1 00:00:01,751 --> 00:00:05,463 {\an8}♪〜 2 00:01:24,125 --> 00:01:30,131 {\an8}〜♪ 3 00:01:34,010 --> 00:01:35,512 {\an8}(ニャンコ先生) あ〜 疲れた 4 00:01:35,637 --> 00:01:38,139 {\an8}おい 夏目(なつめ) おんぶしてくれ 5 00:01:38,264 --> 00:01:41,017 {\an8}(夏目)ヤダよ 余計 暑くなるだろう 6 00:01:41,184 --> 00:01:43,102 {\an8}にゃんだと? お前には— 7 00:01:43,228 --> 00:01:45,522 {\an8}いたわりの精神と いうものがないのか! 8 00:01:45,980 --> 00:01:49,859 先生が急に 七辻屋(ななつじや)の水ようかんが 食べたいなんて言いだすから— 9 00:01:49,984 --> 00:01:51,986 買いに行くことになったんだぞ (クラクション) 10 00:01:53,488 --> 00:01:54,531 (ニャンコ先生)ウオッ! 11 00:01:55,281 --> 00:01:56,533 (老人)ギャッ… (ニャンコ先生)うん? 12 00:01:59,494 --> 00:02:00,411 ハッ… 13 00:02:01,663 --> 00:02:02,872 大丈夫ですか? 14 00:02:02,997 --> 00:02:07,001 (老人) ウウ… イタタタタ… 腰が… 15 00:02:07,127 --> 00:02:09,629 すまんが 手を貸してくれ 16 00:02:09,754 --> 00:02:11,673 (夏目)いいですよ さあ… 17 00:02:12,048 --> 00:02:13,800 うん? えっ? 18 00:02:15,051 --> 00:02:18,388 (老人)お若いの わしの住まいは すぐ そこなんだが 19 00:02:18,513 --> 00:02:20,390 どうか 運んでくれまいか? 20 00:02:20,515 --> 00:02:22,934 えっ? ああ はい 21 00:02:23,852 --> 00:02:26,437 (夏目)どの辺りですか? (老人)あそこだ 22 00:02:28,731 --> 00:02:31,484 (夏目)遠いな… もう隣町だ 23 00:02:33,653 --> 00:02:34,988 (ため息) 24 00:02:45,248 --> 00:02:49,460 (夏目) 軽いな… お年寄りの体って こんなものなんだろうか 25 00:02:49,586 --> 00:02:52,422 (小妖怪A) おい あれは友人帳(ゆうじんちょう)の夏目だぞ 26 00:02:52,547 --> 00:02:54,591 (小妖怪B)ヒイッ… 名前を奪われては かなわん 27 00:02:54,716 --> 00:02:55,842 逃げろ! 28 00:02:56,217 --> 00:02:57,093 ンッ… 29 00:02:58,011 --> 00:03:02,599 (老人)ほう… お若いの 面白い物を持っているようだな 30 00:03:02,724 --> 00:03:03,391 あっ… 31 00:03:03,516 --> 00:03:04,976 (夏目)しまった! 妖怪か? 32 00:03:05,560 --> 00:03:08,354 {\an8}ようやく気がついたか マヌケめ 33 00:03:08,563 --> 00:03:11,816 {\an8}(夏目) 先生… そういうのは 早く指摘してくれ 34 00:03:11,941 --> 00:03:13,610 {\an8}(ニャンコ先生) そいつからは 消え入りそうな— 35 00:03:13,735 --> 00:03:15,862 {\an8}妖気しか 感じないので— 36 00:03:16,029 --> 00:03:17,947 いつ気づくかと黙っていたのだ 37 00:03:18,072 --> 00:03:18,823 (ため息) 38 00:03:18,948 --> 00:03:22,118 (銀杏の樹の妖怪) お若いの あと少しだから頼む 39 00:03:22,243 --> 00:03:24,871 ほれ この先に灯籠があるだろう 40 00:03:25,288 --> 00:03:26,623 あの横だ 41 00:03:28,249 --> 00:03:29,125 (妖怪)ンンッ… 42 00:03:30,710 --> 00:03:33,463 アア… やっと戻ってこられた 43 00:03:33,588 --> 00:03:36,883 お若いの すまないが 水をくんできてくれんか? 44 00:03:37,800 --> 00:03:39,385 ここが住まいなのか? 