1 00:00:40,507 --> 00:00:43,510 《一廣:僕の部屋に エルフが現れるという➡ 2 00:00:43,510 --> 00:00:48,015 ちょっと… いや かなり変わったことが起きて。 3 00:00:48,015 --> 00:00:51,018 夢は 現実となった》 4 00:00:53,520 --> 00:00:57,024 《僕らは 一日中 一緒に歩き回って➡ 5 00:00:57,024 --> 00:00:59,860 最後に 夜桜を見に戻ってきた》 6 00:00:59,860 --> 00:01:03,030 (マリー)うっとりするくらい きれい。 7 00:01:03,030 --> 00:01:05,866 魔物がいないと こんな世界になるのかしら。 8 00:01:05,866 --> 00:01:08,535 どうかな。 魔物がいなければ➡ 9 00:01:08,535 --> 00:01:11,038 今度は人が 敵になるかもしれないし。 10 00:01:11,038 --> 00:01:14,041 この国も ずっと平和だったわけじゃない。 11 00:01:14,041 --> 00:01:18,712 でも… ホントきれいだね。 えぇ。 12 00:01:18,712 --> 00:01:21,548 《この景色が こんなにきれいだって➡ 13 00:01:21,548 --> 00:01:24,217 僕は初めて知った気がする》 14 00:01:24,217 --> 00:01:26,219 ねぇ カズヒホ。 15 00:01:26,219 --> 00:01:30,057 もしも私が元の世界に 帰れなかったら どうなるの? 16 00:01:30,057 --> 00:01:33,827 う~ん…。 そのときは一緒に暮らして➡ 17 00:01:33,827 --> 00:01:36,830 日本中 たくさんの場所へ 遊びにいくというのは➡ 18 00:01:36,830 --> 00:01:38,832 どうかな? あっ…! 19 00:01:38,832 --> 00:01:42,336 温泉やお城や 食と文化に溢れた国だからね。 20 00:01:42,336 --> 00:01:44,504 退屈しないと思うけど…。 21 00:01:44,504 --> 00:01:47,841 そうね… 別にかまわないわ。 22 00:01:47,841 --> 00:01:52,145 《でも… ちゃんと 送り届けてあげなきゃね》 23 00:03:32,646 --> 00:03:35,315 ただいま~。 24 00:03:35,315 --> 00:03:37,317 タダイマ? うん。 25 00:03:37,317 --> 00:03:40,654 帰ったら 「ただいま」。 タダイマ~! 26 00:03:40,654 --> 00:03:43,156 すてきだったわ ヨザクラ。 27 00:03:43,156 --> 00:03:46,827 ヤキトーモロコシも 香ばしくておいしかったし。 28 00:03:46,827 --> 00:03:50,163 そうだ… マリー お風呂に入るかい? 29 00:03:50,163 --> 00:03:52,833 たくさん歩いて疲れたでしょ。 30 00:03:52,833 --> 00:03:55,135 あら お風呂まであるの!? 31 00:03:57,170 --> 00:04:00,006 ねぇ マリー 無事に向こうへ戻れたらさ➡ 32 00:04:00,006 --> 00:04:03,009 やっぱり お別れになるのかな…。 33 00:04:03,009 --> 00:04:06,179 マリーは魔術師ギルドに 戻らなきゃいけないだろうし。 34 00:04:06,179 --> 00:04:08,181 ええっ! あっ。 35 00:04:08,181 --> 00:04:11,852 なんでお湯が ドバドバ出ているの? ボタンを押しただけに見えたけど➡ 36 00:04:11,852 --> 00:04:16,356 まさかついに無詠唱魔法を 覚えたの? いやいや…。 37 00:04:16,356 --> 00:04:19,860 はい。 んっ? なぁに これ。 38 00:04:19,860 --> 00:04:21,862 入浴剤だよ。 39 00:04:21,862 --> 00:04:26,366 いろんな香りの湯を楽しめるんだ。 好きなのを選んでいいからね。 40 00:04:26,366 --> 00:04:31,037 あぁもう! 贅沢すぎるわ! まるで貴族じゃない! 41 00:04:31,037 --> 00:04:34,541 私はエルフなのに 堕落したりしないかしら。 42 00:04:36,476 --> 00:04:40,480 あ~ どれもすてきっ! 迷っちゃ~う。 43 00:04:44,651 --> 00:04:48,989 んっ? フッ…。 (マリーの鼻歌) 44 00:04:48,989 --> 00:04:50,991 《向こうにいたままだったら➡ 45 00:04:50,991 --> 00:04:54,161 こんなマリーを 知らずにいただろうな》 46 00:04:54,161 --> 00:04:56,163 はぁ…。 47 00:04:56,163 --> 00:05:00,834 ((そのときは一緒に暮らして 日本中 たくさんの場所へ➡ 48 00:05:00,834 --> 00:05:03,336 遊びにいくというのは どうかな?)) 49 00:05:03,336 --> 00:05:07,174 えぇ… きっとすてきでしょうね。 50 00:05:07,174 --> 00:05:09,176 (ドアの開く音) 51 00:05:09,176 --> 00:05:12,679 ただいま! すごく気持ちのいい お風呂だったわ。 52 00:05:12,679 --> 00:05:16,683 おかえり。 わっ 何かしら いい香り! 53 00:05:16,683 --> 00:05:19,519 すぐに出来るから座って待ってて。 54 00:05:19,519 --> 00:05:24,024 おいしい。 これは絶対においしいわ。 55 00:05:24,024 --> 00:05:26,526 アハハ… 顔が怖いよ~。 56 00:05:26,526 --> 00:05:36,970 ♬~ 57 00:05:36,970 --> 00:05:40,807 ほわわわ…。 よし じゃあ食べようか。 58 00:05:40,807 --> 00:05:44,511 いただきます。 い イタダキマス。 59 00:05:47,480 --> 00:05:51,985 ん~っ… おいっしい! よかった。 60 00:05:51,985 --> 00:05:55,655 お総菜のカツを買って 卵でとじるだけなんだけど➡ 61 00:05:55,655 --> 00:05:59,326 いけるよね。 もうっ 本当においしいわ! 62 00:05:59,326 --> 00:06:02,829 今日 食べた中で 一番は間違いなくこれ! 63 00:06:02,829 --> 00:06:05,665 まだカツはあるから お弁当も出来るよ。 64 00:06:05,665 --> 00:06:08,668 向こうは素材の味からして 微妙だから➡ 65 00:06:08,668 --> 00:06:12,672 ついついお弁当を持っていくんだ。 わかるわ~。 66 00:06:12,672 --> 00:06:16,343 これを食べたら どんな料理も さぞ味気なく感じそう。 67 00:06:16,343 --> 00:06:20,680 なぜか お弁当と飲み物だけは 向こうの世界へ運べるんだよね。 68 00:06:20,680 --> 00:06:24,351 えっ… 「だけは」って 他の物は運べないの? 69 00:06:24,351 --> 00:06:26,686 えっと 時計とか…。 70 00:06:26,686 --> 00:06:32,359 あと懐中電灯なんかも だめだったな。 カイチュウデントウ? 71 00:06:32,359 --> 00:06:35,962 マリーが光の精霊を呼び出すようには いかないけど➡ 72 00:06:35,962 --> 00:06:37,964 これがあれば…。 73 00:06:37,964 --> 00:06:40,066 ほら~。 74 00:06:42,135 --> 00:06:45,305 あれ? あんまり驚かないね。 75 00:06:45,305 --> 00:06:48,642 さすがに こちらの文明にも慣れたもの。 76 00:06:48,642 --> 00:06:50,644 思うんだけど…。 77 00:06:50,644 --> 00:06:54,314 この世界の文化なり技術なりが アウトなのかしら? 78 00:06:54,314 --> 00:06:56,316 でも…。 79 00:06:56,316 --> 00:06:59,152 こういう単純な ペンやノートも だめだったよ。 80 00:06:59,152 --> 00:07:02,822 持ち運ぶのには 何か特別な儀式を? いいや。 81 00:07:02,822 --> 00:07:04,824 ただ枕元に置くだけだよ。 82 00:07:04,824 --> 00:07:07,327 興味深いわ。 83 00:07:07,327 --> 00:07:10,830 そうかなぁ? 84 00:07:10,830 --> 00:07:14,834 お弁当を運べるだけじゃ あまり役に立ちそうもないけど。 85 00:07:14,834 --> 00:07:18,672 ううん 違うの。 飲食物だけが平気なら➡ 86 00:07:18,672 --> 00:07:21,341 それは誰かが 「管理」していることになる。 87 00:07:21,341 --> 00:07:24,844 誰かが決めたルールがあるってこと? 