1 00:00:12,847 --> 00:00:14,849 大和暦 60年 春 2 00:00:15,349 --> 00:00:18,477 聖夷総帥 輪島桜虎は 奇襲により― 3 00:00:18,561 --> 00:00:21,188 福井 奥越全域を制圧した 4 00:00:21,731 --> 00:00:24,734 後手に回る 辺境将軍 龍門光英は― 5 00:00:24,817 --> 00:00:29,572 福井 嶺北城へと引き 全戦力の結集を命令する 6 00:00:30,197 --> 00:00:32,199 一方 長尾武兎惇は― 7 00:00:32,283 --> 00:00:36,537 金沢に駐留する大和軍の 将官たちの暗殺を企てる 8 00:00:37,037 --> 00:00:40,750 しかし 菅生強や 長嶺士遼の活躍により― 9 00:00:40,833 --> 00:00:42,543 長尾武兎惇は討ち死に 10 00:00:43,043 --> 00:00:45,629 金沢夜襲は 失敗に終わった 11 00:00:46,464 --> 00:00:49,467 その間にも 聖夷軍主力部隊は― 12 00:00:49,550 --> 00:00:53,053 龍門を討たんと 進軍を続けていた 13 00:00:54,680 --> 00:00:59,018 今 輪島桜虎と 龍門光英の決戦の時が― 14 00:01:00,186 --> 00:01:02,188 迫ろうとしていた 15 00:01:38,265 --> 00:01:41,602 輪島総帥 そろそろ行かれませんと 16 00:01:42,186 --> 00:01:43,729 すまない 弥々吉 17 00:01:43,813 --> 00:01:44,939 すぐ行く 18 00:01:53,030 --> 00:01:55,032 ♪~ 19 00:03:19,700 --> 00:03:21,702 ~♪ 20 00:03:41,931 --> 00:03:43,057 おお… 21 00:03:45,726 --> 00:03:48,270 し~っ… 22 00:03:56,028 --> 00:03:58,280 親愛なる国民の皆様 23 00:03:58,781 --> 00:04:01,033 此度の奥越平定により― 24 00:04:01,116 --> 00:04:03,827 憎き大和人を この地から退け― 25 00:04:03,911 --> 00:04:07,873 親聖夷派の方々の自由を 勝ち取ることが できました 26 00:04:08,374 --> 00:04:09,375 これも全て― 27 00:04:10,209 --> 00:04:12,461 皆様の なみなみならぬ熱意と― 28 00:04:12,962 --> 00:04:13,963 ただならぬ 努力なくしては― 29 00:04:14,046 --> 00:04:16,924 得られなかった 歴史の1ページです 30 00:04:17,424 --> 00:04:18,425 そして― 31 00:04:18,926 --> 00:04:21,679 寛大な お心で 私をお許しください 32 00:04:22,304 --> 00:04:24,056 今日まで皆様に対して― 33 00:04:24,556 --> 00:04:27,685 十分な お礼を 伝えられていないことを 34 00:04:29,019 --> 00:04:30,145 うっ… 35 00:04:31,438 --> 00:04:34,066 本当に… ありがとう 36 00:04:34,149 --> 00:04:36,193 うう… 37 00:04:41,407 --> 00:04:43,742 私たちは これより奥越を発ち― 38 00:04:44,243 --> 00:04:46,161 大和軍との決戦に臨みます 39 00:04:47,413 --> 00:04:51,208 この一戦は今後 数十年 数百年の歴史を決める― 40 00:04:51,291 --> 00:04:54,086 天下分け目の 大合戦となるでしょう 41 00:04:54,670 --> 00:04:57,047 大和人には 決して屈しない 42 00:04:57,548 --> 00:05:00,217 私は そう あなたたちを 信じています 43 00:05:00,300 --> 00:05:01,969 だからこそ 私は― 44 00:05:02,052 --> 00:05:04,346 あなたたちのために 進み続ける 45 00:05:04,430 --> 00:05:06,807 たとえ どのような 険しい道を進もうとも! 46 00:05:07,391 --> 00:05:09,685 どのような悲劇が 待ち受けていようとも! 47 00:05:11,020 --> 00:05:14,606 私は祖や父や友が してきたように― 48 00:05:15,441 --> 00:05:19,278 この血と この汗と この魂を! 49 00:05:20,029 --> 00:05:23,699 全て この一戦に ささげることを約束します! 