45 00:03:39,969 --> 00:03:44,140 (妖怪)住まいというより これが わしそのものなのだ 46 00:03:44,599 --> 00:03:46,517 (夏目) この木は 確か今朝… 47 00:03:47,352 --> 00:03:51,022 (滋(しげる))うん? スズナルの樹(き)が 伐採されてしまったようだ 48 00:03:51,314 --> 00:03:54,734 (塔子(とうこ))スズナルの樹? (滋)ああ ほら… 49 00:03:55,193 --> 00:03:57,362 (滋)隣町のお宮さまの参道に— 50 00:03:57,487 --> 00:04:02,033 樹齢 何百年という 見事な イチョウの大木があったんだが— 51 00:04:02,200 --> 00:04:04,786 こないだの雷で 折れてしまったんだ 52 00:04:04,911 --> 00:04:06,204 (塔子)まあ… 53 00:04:07,455 --> 00:04:10,291 (妖怪) いやぁ… ひどい目に遭ったわ 54 00:04:10,416 --> 00:04:14,545 (雨の音) 55 00:04:14,671 --> 00:04:18,299 (雷鳴) 56 00:04:18,466 --> 00:04:19,968 (落雷音) 57 00:04:20,093 --> 00:04:23,346 (妖怪) 突然 目の前が真っ白になってな 58 00:04:29,060 --> 00:04:30,186 うん? 59 00:04:30,311 --> 00:04:31,688 オッ! アアッ… 60 00:04:33,564 --> 00:04:37,944 …とまあ 危うく 薪(まき)にされるところを逃げてきたのだ 61 00:04:38,444 --> 00:04:39,696 (夏目)アア… 62 00:04:39,904 --> 00:04:44,826 (水を注ぐ音) 63 00:04:44,951 --> 00:04:48,705 フゥ… おかげで生き返ったわ 64 00:04:48,955 --> 00:04:52,250 (ニャンコ先生)おい 夏目 いつまで ここにいるのだ? 65 00:04:52,375 --> 00:04:54,627 水ようかんが売り切れてしまうぞ 66 00:04:54,752 --> 00:04:56,212 (夏目)ああ そうだな 67 00:04:56,546 --> 00:04:57,213 (妖怪)うん? 68 00:04:57,463 --> 00:05:00,091 じゃ 俺たち そろそろ行くな 69 00:05:00,216 --> 00:05:02,969 (妖怪)待ってくれ 夏目とやら 70 00:05:03,094 --> 00:05:08,516 頼まれついでに もうひとつ 老人の願い事を聞いてくれぬか? 71 00:05:08,641 --> 00:05:10,727 (夏目) 面倒なことじゃないだろうな? 72 00:05:10,893 --> 00:05:13,479 いやぁ… 大したことではない 73 00:05:13,604 --> 00:05:18,234 これから数日 ここに こうして 水をやりに来てほしいのだ 74 00:05:18,484 --> 00:05:19,235 えっ? 75 00:05:19,485 --> 00:05:22,238 なに そう長い間ではない 76 00:05:22,488 --> 00:05:26,242 この木と共に わしの命も まもなく尽きる 77 00:05:26,784 --> 00:05:30,371 だが ひとつ 心残りがあってなぁ 78 00:05:31,122 --> 00:05:34,375 約束をしたのだ ある人間と 79 00:05:34,792 --> 00:05:35,626 (夏目)あっ… 80 00:05:36,002 --> 00:05:38,004 (妖怪)とても大切な約束だ 81 00:05:38,129 --> 00:05:41,424 それを果たさぬまま 消えるわけにはいかぬ 82 00:05:41,549 --> 00:05:42,508 (夏目)一体 どんな… 83 00:05:42,633 --> 00:05:44,635 (ニャンコ先生) おい 夏目 放っておけ 84 00:05:45,136 --> 00:05:46,637 それは… 85 00:05:46,804 --> 00:05:47,555 (夏目)アア… 86 00:05:47,680 --> 00:05:50,141 (妖怪)それはなぁ… (夏目)ハッ… 87 00:05:50,975 --> 00:05:52,143 忘れた 88 00:05:52,393 --> 00:05:53,728 え〜っ? 89 00:05:54,437 --> 00:05:57,774 (妖怪) 何せ あの雷のショックでのぅ… 90 00:05:57,899 --> 00:06:00,860 だが 約束があったと いうことだけは思い出し— 91 00:06:00,985 --> 00:06:04,655 最後の力を振り絞って 戻ってきたのだ 92 00:06:05,114 --> 00:06:06,157 アア… 93 00:06:06,449 --> 00:06:12,413 (妖怪) 人間のお前さんと話をしていたら 何か思い出せそうな気がするのだ 94 00:06:12,538 --> 00:06:15,249 だから しばらくの間だけ… 95 00:06:15,374 --> 00:06:19,504 {\an8}毎日がムリなら 雨の日は かまわぬから 96 00:06:19,629 --> 00:06:20,922 (ため息) 97 00:06:22,632 --> 00:06:23,925 (夏目)あの… 滋さん 98 00:06:24,133 --> 00:06:27,428 今朝 話していた スズナルの樹のことなんですけど… 99 00:06:27,762 --> 00:06:31,265 記事になるくらいだから 有名な木だったんですか? 