1 00:00:36,070 --> 00:00:38,080 (夏目)ただいま~。 2 00:00:38,080 --> 00:00:40,740 (塔子)おかえりなさい 貴志くん。 3 00:00:40,740 --> 00:00:44,080 ねぇ 見て かわいいでしょ。 4 00:00:44,080 --> 00:00:47,750 ご近所の方に お花の苗をいただいたの。 5 00:00:47,750 --> 00:00:53,160 わぁ たくさん。 フフッ でも どこに植えようかしら。 6 00:00:53,160 --> 00:00:57,160 表の花壇は もういっぱいなのよね…。 7 00:00:59,060 --> 00:01:01,370 《花壇か…》 8 00:01:03,400 --> 00:01:06,740 (滋)おや。 貴志 ただいま。 9 00:01:06,740 --> 00:01:09,070 おかえりなさい。 (滋)あぁ。 10 00:01:09,070 --> 00:01:12,410 あの 滋さん…。 ん? 11 00:01:12,410 --> 00:01:15,410 塔子さんが 花の苗をもらってきたけど➡ 12 00:01:15,410 --> 00:01:18,420 もう花壇に入らないらしくて。 13 00:01:18,420 --> 00:01:23,090 もしよかったら 花壇の作り方 教えてもらえませんか? 14 00:01:23,090 --> 00:01:25,090 やってみたいんです。 15 00:01:25,090 --> 00:01:27,060 あぁ もちろん。 16 00:01:32,400 --> 00:01:36,730 < こうして 庭の一角に 花壇作りをすることになった> 17 00:01:36,730 --> 00:01:40,400 (ニャンコ先生)ふむ。 ここが花壇になるのか。 18 00:01:40,400 --> 00:01:43,410 私のお昼寝スポットの一つだが…。 19 00:01:43,410 --> 00:01:46,080 しかし お前にできるのか? 20 00:01:46,080 --> 00:01:52,180 滋さんに聞いたとおりにやれば そう難しくはなさそうだ。 21 00:01:52,180 --> 00:01:55,090 囲いの石も 前の残りがあるらしいし。 22 00:01:55,090 --> 00:01:58,760 ほら ニャンコ先生も 運ぶの手伝ってくれよ。 23 00:01:58,760 --> 00:02:00,760 なに!? 24 00:02:00,760 --> 00:02:06,730 まったく! なぜ高貴な私が こんな肉体系なお仕事を! 25 00:02:09,070 --> 00:02:13,070 完成したら 先生も 好きな花を植えていいからさ。 26 00:02:13,070 --> 00:02:18,080 ふむ… 枝豆かシシトウだな。 花だってば。 27 00:02:18,080 --> 00:02:23,750 < この家で 自分にも できることがあるのが うれしい> 28 00:02:23,750 --> 00:02:27,120 おい。 暮れてきたぞ。 29 00:02:27,120 --> 00:02:30,420 そうだな。 続きは明日積もう。 30 00:02:36,090 --> 00:02:40,060 ムフ ムーフフフ…。 31 00:02:40,060 --> 00:02:43,070 フフッ。 あぁ 楽しみ。 32 00:02:43,070 --> 00:02:46,070 貴志くんが 花壇を作ってくれるなんて。 33 00:02:46,070 --> 00:02:49,070 そ その うまくできるかは…。 34 00:02:49,070 --> 00:02:51,740 足りないものや わからないことがあったら➡ 35 00:02:51,740 --> 00:02:53,740 いつでも言いなさい。 36 00:02:53,740 --> 00:02:57,180 貴志くんも 植えたい花があったら言ってね。 37 00:02:57,180 --> 00:02:59,180 はい。 38 00:03:02,050 --> 00:03:04,090 あぁ…。 39 00:03:04,090 --> 00:03:06,060 植えたい花か…。 40 00:03:06,060 --> 00:03:10,060 だから 枝豆かシシトウか スナップエンドウをだな…。 41 00:03:10,060 --> 00:03:12,500 あ~あ オクラもいいな。 42 00:03:12,500 --> 00:03:14,730 《あぁ。 43 00:03:14,730 --> 00:03:17,770 なぜだか ふっと思い出した。 44 00:03:17,770 --> 00:03:22,440 母は 花が好きだったと 父が言っていたような気がする》 45 00:03:26,080 --> 00:03:28,080 ただいま~。 