50 00:05:24,199 --> 00:05:27,745 うおおお~っ! 51 00:05:35,544 --> 00:05:36,628 輪島総帥 52 00:05:37,463 --> 00:05:40,758 報告によると 龍門は福井到着後― 53 00:05:40,841 --> 00:05:45,429 郡司を説得し 福井郡全ての 兵馬 兵糧 民を― 54 00:05:45,512 --> 00:05:48,140 嶺北に集めつつある とのことです 55 00:05:48,223 --> 00:05:49,224 兵数は? 56 00:05:49,308 --> 00:05:51,351 僅か 6千余り 57 00:05:52,352 --> 00:05:55,898 僅かな手勢で私たちと 一戦を交える覚悟か 58 00:05:56,398 --> 00:05:59,234 真冬の海に 裸で飛び込むようなものだな 59 00:05:59,735 --> 00:06:04,031 しかし 金沢夜襲の影響で 致し方ないとはいえ― 60 00:06:04,114 --> 00:06:07,367 予定より 随分 早い出陣となりましたな 61 00:06:08,577 --> 00:06:11,330 金沢を武兎惇に 任せたのは私だ 62 00:06:11,830 --> 00:06:13,791 全ての責任は私にある 63 00:06:15,292 --> 00:06:16,293 あまりにも― 64 00:06:17,086 --> 00:06:19,421 惜しい者を失ってしまった 65 00:06:22,091 --> 00:06:23,300 弥々吉 66 00:06:24,051 --> 00:06:27,096 私たちは奥越で2千の兵を なくしてしまった 67 00:06:27,679 --> 00:06:31,642 併合した地では大和の民への 虐殺さえ起きている 68 00:06:32,226 --> 00:06:36,146 だが 士気を保つため それも処分できないまま… 69 00:06:37,773 --> 00:06:39,483 しかし いよいよです 70 00:06:39,566 --> 00:06:40,651 うん 71 00:06:41,735 --> 00:06:44,863 ヤツが生きているかぎり 聖夷に安泰はない 72 00:06:45,572 --> 00:06:47,741 民のため 国のため― 73 00:06:48,408 --> 00:06:50,244 そして 父のため― 74 00:06:50,869 --> 00:06:54,414 ヤツには龍らしく 天に昇ってもらう 75 00:06:57,334 --> 00:06:59,920 奥越を 手中に収めた聖夷軍は― 76 00:07:00,003 --> 00:07:03,757 九羅軍を残し 7個師団で 九頭竜川を進み― 77 00:07:03,841 --> 00:07:05,217 坂井へ侵攻 78 00:07:05,717 --> 00:07:08,428 総帥 輪島は軍を二分し― 79 00:07:08,512 --> 00:07:11,390 3個師団で 川に架かる橋を封鎖し― 80 00:07:11,473 --> 00:07:14,184 嶺北にいる大和軍を 牽制する 81 00:07:14,810 --> 00:07:16,478 残りの4個師団で― 82 00:07:16,562 --> 00:07:18,814 もぬけの殻となった 丸岡城― 83 00:07:18,897 --> 00:07:21,525 あわら城を抑え 坂井を占領 84 00:07:22,025 --> 00:07:24,528 大聖寺川沿いに前線を張る 85 00:07:26,864 --> 00:07:27,865 おわっ! 86 00:07:27,948 --> 00:07:29,241 どうどうどう 87 00:07:31,326 --> 00:07:32,870 おいおい… 88 00:07:32,953 --> 00:07:34,663 これは やっせんわ 89 00:07:36,498 --> 00:07:38,208 これにより 金沢から― 90 00:07:38,292 --> 00:07:41,336 帰還途中の大和軍は 補給線を断たれ― 91 00:07:41,420 --> 00:07:45,465 聖夷領である大聖寺にて 孤立を余儀なくされた 92 00:07:45,549 --> 00:07:47,718 陣を敷け! 全軍が そろうまで― 93 00:07:47,801 --> 00:07:49,261 待機じゃ! はっ! 94 00:07:55,142 --> 00:07:56,768 この電撃的な聖夷軍の― 95 00:07:56,852 --> 00:08:00,647 侵攻速度により 福井嶺北に本陣を構えた― 96 00:08:00,731 --> 00:08:03,775 龍門は一挙に 多勢に無勢の窮地に― 97 00:08:03,859 --> 00:08:05,944 追い込まれたのである 98 00:08:07,279 --> 00:08:09,281 躊躇する意味が分からへん! 