい? 75 00:06:39,010 --> 00:06:41,340 (カヤ)あっ えっと… いえ。 76 00:06:41,340 --> 00:06:45,010 今は 帰国手段がないので 心配は 心配なのですが…。 77 00:06:45,010 --> 00:06:48,350 そっか。 カヤちゃん ドイツに いい人がいるんだね。 78 00:06:48,350 --> 00:06:50,620 えっ! いえ いません。 79 00:06:50,620 --> 00:06:54,290 そんな からかわないでください。 80 00:06:54,290 --> 00:06:58,790 《意外。 わかりやすい人なんだ》 81 00:06:58,790 --> 00:07:00,790 あっ おいしい。 82 00:07:02,960 --> 00:07:06,970 夜も遅いし 送ろうか。 (カヤ)えっ それは 悪いですよ。 83 00:07:06,970 --> 00:07:11,170 いや 僕が そうしたいんだ。 送らせてくれないか? 84 00:07:14,310 --> 00:07:18,980 《ふ~ん。 昔の人の恋愛 か》 85 00:07:18,980 --> 00:07:22,880 (潤)ねぇ カヤさん。 俺 桜 見て 帰りたいな。 86 00:07:25,320 --> 00:07:30,330 きれいな夜桜だ。 今が戦争中だなんて思えないな。 87 00:07:30,330 --> 00:07:33,330 あ~ なんだか 申し訳ないな。 88 00:07:33,330 --> 00:07:37,330 なぜ 僕だけ生き残ってしまったのか。 89 00:07:37,330 --> 00:07:40,670 そんな…。 90 00:07:40,670 --> 00:07:45,670 僕はね 怖いんだ。 いや 戦って死ぬことがじゃない。 91 00:07:45,670 --> 00:07:48,010 日本の行く末がだ。 92 00:07:48,010 --> 00:07:52,280 家族や友人や恋人が どんなつらい目に遭うか。 93 00:07:52,280 --> 00:07:54,620 それを思うと たまらなくなる。 94 00:07:54,620 --> 00:07:56,620 《いい雰囲気じゃん。 95 00:07:56,620 --> 00:08:00,620 でも 会話の内容が暗すぎるな あれじゃあ》 96 00:08:00,620 --> 00:08:04,960 潤 あんまり離れないで 一緒に歩きなさい。 97 00:08:04,960 --> 00:08:06,960 (カヤ)迷子になるわよ。 98 00:08:06,960 --> 00:08:09,300 《せっかく気ぃ利かせてんのに》 99 00:08:09,300 --> 00:08:11,630 わかってるよ。 100 00:08:11,630 --> 00:08:14,300 さっさと告白すれば? なっ…。 101 00:08:14,300 --> 00:08:16,640 めったなこと言わないで! 102 00:08:16,640 --> 00:08:19,640 あっ…。 危ない。 103 00:08:28,320 --> 00:08:31,990 《わっ 絵みたい》 104 00:08:31,990 --> 00:08:35,320 ごっ ごめんなさい。 私 とんでもないことを…。 105 00:08:35,320 --> 00:08:37,660 いや いいんだって。 でも…。 106 00:08:37,660 --> 00:08:42,330 僕だって 少しくらい 大事な人を守らないとさ。 107 00:08:42,330 --> 00:08:45,130 《うわっ! 今のって告白!?》 108 00:08:55,610 --> 00:08:59,950 (カヤ)あの 本当に申し訳ないのですが➡ 109 00:08:59,950 --> 00:09:03,290 私たちは このへんで結構です。 えっ? 110 00:09:03,290 --> 00:09:06,290 どうか お願いします。 111 00:09:06,290 --> 00:09:10,290 そうか。 うん すまなかったね。 112 00:09:18,300 --> 00:09:23,640 なんで? あの人が嫌い? それとも あなたの勝手な都合? 113 00:09:23,640 --> 00:09:27,310 潤 あの人はね➡ 114 00:09:27,310 --> 00:09:31,650 ひと月後には 空襲で亡くなるのよ。 115 00:09:31,650 --> 00:09:34,980 だったら 助けなきゃ! 今のうちに教えてあげれば➡ 116 00:09:34,980 --> 00:09:38,150 空襲に巻き込まれずに 生き延びることができるんでしょ。 117 00:09:38,150 --> 00:09:41,320 できないのよ。 