88 00:07:24,844 --> 00:07:27,180 うん… そうなると➡ 89 00:07:27,180 --> 00:07:29,683 私を運べた理由も あるでしょうし➡ 90 00:07:29,683 --> 00:07:33,119 あなたには 何かしらの意味や 役割があってしかるべきよ。 91 00:07:33,119 --> 00:07:36,790 ひょっとして カズヒホは 何か 使命を受けているんじゃない? 92 00:07:36,790 --> 00:07:39,959 えっ!? 使命? お弁当が? 93 00:07:39,959 --> 00:07:44,631 いえ… お弁当は ひとまず忘れてちょうだい。 94 00:07:44,631 --> 00:07:47,801 誰かから何かを 頼まれていたりはしない? 95 00:07:47,801 --> 00:07:51,638 いや 誰かに このことを話したこともないし➡ 96 00:07:51,638 --> 00:07:54,474 そもそも夢だと 思っていたからなぁ。 97 00:07:54,474 --> 00:07:56,476 じゃあ 夢の世界へ➡ 98 00:07:56,476 --> 00:07:58,478 入れるようになった きっかけはあるかしら? 99 00:07:58,478 --> 00:08:01,648 物心ついたときから 遊んでいたから➡ 100 00:08:01,648 --> 00:08:04,985 覚えていないなぁ…。 101 00:08:04,985 --> 00:08:06,986 しかたないわね。 102 00:08:06,986 --> 00:08:08,988 何か思い出したら 教えてちょうだい。 103 00:08:08,988 --> 00:08:10,990 うん そうするよ。 104 00:08:10,990 --> 00:08:15,495 それじゃあ まずは 目の前の問題をどうにかしようか。 105 00:08:15,495 --> 00:08:18,498 無事にマリーを 送り届けられたとして➡ 106 00:08:18,498 --> 00:08:22,002 目覚めた僕らは どうなると思う? どうって…。 107 00:08:22,002 --> 00:08:25,005 あっ… そういうことね。 108 00:08:25,005 --> 00:08:28,675 私としたことが 遊びほうけて すっかり忘れていたわ。 109 00:08:28,675 --> 00:08:34,280 そう 夢の中で目覚めたとき 僕らは同じ場所で起きてしまう。 110 00:08:34,280 --> 00:08:37,083 あの魔導竜の待つ寝床で。 111 00:08:39,119 --> 00:08:42,622 んっ? さぁ 秘密の作戦会議だ。 112 00:08:45,125 --> 00:08:47,127 ねっ そういうわけで➡ 113 00:08:47,127 --> 00:08:50,296 竜の卵を人質にする案も 却下するわ。 114 00:08:50,296 --> 00:08:52,799 一時しのぎで逃げられても➡ 115 00:08:52,799 --> 00:08:56,803 寝床を知った人間を 竜が生かしておくはずないもの。 116 00:08:56,803 --> 00:08:59,472 同感だね。 117 00:08:59,472 --> 00:09:02,809 下手したら ずっと追われることに なりかねないし…。 118 00:09:02,809 --> 00:09:06,813 僕は不眠症になりそうだ。 119 00:09:06,813 --> 00:09:11,151 魔導竜について書かれた文献で 知っていることはない? 120 00:09:11,151 --> 00:09:13,653 ええと… 例えば➡ 121 00:09:13,653 --> 00:09:15,989 人よりも高い知性。 122 00:09:15,989 --> 00:09:20,493 その呼吸は魔力を生み 決して底をつくことはない。 123 00:09:20,493 --> 00:09:24,497 過去の事象として 島の破壊や地底火山噴火の誘発。 124 00:09:24,497 --> 00:09:27,834 魔族や人間との戦いは 数えきれないほど。 125 00:09:27,834 --> 00:09:31,171 あっ えぇと… そういうのじゃなくて➡ 126 00:09:31,171 --> 00:09:36,276 もっと豆知識とか逸話とか 人となりの わかるものがいいな。 127 00:09:36,276 --> 00:09:39,612 人となり? あなた何言ってるの? 128 00:09:39,612 --> 00:09:42,449 竜に性格も何も ないと思うけど。 129 00:09:42,449 --> 00:09:44,451 ん~っ…。 