1 00:01:47,074 --> 00:01:49,076 (ガラスが割れる音) 2 00:01:49,076 --> 00:01:51,111 おや? 3 00:01:51,111 --> 00:01:53,413 今の音は…。 4 00:01:53,413 --> 00:01:57,117 ごめんなさ~い。 すみません あの…。 5 00:01:57,117 --> 00:02:00,087 こっちに ボール 飛んできませんでしたか? 6 00:02:07,461 --> 00:02:11,131 (夏目)我を護りし者よ その名を示せ。 7 00:02:17,771 --> 00:02:19,773 おぉ…。 8 00:02:23,744 --> 00:02:26,747 あぁ…。 名をお返しいただき➡ 9 00:02:26,747 --> 00:02:29,082 ありがとうございました。 10 00:02:29,082 --> 00:02:32,753 お礼に これを…。 11 00:02:32,753 --> 00:02:37,124 えっ? 霊峰 洗馬山の三百年桜が➡ 12 00:02:37,124 --> 00:02:40,427 落雷で焼けた灰でございます。 13 00:02:40,427 --> 00:02:43,096 これを焼き物に練りこむと➡ 14 00:02:43,096 --> 00:02:46,767 茶器や酒器であれば 桜の香りが…。 15 00:02:46,767 --> 00:02:49,736 (ニャンコ先生)なに!? 花挿しであれば➡ 16 00:02:49,736 --> 00:02:54,174 30日は枯れぬ水になると聞きます。 17 00:02:54,174 --> 00:02:56,410 ありがたいけど お礼をもらうわけには…。 18 00:02:56,410 --> 00:02:59,413 それでは ごきげんよう。 19 00:02:59,413 --> 00:03:02,582 わっ… うわぁ! 20 00:03:02,582 --> 00:03:05,752 あっ… ちょっと待って! 21 00:03:05,752 --> 00:03:08,088 これ…。 22 00:03:08,088 --> 00:03:12,759 <小さいころから 時々 変なものを見た。 23 00:03:12,759 --> 00:03:15,162 他の人には見えないらしい それらは➡ 24 00:03:15,162 --> 00:03:19,433 おそらく 妖怪と呼ばれるものの類い> 25 00:03:19,433 --> 00:03:24,071 ♬(ピアノ) 26 00:03:24,071 --> 00:03:29,443 (田沼)へぇ お礼の灰か 昔話みたいだ。 27 00:03:29,443 --> 00:03:32,079 律儀な妖もいるんだな。 28 00:03:32,079 --> 00:03:34,081 そうなんだけど…。 29 00:03:34,081 --> 00:03:37,751 もともと ソイツのものだったのを 返しただけなんだ。 30 00:03:37,751 --> 00:03:39,753 フウ… それに➡ 31 00:03:39,753 --> 00:03:43,457 妖に むやみに物をもらうのは ちょっと…。 32 00:03:45,392 --> 00:03:48,428 そうだ 夏目 いいものがあるぞ。 33 00:03:48,428 --> 00:03:52,099 むっ? なんだこれは? 34 00:03:52,099 --> 00:03:55,736 焼き物の粘土だよ。 田沼のお父さんが➡ 35 00:03:55,736 --> 00:03:59,439 行事で使ったのの 残りがあるって くれたんだ。 36 00:03:59,439 --> 00:04:01,475 なに 酒器を作るのか? 37 00:04:01,475 --> 00:04:05,812 無理だ。 でも 一輪挿しならと思って…。 38 00:04:05,812 --> 00:04:10,083 とりあえず 灰を入れずに 練習してみるか。 39 00:04:10,083 --> 00:04:15,989 ぬっ! クソ 私がこんな かわいい肉球でなければ…。 40 00:04:15,989 --> 00:04:20,093 う~ん 酒器 酒器…。 41 00:04:20,093 --> 00:04:22,762 えいっ… やっぱり無理かも。 42 00:04:22,762 --> 00:04:27,134 ええい チェンジだ! 私が とっくりを作る! 