99 00:08:09,364 --> 00:08:11,033 奥越 金沢では― 100 00:08:11,116 --> 00:08:13,660 夷人どもに将兵 民が 虐殺され― 101 00:08:13,744 --> 00:08:15,704 多くの婦女子が 姦されてんねん! 102 00:08:15,787 --> 00:08:17,080 右に同じ! 103 00:08:17,581 --> 00:08:20,209 これ以上 夷人の暴虐を 許すわけにはいかへん! 104 00:08:20,292 --> 00:08:23,545 九頭竜川で全軍投入の 短期決戦あるのみ! 105 00:08:23,629 --> 00:08:24,880 そうしとうても― 106 00:08:24,963 --> 00:08:26,757 兵力差がデカすぎる 言うてるやろ! 107 00:08:27,466 --> 00:08:30,093 金沢から帰還中の軍も 身動き取れへんし! 108 00:08:30,177 --> 00:08:32,221 実現性のある案を出せ! 109 00:08:32,304 --> 00:08:34,348 兵は数より質! 110 00:08:34,431 --> 00:08:36,183 大和の精兵を お疑いになるか! 111 00:08:36,266 --> 00:08:37,935 決戦や 決戦! 112 00:08:38,018 --> 00:08:39,144 いや― 113 00:08:40,020 --> 00:08:42,397 決戦は せえへん えっ? 114 00:08:42,481 --> 00:08:45,108 ほな なんで 敵に坂井を奪わせてまで― 115 00:08:45,192 --> 00:08:47,402 全軍を嶺北に 集めはったんですか? 116 00:08:47,486 --> 00:08:50,364 龍門辺境将軍 ご説明を! 117 00:08:51,031 --> 00:08:54,910 全軍を嶺北に 集めた理由は1つ 118 00:08:58,705 --> 00:08:59,706 籠城や 119 00:09:00,499 --> 00:09:03,126 籠城は 援軍を待つための戦略… 120 00:09:03,210 --> 00:09:05,170 まさか 陛下に援軍の要請を? 121 00:09:05,254 --> 00:09:07,172 あきまへん あきまへん 122 00:09:07,256 --> 00:09:08,966 陛下に援軍を頼めば― 123 00:09:09,049 --> 00:09:12,010 必ず あの平内務卿が 大軍を率いてきます! 124 00:09:12,094 --> 00:09:16,723 聖夷軍に勝つことができても 平に龍門辺境将軍の軍権― 125 00:09:16,807 --> 00:09:18,433 最悪 お命すらも… 126 00:09:18,517 --> 00:09:19,518 ご再考を! 127 00:09:19,601 --> 00:09:21,937 ご再考を! どうか ご再考を! 128 00:09:22,437 --> 00:09:24,940 ご再考を! ご再考を! 129 00:09:28,151 --> 00:09:29,611 是非に及ばへん 130 00:09:32,281 --> 00:09:36,576 各隊 連携し 全ての民を 城内に退避させよ 131 00:09:37,077 --> 00:09:40,372 それが済んだら 持ち場にて任に当たれ 132 00:09:43,125 --> 00:09:44,626 賀来は残れ 133 00:09:47,713 --> 00:09:50,090 なんか 意見が ありそうやな 134 00:09:50,173 --> 00:09:51,675 遠慮なく申してみよ 135 00:09:52,259 --> 00:09:53,635 ほな 遠慮なく 136 00:09:54,469 --> 00:09:59,099 目下 聖夷軍の行動を見るに やはり 金沢夜襲は― 137 00:09:59,182 --> 00:10:02,144 聖夷軍にも想定外の 変事と見て ええでしょう 138 00:10:02,769 --> 00:10:04,313 しかし 我が軍も― 139 00:10:04,396 --> 00:10:07,316 負傷した菅生右中将は 戦線を離脱 140 00:10:07,816 --> 00:10:11,653 加えて 長嶺左中将 率いる 3万余りの軍勢は― 141 00:10:11,737 --> 00:10:14,906 補給線を断たれ 孤立状態となりました 142 00:10:15,407 --> 00:10:17,909 されど 不幸中の幸いにも― 143 00:10:18,410 --> 