130 00:09:44,451 --> 00:09:47,454 あなたの望む情報かは わからないけど。 あっ? 131 00:09:47,454 --> 00:09:51,291 ウロコは魔力を生み出すから 相当な価値があるわ。 132 00:09:51,291 --> 00:09:53,960 もし手に入れたら大金持ちね。 133 00:09:53,960 --> 00:09:56,629 それから 好奇心が強いのか➡ 134 00:09:56,629 --> 00:09:59,966 人の姿になって 都市に入ったこともあるとか。 135 00:09:59,966 --> 00:10:02,969 えっ? まぁ これは眉唾かしら。 136 00:10:02,969 --> 00:10:05,972 いや それ詳しく知りたいな。 137 00:10:05,972 --> 00:10:10,477 どうして竜がそこへ行ったか 何か理由があるはずだ。 138 00:10:10,477 --> 00:10:13,813 それが… 何もしなかったそうよ。 139 00:10:13,813 --> 00:10:16,983 えっ… 何も? 文献には➡ 140 00:10:16,983 --> 00:10:19,486 「数日過ごしたあと どこかへ去った」➡ 141 00:10:19,486 --> 00:10:21,488 と書かれていたわ。 142 00:10:21,488 --> 00:10:24,491 たしか場所は 港町オッズロイだったかしら。 143 00:10:24,491 --> 00:10:27,994 オッズロイ… まさか… いや➡ 144 00:10:27,994 --> 00:10:31,798 案外それが理由なのかも。 カズヒホ? 145 00:10:34,834 --> 00:10:36,836 フッ…。 146 00:10:39,672 --> 00:10:43,176 うわぁ~! やっぱり すごく寝心地がよさそうね! 147 00:10:43,176 --> 00:10:46,679 う~んっ… ウフフ。 148 00:10:48,681 --> 00:10:52,185 ウフッ フカフカで気持ちいいわ。 149 00:10:52,185 --> 00:10:55,688 《あぁ… これは完全に 失念していたなぁ》 150 00:10:55,688 --> 00:10:58,691 さっ 「秘密兵器」も準備できたし➡ 151 00:10:58,691 --> 00:11:01,361 元の世界に戻れるか 試してみましょう! 152 00:11:01,361 --> 00:11:04,697 ほら カズヒホも来て! 153 00:11:04,697 --> 00:11:06,699 《ウッ…。 154 00:11:06,699 --> 00:11:10,036 大丈夫か…。 155 00:11:10,036 --> 00:11:13,039 大丈夫なんだろうな? 156 00:11:13,039 --> 00:11:15,542 信じているぞ 僕!》 157 00:11:15,542 --> 00:11:18,545 では実験開始ね。 え~と➡ 158 00:11:18,545 --> 00:11:21,548 しっかりつかまっていたほうが いいのかしら。 159 00:11:21,548 --> 00:11:23,716 うん… たぶんね。 160 00:11:23,716 --> 00:11:26,886 あのとき僕らは しっかり抱き合っていたから。 161 00:11:26,886 --> 00:11:30,390 あっ。 あのときの体勢と似せようか。 162 00:11:30,390 --> 00:11:33,493 おいで… マリー。 163 00:11:33,493 --> 00:11:35,995 はい…。 164 00:11:35,995 --> 00:11:38,998 もっと くっついたほうが いいかしら。 165 00:11:38,998 --> 00:11:43,002 うん たぶん… ほら もう少し…。 166 00:11:47,340 --> 00:11:50,043 あったかいね…。 167 00:12:07,860 --> 00:12:09,862 あっ…。 168 00:12:09,862 --> 00:12:11,864 ふわぁ…。 169 00:12:11,864 --> 00:12:13,866 フッ。 170 00:12:13,866 --> 00:12:17,870 どうやら無事に 帰ってこれたようだね。 えぇ。 171 00:12:17,870 --> 00:12:20,206 危険な目に 遭わせてしまって ごめん。 172 00:12:20,206 --> 00:12:25,378 いいの 私は楽しかったわ。 いろいろありがとう。 173 00:12:25,378 --> 00:12:27,680 さぁ 作戦開始ね。 174 00:12:29,716 --> 00:12:31,718 (2人)あっ。 