できないって どうして!? 118 00:09:41,320 --> 00:09:45,330 (カヤ)いいこと 潤。 これは とても危険なことなのよ。 119 00:09:45,330 --> 00:09:49,000 時を飛んで 過去で何かを起こせば➡ 120 00:09:49,000 --> 00:09:52,330 現代で 想像もつかない結果を生むのよ。 121 00:09:52,330 --> 00:09:55,670 本当は こうして ここに来ることも➡ 122 00:09:55,670 --> 00:09:59,970 あの人に会うことも 絶対に してはいけないことなの。 絶対に。 123 00:10:02,010 --> 00:10:07,410 (カヤ)でも 私は つい何度も何度も あの人に会いに来てしまう。 124 00:10:10,690 --> 00:10:14,190 あの人に会うことだけは どうしても やめられない。 125 00:10:14,190 --> 00:10:17,030 だったら…。 (カヤ)私は あの時代➡ 126 00:10:17,030 --> 00:10:20,030 一度も あの人に 好きだと言えなかった。 127 00:10:20,030 --> 00:10:24,030 今更 今の私が あのときの 気持ちを伝えるなんて➡ 128 00:10:24,030 --> 00:10:27,700 決して してはいけないの。 わかる? 129 00:10:27,700 --> 00:10:33,380 私は 60年 あの人を ただ 見殺しにし続けてきたのよ。 130 00:10:33,380 --> 00:10:36,040 すっ すみません。 131 00:10:36,040 --> 00:10:39,740 潤 泣いては ダメよ。 132 00:10:44,720 --> 00:10:47,390 (空襲警報音) 133 00:10:47,390 --> 00:10:49,390 空襲警報!? 134 00:10:49,390 --> 00:10:52,660 そんな! 今は まだ2日の深夜のはず。 135 00:10:52,660 --> 00:10:54,660 まさか…。 136 00:10:54,660 --> 00:11:00,360 (空襲警報音) 137 00:11:14,680 --> 00:11:19,020 やっぱし カヤさんと上賀茂のヤツ 通じちまったんですかね。 138 00:11:19,020 --> 00:11:21,020 う~ん たぶんね。 139 00:11:21,020 --> 00:11:24,360 つうか 帰ってこないっすね。 う~ん たぶんね。 140 00:11:24,360 --> 00:11:28,360 あらしさんって 実は 俺のこと タイプっすよね。 141 00:11:28,360 --> 00:11:30,370 うん たぶんね。 142 00:11:30,370 --> 00:11:33,700 もう 俺のこと チューってして ギューって したいくらい➡ 143 00:11:33,700 --> 00:11:37,370 大好き ラブラブですよね? う~ん たぶんね。 144 00:11:37,370 --> 00:11:40,710 うっしゃ~! って 完全に上の空。 145 00:11:40,710 --> 00:11:43,040 あらしさん さっきから 何してるんすか? 146 00:11:43,040 --> 00:11:46,050 ここの汚れが しつこいの。 147 00:11:46,050 --> 00:11:48,380 うん? 「の」の字? 148 00:11:48,380 --> 00:11:50,990 (塩谷) あの~ すみません 塩ください。 149 00:11:50,990 --> 00:11:54,320 ああ これって彫ってあるんだ。 気づくの遅っ! 150 00:11:54,320 --> 00:11:56,990 ずっと汚れだと思って 拭いてたよ。 アハハハ…。 151 00:11:56,990 --> 00:12:01,330 いや~ そんなとこも あらしさんの魅力っす。 152 00:12:01,330 --> 00:12:05,670 何だこれ? 上賀茂のか? 自由研究? 153 00:12:05,670 --> 00:12:08,670 (塩谷)塩ください。 154 00:12:08,670 --> 00:12:10,670 あらしさん。 155 00:12:10,670 --> 00:12:15,680 (空襲警報音) 156 00:12:15,680 --> 00:12:17,680 (潤)カヤさん! 157 00:12:23,690 --> 00:12:25,690 店長。 158 00:12:25,690 --> 00:12:30,360 (空襲警報音) 159 00:12:30,360 --> 00:12:33,030 店長! 160 00:12:33,030 --> 00:12:35,030 (カヤ)いないんですか? 