00:10:21,204 彼が立案した 農政改定案により― 144 00:10:21,288 --> 00:10:24,458 軍が兵糧不足に陥る 心配は ありません 145 00:10:25,042 --> 00:10:29,212 比べて 敵軍は金沢の変事で 心穏やかではなく― 146 00:10:29,796 --> 00:10:32,507 敵将は 仇討ちに 心を燃やしております 147 00:10:33,008 --> 00:10:34,134 そうや 148 00:10:34,634 --> 00:10:38,138 聖夷は ますます 侵攻の勢いを強めとる 149 00:10:38,221 --> 00:10:40,349 こうなると 正攻法は おろか― 150 00:10:40,432 --> 00:10:43,643 下手な奇襲も いたずらに被害を増やすのみ 151 00:10:44,144 --> 00:10:45,604 しからば 龍門さん 152 00:10:46,188 --> 00:10:48,857 ここは かの策に賭けるべきかと 153 00:10:50,567 --> 00:10:53,487 ちゅうことは 彼らも動き出したんやな 154 00:10:55,155 --> 00:10:58,116 守山記室令は お心を決められました 155 00:10:58,700 --> 00:11:01,661 一度 敵将に 心を惑わされたとはいえ― 156 00:11:01,745 --> 00:11:05,665 15年もの間 龍門さんを お支えしはった名臣です 157 00:11:06,166 --> 00:11:08,877 必ずや 責務を 果たしてくださるかと 158 00:11:09,628 --> 00:11:13,048 あとは 口達者な彼に 全てを賭ける 159 00:11:13,548 --> 00:11:15,258 三角青輝か 160 00:11:15,342 --> 00:11:18,929 彼が私の意図を くみ取ることが できれば― 161 00:11:19,888 --> 00:11:21,390 此度の戦― 162 00:11:21,473 --> 00:11:23,975 聖夷軍を 一網打尽に できましょう 163 00:11:26,269 --> 00:11:29,398 承知した そのように 事を進めよ 164 00:11:30,607 --> 00:11:31,858 せやけど 今宵― 165 00:11:31,942 --> 00:11:34,486 聖夷軍に 攻めてこられでもしたら― 166 00:11:34,569 --> 00:11:37,364 此度の謀計は水の泡 167 00:11:37,447 --> 00:11:41,284 それどころか 民を 守ることも できへんやろう 168 00:11:42,577 --> 00:11:44,204 賀来 城を頼む 169 00:11:45,747 --> 00:11:47,332 龍門さんは どちらへ? 170 00:11:48,083 --> 00:11:51,086 私の茶籠と着物を用意させよ 171 00:11:51,795 --> 00:11:54,339 九頭竜川にて 時を稼ぐ 172 00:11:57,175 --> 00:11:59,719 龍門さんは敵軍の誰よりも― 173 00:11:59,803 --> 00:12:01,346 軍事に精通しております 174 00:12:01,972 --> 00:12:05,225 故に動きて迷わず 挙げて窮せず 175 00:12:06,226 --> 00:12:08,854 加えて 敵軍が 地形や時 天候が― 176 00:12:08,937 --> 00:12:11,606 軍事に与える 意味を心得ていれば― 177 00:12:11,690 --> 00:12:14,484 勝は乃ち殆うからず 178 00:12:14,985 --> 00:12:18,613 やけど もし 敵将が知者でなければ… 179 00:12:19,364 --> 00:12:21,908 龍門さん 失うんは左目だけでは― 180 00:12:21,992 --> 00:12:23,869 済まされへんかも しれませんよ 181 00:12:25,370 --> 00:12:28,248 私は 戦いに出ることを悔いはせん 182 00:12:28,331 --> 00:12:31,001 それで 死なはっても… ですか? 183 00:12:32,043 --> 00:12:34,796 真に畏れるべきは死にあらず 184 00:12:35,297 --> 00:12:38,216 与えられた生を 全うできへんことや 185 00:12:38,300 --> 00:12:39,843 ハッ… 186 00:12:40,802 --> 00:12:43,096 ほな 吉報を待て 187 00:12:54,399 --> 00:12:56,067 東風は吹いております 188 00:12:59,446 --> 00:13:02,532 龍門さん… どうか ご無事で 189 