175 00:12:31,718 --> 00:12:33,720 わぁ! キャッ! 176 00:12:37,490 --> 00:12:39,993 (魔導竜)グルル…。 177 00:12:39,993 --> 00:12:42,662 マリー 絶対に離れないで! 178 00:12:42,662 --> 00:12:46,833 あの! 僕はカズヒホといいます! 179 00:12:46,833 --> 00:12:49,002 こちらは マリアーベルです。 180 00:12:49,002 --> 00:12:52,171 ごめんなさい 勝手に寝床に入って。 181 00:12:52,171 --> 00:12:57,010 あなたの卵を見たくて 僕が彼女を 無理に連れてきたんです。 182 00:12:57,010 --> 00:13:00,513 せめて マリーだけでも 逃がしてもらえませんか? 183 00:13:00,513 --> 00:13:04,517 《竜の言語… なんて言ってるのかしら》 184 00:13:04,517 --> 00:13:06,519 ((卵を守る竜は➡ 185 00:13:06,519 --> 00:13:11,357 強い防衛本能に突き動かされる。 最も重要なのは➡ 186 00:13:11,357 --> 00:13:15,028 敵意がないと伝えること。 そして…)) 187 00:13:15,028 --> 00:13:17,530 お詫びの品というわけでは ありませんが➡ 188 00:13:17,530 --> 00:13:21,034 どうか こちらで 怒りを鎮めていただけませんか。 189 00:13:21,034 --> 00:13:25,538 ((相手の意表をついて 我に返らせること。 190 00:13:25,538 --> 00:13:28,041 一人で旅ばかりしてきたから➡ 191 00:13:28,041 --> 00:13:31,044 オッズロイも一度 訪ねたことがあってね。 192 00:13:31,044 --> 00:13:34,647 大麦麦芽を使った酒が有名なんだ。 193 00:13:34,647 --> 00:13:37,650 他に特徴のない小さな街だから。 194 00:13:37,650 --> 00:13:41,154 もし逸話が本当なら➡ 195 00:13:41,154 --> 00:13:43,156 魔導竜は…)) 196 00:13:47,493 --> 00:13:49,495 フフッ…。 197 00:13:49,495 --> 00:13:52,332 下級竜の言葉を話し➡ 198 00:13:52,332 --> 00:13:56,002 ワシの楽しみも知っているとは おもしろい人間だ。 199 00:13:56,002 --> 00:13:59,505 昨日 確かに 吹き飛ばしたというのに➡ 200 00:13:59,505 --> 00:14:02,675 無傷で目覚めたお前たちが 不思議でもある。 201 00:14:02,675 --> 00:14:06,179 どうだ その謎を明かしてくれるなら➡ 202 00:14:06,179 --> 00:14:10,683 命までは奪わぬでおこう。 はい! お話しいたします! 203 00:14:10,683 --> 00:14:14,687 マリー 許してくれるって! ウゥ…。 あっ? 204 00:14:14,687 --> 00:14:16,689 フゥ…。 205 00:14:32,205 --> 00:14:36,976 フム… 夢を通じて 別の世界からやってきたとは。 206 00:14:36,976 --> 00:14:41,147 して そのエルフも お主の世界へ行ったと? 207 00:14:41,147 --> 00:14:44,150 なんとも興味をかきたてられる…。 208 00:14:44,150 --> 00:14:47,487 して 卵を見たいと 言っておったな? 209 00:14:47,487 --> 00:14:52,325 いいだろう。 ふ化するまで 退屈しておったしの。 210 00:14:52,325 --> 00:14:56,129 わぁ! これが魔導竜の卵! 211 00:14:58,164 --> 00:15:00,500 ねぇ 床が温かいわ。 212 00:15:00,500 --> 00:15:03,503 地熱で卵を温めているのかな。 213 00:15:03,503 --> 00:15:07,340 フーム… その匂いが どうにも気になる。 214 00:15:07,340 --> 00:15:11,010 カズヒホとやら 何を隠し持っておる。 215 00:15:11,010 --> 00:15:14,814 えっ 別に何も… あっ。 216 00:15:16,849 --> 00:15:19,185 あら お弁当のカツ丼! 217 00:15:19,185 --> 00:15:23,523 うん これが地熱で温まって 匂いがたったみたい。 