1 00:00:02,500 --> 00:00:05,590 (ナレーション) 瘴気(しょうき) 漂う世界の果て 2 00:00:06,090 --> 00:00:10,800 その国は決して人間を寄せつけない 禁忌の世界 3 00:00:11,970 --> 00:00:13,850 そこには かつて⸺ 4 00:00:13,930 --> 00:00:18,350 人間を食らい支配した 異形の眷属(けんぞく)と⸺ 5 00:00:18,440 --> 00:00:22,940 それらを統べる王がいた 6 00:00:23,020 --> 00:00:28,030 ♪~ 7 00:01:47,940 --> 00:01:52,950 ~♪ 8 00:02:27,930 --> 00:02:28,930 (役人)降りろ 9 00:02:41,320 --> 00:02:42,280 (役人)行け 10 00:02:48,120 --> 00:02:49,490 うっ… 11 00:03:08,430 --> 00:03:09,310 (衛兵)乗れ 12 00:03:18,560 --> 00:03:19,980 (アヌビス)連れてまいりました 13 00:03:20,070 --> 00:03:21,820 我が王よ 14 00:03:21,900 --> 00:03:24,450 この娘が今度の供物 15 00:03:24,530 --> 00:03:28,450 99人目の生贄(いけにえ)でございます 16 00:03:33,450 --> 00:03:35,620 (王)顔を上げてみせよ 17 00:03:42,920 --> 00:03:44,510 (アヌビス)これは また 18 00:03:45,220 --> 00:03:48,050 人間どもの よこす 生贄の中でも⸺ 19 00:03:48,140 --> 00:03:51,810 今度の娘は とりわけ貧相でございますな 20 00:03:51,890 --> 00:03:56,770 このような娘を食らわれても なんの糧にもなりますまい 21 00:03:56,850 --> 00:03:58,940 この娘は せいぜい引き裂いて⸺ 22 00:03:59,020 --> 00:04:01,940 貴族連中への見せ物にでもして⸺ 23 00:04:02,020 --> 00:04:05,070 早々に 次の生贄を 捧(ささ)げさせるがよいでしょう 24 00:04:05,150 --> 00:04:06,490 (サリフィ)あの 25 00:04:06,570 --> 00:04:09,950 ちょっと失礼じゃないですか? 犬の人 26 00:04:10,030 --> 00:04:11,410 (アヌビス)い… 犬? 27 00:04:11,490 --> 00:04:14,500 犬とは まさか このアヌビスのことか? 28 00:04:14,580 --> 00:04:16,870 (サリフィ)私にだって 食べるところくらいあります 29 00:04:17,620 --> 00:04:19,210 粗末にしないでください 30 00:04:19,290 --> 00:04:22,040 (アヌビス)こ… この無礼者! (サリフィ)べー 31 00:04:22,130 --> 00:04:25,170 (アヌビス)くっ… 王の御前で勝手に口を開くな 32 00:04:25,260 --> 00:04:27,800 (サリフィ)だって あなたが… (アヌビス)黙らぬか! 33 00:04:27,880 --> 00:04:31,680 も… 申し訳ございません 人間ごときが このような… 34 00:04:31,760 --> 00:04:35,020 (王)構わぬ お前は下がれ アヌビス 35 00:04:35,100 --> 00:04:36,980 (アヌビス)し… しかし 王 こやつ… 36 00:04:37,060 --> 00:04:40,400 (王の叫び声) 37 00:04:42,480 --> 00:04:44,650 (王)誰に口答えしている 38 00:04:44,730 --> 00:04:47,570 私が下がれと言ったら下がれ 39 00:04:47,650 --> 00:04:50,360 (アヌビス)お… お許しください 失礼いたします 40 00:04:52,030 --> 00:04:54,120 (ドアの開閉音) 41 00:04:54,200 --> 00:04:56,830 (サリフィ)短気な おーさま 42 00:04:56,910 --> 00:05:01,460 駄目だよ そんなんじゃ いつか誰もいなくなっちゃうよ 43 00:05:01,540 --> 00:05:05,380 (ロプス)あわわわ… 王様は怖いのだ すぐ謝るのだ! 