1 00:00:21,067 --> 00:00:27,934 答えのない日々に 溜息漏らす度 2 00:00:28,033 --> 00:00:34,934 本当の僕はもう見えなくなっちゃった 3 00:00:35,767 --> 00:00:42,434 耳を澄ましても 聞こえない君の声 4 00:00:42,667 --> 00:00:49,267 追いかけて今日も歩き続ける 5 00:00:49,400 --> 00:00:56,901 伝えられずにいた想いは 時を経て 蛹になって 6 00:00:57,100 --> 00:01:04,901 羽広げやがて飛び立つ 7 00:01:05,067 --> 00:01:12,000 忘れない 大切な ひとつ ひとつ 8 00:01:12,200 --> 00:01:19,734 届くかな この想い どうか いつか 9 00:01:20,367 --> 00:01:25,934 ちっぽけなこの僕にできること 10 00:01:26,033 --> 00:01:34,667 少しずつでも伝えてみたいんだ 11 00:01:46,968 --> 00:01:47,467 ああ… 12 00:01:47,701 --> 00:01:48,767 ぶるるにゅぅにゅうにゅう 13 00:01:50,000 --> 00:01:53,300 見ろよ先生 八ツ原が光の海みたいだ 14 00:01:53,734 --> 00:01:58,200 そんなことより 早く帰って その団子を食わせろ 夏目〜! 15 00:01:58,767 --> 00:02:00,834 先生は食い気ばかりだなあ 16 00:02:00,934 --> 00:02:02,067 これだ のぉ 17 00:02:03,200 --> 00:02:03,801 あれは? 18 00:02:04,267 --> 00:02:08,400 のう 酒気だなぁ くんくん… いい匂いだ… 大好きだ! 19 00:02:08,467 --> 00:02:11,801 どんどん飲めぇよ〜 はっは〜 ははあ〜 20 00:02:12,033 --> 00:02:16,100 -おっとっと おっとっとお うまっ -あはは あはは〜 21 00:02:16,167 --> 00:02:17,367 じゅわ〜! ええ〜い! 22 00:02:17,434 --> 00:02:18,067 きぇ〜〜! 23 00:02:18,133 --> 00:02:20,467 白ブタのような物体が襲ってきた〜! 24 00:02:20,534 --> 00:02:23,567 何だと 貴様ら 食ってしまうぞ! ううぅぐっ 25 00:02:24,067 --> 00:02:25,534 やめろよ先生! 26 00:02:25,667 --> 00:02:28,567 おや これは夏目様とブタネコ… 27 00:02:28,634 --> 00:02:30,133 -ブタネコ ブタネ… -ああ〜ぁ 28 00:02:30,200 --> 00:02:33,367 ひぃはっ 斑様ではありませんかぁ〜 29 00:02:33,601 --> 00:02:36,667 おお〜お これは差し入れですなあ ありが… 30 00:02:36,734 --> 00:02:37,601 どぅだぁっ! 31 00:02:37,667 --> 00:02:38,167 うっ… 32 00:02:38,767 --> 00:02:42,467 お前達 騒いでいると またあの坊主に祓われるぞ 33 00:02:42,901 --> 00:02:47,734 それがここ数日 あの寺から 念仏の声が途絶えておりましてえぇ… 34 00:02:48,067 --> 00:02:48,567 ええ? 35 00:02:48,868 --> 00:02:50,734 あの坊さん死にましたかな 36 00:02:50,801 --> 00:02:52,467 -死んだ 死ん… うっ… -ぐぁっ! 37 00:02:54,033 --> 00:02:56,767 田沼の親父さん どうかしたのか? 38 00:03:02,334 --> 00:03:07,367 田沼は 俺に妖怪が見えていることを 知っている 貴重な友人だ 39 00:03:07,868 --> 00:03:10,267 よう夏目 西村 次体育か? 40 00:03:10,501 --> 00:03:12,067 ああ マラソンだ 41 00:03:14,300 --> 00:03:15,901 ああ そうだ 田沼 42 00:03:16,334 --> 00:03:16,834 ん? 43 00:03:17,467 --> 00:03:17,968 ああ… 44 00:03:20,234 --> 00:03:23,234 いや 何でもないんだ またな 45 00:03:23,667 --> 00:03:25,067 ああ またな 46 00:03:26,234 --> 00:03:29,067 彼自身も 妖怪の気配を感じたり 47 00:03:29,501 --> 00:03:32,834 姿をぼんやりと 影のように 見ることがあるという 48 00:03:33,934 --> 00:03:36,901 それで何も聞かずに帰ってきたのかあ 49 00:03:37,367 --> 00:03:40,267 どう切り出していいのか 分からなかったんだよ 50 