100 00:06:31,390 --> 00:06:37,355 (滋) ああ 昔から お祭りや何かで 参道を通ったときに見ていた木でね 101 00:06:37,480 --> 00:06:40,566 とても大きくて 立派なイチョウだったよ 102 00:06:40,691 --> 00:06:41,692 (夏目)そうですか 103 00:06:42,610 --> 00:06:46,447 実は今日 近くを散歩したので 見に行ってみたんですが 104 00:06:46,864 --> 00:06:51,077 (滋)ほう… どうなっていた? (夏目)切り株だけになってました 105 00:06:51,452 --> 00:06:54,705 そうか… なんだか寂しいな 106 00:06:54,831 --> 00:06:58,292 どうして スズナルの樹っていうの? 滋さん 107 00:06:58,417 --> 00:07:03,422 それが 知らないんだ 何か古い言い伝えがあったようだが 108 00:07:06,050 --> 00:07:08,803 (ニャンコ先生) またバカな約束をしおって 109 00:07:08,928 --> 00:07:12,098 (夏目)先生だって いたわりの 精神を持てと言っていただろう 110 00:07:12,223 --> 00:07:13,891 大体 ああは言っても— 111 00:07:14,016 --> 00:07:17,270 あいつが いつ消えるか 分かったものではないぞ 112 00:07:17,395 --> 00:07:19,939 お前より長生きするかもしれん 113 00:07:20,064 --> 00:07:20,982 そうなのか? 114 00:07:21,315 --> 00:07:23,943 樹木の命とは そういうものだ 115 00:07:24,068 --> 00:07:27,572 根になったからといって すぐに ついえるものではない 116 00:07:27,697 --> 00:07:29,824 もっとも その力で生かされている— 117 00:07:29,949 --> 00:07:33,244 あやかしもののことまでは 分からんが 118 00:07:33,786 --> 00:07:38,499 先生 俺は ただ 同情したから 引き受けたわけじゃないんだ 119 00:07:38,624 --> 00:07:39,500 (ニャンコ先生)うん? 120 00:07:39,876 --> 00:07:43,754 (夏目)あの木のあやかしは 人間との約束だと言っただろう 121 00:07:43,880 --> 00:07:46,007 人と あやかしが どんな約束をしたのか— 122 00:07:47,049 --> 00:07:48,509 {\an8}俺も知りたいんだ 123 00:07:49,177 --> 00:07:53,014 相変わらず 面倒なヤツだな お前は 124 00:08:02,982 --> 00:08:05,902 (夏目)その約束の相手も 見える人だったのか? 125 00:08:06,027 --> 00:08:08,279 (妖怪)さて どうだったか… 126 00:08:08,779 --> 00:08:13,868 わしの姿は時折 人間に見えることもあったのでな 127 00:08:13,993 --> 00:08:16,787 まあ 大抵は小さな子供だったが 128 00:08:17,705 --> 00:08:22,210 (夏目) もしかして 夏目レイコという 人のことを聞いたことはないか? 129 00:08:22,752 --> 00:08:24,045 (妖怪)レイコ? 130 00:08:24,670 --> 00:08:28,049 さあ… 知らぬな それは お前さんが持っている— 131 00:08:28,174 --> 00:08:30,635 腰の物と関係があるのかな? 