44 00:05:05,460 --> 00:05:06,300 (キュク)のだ! 45 00:05:06,920 --> 00:05:08,260 (サリフィ)あなたたちは? 46 00:05:08,340 --> 00:05:09,220 (キュク)キュク 47 00:05:09,300 --> 00:05:10,430 ロプスなのだ 48 00:05:10,510 --> 00:05:12,800 お前の見張り役なのだ 49 00:05:13,800 --> 00:05:16,930 (ロプス・キュク)ひっ! (王)口の減らぬ人間の娘よ 50 00:05:17,020 --> 00:05:19,810 つまらぬ虚勢は張らぬことだ 51 00:05:20,850 --> 00:05:23,560 これまで この私を前にして⸺ 52 00:05:23,650 --> 00:05:27,360 恐怖に震え 泣き叫ばぬ贄は いなかった 53 00:05:27,440 --> 00:05:30,570 貴様も 少しでも楽に死にたいのなら 54 00:05:30,650 --> 00:05:34,070 私にひれ伏せ 震え上がれ 55 00:05:34,160 --> 00:05:36,540 命乞いをしてみせろ! 56 00:05:36,620 --> 00:05:40,040 (サリフィ)アハハ おーさま 肉球ぷにぷに~ 57 00:05:40,120 --> 00:05:41,540 (ロプス・キュク)ぴーっ! 58 00:05:42,250 --> 00:05:44,460 (王)貴様… 59 00:05:44,540 --> 00:05:45,460 (サリフィ)私は 60 00:05:45,540 --> 00:05:50,130 ここから逃げても 帰る場所も 待つ家族もいないの 61 00:05:50,220 --> 00:05:52,930 だから ここで あなたに食べられて おしまい 62 00:05:53,890 --> 00:05:55,260 それでいいの 63 00:05:58,640 --> 00:06:02,060 (王)人間の娘 名は? 64 00:06:02,140 --> 00:06:06,520 私はサリ サリフィ あなたは? 65 00:06:09,360 --> 00:06:11,740 (王)私自身に名はない 66 00:06:11,820 --> 00:06:13,320 強いて言うならば⸺ 67 00:06:13,410 --> 00:06:17,700 この体に流れる王族の証したる血が 私の名 68 00:06:17,790 --> 00:06:19,200 ん? 69 00:06:19,290 --> 00:06:24,880 (王)生贄を食らう供犠は 次に空の瘴気が晴れる天啓の夜 70 00:06:26,210 --> 00:06:29,590 その強がり いつまで続くか 71 00:06:29,670 --> 00:06:34,340 貴様は それまで特別に 私のそばに置いてやろう 72 00:06:36,600 --> 00:06:39,850 (議長)宰相! アヌビス宰相はおらぬか 73 00:06:39,930 --> 00:06:41,770 (議長) これは一体 どういうことだ 74 00:06:42,600 --> 00:06:46,730 (議長)贄の娘が 自由に 王宮内を徘徊(はいかい)しているではないか 75 00:06:46,810 --> 00:06:49,690 (アヌビス) お静まりください 議長殿 76 00:06:49,780 --> 00:06:53,320 一応 鎖で つないでありますゆえ 自由では… 77 00:06:53,400 --> 00:06:54,660 (議長)へ理屈はよい! 78 00:06:55,280 --> 00:06:58,450 王は 人間を ペットにでもなさるおつもりか 79 00:06:58,530 --> 00:06:59,660 (議長)まったく 80 00:06:59,740 --> 00:07:03,120 先代といい 王の気まぐれにも困ったものよ 81 00:07:04,040 --> 00:07:05,960 100年前の大戦の折⸺ 82 00:07:06,040 --> 00:07:11,170 先代王は 独断で人間と和睦し 停戦されてしまわれた 83 00:07:11,260 --> 00:07:16,010 そのことをよしとせず 反旗を翻さんとする反乱分子が⸺ 84 00:07:16,090 --> 00:07:18,680 いまだ この国には くすぶっておる 85 00:07:18,760 --> 00:07:20,180 (議長)そうとも 86 00:07:20,260 --> 00:07:22,520 そういった感情を収めるために 87 00:07:22,600 --> 00:07:26,690 