43 00:04:27,134 --> 00:04:29,169 じゃあ…。 おぉ! 44 00:04:29,169 --> 00:04:32,405 フフフフ…。 せめて見本でもあればな…。 45 00:04:32,405 --> 00:04:34,407 ぬっ…。 46 00:04:34,407 --> 00:04:37,410 くっ この! つっ… 爪が…。 47 00:04:37,410 --> 00:04:39,446 むっ むぅ…。 48 00:04:39,446 --> 00:04:45,085 くっ ダメだ とっくりとは どう作るものなのだ? 49 00:04:45,085 --> 00:04:47,387 できた。 なに!? 50 00:04:51,091 --> 00:04:55,095 なんだ これは。 ニャンコ先生。 51 00:04:55,095 --> 00:04:57,130 あっ…。 バカ者! 52 00:04:57,130 --> 00:05:00,667 遊びではないんだぞ!? ごめん つい…。 53 00:05:00,667 --> 00:05:03,270 (みんな)夏目様! 54 00:05:03,270 --> 00:05:05,272 はい! はい! はい! 55 00:05:05,272 --> 00:05:08,608 あっ! なぁ!? 56 00:05:08,608 --> 00:05:12,078 灰が散ってしまったではないか! あぁ…。 57 00:05:12,078 --> 00:05:14,748 あぁ 何かありましたかな? あちゃ~。 58 00:05:14,748 --> 00:05:17,417 ない ない 見えな~い。 59 00:05:17,417 --> 00:05:20,420 あぁ もう回収は無理だな。 60 00:05:20,420 --> 00:05:23,423 申し訳ありません 夏目様。 61 00:05:23,423 --> 00:05:27,427 ぽかぽかと暖かい小春日和ゆえ 昼酒がすぎまして➡ 62 00:05:27,427 --> 00:05:29,396 とんでもないことを…。 63 00:05:29,396 --> 00:05:31,498 しかたない。 64 00:05:31,498 --> 00:05:33,733 どうせ 使う予定のないものだったし➡ 65 00:05:33,733 --> 00:05:35,735 もういいよ。 66 00:05:35,735 --> 00:05:37,737 ありがとうございます! 67 00:05:37,737 --> 00:05:42,142 さすが夏目様 太っ腹! ぽんぽん パラパラ! 68 00:05:42,142 --> 00:05:46,079 クソー 桜の香りの酒が~。 69 00:05:46,079 --> 00:05:48,081 まぁまぁ 斑様。 70 00:05:48,081 --> 00:05:50,417 おわびの印に ささ 一杯…。 71 00:05:50,417 --> 00:05:52,452 いっぱい 乾杯。 72 00:05:52,452 --> 00:05:56,489 むっ!? そっ そうか? えぇ もう晩ご飯だぞ 先生。 73 00:05:56,489 --> 00:05:58,725 はい ドンチャン ドンチャン…。 しようがないな…。 74 00:05:58,725 --> 00:06:02,762 明日 七辻屋の新作団子を 買ってやるから。 75 00:06:02,762 --> 00:06:06,433 なに!? お前たち 今日はもう帰れ。 76 00:06:06,433 --> 00:06:08,735 えぇ!? そんな殺生な~。 77 00:06:08,735 --> 00:06:13,073 殺生 毛だらけ もう灰だらけ。 せめて 1杯だけでも~。 78 00:06:13,073 --> 00:06:15,075 ええい 早く帰れ! 79 00:06:15,075 --> 00:06:17,077 新作団子がふいになる! 飲んで。 飲んで~。 80 00:06:17,077 --> 00:06:19,079 飲まれて…。 81 00:06:21,081 --> 00:06:23,049 う~ん…。 そんなわけで➡ 82 00:06:23,049 --> 00:06:25,485 何も作れなかったんだ。 83 00:06:25,485 --> 00:06:28,388 せっかく粘土をもらったのに ごめんな。 84 00:06:28,388 --> 00:06:30,390 いや いいんだ。 