132 00:08:30,760 --> 00:08:31,552 あっ… 133 00:08:31,886 --> 00:08:35,973 ハハッ… こりゃ余計な詮索をしたようだ 134 00:08:36,098 --> 00:08:39,519 お前さんは お前さんで いろいろあるのだろう 135 00:08:39,644 --> 00:08:41,062 これ以上は聞くまい 136 00:08:41,395 --> 00:08:46,567 わしは疲れたので 少し寝るよ 今日は ありがとうな 137 00:08:50,613 --> 00:08:54,825 (夏目)それから しばらく 毎日 切り株の所まで通った 138 00:08:55,618 --> 00:08:58,955 軽いアルバイトでも しているような気分で 139 00:09:00,748 --> 00:09:04,585 (水を注ぐ音) 140 00:09:04,752 --> 00:09:05,920 (カエルの鳴き声) 141 00:09:06,045 --> 00:09:08,839 (田沼(たぬま))なんだ そっちも同じ宿題が出たのか 142 00:09:09,340 --> 00:09:10,758 (北本(きたもと))こっちは これから— 143 00:09:10,883 --> 00:09:13,594 田沼の家(うち)で 一緒に片づけることにしたんだ 144 00:09:13,719 --> 00:09:16,222 (西村(にしむら))オッ! それ 乗った! なあ? 夏目 145 00:09:16,722 --> 00:09:19,475 悪い 俺は ちょっと用事があるんだ 146 00:09:19,767 --> 00:09:20,893 (西村)そっか 147 00:09:21,769 --> 00:09:23,521 (夏目)じゃ… (西村)うん じゃあな! 148 00:09:23,646 --> 00:09:25,022 (北本)またな 夏目 149 00:09:27,900 --> 00:09:31,988 (ヒノエ) う〜ん… 記憶を取り戻す方法ねえ 150 00:09:32,363 --> 00:09:34,740 (一つ目の中級妖怪) 雷に打たれて そうなったのなら 151 00:09:34,865 --> 00:09:38,452 もう一度 雷に打たれれば 元に戻るかもしれませんぞ 152 00:09:38,578 --> 00:09:40,621 (牛顔の中級妖怪) 雷! おいなり! 153 00:09:40,788 --> 00:09:42,373 (落雷音) 154 00:09:42,540 --> 00:09:43,749 ないな 155 00:09:43,874 --> 00:09:46,836 (ヒノエ)滋養にいい薬でも 探しておいてやるよ 156 00:09:46,961 --> 00:09:48,462 (夏目)ありがとう ヒノエ 157 00:09:48,588 --> 00:09:51,882 (三篠(みすず))水やりなど 我らに命じればよいものを… 158 00:09:52,174 --> 00:09:55,636 ああ どうしても行けない日には お願いするよ 159 00:09:55,803 --> 00:10:00,308 (一つ目)お安いご用にございます 我ら 夏目組 犬の会にお任せあれ! 160 00:10:00,433 --> 00:10:03,185 (牛顔)あれ あられ! (夏目)フッ… ありがとう 161 00:10:16,324 --> 00:10:19,285 ここ ほとんど人通りがないんだな 162 00:10:19,410 --> 00:10:24,123 (妖怪)それは お宮さまの参道が 新しく作られたからだ 163 00:10:24,248 --> 00:10:28,919 ほれ… バスというものが 通る道に近いという理由で— 164 00:10:29,170 --> 00:10:32,423 あちらが表参道になったのだよ 165 00:10:32,798 --> 00:10:36,677 昔は お宮渡りも この前を通っていたのだがなぁ 166 00:10:37,261 --> 00:10:42,183 (妖怪) そのころは毎日 木の上から 行き交う人間を見ていた 167 00:10:42,642 --> 00:10:46,437 それは とても 楽しそうな光景であったよ 168 00:10:48,189 --> 00:10:48,939 あっ… 169 00:10:49,565 --> 00:10:54,445 (妖怪)気にするな 土に還(かえ)る時が近づいているだけだ 170 00:10:54,820 --> 00:10:57,531 わしが こうして 執着していると— 171 00:10:57,657 --> 00:11:01,452 周りの若い木々に 還るべき力が行き渡らん 172 00:11:02,203 --> 00:11:04,747 申し訳ないことだ 173 00:11:06,791 --> 00:11:09,752 (滋)そうだ “スズナル”の由来が分かったよ 174 00:11:10,002 --> 00:11:12,463 お宮さまのイチョウの木のこと? 