46 00:03:28,080 --> 00:03:31,410 あっ… 崩れてる。 47 00:03:31,410 --> 00:03:34,080 帰ったか 夏目。 むっ。 48 00:03:34,080 --> 00:03:38,390 こら 先生 なんてことするんだ! 私ではないぞ! 49 00:03:38,390 --> 00:03:41,390 見ろ! これがアリバイの魚だ! 50 00:03:41,390 --> 00:03:45,100 今日は 1日 河原で パーテーしてきたのだ! 51 00:03:45,100 --> 00:03:50,070 ワンコかカラスの仕業かな。 しようがない。 52 00:03:50,070 --> 00:03:52,470 ほら 先生 続けるぞ。 53 00:03:52,470 --> 00:03:56,410 まったくもう… 猫使いの荒い。 54 00:03:56,410 --> 00:03:59,410 < しかし 翌朝> 55 00:03:59,410 --> 00:04:03,780 あっ まただ。 犬か猫じゃないのか? 56 00:04:03,780 --> 00:04:07,080 いや よく見たら減ってる。 何がだ。 57 00:04:07,080 --> 00:04:12,490 石さ。 セメントが乾ききる前に崩して いくつか持っていかれてる。 58 00:04:12,490 --> 00:04:18,400 人の庭に侵入して 石を 盗んでいくヤツがいるってことか。 59 00:04:18,400 --> 00:04:22,100 今夜は張り込むぞ 先生。 なに!? 60 00:04:24,770 --> 00:04:29,070 捕まえてやるぞ 石泥棒! 花壇を守らなきゃ。 61 00:04:29,070 --> 00:04:33,080 夏目 お前 相手を 妖だと思っているな。 62 00:04:33,080 --> 00:04:35,080 そりゃそうだろ。 63 00:04:35,080 --> 00:04:38,750 夜中に人の庭に勝手に入って 石を盗んでいくなんて➡ 64 00:04:38,750 --> 00:04:41,080 人間だったら まともじゃない…。 65 00:04:41,080 --> 00:04:44,090 あっ 人間だったらどうしよう…。 66 00:04:44,090 --> 00:04:47,090 むっ 来た。 えっ。 67 00:04:52,400 --> 00:04:56,100 《何かが… 花壇の前に…》 68 00:04:56,100 --> 00:04:58,070 こら~っ! 69 00:04:58,070 --> 00:05:00,070 ひゃ~。 キャー。 わぁ~。 70 00:05:00,070 --> 00:05:02,070 えっ!? 思ったより多い!? 71 00:05:02,070 --> 00:05:04,070 ま 待て! 72 00:05:04,070 --> 00:05:08,750 捕まえたぞ いったい何者だ! 73 00:05:08,750 --> 00:05:13,420 ふふう 捕まってしもうた。 74 00:05:13,420 --> 00:05:18,760 なぜ花壇を荒らすんですか。 この庭で何をやってるんです。 75 00:05:18,760 --> 00:05:24,090 ほう。 我らに触れて 話もできるのか。 76 00:05:24,090 --> 00:05:28,430 いやはや この石は お前さんのものだったか。 77 00:05:28,430 --> 00:05:30,470 すまんかったの。 78 00:05:30,470 --> 00:05:35,570 ずっと探していた石を やっと見つけたので つい…。 79 00:05:35,570 --> 00:05:39,740 石って… 何の変哲もない石に見えるけど…。 80 00:05:39,740 --> 00:05:44,750 ふふう お尋ねするが この石 どこで手に入れたので? 81 00:05:44,750 --> 00:05:46,750 なに? 82 00:05:46,750 --> 00:05:51,790 いえ 純石と言いまして 我らには貴重な石なのです。 83 00:05:51,790 --> 00:05:55,060 少しお譲りいただけぬだろうか。 84 00:05:55,060 --> 00:05:58,060 いったい 石をどうするんです? 85 00:05:58,060 --> 00:06:03,100 ふふう… 特別に我らの宝物をお見せしよう。 86 00:06:03,100 --> 00:06:05,100 宝? 87 00:06:07,100 --> 00:06:11,740 さぁ 中をご覧あれ。 88 00:06:11,740 --> 00:06:14,410 あぁ…。 89 00:06:14,410 --> 00:06:19,450 <箱の中には 小さな家… まるで社のような…> 90 00:06:19,450 --> 00:06:23,850 ほう おもしろいな。 箱庭というやつか。 