85 00:06:30,390 --> 00:06:34,828 しかし 夏目のところには 次々 妖怪が来ちゃうんだな。 86 00:06:34,828 --> 00:06:37,063 見える人だったっていう おばあさんも➡ 87 00:06:37,063 --> 00:06:41,067 そうだったのか? あぁ どうかな? 88 00:06:41,067 --> 00:06:45,472 交流は たくさんあったみたいだけど…。 89 00:06:45,472 --> 00:06:48,742 <強い妖力を持ったという 祖母レイコは➡ 90 00:06:48,742 --> 00:06:52,412 多くの妖怪に勝負を持ちかけ 打ち負かし➡ 91 00:06:52,412 --> 00:06:57,083 その証しに 紙に名前を書かせ 集めた。 92 00:06:57,083 --> 00:07:02,055 名を呼ばれれば逆らえぬ 契約書の束 友人帳。 93 00:07:02,055 --> 00:07:05,458 その遺品を受け継ぐことになった 俺は➡ 94 00:07:05,458 --> 00:07:09,062 時折 放免を求め 訪ねてくる妖怪に➡ 95 00:07:09,062 --> 00:07:11,398 名前を返す日々…> 96 00:07:11,398 --> 00:07:13,733 ただいま。 (戸を開ける音) 97 00:07:13,733 --> 00:07:15,769 (塔子)おかえりなさい。 98 00:07:15,769 --> 00:07:18,805 おじゃましま~す。 (塔子)田沼くん? 99 00:07:18,805 --> 00:07:21,775 どうぞ 上がって~。 (2人)うん? 100 00:07:24,411 --> 00:07:27,414 塔子さん どうしたんですか? 101 00:07:27,414 --> 00:07:32,519 (塔子)うん… 五百円玉が タンスの下に入っちゃったの。 102 00:07:32,519 --> 00:07:35,755 ものさしを突っ込めば 取れるかも。 103 00:07:35,755 --> 00:07:40,760 俺が やりましょうか。 そうね お願いしようかしら。 104 00:07:40,760 --> 00:07:42,729 あっ…。 105 00:07:45,432 --> 00:07:47,434 あら 出てきた。 106 00:07:47,434 --> 00:07:49,402 どこかに 引っかかってたのかしら。 107 00:07:52,405 --> 00:07:55,809 どう思う? さっきの五百円玉。 108 00:07:55,809 --> 00:07:59,746 あぁ 何かが 家に潜り込んできたのかも。 109 00:07:59,746 --> 00:08:04,417 えっ? ニャンコ先生 一応 用心棒なんだろ? 110 00:08:04,417 --> 00:08:06,753 気ままな なっ! 111 00:08:06,753 --> 00:08:10,824 うん? 何か今 チクリと…。 112 00:08:10,824 --> 00:08:12,859 ガビョーン。 113 00:08:12,859 --> 00:08:15,095 うわぁ! わっ… 画びょう!? 114 00:08:15,095 --> 00:08:18,431 たっ 田沼は大丈夫か!? あぁ 夏目は!? 115 00:08:18,431 --> 00:08:21,501 ええい 少しは私の心配をしろ! 116 00:08:21,501 --> 00:08:24,771 俺たちの下には ないな。 あぁ。 117 00:08:24,771 --> 00:08:27,107 む~。 もしかして ニャンコ先生➡ 118 00:08:27,107 --> 00:08:30,143 誰かに狙われてるのか? 119 00:08:30,143 --> 00:08:32,412 画びょうでか? むっ? 120 00:08:32,412 --> 00:08:35,415 見ろ 夏目。 あっ。 121 00:08:35,415 --> 00:08:38,418 変だな しまっておいたはずなのに…。 122 00:08:40,420 --> 00:08:42,455 う~ん…。 123 00:08:42,455 --> 00:08:45,425 《さっき タンスの裏から コインを押し出す何かが➡ 124 00:08:45,425 --> 00:08:48,762 見えた気がしたけど…》 125 00:08:48,762 --> 00:08:51,765 うん? 126 00:08:51,765 --> 00:08:54,734 うわっ 何かと目が合った! えっ? 127 00:09:00,774 --> 00:09:04,110 いない。 