175 00:11:12,588 --> 00:11:16,842 うん あれから 気になって 知人に聞いてみたりしたんだ 176 00:11:17,176 --> 00:11:18,803 “スズナル”っていうのはね— 177 00:11:18,928 --> 00:11:22,014 時々 イチョウの葉が こすれ合うか何かして— 178 00:11:22,139 --> 00:11:25,017 シャンシャンと まるで鈴が鳴るような— 179 00:11:25,142 --> 00:11:28,270 美しい音を奏でるからだと 教えてもらったよ 180 00:11:28,437 --> 00:11:29,772 へえ… 181 00:11:29,897 --> 00:11:34,026 (滋)ただ その音は 聞こえる者と 聞こえない者がいたそうだ 182 00:11:34,276 --> 00:11:37,822 ねえ ちょうど もうすぐ お宮渡りよね? 183 00:11:37,947 --> 00:11:42,952 もう その木がないのは残念だけど 3人で見に行かない? 184 00:11:43,077 --> 00:11:45,287 いいな どうだ? 貴志(たかし) 185 00:11:45,454 --> 00:11:49,041 はい 是非 行きたいです フフッ… 186 00:11:49,208 --> 00:11:52,044 (雷鳴) 187 00:11:52,711 --> 00:11:54,880 (ニャンコ先生) 何を見ている? 夏目 188 00:11:55,005 --> 00:11:57,341 今日は行かなくてもいいのだろう? 189 00:11:57,466 --> 00:11:58,175 (夏目)ああ… 190 00:11:58,342 --> 00:12:01,887 これだけ降れば あしたも あさっても大丈夫だ 191 00:12:02,012 --> 00:12:04,014 (夏目)ああ そうだな 192 00:12:05,015 --> 00:12:06,684 うん? (障子の開く音) 193 00:12:07,184 --> 00:12:09,270 (夏目)ちょっと見てくるよ 先生 194 00:12:10,729 --> 00:12:12,189 (ニャンコ先生)やれやれ… 195 00:12:18,070 --> 00:12:19,947 (雷鳴) ヒイッ… 196 00:12:20,114 --> 00:12:21,115 あっ… 197 00:12:24,994 --> 00:12:27,329 (妖怪)葉が鈴のように鳴る? 198 00:12:27,455 --> 00:12:31,709 おお それはな わしの得意技だったのだ 199 00:12:32,126 --> 00:12:32,960 エイッ! 200 00:12:33,127 --> 00:12:34,211 (鈴の音) 201 00:12:34,670 --> 00:12:35,671 うん? 202 00:12:36,505 --> 00:12:41,135 (妖怪) ここに葉が生い茂っていたときには わしが杖(つえ)を振るうと— 203 00:12:41,260 --> 00:12:45,473 全ての葉が 一斉にシャンシャンと鳴ったのだが 204 00:12:45,890 --> 00:12:50,728 特に お宮渡りの輿(こし)が通るときには 全力で杖を… 205 00:12:52,480 --> 00:12:56,233 そうだ あの約束は確か… 206 00:12:56,358 --> 00:12:59,236 あれは子供の手だった 207 00:12:59,361 --> 00:13:03,699 祭礼の日 お輿が ここを通った最後の年だ 208 00:13:03,824 --> 00:13:05,034 (夏目)確かか? 209 00:13:05,284 --> 00:13:12,208 (妖怪) これが最後のお渡りになるのかと 寂しく見送ったのを覚えておる 210 00:13:12,333 --> 00:13:15,085 そのあとのことだ 211 00:13:16,253 --> 00:13:18,881 (妖怪)う〜ん… ダメだ… 212 00:13:19,507 --> 00:13:21,759 ああ… もう日が暮れる 213 00:13:21,884 --> 00:13:25,304 人の子は もう帰らねばならぬ時間だろう 214 00:13:25,429 --> 00:13:27,890 (夏目)ああ… じゃ また あした 215 00:13:28,015 --> 00:13:31,519 (妖怪)夏目 今日は ありがとう 216 00:13:31,685 --> 00:13:32,853 フッ… 217 00:13:33,854 --> 00:13:36,982 滋さんの話だと お宮渡りの輿が— 218 00:13:37,107 --> 00:13:41,028 あのイチョウの前を通っていたのは 20年前までらしい 219 00:13:41,487 --> 00:13:45,407 そのころ 子供だったとすると 今 30歳前後か… 220 00:13:45,658 --> 00:13:47,076 (ニャンコ先生) 相手を捜し出して— 221 00:13:47,201 --> 00:13:51,789 どんな約束か聞こうなどと 考えているのではあるまいな? 