停戦の条件として 生贄を差し出させているのだぞ 88 00:07:26,770 --> 00:07:31,530 我々と人間は対等などではないと 示すためにの 89 00:07:31,610 --> 00:07:34,320 (アヌビス) もちろん 心得ております 90 00:07:34,400 --> 00:07:36,490 (議長)とにかく 王へ申し上げよ 91 00:07:36,570 --> 00:07:39,490 あまり お戯れが過ぎては困る 92 00:07:39,580 --> 00:07:43,500 今に足を すくわれることに なりかねぬとな 93 00:07:44,250 --> 00:07:45,080 わっ… 94 00:07:46,080 --> 00:07:47,120 おーさま 95 00:07:47,210 --> 00:07:50,340 誰が部屋から出ることを許した 96 00:07:50,420 --> 00:07:51,460 キュク ロプス 97 00:07:51,550 --> 00:07:52,380 (ロプス・キュク)ひっ! 98 00:07:52,460 --> 00:07:54,840 (王) 貴様ら なんのための見張りだ 99 00:07:54,920 --> 00:07:57,380 もっ… 申し訳ありません 王様! 100 00:07:57,470 --> 00:07:58,680 ぴっ ません! 101 00:07:58,760 --> 00:08:01,140 待って おーさま 私が勝手に… 102 00:08:01,220 --> 00:08:05,060 (王)己の立場をわきまえろ 部屋へ戻るぞ 103 00:08:05,140 --> 00:08:06,600 (サリフィ)おーさま 104 00:08:07,600 --> 00:08:09,900 (サリフィ) だって 退屈だったんだもん 105 00:08:09,980 --> 00:08:13,400 おーさまの部屋 殺風景で 何もないんだから 106 00:08:13,480 --> 00:08:16,320 私は王だ 不自由はしていない 107 00:08:17,740 --> 00:08:21,620 でもね お花でも飾れば 華やかになると思わない? 108 00:08:21,700 --> 00:08:24,790 私には 花をめでる趣味などない 109 00:08:24,870 --> 00:08:25,700 それに⸺ 110 00:08:26,660 --> 00:08:31,170 月の出る天啓の夜以外 瘴気の雲が晴れぬ この国では⸺ 111 00:08:31,250 --> 00:08:32,790 花など育たぬ 112 00:08:32,880 --> 00:08:34,460 (サリフィ)つまんないの 113 00:08:34,550 --> 00:08:38,220 とにかく この部屋を出て 私の目を離れれば 114 00:08:38,300 --> 00:08:40,760 人間など 一瞬で八つ裂きになろう 115 00:08:41,430 --> 00:08:45,100 供犠の日まで生きていたくば おとなしくしていろ 116 00:08:45,180 --> 00:08:46,270 そっか 117 00:08:46,350 --> 00:08:49,690 おーさま 私のこと 心配してくれたんだね 118 00:08:55,780 --> 00:08:58,110 減らぬ口め 119 00:08:58,200 --> 00:08:59,570 供犠の夜を待たずとも⸺ 120 00:09:00,320 --> 00:09:02,450 私の ほんの気まぐれで⸺ 121 00:09:02,530 --> 00:09:06,700 この細首を 今ここで 引き裂くこともできるのだぞ 122 00:09:06,790 --> 00:09:08,290 これでも まだ貴様は 123 00:09:09,290 --> 00:09:11,670 私を恐れぬのか 124 00:09:12,540 --> 00:09:13,880 (サリフィ)うん 125 00:09:14,420 --> 00:09:16,880 私 もっと怖いもの知ってるの 126 00:09:17,970 --> 00:09:19,550 (雷鳴) 127 00:09:19,630 --> 00:09:24,680 (サリフィ)昔 ひどい嵐の夜に 古びた本を読んでいて⸺ 128 00:09:24,760 --> 00:09:27,560 私の名前が古い言葉で⸺ 129 00:09:27,640 --> 00:09:31,730 “犠牲”“生贄”って意味を 持ってることを知ったの 130 00:09:31,810 --> 00:09:33,150 (幼いサリフィ)お姉ちゃん 131 00:09:33,770 --> 00:09:36,280 お姉ちゃん ねえ 起きて 132 00:09:36,360 --> 00:09:37,820 (マリア)ん… 133 00:09:37,900 --> 00:09:41,860 なあに サリ 怖い夢でも見たの? 