91 00:06:23,850 --> 00:06:29,130 細工は細かそうだが… よく見ると荒れ放題だな。 92 00:06:29,130 --> 00:06:34,500 まるで廃屋のようだ。 そうなのです。 93 00:06:34,500 --> 00:06:40,400 純石は この箱屋敷や 庭を修復するために必要なのです。 94 00:06:40,400 --> 00:06:45,440 修復? この箱屋敷は 神が泊まられる場所。 95 00:06:45,440 --> 00:06:50,880 ゆえに 決まった材料と 力ある者しか直せぬのです。 96 00:06:50,880 --> 00:06:54,780 お前様には 相当な力があると見た。 97 00:06:54,780 --> 00:06:56,790 いや 俺は…。 98 00:06:56,790 --> 00:07:00,160 わぁ~! うわ やめろ~! 力をお貸しください~! 99 00:07:00,160 --> 00:07:04,490 手伝うと答えるまで 下ろしませんぞ~。 100 00:07:04,490 --> 00:07:08,800 わぁ うっ… お おろ… 下ろせって言ってるだろうが➡ 101 00:07:08,800 --> 00:07:10,770 このダルマ妖怪ども! ひっ! ぐっ! 102 00:07:10,770 --> 00:07:12,740 ひゃっ! うっ! ぎゃっ! 103 00:07:12,740 --> 00:07:16,410 つ 強い…。 うぅ ますます…。 104 00:07:16,410 --> 00:07:18,410 ますますお力をお借りしたい。 105 00:07:18,410 --> 00:07:20,410 お願いします。 お願いします。 お願いします。 106 00:07:20,410 --> 00:07:23,410 でなければ この家ごと たたりまするぞ~。 107 00:07:23,410 --> 00:07:26,080 人でなし! 面倒だなぁ。 108 00:07:26,080 --> 00:07:30,420 いっそ 5匹とも食っちまうか? 夏目。 109 00:07:30,420 --> 00:07:34,490 わかった。 とりあえず聞こう。 俺に何をしろって? 110 00:07:34,490 --> 00:07:36,490 (箱守りたち)おぉ~! 111 00:07:36,490 --> 00:07:38,760 <塔子さんたちの 喜ぶ顔が見たくて➡ 112 00:07:38,760 --> 00:07:40,760 花壇を 作りたかっただけなのに…> 113 00:07:40,760 --> 00:07:42,800 ちぇ~。 114 00:07:42,800 --> 00:07:45,140 < こうなった妖は 頼みを聞いて➡ 115 00:07:45,140 --> 00:07:48,200 さっさと帰ってもらったほうが 早い。 116 00:07:48,200 --> 00:07:50,740 妖たちは 全部で5匹。 117 00:07:50,740 --> 00:07:53,810 彼らは 箱守りなのだという。 118 00:07:53,810 --> 00:07:58,110 なんでも しだ姫様という 旅する神様の宿になる箱を➡ 119 00:07:58,110 --> 00:08:00,080 守り続けているのだとか> 120 00:08:00,080 --> 00:08:03,750 守る? 箱は ボロボロではないか。 121 00:08:03,750 --> 00:08:08,090 さよう。 箱屋敷は 傷みやすく繊細なのです。 122 00:08:08,090 --> 00:08:12,730 そのため本来は 箱の庭や社を修復する➡ 123 00:08:12,730 --> 00:08:15,730 技術と妖力を持った職人がおり。 124 00:08:15,730 --> 00:08:21,100 しだ姫様が訪れになる時期には そこへ運んでおったのですが…。 125 00:08:21,100 --> 00:08:26,080 今はもう 職人となれる人間は 絶えてしまったのです。 126 00:08:26,080 --> 00:08:29,480 《妖の箱庭を人間が…》 127 00:08:29,480 --> 00:08:35,420 何度かは 我らの稚拙な修繕で どうにかお迎えできた。 128 00:08:35,420 --> 00:08:39,090 今回も 我らの手で 少しでもきれいにして➡ 129 00:08:39,090 --> 00:08:42,090 お迎えする予定ではあるが…。 130 00:08:42,090 --> 00:08:44,460 我らの手は鬼をも砕くが➡ 131 00:08:44,460 --> 00:08:48,060 物をつかむには やっとな不器用なもの。 132 00:08:48,060 --> 00:08:51,070 箱屋敷は ご覧のありさまで。 133 00:08:51,070 --> 00:08:56,810 しかし お前様なら 我らより ましな修繕がきっとできる。 