00:03:40,467 --> 00:03:44,901 どうしてだ あやつはお前が見えることを 知っているではないか うんぬぅ… 51 00:03:44,968 --> 00:03:50,601 親父さんが病気とか よくないことだったら 人前でそんな話をしちゃいけない気がして… 52 00:03:50,834 --> 00:03:52,400 にゃんだ それはぁ 53 00:03:52,534 --> 00:03:53,167 その… 54 00:03:53,300 --> 00:03:54,300 う〜ふんう〜う〜 55 00:03:54,367 --> 00:03:59,634 友達の家族のことっていうのは どこまで 踏み込んで聞いていいもんなんだろうなぁ 56 00:04:00,100 --> 00:04:03,534 そんなこと私は知ら〜ん 57 00:04:03,601 --> 00:04:04,701 それもそうだな… 58 00:04:05,968 --> 00:04:09,601 小さい頃 家族のことを 言い合える友達はいなかった 59 00:04:10,667 --> 00:04:13,734 だから いまだにこんな時の 距離感が分からない 60 00:04:14,968 --> 00:04:15,834 ただいまあ 61 00:04:16,834 --> 00:04:19,267 とぉ… 誰もいないんだったな… 62 00:04:19,701 --> 00:04:20,200 あ! 63 00:04:25,634 --> 00:04:26,334 はあ… 64 00:04:28,734 --> 00:04:29,868 おっ! あっ! 65 00:04:31,801 --> 00:04:32,300 あっ… 66 00:04:42,634 --> 00:04:43,133 ん! 67 00:04:47,801 --> 00:04:49,067 名前を… 68 00:04:49,133 --> 00:04:49,968 あっ! 69 00:04:51,467 --> 00:04:53,501 友人帳の夏目様… 70 00:04:54,167 --> 00:04:56,033 名前を返してほしいのかあ 71 00:04:57,934 --> 00:05:02,901 う… 悪い これから学校なんだ また後にしてくれないかあ 72 00:05:10,968 --> 00:05:11,467 お! 73 00:05:14,901 --> 00:05:15,400 ん… 74 00:05:16,334 --> 00:05:16,834 田沼っ 75 00:05:17,634 --> 00:05:18,133 んあ? 76 00:05:19,667 --> 00:05:21,267 何だ親父のことか 77 00:05:21,834 --> 00:05:25,334 しばらくお経の声が聞こえないって 聞いたもんだから 78 00:05:25,767 --> 00:05:29,467 本山の行事の手伝いで ひと月ほど家にいないんだよ 79 00:05:30,534 --> 00:05:31,834 出張みたいなもんだ 80 00:05:32,434 --> 00:05:33,400 たまにあるんだよ 81 00:05:33,634 --> 00:05:35,334 そうか よかった 82 00:05:35,968 --> 00:05:37,601 心配してくれてたのかあ? 83 00:05:38,300 --> 00:05:39,100 ありがとうなあ 84 00:05:39,434 --> 00:05:40,734 ああ いや… 85 00:05:41,834 --> 00:05:44,868 じゃあ 今1人なのか 大変だなあ 86 00:05:45,100 --> 00:05:47,934 そうでもないさ 静かなのもいい 87 00:05:48,767 --> 00:05:50,601 ん? どうかしたのか? 88 00:05:50,767 --> 00:05:52,968 あ いや… 何でもないんだ 89 00:05:53,467 --> 00:05:55,767 じゃあ この辺で またなあ 90 00:05:56,000 --> 00:05:56,501 ああ 91 00:06:00,567 --> 00:06:01,067 あ! 92 00:06:02,334 --> 00:06:03,267 お前かぁ… 93 00:06:03,934 --> 00:06:05,501 どうか名前を… 94 00:06:08,300 --> 00:06:09,567 ここなら大丈夫か 95 00:06:12,067 --> 00:06:15,033 我を護りし者よ その名を示せ 96 00:06:17,534 --> 00:06:18,534 夏目〜 97 00:06:18,667 --> 00:06:19,167 ん! はっ 98 00:06:19,901 --> 00:06:22,434 そんなところに突っ立って何をしとる 99 00:06:23,234 --> 00:06:23,734 え? 100 00:06:26,200 --> 00:06:27,734 名前が載っていない? 101 00:06:28,067 --> 00:06:30,868 んん? ふんふん… 妖ものか… 102 00:06:31,067 --> 00:06:34,200 お前 また勝手に名前を 返そうとしていたなあ? 