俺と目が合うってことは➡ 128 00:09:04,110 --> 00:09:06,079 ネズミか何かかも…。 129 00:09:06,079 --> 00:09:09,749 そうだな 妖怪ではないか。 130 00:09:09,749 --> 00:09:11,751 あれ? 131 00:09:11,751 --> 00:09:15,155 俺の作ったミニ先生がなくなってる。 (田沼)えっ? 132 00:09:15,155 --> 00:09:18,425 ネズミが どこかに 転がしていったのかな? 133 00:09:18,425 --> 00:09:23,396 そうか。 ちょっと残念だな 見てみたかったのに。 134 00:09:27,400 --> 00:09:31,404 《本当は ちょっと気に入っていた ミニ先生…》 135 00:09:33,740 --> 00:09:38,077 < その夜 妙な夢を見た。 136 00:09:38,077 --> 00:09:42,115 倒れているのに 体は異様に軽く➡ 137 00:09:42,115 --> 00:09:45,151 自分の手足じゃないようだった。 138 00:09:45,151 --> 00:09:48,755 気づくと 誰かがとても悲しそうな顔で➡ 139 00:09:48,755 --> 00:09:52,058 こちらを のぞきこんでいた。 140 00:09:52,058 --> 00:09:55,095 俺は ひどく驚いた。 141 00:09:55,095 --> 00:09:58,097 だって 俺はこうなっても平気だから➡ 142 00:09:58,097 --> 00:10:00,733 悲しむことは これっぽっちもないって➡ 143 00:10:00,733 --> 00:10:04,137 その人に伝えたかった> 144 00:10:07,106 --> 00:10:11,911 < けれど やはり 口は動かなかった> 145 00:10:11,911 --> 00:10:16,883 あっ。 夢か…。 146 00:10:23,423 --> 00:10:28,394 おはよう ニャンコ先生。 147 00:10:28,394 --> 00:10:32,098 (ニャンコ先生の寝息) 148 00:10:32,098 --> 00:10:35,068 えっ… えっ!? 149 00:10:35,068 --> 00:10:37,070 《ちっさ!》 150 00:10:39,072 --> 00:10:41,074 まっ 待て! 151 00:10:43,109 --> 00:10:46,412 えっ 今のは…。 152 00:10:46,412 --> 00:10:50,083 《まさか あの粘土の!?》 153 00:10:54,387 --> 00:10:58,057 ふむ あのとき 灰がかかってしまったのか。 154 00:10:58,057 --> 00:11:03,062 この世の物でなくなった人形に 何かが入ったのかもしれんな。 155 00:11:03,062 --> 00:11:06,065 入った? 依代だな。 156 00:11:06,065 --> 00:11:10,036 私が このキュートな 招き猫の器を得たことで➡ 157 00:11:10,036 --> 00:11:13,873 他のヤツにも 姿を見せられるのと同じだ。 158 00:11:13,873 --> 00:11:18,378 そんなことってあるのか? ただの粘土人形なのに。 159 00:11:18,378 --> 00:11:22,048 お前の強い妖力も 影響しているんだろう。 160 00:11:22,048 --> 00:11:24,918 意図せず いろいろと巻き起こしてしまう➡ 161 00:11:24,918 --> 00:11:26,920 レイコと同じさ。 162 00:11:26,920 --> 00:11:29,722 《依代…。 163 00:11:29,722 --> 00:11:35,395 いったい どんなヤツが あのミニ先生に入ったんだろう》 164 00:11:38,698 --> 00:11:41,034 あっ…。 