134 00:08:56,810 --> 00:09:01,440 俺は 工作は並みだし センスは怪しいぞ? いいのか? 135 00:09:01,440 --> 00:09:06,150 今より少しでもましになるなら 御の字なのです。 136 00:09:08,890 --> 00:09:12,760 < こうして 日のあるうちは 藤原家の花壇作り> 137 00:09:12,760 --> 00:09:14,760 フゥー。 138 00:09:14,760 --> 00:09:19,160 <夜は 箱屋敷の修復を 手伝うことになった> 139 00:09:19,160 --> 00:09:21,200 では まず社から。 140 00:09:21,200 --> 00:09:24,770 この白ガモの羽根で ホコリを払うのです。 141 00:09:24,770 --> 00:09:27,100 わかった。 142 00:09:27,100 --> 00:09:30,470 こうか? (5人)おぉ~。 143 00:09:30,470 --> 00:09:34,540 ん~ そんなもん 息で ふうっと 一発吹っ飛ばせばよかろう。 144 00:09:34,540 --> 00:09:37,110 貸せっ。 めちゃめちゃそうしたいが➡ 145 00:09:37,110 --> 00:09:41,120 それでは だめなのだ。 神宿だからの。 146 00:09:41,120 --> 00:09:43,790 まったく やっかいな。 147 00:09:43,790 --> 00:09:47,790 簡単なようで 結構緊張するな…。 148 00:09:47,790 --> 00:09:50,790 < やわらかい羽根で 触れてもわかるほど➡ 149 00:09:50,790 --> 00:09:54,800 社は もろそうで 古く きしんでいるようだった> 150 00:09:54,800 --> 00:09:57,470 で できた! どうだ? 151 00:09:57,470 --> 00:09:59,870 おぉ! すばらしい。 152 00:09:59,870 --> 00:10:01,800 はぁ よかった。 153 00:10:01,800 --> 00:10:05,780 では次に屋根を外し 屋内のホコリも払うのです。 154 00:10:05,780 --> 00:10:07,780 えぇ!? 155 00:10:10,080 --> 00:10:12,780 そおっとですぞ。 もろいですからなぁ。 156 00:10:12,780 --> 00:10:15,120 あぁ そこは…。 もっと慎重に。 157 00:10:15,120 --> 00:10:17,120 あぁ 壊れる。 158 00:10:17,120 --> 00:10:20,190 し ず か に。 (5人)はい。 159 00:10:20,190 --> 00:10:23,390 (足音) 160 00:10:23,390 --> 00:10:27,430 貴志くん おは… あら 大丈夫? 161 00:10:27,430 --> 00:10:29,400 大丈夫です。 162 00:10:29,400 --> 00:10:32,070 ちょっと変な夢を見て。 まぁ! 163 00:10:32,070 --> 00:10:36,070 あんまり疲れをためず 花壇も無理しないようにね。 164 00:10:36,070 --> 00:10:38,070 はい。 165 00:10:38,070 --> 00:10:41,640 よっと フンッ フンッ! フンッ フンッ! 166 00:10:51,090 --> 00:10:54,390 あぁ それでは…。 ほら右の部屋にもホコリが。 167 00:10:54,390 --> 00:10:56,760 もっと丁寧に…。 おぉ そうくるか。 168 00:10:56,760 --> 00:11:00,060 どうか慎重に。 ふうっとやっちまえ 夏目。 169 00:11:00,060 --> 00:11:02,370 うるさ~い! 170 00:11:04,730 --> 00:11:06,740 あぁ そんな。 もそっと優しく。 171 00:11:06,740 --> 00:11:09,070 まだホコリが。 大事なところですぞ。 172 00:11:09,070 --> 00:11:12,110 見てはおれぬ。 それ ふうっと。 173 00:11:12,110 --> 00:11:15,750 (5人)はい。 174 00:11:15,750 --> 00:11:17,750 ハァー。 175 00:11:17,750 --> 00:11:21,420 (田沼)どうした 夏目。 また妖関係か? 176 00:11:21,420 --> 00:11:25,420 あぁ。 でも 悪い妖じゃないと思うから➡ 177 00:11:25,420 --> 00:11:30,090 心配しないでくれ。 そうか… どんな妖なんだ? 