店長。 161 00:12:35,030 --> 00:12:37,030 あの~。 162 00:12:37,030 --> 00:12:41,700 ここなら 安全よ。 軍需工場も高射砲もないし。 163 00:12:41,700 --> 00:12:45,370 あっ そうか。 何より歴史が証明していますよね。 164 00:12:45,370 --> 00:12:48,710 今の方舟には 爆撃の跡なんて ないもの。 165 00:12:48,710 --> 00:12:51,650 ええ。 なんとか やり過ごして➡ 166 00:12:51,650 --> 00:12:54,320 早く元の時代に戻らないと。 うっ…。 167 00:12:54,320 --> 00:12:56,650 どうしたの? 歴史を変えてしまった。 168 00:12:56,650 --> 00:13:00,450 えっ? あの人 夜間空襲に 慌てて出ていったんだわ。 169 00:13:02,660 --> 00:13:05,330 (カヤ)本当は 今日 私たちが来なければ➡ 170 00:13:05,330 --> 00:13:09,000 警報まで寝ていて ここで助かるはずだったの。 171 00:13:09,000 --> 00:13:12,700 私が 来たせいで…。 カヤさん。 172 00:13:15,340 --> 00:13:18,340 行かなきゃ。 えっ? 待ってよ。 173 00:13:18,340 --> 00:13:21,340 (潤)カヤさんが行ったら ここに 独りぼっちになっちゃうじゃん。 174 00:13:21,340 --> 00:13:26,010 万が一 帰れなくなったら どうするの? 175 00:13:26,010 --> 00:13:30,690 まさか 一緒に ついてこい って言うんじゃないよね? 176 00:13:30,690 --> 00:13:36,360 (カヤ)万が一 私が行って死ねば どのみち あなたも帰れなくなる。 177 00:13:36,360 --> 00:13:38,690 私は 行かなきゃならない。 178 00:13:38,690 --> 00:13:42,700 (潤)ムチャクチャだ! 忘れないで。 こっちは 無関係なんだよ。 179 00:13:42,700 --> 00:13:48,040 あなたには 私を無事 元の世界に 戻す義務がある。 そうでしょ!? 180 00:13:48,040 --> 00:13:52,640 (カヤ)ムチャだとか それが 当たり前の時代なのよ。 わかって。 181 00:13:52,640 --> 00:13:55,310 勝手に連れてきたくせに 死ねっていうの? 182 00:13:55,310 --> 00:13:58,980 (カヤ)そうよ。 私も ここでは 生身の人間なのよ。 183 00:13:58,980 --> 00:14:00,980 あなたと何も変わらない。 184 00:14:00,980 --> 00:14:03,680 巻き込まれたからには しようがないの! 185 00:14:06,650 --> 00:14:08,660 《潤:痛感した。 186 00:14:08,660 --> 00:14:14,660 この人の恋愛は こんなところに 確実に根付いているのだ。 187 00:14:14,660 --> 00:14:18,330 ホントに 女という生き物は なんて 身勝手。 188 00:14:18,330 --> 00:14:21,670 私は 死を目の前にしてなお➡ 189 00:14:21,670 --> 00:14:24,670 この女性に 引きずられていかねばならない》 190 00:14:26,670 --> 00:14:30,010 (空襲警報音) 191 00:14:30,010 --> 00:14:32,010 防空壕へ急げ! 192 00:14:32,010 --> 00:14:36,350 (ざわめき) 193 00:14:36,350 --> 00:14:38,690 ぐずぐずするな! 194 00:14:38,690 --> 00:14:43,690 (ざわめき) 195 00:14:43,690 --> 00:14:48,030 《潤:不思議な気分だ。 時代の違いを除けば➡ 196 00:14:48,030 --> 00:14:51,630 自分たちと そう遠くない日常が感じられる。 197 00:14:51,630 --> 00:14:54,300 横浜が爆撃されなかったのは➡ 198 00:14:54,300 --> 00:14:57,970 新型爆弾の投下候補に 選定されていたからだと➡ 199 00:14:57,970 --> 00:15:00,640 カヤさんは 言っていた》 200 00:15:00,640 --> 00:15:02,640 潤 急いで。 