00:13:05,577 --> 00:13:06,578 忍官によれば― 190 00:13:06,661 --> 00:13:08,997 大和軍は堀に水を引き― 191 00:13:09,080 --> 00:13:11,124 防壁を増強するばかりで― 192 00:13:11,208 --> 00:13:13,293 進軍の兆しは 見えないとのこと 193 00:13:13,793 --> 00:13:15,587 恐らく 龍門の狙いは… 194 00:13:15,670 --> 00:13:16,838 籠城か 195 00:13:16,922 --> 00:13:18,215 うん 196 00:13:25,222 --> 00:13:26,223 残念だ 197 00:13:27,557 --> 00:13:30,310 親父 坂井制圧の めどは ついた 198 00:13:30,393 --> 00:13:32,687 俺たちは いつでも出られる 199 00:13:34,439 --> 00:13:37,359 輪島総帥 大和の援軍が来る前に― 200 00:13:37,943 --> 00:13:40,904 今夜 一気に嶺北城を 攻め落とすべきかと 201 00:13:42,155 --> 00:13:43,782 きゅ… 急報です! 202 00:13:43,865 --> 00:13:45,742 辺境将軍 龍門光英! 203 00:13:45,825 --> 00:13:47,911 九頭竜川にて布陣! 何? 204 00:13:47,994 --> 00:13:49,412 先の知らせは誤報か! 205 00:13:49,496 --> 00:13:50,664 兵の数は? 206 00:13:50,747 --> 00:13:53,041 りゅ… 龍門1人です! 207 00:13:53,124 --> 00:13:55,210 えっ… 1人… 208 00:13:55,293 --> 00:13:56,628 1人? 209 00:14:27,367 --> 00:14:29,619 バカ野郎! 何おじぎ返してんだ 210 00:14:29,703 --> 00:14:31,454 悪ぃ つられちまった 211 00:14:34,249 --> 00:14:36,042 あれが 龍門光英… 212 00:14:41,756 --> 00:14:45,552 あの爺様 バッカ寒ぇ中 何してんかね 213 00:14:46,052 --> 00:14:48,138 真っ暗すけ なんも分からね 214 00:14:48,638 --> 00:14:50,056 ありゃ 茶道でねえか? 215 00:14:58,648 --> 00:15:00,859 茶 捨てた なして? 216 00:15:00,942 --> 00:15:03,278 分かんねけど ありゃ お湯でねか? 217 00:15:03,361 --> 00:15:06,698 暗ぇし 俺 目ぇ悪っけ見えねっさ 218 00:15:07,198 --> 00:15:09,951 あれは点前作法の茶筅通し 219 00:15:10,035 --> 00:15:12,996 しかし あの様相を 布陣と称した兵は― 220 00:15:13,079 --> 00:15:14,789 なかなかのセンスがある 221 00:15:15,415 --> 00:15:18,460 橋の上で武装すらせず 1人 茶を点て― 222 00:15:18,543 --> 00:15:22,297 待ち構えるとは さすがは龍門光英 223 00:15:22,881 --> 00:15:24,549 図り難い男だな 224 00:15:25,425 --> 00:15:26,885 弥々吉は あれをどう見る? 225 00:15:26,968 --> 00:15:29,888 日本時代末期の中国史漫画― 226 00:15:29,971 --> 00:15:31,890 「三国志」を 用いて言うなら― 227 00:15:32,515 --> 00:15:36,019 “待て 慌てるな これは龍門の罠だ” 228 00:15:36,645 --> 00:15:38,188 といったところでしょうか 229 00:15:38,688 --> 00:15:41,358 つまり 本当に危ぶむべきは― 230 00:15:41,858 --> 00:15:46,029 兵法三十六計 第三十二計に当たる計略― 231 00:15:47,030 --> 00:15:48,281 “空城の計” 232 00:15:48,782 --> 00:15:51,493 わざと 自軍陣地に 敵を誘い込むことで― 233 00:15:51,576 --> 00:15:54,996 警戒心をあおり 敵の退却を狙う 234 00:15:55,497 --> 00:15:59,417 諸葛孔明や徳川家康が 用いたとされる奇計か 235 00:15:59,501 --> 00:16:02,712 ええ どちらも有名な話とはいえ― 236 00:16:02,796 --> 00:16:05,131 