178 00:11:30,090 --> 00:11:33,730 強制的に工作っぽいこと させられるんだ。 179 00:11:33,730 --> 00:11:37,130 えっ それって ヤバい妖なんじゃ…。 180 00:11:49,080 --> 00:11:51,050 < なんとなく シャクだから言わなかったが➡ 181 00:11:51,050 --> 00:11:55,390 そっと外した屋根の下にあった 広くて小さな部屋は➡ 182 00:11:55,390 --> 00:11:58,390 やっぱり古く傷んでいたけれど…。 183 00:11:58,390 --> 00:12:01,390 とてもきれいだと思った。 184 00:12:01,390 --> 00:12:04,390 大事にされてきたのだろうと わかるような➡ 185 00:12:04,390 --> 00:12:09,070 中から外を見たら きっと楽しいだろうというような。 186 00:12:09,070 --> 00:12:14,440 あの枯れ木ばかりの庭じゃ 少しもったいない気がした> 187 00:12:14,440 --> 00:12:17,370 そうです。 そこの障子の汚れを➡ 188 00:12:17,370 --> 00:12:22,150 この純石を削った染め粉と筆で 白に塗るのです。 189 00:12:22,150 --> 00:12:24,750 うっ…。 190 00:12:27,120 --> 00:12:30,050 できた…。 どうだ? 191 00:12:30,050 --> 00:12:33,420 (5人)おぉ。 次は? 192 00:12:33,420 --> 00:12:35,430 すばらしい。 193 00:12:35,430 --> 00:12:38,430 まさか ここまで 美しくなってくるとは!! 194 00:12:38,430 --> 00:12:43,100 言いすぎだぞ。 俺は下手だから むらになってる。 195 00:12:43,100 --> 00:12:46,770 上手な人がやれば きっと均等に白くなるんだ。 196 00:12:46,770 --> 00:12:51,440 ふふう。 我らの手を触ってみてくだされ。 197 00:12:55,180 --> 00:12:58,450 人の手とは まったく違うでしょう。 198 00:12:58,450 --> 00:13:02,850 この手で筆を握り 狙ったところへ色を落とすなど➡ 199 00:13:02,850 --> 00:13:08,760 力を入れず 羽根で優しく ホコリを払うのさえ とても難しい。 200 00:13:08,760 --> 00:13:11,390 我らが悪しきものをはらい。 201 00:13:11,390 --> 00:13:13,400 人が屋敷を整え。 202 00:13:13,400 --> 00:13:17,070 この地を訪れる神をもてなす。 203 00:13:17,070 --> 00:13:20,440 しかし それは もうできぬのだと…。 204 00:13:20,440 --> 00:13:25,780 しだ姫様は とても気高く 美しいものを愛するお方。 205 00:13:25,780 --> 00:13:29,750 もう我々の この枯れ庭で ボロボロの箱屋敷へは➡ 206 00:13:29,750 --> 00:13:32,750 訪れてくださらないかもしれぬ。 207 00:13:32,750 --> 00:13:36,090 そう覚悟もしておったのです。 208 00:13:36,090 --> 00:13:40,090 でも… お前様は 優しい手をしておられる。 209 00:13:40,090 --> 00:13:45,500 しだ姫様も きっと この箱屋敷を 気に入って 訪れてくださる。 210 00:13:45,500 --> 00:13:48,060 きっと…。 211 00:13:48,060 --> 00:13:51,400 しだ姫様って どんな神様なんだ? 212 00:13:51,400 --> 00:13:54,070 おぉ! よくぞ聞いてくれた! 213 00:13:54,070 --> 00:13:58,610 それはそれは美しく 笑う声は鈴のよう。 214 00:13:58,610 --> 00:14:02,510 数十年かけて 旅をして回っておられるが➡ 215 00:14:02,510 --> 00:14:09,090 肌は月光のように優しい色で 水紋が広がるごとく揺れる髪に。 216 00:14:09,090 --> 00:14:14,420 叱るときは 雷のようなまなざしで 我らのもてなしには。 217 00:14:14,420 --> 00:14:18,830 そう まさに 花のように笑ってくださる。 218 00:14:18,830 --> 00:14:21,430 しだ姫様の喜ぶ顔は➡ 219 00:14:21,430 --> 00:14:24,770 いつまでもいつまでも 見ていたいものだ。 