134 00:09:42,860 --> 00:09:46,200 お母さんたちの所に行っといで 135 00:09:47,290 --> 00:09:50,750 (サリフィの母)やっぱり 次の生贄は この村から… 136 00:09:50,830 --> 00:09:54,000 (サリフィの父) 心配するな うちの子は大丈夫だよ 137 00:09:54,080 --> 00:09:55,130 (サリフィの母)でも… 138 00:09:55,210 --> 00:09:57,590 (サリフィの父) こんな時のために あの子を⸺ 139 00:09:58,420 --> 00:10:01,470 わざわざ身代わりを拾い 育ててきたんじゃないか 140 00:10:01,550 --> 00:10:02,760 な? 141 00:10:02,840 --> 00:10:04,260 (2人)ハッ… 142 00:10:05,890 --> 00:10:07,390 (サリフィ)自分が初めから⸺ 143 00:10:07,470 --> 00:10:10,770 生贄として 育てられていたことよりも⸺ 144 00:10:10,850 --> 00:10:15,440 両親だった人たちの 冷たく凍った瞳が⸺ 145 00:10:15,520 --> 00:10:17,480 何より恐ろしかった 146 00:10:19,820 --> 00:10:22,990 だけど おーさまの目は全然違う 147 00:10:23,070 --> 00:10:25,320 だから 怖くないよ 148 00:10:30,450 --> 00:10:35,380 おーさま もしかして 無理して怒ってたりして? 149 00:10:36,880 --> 00:10:39,590 (王)サリフィ お前は⸺ 150 00:10:41,010 --> 00:10:43,130 哀れな娘だ 151 00:10:48,100 --> 00:10:53,230 (ロプス)旧要塞都市 ダグタウ ここは ヨアナに最も近い都市 152 00:10:54,060 --> 00:10:57,900 故に 先の大戦では 最大の激戦地となったのだ 153 00:10:57,980 --> 00:10:58,940 (サリフィ)ヨアナって? 154 00:10:59,020 --> 00:11:02,780 (ロプス)人間の国のことを 我々は そう呼ぶのだ 155 00:11:02,860 --> 00:11:06,620 停戦から100年 経(た)った今も 傷痕は深く 156 00:11:06,700 --> 00:11:10,160 王は こうして よく視察に参られるのである 157 00:11:10,240 --> 00:11:11,080 (キュク)ある 158 00:11:11,160 --> 00:11:12,950 へえ… あっ 159 00:11:13,710 --> 00:11:15,830 向こうは何があるの? (アヌビス)あっ… 160 00:11:15,920 --> 00:11:18,540 あの娘 また勝手なことを 161 00:11:18,630 --> 00:11:20,210 (王)好きにさせておけ 162 00:11:20,300 --> 00:11:21,130 (アヌビス)しかし… 163 00:11:21,210 --> 00:11:22,630 (王)むう… 164 00:11:22,710 --> 00:11:24,130 (アヌビス)う… 165 00:11:30,310 --> 00:11:31,430 廃虚? 166 00:11:31,520 --> 00:11:33,520 (王)それ以上は進むな 167 00:11:33,600 --> 00:11:34,520 おーさま 168 00:11:34,600 --> 00:11:37,480 キュク ロプス お前たちは もうよい 169 00:11:37,560 --> 00:11:39,270 下がれ 170 00:11:39,360 --> 00:11:40,480 (キュク・ロプス)ははっ 171 00:11:41,150 --> 00:11:45,400 (王)下の街は こことは違って無法地帯だ 172 00:11:45,490 --> 00:11:50,700 王宮から最も遠い この都市は 過激反乱分子の根城となり 173 00:11:50,780 --> 00:11:54,000 今でも 人間どもと度々 いさかいを起こしている 174 00:11:54,750 --> 00:11:56,210 だから視察に来るの? 