真偽は 定かではありませんがね 237 00:16:05,799 --> 00:16:10,095 身を隠せぬ橋の上 更に 対岸の見通しは悪い 238 00:16:10,595 --> 00:16:13,556 もし 仮に ヤツが伏兵を潜ませ― 239 00:16:13,640 --> 00:16:15,600 奇襲を もくろんでいたとすると… 240 00:16:15,684 --> 00:16:18,019 一度 足を 踏み入れたが最後― 241 00:16:18,687 --> 00:16:21,648 壊滅的な打撃を 被るでしょうな 242 00:16:22,148 --> 00:16:24,401 身のない張りぼての策略か― 243 00:16:24,984 --> 00:16:28,029 相打ちも覚悟の 奇襲をたくらんでいるのか 244 00:16:28,113 --> 00:16:31,074 この闇夜と 広い川においては― 245 00:16:31,574 --> 00:16:34,035 どちらかを 確かめる術は ありません 246 00:16:34,536 --> 00:16:37,956 ただ 一つ言えるのは “空城の計”とは― 247 00:16:38,039 --> 00:16:40,500 窮地を逃れることを 目的とした― 248 00:16:40,583 --> 00:16:43,420 策がないときの 捨て身の策だということ 249 00:16:44,003 --> 00:16:48,216 あの龍門光英であっても 例外は ないかと 250 00:16:56,599 --> 00:16:59,561 弥々吉 全軍に命を伝えなさい 251 00:17:00,228 --> 00:17:01,730 これより前進する 252 00:17:03,356 --> 00:17:05,233 委細承知 253 00:17:33,511 --> 00:17:36,765 一斉射撃を狙うには 十分な距離です 254 00:17:36,848 --> 00:17:39,225 しかし 茶人1人に― 255 00:17:39,309 --> 00:17:40,852 それも 大和の将軍である― 256 00:17:40,935 --> 00:17:43,772 龍門の討伐を 他人に任せては― 257 00:17:43,855 --> 00:17:48,568 小心者だと疑われ 総帥の名望を損ねかねません 258 00:17:49,569 --> 00:17:53,323 我が国は総帥の威光をもって 成立しております 259 00:17:53,406 --> 00:17:57,035 ここは 自らの手で龍門を討ち― 260 00:17:57,535 --> 00:17:58,870 威光をお示しください 261 00:17:59,370 --> 00:18:00,705 分かった 弥々吉 262 00:18:01,206 --> 00:18:02,415 あなたを信じる 263 00:18:04,626 --> 00:18:08,421 龍を天に送ります 道を開けなさい 264 00:18:16,471 --> 00:18:18,473 虎ちゃん どうか ご無事で 265 00:18:19,307 --> 00:18:20,975 龍門を討てば きっと― 266 00:18:21,559 --> 00:18:24,187 あなたの お父上も報われましょう 267 00:18:44,833 --> 00:18:48,878 “空城の計”とは 心理戦の上で成り立つ計略 268 00:18:49,629 --> 00:18:51,506 あなたの心の内― 269 00:18:52,757 --> 00:18:54,008 露にしてあげます 270 00:19:11,359 --> 00:19:13,486 あの世で パパに おわびを 271 00:19:15,572 --> 00:19:16,990 あっ… 272 00:19:18,575 --> 00:19:19,993 どうどうどう 273 00:19:20,076 --> 00:19:21,160 えっ? 274 00:19:58,072 --> 00:20:00,575 これほどの大軍を 目の前にしても― 275 00:20:00,658 --> 00:20:02,952 龍門の作法は一切の 雑念がなく― 276 00:20:03,036 --> 00:20:04,245 合理的で美しい 277 00:20:04,329 --> 00:20:06,748 矢に射られようと 炎に包まれようと― 278 00:20:06,831 --> 00:20:08,249 かくも平然といられるのは― 279 00:20:08,333 --> 00:20:10,752 闇夜の中 伏兵を潜ませているから? 