103 00:06:35,334 --> 00:06:35,834 ああ 104 00:06:36,000 --> 00:06:36,968 馬ぁ〜鹿者ぉ! 105 00:06:37,267 --> 00:06:42,667 むやみに返していたら 私が貰い受ける前に 友人帳がなくなってしまうではないかあ! 106 00:06:46,534 --> 00:06:47,033 あっ… 107 00:06:48,200 --> 00:06:48,834 あっ は! 108 00:06:49,968 --> 00:06:51,501 あっ! あはぁ… 109 00:06:51,968 --> 00:06:53,400 えっ はぁ はぁ… 110 00:06:54,167 --> 00:06:54,667 おっ! 111 00:06:58,133 --> 00:06:59,667 う… あ あっ… 112 00:07:01,367 --> 00:07:03,100 牛丼のブル〜ス〜 113 00:07:03,167 --> 00:07:05,300 困ったことになったものだぁ 114 00:07:05,367 --> 00:07:09,567 まったく 坊主がいなくなったと思えば 今度はこれだあ 115 00:07:09,801 --> 00:07:12,868 八ツ原に平和が訪れるのは いつの日かぁ… 116 00:07:12,934 --> 00:07:14,234 ぐわああ〜あ! 117 00:07:14,300 --> 00:07:16,701 うわ〜 また白ブタが〜 118 00:07:16,968 --> 00:07:19,100 こ これは斑様ぁ 119 00:07:19,567 --> 00:07:21,834 雑魚ども 何を騒いでおるのだ 120 00:07:22,100 --> 00:07:25,801 はい それがぁ… あいつが復活したようなのですぅ 121 00:07:26,067 --> 00:07:27,167 あいつだ? 122 00:07:27,234 --> 00:07:29,767 いつだったか この辺りに流れてきて 123 00:07:30,033 --> 00:07:33,501 瘴気を振りまいていた 妖ものがおりましたでしょう 124 00:07:33,801 --> 00:07:37,133 -いた いた -う〜ん そんな奴もいたかも知れんなあ 125 00:07:37,200 --> 00:07:41,434 弱い妖ものなどは その気に 触れただけで病に倒れぇ 126 00:07:41,567 --> 00:07:43,167 皆迷惑していました 127 00:07:43,267 --> 00:07:44,701 -迷惑 迷惑 -うん うん 128 00:07:44,868 --> 00:07:46,467 聞いた話では 129 00:07:46,701 --> 00:07:49,501 夏目レイコ様に負けて 名前を奪われ 130 00:07:49,634 --> 00:07:53,200 それ以来 山に入って 眠りについていたはずなのですが 131 00:07:53,400 --> 00:07:57,100 レイコが? 相変わらずひどい奴だな 132 00:07:57,334 --> 00:08:00,634 その者の瘴気がまた漂ってきたのですぅ 133 00:08:01,434 --> 00:08:03,033 実はぁ その者ぉ… 134 00:08:06,667 --> 00:08:10,734 昨日は失礼いたしました 友人帳の夏目様 135 00:08:11,801 --> 00:08:16,033 もしかして お前の名前は 友人帳にないんじゃないか? 136 00:08:18,067 --> 00:08:21,968 はい… 名前というのは 私のことではありません 137 00:08:22,734 --> 00:08:23,601 兄の名です 138 00:08:24,234 --> 00:08:24,801 兄? 139 00:08:25,234 --> 00:08:29,200 私の兄は 浮春の郷の住人でございました 140 00:08:30,033 --> 00:08:31,467 うきはるのさと? 141 00:08:31,834 --> 00:08:36,901 浮春の郷といえば 現し世からは 見えぬ幻の郷ではないか 142 00:08:37,434 --> 00:08:39,734 そこの住人が なんでこっちにぃ… 143 00:08:39,901 --> 00:08:40,667 さあ… 144 00:08:41,133 --> 00:08:46,400 ただもう何年も郷に帰る方法を探して 旅をしてきたと言っていたそうで 145 00:08:47,567 --> 00:08:53,467 浮春の郷は 1年中美しい花が 咲き乱れ 鳥の声が絶えぬ場所 146 00:08:54,434 --> 00:08:57,801 普段こちらとは交わることのない 彼岸の郷ですが 147 00:08:58,267 --> 00:09:01,901 祭りなどをきっかけに 稀に繋がることがあるのです 148 00:09:03,567 --> 00:09:06,767 どこかの村神楽に誘われた兄と私は 149 00:09:07,033 --> 00:09:09,934 つい 現し世に出てきてしまったのでした 