175 00:11:56,290 --> 00:11:59,960 無為に血を流そうとする 愚か者どもは 176 00:12:00,040 --> 00:12:02,380 誰かが止めなければならぬ 177 00:12:02,460 --> 00:12:06,300 最も確かで堅固な 恐怖という手段で 178 00:12:07,090 --> 00:12:11,260 王とは そのために 力を発揮すべき存在なのだ 179 00:12:12,390 --> 00:12:16,390 (サリフィ)大変なんだ 王様って 180 00:12:18,150 --> 00:12:19,690 (アヌビス) 王は どこへ行かれた? 181 00:12:19,770 --> 00:12:22,940 (ロプス)はっ 人間の娘と廃虚を望む丘に 182 00:12:23,730 --> 00:12:26,400 もうすぐ お戻りになると思います (キュク)ます 183 00:12:26,490 --> 00:12:28,360 (アヌビス)フゥ… 184 00:12:31,580 --> 00:12:34,580 (サリフィ) あれ? なんか いい匂い 185 00:12:38,830 --> 00:12:39,670 あっ 186 00:12:39,750 --> 00:12:42,000 花が咲いてる 187 00:12:48,010 --> 00:12:51,090 この辺りは瘴気が特に薄い 188 00:12:51,180 --> 00:12:54,220 花など咲くのは この国では ここくらいだ 189 00:12:55,020 --> 00:12:56,730 もしかして おーさま 190 00:12:56,810 --> 00:12:59,440 このために 私を連れてきてくれたの? 191 00:12:59,520 --> 00:13:04,150 目を離して また王宮内を うろうろされては かなわんからな 192 00:13:04,860 --> 00:13:06,320 (サリフィ)ありがとう 193 00:13:06,400 --> 00:13:09,030 ねえ おーさま この花 摘んで帰ってもいい? 194 00:13:09,110 --> 00:13:12,660 (王)王宮に持ち帰っても すぐに枯れるだけだろうが 195 00:13:13,330 --> 00:13:14,660 お願い! 196 00:13:16,450 --> 00:13:18,160 好きにしろ 197 00:13:23,340 --> 00:13:27,260 ふん 人間というやつは 理解に苦しむ 198 00:13:28,010 --> 00:13:30,930 どうせ散りゆくものなど めでて 何が… 199 00:13:31,010 --> 00:13:33,930 はい これ おーさまに 200 00:13:36,970 --> 00:13:39,640 フフ おーさま かわいい 201 00:13:39,730 --> 00:13:42,600 貴様! 王たる この私を愚弄し… 202 00:13:42,690 --> 00:13:44,020 だって おーさまって 203 00:13:44,110 --> 00:13:46,400 いっつも こんな顔してるでしょ? 204 00:13:47,280 --> 00:13:50,900 でも こうやって きれいなもの 目の前にしてると 205 00:13:51,610 --> 00:13:53,910 少しは楽な気持ちにならない? 206 00:14:02,460 --> 00:14:03,880 おーさま? 207 00:14:04,500 --> 00:14:06,460 (王)じき 嵐になる 208 00:14:10,630 --> 00:14:12,050 (雷鳴) 209 00:14:12,130 --> 00:14:14,850 (王)こうして空が荒れる夜が 続いた後には 210 00:14:15,510 --> 00:14:18,310 瘴気の晴れる天啓の夜が訪れる 211 00:14:18,970 --> 00:14:20,770 その時 お前は いよいよ供犠に… 212 00:14:20,850 --> 00:14:22,270 (雷が落ちる音) (サリフィ)嫌ー! 213 00:14:22,940 --> 00:14:24,980 雷… 214 00:14:25,770 --> 00:14:31,400 お前は魔族も恐れぬくせに たかが雷が恐ろしいのか 215 00:14:32,320 --> 00:14:33,360 (サリフィ)だって… 216 00:14:38,290 --> 00:14:39,330 (王)フゥ… 217 00:14:43,500 --> 00:14:47,210 稲光の度に ぎゃあぎゃあと 騒がれては かなわん 218 00:14:47,290 --> 00:14:50,880 これで 少しは 音や光を遮断できるだろう 219 00:14:51,720 --> 00:14:52,760 (サリフィ)うん 220 00:14:55,010 --> 00:14:57,220 わあ もふもふ~ 221 00:14:57,300 --> 00:15:01,930 まったく 現金なやつだ さっきまで震え上がっていたくせに 222 00:15:03,310 --> 00:15:06,150 おーさまが あったかいから もう怖くない 223 00:15:08,150 --> 00:15:09,480 ねえ おーさま 224 00:15:10,440 --> 00:15:11,990 おーさまも 225 00:15:12,070 --> 00:15:15,490 私の前では なんにも 無理しなくってもいいんだよ 226 00:15:18,200 --> 00:15:20,660 (寝息) 227 00:15:26,750 --> 00:15:28,750 (サリフィ)私には もうすぐ⸺ 228 00:15:29,590 --> 00:15:32,050 最期の夜がやってくるから 229 00:15:35,630 --> 00:15:37,680 (アヌビス)瘴気の雲が晴れた 230 00:15:38,300 --> 00:15:41,640 今夜は天啓 ようやく供犠の夜だ 231 00:15:41,720 --> 00:15:45,810 よいか? 供犠は神聖な儀式なのだ 232 00:15:45,890 --> 00:15:49,110 軽口は慎み 心して臨むよう… 233 00:15:49,190 --> 00:15:52,400 生贄って こんなきれいな服 着せてもらえるんだね 234 00:15:52,480 --> 00:15:53,530 サイショーさん! 235 00:15:53,610 --> 00:15:55,110 (アヌビス)当然であろうが 236 00:15:55,200 --> 00:15:57,570 仮にも贄は 王の一部となるのだ 237 00:15:57,660 --> 00:15:58,570 一片の汚(けが)れも… 238 00:15:58,660 --> 00:16:02,540 なんか花嫁みたい キューちゃん ロプちゃん 似合う? 239 00:16:02,620 --> 00:16:04,910 (ロプス)サリ 似合う (キュク)うー 240 00:16:05,000 --> 00:16:07,290 (アヌビス) 話を聞けと言っておろうが! 241 00:16:08,880 --> 00:16:10,920 (サリフィ)ところで おーさまは どこ? 242 00:16:11,000 --> 00:16:11,960 (アヌビス)供犠の夜⸺ 243 00:16:12,050 --> 00:16:15,260 王は 我々の前には 姿をお見せにならぬのだ 244 00:16:16,090 --> 00:16:19,340 (サリフィ)どうして? 王族のしきたりとか? 245 00:16:19,430 --> 00:16:22,100 (アヌビス)先代までは そうではなかったのだが⸺ 246 00:16:22,180 --> 00:16:26,560 王のお考えは 我々のあずかり知るところではない 247 00:16:28,190 --> 00:16:32,150 とにかく 貴様は おとなしく この祭壇の間で待て 248 00:16:33,020 --> 00:16:35,110 (ドアが閉まる音) 249 00:16:35,820 --> 00:16:39,950 (サリフィ) 真っ暗 右も左も分からない 250 00:16:40,530 --> 00:16:41,570 おーさま? 251 00:16:42,660 --> 00:16:44,330 きゃっ! うっ… 252 00:16:44,410 --> 00:16:45,330 ぐっ… 253 00:16:46,000 --> 00:16:47,250 (サリフィ)おーさまじゃない 254 00:16:47,330 --> 00:16:50,330 (刺客) し… 静かにしろ 生贄の娘 255 00:16:51,170 --> 00:16:54,710 今夜は 王が 従者の目から遠ざかる好機 256 00:16:54,800 --> 00:16:58,680 お前と ここで入れ代わり 王を待たせてもらうぞ 257 00:16:59,590 --> 00:17:01,180 (サリフィ)おーさまに何する気? 