165 00:11:41,034 --> 00:11:43,036 うわっ! 166 00:11:43,036 --> 00:11:47,040 あっ こら 待て! 167 00:11:47,040 --> 00:11:49,709 《こうして 家の中で時々➡ 168 00:11:49,709 --> 00:11:53,046 ミニ先生を 見かけるようになってしまった。 169 00:11:53,046 --> 00:11:55,381 引き出しの中》 170 00:11:55,381 --> 00:11:57,350 うわっ…。 171 00:11:57,350 --> 00:11:59,385 《欄間の陰。 172 00:11:59,385 --> 00:12:03,056 ニャンコ先生の座布団の端》 173 00:12:03,056 --> 00:12:05,058 あっ…。 174 00:12:05,058 --> 00:12:07,327 《捕まえるべきかとも 思ったけれど…》 175 00:12:11,030 --> 00:12:14,033 《かわいくも思えてきた》 176 00:12:14,033 --> 00:12:17,337 それ 振り子時計っていうんだよ。 177 00:12:19,572 --> 00:12:23,376 あっ… あぁ! 178 00:12:23,376 --> 00:12:27,046 《今 うなずいたような…》 179 00:12:27,046 --> 00:12:31,050 ふあ…。 (足音) 180 00:12:31,050 --> 00:12:33,052 おはようございま…。 181 00:12:33,052 --> 00:12:35,722 あら? 182 00:12:35,722 --> 00:12:38,391 どうしたんですか? それ。 183 00:12:38,391 --> 00:12:42,028 うん? あぁ おはよう 貴志くん。 184 00:12:42,028 --> 00:12:46,032 それがね ネズミを見かけたような気がして…。 185 00:12:46,032 --> 00:12:49,435 えっ? 何か悪さしましたか? 186 00:12:49,435 --> 00:12:51,738 それが まったく。 187 00:12:51,738 --> 00:12:55,041 だから 気のせいかもしれないんだけど…。 188 00:12:55,041 --> 00:12:57,410 あっ そういえば…。 189 00:12:57,410 --> 00:13:00,747 木のお茶わんが 一つ なくなっちゃって。 190 00:13:00,747 --> 00:13:04,083 使ってないから もう物置にしまおうと➡ 191 00:13:04,083 --> 00:13:06,052 思ってたんだけど。 192 00:13:08,054 --> 00:13:12,458 そりゃ 田沼が見えるなら 塔子にも見えるだろうさ。 193 00:13:12,458 --> 00:13:17,397 しかし まぁ そろそろネズミ狩りもいいだろう。 194 00:13:17,397 --> 00:13:21,234 手加減してやってくれよ 先生。 (物音) 195 00:13:21,234 --> 00:13:23,236 (2人)うん? 196 00:13:27,707 --> 00:13:29,709 《なっ… いた!》 《なっ… いた!》 197 00:13:34,080 --> 00:13:36,683 ミッ ミニ先生…。 198 00:13:36,683 --> 00:13:40,386 むっ 静かに。 199 00:13:40,386 --> 00:13:43,056 ふむ ふむふむ…。 200 00:13:43,056 --> 00:13:45,391 「世話になった」と言っているぞ。 201 00:13:45,391 --> 00:13:48,695 先生には 言葉がわかるのか? 202 00:13:48,695 --> 00:13:51,030 念を飛ばしてくるのだ。 203 00:13:51,030 --> 00:13:54,400 コイツ 結構な大物だな。 204 00:13:54,400 --> 00:13:58,404 「申し訳ないが この器と 木の茶わんを一つ➡ 205 00:13:58,404 --> 00:14:00,373 譲ってほしい」と。 206 00:14:00,373 --> 00:14:04,043 あっ 粘土はいいけど 茶わんは…。 207 00:14:04,043 --> 00:14:07,413 「かたじけない それでは失礼」。 208 00:14:07,413 --> 00:14:09,449 えっ? えっ あっ…。 