220 00:14:24,770 --> 00:14:26,770 《ベタぼれだな》 221 00:14:26,770 --> 00:14:28,740 フフッ。 222 00:14:28,740 --> 00:14:32,440 もてなしとは何をするんだ? 大宴会。 223 00:14:32,440 --> 00:14:36,050 だぁ!? 大宴会!? そこんとこ もっと詳しく話せ。 224 00:14:36,050 --> 00:14:38,050 酒はあるのか!? 225 00:14:38,050 --> 00:14:41,080 それはもう 神へささげるに恥じぬ秘酒が。 226 00:14:41,080 --> 00:14:46,060 なんとすばらしい!! なぁ 夏目!! 「なぁ」じゃない うるさいぞ。 227 00:14:48,490 --> 00:14:50,730 よし。 228 00:14:50,730 --> 00:14:52,700 できた…。 229 00:14:54,700 --> 00:14:58,400 まぁ!! まぁ どうしましょう!! 230 00:14:58,400 --> 00:15:01,370 すみません ちょっといびつなんですが…。 231 00:15:01,370 --> 00:15:06,380 ううん とってもすてきよ。 早速 植えてもいいかしら? 232 00:15:06,380 --> 00:15:08,380 もちろん。 233 00:15:10,380 --> 00:15:13,050 ニャンコ先生も土を混ぜたり➡ 234 00:15:13,050 --> 00:15:15,420 踏み固めるのを 手伝ってくれたんですよ。 235 00:15:15,420 --> 00:15:19,060 (塔子)まぁまぁ 今日はお礼にごちそうしなきゃ。 236 00:15:19,060 --> 00:15:21,060 ニャーゴ! 237 00:15:21,060 --> 00:15:25,060 あぁ 滋さんにも 早く見せたいわね。 238 00:15:25,060 --> 00:15:30,230 うれしい… ありがとう 貴志くん。 239 00:15:30,230 --> 00:15:32,770 ⦅しだ姫様の喜ぶ顔は➡ 240 00:15:32,770 --> 00:15:36,070 いつまでもいつまでも 見ていたいものだ⦆ 241 00:15:36,070 --> 00:15:39,080 < しだ姫様は 来てくれるだろうか。 242 00:15:39,080 --> 00:15:41,440 あの箱屋敷に。 243 00:15:41,440 --> 00:15:45,510 古くて ガタガタで 枯れた景色しか見えない。 244 00:15:45,510 --> 00:15:49,090 けれど… 彼らが大事に守り続けている➡ 245 00:15:49,090 --> 00:15:53,090 あの箱屋敷に…> 246 00:15:53,090 --> 00:15:58,160 おかげさまで 屋敷の修復は これで大丈夫でしょう。 247 00:15:58,160 --> 00:16:00,400 ありがとうございました。 248 00:16:00,400 --> 00:16:03,070 予定では 今夜が訪問の日。 249 00:16:03,070 --> 00:16:05,400 間に合いました。 250 00:16:05,400 --> 00:16:07,740 なぁ… 庭は? 251 00:16:07,740 --> 00:16:11,410 庭に植えていい木や 花も決まっているのか? 252 00:16:13,710 --> 00:16:18,750 花壇を作ったお礼にって 塔子さんが花の種をくれたんだ。 253 00:16:18,750 --> 00:16:24,090 何が咲くのか楽しみにって 何の花かは わからないけど…。 254 00:16:24,090 --> 00:16:30,460 これを しだ姫様の庭にも少し… もし まいていいなら…。 255 00:16:30,460 --> 00:16:33,730 あっ と言っても もし植えられたとして➡ 256 00:16:33,730 --> 00:16:36,400 咲くのは だいぶ先になるか…。 257 00:16:36,400 --> 00:16:38,730 大きさも合わないし。 258 00:16:38,730 --> 00:16:43,370 植えていい樹 置いていい石は決まっているが。 259 00:16:43,370 --> 00:16:46,410 花に決まりはなかったはずです。 260 00:16:46,410 --> 00:16:51,410 みんな 種ならまけるか? 俺が土をふるからさ。 261 00:16:51,410 --> 00:16:53,420 はい。 262 00:16:59,060 --> 00:17:05,390 《小さな小さな箱屋敷。 しだ姫様は来てくれるだろうか。 263 00:17:05,390 --> 00:17:11,070 俺も本当は少しだけ あの箱の中に入ってみたいな。 