280 00:20:10,835 --> 00:20:12,503 それこそ合理 281 00:20:13,588 --> 00:20:16,007 橋のたもと 山中からの奇襲… 282 00:20:16,090 --> 00:20:19,093 あるいは この隙を突き 本陣奇襲も考えられる 283 00:20:19,177 --> 00:20:20,845 龍門の死 もしくは― 284 00:20:20,929 --> 00:20:23,598 点前終了が 奇襲開始の合図だとすれば― 285 00:20:23,681 --> 00:20:27,226 今 引かねば 民も国も 守ることは できない! 286 00:20:27,894 --> 00:20:30,438 全軍 速やかに撤退を! 287 00:20:44,035 --> 00:20:46,537 そうか… 引いたか 288 00:20:47,956 --> 00:20:49,290 そうか… 289 00:20:51,125 --> 00:20:54,045 余茶に福あり… か 290 00:20:54,128 --> 00:20:55,213 さて… 291 00:20:58,091 --> 00:21:00,218 次は君の番や 292 00:21:00,927 --> 00:21:03,554 君は どう 天を諭す 293 00:21:08,935 --> 00:21:11,729 はあ? 私に大阪を発てと? 294 00:21:11,813 --> 00:21:13,982 はい すぐに お支度を 295 00:21:14,983 --> 00:21:17,026 この身勝手七三… 296 00:21:17,110 --> 00:21:19,862 急に 押しかけてきて 何を言うかと思たら 297 00:21:20,446 --> 00:21:22,073 ツネちゃんさんには 伝令として― 298 00:21:22,156 --> 00:21:23,783 単騎 福井に 向かってもらいます 299 00:21:24,367 --> 00:21:27,412 武器 馬 食べもん あと 何か いるもん― 300 00:21:27,495 --> 00:21:29,372 早急に準備してください 301 00:21:29,872 --> 00:21:32,792 儂が戻ってきたら すぐに大阪を発てるように 302 00:21:32,875 --> 00:21:33,876 いやいや いやいや いや 303 00:21:34,711 --> 00:21:35,878 意味 分からんて 304 00:21:36,462 --> 00:21:38,172 つ~か 君は どこ行くねん! 305 00:21:39,048 --> 00:21:40,800 帝に拝謁を 306 00:21:45,638 --> 00:21:46,889 は? 307 00:21:48,725 --> 00:21:50,601 大和暦 60年 春 308 00:21:51,102 --> 00:21:54,981 聖夷軍は西征し 奥越 坂井を占領 309 00:21:55,481 --> 00:21:59,193 次の攻撃目標を 嶺北に定め 前進した 310 00:21:59,694 --> 00:22:03,656 辺境将軍 龍門光英は この未曾有の危機に― 311 00:22:03,740 --> 00:22:05,825 “空城の計”という 奇策に出る 312 00:22:06,325 --> 00:22:09,620 天地を味方につけ 天命を背負う龍門 313 00:22:09,704 --> 00:22:13,082 その威風に動転した 聖夷総帥 輪島桜虎は― 314 00:22:13,166 --> 00:22:15,918 伏兵を恐れ 軍を撤退させる 315 00:22:16,419 --> 00:22:20,256 かくして 福井の民は 守られたのであった 316 00:22:20,339 --> 00:22:21,340 だが それも― 317 00:22:21,924 --> 00:22:24,927 当座の しのぎに すぎないことは分かっていた 318 00:22:25,011 --> 00:22:26,596 ゴホッ ゴホッ… 319 00:22:27,180 --> 00:22:28,389 龍門と賀来は― 320 00:22:28,473 --> 00:22:32,060 1人の口達者な若者に 国の行く末を託す 321 00:22:33,144 --> 00:22:36,314 三角青輝 ほかならぬ彼である 322 00:22:37,315 --> 00:22:40,610 一方で 聖夷も 国の命運を左右する― 323 00:22:40,693 --> 00:22:43,196 ある重大な岐路に 立たされつつあった 324 00:22:44,197 --> 00:22:47,075 輪島桜虎の指揮に 不審の念を抱く者が― 325 00:22:47,158 --> 00:22:48,993 現れ始めたのである 326 00:22:49,077 --> 00:22:52,997 今 初めて 桜虎の総帥としての資質が― 327 00:22:53,081 --> 00:22:55,333 問われようとしていた 328 00:23:00,963 --> 00:23:02,965 ♪~ 329 00:24:28,467 --> 00:24:30,469 ~♪