209 00:14:09,449 --> 00:14:12,452 待て! こらぁ! 210 00:14:18,057 --> 00:14:20,059 いた! 211 00:14:22,161 --> 00:14:25,131 茶わんなど 何に使うつもりだ? 212 00:14:30,403 --> 00:14:32,872 どこまで行くんだろう…。 213 00:14:39,712 --> 00:14:41,714 先生…。 214 00:14:41,714 --> 00:14:46,085 むっ… このあたりは よくない気があふれているな。 215 00:14:46,085 --> 00:14:51,390 気をつけろ! あぁ それにミニも見失った。 216 00:14:51,390 --> 00:14:56,395 《粘土のあんな小さな体で 襲われたりしたら…》 217 00:14:56,395 --> 00:14:58,398 あっ…。 (物音) 218 00:14:58,398 --> 00:15:02,402 《何か来る!》 219 00:15:02,402 --> 00:15:05,738 おっ おぉ…。 220 00:15:05,738 --> 00:15:07,707 チッ…。 221 00:15:07,707 --> 00:15:09,742 (斑)ガオー。 222 00:15:09,742 --> 00:15:11,744 うお~! 223 00:15:11,744 --> 00:15:15,381 私の獲物に気安く…。 224 00:15:15,381 --> 00:15:17,417 あっ…。 225 00:15:17,417 --> 00:15:20,052 ぐっ…。 226 00:15:20,052 --> 00:15:22,388 ミッ ミニ…。 227 00:15:22,388 --> 00:15:24,724 ぐっ おぉ…。 228 00:15:24,724 --> 00:15:27,393 なっ… うおっ! 229 00:15:27,393 --> 00:15:32,098 ニャッ ニャニャ…。 うわぁ ニャンコ先生! ミニ先生! 230 00:15:34,066 --> 00:15:38,070 ミニ 君はいったい何者なんだ? 231 00:15:38,070 --> 00:15:41,474 「私は ジョウザンソウホウというもの。 232 00:15:41,474 --> 00:15:46,045 本来 朱色川の上流にある 仏像のかけらであったが➡ 233 00:15:46,045 --> 00:15:50,716 土に混ざって 持ち去られ とある焼き物となった」。 234 00:15:50,716 --> 00:15:52,752 仏像のかけら…。 235 00:15:52,752 --> 00:15:56,756 「縁あって ある神社へ 置かれることとなったが➡ 236 00:15:56,756 --> 00:16:03,095 ちょっとした事故で割れてしまい もはや 器に戻れなくなった。 237 00:16:03,095 --> 00:16:06,065 本体に戻るほどの力もなく➡ 238 00:16:06,065 --> 00:16:10,069 しばらく魂となり さまよっていたが➡ 239 00:16:10,069 --> 00:16:12,738 たまたま通りかかった窓に➡ 240 00:16:12,738 --> 00:16:17,643 自分が 今一度宿れそうな 不思議なものを見つけた。 241 00:16:17,643 --> 00:16:20,413 それが この器なのだ。 242 00:16:20,413 --> 00:16:25,418 入ってみると これまでと違い なじめば動くこともできた。 243 00:16:25,418 --> 00:16:30,690 これなら本体の場所まで 帰れるだろう」だそうだ。 244 00:16:32,725 --> 00:16:34,727 さっきの妖怪は いったい…。 245 00:16:34,727 --> 00:16:39,398 置物として置かれていた神社が この近くにあるらしい。 246 00:16:39,398 --> 00:16:42,802 気になっていた 悪しき妖モノがいるので➡ 247 00:16:42,802 --> 00:16:45,404 ここら一帯から離れる前に➡ 248 00:16:45,404 --> 00:16:47,740 消し飛ばしておこうと 来たようだな。 249 00:16:47,740 --> 00:16:49,742 そうか…。 