258 00:17:01,260 --> 00:17:02,680 (刺客)知れたこと 259 00:17:02,760 --> 00:17:07,560 に… 人間に迎合した ひよった王などに 国は守れぬ 260 00:17:07,640 --> 00:17:11,440 こよい ここで 玉座を降りていただくのだ 261 00:17:11,520 --> 00:17:14,820 ど… どうせ これから死ぬ命 262 00:17:14,900 --> 00:17:18,240 我が 有益に使ってやろう! 263 00:17:24,580 --> 00:17:26,120 おっ… 王の従者か 264 00:17:26,200 --> 00:17:30,830 こ… 腰抜けの王に追従する 国賊めが! 265 00:17:32,170 --> 00:17:34,290 (サリフィ)腰抜けなんかじゃない 266 00:17:34,380 --> 00:17:38,510 おーさまは 少しでも 無駄な血が流れないように⸺ 267 00:17:38,590 --> 00:17:41,890 自分を殺して この国の人を守ろうとしている 268 00:17:41,970 --> 00:17:45,560 おーさまは 立派な王様なんだから! 269 00:17:45,640 --> 00:17:46,970 (男性)ハッ… 270 00:17:47,060 --> 00:17:50,020 ざ… ざれ言を 271 00:17:50,100 --> 00:17:51,480 まとめて死ね! 272 00:17:59,360 --> 00:18:00,650 うっ… 273 00:18:01,740 --> 00:18:03,820 わっ… うう… 274 00:18:03,910 --> 00:18:05,780 うっ… うわああ! 275 00:18:09,410 --> 00:18:11,660 (サリフィ)あっ… 待って 276 00:18:12,920 --> 00:18:15,500 おーさま… でしょ? 277 00:18:18,630 --> 00:18:19,460 あっ 278 00:18:22,720 --> 00:18:23,550 ケガを 279 00:18:23,640 --> 00:18:24,890 (男性)触れるな! 280 00:18:27,890 --> 00:18:29,890 私は王ではない 281 00:18:29,970 --> 00:18:30,930 (サリフィ)おーさまだよ 282 00:18:31,020 --> 00:18:31,980 (男性)ハッ… 283 00:18:33,480 --> 00:18:35,440 私には分かる 284 00:18:37,320 --> 00:18:38,480 (王)私は… 285 00:18:39,400 --> 00:18:41,400 王などではない 286 00:18:42,070 --> 00:18:46,740 魔族でありながら 半分 人間の血を持って生まれ⸺ 287 00:18:46,830 --> 00:18:49,080 どちらにもなれぬ半端者 288 00:18:50,290 --> 00:18:56,130 月の光が差す天啓の夜に現れる このもう1つの姿を⸺ 289 00:18:56,210 --> 00:19:01,340 暗闇で隠しながら じっと夜明けを待つだけの小胆者 290 00:19:03,970 --> 00:19:05,890 いくら虚勢を張ったところで⸺ 291 00:19:06,680 --> 00:19:09,890 小娘一人 欺くことすらできぬ 292 00:19:10,970 --> 00:19:15,350 こんなに弱く情けない王が いるものか 293 00:19:19,270 --> 00:19:21,110 (サリフィ)弱くなんかないよ 294 00:19:22,150 --> 00:19:23,900 サイショーさんに聞いたよ 295 00:19:23,990 --> 00:19:28,580 いつも 供犠は おーさまと生贄の2人きり 296 00:19:28,660 --> 00:19:30,870 おーさまが 生贄を食べちゃうところは 297 00:19:31,580 --> 00:19:33,330 誰も見てないって 298 00:19:35,500 --> 00:19:41,090 夜が明けると 生贄の姿はなく 辺りは人間の血で染まってる 299 00:19:42,760 --> 00:19:46,180 みんなは それで 供犠が行われたのが分かるんだって 300 00:19:47,800 --> 00:19:49,390 こんなこと… 301 00:19:50,100 --> 00:19:54,060 こんなこと 本当に弱い人には できないよ 302 00:19:55,560 --> 00:19:59,270 おーさまは強い 誰よりも 303 00:19:59,360 --> 