150 00:09:13,467 --> 00:09:18,634 兄と私は 浮春の郷への 入り口を探して旅をしました 151 00:09:19,367 --> 00:09:21,434 何年も何年も… 152 00:09:22,267 --> 00:09:26,567 そのうち 兄は病にかかり 瘴気を発するようになったのです 153 00:09:27,834 --> 00:09:31,367 私もその瘴気に当てられ 衰弱していきました 154 00:09:32,667 --> 00:09:37,334 それを見た兄は 私をとある山の 神木のうろに寝かせ 155 00:09:38,033 --> 00:09:40,300 1人でどこかへ行ってしまいました 156 00:09:41,033 --> 00:09:46,501 それから月日が経ち 神木の 霊力のお陰で回復した私は 157 00:09:47,367 --> 00:09:50,601 噂を頼りに 兄を追って ここまで来たのです 158 00:09:51,167 --> 00:09:51,868 ところが… 159 00:09:52,234 --> 00:09:52,868 ん? 160 00:09:53,200 --> 00:09:55,467 この辺りの妖もの達に聞けば 161 00:09:56,100 --> 00:10:01,167 兄は夏目様に名前を奪われ それ以来姿を消しているとのこと 162 00:10:01,868 --> 00:10:04,801 それで 友人帳を持つ俺のところに 163 00:10:05,167 --> 00:10:09,834 でも あなたの兄さんの名を 奪ったのは 俺じゃなく 祖母だ 164 00:10:10,501 --> 00:10:13,801 顔を知らない俺では 呼び出すこともできないし… 165 00:10:14,367 --> 00:10:15,634 さようですか… 166 00:10:15,901 --> 00:10:21,033 では 顔を知っている私なら 呼び出すことができるのだな? 167 00:10:21,267 --> 00:10:22,100 それは… 168 00:10:22,234 --> 00:10:23,033 ならば… 169 00:10:23,100 --> 00:10:23,601 え? 170 00:10:23,701 --> 00:10:24,200 はあっ! 171 00:10:24,300 --> 00:10:24,968 お うわ! 172 00:10:25,400 --> 00:10:28,467 渡してもらおう 友人帳を! 173 00:10:28,534 --> 00:10:30,701 や やめろ! ああ! 174 00:10:30,767 --> 00:10:31,267 うっ! 175 00:10:31,434 --> 00:10:33,534 あはぁ あっ… あはっ うっ… 176 00:10:35,000 --> 00:10:36,367 夏目殿 177 00:10:37,033 --> 00:10:38,567 あ 三篠(みすず)! 178 00:10:38,934 --> 00:10:41,534 今ここに妖ものの気配が 179 00:10:41,634 --> 00:10:43,234 ああ 助かったよ 180 00:10:43,901 --> 00:10:46,200 私はたまたま通りかかっただけ 181 00:10:46,701 --> 00:10:52,501 この川上で 低級の妖どもが 何匹か 食われていたので 犯人を捜してやろうと 182 00:10:52,801 --> 00:10:54,634 お〜う 三篠ではないか 183 00:10:54,701 --> 00:10:55,501 う〜ん? 184 00:10:56,734 --> 00:10:59,200 斑ぁ お前ではないだろうな 185 00:10:59,701 --> 00:11:02,234 私の縄張りで低級を食ったのは 186 00:11:02,534 --> 00:11:05,467 何を! いきなり言いがかりとは許さん! 187 00:11:05,667 --> 00:11:08,868 だいたいグルメの私がそんな小物を 食うわけがなかろう! 188 00:11:08,934 --> 00:11:09,467 ああ… 189 00:11:09,567 --> 00:11:11,267 もしかしたら それもぉ… 190 00:11:12,033 --> 00:11:15,267 じゃあ その山に隠れ住んでいた奴が 191 00:11:15,501 --> 00:11:18,934 お前が会った妖の兄 ということになるな 192 00:11:19,534 --> 00:11:23,701 そいつが現れた場所って 田沼の家の方だよなあ 193 00:11:24,100 --> 00:11:28,067 坊さんが留守なので 境内を うろつけるようになったのだろう 194 00:11:28,968 --> 00:11:29,667 田沼… 195 00:11:34,167 --> 00:11:36,567 どこだ… どこにある 196 00:11:37,267 --> 00:11:40,133 連れてゆく… 夏目 197 00:11:40,834 --> 00:11:41,467 う はっ! 198 00:11:42,601 --> 00:11:45,501 うっ 夏目だって? あ! 199 00:11:52,901 --> 00:11:53,534 おい! 200 00:11:55,334 --> 00:11:57,534 何か… 探しているのか? 