250 00:16:49,742 --> 00:16:53,379 《自分が去ったあと 愁いが残らないように…》 251 00:16:53,379 --> 00:16:55,414 あっ…。 252 00:16:55,414 --> 00:16:58,084 《腕にヒビが…》 253 00:16:58,084 --> 00:17:00,720 あっ ミニ先生? 254 00:17:00,720 --> 00:17:03,723 どうやら もう1匹 いるらしいぞ。 255 00:17:03,723 --> 00:17:06,392 えっ まっ 待て ミニ先生! 256 00:17:06,392 --> 00:17:09,395 あっ こら 夏目! 257 00:17:09,395 --> 00:17:12,098 《あんな腕のままじゃ…》 258 00:17:14,400 --> 00:17:17,403 《神社 あれが…》 259 00:17:17,403 --> 00:17:19,705 いたぞ! 260 00:17:19,705 --> 00:17:22,108 待て ミニ先生! 261 00:17:24,043 --> 00:17:26,112 右腕にヒビが! 262 00:17:26,112 --> 00:17:29,415 補強しないと壊れてしまうぞ。 263 00:17:36,756 --> 00:17:40,092 あぁ… なかなか難しいな。 264 00:17:40,092 --> 00:17:43,362 当たり前だ こんな小さいもんに。 265 00:17:47,500 --> 00:17:51,404 「神主の家にも 振り子時計があった」。 266 00:17:51,404 --> 00:17:53,773 あっ…。 267 00:17:53,773 --> 00:17:58,044 「カチコチ鳴るのが楽しくて 気に入って眺めていたが➡ 268 00:17:58,044 --> 00:18:01,080 ついに壊れて動かなくなった。 269 00:18:01,080 --> 00:18:05,751 神主は それでも捨てられずに 柱に掛けていた。 270 00:18:05,751 --> 00:18:09,121 おかしなヤツなのだ」。 271 00:18:09,121 --> 00:18:12,391 ミニ先生は どんな置物だったんだ? 272 00:18:16,395 --> 00:18:18,731 「鳥だ」。 へぇ。 273 00:18:18,731 --> 00:18:22,802 「小さいが 羽の美しい白き鳥。 274 00:18:22,802 --> 00:18:26,072 置物ゆえ 羽ばたくことはできなかったが➡ 275 00:18:26,072 --> 00:18:30,076 動けずとも まぁ それもよいと思っていた。 276 00:18:30,076 --> 00:18:33,079 しかし 本当の鳥であれば➡ 277 00:18:33,079 --> 00:18:37,049 災いをよけることが できただろうか。 278 00:18:37,049 --> 00:18:39,418 そうすれば…」。 279 00:18:39,418 --> 00:18:41,420 《そうすれば…》 280 00:18:41,420 --> 00:18:43,389 (葉擦れ) 281 00:18:46,092 --> 00:18:48,060 近くにいるぞ! 282 00:18:48,060 --> 00:18:51,464 《どこだ どこから来る!?》 283 00:18:51,464 --> 00:18:56,402 きっ… きっ…。 284 00:18:56,402 --> 00:18:58,371 わっ! 285 00:18:58,371 --> 00:19:00,773 あっ ミニ先生! 286 00:19:00,773 --> 00:19:06,412 きっ きき… これ 怖い。 287 00:19:06,412 --> 00:19:09,081 壊れろ。 288 00:19:09,081 --> 00:19:11,450 ミニ先生を 放せ! 289 00:19:11,450 --> 00:19:13,452 ぎっ! 290 00:19:13,452 --> 00:19:17,390 グオー。 ぎ~! 291 00:19:17,390 --> 00:19:19,425 あっ…。 292 00:19:19,425 --> 00:19:22,128 まだだ 夏目! コイツ しぶといぞ。 293 00:19:26,399 --> 00:19:28,701 あっ… ダメだ ミニ先生! 294 00:19:30,736 --> 00:19:35,741 ギャア! 295 00:19:38,377 --> 00:19:41,080 あっ…。 