218 00:15:23,523 --> 00:15:28,027 このお弁当の匂いです。 嫌でしたら遠くに離します。 219 00:15:28,027 --> 00:15:30,196 いや かまわない。 220 00:15:30,196 --> 00:15:34,300 フーム それより この体では 話しづらくてかなわぬ。 221 00:15:34,300 --> 00:15:36,636 おまけに せっかくの詫び酒も➡ 222 00:15:36,636 --> 00:15:39,472 このままでは舌を湿らすだけで 終わってしまう。 223 00:15:39,472 --> 00:15:41,474 よ~し…。 224 00:15:41,474 --> 00:15:45,645 ド・イオ・ナムフ・エモケブ。 225 00:15:45,645 --> 00:15:48,815 あっ…!? 竜魔法! 初めて見るわ! 226 00:15:48,815 --> 00:15:51,484 カズヒホには わからないでしょうけど➡ 227 00:15:51,484 --> 00:15:53,986 今 高密度の魔力が 練られているの! 228 00:15:53,986 --> 00:15:58,157 人の魔術なんて足元にも及ばない 高い次元のものよ! 229 00:15:58,157 --> 00:16:00,493 見てっ 発動するわ! 230 00:16:00,493 --> 00:16:18,678 ♬~ 231 00:16:18,678 --> 00:16:21,080 ひ 人が生まれた…!? 232 00:16:23,015 --> 00:16:25,685 違うわ あれは竜人よ! 233 00:16:25,685 --> 00:16:28,521 ん~っ…。 伝説が本当のことだったなんて。 234 00:16:28,521 --> 00:16:33,125 フーム この姿を生み出したのは 実に久かたぶりである。 235 00:16:33,125 --> 00:16:37,463 どうだ 人の目から見て おかしなところはないか? 236 00:16:37,463 --> 00:16:41,300 あっ はい。 すごくお美しいです。 237 00:16:41,300 --> 00:16:43,302 フッフッ… ならばよい。 238 00:16:43,302 --> 00:16:47,807 では人の子よ! その酒と馳走をよこすがいい! 239 00:16:47,807 --> 00:16:49,976 えっ このカツ丼ですか? 240 00:16:49,976 --> 00:16:53,312 でも 僕の料理なんて 大したものでは…。 241 00:16:53,312 --> 00:16:55,314 ぬっ 貴様! 242 00:16:55,314 --> 00:16:58,484 ワシが下級の者どもの 馳走など 欲しがるわけが…。 243 00:16:58,484 --> 00:17:02,989 ああ いや違う つまり… 味見だ味見! 244 00:17:02,989 --> 00:17:05,157 そう これはただの味見じゃ! 245 00:17:05,157 --> 00:17:08,327 あ…。 ねぇ なんて言ってるの? 246 00:17:08,327 --> 00:17:10,997 ええと カツ丼をね…。 247 00:17:10,997 --> 00:17:13,499 えっ 何? カツ丼が何? (寝息) 248 00:17:13,499 --> 00:17:16,002 食べたいんだって。 あぁ そうなんだ…。 249 00:17:16,002 --> 00:17:18,170 食べたいんだって…。 (咳払い) 250 00:17:18,170 --> 00:17:22,174 そうじゃな… 礼の一つも ないわけではないぞ。 251 00:17:22,174 --> 00:17:24,176 んっ? 252 00:17:24,176 --> 00:17:27,013 どうだ ワシのウロコを1枚やろう! 253 00:17:27,013 --> 00:17:30,016 身から落ちて 魔力切れしたものではないぞ。 254 00:17:30,016 --> 00:17:32,451 今 生えているものをじゃぞ! 255 00:17:32,451 --> 00:17:35,621 えっ あっ いいのですか? 256 00:17:35,621 --> 00:17:38,624 マリーも欲しがっていましたし うれしいですが。 257 00:17:38,624 --> 00:17:42,628 うむ! 交渉成立じゃな! あっ…? 258 00:17:42,628 --> 00:17:44,630 あ~ はむっ。 259 00:17:47,300 --> 00:17:50,636 す すごい光景だね…。 えぇ…。 260 00:17:50,636 --> 00:17:54,540 はむっ… んっ… んまっ んまいのぅ! 