201 00:15:02,640 --> 00:15:05,980 ねぇ カヤさん ホントに爆弾が落ちるの? ここに? 202 00:15:05,980 --> 00:15:09,650 (カヤ)そうよ。 横浜は もう候補から外れたの。 203 00:15:09,650 --> 00:15:11,990 加えて 米軍の指揮官が代わって➡ 204 00:15:11,990 --> 00:15:15,690 これからは 民間人だろうと 街ごと…。 205 00:15:23,000 --> 00:15:25,700 何? 照明弾よ。 206 00:15:30,510 --> 00:16:32,330 ♪~ 207 00:16:32,330 --> 00:16:36,340 《潤:ダメだ。 こんな 絶対に…。 208 00:16:36,340 --> 00:16:38,440 現実じゃない》 209 00:16:45,680 --> 00:16:49,180 (カヤ)潤 潤 潤! 210 00:16:51,620 --> 00:16:54,290 しっかりなさい! あっ…。 211 00:16:54,290 --> 00:16:57,290 走るわよ。 手を離さないで。 212 00:16:57,290 --> 00:16:59,290 うん。 213 00:17:01,960 --> 00:17:07,360 (ざわめき) 214 00:17:10,640 --> 00:17:14,310 店長! カヤちゃん なぜ ここへ? 215 00:17:14,310 --> 00:17:16,310 (カヤ)早く避難してください! 216 00:17:16,310 --> 00:17:18,650 家が 両親が 中に いるかもしれないんだ。 217 00:17:18,650 --> 00:17:22,320 (カヤ)無事です。 皆さんと 八幡神社にいるところを見ました。 218 00:17:22,320 --> 00:17:25,990 えっ 本当に? ええ。 219 00:17:25,990 --> 00:17:29,660 神社から ここまでは だいぶある。 なぜ わかる? 220 00:17:29,660 --> 00:17:32,330 そっ それは 前に来たとき…。 221 00:17:32,330 --> 00:17:36,000 どういうことなんだい? カヤちゃん。 言えません。 222 00:17:36,000 --> 00:17:40,670 《この期に及んで この人は まだ歴史うんぬんを気にして…》 223 00:17:40,670 --> 00:17:44,010 とにかく ここは危険だ。 僕は 中を確認してくる。 224 00:17:44,010 --> 00:17:46,010 (カヤ)そんな! 無理です。 しかし…。 225 00:17:46,010 --> 00:17:50,010 《潤:ああ なんで 私は こんなところにいるの? 226 00:17:50,010 --> 00:17:52,950 油のニオイ 立ちこめる煙➡ 227 00:17:52,950 --> 00:17:58,290 耳から離れない爆撃機のごう音 嫌な夕立のような音➡ 228 00:17:58,290 --> 00:18:01,290 そして 死の予感。 229 00:18:01,290 --> 00:18:05,290 なのに この2人ときたら 一方的に人を巻き込んで➡ 230 00:18:05,290 --> 00:18:07,960 ひるまないほど好きなくせに それを言わない。 231 00:18:07,960 --> 00:18:12,300 相手だって カヤさんのことが 好きなくせに 応えてあげない》 232 00:18:12,300 --> 00:18:14,640 お願いです。 早く逃げて! 233 00:18:14,640 --> 00:18:16,970 ダメだ。 すぐに追いかけるから➡ 234 00:18:16,970 --> 00:18:19,310 カヤちゃんは 先に避難していてくれ。 235 00:18:19,310 --> 00:18:21,910 嫌です。 カヤちゃん。 236 00:18:24,650 --> 00:18:28,980 《潤:そんな… そんな場合じゃないでしょ!》 237 00:18:28,980 --> 00:18:31,990 いいかげんにして! (カヤ)潤。 238 00:18:31,990 --> 00:18:34,990 こんなときに 何グダグダやってんのよ! 239 00:18:34,990 --> 00:18:38,990 (潤)こんな こんな目に遭って なんで 信じてあげないの? 240 00:18:38,990 --> 00:18:41,000 ここまで 遊びに来たとでも? 241 00:18:41,000 --> 00:18:45,670 女が命かけてんのよ! 男のくせに その意味も わかんないの!? 242 00:18:45,670 --> 00:18:48,340 カヤさんも カヤさんだよ。 意気地なし! 243 00:18:48,340 --> 00:18:52,340 自分の気持ち殺してまで 守るものなんて 絶対にない! 