296 00:19:41,080 --> 00:19:46,752 《粘土の器が砕けたら ミニ先生は どこへ行くんだ? 297 00:19:46,752 --> 00:19:51,457 せっかく帰れるかもしれないのに どこへ…》 298 00:19:51,457 --> 00:19:54,060 ⦅うん? (ガラスが割れる音) 299 00:19:54,060 --> 00:19:56,395 ごっ ごめんなさい。 300 00:19:56,395 --> 00:20:00,466 神主さんが大事にしてた鳥に 当たっちゃった…。 301 00:20:00,466 --> 00:20:02,735 ごめんなさい。 302 00:20:02,735 --> 00:20:06,105 正直に ありがとう。 303 00:20:06,105 --> 00:20:10,743 大丈夫 大丈夫 物にも みんな寿命がある。 304 00:20:10,743 --> 00:20:14,747 いつか来る日が 今日だっただけだよ。 305 00:20:18,751 --> 00:20:21,787 ハア… すまない。 306 00:20:21,787 --> 00:20:25,491 私が窓辺に置いたばかりに…。 307 00:20:30,062 --> 00:20:32,732 すまないねぇ⦆ 308 00:20:32,732 --> 00:20:37,403 《あぁ 自分で言ったくせに…。 309 00:20:37,403 --> 00:20:40,739 物には寿命があるだけなのに。 310 00:20:40,739 --> 00:20:44,043 もし 本当の鳥であれば➡ 311 00:20:44,043 --> 00:20:47,413 災いをよけることが できただろうか。 312 00:20:47,413 --> 00:20:52,752 そうすれば 悲しい顔をさせずに すんだだろうか…》 313 00:20:52,752 --> 00:20:54,720 あっ…。 314 00:20:58,724 --> 00:21:02,394 「軟弱者め」だそうだ。 315 00:21:02,394 --> 00:21:04,396 なっ! 316 00:21:06,365 --> 00:21:10,069 「久しぶりに 動いている振り子時計を見た。 317 00:21:10,069 --> 00:21:12,438 やっぱり楽しかったが➡ 318 00:21:12,438 --> 00:21:15,474 いつの間にか 止まったままのあの時計が➡ 319 00:21:15,474 --> 00:21:18,043 好きになっていたようだ。 320 00:21:18,043 --> 00:21:21,380 動きもしない物が恋しい。 321 00:21:21,380 --> 00:21:25,050 人の心が うつってしまったのだろうか。 322 00:21:25,050 --> 00:21:28,053 面倒なものだ」。 323 00:21:31,457 --> 00:21:34,493 一応 補強はしてみたけど…。 324 00:21:34,493 --> 00:21:38,397 本体に合流するまで もてばいいだけの器だ。 325 00:21:38,397 --> 00:21:41,700 どうにかなるだろ。 326 00:21:41,700 --> 00:21:43,736 おわんは せん別だ。 327 00:21:43,736 --> 00:21:48,407 塔子さんには 俺から謝っておくよ。 328 00:21:48,407 --> 00:21:52,077 《いたずら心で作った ただの粘土細工。 329 00:21:52,077 --> 00:21:54,079 それでも…。 330 00:21:54,079 --> 00:21:56,715 ミニ先生を乗せた木のおわんは➡ 331 00:21:56,715 --> 00:21:59,718 不思議に川をのぼっていった。 332 00:21:59,718 --> 00:22:02,388 きっと ミニ先生は➡ 333 00:22:02,388 --> 00:22:05,691 無事に あるべきところへ 帰るのだろう》 334 00:22:08,794 --> 00:22:10,796 なんだ? 335 00:22:10,796 --> 00:22:13,199 なんでもないよ。 336 00:24:11,016 --> 00:24:14,019 気ままな なっ! ガビョーン。