264 00:17:11,070 --> 00:17:14,400 箱守りたちが大事にしてきた…。 265 00:17:14,400 --> 00:17:18,740 職人たちが 優しく修復を続けてきた…。 266 00:17:18,740 --> 00:17:24,150 屋敷内から見る庭は いつまでも きれいであればいいのに》 267 00:17:27,750 --> 00:17:30,120 すぅ~。 268 00:17:34,060 --> 00:17:36,060 むっ? 269 00:17:38,730 --> 00:17:41,730 《白塗料の塗りあと? 270 00:17:41,730 --> 00:17:43,730 ここは…》 271 00:17:53,410 --> 00:17:55,680 (しだ姫)シー。 272 00:18:01,380 --> 00:18:03,390 フフッ。 273 00:18:14,060 --> 00:18:16,730 《箱屋敷から見た庭は➡ 274 00:18:16,730 --> 00:18:20,740 まったく知らないようで 懐かしいようで➡ 275 00:18:20,740 --> 00:18:23,740 どこかに似ている気がした。 276 00:18:23,740 --> 00:18:33,080 藤原家の あの庭のような 遠い昔 父と眺めた庭のような…。 277 00:18:33,080 --> 00:18:37,450 とても あたたかい庭だった》 278 00:18:37,450 --> 00:18:41,420 う う~ん…。 ん? 279 00:18:43,490 --> 00:18:46,400 し しだ姫様! なに!? 280 00:18:46,400 --> 00:18:48,730 おぉ しだ姫様! 281 00:18:48,730 --> 00:18:55,870 おぉ… 今回も我らが箱屋敷へ お越しいただけたのだな。 282 00:18:55,870 --> 00:18:59,240 よき屋敷 よき庭じゃ。 283 00:19:01,080 --> 00:19:07,680 さぁ うたげじゃ。 皆も 屋敷も 庭も 唄うがよい。 284 00:19:09,720 --> 00:19:15,420 (笑い声) 285 00:19:15,420 --> 00:19:31,070 ♬~ 286 00:19:31,070 --> 00:19:33,740 <庭にも屋敷にも➡ 287 00:19:33,740 --> 00:19:37,410 見たこともないような花が 咲き乱れた。 288 00:19:37,410 --> 00:19:40,380 優しい色の美しい花々。 289 00:19:40,380 --> 00:19:45,090 ひょっとしたら この屋敷の記憶なのかもしれない。 290 00:19:45,090 --> 00:19:48,760 きっと今までに ここに咲いてきた花々。 291 00:19:48,760 --> 00:19:50,730 この花々のどこかに➡ 292 00:19:50,730 --> 00:19:55,130 みんなでまいた花も 咲いているだろうか> 293 00:20:03,410 --> 00:20:07,040 わぁ~っ! 294 00:20:07,040 --> 00:20:09,040 箱守りたちは? 295 00:20:09,040 --> 00:20:12,450 くわぁ… とっくに去ったのだろう。 296 00:20:12,450 --> 00:20:15,080 あ~ 酒 美味だった。 297 00:20:15,080 --> 00:20:17,090 そうか…。 298 00:20:17,090 --> 00:20:22,090 なんとか今回も しだ姫様 喜んでくれたみたいだな。 299 00:20:22,090 --> 00:20:25,090 <次は いつ訪れるのだろう。 300 00:20:25,090 --> 00:20:31,070 そのときも彼らに よい出会いがあればいいな> 301 00:20:31,070 --> 00:20:33,740 なんだか夢だったみたいだ。 302 00:20:33,740 --> 00:20:38,410 あほう。 夢なもんか。 あれだけ迷惑かけられといて。 303 00:20:38,410 --> 00:20:42,410 ただ酒飲ませてもらって 先生よく言うよ。 304 00:20:42,410 --> 00:20:46,420 (塔子)貴志く~ん 滋さん 帰ってきたわ。 305 00:20:46,420 --> 00:20:50,420 おりてきて~。 あ は~い。 306 00:20:52,390 --> 00:20:55,060 あら 貴志くん。 307 00:20:55,060 --> 00:20:58,530 髪に花びらがついてるわ。 308 00:20:58,530 --> 00:21:01,230 いったい どこでついたのかしら。 309 00:23:01,020 --> 00:23:03,020 枝豆かシシトウだな。