261 00:17:56,475 --> 00:17:58,811 んっ んっ…。 あの ビールもいかがですか? 262 00:17:58,811 --> 00:18:02,481 おぉ! 263 00:18:02,481 --> 00:18:04,817 どうぞ。 ほぅ…。 264 00:18:04,817 --> 00:18:09,322 黄金色のきれいな光景まで 楽しめるとは。 265 00:18:09,322 --> 00:18:11,324 んっ! 266 00:18:13,326 --> 00:18:15,328 かぁ~っ! 267 00:18:15,328 --> 00:18:19,999 ぐうっ これはっ! フム 悪くないぞ。 268 00:18:19,999 --> 00:18:22,335 及第点といったところだ。 (2人)フフフ…。 269 00:18:22,335 --> 00:18:27,340 ときに このような馳走を 人はみな食しておるのか? 270 00:18:27,340 --> 00:18:29,342 あっ いえ。 271 00:18:29,342 --> 00:18:32,611 この酒と料理は この世界では出回ってないかと。 272 00:18:32,611 --> 00:18:34,613 なんじゃ… せっかく➡ 273 00:18:34,613 --> 00:18:37,783 人里を支配してやろうと 思うたのに。 《危な…》 274 00:18:37,783 --> 00:18:40,119 お弁当も 気に入ってくれたみたいで➡ 275 00:18:40,119 --> 00:18:42,121 よかったわね。 うん。 276 00:18:42,121 --> 00:18:45,291 あぁ そうそう お礼にウロコをくれるってさ。 277 00:18:45,291 --> 00:18:48,961 なっ…! お弁当一つで魔導竜のウロコを!? 278 00:18:48,961 --> 00:18:51,964 えっ? そんなにすごいものなの? 279 00:18:51,964 --> 00:18:54,800 すごい価値よ! そうね 魔術師なら➡ 280 00:18:54,800 --> 00:18:57,470 出せる限りの資産を ひねり出すはず➡ 281 00:18:57,470 --> 00:18:59,472 と言えばわかるかしら。 282 00:18:59,472 --> 00:19:02,475 ウロコをめぐって 戦争が起きたほどよ! えっ! 283 00:19:04,977 --> 00:19:07,647 なくなってしもうた。 284 00:19:07,647 --> 00:19:13,486 なぜじゃ… 食べたら消えた… さっきまであったのに… ない…。 285 00:19:13,486 --> 00:19:17,156 あっ もう一つありますが…。 くれっ! 286 00:19:17,156 --> 00:19:19,158 んっ…。 あっ? 287 00:19:21,160 --> 00:19:23,829 あぁ もちろん対価は支払おう。 288 00:19:23,829 --> 00:19:26,999 ほれ この石はどうじゃ? 289 00:19:26,999 --> 00:19:29,502 人というのは これが好きらしいが➡ 290 00:19:29,502 --> 00:19:32,004 ワシには価値が まったくわからぬ。 291 00:19:32,004 --> 00:19:37,109 何かしら? 青い石? あの この石はなんですか? 292 00:19:37,109 --> 00:19:39,779 ワシの血が染み込んだ石である。 293 00:19:39,779 --> 00:19:44,784 ほれ 卵を産んだじゃろう? そのとき血が石についたのだ。 294 00:19:44,784 --> 00:19:47,119 魔導竜の血だって。 295 00:19:47,119 --> 00:19:49,622 竜の血って 青いんだねぇ。 296 00:19:49,622 --> 00:19:52,124 か… て…。 えっ? 297 00:19:52,124 --> 00:19:55,628 お弁当と その石を 早く換えてあげて~! 298 00:19:55,628 --> 00:19:59,331 うむ うむ 交渉成立であるな! 299 00:20:01,467 --> 00:20:03,969 人の子らよ また来るがいい。 300 00:20:03,969 --> 00:20:07,640 そして今度は お弁当を3つ… いや➡ 301 00:20:07,640 --> 00:20:10,810 4つ! 持ってくるがいいぞ! 302 00:20:10,810 --> 00:20:13,979 4つ! 4つじゃぞ~! 303 00:20:13,979 --> 00:20:16,482 りゅ 竜の血…。 304 00:20:16,482 --> 00:20:20,586 お弁当と交換で… 竜の血…。 