244 00:18:58,280 --> 00:19:01,280 (潤)こんな理不尽な死に方 嫌! 245 00:19:01,280 --> 00:19:04,880 お願いだから 家に帰して! 246 00:19:07,960 --> 00:19:10,360 しまった。 炎に囲まれた。 247 00:19:13,290 --> 00:19:16,590 《潤:もう ダメだ。 こんなところで死ぬなんて》 248 00:19:19,300 --> 00:19:21,400 (一)潤! 249 00:19:24,640 --> 00:19:27,310 正義の味方! 参上! 250 00:19:27,310 --> 00:19:31,310 いいか 潤。 ヒーローの消火器は 30秒しか もたねえ。 251 00:19:31,310 --> 00:19:33,910 (一)サクサク逃げるべし! いいな!? 252 00:19:40,320 --> 00:19:44,990 (一)おい 何ともねえなら もう 元気 出せよな。 253 00:19:44,990 --> 00:19:48,000 さあ 帰ろう。 254 00:19:48,000 --> 00:19:52,000 なんだ オメエ その目 泣いてた? うわっ だっせぇ。 255 00:19:52,000 --> 00:19:55,670 男のくせに やはり都会っ子。 イッタ! 256 00:19:55,670 --> 00:19:58,970 よかったじゃねえか。 生きてる証拠だ。 257 00:20:03,340 --> 00:20:05,940 《生きている。 奇跡だ》 258 00:20:08,020 --> 00:20:11,690 (カヤ)まったく。 勝手なことを言ってくれたものね。 259 00:20:11,690 --> 00:20:14,690 私の60年間を 台なしにするつもり!? 260 00:20:14,690 --> 00:20:16,690 (潤)なっ…。 261 00:20:24,370 --> 00:20:26,700 (カヤ)ありがとう。 262 00:20:26,700 --> 00:20:29,400 少しだけ楽になったわ。 263 00:20:35,040 --> 00:20:37,710 《潤:あとで 少し考えてみた。 264 00:20:37,710 --> 00:20:41,380 あんな目に遭っても 思いを伝えられない この人は➡ 265 00:20:41,380 --> 00:20:44,720 どんな気持ちで 60年も生きてきたのだろう。 266 00:20:44,720 --> 00:20:49,060 無愛想極まりない その口を ついて出た言葉は➡ 267 00:20:49,060 --> 00:20:54,060 60年分の重い ありがとうだった気がした》 268 00:22:34,360 --> 00:22:36,530 (加奈子) そう。 それは よかったわ。 269 00:22:36,530 --> 00:22:39,370 (やよゐ)また おもしろい本を読みましたのよ。 270 00:22:39,370 --> 00:22:42,040 (加奈子)まぁ。 それは 何という本かしら? 271 00:22:42,040 --> 00:22:46,540 (やよゐ)それは… ああ タイトルを忘れてしまったわ。 272 00:22:46,540 --> 00:22:49,040 どんなお話か聞かせてくださる? 273 00:22:49,040 --> 00:22:52,310 (やよゐ)ええ よろしくてよ。 274 00:22:52,310 --> 00:22:56,320 それは 随意なる学び舎での物語。 275 00:22:56,320 --> 00:22:58,990 突如 現れた端麗な指導者に➡ 276 00:22:58,990 --> 00:23:01,990 感興をわかせた 個性豊かな学童たちは➡ 277 00:23:01,990 --> 00:23:04,330 さまざまな遊戯を繰り返す。 278 00:23:04,330 --> 00:23:08,330 学童たちの純粋な瞳の奥に 隠されし求知心にも➡ 279 00:23:08,330 --> 00:23:13,330 強き信念を指針とした指導者は 熱い魂をもって応え➡ 280 00:23:13,330 --> 00:23:17,340 そして しだいに学級の心は 一つとなっていくのであった。 281 00:23:17,340 --> 00:23:20,340 (加奈子)まぁ なんて すてきなお話でしょう。 282 00:23:20,340 --> 00:23:24,680 (やよゐ)その艶麗な指導者には 決まった口癖があるの。 283 00:23:24,680 --> 00:23:26,680 何? 聞かせて。 284 00:23:26,680 --> 00:23:29,380 (やよゐ)いや~ん! まいっちん…。