201 00:11:59,534 --> 00:12:01,901 夏目に何かしたら 承知しないぞっ 202 00:12:03,801 --> 00:12:05,634 ううっ! うう… 203 00:12:06,000 --> 00:12:06,501 うわっ? 204 00:12:08,534 --> 00:12:10,667 うう… うう… 205 00:12:12,334 --> 00:12:14,100 お あ! はぁ はぁ… 206 00:12:15,100 --> 00:12:15,834 あ ははぁ… 207 00:12:18,067 --> 00:12:18,734 錆? 208 00:12:26,033 --> 00:12:26,534 あ… 209 00:12:30,601 --> 00:12:31,100 あは? 210 00:12:37,033 --> 00:12:37,534 んん? 211 00:12:43,200 --> 00:12:45,133 昔の寺の図面かぁ… 212 00:12:45,534 --> 00:12:47,367 うっ… う ああっ… 213 00:12:49,567 --> 00:12:51,868 ええ? 田沼が早退した? 214 00:12:52,167 --> 00:12:56,767 おう 朝一応来たんだが 頭痛がひどいから帰るって 215 00:12:57,367 --> 00:12:58,133 頭痛? 216 00:12:59,167 --> 00:12:59,934 まさか… 217 00:13:01,367 --> 00:13:04,167 きっと その妖怪の瘴気にやられたんだ 218 00:13:04,334 --> 00:13:06,067 弱っちい奴だなあ 219 00:13:06,367 --> 00:13:08,133 田沼が心配だ 急ごう! 220 00:13:08,200 --> 00:13:08,767 ラジャー 221 00:13:13,267 --> 00:13:15,300 -留守? 病院かなあ? -ふんふん ふん 222 00:13:15,400 --> 00:13:18,501 夏目 妖ものの気配がするぞ 223 00:13:18,901 --> 00:13:22,534 はっ はっ はっ… はぁ あっ はぁ… 224 00:13:24,701 --> 00:13:25,434 あっ 225 00:13:27,501 --> 00:13:28,200 これは… 226 00:13:28,968 --> 00:13:31,701 え? これ… この寺? 227 00:13:32,968 --> 00:13:35,167 今でこそこんな有様だが 228 00:13:35,434 --> 00:13:38,868 かつては大伽藍を持つ それなりの寺院だったからなあ 229 00:13:39,267 --> 00:13:43,100 寺領内の神社では 毎年神楽が奉納されていた 230 00:13:43,934 --> 00:13:44,634 神楽? 231 00:13:44,834 --> 00:13:49,100 神楽の舞によって 稀に彼岸の世界との扉が開く 232 00:13:49,567 --> 00:13:51,901 そうか 神楽堂 ここだ 233 00:13:52,100 --> 00:13:54,501 そこは八ツ原の端っこだな 234 00:13:57,334 --> 00:13:58,601 あれ? 田沼 235 00:13:58,834 --> 00:13:59,334 あ… 236 00:13:59,834 --> 00:14:00,567 どうしたんだ? 237 00:14:00,968 --> 00:14:02,634 いやぁ… ちょっと… 238 00:14:03,601 --> 00:14:04,100 あっ 239 00:14:04,400 --> 00:14:06,133 親父さん 今いないんだっけ? 240 00:14:07,067 --> 00:14:09,467 病気した時に1人だと大変だもんな 241 00:14:09,801 --> 00:14:13,033 すまないな… ちょっと うちにいたくなくて 242 00:14:13,367 --> 00:14:14,567 遠慮すんなって 243 00:14:14,868 --> 00:14:18,200 田沼が倒れたって言ったら 夏目も心配してたぞお 244 00:14:18,434 --> 00:14:18,934 え? 245 00:14:20,234 --> 00:14:20,934 あはぁ… 246 00:14:21,100 --> 00:14:21,601 うーん… 247 00:14:22,133 --> 00:14:23,033 -こっちかなぁ -ふん ふん 248 00:14:23,501 --> 00:14:27,100 なあ ニャンコ先生 あ… 249 00:14:27,567 --> 00:14:29,033 ふぇ〜 へへ… 250 00:14:29,100 --> 00:14:29,834 お おい! 251 00:14:30,367 --> 00:14:32,467 瘴気に当てられたようだな 252 00:14:32,901 --> 00:14:34,834 その辺に寝かせといてやれ 253 00:14:34,968 --> 00:14:36,501 先生は大丈夫なのかぁ? 