大丈夫!? 305 00:20:22,655 --> 00:20:25,324 うん ありがとう。 306 00:20:25,324 --> 00:20:29,495 竜の血ってね 万病に効くと言われてるの。 307 00:20:29,495 --> 00:20:32,665 ウロコもそうだけど あまりにも価値が高すぎて➡ 308 00:20:32,665 --> 00:20:35,000 困っているわ。 じゃあ➡ 309 00:20:35,000 --> 00:20:38,838 適当に売ってしまうか 病気の人にあげればいいかもね。 310 00:20:38,838 --> 00:20:40,840 そうはいかないわ。 311 00:20:40,840 --> 00:20:43,175 どちらも高値には 違いないけれど➡ 312 00:20:43,175 --> 00:20:46,846 それだけに 必ず 手に入れた場所を聞かれるわ。 313 00:20:46,846 --> 00:20:49,682 黙っているなんて絶対に不可能よ。 314 00:20:49,682 --> 00:20:53,018 魔導竜の寝床が 知られてしまうのか…。 315 00:20:53,018 --> 00:20:55,855 あっ そうか。 316 00:20:55,855 --> 00:20:57,857 謎が解けたよ。 317 00:20:57,857 --> 00:21:00,860 この遺跡の文明が どうして滅んだか。 318 00:21:00,860 --> 00:21:04,864 千年に一度 魔導竜は産卵を行う。 319 00:21:04,864 --> 00:21:06,866 きっとそのとき➡ 320 00:21:06,866 --> 00:21:09,568 ここに暮らしていた人たちは 手を出したんだ。 321 00:21:11,537 --> 00:21:15,708 執念深い竜は地下都市まで追い 住民は逃げ出し➡ 322 00:21:15,708 --> 00:21:18,878 そのまま竜の寝床に なったっていうこと? 323 00:21:18,878 --> 00:21:22,047 本当なら ゾッとする話だけど➡ 324 00:21:22,047 --> 00:21:25,217 ちょうど遺跡が滅びた時期と 合っているわ。 325 00:21:25,217 --> 00:21:27,386 なら決まりね。 326 00:21:27,386 --> 00:21:32,057 これをどうするか考えるのは 魔導竜がここを巣立ったあと。 327 00:21:32,057 --> 00:21:35,995 それに持ち主は あなたのほうが絶対に安全よ。 328 00:21:35,995 --> 00:21:39,331 えぇ… なくしちゃったら どうしよう。 329 00:21:39,331 --> 00:21:43,169 そのときは そのとき。 私は怒ったりなんてしないわ。 330 00:21:43,169 --> 00:21:46,172 いつか酒場でかっこつけて こう言うの。 331 00:21:46,172 --> 00:21:50,509 「俺たちは伝説の魔導竜と 出会ったぜ~」ってね。 332 00:21:50,509 --> 00:21:53,679 実際は カツ丼食べるのを 見ただけだけど…。 333 00:21:53,679 --> 00:21:57,349 まぁ 少なくとも 子どもたちには自慢できそうだね。 334 00:21:57,349 --> 00:21:59,351 えっ。 んっ? 335 00:22:02,688 --> 00:22:04,690 ん~っ。 はぁ。 336 00:22:04,690 --> 00:22:08,360 カツ丼 食べ損ねたせいで すっかりお腹が空いちゃったね。 337 00:22:08,360 --> 00:22:11,697 近くの街に出ましょう。 シスルか。 338 00:22:11,697 --> 00:22:16,035 どこも薄味なのよね。 まぁ たまには しかたない。 339 00:22:16,035 --> 00:22:19,538 あっ 夜の宿も探さないとね。 340 00:22:19,538 --> 00:22:22,208 僕は日本に帰るから どこでもいいけど➡ 341 00:22:22,208 --> 00:22:24,376 マリーは困るでしょ。 342 00:22:24,376 --> 00:22:28,380 《宿へ送ったら いよいよお別れかな…》 343 00:22:28,380 --> 00:22:31,383 私もどこでもいいわ。 えっ? 344 00:22:31,383 --> 00:22:34,820 だって あなたの国に私も行くもの。 345 00:22:34,820 --> 00:22:38,657 ねっ これから 日本語を教えてちょうだい。 346 00:22:38,657 --> 00:22:41,560 あ… うん!