00:20:03,990 そんなおーさまの生贄になれて 私はうれしい 304 00:20:04,900 --> 00:20:06,780 サリフィ… 305 00:20:07,450 --> 00:20:09,030 (サリフィ) 私は逃がしてもらっても⸺ 306 00:20:09,120 --> 00:20:10,740 帰る所はない 307 00:20:11,620 --> 00:20:15,200 あの冷たい瞳のある所には 戻れない 308 00:20:16,000 --> 00:20:17,670 だから 最後は 309 00:20:18,330 --> 00:20:20,880 おーさまに食べられたいな 310 00:20:22,300 --> 00:20:26,880 強くて優しい人の糧になりたい 311 00:20:33,390 --> 00:20:34,270 (王)うっ… 312 00:20:41,440 --> 00:20:44,440 (サリフィ) 最期に私を見つめてくれたのが… 313 00:20:44,530 --> 00:20:45,820 (王)サリ… 314 00:20:46,360 --> 00:20:49,160 (サリフィ)温かい瞳で よかった 315 00:20:49,240 --> 00:20:50,870 (王)サリフィ 316 00:20:51,530 --> 00:20:54,620 (サリフィ)ありがとう おーさま 317 00:20:55,410 --> 00:20:57,370 (王)これで お前は⸺ 318 00:20:57,460 --> 00:20:58,960 私のものだ 319 00:21:04,210 --> 00:21:06,300 (アヌビス)おっ… 王よ 320 00:21:06,380 --> 00:21:08,970 い… 今 なんと? 321 00:21:09,050 --> 00:21:10,260 (王)何度も言わせるな 322 00:21:11,090 --> 00:21:14,720 私は今より このサリフィを妃に迎える 323 00:21:14,810 --> 00:21:17,520 な… 何を世まい言を 324 00:21:17,600 --> 00:21:20,230 王家に人間の血を入れるなど 325 00:21:20,310 --> 00:21:22,190 (議長)これは前代未聞ですぞ 326 00:21:22,270 --> 00:21:26,150 異議のある者は 心して前へ出よ 327 00:21:28,240 --> 00:21:31,070 ほら やっぱり怒られちゃった 328 00:21:31,160 --> 00:21:35,080 何 文句は言わせん この私がな 329 00:21:35,160 --> 00:21:36,580 (ロプス)サリ~ 330 00:21:36,660 --> 00:21:37,790 (キュク)リ~ 331 00:21:37,870 --> 00:21:39,210 フフ 332 00:21:39,290 --> 00:21:41,460 あっ そうだ おーさま 333 00:21:41,540 --> 00:21:44,790 私 ずっと名前を考えてたんだけど どうかな? 334 00:21:44,880 --> 00:21:45,920 名前? 335 00:21:46,000 --> 00:21:48,010 そう おーさまの名前 336 00:21:49,720 --> 00:21:50,880 レオンハート 337 00:21:51,720 --> 00:21:56,850 私の国の古い言葉で “勇敢な心”っていう意味なの 338 00:21:56,930 --> 00:21:58,730 レオンハート… 339 00:22:00,270 --> 00:22:03,150 ああ 悪くないな 340 00:22:05,060 --> 00:22:10,070 ♪~ 341 00:23:29,980 --> 00:23:34,990 ~♪ 342 00:23:35,950 --> 00:23:37,950 (アヌビス)おのれ 人間の小娘 343 00:23:38,030 --> 00:23:40,580 生贄を免れたばかりか 我が王を たぶらかすとは 344 00:23:40,660 --> 00:23:44,290 見ていろ その卑しき本性 すぐに暴いてくれる 345 00:23:44,370 --> 00:23:45,330 (サリフィ) あんなこと言ってるけど⸺ 346 00:23:45,410 --> 00:23:47,880 きっとサイショーさんとも 仲よくなれるよね 347 00:23:47,960 --> 00:23:49,000 (ロプス)無理なのだ 348 00:23:49,090 --> 00:23:50,000 (キュク)無理