254 00:14:36,801 --> 00:14:39,133 そんな低級どもと一緒にするなぁ! 255 00:14:40,267 --> 00:14:40,767 急ごう 256 00:14:45,467 --> 00:14:46,467 いやな感じだ 257 00:14:47,767 --> 00:14:49,234 近いぞ 夏目 258 00:14:49,467 --> 00:14:49,968 ああ 259 00:14:54,767 --> 00:14:55,267 待て! 260 00:14:58,133 --> 00:14:59,901 な… つ… め… 261 00:15:00,133 --> 00:15:00,701 え? 262 00:15:01,734 --> 00:15:04,334 夏目… レイコ 263 00:15:04,667 --> 00:15:07,567 レイコ… いや 俺は… 264 00:15:09,801 --> 00:15:12,334 そうか… レイコはもう? 265 00:15:13,067 --> 00:15:18,067 俺の血が 周りの妖もの達の 障りになっているのは分かっていた 266 00:15:18,734 --> 00:15:20,167 すまないことをした 267 00:15:20,701 --> 00:15:26,400 だが 浮春の郷の入り口は 郷の者の血に反応するのだ 268 00:15:27,033 --> 00:15:28,767 だから体を傷つけて… 269 00:15:29,133 --> 00:15:32,033 だが それももう必要ないようだ 270 00:15:32,334 --> 00:15:34,934 どうした もう諦めるというのか? 271 00:15:37,734 --> 00:15:41,534 あなたの妹だという妖怪が あなたを探していますよ 272 00:15:41,767 --> 00:15:44,067 まさか それはあり得ない 273 00:15:44,334 --> 00:15:46,567 妹はとうの昔に死んだよ 274 00:15:47,234 --> 00:15:47,734 ええ? 275 00:15:50,601 --> 00:15:51,901 俺が悪いのだ 276 00:15:52,701 --> 00:15:55,334 神楽の音に誘われて連れ出してしまい… 277 00:15:55,901 --> 00:15:59,000 慣れぬ土地で 幼かった妹はすぐに… 278 00:16:00,534 --> 00:16:03,501 それからずっと 1人で彷徨っていた 279 00:16:05,100 --> 00:16:08,834 もう郷に帰ることも諦めた頃 レイコに会った 280 00:16:09,400 --> 00:16:11,501 そこでぼこぼこにされたか 281 00:16:11,968 --> 00:16:16,634 ふん… 他愛もない勝負だったが 俺は負けて名前を預けた 282 00:16:17,200 --> 00:16:22,501 だが レイコは とうとう俺の名を 呼ぶことはなく 逝ってしまったのだな… 283 00:16:24,534 --> 00:16:29,100 それから俺は山に入って 風穴を見つけ そこで眠っていた 284 00:16:30,367 --> 00:16:33,133 知らぬ間にずいぶん時が 経っていたのだなあ 285 00:16:33,901 --> 00:16:37,467 目覚めると 荒れ寺は 綺麗に再建されていた 286 00:16:38,868 --> 00:16:40,901 田沼と親父さんが越してきたんだ 287 00:16:41,567 --> 00:16:43,834 しばらく近づくことができなかったが 288 00:16:44,400 --> 00:16:49,200 ここ数日 住職の気配が消えたので 行ってみることにしたのだ 289 00:16:49,601 --> 00:16:52,033 そして古い地図を見つけたのか 290 00:16:52,567 --> 00:16:53,834 この地に来たのも 291 00:16:54,133 --> 00:16:59,367 昔あの寺の境内で 扉が開いたという 噂を聞いてのことだったからな 292 00:17:00,300 --> 00:17:03,167 恐らくそれは この神楽堂跡だろう 293 00:17:07,067 --> 00:17:08,567 こりゃあ火事だなあ 294 00:17:08,701 --> 00:17:12,901 建物でも残っていればなんだが この有様ではなあ 295 00:17:13,300 --> 00:17:15,868 でも それならあの女妖怪は… 296 00:17:16,300 --> 00:17:21,200 それは恐らく 浮春の郷を 追放になった サグメという者だ 297 00:17:22,200 --> 00:17:26,267 俺につきまとっていれば いつか 郷に戻れると思っているのだろう 298 00:17:26,434 --> 00:17:30,067 なるほど それで友人帳を狙ったのだなあ 299 00:17:30,801 --> 00:17:34,934 お前を使って郷への入り口を 開けさせようと思ったのだろう 300 00:17:35,234 --> 00:17:39,234 三篠が言っていた低級を 食ったのも サグメの仕業か 301 00:17:40,834 --> 00:17:45,400 それなら また友人帳を 狙ってくる前に 名前を返そう 302 00:17:46,534 --> 00:17:47,801 レイコさんに代わって 303 00:17:51,200 --> 00:17:54,133 我を護りし者よ その名を示せ 304 00:18:01,367 --> 00:18:03,133 君へ返そう カナワ 305 00:18:04,067 --> 00:18:04,634 受けてくれ 306 00:18:09,400 --> 00:18:10,234 うぉ〜 307 00:18:11,000 --> 00:18:11,801 うううっ! 308 00:18:12,934 --> 00:18:14,133 ううっ! 309 00:18:14,200 --> 00:18:14,734 うおおお〜! 310 00:18:14,801 --> 00:18:18,033 うう〜… う〜う〜 う〜! 311 00:18:18,100 --> 00:18:22,968 花の枝を手折っただけで 追放に… 口惜しい… 312 00:18:23,501 --> 00:18:26,267 罪びとの血では扉は開かぬ… 313 00:18:26,634 --> 00:18:28,067 恨めしい… 314 00:18:30,033 --> 00:18:30,534 あ 315 00:18:30,634 --> 00:18:32,901 友人帳はもういらないよ 坊や 316 00:18:33,501 --> 00:18:36,234 こいつの血を貰うことにしたからねえ 317 00:18:39,400 --> 00:18:44,133 おおわぁ 神楽堂の燃えかすで 育った木々が 反応しておる 318 00:18:44,367 --> 00:18:48,801 ああ 扉が開く… これで帰れるわ 319 00:18:48,934 --> 00:18:50,100 -あっ -う〜わぁ〜! 320 00:18:51,033 --> 00:18:52,100 う〜ぅ! 321 00:18:52,901 --> 00:18:53,534 ぎゃ〜ぁ! 322 00:18:53,601 --> 00:18:54,367 ぐぇ〜い! 323 00:18:54,434 --> 00:18:59,300 ぎゃあ〜! あっ! あっ ううっ あっ うう… 324 00:18:59,567 --> 00:19:00,067 ん! 325 00:19:00,701 --> 00:19:02,133 あう〜 あ… 326 00:19:09,367 --> 00:19:13,033 よぉ〜お〜お〜っ 327 00:19:14,334 --> 00:19:15,868 ほお〜〜 328 00:19:15,934 --> 00:19:19,067 うっ あああ! ああっ! 329 00:19:21,234 --> 00:19:25,033 よ〜おっ 330 00:19:26,901 --> 00:19:31,567 見せてやりたかった レイコに この光景を 331 00:19:32,534 --> 00:19:33,667 いよ〜ぉ… 332 00:19:33,734 --> 00:19:35,734 すっかり体が錆びておる 333 00:19:36,133 --> 00:19:37,567 なんと迷惑な 334 00:19:45,367 --> 00:19:47,334 先客に挨拶もないの? 335 00:19:48,167 --> 00:19:50,234 お前は 俺が見えるのか? 336 00:19:50,934 --> 00:19:54,200 他の妖怪達が噂してたの あなたね 337 00:19:56,100 --> 00:19:58,534 俺が 怖くはないのか 338 00:19:58,767 --> 00:20:01,200 うふっ 私は強いもの 339 00:20:03,400 --> 00:20:07,667 ふ〜ん そんなにいい所なんだ あなたの故郷 340 00:20:08,067 --> 00:20:11,300 ああぁ それはそれは美しい所だ 341 00:20:11,634 --> 00:20:15,367 それなのに もう諦めちゃったの? 郷に帰ること 342 00:20:15,934 --> 00:20:19,300 この体では 戻ったところで 長くはあるまい 343 00:20:19,901 --> 00:20:23,734 今はただ 朽ち果てる場所を 探して彷徨っていただけだ 344 00:20:24,367 --> 00:20:25,501 ふ〜ん… 345 00:20:26,234 --> 00:20:29,167 ねえ あなた 私と勝負しない? 