222 00:13:51,914 --> 00:13:55,000 相手は 20年も ほったらかしだったんだぞ 223 00:13:55,125 --> 00:13:58,963 あやかしものとの約束など 覚えているまい 224 00:14:00,798 --> 00:14:03,425 (夏目) それから お宮渡りの日が来て… 225 00:14:04,760 --> 00:14:06,595 (少女たち)フフフフッ… 226 00:14:15,145 --> 00:14:17,147 (柏手(かしわで)) 227 00:14:23,696 --> 00:14:27,449 (滋)あっ もうすぐだ ほら あそこの灯籠の辺り 228 00:14:27,783 --> 00:14:28,909 (夏目)はい 229 00:14:29,034 --> 00:14:33,247 (滋)本当に こちらの道は 誰も通らなくなったんだな 230 00:14:34,290 --> 00:14:38,335 (塔子)これが そう? (滋)そうだな きっと これだ 231 00:14:38,711 --> 00:14:40,087 (塔子)ふ〜ん… 232 00:14:42,089 --> 00:14:44,717 (滋)ああ… 残念だな 233 00:14:45,050 --> 00:14:49,597 なんだか 懐かしい友人を なくしたような気分だよ 234 00:14:52,933 --> 00:14:54,059 フフッ… 235 00:14:58,314 --> 00:15:03,193 {\an8}♪(祭り囃子) 236 00:15:03,319 --> 00:15:05,529 {\an8}(愛子) うん 絶対だよ! 237 00:15:05,654 --> 00:15:06,363 {\an8}(妖怪)ハッ… 238 00:15:07,239 --> 00:15:08,365 (夏目)えっ 思い出した? 239 00:15:08,699 --> 00:15:10,743 (妖怪)お宮渡りのおかげだろう 240 00:15:10,868 --> 00:15:14,622 あの夜のことが はっきり よみがえってきたのだ 241 00:15:15,956 --> 00:15:19,418 (妖怪)お宮渡りの夜 お渡りについていかずに— 242 00:15:19,543 --> 00:15:22,004 ひとり ぽつんと 立っている人の子がいた 243 00:15:22,296 --> 00:15:24,256 (物音) (愛子)あっ… 244 00:15:25,341 --> 00:15:26,508 神さま? 245 00:15:26,675 --> 00:15:30,638 (妖怪)フフフッ… わしが見える人間は久しぶりだ 246 00:15:30,763 --> 00:15:32,681 うれしいことよ 247 00:15:32,806 --> 00:15:36,727 うん? お前さん 何やら よい匂いがするなぁ 248 00:15:36,852 --> 00:15:38,729 えっ? (匂いを嗅ぐ音) 249 00:15:38,854 --> 00:15:41,565 うちがパン屋さんだからかな… 250 00:15:41,690 --> 00:15:44,026 ここから3つ先の駅前のお店 251 00:15:44,360 --> 00:15:46,403 この辺りじゃ いちばん おいしいんだよ! 252 00:15:46,528 --> 00:15:50,449 (妖怪)どうして つまらなそうに してたのかと尋ねると… 253 00:15:50,574 --> 00:15:53,661 (愛子)本当は さっちゃんと来るはずだったの 254 00:15:53,786 --> 00:15:55,746 でも ケンカしちゃって… 255 00:15:55,871 --> 00:15:57,331 (妖怪)さっちゃんというのは— 256 00:15:57,456 --> 00:16:01,794 隣の花屋さんの子で いちばん仲良しなんだと 257 00:16:01,919 --> 00:16:04,505 (妖怪) 仲直りすればよいではないか 258 00:16:04,630 --> 00:16:07,091 (愛子)でも 今 会えないんだもん 259 00:16:07,216 --> 00:16:08,801 さっちゃん 病院で— 260 00:16:09,093 --> 00:16:12,930 うつるといけないからって お見舞いにも行けないの 261 00:16:13,347 --> 00:16:16,809 神さま お願い! さっちゃんの病気 治してあげて! 262 00:16:17,267 --> 00:16:18,310 (妖怪)アア… 263 00:16:18,602 --> 00:16:23,649 わしは神さまではないから そんなことはできないよ 264 00:16:23,774 --> 00:16:27,403 それに ここから動くこともできぬ身 265 00:16:27,528 --> 00:16:29,571 あっ そうだ その代わり… 266 00:16:29,738 --> 00:16:33,450 (鈴の音) 267 00:16:33,575 --> 00:16:34,952 (愛子)アア… 268 00:16:35,077 --> 00:16:36,578 うわぁ! 269 00:16:37,621 --> 00:16:40,332 (妖怪) その子が治ったら 一緒においで 270 00:16:40,499 --> 00:16:42,710 もっと すごいものを見せてあげよう 271 00:16:42,835 --> 00:16:46,088 そうすれば きっと仲直りできるだろうよ 272 00:16:47,965 --> 00:16:50,050 ほら 約束だ 273 00:16:50,175 --> 00:16:53,262 うん 絶対だよ! 