346 00:20:29,701 --> 00:20:30,234 んん? 347 00:20:31,000 --> 00:20:32,601 ジャンケン… ポン! 348 00:20:34,934 --> 00:20:35,601 痛い… 349 00:20:37,067 --> 00:20:38,234 ジャンケン ポン! 350 00:20:40,634 --> 00:20:41,234 痛い… 351 00:20:42,868 --> 00:20:44,200 ジャンケン ポン! 352 00:20:45,701 --> 00:20:46,300 痛い… 353 00:20:46,834 --> 00:20:49,100 やった! 私の勝ちねえ 354 00:20:49,734 --> 00:20:54,000 これであなたは私の子分 さぁ 名前を書きなさい 355 00:20:57,567 --> 00:20:58,334 いーい? 356 00:20:58,968 --> 00:21:03,033 見つけたら私にも教えなさいよね 故郷への入り口 357 00:21:03,400 --> 00:21:03,901 え? 358 00:21:04,734 --> 00:21:09,334 だってあたしも見たいもの そんなに綺麗な世界があるなら 359 00:21:11,767 --> 00:21:13,334 ならば共に行かぬか 360 00:21:13,734 --> 00:21:14,234 え? 361 00:21:14,501 --> 00:21:19,033 それほど人が嫌いなら 俺と一緒に浮春の郷へ 362 00:21:19,267 --> 00:21:19,767 あ… 363 00:21:24,133 --> 00:21:28,400 お前も一緒に行かぬか夏目 レイコの孫よ 364 00:21:28,801 --> 00:21:29,501 あ! 365 00:21:30,234 --> 00:21:34,501 いえ 俺にとっては こちらが 大切な場所なんです 366 00:21:35,133 --> 00:21:35,701 カナワ 367 00:21:36,067 --> 00:21:40,734 なるほど お前には よき人間の 友人もいるようだな… 368 00:21:46,601 --> 00:21:48,434 あっ はぁ はぁ はぁ… 369 00:21:49,267 --> 00:21:50,000 夏目〜! 370 00:21:50,634 --> 00:21:55,567 田沼… どこ行ってたんだぁ 倒れたって聞いたから心配して… 371 00:21:55,901 --> 00:21:59,234 悪い… 実は 家に変な妖怪が 372 00:21:59,300 --> 00:22:01,167 そいつなら もうおらんぞ 373 00:22:02,000 --> 00:22:03,734 ポン太が退治してくれたのか 374 00:22:04,367 --> 00:22:07,267 いや 生まれ故郷に帰っていったんだ 375 00:22:08,133 --> 00:22:10,100 危険な奴じゃ なかったのか? 376 00:22:10,601 --> 00:22:12,167 悪い妖じゃなかったよ 377 00:22:14,000 --> 00:22:15,968 そうかぁ よかった 378 00:22:16,968 --> 00:22:20,701 迷ったんだ 夏目に相談するべきかどうか 379 00:22:21,100 --> 00:22:21,601 ええ? 380 00:22:22,667 --> 00:22:24,701 巻き込んでしまうと思ったから 381 00:22:25,334 --> 00:22:28,033 でも もっと早く言えばよかったな 382 00:22:29,601 --> 00:22:30,400 田沼… 383 00:22:31,100 --> 00:22:31,834 にゃひっひ 384 00:22:36,834 --> 00:22:47,534 失くした温もりをひとつひとつ並べて 385 00:22:48,801 --> 00:23:00,934 色とりどりの君の欠片は 笑った顔を描いた 386 00:23:03,467 --> 00:23:08,667 思い出のつくりかたも 387 00:23:09,534 --> 00:23:14,667 まるで上手くならないままに 388 00:23:17,167 --> 00:23:30,567 足早に過ぎる時の流れに ただ身をまかせて 389 00:23:30,801 --> 00:23:33,934 どこへ行けばいい 390 00:23:34,100 --> 00:23:37,501 この闇の先でまた 391 00:23:37,701 --> 00:23:43,534 何度さよなら言えばいい 392 00:23:43,734 --> 00:23:57,868 深い心の奥で光った遥かな君の欠片 393 00:24:06,534 --> 00:24:08,400 人には知られたくないことがある 394 00:24:08,601 --> 00:24:11,601 お前夏目だろ? お化けが見えるって嘘ついてた 395 00:24:11,667 --> 00:24:13,200 なっ! なぜそれを… 396 00:24:13,467 --> 00:24:15,133 生意気な小僧め! 397 00:24:15,267 --> 00:24:16,534 食ってやろうかあ? 398 00:24:17,033 --> 00:24:20,033 あの子と出会って お前のことを思い出したんだ…