約束! 274 00:16:53,387 --> 00:16:55,514 (妖怪)うん? 何だね? 275 00:16:55,639 --> 00:16:57,850 知らないの? 指切り 276 00:16:58,267 --> 00:16:59,435 (妖怪)指切り? 277 00:16:59,560 --> 00:17:03,397 (愛子)そう! 約束をかなえる おまじない 278 00:17:06,275 --> 00:17:08,110 {\an8}そのとき ただ一度だけ— 279 00:17:08,235 --> 00:17:10,612 {\an8}指切りというものを したのだ 280 00:17:10,863 --> 00:17:13,198 それで その子は そのあと… 281 00:17:13,323 --> 00:17:14,908 (妖怪)ンンッ… 282 00:17:15,034 --> 00:17:16,744 (ニャンコ先生) 所詮 子供のことだ 283 00:17:17,119 --> 00:17:19,163 {\an8}家に帰って 冷静になれば— 284 00:17:19,288 --> 00:17:21,248 {\an8}夢だとでも 思ったのだろう 285 00:17:21,749 --> 00:17:25,919 (妖怪)今日は来るか あしたは来るかと待ち続けた 286 00:17:26,045 --> 00:17:31,383 友達の病気が治らぬのか あの子に何かあったのか 287 00:17:31,508 --> 00:17:35,512 心配したところで わしは ここから動けぬ身 288 00:17:36,138 --> 00:17:38,265 確かめようもない 289 00:17:41,769 --> 00:17:43,312 {\an8}(ニャンコ先生) 約束の相手を捜して— 290 00:17:43,437 --> 00:17:46,148 {\an8}どうするつもりだ? 夏目 291 00:17:46,273 --> 00:17:47,274 {\an8}(夏目)う〜ん… 292 00:17:51,111 --> 00:17:53,864 (夏目)すいません! (さち)は〜い 293 00:17:53,989 --> 00:17:57,785 あの… この辺りに パン屋さんはありませんか? 294 00:17:57,951 --> 00:18:02,289 (さち)えっ? パン屋さん? お隣のことかしら… 295 00:18:02,790 --> 00:18:05,542 もう何年も前に 引っ越されましたけど 296 00:18:05,709 --> 00:18:07,544 えっ? 隣? 297 00:18:07,669 --> 00:18:12,299 あの… そこに20年前 女の子がいませんでしたか? 298 00:18:13,967 --> 00:18:15,094 (さち)そう… 299 00:18:15,219 --> 00:18:18,180 知り合いのおじいさんが そんな約束を… 300 00:18:18,472 --> 00:18:21,725 (夏目)最近になって 突然 思い出したって言うんです 301 00:18:21,850 --> 00:18:24,686 本人は動けないので 俺が代わりに 302 00:18:25,604 --> 00:18:28,816 あいちゃんとは つまらないことでケンカして— 303 00:18:28,941 --> 00:18:32,194 仲直りできないうちに 私が入院しちゃって… 304 00:18:32,736 --> 00:18:36,698 結局 お祭りにも行けないまま そのあと すぐ… 305 00:18:37,616 --> 00:18:38,951 亡くなったんです 306 00:18:39,284 --> 00:18:40,369 えっ? 307 00:18:40,869 --> 00:18:42,412 (さち)車の事故でした 308 00:18:43,664 --> 00:18:48,544 そのおじいさん イチョウの葉が 鳴るところを見せてやるだなんて 309 00:18:48,669 --> 00:18:51,338 きっと言ってから 後悔したのかしらね 310 00:18:52,131 --> 00:18:55,092 できない約束をしてしまったって 311 00:18:55,551 --> 00:18:56,844 アア… 312 00:18:58,428 --> 00:19:02,641 (さち)でも もう そのスズナルの樹もないのね 313 00:19:03,934 --> 00:19:05,978 (妖怪)そうか あの子が— 314 00:19:06,103 --> 00:19:10,023 約束を忘れてしまったわけでは なかったのだな 315 00:19:10,149 --> 00:19:11,108 (夏目)ああ 316 00:19:11,233 --> 00:19:14,653 (妖怪) もう待つ必要もないのだなぁ… 317 00:19:15,279 --> 00:19:21,493 思い出すまでという約束だったな もう あしたから来なくてもよいぞ 318 00:19:22,035 --> 00:19:25,038 話し相手がいたから 思い出せたのだ 319 00:19:25,164 --> 00:19:28,458 (妖怪)ありがとう 夏目 (夏目)アア… 320 00:19:29,168 --> 00:19:30,002 うん? 321 00:19:30,377 --> 00:19:32,379 (夏目)あっ… (さち)あら… 322 00:19:33,589 --> 00:19:37,134 (さち) あいちゃん ここにあった木を 一緒に見たかったのね 323 00:19:38,427 --> 00:19:42,264 あっ そうだ 昨日 あれから捜したのよ 324 00:19:43,724 --> 00:19:44,766 オッ! 325 00:19:46,685 --> 00:19:49,938 (さち)彼女が 私に渡すつもりで作ってたって 326 00:19:50,063 --> 00:19:52,024 あいちゃんのお母さんが くれた物なの 327 00:19:52,191 --> 00:19:54,026 (鈴の音) うん? 328 00:19:54,443 --> 00:19:57,529 ホ〜イホイ ホ〜イホイ (鈴の音) 329 00:19:58,030 --> 00:19:59,281 あいちゃん… 330 00:19:59,740 --> 00:20:03,368 約束 守れなくて ごめんね 331 00:20:14,963 --> 00:20:19,885 じゃ 私 そろそろ… そのおじいさんにも よろしくね 332 00:20:20,010 --> 00:20:23,513 そんな昔のことを 思い出してくれて ありがとうって 333 00:20:23,639 --> 00:20:25,057 (夏目)はい (さち)フフッ… 334 00:20:29,853 --> 00:20:31,563 ほ〜れ… 335 00:20:33,482 --> 00:20:35,317 ほ〜ら… よいしょ… 336 00:20:35,734 --> 00:20:37,527 {\an8}ほ〜れ… 337 00:20:37,653 --> 00:20:39,571 {\an8}(赤ん坊)ハハハッ… (夏目)うん? 338 00:20:40,113 --> 00:20:43,450 (赤ん坊)アア… フフフッ… (さち)あら どうしたの? 339 00:20:43,575 --> 00:20:46,078 (赤ん坊の笑い声) 340 00:20:46,495 --> 00:20:47,579 アア… 341 00:20:47,746 --> 00:20:50,332 よいしょ… よいしょ… (鈴の音) 342 00:20:50,499 --> 00:20:53,835 (赤ん坊) ウウ… ア〜! フフフッ… 343 00:20:54,002 --> 00:20:55,087 (妖怪)ホ〜イホイ 344 00:20:55,254 --> 00:20:57,089 (鈴の音) 345 00:20:57,714 --> 00:20:58,590 ハッ… 346 00:20:58,757 --> 00:21:04,096 (鈴の音) 347 00:21:04,680 --> 00:21:05,847 ハッ… 348 00:21:06,014 --> 00:21:08,433 {\an8}(赤ん坊の笑い声) (鈴の音) 349 00:21:08,558 --> 00:21:13,105 (赤ん坊の笑い声) (鈴の音) 350 00:21:13,272 --> 00:21:16,608 (鈴の音) 351 00:21:16,775 --> 00:21:19,361 (笑い声) 352 00:21:19,528 --> 00:21:22,114 (鈴の音) 353 00:21:22,864 --> 00:21:23,991 (さち)フフッ… 354 00:21:25,284 --> 00:21:28,120 (赤ん坊の笑い声) 355 00:21:34,209 --> 00:21:36,128 (夏目) イチョウの木のあやかしは— 356 00:21:36,253 --> 00:21:40,882 そんなことがあってからも しばらくは元気に姿を見せていた 357 00:21:41,633 --> 00:21:45,637 俺は相変わらず 水をやりに通う日々が続いたが… 358 00:21:45,762 --> 00:21:46,638 あっ… 359 00:22:03,572 --> 00:22:09,578 {\an8}♪〜 360 00:23:28,740 --> 00:23:32,744 {\an8}〜♪